(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099852
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】決済管理装置、決済管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/36 20120101AFI20250626BHJP
【FI】
G06Q20/36
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216805
(22)【出願日】2023-12-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】大塚 千壽子
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 将良
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直良
(57)【要約】
【課題】電子決済サービスにおいて、電子マネー残高の管理方法において種別の異なる電子マネー同士をより適切に区別して管理することができる装置、方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】利用者の端末装置で動作するアプリケーションプログラムとの協働により、前記利用者に電子決済サービスを提供する決済管理装置であって、前記電子決済サービスを実現する決済処理部であって、第1種別の電子マネーまたは/および第2種別の電子マネーを使用した決済機能を有する決済処理部と、前記第1種別の電子マネーおよび前記第2種別の電子マネーの残高を管理する残高管理部と、を備え、前記残高管理部は、利用者が前記電子決済サービスにおいて保有することができる前記第1種別の電子マネーの残高上限金額を、前記第2種別の電子マネーの利用可否に関する設定の状態に応じて変更する、決済管理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の端末装置で動作するアプリケーションプログラムとの協働により、前記利用者に電子決済サービスを提供する決済管理装置であって、
前記電子決済サービスを実現する決済処理部であって、第1種別の電子マネーまたは/および第2種別の電子マネーを使用した決済機能を有する決済処理部と、
前記第1種別の電子マネーおよび前記第2種別の電子マネーの残高を管理する残高管理部と、
を備え、
前記残高管理部は、利用者が前記電子決済サービスにおいて保有することができる前記第1種別の電子マネーの残高上限金額を、前記第2種別の電子マネーの利用可否に関する設定の状態に応じて変更する、
決済管理装置。
【請求項2】
前記第2種別の電子マネーは、利用者の利用申し込みにより利用可能となるものであり、
前記残高管理部は、前記端末装置から前記利用申し込みを受けた場合に、前記設定の内容を前記第2種別の電子マネーを利用可能とする内容に変更する、
請求項1に記載の決済管理装置。
【請求項3】
前記残高管理部は、前記利用申し込みを受け付けた場合において、前記第1種別の電子マネーの残高が変更後の残高上限金額以下である場合に前記第1種別の電子マネーの残高上限金額を変更する、
請求項2に記載の決済管理装置。
【請求項4】
前記残高管理部は、前記利用申し込みを受け付けた場合において、前記第1種別の電子マネーの残高が変更後の残高上限金額を超えている場合、前記第1種別の電子マネーの残高が変更後の残高上限金額以下となるように出金することを前記利用者に促すための通知を行う、
請求項3に記載の決済管理装置。
【請求項5】
前記残高管理部は、前記利用申し込みを受け付けた場合において、前記第1種別の電子マネーの残高が変更後の残高上限金額を超えている場合、前記第1種別の電子マネーの残高が変更後の残高上限金額以下となるように、前記第1種別の電子マネーの残高の一部または全部を前記利用者が予め指定した金融機関口座に出金する処理を行う、
請求項3に記載の決済管理装置。
【請求項6】
前記第2種別の電子マネーは、利用者の解約申し込みにより利用不可となるものであり、
前記残高管理部は、前記端末装置から前記解約申し込みを受けた場合に、前記設定の内容を前記第2種別の電子マネーを利用不可とする内容に変更する、
請求項1に記載の決済管理装置。
【請求項7】
前記残高管理部は、前記解約申し込みを受け付けた場合において、前記第2種別の電子マネーの残高が0である場合に前記第1種別の電子マネーの残高上限金額を変更する、
請求項6に記載の決済管理装置。
【請求項8】
前記残高管理部は、前記解約申し込みを受け付けた場合において、前記第2種別の電子マネーの残高が0より大きい場合、前記第2種別の電子マネーの残高の全額を出金することを前記利用者に促すための通知を行う、
請求項7に記載の決済管理装置。
【請求項9】
前記残高管理部は、前記解約申し込みを受け付けた場合において、前記第2種別の電子マネーの残高が0より大きい場合、前記第2種別の電子マネーの残高の全額を、前記利用者が予め指定した金融機関口座に出金する処理を行う、
請求項7に記載の決済管理装置。
【請求項10】
前記第2種別の電子マネーが利用可能な状態において、前記第1種別の電子マネーの残高上限金額と、前記第1種別の電子マネーの残高上限金額との合計は、前記第2種別の電子マネーが利用できない状態における、前記第1種別の電子マネーの残高上限金額に一致する、
請求項1に記載の決済管理装置。
【請求項11】
前記第2種別の電子マネーは、利用者が給与として支払われた現金の一部または全部を前記電子決済サービスにおいて使用可能な電子マネーとして受け取ったものである、
請求項1に記載の決済管理装置。
【請求項12】
利用者の端末装置で動作するアプリケーションプログラムとの協働により、前記利用者に電子決済サービスを提供する決済管理装置が、
前記電子決済サービスを実現する機能であって、第1種別の電子マネーまたは/および第2種別の電子マネーを使用した決済を可能にする機能を実現するための決済処理と、
前記第1種別の電子マネーおよび前記第2種別の電子マネーの残高を管理する残高管理処理と、
を実行する決済管理方法であって、
前記残高管理処理は、利用者が前記電子決済サービスにおいて保有することができる前記第1種別の電子マネーの残高上限金額を、前記第2種別の電子マネーの利用可否に関する設定の状態に応じて変更するものである、
決済管理方法。
【請求項13】
利用者の端末装置で動作するアプリケーションプログラムとの協働により、前記利用者に電子決済サービスを提供する決済管理装置に、
前記電子決済サービスを実現する機能であって、第1種別の電子マネーまたは/および第2種別の電子マネーを使用した決済を可能にする機能を実現するための決済処理と、
前記第1種別の電子マネーおよび前記第2種別の電子マネーの残高を管理する残高管理処理と、
を実行させるためのプログラムであって、
