(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099545
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10D 84/80 20250101AFI20250626BHJP
H10D 89/60 20250101ALI20250626BHJP
H10D 30/65 20250101ALI20250626BHJP
【FI】
H01L27/06 311Z
H01L27/04 H
H01L29/78 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216267
(22)【出願日】2023-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】清水 雄介
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
5F038AV04
5F038AV06
5F038BH07
5F038CA06
5F048AC01
5F048AC03
5F048AC06
5F048AC10
5F048BA02
5F048BA14
5F048BB05
5F048BC03
5F048BC07
5F048BG12
5F048BG14
5F048CC06
5F048CC09
5F140AA38
5F140AB03
5F140AC21
5F140BA01
5F140BA02
5F140BD05
5F140BD07
5F140BE09
5F140BF04
5F140BH30
5F140BH47
5F140CB01
5F140CB04
(57)【要約】
【課題】 トランジスタの保護機能を有し小型化された半導体装置を提供する。
【解決手段】
本開示の半導体装置は、同一基板内に形成された第1トランジスタQP及び第2トランジスタQNを備え、第1トランジスタQPは、P型の第1ソース領域と、P型の第1ドレイン領域と、を備えたPチャネル型の電界効果トランジスタであり、第2トランジスタQNは、N型の第2ソース領域と、N型の第2ドレイン領域と、を備えたNチャネル型の電界効果トランジスタであり、第1トランジスタQPの第1ドレイン領域(第1P型半導体領域6)は、第2トランジスタQNの第2ソース領域(第2N型半導体領域5)に隣接する位置まで延びており、第2トランジスタQNの第2ドレイン領域(第1N型半導体領域4)は、第1トランジスタQPの第1ソース領域(第2P型半導体領域10)に隣接する位置まで延びている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一基板内に形成された第1トランジスタ及び第2トランジスタを備え、
前記第1トランジスタは、
P型の第1ソース領域と、
P型の第1ドレイン領域と、
を備えたPチャネル型の電界効果トランジスタであり、
前記第2トランジスタは、
N型の第2ソース領域と、
N型の第2ドレイン領域と、
を備えたNチャネル型の電界効果トランジスタであり、
前記第1トランジスタの前記第1ドレイン領域は、前記第2トランジスタの前記第2ソース領域に隣接する位置まで延びており、
前記第2トランジスタの前記第2ドレイン領域は、前記第1トランジスタの前記第1ソース領域に隣接する位置まで延びている、
半導体装置。
【請求項2】
前記第1トランジスタの前記第1ソース領域は、第1Nウエル領域内に形成され、
前記第1トランジスタの前記第1ドレイン領域は、第1Pウエル領域内に形成され、
前記第1ドレイン領域と前記第1Nウエル領域との間には、第1絶縁領域が介在している、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2トランジスタの前記第2ソース領域は、第2Pウエル領域内に形成され、
前記第2トランジスタの前記第2ドレイン領域は、第2Nウエル領域内に形成され、
前記第2ドレイン領域と、前記第2Pウエル領域との間には、第2絶縁領域が介在している、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1Pウエル領域と前記第2Pウエル領域は共通のP型ウエル領域であって連続しており、
前記第1Nウエル領域と前記第2Nウエル領域は共通のN型ウエル領域であって連続しており、
前記第1絶縁領域と前記第2絶縁領域は共通の絶縁領域であって連続している、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1絶縁領域及び前記第2絶縁領域の半導体基板表面からの深さ方向の厚みDZは、0.01μm以上1μm以下である、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1トランジスタは、
前記第1ソース領域と前記第1ドレイン領域の間のチャネルを制御する第1ゲート電極を備え、
前記第1ゲート電極は、
前記第1ソース領域と前記第1ドレイン領域との間の領域における、前記第1Nウエル領域、前記第1Pウエル領域、及び、前記第1絶縁領域を覆うように設けられ、
前記第2トランジスタは、
前記第2ソース領域と前記第2ドレイン領域の間のチャネルを制御する第2ゲート電極を備え、
