(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099574
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】配線構造及び超音波流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/667 20220101AFI20250626BHJP
H04R 1/06 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
G01F1/667 B
H04R1/06 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216347
(22)【出願日】2023-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000142425
【氏名又は名称】アズビル金門株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 智仁
(72)【発明者】
【氏名】布村 崇裕
【テーマコード(参考)】
2F035
5D019
【Fターム(参考)】
2F035DA08
2F035DA14
5D019AA16
5D019EE06
(57)【要約】
【課題】配線を適切に引き回して固定し、振動ノイズの配線への伝播を抑制することができる配線構造を提供する。
【解決手段】圧電素子42が取り付けられる金属板41と、ケース部材20に設けられ、金属板41及び圧電素子42に接続される配線44を保持する配線保持部54を有するパッキン45と、配線44を保持した配線保持部54を押さえるキャップ30とを備える。配線44の周囲は、配線保持部54を形成するパッキン材料によって覆われる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子が取り付けられる金属板と、
筐体に設けられ、前記圧電素子及び前記金属板に接続される配線を保持する配線保持部を有するパッキンと、
前記配線を保持した前記配線保持部を押さえる押さえ部材とを備え、
前記配線の周囲は、
前記配線保持部を形成するパッキン材料、又は、前記配線保持部を形成するパッキン材料及び前記押さえ部材によって覆われる
ことを特徴とする配線構造。
【請求項2】
前記配線保持部は、
前記配線が挿入された状態で、前記押さえ部材によって押さえ付けられることで、前記配線の周囲を前記パッキン材料で覆う配線保持溝を有する
ことを特徴とする請求項1記載の配線構造。
【請求項3】
前記配線保持溝の溝幅は、前記配線の直径以上の長さである
ことを特徴とする請求項2記載の配線構造。
【請求項4】
前記配線保持溝の溝幅は、前記配線の直径よりも短い長さである
ことを特徴とする請求項2記載の配線構造。
【請求項5】
前記押さえ部材は、前記配線が嵌め込まれる配線用凹部を有し、
前記配線保持部は、前記配線における前記配線用凹部に嵌め込まれていない部分を、沈ませるように変形する
ことを特徴とする請求項1記載の配線構造。
【請求項6】
前記配線保持部は、前記配線が挿入される配線保持溝を有し、
前記筐体は、前記配線保持部が嵌合される嵌合凹部を有し、
前記配線保持溝は、
前記配線保持部が前記嵌合凹部に嵌合されると、前記配線の周囲を前記パッキン材料で覆う
ことを特徴とする請求項1記載の配線構造。
【請求項7】
圧電素子が取り付けられる金属板と、
筐体に設けられ、前記圧電素子及び前記金属板に接続される配線を保持する配線保持部を有するパッキンとを備え、
前記配線保持部は、
前記配線が内部に押し込まれることで、前記配線の周囲を、前記配線保持部を形成するパッキン材料で覆うスリットを有する
ことを特徴とする配線構造。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の配線構造を備える
ことを特徴とする超音波流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線構造及び超音波流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧電デバイスが開示されている。この特許文献1に開示された圧電デバイスは、圧電素子及び当該圧電素子が取り付けられる金属板に接続される配線を、樹脂材料で形成した制振部材の内部に埋め込むようにした、配線構造を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された配線構造は、制振部材を成形する際に、その成形に使用する金型内に、配線を、予め、圧電素子及び金属板に接続させた状態で配置することで、制振部材の成形と共に、当該制振部材の内部に配線を埋め込むようにしている。