前記残高管理処理は、利用者が前記電子決済サービスにおいて保有することができる前記第1種別の電子マネーの残高上限金額を、前記第2種別の電子マネーの利用可否に関する設定の状態に応じて変更するものである、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済管理装置、決済管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資金移動業者が提供する電子決済サービスにおいて、会社の口座と従業員の口座間で給与由来の資金を電子マネーとして移動させることにより、賃金(給与)を電子マネーの形態で支払う、いわゆる「デジタル給与」(給与デジタル払い)が制度化されたことを受け、デジタル給与のサービス提供方法について様々な検討が行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、給与デジタル払いに対応した電子決済サービスにおいて、電子マネー残高の管理方法において給与由来の電子マネーと他の電子マネーとの区別が適切でなく、電子マネーの利便性を低下させてしまう可能性があった。また、給与デジタルのサービスに限らず、新たな種別の電子マネーのサービスを開始した場合においても、同様の課題が発生する可能性があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、電子決済サービスにおいて、電子マネー残高の管理方法において種別の異なる電子マネー同士をより適切に区別して管理することができる決済管理装置、決済管理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、利用者の端末装置で動作するアプリケーションプログラムとの協働により、前記利用者に電子決済サービスを提供する決済管理装置であって、前記電子決済サービスを実現する決済処理部であって、第1種別の電子マネーまたは/および第2種別の電子マネーを使用した決済機能を有する決済処理部と、前記第1種別の電子マネーおよび前記第2種別の電子マネーの残高を管理する残高管理部と、を備え、前記残高管理部は、利用者が前記電子決済サービスにおいて保有することができる前記第1種別の電子マネーの残高上限金額を、前記第2種別の電子マネーの利用可否に関する設定の状態に応じて変更する、決済管理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、給与デジタル払いに対応した電子決済サービスにおいて、電子マネー残高の管理方法において給与由来の電子マネーと他の電子マネーとをより適切に区別して管理することができる決済管理装置、決済管理方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。
【
図2】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図(その1)である。
【
図3】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図(その2)である。
【
図4】第1実施形態に係る決済サーバ100の構成図である。
【
図5】利用者情報172の内容の一例を示す図である。
【
図6】加盟店/店舗情報176の内容の一例を示す図である。
【
図7】残高上限情報178の内容の一例を示す図である。
【
図8】デジタル給与サービスの利用開始処理の概略を示す図である。
【
図9】デジタル給与サービスの利用開始処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。
【
図10】利用開始処理における給与ウォレット開設のイメージ図である。
【
図11】デジタル給与サービスの解約処理の概略を示す図である。
【
図12】デジタル給与サービスの解約処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。
【
図13】解約処理における給与ウォレット閉鎖のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の決済管理装置、決済管理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。以下に登場する「サーバ」、「管理装置」「情報提供装置」などの、利用者にサービスを提供したり内部解析を行ったりするための各種装置は、分散化された装置群によって実現されてよく、それぞれの装置を運用する事業者は異なってもよい。また装置のハードウェアの保有者(クラウドサーバの提供者)と実質的な運用を行う事業者も異なってよい。アプリケーションプログラムと決済サーバは、協働して電子決済サービスを提供する。以下の説明ではアプリケーションプログラムを決済アプリと称する。電子決済サービスは、店舗における商品やサービスの購買に係る決済をサポートするサービスである。店舗とは、例えば、現実空間に存在する物理的な店舗(実店舗)であるが、電子商取引の仮想店舗を含んでもよい。仮想店舗は、電子決済サービスの運営者とは異なる主体によって提供されるものを含んでもよい。その場合、仮想店舗における買い物の決済の際に、電子決済サービスのインターフェース画面に遷移するように制御される。電子決済サービスにおいて、店舗は、例えば加盟店(ブランド)に属するものとして扱われ、店舗において購買行動が行われた際の決済などの処理は、主として利用者と加盟店の間で行われる。これに代えて、決済などの処理が利用者と店舗との間で行われてもよい。
【0010】
[電子決済サービス]
図1は、電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。電子決済サービスは、決済サーバ100を中心として実現される。決済サーバ100は、例えば、一以上の利用者端末装置10、一以上の第1店舗端末装置50、及び一以上の第2店舗端末装置70のそれぞれとネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。
【0011】
利用者端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。利用者端末装置10は、少なくとも、光学読取機能、通信機能、表示機能、入力受付機能、プログラム実行機能を有するコンピュータ装置である。以下の説明では、これらの機能を実現するための構成をそれぞれカメラ、通信装置、タッチパネル、CPU(Central Processing Unit)等と称する。利用者端末装置10では、CPU等のプロセッサにより決済アプリ20が実行されることで、決済サーバ100と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。決済アプリ20は、例えば、アプリケーションストアから利用者端末装置10にインストールされ、カメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。
【0012】
第1店舗端末装置50は、例えば、店舗に設置される。第1店舗端末装置50は、少なくとも、商品価格取得機能、光学読取機能、プログラム実行機能、通信機能を有するコンピュータ装置である。第1店舗端末装置50は、いわゆるPOS(Point of Sale)装置を含み、POS装置によって商品価格取得機能や光学読取機能を実現してもよい。店舗コード画像60は、店舗に置かれ、QRコード(登録商標)等のコード画像が紙やプラスチックの媒体に印刷されたものである。なお、店舗コード画像60は、店舗に置かれたディスプレイ(スマートフォンなどの端末装置のディスプレイでもよい)によって表示されてもよい。
【0013】
第2店舗端末装置70は、加盟店の運営者によって使用される。第2店舗端末装置70は、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。第2店舗端末装置70では、加盟店向けインターフェース72が動作する。加盟店向けインターフェース72は、加盟店向けアプリであってもよいし、ブラウザであってもよい。加盟店向けインターフェース72は、加盟店の運営者によるクーポンの設定等を受け付け、決済サーバ100に送信する。スマートフォンである第2店舗端末装置70は、加盟店向けアプリを実行することで、店舗コード画像に相当するコード画像を表示したり、利用者端末装置10が表示するコード画像を読み取ったりする機能を有する。
【0014】
決済サーバ100は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から受信した決済情報に基づいて電子決済を実現する。第1店舗端末装置50は、POS装置と加盟店サーバを含む場合があり、その場合、POS装置から加盟店サーバを介して決済情報が決済サーバ100に送信される。以下の説明では、これを特に区別せず、第1店舗端末装置50から決済情報が送信されるものとする。
【0015】
図2および
図3は、電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図である。電子決済には、パターン1とパターン2の二つが存在してよい。
【0016】
