(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099830
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60K 11/04 20060101AFI20250626BHJP
B60R 19/52 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
B60K11/04 K
B60R19/52 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216780
(22)【出願日】2023-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】坂本 敏男
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038AA06
3D038AB01
3D038AC01
3D038AC17
(57)【要約】
【課題】走行風の乱れ発生を抑制して走行抵抗を低減させつつ、異物を除去することができる車両を提供する。
【解決手段】本発明による車両1は、車両前方に設けられた熱交換器4と、熱交換器よりも車両前方側に設けられ、走行風を車両後方側へ導入するための開口部16と、この開口部16よりも車両下方側に設けられ、異物を車両外へと放出して除去するための異物除去開口部22とを備え、異物除去開口部には、異物除去開口部を開閉可能な開閉弁24が設けられ、開口部16にはグリルシャッタ20が設けられ、グリルシャッタ20と開閉弁24は、それらが同期して作動可能となるよう連結部材42で連結され、グリルシャッタ20と開閉弁24の開閉を行なわせるためのアクチュエータ32を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前方に設けられた熱交換器と、
上記熱交換器よりも車両前方側に設けられ、走行風を車両後方側へ導入するための第1開口部と、
上記第1開口部よりも車両下方側に設けられ、異物を車両外へと放出して除去するための第2開口部と、を備えた、車両であって、
上記第2開口部には、該第2開口部を開閉可能な第2開口開閉装置が設けられている、ことを特徴とする車両。
【請求項2】
上記第1開口部を形成するフレーム部材を備え、
上記第2開口部は、上記フレーム部材の下方部分に形成され、
上記フレーム部材の下方部分には、正面視で上記第2開口部に向けて車両下方に傾斜した傾斜部が形成されている、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
上記第2開口部と上記第2開口開閉装置は異物除去装置を構成し、
上記異物除去装置は、正面視で、上記フレーム部材の下方部分の中央部に設けられている、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
上記第1開口部には、該第1開口部を開閉可能な第1開口開閉装置が設けられ、
上記第1開口開閉装置と上記第2開口開閉装置は、それらが同期して作動可能となるよう連結部材で連結されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両。
【請求項5】
上記第1開口部は、上記熱交換器の前面側に設けられ、走行風を上記熱交換器へ導入するグリル開口部であり、
上記第1開口開閉装置は、上記グリル開口部を開閉するグリルシャッタを備えるグリルシャッタ装置であり、
上記グリルシャッタ装置には、上記グリルシャッタを開閉するためのアクチュエータが接続され、
上記第2開口開閉装置は、上記第2開口部を開閉するための開閉弁を備え、
上記連結部材は、上記アクチュエータにより上記グリルシャッタを閉としたとき、そのグリルシャッタの閉動作に伴い上記開閉弁を閉動作させるよう、上記グリルシャッタと上記開閉弁とを連結する部材である、請求項4に記載の車両。
【請求項6】
さらに、上記第1開口部を開閉可能な第1開口開閉装置と、
上記第1開口開閉装置による上記第1開口部の開閉および上記第2開口開閉装置による上記第2開口部の開閉を行なわせるためのアクチュエータと、
上記車両の速度を検出する車速センサと、
上記車速センサの値に応じて上記アクチュエータを制御する制御装置と、を備え、
上記制御装置は、上記車速センサの値が所定値以上であるときに、上記第1開口部開閉装置と上記第2開口開閉装置を共に閉動作させ、上記車速センサの値が上記所定値未満であるときに、上記第1開口開閉装置と上記第2開口開閉装置を共に開動作させるように、上記アクチュエータを制御する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両。
【請求項7】
さらに、上記第1開口開閉装置と上記第2開口開閉装置を同期して作動可能にするよう上記第1開口開閉装置と上記第2開口開閉装置を連結する連結部材を備え、
上記アクチュエータは、上記第1開口開閉装置を駆動し、
上記第2開口開閉装置は、上記連結部材により、上記アクチュエータによる上記第1開口開閉装置の駆動に伴い同期して作動する、請求項6に記載の車両。
【請求項8】
上記第1開口部は、上記熱交換器の前面側に設けられ、走行風を上記熱交換器へ導入するグリル開口部であり、
上記第1開口開閉装置は、上記グリル開口部を開閉するグリルシャッタを備えるグリルシャッタ装置であり、
上記アクチュエータは、上記グリルシャッタ装置の上記グリルシャッタを駆動して開閉させるアクチュエータであり、
上記第2開口開閉装置は、上記グリルシャッタの開閉に連動して作動し、上記グリルシャッタが閉に駆動されるときに閉となり、上記グリルシャッタが開に駆動されるときに開となるよう構成されている、請求項6に記載の車両。