このため、特許文献1に開示された配線構造においては、配線を金型内で所定の位置に引き回すことが困難となる。配線を適切に引き回すことができない場合、当該配線には、圧電素子の振動ノイズが伝播するおそれがある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、配線を適切に引き回して固定し、振動ノイズの配線への伝播を抑制することができる配線構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る配線構造は、圧電素子が取り付けられる金属板と、筐体に設けられ、圧電素子及び金属板に接続される配線を保持する配線保持部を有するパッキンと、配線を保持した配線保持部を押さえる押さえ部材とを備え、配線の周囲は、配線保持部を形成するパッキン材料、又は、配線保持部を形成するパッキン材料及び押さえ部材によって覆われるものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、配線を適切に引き回して固定し、振動ノイズの配線への伝播を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る配線構造が適用される超音波流量計の外観斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る圧電デバイスがケース部材に取り付けられた状態を示す図である。
図2Aは、キャップがケース部材から取り外された状態を示す図である。
図2Bは、キャップがケース部材に取り付けられた状態を示す図である。
【
図3】ケース部材の平面図である。
図3Aは、圧電デバイスが取り外された状態を示す図である。
図3Bは、圧電デバイスが取り付けられた状態を示す図である。
【
図4】実施の形態1に係る圧電デバイスの外観斜視図である。
図4Aは、圧電デバイスを上方側から見た図である。
図4Bは、圧電デバイスを下方側から見た図である。
【
図5】実施の形態1に係る配線構造の正面図である。
図5Aは、配線が配線保持溝に配置された状態を示す図である。
図5Bは、配線の周囲がパッキン材料によって覆われた状態を示す図である。
【
図6】実施の形態2に係る配線構造の正面図である。
図6Aは、配線が配線保持溝に配置された状態を示す図である。
図6Bは、配線の周囲がパッキン材料によって覆われた状態を示す図である。
【
図7】実施の形態3に係る配線構造の正面図である。
図7Aは、配線が配線保持部とキャップの嵌合凹部との間に配置された状態を示す図である。
図7Bは、配線の周囲がパッキン材料と嵌合凹部とによって覆われた状態を示す図である。
【
図8】実施の形態4に係る配線構造の正面図である。
図8Aは、配線が配線保持溝に挿入される前の状態を示す図である。
図8Bは、配線を保持した配線保持部がケース部材の嵌合凹部に嵌め込まれる前の状態を示す図である。
図8Cは、配線の周囲がパッキン材料によって覆われた状態を示す図である。
【
図9】実施の形態5に係る配線構造の正面図である。
図9Aは、配線が配線保持部のスリットに挿入される前の状態を示す図である。
図9Bは、配線の周囲がパッキン材料によって覆われた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1に係る配線構造について、
図1から
図5を用いて説明する。
【0011】
先ず、実施の形態1に係る超音波流量計100の構成について、
図1から
図3を用いて説明する。
図1は実施の形態1に係る圧電デバイス40a,40bが適用される超音波流量計100の外観斜視図である、
図2は、実施の形態1に係る圧電デバイス40a,40bがケース部材20a,20bに取り付けられた状態を示す図である。
図3は、ケース部材20a,20bの平面図である。なお、
図1においては、上流側の配線44及び下流側のキャップ30bが取り外されている。
【0012】
図1に示す超音波流量計100は、超音波を用いて、流体の流量又は流速を測定するものである。測定対象となる流体は、空気又はガス等の気体、或いは、水等の液体である。超音波流量計100は、例えば、ガスメータ又は水道メータ等に搭載される。
図1に記載した矢印は、超音波流量計100の内部を通過する流体の流れ方向を示している。
【0013】
図1に示すように、超音波流量計100は、1つの測定管10、一対のケース部材20a,20b、一対のキャップ30a,30b、及び、一対の圧電デバイス40a,40bを備えている。測定管10及びケース部材20a,20bは、超音波流量計100の筐体を構成するものである。