前記第2ゲート電極は、
前記第2ソース領域と前記第2ドレイン領域との間の領域における、前記第2Pウエル領域、前記第2Nウエル領域、及び、前記第2絶縁領域を覆うように設けられている、
請求項3~5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、横方向二重拡散金属酸化膜半導体(LDMOS)電界効果トランジスタを含む半導体装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0280713号明細書
【0004】
[概要]
本開示は、トランジスタの保護機能を有し小型化された半導体装置を提供する。
【0005】
本開示の半導体装置は、同一基板内に形成された第1トランジスタ及び第2トランジスタを備え、前記第1トランジスタは、P型の第1ソース領域と、P型の第1ドレイン領域と、を備えたPチャネル型の電界効果トランジスタであり、前記第2トランジスタは、N型の第2ソース領域と、N型の第2ドレイン領域と、を備えたNチャネル型の電界効果トランジスタであり、前記第1トランジスタの前記第1ドレイン領域は、前記第2トランジスタの前記第2ソース領域に隣接する位置まで延びており、前記第2トランジスタの前記第2ドレイン領域は、前記第1トランジスタの前記第1ソース領域に隣接する位置まで延びている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、一部分解して示す半導体装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した半導体装置のA-A矢印断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した半導体装置のA-A矢印断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した半導体装置のB-B矢印断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示した半導体装置のB-B矢印断面図である。
【
図7】
図7は、半導体装置の平面図(
図7(A))及びウエル領域の水平断面構成を示す図(
図7(B))である。
【0007】
[詳細な説明]
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附することとし、重複する説明は省略する。
【0008】
図1は、一部分解して示す半導体装置の斜視図である。
【0009】
半導体装置100は、半導体基板1を備えている。XYZ三次元直交座標系を設定する。半導体基板1の厚み方向をZ軸方向とする。半導体基板1の表面から深部に向かう深さ方向をZ軸の正方向とする。Z軸に垂直な幅方向をX軸方向とする。Z軸及びX軸の双方に垂直な長さ方向をY軸方向とする。半導体装置100は、Z軸方向から見た平面視において、幅方向(X軸方向)の中心位置を通り、長さ方向(Y軸方向)に沿って延びたP型半導体領域6を備えている。同図において、P型半導体領域6は、基板表面を、左側領域(第1領域)と、右側領域(第2領域)の2つに分割している。
【0010】
半導体装置100は、同一基板内に形成された第1トランジスタQPと、第2トランジスタQNを備えている。
【0011】
第1トランジスタQPは、Pチャネル型の電界効果トランジスタ(FET)である。第1トランジスタQPは、上記の第1領域内に位置する第1PチャネルトランジスタQPAと、第2領域内に位置する第2PチャネルトランジスタQPBを備えている。第1PチャネルトランジスタQPAと、第2PチャネルトランジスタQPBは、電気的に並列接続してよい。なお、同図には、2個の第1PチャネルトランジスタQPAと、2個の第2PチャネルトランジスタQPBが示されているが、それぞれのトランジスタの数は、1個又は2個以上であってもよい。本例のそれぞれのPチャネルトランジスタは、Pチャネル型の横方向二重拡散金属酸化膜半導体(LDMOS)FETである。
【0012】
第2トランジスタQNは、Nチャネル型の電界効果トランジスタ(FET)である。第2トランジスタQNは、上記の第1領域内に位置する第1NチャネルトランジスタQNAと、第2領域内に位置する第2NチャネルトランジスタQNBを備えている。第1NチャネルトランジスタQNAと、第2NチャネルトランジスタQNBは、電気的に並列接続してよい。なお、同図には、2個の第1NチャネルトランジスタQNAと、2個の第2NチャネルトランジスタQNBが示されているが、それぞれのトランジスタの数は1個又は2個以上であってもよい。本例のそれぞれのNチャネルトランジスタは、Nチャネル型のLDMOS-FETである。複数の第1トランジスタQPと、複数の第2トランジスタQNは、Y軸方向に沿って、交互に配置されている。
【0013】
なお、第1領域の構造と、第2領域の構造とは、中心のP型半導体領域6を通るYZ平面に対して、面対称の構造を有している。したがって、第1領域の構造と、第2領域の構造と同一であるため、以下では、第1領域の構造を対象として説明する。
【0014】