【請求項9】
上記第2開口開閉装置は、上記第2開口部を開閉するための開閉弁を備え、
上記車両は、さらに、上記アクチュエータにより上記グリルシャッタを閉としたとき、そのグリルシャッタの開閉動作に同期して上記開閉弁を開閉動作させるよう、上記グリルシャッタと上記開閉弁とを連結する連結部材を備える、請求項8に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に係り、特に、車両前方に設けられた熱交換器と、この熱交換器よりも車両前方側に設けられ、走行風を車両後方側へ導入可能な第1開口部と、この第1開口部よりも車両下方側に設けられ、異物を車両外へと放出して除去するための第2開口部とを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両前方に設けられたいわゆるラジエータには、車両前方のフロントグリルやロアダクト等を介して導入した走行風のラジエータへの流入風量をコントロールするいわゆるグリルシャッタが設けられる。ここで、特許文献1には、グリルシャッタに流入した、走行風以外の雨水や小石などの異物を除去するための排水用凹部および水抜き孔(異物除去孔)が設けられた車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の車両では、異物除去孔は常時開放されているので、雨水や小石が流入しない場合であっても、常時、走行風が流入する。このような構造では、走行風が異物除去孔を通過する際、乱流が発生するなどして走行風が乱れてしまい、車両の空気抵抗が増大してしまう。このような車両の空気抵抗の増大は、車両抵抗のさらなる低減が求められる車両全般で問題となる。特に、近年では、重量物であるバッテリを搭載する車両(特に電気自動車)において航続距離をより伸ばしたい、という要望に応える際に、より重大な課題となっている。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、走行風の乱れ発生を抑制して走行抵抗を低減させつつ、異物を除去することができる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明は、車両前方に設けられた熱交換器と、熱交換器よりも車両前方側に設けられ、走行風を車両後方側へ導入するための第1開口部と、第1開口部よりも車両下方側に設けられ、異物を車両外へと放出して除去するための第2開口部と、を備えた、車両であって、第2開口部には、第2開口部を開閉可能な第2開口開閉装置が設けられている、ことを特徴としている。
【0007】
このように構成された本発明によれば、熱交換器よりも車両前方側かつ第1開口部よりも車両下方側に、異物を車両外へと放出して除去するための第2開口部が設けられ、この第2開口部を開閉可能な装置が設けられるので、走行抵抗(特に空気抵抗)の度合いに応じて第2開口部を開閉させることによって、走行風の乱れ発生を抑制して走行抵抗を低減させつつ、異物を除去することができる。すなわち、第2開口部に流入した走行風の流れの乱れ分、走行抵抗が低下する恐れがあるが、たとえば、走行抵抗が大きい場合(たとえば車速大)に第2開口部を閉として走行抵抗を低減することができる。一方、走行抵抗が小さい場合(たとえば車速小)に第2開口部を開とすることで侵入した異物を除去することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、第1開口部を形成するフレーム部材を備え、第2開口部は、フレーム部材の下方部分に形成され、フレーム部材の下方部分には、正面視で第2開口部に向けて車両下方に傾斜した傾斜部が形成されている。
このように構成された本発明によれば、フレーム部材の下方部分には、第2開口部に向けて車両下方に傾斜した傾斜部が形成されているので、異物が第2開口部に集まりやすくなり、これにより、より効果的に、たとえば車両前方から侵入した異物を除去することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、第2開口部と第2開口開閉装置は異物除去装置を構成し、異物除去装置は、正面視で、フレーム部材の下方部分の中央部に設けられている。
このように構成された本発明によれば、異物除去装置である第2開口部および第2開口開閉装置が、フレーム部材の下方部分の中央部に設けられているので、異物除去装置を左右対称位置に設けて、より効果的に異物を除去することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、第1開口部には、第1開口部を開閉可能な第1開口開閉装置が設けられ、第1開口開閉装置と第2開口開閉装置は、それらが同期して作動可能となるよう連結部材で連結されている。
このように構成された本発明によれば、連結部材により、第1開口開閉装置と第2開口開閉装置を同期して作動させることができるので、作動遅れに起因する走行抵抗の悪化を防止できる。すなわち、第1開口開閉装置の作動により第1開口部を閉として、熱交換器に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減しようとしたとき、連結部材の作用により、第2開口開閉装置を同時に作動させて、第2開口部を同時に閉として、第2開口部に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、第1開口部は、熱交換器の前面側に設けられ、走行風を熱交換器へ導入するグリル開口部であり、第1開口開閉装置は、グリル開口部を開閉するグリルシャッタを備えるグリルシャッタ装置であり、グリルシャッタ装置には、グリルシャッタを開閉するためのアクチュエータが接続され、第2開口開閉装置は、第2開口部を開閉するための開閉弁を備え、連結部材は、アクチュエータによりグリルシャッタを閉としたとき、そのグリルシャッタの閉動作に伴い開閉弁を閉動作させるよう、グリルシャッタと開閉弁とを連結する部材である。