【0014】
測定管10は、筒状をなしている。測定管10は、測定流路11、流入口12、及び、流出口13を有している。測定管10は、例えば、樹脂材料で形成されている。測定流路11、流入口12、及び、流出口13は、一体的に形成されている。
【0015】
測定流路11は、測定管10の内周面によって構成されるものであり、当該測定管10の軸方向に沿って形成されている。流体は、測定流路11の軸方向に沿って流れる。測定流路11の上流側開口端は、流体が流入する流入口12を構成している。一方、測定流路11の下流側開口端は、流体が流出する流出口13を構成している。即ち、測定管10は、流入口12から測定流路11内に供給された流体を、その測定流路11を通過させた後、流出口13から排出する。詳細については後述するが、超音波流量計100は、流体が測定流路11を通過するときに、その流量又は流速を測定する。
【0016】
図1から
図3に示すように、ケース部材20a,20bは、圧電デバイス40a,40bを測定管10に取り付けるための部材である。ケース部材20a,20bは、測定管10における同一面となる上面において、測定流路11の軸方向(流体の流れ方向)に沿って設けられている。一方のケース部材20aは、測定流路11の上流側に配置されている。他方のケース部材20bは、測定流路11の下流側に配置されている。
【0017】
ケース部材20a,20bは、例えば、樹脂材料で形成されている。ケース部材20a,20bは、測定管10と一体に形成されるものでも良いし、測定管10とは別体となるものでも良い。
【0018】
ケース部材20a,20bは、環状をなす底板21と、この底板21の外周部に設けられる縦壁22とを、有している。このように、ケース部材20a,20bは、上方側が開口した、箱型をなしている。このため、ケース部材20a,20bは、その内部に圧電デバイス40a,40bを収容し、取り付け可能としている。ケース部材20a,20bは、その中心軸が測定流路11の軸方向に対して傾斜するように配置されている。なお、縦壁22は、切り欠き状をなす、配線用の通過口22aを有している。
【0019】
図1及び
図2に示すように、キャップ30a,30bは、圧電デバイス40a,40bを保護するためのカバーとして、ケース部材20a,20bの各縦壁22に対して、それぞれ取り付け可能となっている。キャップ30a,30bは、例えば、樹脂材料で形成されている。なお、キャップ30a,30bは、押さえ部材を構成するものである。
【0020】
図1から
図3に示すように、圧電デバイス40a,40bは、例えば、超音波センサ又は超音波振動素子であり、超音波を発生させるものである。圧電デバイス40a,40bは、お互いの間で、超音波の送受信を可能としている。一方の圧電デバイス40aは、超音波の発振器及び受信器として機能する。他方の圧電デバイス40bは、超音波の受信器及び送信機として機能する。
【0021】
圧電デバイス40a,40bは、測定流路11の軸方向に沿って設けられている。圧電デバイス40a,40bは、ケース部材20a,20bの内部に取り付けられている。即ち、測定流路11の上流側に配置される一方の圧電デバイス40aは、ケース部材20aの内部に取り付けられている。また、測定流路11の下流側に配置される他方の圧電デバイス40bは、ケース部材20bの内部に取り付けられている。
【0022】
このように、圧電デバイス40a,40bは、ケース部材20a,20bの内部に取り付けられることで、その中心軸が測定流路11の軸方向に対して傾斜し、且つ、測定流路11を臨むように配置される。具体的には、圧電デバイス40aは、その送受信面が下流側を向くように、傾斜して配置されている。また、圧電デバイス40bは、その送受信面が上流側を向くように、傾斜して配置されている。更に、圧電デバイス40a,40bは、ケース部材20a,20bの内部に取り付けられると、その周囲が縦壁22によって囲まれることになるが、当該縦壁22の上端よりも上方側に突出することはない。
【0023】
ここで、超音波流量計100は、圧電デバイス40a,40bから送信された超音波を、測定流路11を流れる流体中に伝播させる。そして、超音波流量計100は、圧電デバイス40a,40b間における超音波の伝播時間差に基づいて、測定流路11を流れる流体の流量又は流速を測定する。
【0024】