第1トランジスタQPの第1ゲート電極9と、ソース領域(第2P型半導体領域10)と、コンタクト領域(第1N型半導体領域4)は、短絡されている。ソース領域(第2P型半導体領域10)と、コンタクト領域(第1N型半導体領域4)は、これらの表面に設けられたシリサイド層により電気的に接続されている。シリサイド層上には絶縁膜が設けられる。この絶縁膜にコンタクトホールを開け、当該コンタクトホール内にコンタクト電極を形成し、当該コンタクト電極を介して、シリサイド層を第1ゲート電極9に電気的に接続することができる。
【0015】
第2トランジスタQNのソース領域(第2N型半導体領域5)と、コンタクト領域(第1P型半導体領域6)は、短絡されている。ソース領域(第2N型半導体領域5)と、コンタクト領域(第1P型半導体領域6)は、これらの表面に設けられたシリサイド層により電気的に接続されている。シリサイド層上には絶縁膜が設けられる。この絶縁膜にコンタクトホールを開け、当該コンタクトホール内にコンタクト電極を形成し、当該コンタクト電極を介して、シリサイド層をドレイン用電極6Eに電気的に接続することができる。
【0016】
第1トランジスタQPは、サージ電流又はサージ電圧が入力された場合などにおいて、その内部に形成されている寄生ダイオードに電流を流すことが可能であるため、第2トランジスタQNに対する保護回路として機能することができる。
【0017】
図2は、
図1に示した半導体装置のA-A矢印断面図である。
【0018】
同図には、第1トランジスタQP(Pチャネル型DMOS-FET)が示されている。第1トランジスタQPは、半導体基板1の表面側に形成されたN型ウエル領域2と、P型ウエル領域3を備えている。半導体基板1の表現側の領域は、エピタキシャル半導体層とすることができる。第1トランジスタQPは、N型ウエル領域2内に形成されたソース領域(第2P型半導体領域10)と、P型ウエル領域3内に形成されたドレイン領域(第1P型半導体領域6)を備えている。N型ウエル領域2上には、絶縁膜11を介して、第1ゲート電極9が配置されている。
【0019】
絶縁膜11は、第1ゲート電極9の直下のみに形成されるゲート絶縁膜と、半導体基板1の表面全体を被覆する絶縁膜を含むことができる。ゲート絶縁膜及び半導体基板を被覆する絶縁膜の材料として、SiO2又は窒化シリコンなどの無機絶縁膜を用いることができる。P型ウエル領域3の表面側には、絶縁領域8(8P)が形成されている。絶縁領域8は、ドレイン領域(第1P型半導体領域6)に隣接している。本例の絶縁領域8の材料は、SiO2であり、フィールド酸化膜などにより構成することができる。絶縁領域8は、窒化シリコンなどの他の絶縁材料を含んでもよく、複数の絶縁層を含んでいてもよい。第1ゲート電極9は、平面視においては、ソース領域(第2P型半導体領域10)のX軸方向の一方の端部位置から、N型ウエル領域2及びP型ウエル領域3の端部位置を超えて、絶縁領域8上に延びている。
【0020】
P型ウエル領域3は、本来は、Pチャネル型DMOS-FETにおけるキャリア(正孔)のドリフト領域である。第1トランジスタQPは、仮に第1ゲート電極9に負電位が印加された場合には、第1ゲート電極9の直下のN型ウエル領域2の表面にP型のチャネルが発生する構造を有している。なお、本例では、第1ゲート電極9と、ソース領域(第2P型半導体領域10)と、コンタクト領域(第1N型半導体領域4)は、短絡されている。ソース領域(第2P型半導体領域10)にはコンタクト領域(第1N型半導体領域4)が隣接し、接合している。また、ドレイン領域(第1P型半導体領域6)には、コンタクト電極を介して、ドレイン用電極6E(端子)が接続されている。
【0021】
なお、同図は、模式的な断面図であり、P型ウエル領域3と、N型ウエル領域2の間には、半導体基板1の上層部(エピタキシャル半導体層)が介在するように描かれているが、P型ウエル領域3と、N型ウエル領域2とは、接合(接触)していてもよい。P型ウエル領域3(アノード)と、N型ウエル領域2(カソード)は、PN接合しており、これらは第1ダイオードD1(寄生ダイオード)を構成している。
【0022】
第1トランジスタQPにおけるP型ウエル領域3は、第2トランジスタQNにおけるP型ウエル領域3(
図4、
図5参照)と共通であり、これらは連続している。第1トランジスタQPにおける第1P型半導体領域6(ドレイン領域)は、第2トランジスタQNにおける第1P型半導体領域6(コンタクト領域(
図4、
図5参照))と共通であり、これらは連続している。
【0023】
図3は、
図1に示した半導体装置のA-A矢印断面図である。
【0024】
同図に示す半導体装置100は、
図2に示した半導体基板1の詳細構造例を示したものである。半導体基板1は、基板1Aと、基板1A上に形成された埋込半導体層1Bと、埋込半導体層1B上に形成されたエピタキシャル半導体層1Cとを備えている。本例においては、基板1AはP型半導体基板、埋込半導体層1BはN型半導体層、エピタキシャル半導体層1CはN型半導体層である。
【0025】
