(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099769
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】クリーニング装置、インプリント装置、クリーニング方法、及び物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20250626BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
H01L21/304 645C
H01L21/304 648G
H01L21/304 648L
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216686
(22)【出願日】2023-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】丸山 洋之
【テーマコード(参考)】
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
5F146AA28
5F146AA32
5F157BG32
5F157BG72
5F157BG73
5F157BG82
5F157BG85
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5F157CF42
5F157CF44
5F157DB02
5F157DB18
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】基板上にパターンを転写する際に用いられる原版をクリーニングするのに有利なクリーニング装置を提供する。
【解決手段】基板上のインプリント材へのパターンの形成に用いられる原版のクリーニング装置は、前記原版を保持するステージと、プラズマを照射するプラズマ照射部と、前記ステージ及び前記プラズマ照射部の少なくとも一方の位置を変更する駆動部と、前記原版が前記プラズマ照射部の照射方向に位置しない状態において、前記プラズマの照射を開始するように前記プラズマ照射部及び前記駆動部を制御する制御部とを有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上のインプリント材へのパターンの形成に用いられる原版のクリーニング装置であって、
前記原版を保持するステージと、
プラズマを照射するプラズマ照射部と、
前記ステージ及び前記プラズマ照射部の少なくとも一方の位置を変更する駆動部と、
前記原版が前記プラズマ照射部の照射方向に位置しない状態において、前記プラズマの照射を開始するように前記プラズマ照射部及び前記駆動部を制御する制御部とを有することを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記原版が前記プラズマ照射部の前記照射方向に位置しない状態において前記プラズマの照射を開始し、前記プラズマを照射した状態で前記照射方向に前記原版が位置するように前記プラズマ照射部及び前記駆動部を制御して、前記原版をクリーニングすることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記原版以外に設けられた排気開口部を備え、
前記制御部は、前記排気開口部が前記プラズマ照射部の照射方向に位置する状態において、前記プラズマの照射を開始するように前記プラズマ照射部及び前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記原版が前記照射方向にない状態において、前記プラズマの照射を終了するように前記プラズマ照射部及び駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記原版以外に設けられた排気開口部を備え、
前記制御部は、前記排気開口部が前記照射方向に位置する状態において、前記プラズマの照射を終了するように前記プラズマ照射部及び前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記排気開口部は、前記ステージに構成されていることを特徴とする請求項3に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
複数の前記排気開口部を有することを特徴とする請求項3に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記プラズマの照射が開始する位置と前記プラズマの照射が終了する位置は、前記原版を挟んで互いに対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記プラズマ中の粒子を検出する検出部を有し、
