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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009977
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】遺体安置庫
(51)【国際特許分類】
   A61G 17/04 20060101AFI20250109BHJP
   B65G 1/10 20060101ALI20250109BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
A61G17/04 C
B65G1/10 B
B65G1/00 521A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024103076
(22)【出願日】2024-06-26
(31)【優先権主張番号】P 2023107461
(32)【優先日】2023-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2024084999
(32)【優先日】2024-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】522500099
【氏名又は名称】たつみ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】岩根 弘幸
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022BB03
3F022FF01
3F022MM03
3F022MM11
(57)【要約】
【課題】複数の棺の夫々の搬入、搬出をし易くすることが可能な遺体安置庫を提供すること。
【解決手段】遺体安置庫1は、遺体を保管する温度に調節可能な温度調節装置4が設置されると共に、複数のパネル部材を組み合わせてラック設置スペース33が確保されたプレハブ式の遺体安置庫本体3と、記遺体を保管する棚部材を1又は複数有してラック設置スペース33に1又は複数設置されるラック2とを備えて構成されている。ラック2は、棚部材の外形が長方形となるように形成されていると共に、縦入れ及び横入れのいずれか一方を選択して、当該いずれか一方への棺Bの進入を補助するローラ22が複数設けられている。遺体安置庫本体3の壁パネル32には、棺Bをラック2の棚部材に対し縦入れ及び横入れのいずれか一方に進入させることに応じた間口を有する扉34が複数設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺体を保管する温度に調節可能な温度調節装置が設置されると共に、複数のパネル部材を組み合わせてラック設置スペースが確保されたプレハブ式の遺体安置庫本体と、
前記遺体を保管する棚部材を1又は複数有して前記ラック設置スペースに1又は複数設置される遺体保管ラックと、
を備え、
前記遺体保管ラックは、前記棚部材の外形が長方形となるように当該棚部材が形成されていると共に、当該棚部材の長手方向及び短手方向のいずれか一方を選択して当該いずれか一方への前記遺体の進入を補助するローラが複数設けられており、
前記遺体安置庫本体の所定の側壁には、前記遺体を前記遺体保管ラックの前記棚部材に対し前記いずれか一方に進入させることに応じた間口を有する扉が設けられている、
遺体安置庫。
【請求項2】
前記温度調節装置は、前記遺体を冷蔵にて保管して前記遺体安置庫本体を冷蔵庫として機能させる温度に調節する、
請求項1に記載の遺体安置庫。
【請求項3】
前記遺体安置庫本体は、当該遺体安置庫本体が建設される建物のデッドスペースに合わせて前記ラック設置スペースが確保されている、
請求項1に記載の遺体安置庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺体安置庫に関する。
【背景技術】
【0002】