第1トランジスタQP(及び第2トランジスタQN)の周囲は、素子分離を行うためのアイソレーション領域によって囲まれている。本例のアイソレーション領域は、P型の半導体領域であり、下部半導体領域12と、上部半導体領域13と、表面半導体領域14とを備えている。下部半導体領域12は、基板1Aの表面に連続して上方に延びており、その上に上部半導体領域13が位置する。なお、同図は模式的な断面図であり、下部半導体領域12と、上部半導体領域13との間には、隙間があるように描かれているが、これらは接触していてもよい。表面半導体領域14の不純物濃度は、上部半導体領域13の不純物濃度よりも高く、必要に応じて、表面半導体領域14に電極を設けて、グランド電位等の適当な電位を与えることができる。また、アイソレーション領域は、トレンチを含むディープトレンチアイソレーションのような構造により構成してもよく、必要に応じて、トレンチの周囲にN型不純物を添加してもよい。
【0026】
本例では、第1N型半導体領域4の外側に、絶縁領域81が配置されている。絶縁領域81は、フィールド酸化膜などを構成する絶縁領域8と同じ材料であり、平面視において、これらは連続していてもよい。
【0027】
第1トランジスタにおける第1絶縁領域8P(8)の半導体基板表面からの深さ方向の厚みDZは、0.01μm以上1μm以下である。深さ方向の厚みDZが上限値を超えた場合、キャリアが走行しにくくなり、下限値を下回った場合、電界緩和ができなくなるため遮断耐圧が低下する。0.1μm≦DZ≦0.8μmとすることもできる。0.2μm≦DZ≦0.6μmとすることもできる。
【0028】
図4は、
図1に示した半導体装置のB-B矢印断面図である。
【0029】
同図には、第2トランジスタQN(Nチャネル型DMOS-FET)が示されている。第2トランジスタQNは、半導体基板1の表面側に形成されたN型ウエル領域2と、P型ウエル領域3を備えている。半導体基板1の表現側の領域は、エピタキシャル半導体層とすることができる。第2トランジスタQNは、P型ウエル領域3内に形成されたソース領域(第2N型半導体領域5)と、N型ウエル領域2内に形成されたドレイン領域(第1N型半導体領域4)とを備えている。P型ウエル領域3上には、絶縁膜11を介して、第2ゲート電極7が配置されている。第2ゲート電極7には、ゲート電極用の端子7Eが電気的に接続されている。
【0030】
絶縁膜11は、第2ゲート電極7の直下のみに形成されるゲート絶縁膜と、半導体基板1の表面全体を被覆する絶縁膜を含むことができる。N型ウエル領域2の表面側には、絶縁領域8(8N)が形成されている。絶縁領域8は、ドレイン領域(第1N型半導体領域4)に隣接している。本例の絶縁領域8(8N)は、第1トランジスタQPにおける絶縁領域8(8P)に連続しており、これと同一の材料からなる。第2ゲート電極7は、平面視においては、ソース領域(第2N型半導体領域5)のX軸方向の一方の端部位置から、P型ウエル領域3及びN型ウエル領域2の端部位置を超えて、絶縁領域8上に延びている。
【0031】
N型ウエル領域2は、Nチャネル型DMOS-FETにおけるキャリア(電子)のドリフト領域である。第2ゲート電極7に正電位が印加された場合には、第2ゲート電極7の直下のP型ウエル領域3の表面にN型のチャネルが発生する。ソース領域(第2N型半導体領域5)にはコンタクト領域(第1P型半導体領域6)が隣接し、接合している。また、ドレイン領域(第1N型半導体領域4)には、コンタクト電極を介して、ドレイン用電極4E(端子)が電気的に接続されている。
【0032】
なお、同図は、模式的な断面図であり、P型ウエル領域3と、N型ウエル領域2の間には、半導体基板1の上層部(エピタキシャル半導体層)が介在するように描かれているが、P型ウエル領域3と、N型ウエル領域2とは、接合(接触)していてもよい。P型ウエル領域3(アノード)と、N型ウエル領域2(カソード)は、PN接合しており、これらは第2ダイオードD2(寄生ダイオード)を構成している。
【0033】
Nチャネル型のトランジスタは、ドレイン側(第1N型半導体領域4)の電位がソースよりも高く、ソース(第2N型半導体領域5)からドレインに電子が流れる(電流はドレインからソースに流れる)。第2ダイオードD2には、逆バイアス電圧が印加される。
【0034】
トランジスタのドレイン/ソース間に最大定格以上の電圧が印加されると、アバランシェ降伏が生じることがある。このアバランシェ降伏時には、トランジスタ内の寄生ダイオードに、逆方向にアバランシェ電流が流れる。第2トランジスタQNのキャリアは電子であり、第2ダイオードD2が降伏し、第2ダイオードD2に並列接続された寄生バイポーラトランジスタが動作して、第2トランジスタQNが破壊することがある。
【0035】
例えば、第2トランジスタQNのドレイン端子にESD(Electro StaticDischarge)のプラスサージが入力され、ソース端子に向けて放電されると、寄生バイポーラトランジスタが動作して、第2トランジスタQNが破壊する場合がある。第2ダイオードD2にアバランシェ電流が流れなければ、寄生バイポーラトランジスタの動作による第2トランジスタQNの破壊を抑制することができる。
【0036】