具体的には、圧電デバイス40aから送信された超音波は、測定流路11を流れる流体中を、上流側から下流側に向けて斜めに伝播して、当該測定流路11の底面に反射した後、圧電デバイス40bによって受信される。一方、圧電デバイス40bから送信された超音波は、測定流路11を流れる流体中を、下流側から上流側に向けて斜めに伝播して、当該測定流路11の底面に反射した後、圧電デバイス40aによって受信される。即ち、双方の超音波の伝播経路は、V字状にそれぞれ形成される。そして、超音波流量計100は、圧電デバイス40a,40bが超音波を送受信することで、2方向の超音波の伝播時間をそれぞれ求めた後、それらの伝播時間差に基づいて、測定流路11を流れる流体の流量又は流速を測定する。
【0025】
次に、圧電デバイス40a,40bの構成について、
図4を用いて説明する。
図4は、実施の形態1に係る圧電デバイス40の外観斜視図である。なお、圧電デバイス40a,40bは、同じ構成で、且つ、同じ機能を有しているため、以下の説明においては、圧電デバイス40a,40bを圧電デバイス40として記載している。
【0026】
図4に示すように、圧電デバイス40は、全体として、円形をなしている。圧電デバイス40は、金属板41、圧電素子42、音響整合層43、配線44、及び、パッキン45を有している。
【0027】
金属板41は、平板状で、且つ、円形に形成されている。この金属板41は、振動板の役割を果たすものである。金属板41は、上面41a及び下面41bを有している。上面41aと下面41bとは、金属板41の厚さ方向において、互いに反対側に配置されている。金属板41は、例えば、ステンレス、アルミニウム、又は、銅等の金属材料で形成されている。
【0028】
上面41aは、圧電デバイス40がケース部材20a,20bに取り付けられると、ケース部材20a,20bの開口部側に配置される。この上面41aは、圧電素子42を取り付けるための面である。下面41bは、圧電デバイス40がケース部材20a,20bに取り付けられると、ケース部材20a,20bの底板21と対向する。この下面41bは、音響整合層43を取り付けるための面である。
【0029】
なお、金属板41は、取付板を構成するものである。上面41aは、第1表面を構成するものである。下面41bは、第2表面を構成するものである。
【0030】
圧電素子42は、電気信号である超音波信号と超音波とを相互に変換可能とする。また、圧電素子42は、超音波を送受信可能となっている。具体的には、圧電素子42は、電圧が印加されると、金属板41の厚さ方向に伸縮(振動)することで、超音波を発生する。また、圧電素子42は、外部から超音波(振動)が加わると、電圧を発生する。圧電素子42は、例えば、接着剤を介して、金属板41の上面41aに取り付けられている。
【0031】
音響整合層43は、圧電素子42における超音波の送受信の効率を向上させるものである。この音響整合層43は、圧電素子42の音響インピーダンスと流体の音響インピーダンスとを整合して、それらの間における超音波の反射を抑制する。このため、音響整合層43は、測定流路11と対向する下面41bに取り付けられている。
【0032】
よって、圧電素子42によって発生された超音波は、金属板41を介して、音響整合層43から測定流路11に出射される。一方、測定流路11から音響整合層43に入射された超音波は、金属板41を介して、圧電素子42に伝播される。
【0033】
2本の配線44は、金属板41の上面41a及び圧電素子42の表面に、それぞれ接続されている。これらの配線44は、ケース部材20a,20bの内部に取り付けられた圧電デバイス40から、その縦壁22の通過口22aを介して、超音波流量計100が備える制御装置(図示省略)まで引き出されている。
【0034】
具体的には、一方の配線44の一端は、金属板41の上面41aに接続され、当該配線44の他端は、超音波流量計100が備える制御装置(図示省略)に接続されている。また、他方の配線44の一端は、圧電素子42の表面に接続されており、当該配線44の他端は、上記制御装置に接続されている。
【0035】
パッキン45は、圧電デバイス40のケース部材20a,20bへの固定と、圧電素子42によって発生された超音波振動の減衰の抑制との、両立を図るものである。このように、超音波流量計100は、圧電デバイス40を、パッキン45を介して、ケース部材20a,20bに固定することで、圧電デバイス40からケース部材20a,20bを介して測定管10に伝わる振動を抑えることができる。このため、超音波流量計100は、測定精度の低下を抑えることができる。
【0036】
パッキン45は、本体51、外周壁部52、切り欠き部53、配線保持部54、及び、差し込み溝55を有している。パッキン45は、例えば、パッキン材料である弾性樹脂材料で形成されている。本体51、外周壁部52、切り欠き部53、配線保持部54、及び、差し込み溝55は、一体的に形成されている。