葬儀後から火葬するまでの間、或いは葬儀後に火葬場へ移送するまでの間、遺体を収納した棺を一時的に複数保管する保冷庫としては、下記特許文献1に開示されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-146736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術を含め従来の技術では、複数の棺の夫々の搬入、搬出のし易さまでは十分に配慮することができていない状況であった。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、複数の棺の夫々の搬入、搬出をし易くすることが可能な遺体安置庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するため、本発明の一態様の遺体安置庫は、
遺体を保管する温度に調節可能な温度調節装置が設置されると共に、複数のパネル部材を組み合わせてラック設置スペースが確保されたプレハブ式の遺体安置庫本体と、
前記遺体を保管する棚部材を1又は複数有して前記ラック設置スペースに1又は複数設置される遺体保管ラックと、
を備え、
前記遺体保管ラックは、前記棚部材の外形が長方形となるように当該棚部材が形成されていると共に、当該棚部材の長手方向及び短手方向のいずれか一方を選択して当該いずれか一方への前記遺体の進入を補助するローラが複数設けられており、
前記遺体安置庫本体の所定の側壁には、前記遺体を前記遺体保管ラックの前記棚部材に対し前記いずれか一方に進入させることに応じた間口を有する扉が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の棺の夫々の搬入、搬出をし易くすることが可能な遺体安置庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る遺体安置庫の外観の一例を示す正面図である。
図2図1の遺体安置庫の左側面図である。
図3】建物のデッドスペースに合わせてラック設置スペースが確保された遺体安置庫本体を示す図である。
図4】棺の搬入、搬出に合わせて設けられた扉の例を示す図である。
図5図1のP-P線断面図である。
図6図5の状態に基づく図1のQ-Q線断面図である。
図7図5の状態に基づく図1のR-R線断面図である。
図8】庫内温度を一定に保つことに関する説明図である。
図9】本発明の一実施形態に係る遺体安置庫のラック設置スペースに設置されるラックの機能について示す図であり、(a)は縦入れを可能とする図、(b)は横入れを可能とする図である。
図10図9のラックを構成するラック本体の平面図である。
図11図10の矢印A1の箇所の拡大図である。
図12】2段タイプのラック本体の正面図である。
図13】3段タイプのラック本体の正面図である。
図14】2段タイプのラック本体の右側面図である。
図15】3段タイプのラック本体の右側面図である。
図16図12乃至図15の矢印A2乃至A4の箇所の拡大図である。
図17図9のラックを構成するローラの図であり、(a)はローラの正面図、(b)はローラの側面図である。
図18】縦入れを可能とする例のラックの平面図である。
図19】縦入れを可能とする例のラックの斜視図である。
図20】横入れを可能とする例のラックの平面図である。
図21】横入れを可能とする例のラックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る遺体安置庫の外観の一例を示す正面図である。
また、図2は、図1の遺体安置庫の左側面図である。
【0011】
図示しない建物に設置された遺体安置庫1は、例えば遺体を収納した棺B(図5参照)を複数保管し安置するための冷蔵庫であって、ここではプレハブ式となるプレハブ冷蔵庫が本体として採用されている。
遺体安置庫1は、棺Bの搬入・搬出に関し、この棺Bを後述する縦入れ及び横入れすることができるように構成されている。
【0012】
遺体安置庫1は、ここでは冷蔵庫として採用されているが、冷凍庫として採用されていてもよいものとする。
上述の「冷蔵」に関しては、主に食品や飲料を例に挙げると、これらが凍らない程度の低温に冷却して保存することを「冷蔵」というのと同じ意味であるものとする。より具体的には、10℃以下での保存を「冷蔵」というものとする。
【0013】
遺体安置庫1は、1又は複数のラック2と、このラック2が設置される遺体安置庫本体3とを備えて構成されている。
先ず、遺体安置庫本体3について説明し、次にラック2を説明することにする。
【0014】
図1及び図2において、遺体安置庫本体3は、特に限定するものでないが、上述の通りのプレハブ冷蔵庫であって、図示しない建物の床Fに設置されている。