図2に示すパターン1(以下、ユーザスキャンと称する)の場合、決済アプリ20が起動した状態の利用者端末装置10が、光学読取機能によって店舗コード画像60をデコードする(S1)。店舗コード画像60には、店舗URL(Uniform Resource Locator)の情報が含まれている。この店舗URLは、電子決済サービスのドメインに対して店舗を識別可能な情報が付加されたものであり、決済サーバ100において加盟店IDや店舗ID等との対応付けがなされている(後述)。決済アプリ20は、店舗URLとアカウントIDを含む第1決済情報を決済サーバ100に送信する(S2)。決済サーバ100は、店舗URLに対応する加盟店ID、店舗IDから、店舗情報(後述)を検索して加盟店名と店舗名の情報を取得し(S3)、決済アプリ20に送信する(S4)。利用者は、加盟店名や店舗名が表示された画面において、決済金額を利用者端末装置10に入力する(S5)。そして、利用者端末装置10は、少なくとも決済金額を含む第2決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S6)。決済サーバ100は、受信した第2決済情報に基づいて電子決済を行う(S7)。そして、決済サーバ100は、決済完了通知(決済完了画面を表示するための情報)を決済アプリ20に送信し(S8)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S9)。なお、店舗コード画像60が店舗に置かれたディスプレイによって表示される場合、店舗コード画像60には、店舗URLだけでなく決済金額の情報が含まれる場合がある。この場合、利用者が決済金額を入力する手順が省略され、第1決済情報に決済金額の情報が含められて決済サーバ100に送信される。加盟店名や店舗名の情報は、決済完了画面に含めて表示されてよい。
【0017】
図3に示すパターン2(以下、ストアスキャンと称する)の場合、決済アプリ20の起動時、決済アプリ20において支払う操作が行われたとき、自動更新のタイミング(例えば1分おき)になったとき、およびその他のタイミングで、決済アプリ20はワンタイムコードの発行要求を決済サーバ100に送信する(S11)。決済サーバ100はワンタイムコードを生成し(S12)、決済アプリ20に送信する(S13)。決済アプリ20は、ワンタイムコードに基づいて生成した、QRコードやバーコード等のコード画像を表示する(S14)。利用者は利用者端末装置10の表示面を第1店舗端末装置50に翳し(提示し)、第1店舗端末装置50は、光学読取機能によってコード画像をデコードし、ワンタイムコード等を取得する(S15)。そして、第1店舗端末装置50は、ワンタイムコード、決済金額、加盟店ID、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S16)。決済金額の情報は、予めバーコード読み取りや手入力等によって取得されている。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて、ワンタイムコードに対応する利用者を特定し、電子決済を行う(S17)。そして、決済サーバ100は、決済完了通知を決済アプリ20に送信し(S18)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S19)。
【0018】
なお、上記のいずれか一方のみのパターンで電子決済が行われてもよい。また、
図2で説明した「アカウントID」は、利用者の識別情報として用いられ得る他の情報(例えば電話番号)であってもよい。また、ストアスキャンにおいてワンタイムコードの発行が省略され、決済アプリ20は、利用者のアカウントIDに基づいて生成したコード画像を表示してもよい。その場合、決済サーバ100は、ワンタイムコードに対応する利用者を特定するのに代えて、アカウントIDに対応する利用者を特定する。
【0019】
[デジタル給与サービス]
決済サーバ100は、上述した電子決済サービスの基本機能に加えて、利用者にデジタル給与サービスを提供する機能を有する。デジタル給与サービスは、いわゆる「デジタル給与(給与デジタル払い)」の制度に基づいて、利用者が給与の一部または全部を電子決済サービスで利用可能な電子マネーとして受け取ることを可能にするためのサービスである。決済サーバ100は、デジタル給与サービスの利用登録を行った利用者について、給与として受け取った電子マネー(以下「給与由来の電子マネー」という。)を、他の電子マネーと区別して管理する。例えば、本実施形態において、決済サーバ100は、他の電子マネー残高を管理するためのウォレットとは異なる専用のウォレットで給与由来の電子マネー残高を管理するものである。以下では、給与由来の電子マネー残高を管理するための専用ウォレットを「給与ウォレット」と称し、由来の異なる他の電子マネー残高を管理するためのウォレットを「通常ウォレット」と称する。
【0020】
例えば、他の電子マネーには、関連法規や入金経路、使用用途、目的等に応じて分類され得る複数の種別の電子マネーが含まれてよい。例えば、他の電子マネーは、銀行口座からの引き落としやクレジットカード払いなどによって利用者がチャージしたものであってもよいし、電子決済サービスの利用者間で送金されたものであってもよい。また、他の電子マネーは、使用上の制限の有無や、制限の種別等に基づいて分類されたものであってもよい。例えば、他の電子マネーは、外部の金融機関口座に送金可能な電子マネーと、外部の金融機関口座に送金できない電子マネーとに分類されるものであってもよい。また、他の電子マネーには、電子マネーと同様に使用可能なポイント等の価値が含まれてもよい。また、他の電子マネーに複数の種別の電子マネーが含まれる場合、各種別の電子マネー残高は、種別ごとに異なるウォレットで管理されるものであってもよいし、一部または全ての種別において共通のウォレットで管理されるものであってもよい。
【0021】
上述のとおり、本実施形態における「他の電子マネー」は、給与由来の電子マネーと区別して管理されるべき任意種別の電子マネーを含む概念であるが、以下の説明では、簡単のため、利用者が銀行口座からの引き落としやクレジットカード払いなどによって電子決済口座にチャージした電子マネーを「他の電子マネー」と想定するものとする。また、以下の説明では、給与由来の電子マネーを「給与マネー」と称し、他の電子マネーとしてチャージされた電子マネーを「通常マネー」と称する場合がある。
【0022】
提携銀行サーバ200は、決済サーバ100に対してデジタル給与サービス用の仮想口座の貸し出しを行う銀行(以下「提携銀行」という。)のコンピュータシステムである。仮想口座とは、提携銀行において電子決済サービスの運営者が所有する同一の銀行口座(以下、決済事業者口座という)に紐づけられる複数の仮想的な口座である。仮想口座は、通常の銀行口座としての機能を有するものではなく、振込先を特定するための固有の番号情報であり、各種振込を受け付けるための専用口座として機能するものである。提携銀行は、電子決済サービスの運営者とは異なる事業体の運営者が運営するものであってもよいし、電子決済サービスの運営者と同じ事業体の運営者が運営するものであってもよい。提携銀行サーバ200は、1以上のコンピュータにより構成され、ネットワークNWを介して決済サーバ100および支払元サーバ300と通信可能である。提携銀行サーバ200は、仮想口座の提供機能のみを有するものであってもよいし、当該機能に加えて、入出金や振り込み、送金等の一般的な銀行サービスを提供するための機能を有するものであってもよい。
【0023】
より具体的には、提携銀行サーバ200が決済サーバ100に対して提供する仮想口座は、デジタル給与サービスの利用者ごとに、振込入金用の専用口座として使用される。決済サーバ100は、デジタル給与サービスの利用者について、提携銀行サーバ200から貸し出された専用口座の口座情報を利用者の識別情報に関連付けて登録・管理する。提携銀行サーバ200は、対象の利用者について、支払元サーバ300から専用口座への給与振り込みを受け付ける。実際には、利用者の給与は決済事業者口座に振り込まれ、振り込まれた金額が当該利用者の専用口座で管理される。決済サーバ100は、利用者の専用口座に振り込まれた給与のうち、予め利用者が設定した金額の電子マネーを利用者の電子決済口座に入金する。決済サーバ100は、利用者の専用口座から入金した電子マネーを給与マネーとして通常マネーとは区別して管理する。
