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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099995
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】結露抑制システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/79 20180101AFI20250626BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20250626BHJP
   F24F 11/80 20180101ALI20250626BHJP
【FI】
F24F11/79
F24F11/77
F24F11/80
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023217055
(22)【出願日】2023-12-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2025-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】出端 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】梅野 徹也
(72)【発明者】
【氏名】漆原 慎
(72)【発明者】
【氏名】橋本 侑樹
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA01
3L260AB02
3L260BA24
3L260CA12
3L260CA13
3L260CA26
3L260CA32
3L260CA33
3L260FA04
3L260FA07
3L260FA08
3L260FC02
(57)【要約】
【課題】壁内の空間における結露の発生を抑制する結露抑制システムおよびプログラムを提供する。
【解決手段】間仕切壁11の内部空間100において壁材111の表面温度を取得する温度センサ12と、間仕切壁11の内部空間100における温度および相対湿度を取得する壁内温湿度センサ13と、居室10に風を送出して居室10の室温を調節する空調装置14と、空調装置14の風向きを制御するコントローラ15と、を備える。コントローラ15は、空調装置14に対して上記間仕切壁11が位置する方向を取得する方向取得処理と、壁内温湿度センサ13によって取得された室温および相対湿度に基づいて露点温度を算出する壁内露点温度算出処理と、表面温度よりも露点温度が高いことを条件として、取得した方向に基づいて空調装置14の風向きが間仕切壁11へ向かわないように制御する風向制御処理と、を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
居室と、
上記居室を区画する壁材を有する間仕切壁と、
上記間仕切壁の内部空間において上記壁材の表面温度を取得する温度センサと、
上記間仕切壁の内部空間における温度および相対湿度を取得する壁内温湿度センサと、
上記居室に風を送出して上記居室の室温を調節する空調装置と、
上記空調装置の風向きを制御するコントローラと、
を備え、
上記コントローラは、
上記壁内温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて露点温度を算出する壁内露点温度算出処理と、
上記表面温度よりも上記露点温度が高いことを条件として、上記風向きの動作範囲を制限することにより、上記空調装置の上記風向きが上記間仕切壁へ向かわないように制御する風向制御処理と、を実行する結露抑制システム。
【請求項2】
上記コントローラは、上記風向制御処理を実行した後、上記表面温度よりも上記露点温度が高いことを条件として、上記空調装置から送出される風の温度を上昇させる温度上昇処理をさらに実行する請求項1に記載の結露抑制システム。
【請求項3】
上記壁材を貫通して上記間仕切壁の内部空間と上記居室と連通する貫通孔と、
上記間仕切壁の内部空間の気圧と屋外の気圧との差を取得する差圧センサと、
上記居室と上記屋外とを区画する外壁の開口に位置する第1ファンと、をさらに備え、
上記コントローラは、
上記風向制御処理を実行した後、上記表面温度よりも上記露点温度が高く、且つ上記間仕切壁の内部空間よりも上記屋外の圧力が高いことを条件として、上記第1ファンを駆動して、上記屋外から上記居室へ外気を導入する第1ファン制御処理をさらに実行する請求項1または2に記載の結露抑制システム。
【請求項4】
上記居室における室温および相対湿度を取得する居室温湿度センサと、