第1トランジスタQPは、キャリアが正孔であるので、Nチャネル型の第2トランジスタQNよりもアバランシェ降伏(衝突電離)が生じにくく、アバランシェ降伏が生じにくい。第1トランジスタQPは、第2トランジスタQNよりも大電流を流すことができる。第1トランジスタQPに付属する第1ダイオードD1が降伏する電圧の大きさは、第2ダイオードD2が降伏する電圧の大きさよりも小さく設定されている。サージ電圧が入力された場合、第2ダイオードD2に代えて、第1ダイオードD1に電流が流れ、第1トランジスタQPは、第2トランジスタQNを保護する。第1トランジスタQPと第2トランジスタQNを組み合わせることにより、大電流を使用した場合のサージ電流の変化に対しても第2トランジスタQNの破壊が抑制される。したがって、本例の半導体装置100は、ESDに対する耐性が高くなる。
【0037】
図5は、
図1に示した半導体装置のB-B矢印断面図である。
【0038】
同図に示す半導体装置100は、
図4に示した半導体基板1の詳細構造例を示したものである。半導体基板1は、基板1Aと、基板1A上に形成された埋込半導体層1Bと、埋込半導体層1B上に形成されたエピタキシャル半導体層1Cとを備えている。基板1A、埋込半導体層1B、及び、エピタキシャル半導体層1Cは、
図2~
図4に示した各要素と同一である。
【0039】
第2トランジスタQN(及び第1トランジスタQP)の周囲は、素子分離を行うためのアイソレーション領域によって囲まれている。本例のアイソレーション領域は、
図3に示したものと同一であり、下部半導体領域12と、上部半導体領域13と、表面半導体領域14とを備えている。必要応じて、表面半導体領域14に電極を設けて、グランド電位等の適当な電位を与えることができる。また、アイソレーション領域は、トレンチを含むディープトレンチアイソレーションのような構造により構成してもよく、必要に応じて、トレンチの周囲にN型不純物を添加してもよい。
【0040】
本例では、第1N型半導体領域4の外側に、絶縁領域81が配置されている。絶縁領域81は、フィールド酸化膜などを構成する絶縁領域8と同じ材料であり、平面視において、これらは連続していてもよい。
【0041】
次に、各半導体領域の材料と不純物濃度について説明する。
【0042】
本例の基板1Aの材料は、シリコン(Si)からなる。基板1Aの材料は、炭化シリコン(SiC)又は窒化ガリウム(GaN)などの化合物半導体から構成することもできる。基板1Aの導電型はP型(第1導電型)であり、不純物濃度(C1A)は、例えば1×1014cm-3~5×1018cm-3に設定することができる。基板1Aの厚さは、例えば250μm~800μmである。基板1Aの材料をAl2O3等の絶縁基板又は絶縁層として、SOI(silicon on insulator)構造を採用することもできる。また、シリコンにおけるN型の不純物材料としては、リン(P)又は砒素(As)等を用いることができ、P型の不純物材料としては、ボロン(B)又はアルミニウム(Al)等を用いることができる。
【0043】
埋込半導体層1Bの材料は、基板1Aの半導体材料と同一とすることができる。埋込半導体層1Bの導電型はN型(第2導電型)であり、不純物濃度(C1B)は、例えば、1×1017cm-3~1×1019cm-3とすることができる。埋込半導体層1Bの厚みは、例えば1μm~5μmとすることができる。
【0044】
エピタキシャル半導体層1Cの材料は、基板1Aの半導体材料と同一とすることができる。エピタキシャル半導体層1Cの導電型はN型(第2導電型)であり、不純物濃度(C1C)は、例えば5×1014cm-3~1×1017cm-3とすることができる。エピタキシャル半導体層1Cの厚みは、例えば3μm~20μmとすることができる。本例の不純物濃度は、C1C<C1A<C1Bの関係を満たしている。
【0045】
N型ウエル領域2の材料は、基板1Aの半導体材料と同一とすることができる。N型ウエル領域2の導電型はN型(第2導電型)であり、不純物濃度(C2)は、例えば1×1016cm-3~1×1018cm-3とすることができる。N型ウエル領域2の厚みは、例えば0.5μm~4μmとすることができる。
【0046】
P型ウエル領域3の材料は、基板1Aの半導体材料と同一とすることができる。P型ウエル領域3の導電型はP型(第1導電型)であり、不純物濃度(C3)は、例えば1×1016cm-3~1×1018cm-3とすることができる。P型ウエル領域3の厚みは、例えば0.5μm~4μmとすることができる。
【0047】
第1N型半導体領域4及び第2N型半導体領域5の材料は、基板1Aの半導体材料と同一とすることができる。第1N型半導体領域4及び第2N型半導体領域5の導電型はN型(第2導電型)であり、それぞれの不純物濃度(C4、C5)は、例えば1×1019cm-3~5×1021cm-3とすることができる。第1N型半導体領域4及び第2N型半導体領域5の厚みは、例えば0.2μm~1μmとすることができる。
【0048】
第1P型半導体領域6及び第2P型半導体領域10の材料は、基板1Aの半導体材料と同一とすることができる。第1P型半導体領域6及び第2P型半導体領域10の導電型はP型(第1導電型)であり、それぞれの不純物濃度(C6、C10)は、例えば1×1019cm-3~5×1021cm-3とすることができる。第1N型半導体領域4及び第2N型半導体領域5の厚みは、例えば0.2μm~2μmとすることができる。第1N型半導体領域4、第2N型半導体領域5、第1P型半導体領域6、及び第2P型半導体領域10の厚み(深さ)は、同一であってもよい。