【0024】
このように、本実施形態では、仮想口座経由で入金された給与マネーと、他の入金経路で入金された通常マネーとを区別して管理する場合について説明するが、利用者に給与を支払う事業者が電子決済サービスのアカウントを有し、電子決済口座間で直接給与マネーの受け渡しが行われることも想定される。この場合、決済サーバ100は、当該事業者のアカウントから利用者のアカウントに送金を行う際に、送金する電子マネーの種別(例えば、給与マネー、通常マネーなど)を選択させるようにし、送金時に指定された種別ごとに電子マネーの管理を分けるように構成されてもよい。
【0025】
支払元サーバ300は、利用者に対して給与を支払う事業者が、利用者に給与を支払うための資金を管理するための口座を有している銀行のコンピュータシステムである。支払元サーバ300は、1以上のコンピュータにより構成され、ネットワークNWを介して提携銀行サーバ200と通信可能である。支払元サーバ300を運営する銀行は、提携銀行であってもよいし、提携銀行以外の銀行であってもよい。
【0026】
[決済サーバ]
図4は、第1実施形態に係る決済サーバ100の構成図である。決済サーバ100は、例えば、通信部110と、決済コンテンツ提供部120と、決済処理部130と、情報管理部140と、記憶部170とを備える。通信部110および記憶部170以外の構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0027】
記憶部170は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。記憶部170は、決済サーバ100がネットワークを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。記憶部170には、利用者情報172、決済コンテンツ情報174、加盟店/店舗情報176、残高上限情報178などの情報が格納される。
【0028】
通信部110は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。通信部110は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0029】
決済コンテンツ提供部120は、例えば、Webサーバの機能を有し、電子決済サービスの各種画面を表示するための情報(コンテンツ)を利用者端末装置10に提供する。決済コンテンツ提供部120は、決済コンテンツ情報174から適宜、必要なコンテンツを読み出して利用者端末装置10に提供する。利用者端末装置10は、決済アプリ20によってコンテンツが再生された状態で利用者による各種入力を受け付け、前述した決済情報などを決済サーバ100に送信する。
【0030】
決済処理部130は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50により送信された決済情報に基づいて、決済処理を行う。決済処理部130は、利用者情報172を参照しながら決済処理を行う。
【0031】
図5は、利用者情報172の内容の一例を示す図である。利用者情報172は、利用者の登録情報の一例である。利用者情報172は、例えば、利用者URL、アカウントID、電話番号、パスワードの他、メールアドレス、利用者ID、氏名・住所・生年月日、登録日、チャージ残高、後払い設定、後払い枠、後払い利用額、後払い利用可能額、決済方法設定、銀行口座、クレジットカード番号、チャージ履歴情報、決済履歴情報、デジタル給与設定、給与マネー残高、給与マネー残高上限超過額、通常マネー残高上限超過額などの情報が対応付けられたものである。利用者URLは、利用者間の送金処理に使用される。電子決済サービスへの新規登録時には、電話番号およびパスワードの登録が必須となる。アカウントIDは、決済サーバ100によって利用者に発行されるものであり、利用者IDは、利用者が任意に設定できる(設定しなくてもよい)IDである。メールアドレス、および氏名・住所・生年月日も同様に、利用者が任意に設定できる(設定しなくてもよい)情報である。登録日とは利用者が電子決済サービスに登録した日(アカウントを作成した日)である。以下、これらの情報が対応付けられた利用者のインスタンス(電子決済口座)のことをアカウントと称する。
【0032】
チャージ残高は、利用者が予めアカウントに送金することで設定された電子マネーの残高を示す情報である。送金の手段としては、指定業者(銀行)のATM(Automatic Teller Machine)からの送金、登録された銀行口座からの送金などがある。後払い設定は、後払いによる電子決済を可能とするための設定が済んでいるか否かを示す情報であり、「済」と「未」のいずれかに設定される。後払い枠は月ごとに利用可能な後払いの限度額であり、後払い利用額は、当月に既に利用された後払いの金額であり、後払い利用可能額は、後払い枠から後払い利用額を差し引いて求められる、当月に利用可能な後払いの金額である。図では後払い枠を一つだけ示しているが、実際には更に日ごとの上限額などが存在し、それらの低い方が後払い枠に設定されてよい。後払いの更なる詳細については後述する。決済方法設定は、その時点において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか、後払いによる決済を行うのかを示す設定情報である。銀行口座とクレジットカード番号のそれぞれは、電子決済サービスに入金可能な銀行口座またはクレジットカード番号の情報(口座番号、カード番号)である。チャージ履歴情報は、利用者が予め電子決済サービスに送金してチャージ残高を増加させた履歴である。決済履歴情報は、利用者が行った決済の内訳(日時、購買行動が行われた店舗の店舗ID、決済金額、決済方法など)を、決済ごとに示す情報である。
【0033】
デジタル給与設定は、デジタル給与サービスの利用設定が済んでいるか否かを示す情報であり、「済」と「未」のいずれかに設定される。例えば、決済サーバ100は、利用者からデジタル給与サービスの利用申し込みを受け付けると、当該利用者の電子決済口座に給与ウォレットを追加してデジタル給与設定を「済」に変更する。また、例えば、決済サーバ100は、利用者からデジタル給与サービスの解約申し込みを受け付けると、当該利用者の電子決済口座から給与ウォレットを削除してデジタル給与設定を「未」に変更する。なお、解約申し込みを受け付けた際に給与ウォレットの残高が0でなかった場合、決済サーバ100は、給与ウォレットの残高を利用者が指定した金融機関口座に送金(出金)した上で給与ウォレットを削除してもよいし、利用者に給与ウォレットの残高を0にした上で申し込みを行うように促してもよい。
【0034】
給与マネー残高は、デジタル給与サービスの利用者(すなわち、デジタル給与設定が「済」の利用者)が保有している給与マネーの残高である。すなわち、給与マネー残高は、給与ウォレットの残高である。給与マネー残高上限超過額は、利用者の電子決済口座において発生する給与マネーのうち、給与ウォレットに保管することができない電子マネーの金額である。より具体的には、給与マネー残高上限超過額は、利用者の電子決済口座において発生する給与マネーのうち、給与ウォレットに保管することができる電子マネーの上限金額を超えた分の金額である。同様に、通常マネー残高上限超過額は、利用者の電子決済口座において発生する通常マネーのうち、通常ウォレットに保管することができない電子マネーの金額である。より具体的には、通常マネー残高上限超過額は、利用者の電子決済口座において発生する通常マネーのうち、通常ウォレットに保管することができる電子マネーの上限金額を超えた分の金額である。
【0035】