上記間仕切壁の開口に位置する第2ファンをさらに備え、
上記コントローラは、
上記居室温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて、上記居室における絶対湿度を算出する居室絶対湿度算出処理と、
上記壁内温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて、上記間仕切壁の内部空間における絶対湿度を算出する壁内絶対湿度算出処理と、
上記第1ファン制御処理を実行した後、上記表面温度よりも上記露点温度が高く、且つ上記居室における絶対湿度が上記間仕切壁の内部空間における絶対湿度よりも小さいことを条件として、上記第2ファンを駆動して、上記居室から上記間仕切壁の内部空間へ空気を導入する第2ファン制御処理と、をさらに実行する請求項3に記載の結露抑制システム。
【請求項5】
外気の温度および相対湿度を取得する外気温湿度センサをさらに備え、
上記コントローラは、
上記外気温湿度センサによって取得される温度および相対湿度に基づいて、上記外気における絶対湿度を算出する外気絶対湿度算出処理と、
上記外気温湿度センサによって取得される温度および相対湿度に基づいて、上記外気における露点温度を算出する外気露点温度算出処理と、
上記壁内温湿度センサによって取得される室温および相対湿度に基づいて、上記間仕切壁の内部空間における絶対湿度を算出する壁内絶対湿度算出処理と、を実行し、
上記外気における絶対温度が上記間仕切壁の内部空間における絶対温度よりも高く、且つ上記外気における露点温度が上記表面温度よりも高いことを条件として、上記風向制御処理を実行する請求項1に記載の結露抑制システム。
【請求項6】
上記壁材の上記居室側の表面に位置しており、上記居室側の上記間仕切壁の表面上における風の速度を取得する風速センサをさらに備え、
上記コントローラは、
上記風向制御処理において、上記風速センサによって取得される風速が所定値以下となるように上記空調装置から上記間仕切壁に向かう上記風向きを制御する請求項1に記載の結露抑制システム。
【請求項7】
居室と、
上記居室を区画する壁材を有する間仕切壁と、
上記間仕切壁の内部空間において上記壁材の表面温度を取得する温度センサと、
上記間仕切壁の内部空間における室温および相対湿度を取得する壁内温湿度センサと、
上記居室に風を送出して上記居室の室温を調節する空調装置と、
上記空調装置の風向きを制御するコントローラと、
を備える結露抑制システムとして動作させるプログラムであって、
上記コントローラに、
上記壁内温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて露点温度を算出する壁内露点温度算出処理と、
上記表面温度よりも上記露点温度が高いことを条件として、上記風向きの動作範囲を制限することにより、上記空調装置の上記風向きが上記間仕切壁へ向かわないように制御する風向制御処理と、を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間仕切壁を隔てて居室に隣接する間仕切壁内の空間において壁材の表面に発生する結露を抑制する結露抑制システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の空気調和システムでは、空調対象空間の部屋と、隣接する直接に空調されない他の部屋とにおいて、外気を給排気することにより直接に空調されない部屋の結露の発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7321379公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、住宅の居室には、間仕切壁内に空間がある。間仕切壁内の空間には、例えば電気配線等が位置している。また、間仕切壁内の空間は、通気孔等により屋外と連通していることがある。夏季における屋外の暖かく湿った空気が間仕切壁内の空間に進入して、冷房により冷やされている間仕切壁を構成する壁材などに接触すると、壁材の表面に結露が発生することがあった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、壁内の空間における結露の発生を抑制する結露抑制システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る結露抑制システムは、居室と、上記居室を区画する壁材を有する間仕切壁と、上記間仕切壁の内部空間において上記壁材の表面温度を取得する温度センサと、上記間仕切壁の内部空間における温度および相対湿度を取得する壁内温湿度センサと、上記居室に風を送出して上記居室の室温を調節する空調装置と、上記空調装置の風向きを制御するコントローラと、を備える。上記コントローラは、上記壁内温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて露点温度を算出する壁内露点温度算出処理と、上記表面温度よりも上記露点温度が高いことを条件として、上記風向きの動作範囲を制限することにより、上記空調装置の上記風向きが上記間仕切壁へ向かわないように制御する風向制御処理と、を実行する。