遺体安置庫本体3は、図示しない駆体と、複数のパネル部材を組み合わせた天井パネル31及び壁パネル32と、内部のラック設置スペース33の温度を調節する温度調節装置4(図8参照)とを備えて構成されている。
【0015】
天井パネル31及び壁パネル32は、公知のパネル部材を複数組み合わせて所定形状の天井や壁を形成しており、ここでは詳細な説明を省略するものとする。
壁パネル32は、正面パネル321と、左側面パネル322と、右側面パネル323(図5参照)と、背面パネル324(図5参照)とを備えて構成されている。
【0016】
遺体安置庫本体3は、天井パネル31及び壁パネル32により、図1及び図2に示すような例えば矩形の筐体に形成されている。
なお、筐体の他の形状については図3に示す通りである。
【0017】
図3は、建物のデッドスペースに合わせてラック設置スペースが確保された遺体安置庫本体を示す図である。
遺体安置庫本体3は、天井パネル31及び壁パネル32を加工(例えば図3に示す柱加工、斜め変形加工、天井梁加工、柱三方加工、背面変形加工、庫内柱加工、天井斜め加工)して、建物のデッドスペースに合わせたラック設置スペース33が確保されている。
【0018】
図1に戻り、正面パネル321には、横開きとなる扉341及び扉342と、小扉となる扉343及び扉344と、片開となる扉345とが設けられている。
即ち、正面パネル321には、図1に示すような複数種の扉341乃至扉345が設けられている。
【0019】
図2において、左側面パネル322には、観音開きとなる扉346と、片開となる扉347とが設けられている。
即ち、左側面パネル322にも、図2に示すような2種の扉346及び扉347が設けられている。
なお、以上のような扉341乃至扉347を総称する場合は、単に扉34と呼ぶことにする。
【0020】
図4は、棺の搬入、搬出に合わせて設けられた扉の例を示す図である。
遺体安置庫本体3は、図4に示すような扉34を組み合わせて、棺Bを後述する縦入れ及び横入れすることができるように形成されている。
即ち、遺体安置庫本体3は、例えば観音開き、片開き、スライドドア、小扉、横開きのような扉34を組み合わせて、棺Bを縦入れ及び横入れすることができるように形成されている。
扉34は、棺Bの縦入れ及び横入れに応じた間口35を有するように設けられている。
なお、扉34の組み合わせについては、特に限定されないものとする。
【0021】
図5は、図1のP-P線断面図である。
遺体安置庫1は、遺体安置庫本体3内に、例えば4つのラック2が設置されており、正面パネル321で例えば横開きとなる扉342を開くと、矢印Yで示すような棺Bの搬入・搬出を横入れで行うことができ、また、小扉となる扉344や片開となる扉345を開くと、矢印Tで示すような棺Bの搬入・搬出を縦入れで行うことができるようになっている。
【0022】
図6は、図5の状態に基づく図1のQ-Q線断面図である。
扉341及び扉342は、図6に示すような横開きとなるタイプのもので、扉341は、蝶番(符号省略)によって上方に開くようになっている。
また、扉342も蝶番により下方に開くようになっており、この扉342には、棺Bの搬入・搬出をし易くするため、例えば車輪型のローラ342aが所定ピッチで複数配置されている。
扉342には、棺Bの搬入・搬出の際の荷重を受けるための脚部342bが設けられている(脚部342bは、扉342が閉じている際に、所定箇所に収納されているものとする)。
【0023】
なお、上方に開く扉341から棺Bの搬入・搬出をする場合は、下の扉342を閉じた状態で、棺Bを乗せた昇降式の台(符号省略)を正面パネル321に横付けして行うことができる。
【0024】
図7は、図5の状態に基づく図1のR-R線断面図である。
扉343及び扉344は、図7に示すような小扉であって、例えば開くことにより棺Bを矢印Tの縦入れすることができる。
【0025】
遺体安置庫1は、以上の説明から分かるように、棺Bの搬入・搬出に関し、この棺Bを矢印Tで示す縦入れ及び矢印Yで示す横入れのいずれであってもすることができる。
これにより、搬出を例に挙げれば、例えば上述の特許文献1に開示された保冷庫で行われるような搬出と比べた場合(即ち、保冷庫内で複数の棺のうち該当する棺を所定箇所まで移動させ、この後に当該所定箇所に合わせて設けられた1つの扉から搬出する場合)、本発明の遺体安置庫1の方が格段に搬出をし易くすることができる(短時間でかつスムーズに搬出をすることができ、また、複雑な装置構成にもならない)。