このように構成された本発明によれば、熱交換器に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減するために、アクチュエータによりグリルシャッタを作動させて第1開口部を閉としたとき、連結部材の作用により、第2開口部の開閉弁を同時に閉として、第2開口部に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減することができる。したがって、第1開口部および第2開口部を同時に閉状態として、より確実に、車両抵抗を低減させることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、さらに、第1開口部を開閉可能な第1開口開閉装置と、第1開口開閉装置による第1開口部の開閉および第2開口開閉装置による第2開口部の開閉を行なわせるためのアクチュエータと、車両の速度を検出する車速センサと、車速センサの値に応じてアクチュエータを制御する制御装置と、を備え、制御装置は、車速センサの値が所定値以上であるときに、第1開口部開閉装置と第2開口開閉装置を共に閉動作させ、車速センサの値が所定値未満であるときに、第1開口開閉装置と第2開口開閉装置を共に開動作させるように、アクチュエータを制御する。
このように構成された本発明によれば、車速センサの値が所定値以上であり走行抵抗が比較的大きいと考えられる場合に、第1開口部と第2開口部とが共に閉となるようアクチュエータを作動させて、走行抵抗を効果的に低減し、一方、車速センサの値が所定値未満であり走行抵抗が比較的小さいと考えられる場合に、第1開口部と第2開口部とが共に開となるようアクチュエータを作動させて、侵入した異物を効果的に除去することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、さらに、第1開口開閉装置と第2開口開閉装置を同期して作動可能にするよう第1開口開閉装置と第2開口開閉装置を連結する連結部材を備え、アクチュエータは、第1開口開閉装置を駆動し、第2開口開閉装置は、連結部材により、アクチュエータによる第1開口開閉装置の駆動に伴い同期して作動する。
このように構成された本発明によれば、連結部材により、第1開口開閉装置と第2開口開閉装置を同期して作動させることができるので、作動遅れに起因する走行抵抗の悪化を防止できる。すなわち、アクチュエータによる第1開口開閉装置の駆動により第1開口部を閉として、熱交換器に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減しようとしたとき、連結部材の作用により、第2開口開閉装置を同時に作動させて、第2開口部を同時に閉として、第2開口部に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、第1開口部は、熱交換器の前面側に設けられ、走行風を熱交換器へ導入するグリル開口部であり、第1開口開閉装置は、グリル開口部を開閉するグリルシャッタを備えるグリルシャッタ装置であり、アクチュエータは、グリルシャッタ装置のグリルシャッタを駆動して開閉させるアクチュエータであり、第2開口開閉装置は、グリルシャッタの開閉に連動して作動し、グリルシャッタが閉に駆動されるときに閉となり、グリルシャッタが開に駆動されるときに開となるよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、熱交換器に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減するために、アクチュエータによりグリルシャッタを作動させて第1開口部を閉としたとき、連結部材の作用により、第2開口部を同時に閉として、第2開口部に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減することができる。したがって、第1開口部および第2開口部を同時に閉状態として、より確実に、車両抵抗を低減させることができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、第2開口開閉装置は、第2開口部を開閉するための開閉弁を備え、車両は、さらに、アクチュエータによりグリルシャッタを閉としたとき、そのグリルシャッタの開閉動作に同期して開閉弁を開閉動作させるよう、グリルシャッタと開閉弁とを連結する連結部材を備える。
このように構成された本発明によれば、熱交換器に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減するために、アクチュエータによりグリルシャッタを作動させて第1開口部を閉としたとき、連結部材の作用により、第2開口部の開閉弁を同時に閉として、第2開口部に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減することができる。したがって、第1開口部および第2開口部を同時に閉状態として、より確実に、車両抵抗を低減させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両によれば、走行風の乱れ発生を抑制して走行抵抗を低減させつつ、異物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態による車両の概略構成を示す側面図である。
