(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099929
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】排水管カバー及び雨水排水構造
(51)【国際特許分類】
E04D 13/08 20060101AFI20250626BHJP
【FI】
E04D13/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216930
(22)【出願日】2023-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】四谷 智子
(72)【発明者】
【氏名】清水 尚輝
(72)【発明者】
【氏名】西村 宙
(57)【要約】
【課題】近接した複数の竪樋を用いて雨水を排水する雨水排水構造に利用でき、かつ、複数の竪樋と地中に埋設された排水管との接続構造における納まりをよくでき、かつ排水性を高くできる排水管カバーを提供する。
【解決手段】排水管カバー10は、複数の竪樋2と排水管とを接続する。排水管カバーは、複数の竪樋の下端部を収納した状態で複数の竪樋に接続される竪樋収納部と、竪樋収納部の下端に連結された外側カバーを有し、排水管の立ち上がり部を収納した状態で立ち上がり部に接続される排水管収納部とを有する。竪樋収納部は、複数の竪樋に嵌合可能な複数の部分円筒面部を有し、排水管収納部は、複数の部分円筒面部の円弧形の内周縁を含んで形成される円の内側部分の面積の総和以上の流路断面積を有する合流後排水部と、竪樋収納部との接続部の内周縁から合流後排水部に向かって下方に傾斜したテーパ面とを有する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の竪樋と、地中に埋設された排水管とを接続する排水管カバーであって、
前記複数の竪樋の下端部を収納した状態で前記複数の竪樋に接続される竪樋収納部と、前記竪樋収納部の下端に連結された外側カバーを有し、前記外側カバーの内側に前記排水管の立ち上がり部を収納した状態で、前記立ち上がり部に接続される排水管収納部と、を有し、
前記竪樋収納部は、前記複数の竪樋に嵌合可能な複数の部分円筒面部を有し、
前記排水管収納部は、前記複数の部分円筒面部の円弧形の内周縁を含んで形成される円の内側部分の面積の総和以上の流路断面積を有する合流後排水部と、前記竪樋収納部との接続部の内周縁から前記合流後排水部に向かって下方に傾斜したテーパ面とを有する、
排水管カバー。
【請求項2】
前記合流後排水部は、軸方向に直交する断面が長穴形状である、
請求項1に記載の排水管カバー。
【請求項3】
前記複数の竪樋は、前記竪樋収納部に、前記複数の竪樋の上下方向の移動を可能に接続される、
請求項1に記載の排水管カバー。
【請求項4】
軒樋と、前記軒樋に接続された複数の竪樋と、地中に埋設された排水管と、前記複数の竪樋と前記排水管とを接続する排水管カバーとを備える雨水排水構造であって、
前記排水管カバーは、
前記複数の竪樋の下端部を収納した状態で前記複数の竪樋に接続される竪樋収納部と、前記竪樋収納部の下端に連結された外側カバーを有し、前記外側カバーの内側に前記排水管の立ち上がり部を収納した状態で、前記立ち上がり部に接続される排水管収納部と、を有し、
前記排水管収納部は、前記複数の竪樋のうち、前記排水管収納部に収納される部分の流路断面積の総和以上の流路断面積を有する合流後排水部と、前記竪樋収納部との接続部の内周縁から前記合流後排水部に向かって下方に傾斜したテーパ面とを有する、
雨水排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、竪樋と、地中に埋設された排水管とを接続する排水管カバー及び雨水排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の屋根の軒先に取り付けられた軒樋に流れ落ちた雨水を、集水して竪樋に送り、竪樋を通って下側から排出することが行われる。また、建物の屋上部に降った雨水を取水口から竪樋を介して下側から排出することも行われる。
【0003】