【0007】
間仕切壁の内部空間における露点温度が壁材の表面温度よりも高い場合に、空調装置の風向きが間仕切壁へ向かわないように制御される。これにより、壁材が空調装置から送出される風によって冷却されることが抑制される。壁材の表面温度の低下が抑制されることにより、壁材の表面における結露が抑制される。
【0008】
(2) 上記コントローラは、上記風向制御処理を実行した後、上記表面温度よりも上記露点温度が高いことを条件として、上記空調装置から送出される風の温度を上昇させる温度上昇処理をさらに実行してもよい。
【0009】
送出される風の温度を上昇させることにより、壁材の表面温度が上昇する。壁材の表面温度が上昇することにより、壁材の表面における結露が抑制される。
【0010】
(3) 結露抑制システムは、上記壁材を貫通して上記間仕切壁の内部空間と上記居室と連通する貫通孔と、上記間仕切壁の内部空間の気圧と屋外の気圧との差を取得する差圧センサと、上記居室と上記屋外とを区画する外壁の開口に位置する第1ファンと、をさらに備える。上記コントローラは、上記風向制御処理を実行した後、上記表面温度よりも上記露点温度が高く、且つ上記間仕切壁の内部空間よりも上記屋外の圧力が高いことを条件として、上記第1ファンを駆動して、上記屋外から上記居室へ外気を導入する第1ファン制御処理をさらに実行してよい。
【0011】
外壁に位置する第1ファンを用いて居室に外気を導入することにより、居室内が屋外および間仕切壁の内部空間に対して正圧になる。空調装置によって乾燥した(除湿された)空気が貫通孔を介して間仕切壁の内部空間に流入することにより、間仕切壁の内部空間への外気の流入が抑制される。間仕切壁の内部空間における露点温度が低下するので、壁材の表面における結露が抑制される。
【0012】
(4)結露抑制システムは、上記居室における室温および相対湿度を取得する居室温湿度センサと、上記間仕切壁の開口に位置する第2ファンをさらに備える。上記コントローラは、上記居室温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて、上記居室における絶対湿度を算出する居室絶対湿度算出処理と、上記壁内温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて、上記間仕切壁の内部空間における絶対湿度を算出する壁内絶対湿度算出処理と、上記第1ファン制御処理を実行した後、上記表面温度よりも上記露点温度が高く、且つ上記居室における絶対湿度が上記間仕切壁の内部空間における絶対湿度よりも小さいことを条件として、上記第2ファンを駆動して、上記居室から上記間仕切壁の内部空間へ空気を導入する第2ファン制御処理と、をさらに実行してよい。
【0013】
間仕切壁の内部空間よりも絶対湿度の低い居室の空気が間仕切壁の内部空間に流入するので、間仕切壁の内部空間における絶対湿度が低下する。間仕切壁の内部空間における絶対湿度の低下により、壁材の表面における結露が抑制される。
【0014】
(5) 結露抑制システムは、外気の温度および相対湿度を取得する外気温湿度センサをさらに備える、上記コントローラは、上記外気温湿度センサによって取得される温度および相対湿度に基づいて、上記外気における絶対湿度を算出する外気絶対湿度算出処理と、上記外気温湿度センサによって取得される温度および相対湿度に基づいて、上記外気における露点温度を算出する外気露点温度算出処理と、上記壁内温湿度センサによって取得される室温および相対湿度に基づいて、上記間仕切壁の内部空間における絶対湿度を算出する壁内絶対湿度算出処理と、を実行し、上記外気における絶対温度が上記間仕切壁の内部空間における絶対温度よりも高く、且つ上記外気における露点温度が上記表面温度よりも高いことを条件として、上記風向制御処理を実行してよい。
【0015】
外気の絶対湿度が間仕切壁の内部空間における絶対湿度よりも高く、且つ外気の露点温度が間仕切壁の壁材の表面温度よりも高い場合に、空調装置の風向きが間仕切壁へ向かわないように制御される。間仕切壁の内部空間に外気が流入することで結露が発生する状況において、予め空調装置から送出される風が間仕切壁に向かわないようにしておくことができるので、壁材の表面における結露を抑制できる。
【0016】