【
図2】本発明の実施形態による車両が備えるグリルシャッタ装置および異物除去装置をフロントグリルと共に示す車両の左側から見た一部断面側面図であり、グリルシャッタ装置および異物除去装置が開の状態を示す図である。
【
図3】本実施形態によるグリルシャッタ装置および異物除去装置を車両左側かつ斜め前方から見た斜視図であり、各装置が閉の状態を示す図である。
【
図4】本実施形態によるグリルシャッタ装置および異物除去装置を車両前方から見た正面図であり、各装置が閉の状態を示す図である。
【
図5】本実施形態によるグリルシャッタ装置および異物除去装置の要部を説明するための正面図であり、各装置が閉の状態を示す図である。
【
図6】本実施形態によるグリルシャッタ装置および異物除去装置の要部を説明するための正面図であり、各装置が開の状態を示す図である。
【
図7】本実施形態によるグリルシャッタ装置および異物除去装置が備える連結装置の概略構成を説明するための車両の左側から見た側面図である。
【
図8】本実施形態によるグリルシャッタ装置および異物除去装置が開の状態における作用を説明するための車両左側かつ斜め前方から見た一部断面斜視図である。
【
図9】本実施形態によるグリルシャッタ装置および異物除去装置が閉の状態における作用を説明するための車両左側かつ斜め前方から見た一部断面斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態による車両が備える制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図11】本発明の実施形態による車両が備える制御装置で実行される制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両を説明する。
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、
図1により、本発明の実施形態による車両の全体構成を説明する。
図1は、本発明の実施形態による車両の概略構成を示す側面図である。
図1に示すように、車両1は、モータ2を動力源とするいわゆる電気自動車である。車両1は、モータ2や図示しないバッテリを冷却するために、モータ2等を循環する冷却水と走行風との間で熱交換を行なうラジエータ(熱交換器)4を備え、このラジエータ4には、車両前端部のフロントグリル6および車両前端部の下方に設けられたロアダクト8等を介して走行風が導入されるようになっている。
【0020】
また、ラジエータ4の車両前方側には、ラジエータ4に隣接してグリルシャッタ装置10が設けられている。このグリルシャッタ装置10は、後述するグリル開口部16内に設けられたグリルシャッタ20(
図3参照)を閉じて、主に空気抵抗である走行抵抗を低減させて、結果として燃費を向上させ、あるいは、グリルシャッタ20を開けて、走行風をラジエータ4に導入して、ラジエータ4による冷却効果を高めるために設けられる装置である。
【0021】
また、このグリルシャッタ装置10の車両下方側には、主にフロントグリル6やロアダクト8を介して車両内方に流入した、小石や雨水などの異物を除去する異物除去装置12が設けられている。この異物除去装置12は、後述する異物除去孔22から異物を車両外へと放出して除去するための装置である。
【0022】
また、車両1には、グリルシャッタ装置10や異物除去装置12の開閉動作を制御するためのコントローラ(制御装置)14が設けられている。コントローラ14は、1つ以上のプロセッサ(典型的にはCPU)である処理装置(回路)と、各種プログラムを記憶するメモリ(ROM、RAMなど)と、入出力装置などを備えたコンピュータにより構成される。
【0023】
次に、
図2および
図3により、グリルシャッタ装置10および異物除去装置12の概略構成および配置を説明する。
図2は、本発明の実施形態による車両が備えるグリルシャッタ装置および異物除去装置をフロントグリルと共に示す車両の左側から見た一部断面側面図であり、グリルシャッタ装置および異物除去装置が開の状態を示す図であり、
図3は、本実施形態によるグリルシャッタ装置および異物除去装置を車両左側かつ斜め前方から見た斜視図であり、各装置が閉の状態を示す図である。
まず、
図2および
図3に示すように、グリルシャッタ装置10は、その中央にグリル開口部(第1開口部)16が形成された矩形状のグリルシャッタフレーム18と、このグリルシャッタフレーム18の開口部16内に設けられたグリルシャッタ20とを備える。
【0024】
図2および
図3に示すように、グリルシャッタ20は、合計で4枚の翼状部材で構成されている。グリルシャッタ20は、後述するアクチュエータ32(
図4参照)で駆動されて、本実施形態では、主に空気抵抗を低減させるためにグリル開口部16を閉じる閉状態と、走行風をラジエータ4に導入するためにグリル開口部16を開ける開状態とのいずれかに切り替えられる。
【0025】
また、
図2および
図3に示すように、グリルシャッタ20の下方には、異物除去装置12が設けられている。この異物除去装置12は、主に、グリルシャッタフレーム18に形成された異物除去孔22と、この異物除去孔22を開閉するための孔開閉弁24と、この孔開閉弁24を回動自在に支持する支持部材26とで構成される。なお、孔開閉弁24は、その車幅方向の両側で回動軸(
図5、
図7には片側の回動軸24bのみ示す)により軸支されている。また、支持部材26は、孔開閉弁24の両端部および外周部を部分的に支持する。
【0026】
図2および