特許文献1には、軒樋に近接して接続され、互いに平行に延びる一対の竪樋の下端処理部の排水装置において、断面が、2つの円を一部が重なるように接合した瓢箪型である連結筒が設けられ、連結筒の上端に一対の竪樋の下端を嵌入して固定することが記載されている。連結筒の下端部には、斜め下向きに折り曲げるように設けられ、一対の排水管の接続部を有する斜め下向き部が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、住宅等の建物の外観を向上するためや、配管設置の事情等から、複数の竪樋を短い距離で近接させて施工することが考えられる。しかし、この場合に、従来は、複数の配管と地中に埋設された排水管との接続部に対応する専用の部材が存在しないので、調和がとれない状態で部品同士が接続されることにより、納まりが悪くなる可能性がある。また、複数の配管と排水管との接続の仕方によっては、接続部の流路断面積が小さくなり、排水能力が不足する可能性がある。
【0006】
特許文献1に記載された排水装置は、一対の排水管に接続する構造であるため、地中に埋設された1つの排水管に接続し、他の接続部を塞いだ場合には、排水管との接続部の断面積が小さくなり、排水能力が不足する可能性がある。
【0007】
そこで、本開示の目的は、近接した複数の竪樋を用いて雨水を排水する雨水排水構造に利用でき、かつ、複数の竪樋と地中に埋設された排水管との接続構造における納まりをよくでき、かつ排水性を高くできる排水管カバー及び雨水排水構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る排水管カバーは、複数の竪樋と、地中に埋設された排水管とを接続する排水管カバーであって、複数の竪樋の下端部を収納した状態で複数の竪樋に接続される竪樋収納部と、竪樋収納部の下端に連結された外側カバーを有し、外側カバーの内側に排水管の立ち上がり部を収納した状態で、立ち上がり部に接続される排水管収納部と、を有し、竪樋収納部は、複数の竪樋に嵌合可能な複数の部分円筒面部を有し、排水管収納部は、複数の部分円筒面部の円弧形の内周縁を含んで形成される円の内側部分の面積の総和以上の流路断面積を有する合流後排水部と、竪樋収納部との接続部の内周縁から合流後排水部に向かって下方に傾斜したテーパ面とを有する、排水管カバーである。
【0009】
本開示に係る雨水排水構造は、軒樋と、軒樋に接続された複数の竪樋と、地中に埋設された排水管と、複数の竪樋と排水管とを接続する排水管カバーとを備える雨水排水構造であって、排水管カバーは、複数の竪樋の下端部を収納した状態で複数の竪樋に接続される竪樋収納部と、竪樋収納部の下端に連結された外側カバーを有し、外側カバーの内側に排水管の立ち上がり部を収納した状態で、立ち上がり部に接続される排水管収納部と、を有し、排水管収納部は、複数の竪樋のうち、排水管収納部に収納される部分の流路断面積の総和以上の流路断面積を有する合流後排水部と、竪樋収納部との接続部の内周縁から合流後排水部に向かって下方に傾斜したテーパ面とを有する、雨水排水構造である。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様の排水管カバー及び雨水排水構造によれば、複数の竪樋と排水管との接続構造における納まりをよくできる。また、複数の竪樋の雨水合流前の排水能力を、雨水合流後の合流後排水部でも維持できる。さらに、各竪樋の下端開口にテーパ面を対向させることができるので、各竪樋の下端開口に対向する位置に上下方向に直交する段差面を対向させる構成と異なり、雨水の逆流が生じることを抑制できる。したがって、雨水の排水性を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の排水管カバーを含む雨水排水構造が設置された建物の一部を示す斜視図である。
【
図2】
図1のA部を含む2つの竪樋と排水管とを接続する接続構造の一部を取り出して示す斜視図である。
【
図7】
図2から2つの竪樋と排水管カバーとの接続部を取り出して示す斜視図である。
【
図9】
図8において、接続部から竪樋を取り外した状態を示す図である。
【
図10】
図7に示す接続部を下側から見た図である。
【
図11】接続部における
図8のD-D断面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る排水管カバー及び雨水排水構造の実施形態を説明する。以下で説明する形状、配置、個数、材料等は、説明のための例示であって、排水管カバーまたは雨水排水構造の仕様により適宜変更することができる。以下では全ての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。
【0013】
図1~
図11を用いて実施形態を説明する。