一般に、関連法規やサービスの利便性、安全性などの観点から、利用者が電子決済口座において保有することができる電子マネーの金額には上限が設けられる場合がある。このような制限が設けられる関係上、基本的には、電子決済サービスにおいて、電子マネー残高が当該上限金額を超えないように各種サービスの利用が制限されるものである。例えば、チャージ後のウォレット残高が上限金額を超えるようなチャージ操作は行えないように制限される。しかしながら、このようなサービス利用の制限が行われた場合でも、返品等の返金事由が生じるタイミングによっては、ウォレットの上限金額以上の電子マネーが発生してしまうことがある。例えば、返金のタイミングにおいて、ウォレット残高と上限金額との差が返金額よりも小さい場合、返金額の一部をウォレットに戻すことができないといった状況が発生し得る。上述の給与マネー残高上限超過額および通常マネー残高上限超過額は、このように、例外的に発生し得る上限超過分の電子マネーを適切に取り扱うために管理されるものである。
【0036】
上限超過分の電子マネーの取り扱いとして、例えば、決済サーバ100は、ウォレットの残高が上限金額未満である場合、超過分の金額の一部または全部をウォレットに戻すように構成されてもよい。より具体的には、決済サーバ100は、ウォレットの残高が上限金額未満である場合、上限金額と残高との差額(ウォレット残高の空き)を計算し、当該差額以下の金額を超過分から減算することにより超過分として管理されている金額を減らし、減らした分の金額をウォレット残高に追加する(戻す)ように構成されてもよい。決済サーバ100は、当該差額が超過分の全額を超える場合に、当該超過分の全額をウォレット残高に戻すように構成されてもよい。決済サーバ100は、当該差額が超過分の全額を超えない場合に、当該差額以下の金額をウォレットに戻すように構成されてもよい。決済サーバ100は、当該差額が所定の閾値を超えた場合に、当該閾値分の金額をウォレットに戻すように構成されてもよい。
【0037】
また、例えば、決済サーバ100は、利用者が指定した金融機関口座に超過分の金額を出金するように構成されてもよい。この場合、決済サーバ100は、利用者による事前設定に基づいて自動的に出金を行うように構成されてもよいし、利用者に対して超過分の出金を行うことについての承認を要求し、当該要求に対する承認操作が入力された場合に出金を行うように構成されてもよい。また、例えば、決済サーバ100は、利用者に対して、超過分の金額の出金を促す通知を行うように構成されてもよい。
【0038】
図6は、加盟店/店舗情報176の内容の一例を示す図である。加盟店/店舗情報176は、例えば、店舗URLに対して加盟店IDと店舗IDが対応付けられた第1テーブル176Aと、加盟店IDに対して加盟店名と売上金(前述)が対応付けられた第2テーブル176Bと、店舗IDに対して店舗名が対応付けられた第3テーブル176Cとを含む。加盟店/店舗情報176には、これらの情報の他、加盟店または店舗のカテゴリ、店舗の所在地、決済パターン等の情報が含まれてもよい。
【0039】
情報管理部140は、利用者端末装置10や第2店舗端末装置70から取得した情報に基づいて、利用者情報172および加盟店/店舗情報176を管理する。情報管理部140は、利用者情報172、および加盟店/店舗情報176について新規レコードの追加、編集、削除などを行う。
【0040】
[電子決済]
決済処理部130は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から決済情報が取得されると、利用者情報172を参照して当該利用者の「決済方法設定」を取得する。決済処理部130は、「決済方法設定」が「チャージ残高」に設定されている利用者に関して、以下のように電子決済を行う。決済処理部130は、例えば、利用者IDに対応付けて管理しているチャージ残高を減少させ、加盟店の売上金の項目値を増加させることで、電子決済を行う。加盟店の売上金の項目値は、例えば、それ自体が電子マネーとして使用されるものでは無く、加盟店と電子決済サービスとの取り決めに応じたサイクルで、売上金の項目値に対応する金額が銀行口座に送金される。
【0041】
決済処理部130は、「設定情報」が「後払い」に設定されている利用者に関して、以下のように電子決済を行う。後払いとは、電子決済サービスの運営者とは別主体であるクレジットカード会社との連携による「クレジット払い」とは別枠で設定されるものであり、電子決済サービスの運営者が与信者となって、後払い枠の範囲内でチャージ残高に依存しない電子決済を許容するものである。なお後払いサービスを受けるために、電子決済サービスの運営者が提供するクレジットカードの取得が要求されてよい。後払いで利用された金額は、一か月分まとめて翌月の支払日に、例えば銀行口座からの引き落としによって決済される。この場合、決済処理部130は、後払い利用額に決済金額を加算し、後払い利用可能額から同額を差し引くことで暫定決済を行い、締め日になると上記のように当月分の決済を翌月の支払い日に引き落とすための処理を行う、或いはクレジットカード会社の運営者に当該処理を依頼する。なお暫定決済の時点で決済金額が後払い利用可能額を超える場合は、エラー通知が決済アプリ20に返信される。
【0042】
[給与ウォレットおよび通常ウォレットの管理]
情報管理部140は、利用者情報172および残高上限情報178に基づいて、給与ウォレットおよび通常ウォレットのそれぞれについて電子マネーの残高管理を行う。例えば、情報管理部140は、決済アプリ20との協働により、利用者の通常ウォレットに指定額を入金(チャージ)する機能を有する。より具体的には、情報管理部140は、決済アプリ20を介してチャージする金額および出金元の指定を受け付け、指定された出金元から指定された金額を出金して通常ウォレットの残高(チャージ残高)に加算することにより、利用者の電子決済口座に電子マネーをチャージすることができる。出金元は、銀行口座であってもよいし、クレジットカードの与信枠であってもよい。
【0043】
また、情報管理部140は、デジタル給与サービスの利用者について、支払元サーバ300から提携銀行サーバ200で管理される利用者の専用口座(仮想口座)に給与振り込みがあった場合に、給与の一部または全部を給与マネーとして当該利用者の給与ウォレットにチャージ(入金)する。また、情報管理部140は、ウォレット残高を用いて支払いを行う決済が発生した場合、ウォレット残高を決済金額分だけ減少させることにより決済取引を成立させる。なお、支払いには、給与ウォレットの残高と通常ウォレットの残高のいずれか一方が用いられてもよいし、両方が用いられてもよい。また、どちらのウォレット残高を使用するか、や、両方のウォレット残高をどのように使用するかなどの設定は、利用者が決済時に指定できるように構成されてもよいし、予め登録された設定情報に基づいて決定されるように構成されてもよい。
【0044】
また、情報管理部140は、デジタル給与サービスについて利用申し込みや解約の申し込みを受け付ける機能を有する。例えば、情報管理部140は、デジタル給与サービスの利用申し込みを受け付けた場合、残高上限情報178に基づいて利用開始処理を実行することにより、当該利用者の電子決済口座に給与ウォレットを開設する。また、例えば、情報管理部140は、デジタル給与サービスの解約申し込みを受け付けた場合、残高上限情報178に基づいて解約処理を実行することにより、当該利用者の電子決済口座に給与ウォレットを閉鎖する。利用開始処理および解約処理の詳細については後述する。
【0045】
図7は、残高上限情報178の内容の一例を示す図である。残高上限情報178は、例えば、デジタル給与設定の各種別(「済」または「未」)に対して、種別に応じたウォレットごとの残高上限金額が対応付けられたテーブルとして管理される。残高上限情報178は、デジタル給与サービスの全ての利用者について共通の設定値(既定値)として参照されるものである。決済サーバ100は、デジタル給与設定の値で利用者情報172と残高上限情報178を紐づけることにより、各利用者に適用すべき上限金額の値を認識することができる。
図7は、デジタル給与サービスを利用する利用者(デジタル給与設定が「済」の利用者)について、給与ウォレットの残高上限金額、通常ウォレットの残高上限金額をそれぞれ20万円、80万円とし、デジタル給与サービスを利用しない利用者(デジタル給与設定が「未」の利用者)について、通常ウォレットの残高上限金額を100万円とする場合の残高上限情報178の設定例である。
【0046】
なお、