前記制御部は、前記プラズマの照射を開始した後の前記検出部の検出結果に基づき、前記プラズマを照射した状態で前記照射方向に前記原版が位置するように前記プラズマ照射部及び前記駆動部の制御を開始することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記検出部は前記プラズマ中の粒子数を検出するパーティクルカウンタであり、
前記制御部は、前記プラズマの照射を開始した後の前記検出部により検出された前記粒子数が閾値以下である場合に、前記プラズマを照射した状態で前記プラズマ照射部による前記照射方向に前記原版が位置するように前記プラズマ照射部及び前記駆動部を制御することを特徴とする請求項9に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
原版としての型を用いて基板上のインプリント材にパターンを形成するインプリント装置であって、
請求項1から10までの何れか一項に記載のクリーニング装置を有することを特徴とするインプリント装置。
【請求項12】
請求項11に記載のインプリント装置を用いてパターンを基板に形成する工程と、
前記工程で前記パターンを形成された前記基板を処理する工程とを有し、
処理した前記基板を用いて物品を製造することを特徴とする物品の製造方法。
【請求項13】
基板上のインプリント材へのパターンの形成に用いられる原版のクリーニング方法であって、
プラズマを照射するプラズマ照射部の照射方向に前記原版が位置しないように、前記原版を保持するステージ及び前記プラズマ照射部の少なくとも一方を駆動する照射前ステップと、
前記照射前ステップの後に、前記プラズマの照射を開始する照射開始ステップと、
前記照射開始ステップの後に、前記プラズマを照射している状態で前記照射方向に前記原版が位置するように前記プラズマ照射部及び前記原版の少なくとも一方を駆動する移動ステップと、
前記移動ステップの後に、前記プラズマを前記原版に照射して前記原版をクリーニングする照射ステップとを有することを特徴とするクリーニング方法。
【請求項14】
前記照射ステップの後に、前記プラズマを照射している状態で前記照射方向に前記原版が位置しないように前記プラズマ照射部及び前記原版の少なくとも一方を駆動する退避ステップと、
前記退避ステップの後に、前記プラズマの照射を終了する照射終了ステップとを有することを特徴とする請求項13に記載のクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置、インプリント装置、クリーニング方法、及び物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化の要求が進み、従来のフォトリソグラフィー技術に加えて、基板上の未硬化の樹脂(インプリント材)を型で成形し、樹脂の微細なパターンを基板上に形成するインプリント技術が注目を集めている。インプリント技術では、基板上にナノメートルオーダーの微細な構造体を形成することができる。
【0003】
インプリント装置では、まず、基板上のインプリント領域に樹脂を供給(塗布)し、基板上の未硬化の樹脂と型とを接触させた状態で光を照射して樹脂を硬化させ、硬化した樹脂から型を引き離すことで基板上にパターンを形成する。
【0004】
インプリント装置では型と基板上の樹脂とを接触させるため、型に樹脂の硬化物が残存することがある。型に樹脂の硬化物が残存した状態でインプリント処理を行うと、残存した樹脂がそのまま転写され、基板上に形成されるパターンに欠陥などが生じてしまう。よって、型は定期的にクリーニングする必要がある。
【0005】
特許文献1には、プラズマによって異物を除去する技術が開示されている。特許文献2には、クリーニング対象部材をプラズマによってクリーニングするクリーニング装置を露光装置内に備える技術が開示されている。特許文献3には、プラズマヘッドに排気開口部、ヒーターの熱放射開口部、プラズマ照射の開口部、ガス放出開口部の中心を並べて配置し、プラズマによって基板に付着した異物を除去する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-16434号公報
【特許文献2】特開2010-93245号公報
【特許文献3】特表2021-506119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のクリーニング装置では、プラズマの照射開始時にプラズマ照射部に構成されている電極もしくは誘電体から発生した微少粒子が洗浄対象である基板やクリーニング装置の構成部材の表面に付着してしまうという課題がある。