(6) 結露抑制システムは、上記壁材の上記居室側の表面に位置しており、上記居室側の上記間仕切壁の表面上における風の速度を取得する風速センサをさらに備える。上記コントローラは、上記風向制御処理において、上記風速センサによって取得される風速が所定値以下となるように上記空調装置から上記間仕切壁に向かう上記風向きを制御してよい。
【0017】
壁材の居室側の表面における風速を取得することで、空調装置からの風向きが間仕切壁へ向かわないように制御できる。
【0018】
(7) 本発明に係るプログラムは、居室と、上記居室を区画する壁材を有する間仕切壁と、上記間仕切壁の内部空間において上記壁材の表面温度を取得する温度センサと、上記間仕切壁の内部空間における室温および相対湿度を取得する壁内温湿度センサと、上記居室に風を送出して上記居室の室温を調節する空調装置と、上記空調装置の風向きを制御するコントローラと、を備える結露抑制システムとして動作させるプログラムであって、上記コントローラに、上記壁内温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて露点温度を算出する壁内露点温度算出処理と、上記表面温度よりも上記露点温度が高いことを条件として、上記風向きの動作範囲を制限することにより、上記空調装置の上記風向きが上記間仕切壁へ向かわないように制御する風向制御処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、壁内の空間における結露の発生を抑制する結露抑制システムおよびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、居室10と間仕切壁11とを示す斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線断面図である。
図3図3は、空調装置14の風向を示す模式図である。
図4図4は、第1ファン18を稼働させた際の空気の流れを示す模式図である。
図5図5は、第2ファン20を稼働させた際の空気の流れを示す模式図である。
図6図6は、コントローラ15の構成を示すブロック図である。
図7図7は、結露抑制システム1の動作の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、事前抑制処理の処理の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、風向制御処理の処理の流れを示すフローチャートである。
図10図10は、第1ファン制御処理の処理の流れを示すフローチャートである。
図11図11は、第2ファン制御処理の処理の流れを示すフローチャートである。
図12図12は、ロールスクリーンが展開された居室10を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態には、本発明が具現化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0022】
以下、結露抑制システム1に関する方向として、上下方向7、前後方向8、および左右方向9が示される。前後方向8および左右方向9は、共に、上下方向7に直交する方向であって、相互に直交している。上下方向7は、間仕切壁11が起立する方向であり、居室10の床板101から天板102に向かう方向である。左右方向9は、居室10の床板101に沿う方向且つ間仕切壁11の壁材111,112の表面に沿う方向である。前後方向8は、間仕切壁11の壁材111,112の表面に直交する方向であり、壁材111,112の厚さ方向である。
【0023】
[結露抑制システム1の設置態様]
図1および図2に示されるように、結露抑制システム1は、例えば、夏季に使用される空調装置14の冷房によって発生する、建物内の壁材111の表面における結露を抑制するものである。建物は、内部を間仕切壁によって区画された構造物である。結露抑制システム1は、戸建て、集合住宅、および商業施設等の建物に用いることが可能である。結露抑制システム1は、居室10と、間仕切壁11と、温度センサ12と、壁内温湿度センサ13と、空調装置14と、貫通孔16と、差圧センサ17と、第1ファン18と、居室温湿度センサ19と、第2ファン20と、外気温湿度センサ21と、風速センサ22と、コントローラ15(図6参照)と、を備える。
【0024】