図1は、実施形態の排水管カバー10を含む雨水排水構造1が設置された建物100の一部を示す斜視図である。雨水排水構造1が設けられた建物100は、屋根103の軒先に軒樋104が取り付けられる。軒樋104は、前後方向に分かれた前壁105及び後壁106の下端が底板107で連結された断面溝形状であり左右方向に延びている。なお、「左右方向」とは、本明細書において、後述の竪樋2が取り付けられる外壁面101に対向する正面側から見た場合の左右方向を意味する。また、前側は正面側であり、後側は外壁面101側であり、正面側と外壁面側とを結ぶ方向が前後方向である。
【0014】
軒樋104は、例えば建物100に取り付けられた吊具(図示せず)により吊り下げ支持されて、屋根103の軒先に取り付けられ、屋根から流れ落ちる雨水を受けるように配置される。軒樋104は、上面が開口すると共に、左右方向両端が塞がれる。軒樋104の底板107の中間部における左右方向に近接した2つの位置にはドレン孔(図示せず)が形成される。各ドレン孔にドレン108を介して、上側の竪樋109が接続される。竪樋109の下端には第1エルボ110、呼び樋111、第2エルボ112を介して、建物100の外壁面101の近くで上下方向に延びる下側の竪樋2が接続される。さらに各竪樋2の上下方向複数位置は、複数の竪樋用控具5を介して外壁面101に固定される。各竪樋2は、雨水を下方に排出する。このとき、各竪樋2の下端は、排水管カバー5と、地中に埋設された排水管70及びエルボ73(
図2)を介して、排水桝(図示せず)に接続される。
【0015】
排水桝には、下水管につながった配管が接続される。雨水排水構造1は、軒樋104と、2つずつのドレン108、竪樋109、第1エルボ110、呼び樋111、第2エルボ112、及び竪樋2と、複数の竪樋用控具5と、排水管カバー10と、排水管70とを含んで構成される。これにより、軒樋104には、複数の竪樋109が接続される。雨水排水構造1では、軒樋104内の雨水が、ドレン108、竪樋109、第1エルボ110、呼び樋111、第2エルボ112、及び竪樋2を介して排水管カバー10に送られ、排水管カバー10から排水管70を介して排水桝に送られる。
【0016】
本例では、2つの竪樋2の上下方向複数位置が竪樋用控具5を介して建物100の外壁面101に固定される。また、2つの竪樋2の下端部が排水管カバー10により排水管70に接続される。以下、排水管カバー10の構成を中心に説明する。
【0017】
図2は、
図1のA部を含む2つの竪樋2と排水管70とを接続する接続構造120の一部を取り出して示す斜視図である。
図3は、接続構造120を上から見た図である。
図4は、接続構造120の分解斜視図である。
図5は、
図3のB-B断面図である。
図6は、
図3のC-C断面図である。なお、上、下は、外壁面101に竪樋2を固定した状態での上、下を意味する。
【0018】
図2~
図6に示すように、接続構造120は、上下方向に延びる2つの竪樋2と、地中に埋設された状態で上下方向に延びる排水管70と、排水管カバー10とを含んで構成される。
図3に示すように、各竪樋2は、後側に左右に離れて設けられ、上下方向に延びる2条の竪樋爪部3,4を有する。各竪樋爪部3,4は、竪樋2の後側面の左右に離れた2つの位置から前後方向に突出し、その後端で互いに離れるように略直角に曲げられ先細状となっている。
【0019】
排水管70は、円筒状の筒部71と、筒部71の上端部外周面に径方向外側に張り出すように形成された断面矩形の枠板状のフランジ部72とを有する。
【0020】
排水管カバー10は、2つの竪樋2の下端部と、排水管70の上端部である立ち上がり部71aとを接続する。立ち上がり部71aは、地面の上側に突出する。排水管カバー10は、後述の合流後排水部30(
図5)のみが地面の下側に入り込んだ状態で、他の部分が地面上に配置される。
図2、
図5、
図6では、地面を二点鎖線GLで示している。
【0021】
図2に示すように、排水管70の下流側端部にはエルボ73が接続されている。エルボ73の下流側端部には、排水桝(図示せず)が接続される。なお、排水管70の真下に排水桝が接続される場合には、エルボを介さずに、排水管70の下流側端部に排水桝が直接に接続されてもよい。
【0022】
図7は、
図2から2つの竪樋2と排水管カバー10との接続部122を取り出して示す斜視図である。
図8は、接続部122を上側から見た図である。
図9は、
図8において、接続部122から竪樋2を取り外した状態を示す図である。
図10は、接続部122を下側から見た図である。
図11は、接続部122における
図8のD-D断面を示す斜視図である。
【0023】
図7~