そこで、本発明は、基板上にパターンを転写する際に用いられる型(原版)をクリーニングするのに有利なクリーニング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のクリーニング装置は、基板上のインプリント材へのパターンの形成に用いられる型(原版)のクリーニング装置であって、前記原版を保持するステージと、プラズマを照射するプラズマ照射部と、前記ステージ及び前記プラズマ照射部の少なくとも一方の位置を変更する駆動部と、前記型(原版)が前記プラズマ照射部の照射方向に位置しない状態において、前記プラズマの照射を開始するように前記プラズマ照射部及び前記駆動部を制御する制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板上にパターンを転写する際に用いられる型(原版)をクリーニングするのに有利なクリーニング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係るクリーニング装置の構成を示す概略断面図である。
【
図2】第1実施形態に係るクリーニング装置の概略上面図である。
【
図3】第1実施形態に係るクリーニング方法を示すフローチャートである。
【
図4】第2実施形態に係るクリーニング装置の構成を示す概略断面図である。
【
図5】第2実施形態に係るクリーニング方法を示すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態に係るクリーニング方法を示すフローチャートである。
【
図7】クリーニング装置を適用したインプリント装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材ないし要素については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、基板上のインプリント材にパターンを形成するインプリント装置に用いられる型(モールド、原版)に本発明を適用する例について説明するが、パターンを基板に投影して転写する露光装置に用いられるマスク(原版)に本発明を適用しても良い。このように、本発明において原版は、インプリント装置で用いられる型や露光装置で用いられるマスクが含まれる。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るクリーニング装置100の構成を示す概略図である。
以下の図において、型の表面に平行な面内において互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、X方向及びY方向に垂直な方向(型の表面に垂直な方向)をZ方向として説明する。クリーニング装置100は、型1を保持する型ステージ21と、加熱部2と、加熱部2の熱放射部3と、プラズマヘッド4とを備える。加熱部2は、駆動機構5に保持され駆動する。
【0013】
型1は、例えば、基板上にインプリント材のパターンを形成するインプリント装置に用いられる。型1の片側の表面には、基板上に供給されたインプリント材を成形する凹凸のパターンが3次元形状に形成されたパターン部6を備える。パターン部6はメサとも呼ばれ、押印時に型1のパターン部6以外が基板に接触しないように数十μm~数百μmの凸部に形成されている。このため、メサエッジと呼ばれるパターン部6の端部には、インプリント材の硬化物が残存しやすく、インプリント処理を繰り返すとインプリント材の硬化物が堆積することがある。
【0014】
本実施形態の型1のパターン部6の対向面側の中央部分には、円筒状にくり抜かれたコアアウト部7(窪み)が形成されている。コアアウト部7は、凹凸のパターン部6に対応した領域に形成されており、より詳細には、凹凸のパターン部6よりも広い面積の窪みである。
【0015】
加熱部2の熱放射部3は、例えば遠赤外線ヒーターで構成されている。光硬化法を採用したインプリント装置では、型1の材料として石英が用いられ、0.2μm~2μmの波長の光に対し90%以上の透過率を有する。石英は波長3μm以上の遠赤外線の照射領域では透過率が低く吸熱しやすくなるため、効率よく加熱することができる。
プラズマヘッド4から照射されるプラズマ8内で生成されるラジカルは、パターン部6の温度を上げることにより、ラジカルとインプリント材の硬化物との化学反応の速度を速め、パターン部6のクリーニング効率を上げることができる。
【0016】
プラズマ8の化学反応により生じたガスに含まれる粒子がパターン部6に再付着することを防止するため、パターン部6の温度を高温に保っておくことが望ましい。したがって、熱放射部3はパターン部6の直上に配置し、熱放射部3の大きさは、パターン部6と同じ大きさか、パターン部6より大きいことが望ましい。加熱部2は型1がクリーニング装置100内に搬送され、型ステージ21に搭載される際、駆動機構5によりZ方向に上昇し、型1と接触しないよう退避される。型1が型ステージ21に搭載後、加熱部2はZ方向に下降し、熱放射部3は型1のコアアウト部7内に配置され、熱放射部3下面とコアアウト部7底面の距離は、好ましくは0.1mm~2mmの間になるように制御部(不図示)で制御されてもよい。
【0017】
図2は
図1のクリーニング装置の上面図である。加熱部2は型1のコアアウト部7の略中央に配置され、駆動機構5に保持される。加熱部2はコアアウト部7の窪み形状より小さく、熱放射部3の下面がコアアウト部7の底面に近接するように駆動することができる。型1やコアアウト部7の位置や形状を測定するための測定器(不図示)を設けてもよい。