【0026】
図8は、庫内温度を一定に保つことに関する説明図である。
遺体安置庫1は、遺体を大切に安置するためとして、庫内温度と併せて棺Bの中まで適温に保つように温度調節装置4の図示しない制御部が機能するようになっている。
具体的には、例えば図8のグラフで示すように(一例であるものとする)、棺B内が23℃の状態から冷蔵を開始した場合、35分で9℃まで冷却が進み、その後6時間経過まで、6℃から9℃を保つようにクーラー等の温度調節装置4が制御されている。
なお、庫内温度を6℃から9℃を保つにあたっては、棺Bを保管するためのラック2の構造も重要である(例えば冷気が循環し易い構造になっている等)。
【0027】
図9は、本発明の一実施形態に係る遺体安置庫のラック設置スペースに設置されるラックの機能について示す図であり、(a)は縦入れを可能とする図、(b)は横入れを可能とする図である。
【0028】
図9に示すように、遺体安置庫1の遺体安置庫本体3内(ラック設置スペース33)に設置されるラック2は、矢印Tで示す縦入れ及び矢印Yで示す横入れのいずれか一方に棺Bを移動させ易くすることができるように構成されている。
ラック2は、縦入れ専用や横入れ専用のものとして夫々製造されるのではなく、上述のように縦入れ及び横入れのいずれにも対応することができるように構成されている。
【0029】
具体的に、ラック2は、棺Bの移動を補助するローラ22(後述する)を複数有しており、当該ローラ22の延在方向が後述する棚部材212の短手方向に平行となるようにローラ22が組付けられた場合(図9(a))には、上述の縦入れをスムーズに行うことができるように、また、長手方向に平行となるように組付けられた場合(図9(b))には、上述の横入れをスムーズに行うことができるように構成されている。
このようなラック2は、ラック本体21と、複数のローラ22とを備えて構成されている。
【0030】
なお、図9中の「上下」の矢印はラック2の上下方向を示すものとする。また、「前後」の矢印はラック2の前後方向及び後述する棚部材212の長手方向を示すものとする。また、「左右」の矢印はラック2の左右方向及び棚部材212の短手方向を示すものとする。
【0031】
図10は、図9のラックを構成するラック本体の平面図である。
また、図11は、図10の矢印A1の箇所の拡大図、図12は、2段タイプのラック本体の正面図、図13は、3段タイプのラック本体の正面図である。
また、図14は、2段タイプのラック本体の右側面図、図15は、3段タイプのラック本体の右側面図、図16は、図12乃至図15の矢印A2乃至A4の箇所の拡大図である。
以下の説明では、図9乃至図16を適宜参照するものとする。
【0032】
ラック本体21は、複数の支柱部材211と、複数の棚部材212と、複数の振れ止め部材213と、複数の落下防止ストッパ214とを備えて構成されている。
【0033】
複数の支柱部材211は、上下方向に真っ直ぐ伸びる金属製の棒であって、ここでは同じ形状のものが4本用いられている。
4本の支柱部材211は、棚部材212の4つの角位置に配置されている。
【0034】
棚部材212は、ラック2が図12及び図14に示す2段タイプの場合に同じ形状で2つ用いられ、図13及び図15に示す3段タイプの場合には、同じ形状で3つ用いられるようになっている。
棚部材212は、ここでは棺Bが例えば直方体の形状であることから、平面視が長方形となる形状に形成されている。
【0035】
棚部材212は、短手方向に所定の間隔をあけて配置される2つの外形フレーム212aと、長手方向に所定の間隔をあけて配置される2つの外形フレーム212bと、4つの第1枠部212cと、左右4つずつとなる合計8つの第2枠部212dとを有している。
2つの外形フレーム212a及び2つの外形フレーム222bは、棚部材212の外形を形成する外枠になる。
4つの第1枠部212cは、長手方向に沿って連続して並ぶように配置されている。
【0036】
8つの第2枠部212dは、このうち4つが4つの第1枠部212cと一方の外形フレーム212aとの間に配置されており、残り4つが4つの第1枠部212cと他方の外形フレーム212aとの間に配置されている。
4つの第1枠部212cは、基本的に同じ構成になっており、夫々4つの第1フレーム212eを有して正方形に形成されている。