図7では、デジタル給与設定が「済」の場合における給与ウォレットの残高上限金額と、通常ウォレットの残高上限金額の合計が100万円であり、デジタル給与設定が「未」の場合における通常ウォレットの残高上限金額が100万円である場合について例示しているが、この例は、各利用者が電子決済口座において使用可能な電子マネー残高全体の上限金額を100万円とした場合の例であり、この金額は、関連法規に準拠する限りにおいて、サービス提供者の裁量(運用方針やサービス条件等)により任意に変更されてよい。また、全体の上限金額(
図7の例では100万円)に対する給与ウォレットおよび通常ウォレットの各残高上限金額(
図7の例では20万円および80万円)の配分も、関連法規に準拠する限りにおいて、サービス提供者の裁量により任意に変更されてよいものである。
【0047】
[デジタル給与サービスの利用開始処理]
図8は、デジタル給与サービスの利用開始処理の概略を示す図である。
図8において、左側の図はデジタル給与サービスの利用開始前のウォレットの状態を表し、右側の図はデジタル給与サービスの利用開始後のウォレットの状態を表す。デジタル給与サービスの利用開始処理は、利用者の電子決済口座におけるウォレットの構成を、左図の利用開始前の構成から、右図の利用開始後の構成に切り替えるための処理である。より具体的には、利用開始処理は、給与ウォレットを開設し、開設した給与ウォレットと既存の通常ウォレットとのそれぞれに対して個別に新たな上限金額を設定するものである。さらに具体的には、利用開始処理は、利用者情報172においてデジタル給与設定、給与ウォレット残高、給与ウォレット残高上限超過額、および通常ウォレット残高上限超過額を、新たな上限金額に応じて初期化することに対応する。これにより、給与ウォレットと通常ウォレットとで個別に、上限超過額を管理することが可能となる。
【0048】
図9は、デジタル給与サービスの利用開始処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。まず、利用者端末装置10において、利用者が決済アプリ20を操作してデジタル給与サービスの利用申し込みを行う(S101)。決済アプリ20は、当該利用申し込みの処理要求を決済サーバ100に送信する(S102)。決済サーバ100は、S102の処理要求を受けて、当該利用者がデジタル給与サービスの利用申し込み条件を満たしているか否かを判定する(S103)。ここでは、例えば、デジタル給与サービスの提供または利用に関して、利用者が電子決済サービスの運営者が規定する要件や、法律上の要件を満たしていることなどが確認され得る。例えば、利用者が規定の年齢に達していることや、本人確認を行っていることなどが確認される。
【0049】
当該利用者について利用申し込み条件を満たしていることが確認されると、続いて、決済サーバ100は、利用者が通常ウォレットに保有している電子マネーの残高を参照し、当該残高がサービス提供開始後に適用される新たな上限金額以下であるか否かを判定する(S104)。ここで通常ウォレットの残高が新たな上限金額を超えている場合、決済サーバ100は、利用者に対して通常ウォレットの残高が新たな上限金額以下となるように出金することを促し(S105)、通常ウォレットの残高が新たな上限金額以下である場合、給与ウォレットの利用開始設定を行う(S106)。より具体的には、決済サーバ100は、デジタル給与設定を「済」に変更することにより給与ウォレットおよび通常ウォレットにそれぞれ新たな上限金額を設定するとともに、給与ウォレット残高および給与ウォレット残高上限超過額を0に初期化する。
【0050】
なお、S105において、決済サーバ100は、利用者に出金を促すことに加えて、現在の通常ウォレットの残高がサービス提供開始後に適用される新たな上限金額を超えている旨を明示的に通知してもよい。また、S105において、決済サーバ100は、利用者に出金を促すことに加えて、現在の通常ウォレットの残高が新たな上限金額を超過している金額(すなわち出金が必要な最小金額)を通知してもよい。また、S105において、決済サーバ100は、利用者に出金を促すことに加えて、電子マネーの出金操作を受け付ける出金画面へのリンク情報を通知してもよい。また、決済サーバ100は、利用者に代えてS105における出金処理を実行するように構成されてもよい。この場合、例えば、決済サーバ100は、S105において、利用者が予め出金先として登録した銀行口座の情報とともに、当該銀行口座への出金を行ってもよいかの確認を求める確認画面を決済アプリ20に表示させ、利用者の確認が得られた場合に出金処理を実行するように構成されてもよい。なお、利用者が複数の銀行口座を登録している場合、決済サーバ100は、確認画面において、振込先とする銀行口座の選択操作を受け付けてもよい。一方、決済サーバ100は、現在の通常ウォレット残高が新たな上限金額を超えている場合、デジタル給与サービスを利用不可とするように構成されてもよいし、サービス利用不可である旨を利用者に通知するように構成されてもよい。また、利用申し込み時の通常ウォレットの残高が新たな上限金額以下であることを利用申し込み条件に含め、通常ウォレットの残高が新たな上限金額を超える場合には利用申し込みを受け付けず、通常ウォレットの残高が新たな上限金額以下である場合に利用申し込みを受け付けるように構成されてもよい。
【0051】
給与ウォレットの利用開始設定が完了すると、決済サーバ100は、決済アプリ20に対してデジタル給与サービスに対応した決済コンテンツの提供を開始する(S107)。利用者端末装置10では、決済アプリ20が適宜決済サーバ100からデジタル給与サービスに対応した決済コンテンツを取得して表示する(S108)ことにより、利用者にデジタル給与サービスのユーザインターフェースを提供することが可能となる。
【0052】
図10は、利用開始処理における給与ウォレット開設のイメージ図である。
図10上段の図は、デジタル給与サービスの利用開始前における通常ウォレットの残高が、新たな上限金額以下である場合における給与ウォレット開設のイメージを表すものである。
図10の例では、変更後の上限金額80万円に対して通常ウォレットの残高は60万円である。この場合、通常ウォレットの残高が変更後の新たな上限金額以下であるので、出金により残高を減少させることなく、通常ウォレットの残高上限金額を変更することができる。この場合、通常ウォレットの残高が60万円のままで、新たな上限金額80万円に対して20万円分の余裕がある状態で、デジタル給与サービスの利用が開始される。
【0053】
一方、
図10下段の図は、デジタル給与サービスの利用開始前における通常ウォレットの残高が、新たな上限金額を超えている場合における給与ウォレット開設のイメージを表すものである。
図10の例では、変更後の上限金額80万円に対して通常ウォレット(上限金額は100万円)の残高は90万円である。この場合、通常ウォレットの残高が変更後の新たな上限金額を超えているので、通常ウォレットの残高上限金額を変更するためには、10万円以上の出金により残高を減少させる必要がある。
図10の例は、通常ウォレットの残高上限金額を変更するために、利用者が10万円を出金した場合を表しており、これにより通常ウォレットの残高が80万円に減少するので、通常ウォレットの残高上限金額を100万円から80万円に変更することができる。この場合、通常ウォレットの残高が80万円であり、電子マネーが新たな上限金額80万円まで保有された状態で、デジタル給与サービスの利用が開始される。
【0054】
[デジタル給与サービスの解約処理]
図11は、デジタル給与サービスの解約処理の概略を示す図である。
図11において、左側の図はデジタル給与サービスの解約前(サービス利用中)のウォレットの状態を表し、右側の図はデジタル給与サービスの解約後のウォレットの状態を表す。デジタル給与サービスの解約処理は、利用者の電子決済口座におけるウォレットの構成を、左図のサービス利用中の構成から、右図の解約後の構成に切り替えるための処理である。より具体的には、解約処理は、給与ウォレットを閉鎖し、通常ウォレットの残高上限金額を、デジタル給与サービスの利用開始前の上限金額(以下「元の上限金額」という。)に戻すものである。さらに具体的には、解約処理は、利用者情報172においてデジタル給与設定、給与ウォレット残高、給与ウォレット残高上限超過額、および通常ウォレット残高上限超過額を、新たな上限金額に応じて初期化することに対応する。これにより、元の上限金額で通常ウォレットのみを使用する状態に戻すことが可能となる。