図3に示すように、異物除去孔22は、グリルシャッタフレーム18の下方部分、より詳細には、矩形状のグリルシャッタフレーム18の4辺のうち下方の辺部分に形成されている。異物除去孔22は、車両下方に向けて開放されており、これにより、水分や小石などの異物を、異物除去孔22を介して車両外方に放出できるようになっている。
【0027】
また、孔開閉弁24は、開口24aが形成された断面C型の半円筒形状の部材であり、主に空気抵抗を低減させるために異物除去孔22を閉じる閉状態、すなわち、開口24aが異物除去孔22に対向していない状態(
図3、
図4、
図9参照)と、異物を除去するために異物除去孔22を開ける開状態、すなわち、開口24aが異物除去孔22に対向して異物除去孔22を開放する状態(
図2、
図8参照)との間で回動するようになっている。
【0028】
この孔開閉弁24は、後述する連結装置28(
図5~
図7等参照)によって、グリルシャッタ20の開閉と同期して動作し、グリルシャッタ20が閉状態のとき、孔開閉弁24も閉状態となるように回動する。
【0029】
次に、
図4により、グリルシャッタ装置10の構成および異物除去装置12の配置を説明する。
図4は、本実施形態によるグリルシャッタ装置および異物除去装置を車両前方から見た正面図である。
まず、
図4に示すように、異物除去装置12は、グリルシャッタフレーム18の下方部分において、車幅方向の中央部に設けられている。また、
図4に示すように、グリルシャッタフレーム18の下方部分には、車幅方向の左右外方部から、車幅方向中央部に設けられた異物除去孔22および孔開閉弁24に向けて車両下方に傾斜した一対の傾斜部30が形成されている。本実施形態では、これらの傾斜部30により、傾斜に沿って雨水等が伝わり、あるいは、小石等の異物が転がって、異物が異物除去装置12に集まるようにしている。
また、
図4に示すように、グリルシャッタフレーム18には、グリルシャッタ20を開閉するためにグリルシャッタ20を駆動するアクチュエータ32が取り付けられている。
【0030】
次に、
図5乃至
図7により、上述したアクチュエータ32により動作するようになっているグリルシャッタ装置10および異物除去装置12の構成を説明する。
図5は、本実施形態によるグリルシャッタ装置および異物除去装置の要部を説明するための正面図であり、各装置が閉の状態を示す図であり、
図6は、本実施形態によるグリルシャッタ装置および異物除去装置の要部を説明するための正面図であり、各装置が開の状態を示す図であり、
図7は、本実施形態によるグリルシャッタ装置および異物除去装置が備える連結装置の概略構成を説明するための車両の左側から見た側面図である。
【0031】
まず、
図5および
図6に示すように、上述したアクチュエータ32は、駆動シャフト34を介して、グリルシャッタ20を駆動し、開閉させるようになっている。本実施形態では、アクチュエータ32は、4枚の翼状のグリルシャッタ20のうち、1枚のグリルシャッタ20aを直接駆動し、そして、残りの3枚のグリルシャッタ20bが、グリルシャッタ20aの動作に伴って従動的に駆動されるようにしている。
【0032】
4枚のグリルシャッタ20a、20bは、それらの車幅方向外方側の端部がグリルシャッタフレーム18に回動可能に軸支されている。一方、それらの車幅方向中央側の端部は、後述するシャッタフラップ36に固定されている。本実施形態では、シャッタフラップ36の回動動作に伴って、4枚のグリルシャッタ20a、20bが回動して、グリル開口部16を開閉するようにしている。
【0033】
次に、4枚のグリルシャッタ20a、20bには、それぞれ、それらの車幅方向中央側の端部に、シャッタフラップ36が取り付けられている。なお、これらのシャッタフラップ36は、グリルシャッタ20a、20bと一体的に成型したものでもよい。
図5乃至
図7に示すように、これらのシャッタフラップ36は、おおよそ半円状に形成された部材であり、車幅方向に延びるグリルシャッタ20a、20bに対して垂直方向(車両上下方向および車両前後方向を含む面上の方向)に延びる。これらのシャッタフラップ36は、
図5乃至
図7に示すように、それらの回動軸(回動中心)36a回りに回動するように、各回動軸36aがグリルシャッタフレーム18で支持され、また、それらの回動軸36aに、グリルシャッタ20a、20bの車幅方向中央側の端部が取り付けられている。
【0034】
本実施形態では、主に上述したグリルシャッタ20a、20bおよびシャッタフラップ36により、グリル開閉装置38が構成され、本実施形態では、このグリル開閉装置38を、上述したアクチュエータ32により駆動するようにしている。
【0035】
次に、
図7に示すように、各シャッタフラップ36には、図中破線で示すように、回動中心36aに対して半径方向に突出するようにフラップ突出部36bが形成されており、これらのフラップ突出部36bには、本実施形態による連結装置40が備える連結軸42が接続されている。
ここで、本実施形態による連結装置40は、グリルシャッタ装置10と異物除去装置12とを連結する装置であり、上述したシャッタフラップ36と、そのフラップ突出部36bと、連結軸42と、後述する連結ピン44、46との相互作用によりリンク機構として作用する。本実施形態では、このような連結装置40により、グリルシャッタ装置10の動作に同期させて、異物除去装置12を動作させるようにしている。
【0036】
次に、この連結装置40の構成をより詳細に説明する。
まず、
図7に示すように、各フラップ突出部36bと連結軸42とは、その連結軸42の上端部および中間部において、それぞれ連結ピン44を介して互いに接続されている。
図5および
図6では、それらの連結ピン44を破線で示す。