【0049】
第1ゲート電極9及び第2ゲート電極7の材料は、導電体であれば特に限定されないが、例えば、不純物が添加されたポリシリコンを用いることができる。
【0050】
アイソレーションを構成する下部半導体領域12、上部半導体領域13、表面半導体領域14の材料は、基板1Aの半導体材料と同一とすることができる。これらの半導体領域の導電型はP型(第1導電型)であり、不純物濃度は、エピタキシャル半導体層1Cの不純物濃度(C1C)よりも高く設定することができる。
【0051】
第2トランジスタQNにおける第2絶縁領域8N(8)の半導体基板表面からの深さ方向の厚みDZは、0.01μm以上1μm以下である。深さ方向の厚みDZが上限値を超えた場合、キャリアが走行しにくくなり、下限値を下回った場合、電界緩和ができなくなるため遮断耐圧が低下する。深さ方向の厚みDZが上記範囲内の場合、DMOS-FETとして好適に動作する。0.1μm≦DZ≦0.8μmとすることもできる。0.2μm≦DZ≦0.6μmとすることもできる。
【0052】
【0053】
第1トランジスタQPと第2トランジスタQNは、第1配線L1と第2配線L2との間において、並列に接続されている。
【0054】
第1配線L1は、第1N型半導体領域4(
図1~
図5)上に位置し、第1N型半導体領域4に電気的に接続され、第1N型半導体領域4に対して平行に延びている。第1配線L1と、第1N型半導体領域4との接続は、複数の第1ビア電極によって行われている。詳細には、複数の第1ビア電極VE1(
図7(A)参照)は平面視において、Y軸方向に沿って整列している。第1配線L1には、第1トランジスタQPのソース領域及びゲート電極が電気的に接続されている。第1配線L1には、第2トランジスタQNのドレイン領域が電気的に接続されている。
【0055】
第2配線L2は、第1P型半導体領域6(
図1~
図5)上に位置し、第1P型半導体領域6に電気的に接続され、第1P型半導体領域6に対して平行に延びている。第2配線L2と、第1P型半導体領域6との接続は、複数のビア電極によって行われている。詳細には、複数の第2ビア電極VE2(
図7(A)参照)は平面視において、Y軸方向に沿って整列している。第2配線L2には、第1トランジスタQPのドレイン領域が電気的に接続されている。第2配線L2には、第2トランジスタQNのソース領域が電気的に接続されている。
【0056】
第2トランジスタQNは、DMOSタイプのNMOS-FETであり、ゲート電極に正電位が印加された場合、ゲート電極直下にN型のチャネルが形成される。ドレイン領域には、正電位が与えられるので、ソース領域の電子は、N型のチャネルを通って、ドレイン領域へと流れる。すなわち、第2トランジスタQNがON状態の場合、電流は、ドレイン領域からソースに向けて流れる。第1トランジスタQPは、第2トランジスタQNの保護回路であり、サージ電圧などが当該回路に入力された場合、第2トランジスタQNを保護することができる。
【0057】
図7は、半導体装置の平面図(
図7(A))及びウエル領域の水平断面構成を示す図(
図7(B))である。なお、同図(A)においては、半導体基板上の絶縁膜を省略して示している。また、同図(B)は、半導体基板の表面に位置する絶縁領域よりも深い位置におけるウエルの水平断面構成を示している。
【0058】
同図(A)に示すように、第1N型半導体領域4には、複数の第1ビア電極VE1(コンタクト電極)が設けられており、Y軸方向に沿って整列している。第1P型半導体領域6には、複数の第2ビア電極VE2(コンタクト電極)が設けられており、Y軸方向に沿って整列している。第2P型半導体領域10には、第3ビア電極VE3(コンタクト電極)が設けられており、
図1に示したように、第1N型半導体領域4と共に、第1ゲート電極9に電気的に接続されている。平面視において、絶縁領域8は、第1トランジスタQP及び第2トランジスタQNの周囲を埋めるように設けられている。なお、各ビア電極の材料は、例えばタングステン(W)を用いることができるが、その他の導電材料(アルミニウム(Al)、銅(Cu)等)を用いてもよい。
【0059】
同図(B)に示すように、平面視において、深部のN型ウエル領域2は、左右の領域を有している。片方の領域のみに着目すると、深部のN型ウエル領域2は、第1トランジスタQPに対応する第1X軸方向幅XN1と、第2トランジスタQNに対応する第2X軸方向幅XN2を有している(XN1<XN2)。平面視において、深部のP型ウエル領域3は、第1トランジスタQPに対応する第3X軸方向幅XP1と、第2トランジスタQNに対応する第4X軸方向幅XP2を有している(XP1<XP2)。これらの幅は、Y軸方向に沿って交互に変化し、深部のN型ウエル領域2とP型ウエル領域3の境界線は、平面視において、インターデジタル構造を構成している。
【0060】
第1ソース領域(第2P型半導体領域10)は、第1Nウエル領域21A内に形成されている。第1ドレイン領域(第1P型半導体領域6)は、第1Pウエル領域31A内に形成されている。第1ドレイン領域(6)と第1Nウエル領域21Aとの間には、第1絶縁領域(8(8P))が介在している。第1トランジスタQPは、第2トランジスタQNと同じDMOS―FETの構造を有しており、第2トランジスタQNの保護回路としての第1ダイオードの特性の設計がしやすいという利点がある。