【0055】
図12は、デジタル給与サービスの解約処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。まず、利用者端末装置10において、利用者が決済アプリ20を操作してデジタル給与サービスの解約申し込みを行う(S201)。決済アプリ20は、当該解約申し込みの処理要求を決済サーバ100に送信する(S202)。決済サーバ100は、S202の処理要求を受けて、当該利用者がデジタル給与サービスの解約条件を満たしているか否かを判定する(S203)。ここでは、例えば、デジタル給与サービスの提供または利用に関して、利用者が電子決済サービスの運営者が規定する要件や、法律上の要件を満たしていることなどが確認され得る。例えば、利用者が規定の年齢に達していることや、本人確認を行っていることなどが確認される。
【0056】
当該利用者について解約条件を満たしていることが確認されると、続いて、決済サーバ100は、利用者が給与ウォレットに保有している電子マネーの残高を参照し、当該残高が0であるか否かを判定する(S204)。ここで給与ウォレットの残高が0より大きい場合、決済サーバ100は、利用者に対して給与ウォレットの残高全額を出金することを促し(S205)、給与ウォレットの残高が0である場合、給与ウォレットの閉鎖設定を行う(S206)。より具体的には、決済サーバ100は、デジタル給与設定を「未」に変更することにより通常ウォレットに元の残高上限金額を設定する。ここで、解約前の通常ウォレットにおいて上限超過額がある場合、決済サーバ100は、超過額の一部または全部を変更後の上限金額に応じて通常ウォレットに戻してもよいし、利用者が予め指定した金融機関口座に出金してもよい。
【0057】
なお、S205において、決済サーバ100は、利用者に出金を促すことに加えて、給与ウォレットに残高がある旨を明示的に通知してもよい。また、S205において、決済サーバ100は、利用者に出金を促すことに加えて、現在の給与ウォレットの残高(すなわち出金が必要な金額)を通知してもよい。また、S205において、決済サーバ100は、利用者に出金を促すことに加えて、電子マネーの出金操作を受け付ける出金画面へのリンク情報を通知してもよい。また、決済サーバ100は、利用者に代えてS205における出金処理を実行するように構成されてもよい。この場合、例えば、決済サーバ100は、S205において、利用者が予め出金先として登録した銀行口座の情報とともに、当該銀行口座への出金を行ってもよいかの確認を求める確認画面を決済アプリ20に表示させ、利用者の確認が得られた場合に出金処理を実行するように構成されてもよい。なお、利用者が複数の銀行口座を登録している場合、決済サーバ100は、確認画面において、振込先とする銀行口座の選択操作を受け付けてもよい。一方、決済サーバ100は、現在の給与ウォレットに残高がある場合、デジタル給与サービスを解約不可とするように構成されてもよいし、解約不可である旨を利用者に通知するように構成されてもよい。また、解約申し込み時の給与ウォレットの残高が0であることを解約申し込み条件に含め、給与ウォレットの残高が0でない場合には解約申し込みを受け付けず、給与ウォレットの残高が0である場合に解約申し込みを受け付けるように構成されてもよい。
【0058】
給与ウォレットの閉鎖設定が完了すると、決済サーバ100は、決済アプリ20に対してデジタル給与サービスを含まない決済コンテンツの提供を開始する(S207)。利用者端末装置10では、決済アプリ20が適宜決済サーバ100からデジタル給与サービスを含まない決済コンテンツを取得して表示する(S208)ことにより、利用者にデジタル給与サービスを含まない電子決済サービスのユーザインターフェースを提供することが可能となる。
【0059】
図13は、解約処理における給与ウォレット閉鎖のイメージ図である。
図13は、デジタル給与サービスの解約前に給与ウォレットの残高が0でない場合における給与ウォレット閉鎖のイメージを表すものである。
図13の例では、閉鎖前の給与ウォレットに電子マネーが上限金額(20万円)まで保有されている。この場合、給与ウォレットを閉鎖するためには、給与ウォレットの残高の全額(ここでは20万円)を出金して0にする必要があるので、決済サーバ100は、給与ウォレットから残高全額を出金するように利用者に促す。例えば、決済サーバ100は、当該出金を促すメッセージを決済アプリ20に表示させる。決済サーバ100は、利用者により給与ウォレットの残高全額が出金された後、給与ウォレットを閉鎖して、通常ウォレットの残高上限金額を元の上限金額に変更する。この場合、通常ウォレットの残高が60万円のままで、元の上限金額100万円に対して40万円分の余裕がある状態で、デジタル給与サービスの解約が完了する。
【0060】
なお、デジタル給与サービスの解約前に行われた取引について、給与ウォレットへの返金がデジタル給与サービスの解約後に発生した場合、決済サーバ100は、本来給与ウォレットに戻されるべき返金額を、通常ウォレットの戻すように構成されてもよい。
【0061】
以上説明した実施形態によれば、給与デジタル払いに対応した電子決済サービスにおいて、給与マネーと他の電子マネーとを適切に区別することが可能となり、電子マネーの利便性を向上させることができる。
【0062】
<変形例>
上記実施形態では、デジタル給与サービスに対応した電子決済サービスにおいて、給与ウォレットと通常ウォレットの2種類のウォレットについて、残高上限金額がそれぞれ独立して個別に設定・管理される場合について説明した。一方、上述したとおり、通常ウォレットで管理される電子マネーは、関連法規や入金経路、使用用途、目的等に応じて分類され得る複数の種別の電子マネーが含まれてよいものである。すなわち、電子決済口座には、給与ウォレットに加えて、複数の通常ウォレットが設けられる場合がある。この場合、給与ウォレットおよび複数の通常ウォレットの残高上限金額は、その合計が電子決済口座の全体での上限金額となるように設定されてよい。
【0063】
また、上述のとおり、上記実施形態では、デジタル給与サービスに対応した電子決済サービスにおいて、給与マネーを通常マネーとは異なる別種別の電子マネーとして管理する場合について説明したが、通常マネーと別に管理される電子マネーは、給与由来のものに限定されない。通常マネーと別に管理される電子マネーは、関連法規や入金経路、使用用途、目的等に応じて分けて管理されるべきもの、分けて管理する方が都合がよいとされたものであれば、どのような種別の電子マネーであってもよい。上記実施形態の内容は、給与マネー以外の電子マネーであっても、給与マネーと同様に異なるウォレットで管理されるものに対しても同様に適用することができるものである。
【0064】
上記の実施形態では、給与ウォレットと通常ウォレットの2種類のウォレットのそれぞれに適用する残高上限金額が、電子決済サービスの運営者により予め個別に設定・登録される場合について説明したが、給与ウォレットの残高上限金額または通常ウォレットの残高上限金額は計算によって決定されるようにしてもよい。例えば、電子決済サービスの運営者は、デジタル給与サービスでの給与ウォレットに適用する残高上限金額を決済サーバ100に登録しておくようにしてもよい。この場合、決済サーバ100は、電子決済口座の全体での上限金額から、給与ウォレットの残高上限金額を減算して、通常ウォレットの残高上限金額を決定するように構成されてもよい。また、これとは逆に、電子決済サービスの運営者は、デジタル給与サービスでの通常ウォレットに適用する残高上限金額を決済サーバ100に登録しておくようにしてもよい。この場合、決済サーバ100は、電子決済口座の全体での上限金額から、通常ウォレットの残高上限金額を減算して、給与ウォレットの残高上限金額を決定するように構成されてもよい。また、例えば、電子決済サービスの運営者は、デジタル給与サービスでの給与ウォレットおよび通常ウォレットに適用する各残高上限金額について、比率を登録しておくようにしてもよい。この場合、決済サーバ100は、電子決済口座の全体での上限金額を、当該比率で按分することによって給与ウォレットおよび通常ウォレットの残高上限金額を決定するように構成されてもよい。