【0018】
図1に戻り、プラズマヘッド4から照射されるプラズマ8は、例えば、高周波電源を用いて大気圧中で発生させる大気圧プラズマ8である。大気圧プラズマを用いることで、コストを低減することが可能となる。プラズマ8の周囲が大気の場合、様々な気相反応が起こり、パターン部6のクリーニングのムラが発生する。ムラの発生を抑えるため、プラズマ8の周囲を不活性ガスでパージすることが望ましい。
【0019】
パージガスはガス流路9を通りパージガス放出開口部10から放出される。パージガスはプラズマヘッド4の上面を流れ、プラズマ照射部13を通りガス排気開口部11からガス流路12を通り回収される。不図示の除害装置でパージガスの有害ガス成分を処理するようにしてもよい。
【0020】
プラズマ照射部13内には電極14が備えられ、電極14に高周波電圧を印加することによりプラズマ8を発生させる。プラズマ8を生成させるための第1のガスと反応物質を含む第2のガスがガス流路15を通り供給される。第1のガスと第2のガスはガス排気開口部11からガス流路12を通り回収される。電極14は誘電体により覆われた平行平板型構造や、筒型構造のトーチ型であってもよいが、これに限定されるものではなく、プラズマ8を生成させる構造であればよい。プラズマヘッド4は、プラズマ8を照射するプラズマ照射部13を1つ備えていてもよいし、複数個備えていてもよい。
【0021】
型1を保持する型ステージ21及びプラズマヘッド4の少なくとも一方は不図示の駆動部により、XY平面内で相対的に移動できる構成を有し、型1とプラズマヘッド4との相対的な位置関係が変更できる。プラズマ8が型1に照射される範囲がパターン部6の領域に対して狭い場合、型1を保持した型ステージ21及びプラズマヘッド4の少なくとも一方がXY平面内で移動することにより、パターン部6全体をクリーニングすることができる。
【0022】
また、パターン部6の異物の付着による汚れ具合を検知機構(不図示)等で検知し、汚れ具合に合わせて移動速度や移動範囲を変えて型ステージ21及びプラズマヘッド4の少なくとも一方を駆動してもよい。XY平面上の移動は1軸のみ移動、もしくは2軸移動でもよい。また、パターン部6内の異物の付着したところだけのクリーニングを実施し、クリーニング時間を短縮するようにしてもよい。または、パターン部6を含む型1内に付着した異物に対してクリーニングを実施するようにしてもよい。
【0023】
駆動機構5に保持された加熱部2は型ステージ21の駆動に合わせて、コアアウト部7の側面と接触しないように、Z方向の駆動をしてもよい。または駆動機構5が型ステージ21の移動に合わせてXY平面内で移動するようにしてもよい。
【0024】
本実施形態によれば、プラズマ8の照射範囲がパターン部6に対して狭い場合でも、型1とプラズマヘッド4との相対的な位置関係を変更させながら、型1に堆積したインプリント材などの異物を効率的に除去することができる。また、本実施形態によれば、パターン部6の温度を高温に保った状態で、プラズマ8を照射し、型1に堆積したインプリント材などの異物を効率的に除去することができる。
【0025】
プラズマ8の照射開始時には、電極14のアーク放電によりプラズマを発生させる方式の場合は、アーク放電により電極14の表面から電極材料がパーティクルとしてプラズマ照射部13からプラズマ8と一緒に放出される。また、誘電体バリア放電の場合は、誘電体の材料がパーティクルとしてプラズマ照射部13からプラズマ8と一緒に放出される。そのため、型1の下にプラズマ照射部13が位置する(プラズマ照射方向に型1が位置する)状態でプラズマ8の照射を開始すると、プラズマ8と一緒に放出される電極材料又は誘電体材料のパーティクルが型1に付着する虞がある。
【0026】
本実施形態のクリーニング装置においては、電極材料又は誘電体材料のパーティクルの型1への付着を防止するため、型ステージ21の下面22(原版以外)がプラズマ照射部13の上部に位置している状態でプラズマ8の照射を開始する。
【0027】
図3のフローチャートを参照しながら、本実施形態のクリーニング方法を順に説明する。
プラズマ照射部13のプラズマ照射方向が型1以外の位置と対向するように、不図示の制御部は型ステージ21とプラズマ照射部13の相対位置を移動(変更)する(ステップS101、照射前ステップ)。
プラズマ照射部13のプラズマ照射方向が型1以外の位置と対向した状態で、プラズマ照射部13によるプラズマ8の照射を開始する(ステップS102、照射開始ステップ)。
【0028】
プラズマ照射部13によるプラズマ8の照射の開始から一定時間の経過を待つ。プラズマ8を照射した状態で、駆動部により型ステージ21及びプラズマヘッド4の少なくとも一方をXY平面内で移動させて、XY平面内でパターン部6とプラズマ照射部13が重なるようにする。即ち、プラズマ照射方向がパターン部6と対向する位置となるように型ステージ21とプラズマヘッド4との相対位置を変更する(ステップS103、移動ステップ)。