本実施形態では、各連結ピン44はシャッタフラップ36(各フラップ突出部36b)と一体的に形成されており、かつ、各連結ピン44が、連結軸42に回動自在に支持されている。なお、連結ピン44は、シャッタフラップ36と別体のものであってもよい。
【0037】
一方、
図7に示すように、連結軸42の下端部においては、連結ピン(孔開閉装置用連結ピン)46を介して、連結軸42と孔開閉弁24とが互いに接続されている。
図5および
図6では、連結ピン46を破線で示す。
本実施形態では、連結ピン46は、孔開閉弁24と一体的に形成されており、かつ、連結ピン46が、連結軸42に対して回動自在に支持されている。なお、連結ピン46は、孔開閉弁24と別体のものであってもよい。
【0038】
図7に示すように、連結ピン46は、孔開閉弁24の回動軸24bに対して半径方向に突出する位置に設けられており、このような位置関係により、連結軸42を動作させると、その動作に伴い、孔開閉弁24が開閉動作をするようになっている。
そして、本実施形態では、上述した連結軸42に接続された連結ピン46、孔開閉弁24、および、その回動軸24bにより、異物除去孔22を開閉する孔開閉装置(第1開口開閉装置)48が構成され、グリルシャッタ装置10の動作に同期して作動する。本実施形態では、上述したように、この孔開閉装置48が、上述したアクチュエータ32の動作に伴って駆動されるようにしている。
【0039】
次に、
図7乃至
図9により、上述したアクチュエータ32によるグリルシャッタ装置10、連結装置28、異物除去装置12の動作を説明する。
図8は、本実施形態によるグリルシャッタ装置および異物除去装置が開の状態における作用を説明するための車両左側かつ斜め前方から見た一部断面斜視図であり、
図9は、本実施形態によるグリルシャッタ装置および異物除去装置が閉の状態における作用を説明するための車両左側かつ斜め前方から見た一部断面斜視図である。
まず、
図7において、アクチュエータ32を作動させて、矢印Aで示すようにグリルシャッタ20aを開く方向に駆動すると、連結軸42が矢印Bの方向に移動し、その移動に伴い、孔開閉弁24が矢印Cの方向に回動して、
図8に示すように、孔開閉弁24が開状態となる。
【0040】
そして、
図8に示すように、主に、フロントグリル6やロアダクト8を介して車両内に流入した小石や雨水などの異物は、矢印Dで一例を示すように、主にグリルシャッタフレーム18の傾斜部30(および本実施形態ではロアダクト8の一部)を介して異物除去装置12に集まり、孔開閉弁24の開口24aおよび異物除去孔22から車外に放出され、車両内から除去される。なお、傾斜部30上を移動する異物が直接的に異物除去孔22に流入するよう、グリルシャッタフレーム18を形成してもよい。
【0041】
そして、
図8に示すように、この状態では、グリルシャッタ20が開状態であるので、走行風をラジエータ4に導入して、ラジエータ4による冷却効果を高めることができる。
【0042】
一方、
図7を参照して理解可能なように、アクチュエータ32を作動させて、グリルシャッタ20aを閉じる方向(矢印Aと反対の方向)に駆動すると、連結軸42が矢印Bと反対の方向に移動し、その移動に伴い、孔開閉弁24が矢印Cと反対の方向に回動して、
図9に示すように、孔開閉弁24が閉状態となる。
【0043】
そして、
図9に示すように、この状態では、グリルシャッタ20も異物除去孔22も閉状態となるので、空気抵抗である走行抵抗を低減させて、結果として燃費を向上させることができる。
【0044】
次に、
図10および
図11により、本実施形態によるコントローラ14により実行される車両1の制御内容を説明する。なお、
図11において、Sは各ステップを示す。
まず、
図10に示すように、コントローラ14には、車両1の車速を検出する車速センサ50が接続され、この車速センサ50から、車両1の車速を示す信号が入力される。一方、コントローラ14には、上述したアクチュエータ32が接続され、コントローラ14は、取得した車速に基づいてアクチュエータ32の動作を制御するよう構成されている。
【0045】
より具体的には、コントローラ14は、車速センサ50により得られる車速に応じて、上述したグリル開口部16および異物除去孔22を開とするか、閉とするかのいずれかを判定するグリルシャッタ/異物除去孔開閉判定部52と、この判定部52による判定に基づいて、アクチュエータ32に信号を送り、グリル開口部16および異物除去孔22を開状態あるいは閉状態のいずれかとなるように指示信号を送るグリルシャッタ/異物除去孔開閉指示部54とを有する。
【0046】
次に、
図11に示すように、コントローラ14は、まず、S1において、車速センサ50からの信号に基づいて、車両1の車速を取得する。
次に、S2において、グリルシャッタ/異物除去孔開閉判定部52により、S1で取得した車速が、所定の車速V(本実施形態では、20km/h)を超えているか否かを判定する。ここで、本実施形態では、グリルシャッタ/異物除去孔開閉判定部52は、車両1の車速が車速Vを超えている場合には、グリル開口部16および異物除去孔22を閉とするよう判定し、車速が車速Vを超えていない場合には、グリル開口部16および異物除去孔22を開とするよう判定する。
【0047】
次に、S2において、車両1の車速が「車速V」を超えており、グリル開口部16および異物除去孔22を閉とするよう判定された場合(S2でYES)、S3に進み、グリルシャッタ/異物除去孔開閉指示部54が、グリル開口部16および異物除去孔22を閉状態とするよう、アクチュエータ32に指示信号を送る。このS3の処理により、グリルシャッタ装置10および異物除去装置12は、たとえば
図9に示すような閉状態となる。
【0048】