図11に示すように、排水管カバー10は、上下方向に延びる竪樋収納部11と、竪樋収納部11の下端に連結された外側カバー14と、外側カバー14の内側に排水管70の立ち上がり部71aを収納した状態で、排水管70の立ち上がり部71aに接続される排水管収納部20とを有する。さらに、排水管収納部20は、外側カバー14の後述の天板部16の下面において、前後方向中間部に連結され、斜め方向下側に延びる傾斜筒部21と、傾斜筒部21の下端に連結された合流後排水部30とを有する。排水管カバー10は、樹脂により一体形成される。なお、排水管カバー10は、鉄、ステンレス鋼等の金属の鋳造等により形成されてもよい。
【0024】
竪樋収納部11は、上下方向に対し直交する断面形状が、矩形状の筒の左右方向両側の前側に、左右方向の外側と前側とに張り出すように2つの円筒が矩形筒と一部で重なるように連結された形状の筒状である。これにより、竪樋収納部11には、竪樋2をそれぞれ内側に嵌合可能な2つの部分円筒面部12が、左右方向に離れて設けられる。
図8に示すように、各部分円筒面部12は、内側に竪樋2を嵌合可能であり、円筒の周方向一部により形成される。部分円筒面部12は、中心角を180度以上とすることができる。
【0025】
各部分円筒面部12に竪樋2が嵌合された状態で、竪樋2の2つの竪樋爪部3,4は、竪樋収納部11の後側の断面矩形の空間を形成する部分に挿入される。この状態で、竪樋2は各部分円筒面部12に対し上下方向に摺動可能である。このため、竪樋収納部11は、2つの竪樋2を収納した状態で、2つの竪樋2の上下方向の移動を可能に各竪樋2と接続される。したがって、排水管カバー10は、竪樋収納部11に竪樋2が接続された状態で、温度変化により竪樋2が上下方向に伸縮することを許容するので、排水管カバー10の耐久性を高くできる。
【0026】
また、外側カバー14は、矩形の四隅が円弧で面取りされた断面形状を有する外側筒部15と、外側筒部15の上端を塞ぐ天板部16とを有する。天板部16の前後方向中間部には、竪樋収納部11の内周形状と同形状の横長の孔が形成され、その孔の周縁部に竪樋収納部11の下端が連結されている。
【0027】
傾斜筒部21は、軸方向に直交する断面が左右方向に長い長穴形状であり、下端に向かって左右方向及び前後方向の幅が小さくなるように傾斜した筒状である。これにより、傾斜筒部21の内面には、上端から中央部に向かって下方に傾斜したテーパ面22が形成される。
【0028】
合流後排水部30は、傾斜筒部21の下端に連結され、軸方向に直交する断面形状が、左右方向に長い長円形の長穴形状の筒状である。
【0029】
これにより、上記のテーパ面22は、上端の竪樋収納部11との接続部の内周縁から合流後排水部30に向かって下方に傾斜している。
【0030】
さらに、合流後排水部30は、
図9に示すように、2つの部分円筒面部12の円弧形の内周縁を含んで形成される円(二点鎖線G1,G2を含む円)の内側部分の面積S1,S2の総和(S1+S2)以上である、軸方向に直交する断面の流路断面積を有する。また、合流後排水部30の流路断面積は、上記2つの部分円筒面部12についての円の内側部分の面積S1,S2の総和(S1+S2)の2倍以上である構成としてもよい。
【0031】
さらに、本例の雨水排水構造1では、合流後排水部30は、2つの竪樋2のうち、排水管収納部20に収納される部分の軸方向に直交する流路断面積(
図8の砂地部のSa、Sb)の総和(Sa+Sb)以上の流路断面積を有する。また、合流後排水部30の流路断面積は、上記2つの竪樋2の流路断面積Sa,Sbの総和(Sa+Sb)の2倍以上である構成としてもよい。
【0032】
上記の排水管カバー10は、
図5、
図6に示したように、竪樋収納部11に2つの竪樋2を収納した状態で接続し、排水管収納部20に排水管70の立ち上がり部71aを収納した状態で接続する。このとき、排水管収納部20の合流後排水部30が、排水管70の立ち上がり部71aの内側に挿入され、合流後排水部30の外周面と傾斜筒部21の外周面との連結部が立ち上がり部71aの上端に突き当たる。これにより、排水管カバー10が排水管70に対し位置決めされる。
【0033】
上記の排水管カバー10によれば、2つの竪樋2と排水管70とを一体的な排水管カバー10で調和がとれた状態で接続できるので、2つの竪樋2と排水管70との接続構造120における納まりをよくできる。また、2つの竪樋2の雨水合流前の排水能力を、雨水合流後の合流後排水部30でも維持できる。さらに、各竪樋2の下端開口にテーパ面を対向させることができるので、各竪樋2の下端開口に対向する位置に上下方向に直交する段差面を対向させる構成と異なり、雨水の逆流が生じることを抑制できる。したがって、雨水の排水性を高くできる。また、排水管70の立ち上がり部71aが外側カバー14により収納されるので、排水管70への雨水の排水量が多い等の場合でも、排水管70の上端からの吹きこぼれを抑制できる。