図1に示されるように、居室10は、例えば、長方形状の部屋である。本実施形態では、一例として、戸建てにおける一階の居室が説明される。居室は、床板101、天板102、および4つの壁(前壁103、後壁104、右壁105、および左壁106)によって区画されている。居室10の床板101は、図示しない根太上に貼り付けられており、床板101の下方には床下空間が位置する。床下空間には、例えば、図示しない通気孔を用いて屋外からの外気が導入可能に構成されている。居室10の天板102は、例えば、図示しない吊り木を用いて梁に吊られている野縁に貼り付けられている。天板102の上方には空間が位置する。天板102の上方における空間には、例えば、図示しない通気孔を用いて屋外からの外気が導入可能に構成されている。
【0025】
本実施形態における居室10において、前壁103および左壁106は、外壁である。前壁103および左壁106の外面は、屋外に面している。前壁103には、厚さ方向に貫通する開口31(図2参照)が位置している。後壁104および右壁105は、建物内において、他の部屋や廊下等と居室10とを区画する間仕切壁11である。
【0026】
間仕切壁11では、図示しない枠体が床板101および天板102に固定されるランナにスタッドを組合せて構成される。間仕切壁11は、枠体の両面(前面および後面)に一対の壁材111,112(石膏ボードや壁紙等)を貼り付けた構造になっている。一対の壁材111,112の間には、電気配線や光配線等を収容する、枠体の厚さ分の幅を有する空間が位置する。以下、当該空間は、内部空間100とも記載される。
【0027】
内部空間100の天板108および上方に位置するランナには、内部空間100と天板108の上方の空間とを連通する開口110が位置している。開口110には、例えば、電気配線や光配線などが位置する。また、内部空間の床板107および下方に位置するランナには、内部空間と床下空間とを連通する開口109が位置している。開口109には、例えば、配管などが位置する。開口109は、床下空間または天板の上方の空間を介して、屋外と内部空間100との間で空気を通す通気孔としての機能も有している。
【0028】
なお、図1では、後壁104について、一対の壁材111,112および内部空間100を示している。一方で、右壁105については、一対の壁材111,112および内部空間100の図示が省略されている。また、右壁105には、居室10への入退室のための開口161が位置している。開口161には、ドア162が位置している。
【0029】
温度センサ12は、間仕切壁11の内部空間100に位置する。温度センサ12は、例えば、壁材111の表面(後方を向く面)上に位置する。温度センサ12は、前方に位置する壁材111の表面温度を取得して、取得した表面温度に応じた電気信号を出力する。温度センサ12は、例えば、温度によって変化する抵抗の抵抗値を測定するセンサ、または赤外線センサ等である。
【0030】
壁内温湿度センサ13は、間仕切壁11の内部空間100に位置する。壁内温湿度センサ13は、内部空間100に位置する空気の温度および相対湿度を取得して、取得した相対湿度に応じた電気信号を出力する。壁内温湿度センサ13は、温度センサと、湿度センサとを組み合わせたものである。湿度センサは、感湿材料に吸脱される水分を電気抵抗として捉える抵抗式湿度センサ、または感湿材料に吸脱される水分を静電容量として捉える容量式湿度センサ等である。
【0031】
空調装置14は、いわゆるエアコンディショナーである。空調装置14は、外部の空気と冷媒との熱交換により、居室10内に風(冷風)を送出して、居室10の室温を調節する装置である。空調装置14は、居室10内に位置する。本実施形態において、空調装置14は、居室10内において、左壁106の上部に固定されている。図3に示されるように、空調装置14は、送出する風の風向きを変更可能に構成される。空調装置14は、例えば、図示しないルーバの角度を変更することにより、送出される風の風向きを変更可能に構成される。また、空調装置14は、送出する風の温度を変更可能に構成される。空調装置14は、例えば、冷媒の圧縮量を調整することで、送出する風の温度を変更可能に構成される。
【0032】
貫通孔16は、間仕切壁11において、前方の壁材111を貫通して居室10と内部空間100とを連通する。本実施形態において、貫通孔16は、例えば、コンセントパネル41が取り付けられる孔である。
【0033】
差圧センサ17は、例えば、間仕切壁11の内部空間100に位置する。差圧センサ17は、内部空間100における空気と、開口109を介して内部空間100に隣接する外気との差圧を取得して、取得した差圧に応じた電気信号を出力する。差圧センサ17は、例えば、内部空間100における空気の圧力と、外気の圧力とを取得して、その差分を算出することにより、差圧を取得する。
【0034】
第1ファン18は、居室10と屋外とを区画する外壁(前壁103)の開口31(図2参照)に位置する。第1ファン18は、いわゆる換気扇である。図4に示されるように、第1ファン18は、回転により、屋外から居室10への空気の導入が可能になっている。