一方、S2において、車両1の車速が「車速V」を超えておらず、グリル開口部16および異物除去孔22を開とするよう判定された場合(S2でNO)、S4に進み、グリルシャッタ/異物除去孔開閉指示部54が、グリル開口部16および異物除去孔22を開状態とするよう、アクチュエータ32に指示信号を送る。このS4の処理により、グリルシャッタ装置10および異物除去装置12は、たとえば
図8に示すような開状態となる。
【0049】
ここで、S3、S4におけるグリル開口部16および異物除去孔22の開閉動作は、より詳細には、上述したようにアクチュエータ32により駆動されるグリル開閉装置38によるグリルシャッタ20の作動、および、このグリルシャッタ20の作動および連結装置28の作動に伴う、孔開閉装置48による孔開閉弁24の作動により行なわれる。
【0050】
なお、本実施形態では、低速領域(時速20km/h以下の領域)では、走行抵抗(空気抵抗)の影響が少なく、一方、その低速領域を超える領域(時速20km/hを超える領域)では、走行抵抗の影響が大きいものとして、しきい値Vを20km/hと設定しているが、変形例として、このしきい値Vは、車両の形状や車両の諸元等様々な要因に応じて適宜変更してもよい。
【0051】
また、本実施形態では、車両1が電気自動車である例を説明したが、変形例として、ハイブリッド車両を含む内燃機関を備える車両にも適用可能である。
【0052】
次に、本実施形態による車両1の作用効果を説明する。
本実施形態による車両1は、車両前方に設けられた熱交換器4と、熱交換器4よりも車両前方側に設けられ、走行風を車両後方側へ導入するための第1開口部(グリル開口部16)と、第1開口部よりも車両下方側に設けられ、異物を車両外へと放出して除去するための第2開口部(異物除去孔22)と、を備え、第2開口部には、第2開口部を開閉可能な第2開口開閉装置(孔開閉弁24、孔開閉装置48)が設けられている。
このように構成された本実施形態によれば、熱交換器4よりも車両前方側かつ第1開口部(16)よりも車両下方側に、異物を車両外へと放出して除去するための第2開口部(22)が設けられ、この第2開口部を開閉可能な装置(24、48)が設けられるので、走行抵抗(特に空気抵抗)の度合いに応じて第2開口部を開閉させることによって、走行風の乱れ発生を抑制して走行抵抗を低減させつつ、異物を除去することができる。すなわち、第2開口部に流入した走行風の流れの乱れ分、走行抵抗が低下する恐れがあるが、たとえば、走行抵抗が大きい場合(たとえば車速大)に第2開口部を閉として走行抵抗を低減することができる。一方、走行抵抗が小さい場合(たとえば車速小)に第2開口部を開とすることで侵入した異物を除去することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、第1開口部(グリル開口部16)を形成するフレーム部材18を備え、第2開口部(異物除去孔22)は、フレーム部材の下方部分に形成され、フレーム部材の下方部分には、正面視で第2開口部に向けて車両下方に傾斜した傾斜部30が形成されているので、異物が第2開口部に集まりやすくなり、これにより、より効果的に、たとえば車両前方から侵入した異物を除去することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、第2開口部(異物除去孔22)と第2開口開閉装置(孔開閉弁24、孔開閉装置48)は異物除去装置12を構成し、異物除去装置12は、正面視で、フレーム部材の下方部分の中央部に設けられているので、異物除去装置12を左右対称位置に設けて、より効果的に異物を除去することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、第1開口部(グリル開口部16)には、第1開口部を開閉可能な第1開口開閉装置(グリルシャッタ20、グリル開閉装置38)が設けられ、第1開口開閉装置(グリルシャッタ装置10、グリルシャッタ20、グリル開閉装置38)と第2開口開閉装置(孔開閉弁24、孔開閉装置48)は、それらが同期して作動可能となるよう連結部材42で連結されている。
このように構成された本実施形態によれば、作動遅れに起因する走行抵抗の悪化を防止できる。すなわち、第1開口開閉装置の作動により第1開口部を閉として、熱交換器に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減しようとしたとき、連結部材42の作用により、第2開口開閉装置を同時に作動させて、第2開口部を同時に閉として、第2開口部に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、第1開口部は、熱交換器の前面側に設けられ、走行風を熱交換器へ導入するグリル開口部16であり、第1開口開閉装置は、グリル開口部16を開閉するグリルシャッタ20を備えるグリルシャッタ装置10であり、グリルシャッタ装置には、グリルシャッタを開閉するためのアクチュエータ32が接続され、第2開口開閉装置は、第2開口部を開閉するための開閉弁24を備え、連結部材42は、アクチュエータ32によりグリルシャッタ20を閉としたとき、そのグリルシャッタの閉動作に伴い開閉弁24を閉動作させるよう、グリルシャッタ20と開閉弁24とを連結する部材である。