【0029】
プラズマ照射方向がパターン部6と対向している状態で、プラズマ8を照射して型1のパターン部6のクリーニングを行う(ステップS104、照射ステップ)。
この方法で型1のクリーニングを開始することにより、パーティクルが多く発生するプラズマ8の照射開始時には、パターン部6の下にプラズマヘッド4が位置していないため、パターン部6にパーティクルが付着してしまうことを防止することができる。
【0030】
必要なクリーニングが終了すると、プラズマ照射を継続したまま、プラズマ照射部13のプラズマ照射方向が型1以外の位置と対向するように、不図示の駆動部によって型ステージ21とプラズマ照射部13の相対位置を移動する(ステップS105、退避ステップ)。
プラズマ照射部13のプラズマ照射方向が型1以外の位置と対向した状態(例えば、型ステージ21に対向する状態)まで移動した状態で、プラズマ照射部13によるプラズマ8の照射を停止する(ステップS106、照射終了ステップ)。
【0031】
このように、本実施形態においては、ステップS101において、プラズマ8の照射を開始して一定時間が経過した後に、パターン部6とプラズマヘッド4とが対向する位置に移動して、クリーニングを開始するようにした。これに対し、プラズマヘッド4から放出されたパーティクルを検出して、パーティクル検出量が閾値以下になってから、パターン部6とプラズマヘッド4とが互いに対向するように移動させ、クリーニングを開始するようにしてもよい。その場合には、プラズマヘッド4近傍にパーティクルを採取するためのポートを設けて、そのポートを介してパーティクルカウンタでプラズマ8中のパーティクル数の測定を行ってもよい。
【0032】
本実施形態によれば、プラズマ8の照射開始時に発生するパーティクルを型1のパターン部6に付着させることなく、型1に堆積したインプリント材などの異物を効率的に除去することができる。
【0033】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態において第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、異なる構成について説明する。
図4は、第2実施形態に係るクリーニング装置100の構成を示す概略図である。第2実施形態のクリーニング装置100は、型1を保持する型ステージ21の下面22にパーティクルを排気・回収するための不図示の排気手段に接続された排気開口部23を備える。
【0034】
図示の制御部により、プラズマ8の照射開始時には、プラズマヘッド4が、型ステージ21の下面22の排気開口部23と対向するように、プラズマヘッド4と型ステージ21との相対的な位置が調整されている。プラズマヘッド4が排気開口部23と対向した状態でプラズマ8の照射を開始し、プラズマ8の照射開始時に発生するパーティクルは周囲に拡散することはなく排気流路24を通る気流によって回収することができる。
【0035】
プラズマ8の照射を開始して一定時間が経過した後、プラズマ8を照射したままの状態で型ステージ21及びプラズマヘッド4の少なくとも一方をXY平面内で移動させ、型1のパターン部6のクリーニングを行う。
【0036】
図5のフローチャートを参照しながら、本実施形態のクリーニング方法を順に説明する。
プラズマ照射部13のプラズマ照射方向が型ステージ21の下面22に形成された排気開口部23と対向するように、不図示の制御部は型ステージ21とプラズマ照射部13の相対位置を移動(変更)する(ステップS201、照射前ステップ)。
プラズマ照射部13のプラズマ照射方向が排気開口部23と対向した状態で、プラズマ照射部13によるプラズマ8の照射を開始する(ステップS202、照射開始ステップ)。
【0037】
図5のフローチャートのステップS103~S106は、
図3で説明した第1実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0038】
第2実施形態においても、ステップS201において、プラズマ8の照射を開始して一定時間が経過した後に、パターン部6とプラズマヘッド4とが対向する位置に移動して、クリーニングを開始するようにした。これに対し、第1実施形態と同様にプラズマヘッド4から放出されたパーティクルを検出して、パーティクル検出量が閾値以下になってから、パターン部6とプラズマヘッド4とが互いに対向するように移動させ、クリーニングを開始するようにしてもよい。
【0039】
第2実施形態においては、排気流路24の流路内にパーティクルを採取するための不図示の分岐を設け、分岐先に設けられた不図示のパーティクルカウンタ(検出部)でパーティクル数の測定を行うようにしてもよい。この構成により、プラズマ8の照射開始時には、パーティクルカウンタでのパーティクル数(検出結果、粒子数)が閾値以下になってから、クリーニング位置へ移動し、クリーニングを開始するようにしてもよい。