【0034】
また、本例では、合流後排水部30は、軸方向に直交する断面が長穴形状であるので、合流後排水部の断面を円形とする場合と異なり、同じ流路断面積でも、雨水合流用のテーパ面22を上から見たときの左右方向長さD1(
図9)を小さくできる。これにより、テーパ面22の上下方向に対する傾斜角度を小さくできる。このため、排水管カバー10を下側に流れる雨水の流れが強い場合でも、テーパ面22での雨水の上側への跳ね返り量を小さくできるので、排水管カバー10からの雨水の上側からの吹きこぼれを防止できる。
【0035】
なお、上記の実施形態では、合流後排水部30の流路断面積が、竪樋収納部11の2つの部分円筒面部12の円弧形の内周縁を含んで形成される円の内側部分の面積S1,S2の総和(S1+S2)以上であり、かつ、2つの竪樋2のうち、排水管収納部20に収納される部分の軸方向に直交する流路断面積Sa,Sbの総和(Sa+Sb)以上である場合を説明した。
【0036】
一方、雨水排水構造の別例において、合流後排水部の流路断面積が、上記2つの部分円筒面部についての円の内側部分S1、S2の面積の総和(S1+S2)未満となるが、2つの竪樋2のうち、排水管収納部20に収納される部分の軸方向に直交する流路断面積Sa,Sbの総和(Sa+Sb)以上である構成としてもよい。この場合には、排水管カバー10の必要な排水性を確保しながら、合流後排水部の外径を小さくしやすくなる。
【0037】
また、上記では、排水管カバー10が2つの竪樋2と排水管70とを接続する場合を説明した。一方、排水管カバー10の竪樋収納部11が3つ以上の部分円筒面部を有する構成とすることにより、排水管カバー10が、3つ以上の竪樋2と排水管70とを接続する構成としてもよい。このため、雨水排水構造も、軒樋に接続された3つ以上の竪樋と、3つ以上の竪樋と排水管とを接続する排水管カバーとを備える構成とすることができる。
【0038】
本開示は、以下の実施形態によりさらに説明される。
構成1: 複数の竪樋と、地中に埋設された排水管とを接続する排水管カバーであって、
前記複数の竪樋の下端部を収納した状態で前記複数の竪樋に接続される竪樋収納部と、前記竪樋収納部の下端に連結された外側カバーを有し、前記外側カバーの内側に前記排水管の立ち上がり部を収納した状態で、前記立ち上がり部に接続される排水管収納部と、を有し、
前記竪樋収納部は、前記複数の竪樋に嵌合可能な複数の部分円筒面部を有し、
前記排水管収納部は、前記複数の部分円筒面部の円弧形の内周縁を含んで形成される円の内側部分の面積の総和以上の流路断面積を有する合流後排水部と、前記竪樋収納部との接続部の内周縁から前記合流後排水部に向かって下方に傾斜したテーパ面とを有する、
排水管カバー。
構成2: 前記合流後排水部は、軸方向に直交する断面が長穴形状である、
構成1に記載の排水管カバー。
構成3: 前記複数の竪樋は、前記竪樋収納部に、前記複数の竪樋の上下方向の移動を可能に接続される、
構成1または構成2に記載の排水管カバー。
構成4: 軒樋と、前記軒樋に接続された複数の竪樋と、地中に埋設された排水管と、前記複数の竪樋と前記排水管とを接続する排水管カバーとを備える雨水排水構造であって、
前記排水管カバーは、
前記複数の竪樋の下端部を収納した状態で前記複数の竪樋に接続される竪樋収納部と、前記竪樋収納部の下端に連結された外側カバーを有し、前記外側カバーの内側に前記排水管の立ち上がり部を収納した状態で、前記立ち上がり部に接続される排水管収納部と、を有し、
前記排水管収納部は、前記複数の竪樋のうち、前記排水管収納部に収納される部分の流路断面積の総和以上の流路断面積を有する合流後排水部と、前記竪樋収納部との接続部の内周縁から前記合流後排水部に向かって下方に傾斜したテーパ面とを有する、
雨水排水構造。
【符号の説明】
【0039】
1 雨水排水構造、2 竪樋、5 竪樋用控具、10 排水管カバー、11 竪樋収納部、12 円筒面部、14 外側カバー、15 外側筒部、16 天板部、20 排水管収納部、21 傾斜筒部、22 テーパ面、70 排水管、71 筒部、71a 立ち上がり部、72 フランジ部、73 エルボ、100 建物、101 外壁面、103 屋根、104 軒樋、105 前壁、106 後壁、107 底板、108 ドレン、109 竪樋、110 第1エルボ、111 呼び樋、112 第2エルボ、120 接続構造、122 接続部。