【0061】
第2ソース領域(第2N型半導体領域5)は、第2Pウエル領域32A内に形成されている。第2ドレイン領域(第1N型半導体領域4)は、第2Nウエル領域22A内に形成されている。第2ドレイン領域(第1N型半導体領域4)と、第2Pウエル領域32Aとの間には、第2絶縁領域(8(8N))が介在している。第2絶縁領域(8(8N))の直下の領域において、N型のキャリアがドリフトして走行する。
【0062】
第1Pウエル領域31Aと第2Pウエル領域32Aは共通のP型ウエル領域3であり、連続している。第1Nウエル領域21Aと第2Nウエル領域22Aは共通のN型ウエル領域2であり、連続している。第1絶縁領域(8P)と第2絶縁領域(8N)は共通の絶縁領域8であり、連続している。
【0063】
第1トランジスタQPは、第1ソース領域(第2P型半導体領域10)と第1ドレイン領域(第1P型半導体領域6)の間のチャネルを制御する第1ゲート電極9を備えている。第1ゲート電極9は、第1ソース領域(第2P型半導体領域10)と第1ドレイン領域(第1P型半導体領域6)との間の領域における、第1Nウエル領域21A、第1Pウエル領域31A、及び、第1絶縁領域(8P)を覆うように設けられている。第2トランジスタQNは、第2ソース領域(第2N型半導体領域5)と第2ドレイン領域(第1N型半導体領域4)の間のチャネルを制御する第2ゲート電極7を備えている。第2ゲート電極7は、第2ソース領域(第2N型半導体領域5)と第2ドレイン領域(第1N型半導体領域4)との間の領域における、第2Pウエル領域32A、第2Nウエル領域22A、及び、第2絶縁領域(8N)を覆うように設けられている。
【0064】
なお、X軸方向の中央を通るYZ面に対して、第1Nウエル領域21Aと対称な位置のNウエル領域を第1Nウエル領域(21B)とする。このYZ面に対して、第2Nウエル領域22Aと対称な位置のNウエル領域を第2Nウエル領域(22B)とする。このYZ面に対して、第1Pウエル領域31Aと対称な位置のPウエル領域を第1Nウエル領域(31B)とする。このYZ面に対して、第2Pウエル領域32Aと対称な位置のPウエル領域を第2Nウエル領域(32B)とする。
【0065】
第1トランジスタQPのY軸方向の長さ(第1ゲート電極9のY軸方向の寸法)は、第2トランジスタQNのY軸方向の長さ(第2ゲート電極7のY軸方向の寸法)よりも小さい。第1トランジスタQPは保護回路であり、保護不要の期間においては動作しないため、本例では寸法を小さく設計している。なお、必ずしも第1トランジスタQPのY軸方向の寸法を第2トランジスタQNよりも小さくする必要はなく、必要に応じて調整することができる。
【0066】
上述の半導体装置においては、素子分離やパワー配線を削減できるため、面積(コスト)低減や設計容易性を高めることができる。また、ESD動作の平均電力密度(発熱)を低減できるため、放電電流に対する耐圧を高め、放電電流が入力された場合の発熱量の低下させることができ、高いESD性能を得ることができる。
【0067】
ESD耐性の低い第2トランジスタQNの近傍に、第1トランジスタQPが配置されており、第2トランジスタQNのバックゲート率(P型領域の面積の割合)を低減させて、動作させることができる。バックゲート部はオン電流(オン抵抗)に寄与しないので、バックゲート率を低下させることにより、面積(A)×オン抵抗(Ron)を低下させることができる。
【0068】
保護回路としての第1トランジスタQPは、保護が必要な箇所に限定して配置することができる。すなわち、第1トランジスタQPは、回路構成上、第2トランジスタQNが破壊しやすい領域内に局所的に配置することができ、効率的な設計ができる。例えば、パワーアレイの中でボンディングパッドに近い領域、配線抵抗が低い領域、最外周部の領域などは、トランジスタが破壊しやすい。これらの耐性の弱い領域内において、保護回路としての第1トランジスタQPを、その他の領域内よりも多く配置することができる。
【0069】
上述の半導体装置は、(DMOS)FETを搭載した半導体チップに適用することができる。また、上述の半導体装置は、(DMOS)FET以外のFETに適用することも可能である。このような半導体チップは、自動車、飛行機、船舶などに搭載される各種機器に搭載することができる。
【0070】
(付記)以上、説明したように、上述の半導体装置においては、第1トランジスタQPにより、第2トランジスタQNの保護することができるが、第1及び第2トランジスタを統合した構造を有しているため、小型である。本開示における種々の実施形態は、以下の付記として規定しうる。
【0071】