【0040】
排気開口部23は型ステージ21に1つだけ設けてもよいし、型ステージ21に複数の排気開口部23を設けるようにしてもよい。さらに、排気開口部が設置される位置は、型1以外(原版以外)であればよく、型ステージ21、又はその他の部材、或いは型1に照射方向が向かないような位置に排気開口部だけが独立して設置されるようにしてもよい。複数の排気開口部23を備える場合には、型1を型ステージ21に載せた後、プラズマ照射部13に一番近い排気開口部23がプラズマ照射部13の上部に位置する状態に移動し、プラズマ8の照射を開始するとよい。これにより、クリーニング開始までの時間を短縮することができる。
【0041】
プラズマ8の照射終了時に発生するパーティクルを回収することができるように、排気開口部23がプラズマ照射部13の上部に位置するように移動させた後にプラズマ8の照射を終了するようにしてもよい。また、プラズマ照射開始時に使用する排気開口部23に対して、型1を挟んだ反対側に第2の排気開口部(不図示)を設けるようにしてもよい。
【0042】
これにより、プラズマ照射部13がパターン部6を挟んで排気開口部23の反対側でクリーニングが終了した場合、第2の排気開口部がプラズマ照射部13の上部に位置するように移動させた後にプラズマ8の照射を終了することができる。第2の排気開口部を有することにより、クリーニング終了時のプラズマ照射部13の位置に関わらず、早く排気開口部の位置にプラズマ照射部13を相対移動させて、プラズマ8の照射終了時に発生するパーティクルを回収することができる。
【0043】
図6に第2実施形態において、排気開口部がプラズマ照射部13の上部に位置するように移動させた後にプラズマ8の照射を終了する場合の処理フロー示す。当該フローチャートにおいて、ステップS201、S202、S103、S104は
図5と同様であるので説明を省略する。
ステップS104で必要なクリーニングが終了すると、プラズマ照射を継続したまま、プラズマ照射部13のプラズマ照射方向が排気開口部と対向するように、不図示の駆動部によって型ステージ21とプラズマ照射部13の相対位置を移動する(ステップS205、退避ステップ)。ここで、排気開口部は、プラズマ照射開始時に対向していた排気開口部23でもよいし、第2の排気開口部でもよいし、他の排気開口部でもよい。
【0044】
図6のフローチャートのステップS106は、
図3で説明した第1実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0045】
本実施形態によれば、プラズマ8の照射開始時に発生するパーティクルや照射終了時に発生するパーティクルを型1のパターン部6や型ステージ21の下面22、プラズマヘッド4の上面に付着させることなく、型1に堆積したインプリント材などの異物を効率的に除去できる。
【0046】
<インプリント装置の実施形態>
本発明の適用例として、クリーニング装置100をインプリント装置内に設けてもよい。
図7は、クリーニング装置100を適用したインプリント装置200の構成を示す概略図である。インプリント装置200は、基板202上に型1を用いてインプリント材のパターンを形成する装置である。インプリント装置200は、型1を保持して移動する型保持部201と、基板202を保持して移動する基板ステージ203と、型1を搬送する搬送部204と、回収部205と、クリーニング装置100と、を備える。
【0047】
回収部205は、クリーニング装置100が型1のクリーニングを行うことによって生じるガス、特に、インプリント処理に対して阻害となるガスを回収する。但し、インプリント処理に対して阻害となるガスが生じない場合や、クリーニング装置100をインプリント装置200から独立させた形態で使用する場合には、回収部205は、必ずしも必要な構成要素ではない。
【0048】
本実施形態に係るクリーニング装置100の構成は上述の実施形態と同様である。また、インプリント装置200内に複数の型1を保管する場所を有し、そこでクリーニングが可能であれば、型1のクリーニングと並行して、他の型を用いてインプリント処理を行ってもよい。
インプリント装置200内にクリーニング装置100を設けることで、型1をクリーニング装置100まで搬送する距離が短縮できるため、クリーニング処理時間を短縮することが可能となる。
【0049】
<物品の製造方法の実施形態>
物品としてのデバイス(半導体集積回路素子、液晶表示素子等)の製造方法は、上述したインプリント装置200を用いて基板202(ウエハ、ガラスプレート、フィルム状基板)にパターンを形成する工程を含む。
【0050】
さらに該製造方法は、パターンが形成された基板202をエッチングする工程を含み得る。
なお、パターンドメディア(記録媒体)や光学素子などの他の物品を製造する場合には、該製造方法は、エッチングの代わりにパターンが形成された基板202を加工する他の処理を含み得る。
【0051】