4つの第1枠部212cは、ここでは隣り合う同士が第1フレーム212eを共通使用するように構成されている。
【0037】
複数の第1フレーム212eには、所定のピッチで第1軸受部212fが複数形成されている。
この複数の第1軸受部212fは、ローラ22の回転軸222を受けるための部分であって、上から下へ向けて切り欠くような例えばU字状の溝に形成されている(図16参照)。
【0038】
複数の第1軸受部212fは、回転軸222を受けた状態でローラ22のローラ本体221が第1フレーム212eから上方に突出するような深さの溝に形成されている。
複数の第1軸受部212fは、ここでは1つの第1フレーム212eにおいて、4つ形成されている(数は一例であるものとする)。
【0039】
8つの第2枠部212dは、基本的に8つ同じ構成になっており、第2フレーム212gを有して長手方向に細長い長方形に形成されている。
8つの第2枠部212dは、第1枠部212cの第1フレーム212eと外形フレーム212aを共通使用するように構成されている。
【0040】
8つの第2枠部212dは、ここでは隣り合う同士が第2フレーム212gを共通使用するように構成されている。
第2フレーム212gには、第1フレーム212eと同じ形状の第2軸受部212hが1つ形成されている(図16参照。数は一例であるものとする)。
【0041】
複数の振れ止め部材213は、ラック本体21の強度を確保する(歪みを規制する)ために用いられる例えば棒状の部材であって、上述の縦入れをする場合には、長手方向に沿って2本の支柱部材211を連結する(図12及び図13参照)ように組付けられている。
また、上述の横入れをする場合には、短手方向に沿って2本の支柱部材211を連結する(図14及び図15での図示は省略)ように組付けられている。
【0042】
複数の落下防止ストッパ214は、棺Bを縦入れする場合に、奥の位置にある外形フレーム212bに配置されて棺Bの落下を防止し、横入れする場合には、奥の位置にある外形フレーム212aに配置されて棺Bの落下を防止する。
なお、落下防止ストッパ214を着脱自在、又はスライド自在となる構造にして、上述の奥の位置の逆となる手前の位置の外形フレーム212bや外形フレーム212aに配置してもよいものとする。
【0043】
図17は、図9のラックを構成するローラの図であり、(a)はローラの正面図、(b)はローラの側面図である。
また、図18は、縦入れを可能とする例のラックの平面図、図19は、縦入れを可能とする例のラックの斜視図である。
また、図20は、横入れを可能とする例のラックの平面図、図21は、横入れを可能とする例のラックの斜視図である。
【0044】
図17において、複数のローラ22は、ローラ本体221と、回転軸222と、回転軸ストッパ223とを備えて構成されている。
ローラ本体221は、円柱形状に形成されており、回転軸222の軸周りに回転自在に組付けられている。
回転軸ストッパ223は、第1軸受部212fや第2軸受部212hに組付けられたローラ22の移動を規制するために設けられている。
【0045】
複数のローラ22は、上述の縦入れをする場合に、例えば図18及び図19に示すような位置に組付けられるようになっている。
また、複数のローラ22は、上述の横入れをする場合に、例えば図20及び図21に示すような位置に組付けられるようになっている。
【0046】
以上、図9乃至図21を参照しながら説明してきたように、ラック2は、上述の構成及び構造を有することから、図9に示すように、棺Bの縦入れ及び横入れのいずれにも対応することができる。
また、ラック2は、4つの第1枠部212cと8つの第2枠部212dを有して、適宜位置に複数のローラ22を配置することから、特に上述の横入れをする場合、棺Bをスムーズに移動させることができる。
【0047】
ここまで、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものとみなす。
【0048】
なお、上述の実施形態では、各段同じ方向に棺Bを移動させるようにしていたが、これに限らないものとする。即ち、ローラ22の組付けを変えて、例えば1段目が縦入れで、2段目が横入れとなるようにしてもよいものとする(3段目も横入れ等)。
この場合、例えば正面パネル321に横開きとなる扉が設けられ、左側面パネル322には、小扉となる扉が設けられるようになる。