このように構成された本実施形態によれば、熱交換器に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減するために、アクチュエータ32によりグリルシャッタ20を作動させて第1開口部(グリル開口部16)を閉としたとき、連結部材42の作用により、第2開口部(異物除去孔22)の開閉弁24を同時に閉として、第2開口部に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減することができる。したがって、第1開口部および第2開口部を同時に閉状態として、より確実に、車両抵抗を低減させることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、第1開口部(グリル開口部16)を開閉可能な第1開口開閉装置(グリルシャッタ20、グリル開閉装置38)と、第1開口開閉装置による第1開口部の開閉および第2開口開閉装置(孔開閉弁24、孔開閉装置48)による第2開口部(異物除去孔22)の開閉を行なわせるためのアクチュエータ32と、車両1の速度を検出する車速センサ50と、車速センサの値に応じてアクチュエータ32を制御する制御装置(コントローラ14)と、を備え、制御装置は、車速センサの値が所定値(V)以上であるときに、第1開口部開閉装置と第2開口開閉装置を共に閉動作させ、車速センサの値が所定値(V)未満であるときに、第1開口開閉装置と第2開口開閉装置を共に開動作させるように、アクチュエータを制御する。
このように構成された本実施形態によれば、車速センサの値が所定値以上であり走行抵抗が比較的大きいと考えられる場合に、第1開口部(グリル開口部16)と第2開口部い(異物除去孔22)とが共に閉となるようアクチュエータ32を作動させて、走行抵抗を効果的に低減し、一方、車速センサの値が所定値未満であり走行抵抗が比較的小さいと考えられる場合に、第1開口部と第2開口部とが共に開となるようアクチュエータを作動させて、侵入した異物を効果的に除去することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、第1開口開閉装置(グリルシャッタ20、グリル開閉装置38)と第2開口開閉装置(孔開閉弁24、孔開閉装置48)を同期して作動可能にするよう第1開口開閉装置と第2開口開閉装置を連結する連結部材42を備え、アクチュエータ32は、第1開口開閉装置を駆動し、第2開口開閉装置は、連結部材42により、アクチュエータによる第1開口開閉装置の駆動に伴い同期して作動するので、作動遅れに起因する走行抵抗の悪化を防止できる。すなわち、アクチュエータ32による第1開口開閉装置の駆動により第1開口部を閉として、熱交換器に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減しようとしたとき、連結部材の作用により、第2開口開閉装置を同時に作動させて、第2開口部を同時に閉として、第2開口部に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、第1開口部は、熱交換器4の前面側に設けられ、走行風を熱交換器へ導入するグリル開口部16であり、第1開口開閉装置は、グリル開口部を開閉するグリルシャッタ20を備えるグリルシャッタ装置10であり、アクチュエータ32は、グリルシャッタ装置のグリルシャッタ20を駆動して開閉させるアクチュエータであり、第2開口開閉装置は、グリルシャッタ20の開閉に連動して作動し、グリルシャッタが閉に駆動されるときに閉となり、グリルシャッタが開に駆動されるときに開となるよう構成されている。
このように構成された本実施形態によれば、熱交換器に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減するために、アクチュエータによりグリルシャッタを作動させて第1開口部を閉としたとき、連結部材の作用により、第2開口部を同時に閉として、第2開口部に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減することができる。したがって、第1開口部および第2開口部を同時に閉状態として、より確実に、車両抵抗を低減させることができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、第2開口開閉装置は、第2開口部(異物除去孔22)を開閉するための開閉弁24を備え、車両1は、さらに、アクチュエータ32によりグリルシャッタ20を閉としたとき、そのグリルシャッタの開閉動作に同期して開閉弁24を開閉動作させるよう、グリルシャッタ20と開閉弁24とを連結する連結部材42を備える。
このように構成された本実施形態によれば、熱交換器に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減するために、アクチュエータ32によりグリルシャッタ20を作動させて第1開口部を閉としたとき、連結部材42の作用により、第2開口部の開閉弁24を同時に閉として、第2開口部に流入する走行風に起因する走行抵抗(空気抵抗)を低減することができる。したがって、第1開口部および第2開口部を同時に閉状態として、より確実に、車両抵抗を低減させることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 車両
2 モータ(原動機)
4 ラジエータ(熱交換器)
6 フロントグリル
8 ロアダクト
10 グリルシャッタ装置
12 異物除去装置
14 コントローラ(制御装置)
16 グリル開口部(第1開口部)
18 グリルシャッタフレーム(フレーム部材)
20、20a、20b グリルシャッタ
22 異物除去孔(第2開口部)
24 孔開閉弁
26 孔開閉弁支持部材
28 連結装置
30 傾斜部
32 アクチュエータ(駆動装置)
34 駆動シャフト
36 シャッタフラップ
36a 回動中心
36b フラップ突出部
38 グリル開閉装置(第1開閉装置)
40 連結装置
42 連結軸(連結部材)
44 連結ピン
46 連結ピン
48 孔開閉装置(第2開閉装置)