本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
【0052】
<その他の実施形態>
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0053】
本実施形態の開示は、以下の構成及び方法を含む。
(構成1)
基板上のインプリント材へのパターンの形成に用いられる原版のクリーニング装置であって、
前記原版を保持するステージと、
プラズマを照射するプラズマ照射部と、
前記ステージ及び前記プラズマ照射部の少なくとも一方の位置を変更する駆動部と、
前記原版が前記プラズマ照射部の照射方向に位置しない状態において、前記プラズマの照射を開始するように前記プラズマ照射部及び前記駆動部を制御する制御部とを有することを特徴とするクリーニング装置。
(構成2)
前記制御部は、前記原版が前記プラズマ照射部の前記照射方向に位置しない状態において前記プラズマの照射を開始し、前記プラズマを照射した状態で前記照射方向に前記原版が位置するように前記プラズマ照射部及び前記駆動部を制御して、前記原版をクリーニングすることを特徴とする構成1に記載のクリーニング装置。
(構成3)
前記原版以外に設けられた排気開口部を備え、
前記制御部は、前記排気開口部が前記プラズマ照射部の照射方向に位置する状態において、前記プラズマの照射を開始するように前記プラズマ照射部及び前記駆動部を制御することを特徴とする構成1又は2に記載のクリーニング装置。
(構成4)
前記制御部は、前記原版が前記照射方向にない状態において、前記プラズマの照射を終了するように前記プラズマ照射部及び駆動部を制御することを特徴とする構成1から3までの何れか一項に記載のクリーニング装置。
(構成5)
前記原版以外に設けられた排気開口部を備え、
前記制御部は、前記排気開口部が前記照射方向に位置する状態において、前記プラズマの照射を終了するように前記プラズマ照射部及び前記駆動部を制御することを特徴とする構成1から4までの何れか一項に記載のクリーニング装置。
(構成6)
前記排気開口部は、前記ステージに構成されていることを特徴とする構成3又は5に記載のクリーニング装置。
(構成7)
複数の前記排気開口部を有することを特徴とする構成3、5又は6に記載のクリーニング装置。
(構成8)
前記プラズマの照射が開始する位置と前記プラズマの照射が終了する位置は、前記原版を挟んで互いに対向する位置に配置されていることを特徴とする構成1から7までの何れか一項に記載のクリーニング装置。
(構成9)
前記プラズマ中の粒子を検出する検出部を有し、
前記制御部は、前記プラズマの照射を開始した後の前記検出部の検出結果に基づき、前記プラズマを照射した状態で前記照射方向に前記原版が位置するように前記プラズマ照射部及び前記駆動部の制御を開始することを特徴とする構成1から8までの何れか一項に記載のクリーニング装置。
(構成10)
前記検出部は前記プラズマ中の粒子数を検出するパーティクルカウンタであり、
前記制御部は、前記プラズマの照射を開始した後の前記検出部により検出された前記粒子数が閾値以下である場合に、前記プラズマを照射した状態で前記プラズマ照射部による前記照射方向に前記原版が位置するように前記プラズマ照射部及び前記駆動部を制御することを特徴とする構成9に記載のクリーニング装置。
(構成11)
原版としての型を用いて基板上のインプリント材にパターンを形成するインプリント装置であって、
構成1から10までの何れか一項に記載のクリーニング装置を有することを特徴とするインプリント装置。
(方法1)
構成11に記載のインプリント装置を用いてパターンを基板に形成する工程と、
前記工程で前記パターンを形成された前記基板を処理する工程とを有し、
処理した前記基板を用いて物品を製造することを特徴とする物品の製造方法。
(方法2)
基板上のインプリント材へのパターンの形成に用いられる原版のクリーニング方法であって、
プラズマを照射するプラズマ照射部の照射方向に前記原版が位置しないように、前記原版を保持するステージ及び前記プラズマ照射部の少なくとも一方を駆動する照射前ステップと、
前記照射前ステップの後に、前記プラズマの照射を開始する照射開始ステップと、
前記照射開始ステップの後に、前記プラズマを照射している状態で前記照射方向に前記原版が位置するように前記プラズマ照射部及び前記原版の少なくとも一方を駆動する移動ステップと、
前記移動ステップの後に、前記プラズマを前記原版に照射して前記原版をクリーニングする照射ステップとを有することを特徴とするクリーニング方法。
(方法3)
前記照射ステップの後に、前記プラズマを照射している状態で前記照射方向に前記原版が位置しないように前記プラズマ照射部及び前記原版の少なくとも一方を駆動する退避ステップと、
前記退避ステップの後に、前記プラズマの照射を終了する照射終了ステップとを有することを特徴とする方法2に記載のクリーニング方法。
【符号の説明】
【0054】
1 型(原版)
13 プラズマ照射部
21 ステージ
100 クリーニング装置