【0037】
本体51は、環状をなしている。外周壁部52は、本体51の上面外周部において、その周方向に沿って設けられている。切り欠き部53は、外周壁部52の複数箇所において、当該外周壁部52を切り欠くようにそれぞれ形成されている。
図6及び
図7は、1つの外周壁部52に対して、3つの切り欠き部53を形成した例である。切り欠き部53は、1つ以上形成されていれば良い。
【0038】
配線保持部54は、2本の配線44を保持するものである。配線保持部54は、外周壁部52の外周面からその径方向外側に向けて突出するように形成されている。また、配線保持部54は、径方向両側の外周壁部52と連続するように形成されている。この配線保持部54の詳細については後述するが、当該配線保持部54の上面には、ケース部材20a,20bに取り付けられたキャップ30a,30bの下端が、押圧可能となっている。
【0039】
差し込み溝55は、金属板41の外周部が差し込まれる溝である。差し込み溝55は、外周壁部52の径方向内側において、複数設けられている。差し込み溝55は、径方向において、所定の間隔で配置されている。
図4は、4つの差し込み溝55を形成した例である。
【0040】
次に、実施の形態1に係る配線構造について、
図5を用いて説明する。
図5は、実施の形態1に係る配線構造の正面図である。なお、ケース部材20a,20b及びキャップ30a,30bは、同じ構成で、且つ、同じ機能を有しているため、以下の説明においては、ケース部材20a,20bをケース部材20とし、キャップ30a,30bをキャップ30として記載している。
【0041】
図5Aに示すように、パッキン45の配線保持部54は、有底溝となる配線保持溝54aを有している。配線保持溝54aには、金属板41及び圧電素子42から引き回された配線44が、挿入可能となっている。このとき、配線保持溝54aの溝幅は、配線44の直径以上の長さになっている。このため、配線保持部54においては、配線44を配線保持溝54aに容易に挿入することができる。
【0042】
そして、
図5Bに示すように、キャップ30がケース部材20の縦壁22に取り付けられると、当該キャップ30は、配線保持部54を押圧して潰す。このため、配線保持溝54aは、パッキン材料によって埋められる。この結果、配線保持溝54aは、配線44が挿入された状態で、キャップ30によって押さえ付けられることで、配線44の周囲をパッキン材料によって覆うことができる。このように、配線44は、その周囲がパッキン材料で覆われることによって固定されるため、圧電素子42からの振動ノイズが抑制される。
【0043】
以上、実施の形態1に係る配線構造は、配線44を適切に引き回して固定し、圧電素子42による振動ノイズの配線44への伝播を抑制することができる。
【0044】
実施の形態2.
実施の形態2に係る配線構造について、
図6を用いて説明する。
図6は、実施の形態2に係る配線構造の正面図である。なお、上述した実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
図6Aに示すように、パッキン45の配線保持部54は、有底溝となる配線保持溝54bを有している。配線保持溝54bには、金属板41及び圧電素子42から引き回された配線44が、挿入可能となっている。このとき、配線保持溝54aの溝幅は、配線44の直径よりも短い長さとなるものの、パッキン材料を弾性樹脂材料とした配線保持部54においては、配線44を配線保持溝54bに容易に挿入することができる。
【0046】
そして、
図6Bに示すように、キャップ30がケース部材20の縦壁22に取り付けられると、当該キャップ30は、配線保持部54を押圧して潰す。このため、配線保持溝54bは、パッキン材料によって埋められる。この結果、配線保持溝54bは、配線44が挿入された状態で、キャップ30によって押さえ付けられることで、配線44の周囲をパッキン材料によって覆うことができる。
【0047】
このとき、配線保持溝54bの溝幅は、配線44の直径よりも短い長さとなるため、当該配線保持溝54bは、容易にパッキン材料によって埋められる。このため、配線44の周囲は、パッキン材料によって隙間無く覆われる。このように、配線44は、その周囲がパッキン材料で覆われることによって固定されるため、圧電素子42からの振動ノイズが抑制される。
【0048】
以上、実施の形態2に係る配線構造は、配線44を適切に引き回して固定し、圧電素子42による振動ノイズの配線44への伝播を抑制することができる。
【0049】
実施の形態3.