【0065】
上記の実施形態では、デジタル給与設定を変更することにより、給与ウォレットおよび通常ウォレットの残高上限金額の設定を変更する場合について説明したが、通常ウォレットの残高上限金額を変更する処理(第1処理)は、給与ウォレットの残高上限金額を変更する処理(第2処理)とは、それぞれ独立した処理として構成されてもよい。また、決済サーバ100において第1処理の実行主体と、第2処理の実行主体とが別に構成されてもよい。実行主体は機能部レベルで分割されてもよいし、スレッドレベルまたはプロセスレベルで分割されてもよい。この場合、決済サーバ100は、デジタル給与サービスの利用申し込みを受けて第2処理を実行し、第2処理を実行したことに応じて第1処理を実行するように構成されてもよい。すなわち、情報管理部140は、給与ウォレットの残高上限金額が変更された(変更した)ことに応じて、通常ウォレットの残高上限金額を変更するように構成されてもよい。同様に、デジタル給与設定の変更処理と、各ウォレットの残高上限金額を変更する処理とは、それぞれ独立した処理として構成されてもよい。すなわち、情報管理部140は、デジタル給与設定が変更されたことに応じて、給与ウォレットの残高上限金額および/または通常ウォレットの残高上限金額を変更するように構成されてもよい。また、デジタル給与設定は、給与マネーの使用可否を変更するための設定ということができるので、その意味でこの場合の情報管理部140は、通常ウォレットの残高上限金額を、デジタル給与設定の設定状態に応じて変更するものである、ということができる。
【0066】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0067】
10 利用者端末装置
20 決済アプリ
50 第1店舗端末装置
60 店舗コード画像
70 第2店舗端末装置
72 加盟店向けインターフェース
100 決済サーバ
110 通信部
120 決済コンテンツ提供部
130 決済処理部
140 情報管理部
170 記憶部
172 利用者情報
174 決済コンテンツ情報
176 加盟店/店舗情報
178 残高上限情報
200 提携銀行サーバ
300 支払元サーバ
【手続補正書】
【提出日】2024-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の端末装置で動作するアプリケーションプログラムとの協働により、前記利用者に電子決済サービスを提供する決済管理装置であって、
前記電子決済サービスを実現する決済処理部であって、前記利用者が前記電子決済サービスにおいて保有することができる第1種別の電子マネーまたは/および第2種別の電子マネーを使用した決済機能を有する決済処理部と、
前記第1種別の電子マネーおよび前記第2種別の電子マネーの残高を管理する残高管理部と、
を備え、
前記残高管理部は、前記第2種別の電子マネーの利用可否に関する設定の状態に応じて決定されている第1種別の電子マネーの残高上限金額および第2種別の電子マネーの残高上限金額に基づいて、第1種別の電子マネーの残高上限金額の変更、および第2種別の電子マネーの残高上限金額の設定を行う、
決済管理装置。
【請求項2】
前記第2種別の電子マネーは、利用者の利用申し込みにより利用可能となるものであり、
前記残高管理部は、前記端末装置から前記利用申し込みを受けた場合に、前記設定の内容を前記第2種別の電子マネーを利用可能とする内容に変更する、
請求項1に記載の決済管理装置。
【請求項3】
前記残高管理部は、前記利用申し込みを受け付けた場合において、前記第1種別の電子マネーの残高が変更後の残高上限金額以下である場合に前記第1種別の電子マネーの残高上限金額を変更する、
請求項2に記載の決済管理装置。
【請求項4】
前記残高管理部は、前記利用申し込みを受け付けた場合において、前記第1種別の電子マネーの残高が変更後の残高上限金額を超えている場合、前記第1種別の電子マネーの残高が変更後の残高上限金額以下となるように出金することを前記利用者に促すための通知を行う、
請求項3に記載の決済管理装置。
【請求項5】
前記残高管理部は、前記利用申し込みを受け付けた場合において、前記第1種別の電子マネーの残高が変更後の残高上限金額を超えている場合、前記第1種別の電子マネーの残高が変更後の残高上限金額以下となるように、前記第1種別の電子マネーの残高を前記利用者が予め指定した金融機関口座に出金する処理を行う、
請求項3に記載の決済管理装置。
【請求項6】
前記第2種別の電子マネーは、利用者の解約申し込みにより利用不可となるものであり、
前記残高管理部は、前記端末装置から前記解約申し込みを受けた場合に、前記設定の内容を前記第2種別の電子マネーを利用不可とする内容に変更する、
請求項1に記載の決済管理装置。
【請求項7】
前記残高管理部は、前記解約申し込みを受け付けた場合において、前記第2種別の電子マネーの残高が0である場合に前記第1種別の電子マネーの残高上限金額を変更する、
請求項6に記載の決済管理装置。
【請求項8】
前記残高管理部は、前記解約申し込みを受け付けた場合において、前記第2種別の電子マネーの残高が0より大きい場合、前記第2種別の電子マネーの残高の全額を出金することを前記利用者に促すための通知を行う、
請求項7に記載の決済管理装置。
【請求項9】
前記残高管理部は、前記解約申し込みを受け付けた場合において、前記第2種別の電子マネーの残高が0より大きい場合、前記第2種別の電子マネーの残高の全額を、前記利用者が予め指定した金融機関口座に出金する処理を行う、
請求項7に記載の決済管理装置。
【請求項10】
前記第2種別の電子マネーが利用可能な状態において、前記第1種別の電子マネーの残高上限金額と、前記第2種別の電子マネーの残高上限金額との合計は、前記第2種別の電子マネーが利用できない状態における、前記第1種別の電子マネーの残高上限金額に一致する、
請求項1に記載の決済管理装置。
【請求項11】
前記第2種別の電子マネーは、利用者が給与として支払われた現金の一部または全部を前記電子決済サービスにおいて使用可能な電子マネーとして受け取ったものである、
請求項1に記載の決済管理装置。
【請求項12】
利用者の端末装置で動作するアプリケーションプログラムとの協働により、前記利用者に電子決済サービスを提供する決済管理装置が、
前記電子決済サービスを実現する機能であって、前記利用者が前記電子決済サービスにおいて保有することができる第1種別の電子マネーまたは/および第2種別の電子マネーを使用した決済を可能にする機能を実現するための決済処理と、
前記第1種別の電子マネーおよび前記第2種別の電子マネーの残高を管理する残高管理処理と、
を実行する決済管理方法であって、
前記残高管理処理は、前記第2種別の電子マネーの利用可否に関する設定の状態に応じて決定されている第1種別の電子マネーの残高上限金額および第2種別の電子マネーの残高上限金額に基づいて、第1種別の電子マネーの残高上限金額の変更、および第2種別の電子マネーの残高上限金額の設定を行うものである、
決済管理方法。
【請求項13】
利用者の端末装置で動作するアプリケーションプログラムとの協働により、前記利用者に電子決済サービスを提供する決済管理装置に、
前記電子決済サービスを実現する機能であって、前記利用者が前記電子決済サービスにおいて保有することができる第1種別の電子マネーまたは/および第2種別の電子マネーを使用した決済を可能にする機能を実現するための決済処理と、
前記第1種別の電子マネーおよび前記第2種別の電子マネーの残高を管理する残高管理処理と、
を実行させるためのプログラムであって、
前記残高管理処理は、前記第2種別の電子マネーの利用可否に関する設定の状態に応じて決定されている第1種別の電子マネーの残高上限金額および第2種別の電子マネーの残高上限金額に基づいて、第1種別の電子マネーの残高上限金額の変更、および第2種別の電子マネーの残高上限金額の設定を行うものである、
プログラム。