[A1] 同一基板内に形成された第1トランジスタQP及び第2トランジスタQNを備え、前記第1トランジスタQPは、P型の第1ソース領域と、P型の第1ドレイン領域と、を備えたPチャネル型の電界効果トランジスタであり、前記第2トランジスタQNは、N型の第2ソース領域と、N型の第2ドレイン領域と、を備えたNチャネル型の電界効果トランジスタであり、前記第1トランジスタQPの前記第1ドレイン領域(第1P型半導体領域6)は、前記第2トランジスタQNの前記第2ソース領域(第2N型半導体領域5)に隣接する位置まで延びており、前記第2トランジスタQNの前記第2ドレイン領域(第1N型半導体領域4)は、前記第1トランジスタQPの前記第1ソース領域(第2P型半導体領域10)に隣接する位置まで延びている、半導体装置。この半導体装置によれば、第1トランジスタQPが第2トランジスタQNと共通の要素(第1ドレイン領域(第1P型半導体領域6)、第2ドレイン領域(第1N型半導体領域4))を備えており、第2トランジスタQNの保護回路として機能しつつも、半導体装置は小型化することができる。
【0072】
[A2] 前記第1トランジスタQPの前記第1ソース領域(第2P型半導体領域10)は、第1Nウエル領域(2(21A))内に形成され、前記第1トランジスタQPの前記第1ドレイン領域(第1P型半導体領域6)は、第1Pウエル領域(3(31A))内に形成され、前記第1ドレイン領域(6)と前記第1Nウエル領域(21A)との間には、第1絶縁領域(8(8P))が介在している、A1に記載の半導体装置。
【0073】
[A3] 前記第2トランジスタQNの前記第2ソース領域(第2N型半導体領域5)は、第2Pウエル領域(3(32A))内に形成され、前記第2トランジスタQNの前記第2ドレイン領域(第1N型半導体領域4)は、第2Nウエル領域(2(22A))内に形成され、前記第2ドレイン領域(第1N型半導体領域4)と、前記第2Pウエル領域(3(32A))との間には、第2絶縁領域(8(8N))が介在している、A2に記載の半導体装置。
【0074】
[A4] 前記第1Pウエル領域(31A)と前記第2Pウエル領域(32A)は共通のP型ウエル領域3であって連続しており、前記第1Nウエル領域(21A)と前記第2Nウエル領域(22A)は共通のN型ウエル領域2であって連続しており、前記第1絶縁領域(8P)と前記第2絶縁領域(8N)は共通の絶縁領域8であって連続している、A3に記載の半導体装置。
【0075】
[A5] 前記第1絶縁領域(8P)と前記第2絶縁領域(8N)の半導体基板表面からの深さ方向の厚みDZは、0.01μm以上1μm以下である、A4に記載の半導体装置。深さ方向の厚みDZが上限値を超えた場合、キャリアが走行しにくくなり、下限値を下回った場合、電界緩和ができなくなるため遮断耐圧が低下する。
【0076】
[A6] 前記第1トランジスタ(QP)は、前記第1ソース領域(第2P型半導体領域10)と前記第1ドレイン領域(第1P型半導体領域6)の間のチャネルを制御する第1ゲート電極(9)を備え、前記第1ゲート電極(9)は、前記第1ソース領域(第2P型半導体領域10)と前記第1ドレイン領域(第1P型半導体領域6)との間の領域における、前記第1Nウエル領域(21A)、前記第1Pウエル領域(31A)、及び、前記第1絶縁領域(8P)を覆うように設けられ、前記第2トランジスタ(QN)は、前記第2ソース領域(第2N型半導体領域5)と前記第2ドレイン領域(第1N型半導体領域4)の間のチャネルを制御する第2ゲート電極(7)を備え、前記第2ゲート電極(7)は、前記第2ソース領域(第2N型半導体領域5)と前記第2ドレイン領域(第1N型半導体領域4)との間の領域における、前記第2Pウエル領域(32A)、前記第2Nウエル領域(22A)、及び、前記第2絶縁領域(8N)を覆うように設けられている、A3~A5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【0077】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。また、以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的本明細書において説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0078】
1…半導体基板、1A…基板、1B…埋込半導体層、1C…エピタキシャル半導体層、2…N型ウエル領域、3…P型ウエル領域、4…第1N型半導体領域、4E…ドレイン用電極、5…第2N型半導体領域、6…第1P型半導体領域、6E…ドレイン用電極、7…第2ゲート電極、7E…ゲート電極用の端子、8,81…絶縁領域、8N…第2絶縁領域、8P…第1絶縁領域、9…第1ゲート電極、10…第2P型半導体領域、11…絶縁膜、12…下部半導体領域、13…上部半導体領域、14…表面半導体領域、21A、21B…第1Nウエル領域、22A,22B…第2Nウエル領域、31A,31B…第1Pウエル領域、32A,32B…第2Pウエル領域、100…半導体装置、D1…第1ダイオード、D2…第2ダイオード、L1…第1配線、L2…第2配線、QP…第1トランジスタ、QPA…第1Pチャネルトランジスタ、QPB…第2Pチャネルトランジスタ、QN…第2トランジスタ、QNA…第1Nチャネルトランジスタ、QNB…第2Nチャネルトランジスタ、VE1…第1ビア電極、VE2…第2ビア電極、VE3…第3ビア電極、XN1…第1X軸方向幅、XN2…第2X軸方向幅、XP1…第3X軸方向幅、XP2…第4X軸方向幅。