【0049】
また、上述の実施形態では、保管対象物が直方体となる形状の棺Bであったが、これに限らないものとする。即ち、平面視が長方形となる例えば浅底のトレイであってもよいものとする。
この場合、例えば解剖前の遺体が浅底のトレイに乗せられて保管されるようになる。
【0050】
上述の実施形態では、特に符号を付して説明していないが、外形フレーム212bがある箇所に第3となる枠部(第3枠部)が設けられており、この第3枠部の第3フレームに形成された第3軸受け部には、ローラ22の組付けが可能な第3軸受部が形成されていてもよいものとする。
【0051】
以上をまとめると、本発明が適用される遺体安置庫は、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される遺体安置庫(例えば図1及び図5の遺体安置庫1)は、
遺体(例えば図8の棺B内に横たわっている遺体)を保管する温度に調節可能な温度調節装置(例えば図8の温度調節装置4)が設置されると共に、複数のパネル部材を組み合わせてラック設置スペース(例えば図5のラック設置スペース33)が確保されたプレハブ式の遺体安置庫本体(例えば図1及び図5の遺体安置庫本体3)と、
前記遺体を保管する棚部材(例えば図10乃至図15の棚部材212)を1又は複数有して前記ラック設置スペースに1又は複数設置される遺体保管ラック(例えば図5及び図9のラック2)と、
を備え、
前記遺体保管ラックは、前記棚部材の外形が長方形(例えば図10に示す形状)となるように当該棚部材が形成されていると共に、当該棚部材の長手方向(例えば図9の「前後」の矢印の方向)及び短手方向(例えば図9の「左右」の矢印の方向)のいずれか一方を選択して当該いずれか一方への前記遺体の進入を補助するローラ(例えば図9及び図17のローラ22)が複数設けられており、
前記遺体安置庫本体の所定の側壁(例えば図1及び図2の壁パネル32)には、前記遺体を前記遺体保管ラックの前記棚部材に対し前記いずれか一方に進入させることに応じた間口を有する扉(例えば図1及び図2の扉341乃至347)が設けられている、
ことであれば足りる。
本発明によれば、複数の棺の夫々の搬入、搬出をし易くすることが可能な遺体安置庫を提供することができる。
【0052】
また、遺体安置庫(例えば図1及び図5の遺体安置庫1)において、
前記温度調節装置(例えば図8の温度調節装置4)は、前記遺体を冷蔵にて保管して前記遺体安置庫本体を冷蔵庫として機能させる温度(例えば上述の庫内温度6℃から9℃)に調節する、
ことができる。
本発明によれば、遺体安置庫本体を冷蔵庫として機能させることができる。
【0053】
また、遺体安置庫(例えば図1及び図5の遺体安置庫1)において、
前記遺体安置庫本体(例えば図1及び図5の遺体安置庫本体3)は、当該遺体安置庫本体が建設される建物のデッドスペース(例えば図3に示すデッドスペース)に合わせて前記ラック設置スペース(例えば図5のラック設置スペース33)が確保されている、
とすることができる。
本発明によれば、建物のデッドスペースに合わせて遺体安置庫を設置することができる。
【符号の説明】
【0054】
1・・・遺体安置庫
2・・・ラック
3・・・遺体安置庫本体
4・・・温度調節装置
21・・・ラック本体
22・・・ローラ
31・・・天井パネル
32・・・壁パネル
33・・・ラック設置スペース
34・・・扉
35・・・間口
211・・・支柱部材
212・・・棚部材
212a・・・外形フレーム
212b・・・外形フレーム
212c・・・第1枠部
212d・・・第2枠部
212e・・・第1フレーム
212f・・・第1軸受部
212g・・・第2フレーム
212h・・・第2軸受部
213・・・振れ止め部材
214・・・落下防止ストッパ
221・・・ローラ本体
222・・・回転軸
223・・・回転軸ストッパ
321・・・正面パネル
322・・・左側面パネル
323・・・右側面パネル
324・・・背面パネル
341乃至347・・・扉
B・・・棺
F・・・床
T・・・縦入れを示す矢印
Y・・・横入れを示す矢印
図1
図2
図3
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図5
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