実施の形態3に係る配線構造について、
図7を用いて説明する。
図7は、実施の形態3に係る配線構造の正面図である。なお、上述した実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
図7Aに示すように、キャップ30は、配線用凹部31を有している。配線用凹部31は、キャップ30の下端に設けられている。配線用凹部31は、配線44の外周面を嵌め込み可能としている。例えば、配線用凹部31は、配線44のおける外周面の周方向半分を嵌め込み可能となっている。この場合、配線用凹部31は、半円状をなす。
【0051】
そして、
図7Bに示すように、キャップ30がケース部材20の縦壁22に取り付けられると、配線44における外周面の周方向半分部分は、配線用凹部31に嵌め込まれた後、配線44における外周面の他の周方向半分部分は、配線保持部54に埋め込まれる。即ち、配線保持部54は、配線44における配線用凹部31に嵌め込まれていない部分を、沈ませるように変形する。この結果、配線44は、パッキン材料及びキャップ30によって覆われる。このように、配線44は、その周囲がパッキン材料及びキャップ30の配線用凹部31で覆われることによって固定されるため、圧電素子42からの振動ノイズが抑制される。
【0052】
以上、実施の形態3に係る配線構造は、配線44を適切に引き回して固定し、圧電素子42による振動ノイズの配線44への伝播を抑制することができる。
【0053】
実施の形態4.
実施の形態4に係る配線構造について、
図8を用いて説明する。
図8は、実施の形態4に係る配線構造の正面図である。なお、上述した実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
図8Aに示すように、パッキン45の配線保持部54は、貫通溝となる配線保持溝54cを有している。配線保持溝54cには、金属板41及び圧電素子42から引き回された配線44が、挿入可能となっている。
図8Bに示ように、ケース部材20は、嵌合凹部23を有している。嵌合凹部23には、配線保持溝54cに配線44が挿入された状態の配線保持部54が、嵌合可能となっている。
【0055】
そして、
図8Cに示すように、嵌合凹部23に対して、配線保持溝54cに配線44が挿入された状態の配線保持部54が嵌合されると、当該配線保持部54は、配線保持溝54cがその溝幅方向に潰れるように、変形する。このため、配線保持溝54cは、パッキン材料によって埋められる。この結果、配線保持溝54cは、配線44が挿入された状態で、嵌合凹部23によって潰されることで、配線44の周囲をパッキン材料によって覆うことができる。このように、配線44は、その周囲がパッキン材料で覆われることによって固定されるため、圧電素子42からの振動ノイズが抑制される。
【0056】
以上、実施の形態4に係る配線構造は、配線44を適切に引き回して固定し、圧電素子42による振動ノイズの配線44への伝播を抑制することができる。
【0057】
実施の形態5.
実施の形態5に係る配線構造について、
図9を用いて説明する。
図9は、実施の形態5に係る配線構造の正面図である。なお、上述した実施の形態1で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
図9Aに示すように、パッキン45の配線保持部54は、スリット54dを有している。配線保持溝54aには、金属板41及び圧電素子42から引き回された配線44が、挿入可能となっている。このとき、
図9Bに示すように、配線44がスリット54dの内部に押し込まれると、配線44の周囲は、パッキン材料で覆われる。このように、配線44は、その周囲がパッキン材料で覆われることによって固定されるため、圧電素子42からの振動ノイズが抑制される。
【0059】
以上、実施の形態5に係る配線構造は、配線44を適切に引き回して固定し、圧電素子42による振動ノイズの配線44への伝播を抑制することができる。
【0060】
なお、本開示は、その開示の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは、実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 測定管、11 測定流路、12 流入口、13 流出口、20,20a,20b ケース部材、21 底板、22 縦壁、22a 通過口、23 嵌合凹部、30,30a,30b キャップ、31 配線用凹部、40,40a,40b 圧電デバイス、41 金属板、41a 上面、41b 下面、42 圧電素子、43 音響整合層、44 配線、45 パッキン、51 本体、52 外周壁部、54 配線保持部、54a~54c 配線保持溝、54d 配線用スリット、55 差し込み溝、100 超音波流量計。