【0035】
居室温湿度センサ19は、居室10内に位置する。居室温湿度センサ19は、居室10内の室温および相対湿度を取得して、取得した室温および相対湿度に応じた電気信号を出力する。壁内温湿度センサ13は、温度センサと、湿度センサとを組み合わせたものである。
【0036】
第2ファン20は、間仕切壁11において、居室10側の壁材111の開口32に位置する。第2ファン20は、いわゆる換気扇である。図5に示されるように、第2ファン20は、回転により、居室10から内部空間100への空気の導入が可能になっている。
【0037】
外気温湿度センサ21は、居室10外に位置する。外気温湿度センサ21は、例えば、前壁103の外面に位置する。外気温湿度センサ21は、外気の温度および相対湿度を取得して、取得した温度および相対湿度に応じた電気信号を出力する。外気温湿度センサ21は、温度センサと、湿度センサとを組み合わせたものである。
【0038】
風速センサ22は、居室10内において、壁材111における居室10側の表面(前方を向く面)上に位置する。風速センサ22は、例えば、壁材111の表面上に複数位置する。風速センサ22は、温度によって抵抗値が変化する抵抗を用いて、抵抗値の変化を風速に換算することにより、風速を取得して、取得した風速に応じた電気信号を出力する。風速センサ22は、壁材111の表面上に複数位置していてもよい。
【0039】
居室10には、コントローラ15が配置されている。図6に示されるように、コントローラ15は、CPU151、ROM152、RAM153、EEPROM154、ASIC155等がバスによってデータ通信可能に接続されたものである。CPU151がROM152に記憶されたプログラムを実行し、ASIC155が設定された特定の機能を果たすことによって、結露抑制システム1の動作が制御される。コントローラ15は、温度センサ12、壁内温湿度センサ13、空調装置14、差圧センサ17、居室温湿度センサ19、外気温湿度センサ21、風速センサ22、およびモータ23,24に電気的に接続される。
【0040】
EEPROM154には、空調装置14が動作する際に予め設定されている居室10の設定温度が格納されている。EEPROM154には、後述する風向制御処理において、空調装置14から送出される風の風向きの情報である風向情報が格納されている。EEPROM154には、空調装置14から送出される温度を変更する際における温度の目標値が格納されている。EEPROM154には、空調装置14から送出される風の風向を制御するための風向制御処理用のプログラムが格納されている。EEPROM154には、空調装置14から送出される風の温度を制御する温度制御処理用のプログラムが格納されている。EEPROM154には、モータ23,24の動作を制御して第1ファン18および第2ファン20を制御する第1ファン制御処理および第2ファン制御処理用のプログラムが格納されている。EEPROM154には、温度制御処理において設定される居室10の室温を上昇させる目標値、変数W、P1、P2、P3、P4等が格納されている。EEPROM154には、温度に基づいて算出される飽和水蒸気圧の関係式が格納されている。EEPROM154には、飽和水蒸気圧と相対湿度とに基づいて算出される空気中の水蒸気圧の関係式が格納されている。EEPROM154には、空気中の水蒸気圧に基づく露点温度の関係式が格納されている。EEPROM154には、飽和水蒸気圧と温度とに基づく飽和水蒸気量の関係式が格納されている。EEPROM154には、風向制御処理において風速のしきい値として用いられる予め定められた所定値が格納されている。
【0041】
ここで、風向情報は、間仕切壁11の壁材111の位置に対して、空調装置14からの風を直接吹き付けないようにするために予め設定される風向きの情報である。風向情報は、例えば、図3に示されるように、空調装置14の風向きの変更可能な水平方向の可動範囲M(例えば、図3における変更可能な角度の限界位置A1、A2で示される範囲)を示す情報である。風向情報には、間仕切壁11に近い側の限界位置A1を間仕切壁11から遠い側の限界位置A2に近付けた複数の可動範囲が含まれる。すなわち、風向情報には、限界位置A2の位置を変更せずに、可動範囲Mを徐々に小さくした複数の可動範囲の情報を含む。例えば、図3に示されるように、風向情報として、限界位置A1および限界位置A2を有する可動範囲Mの情報、限界位置A1を限界位置A3に移動した可動範囲M1、限界位置A1を限界位置A4に移動した可動範囲M2、さらに限界位置A1を限界位置A4を超えて、徐々にA2に近付けて可動範囲を狭くした複数の可動範囲の情報を含む。
【0042】
居室10の室温を上昇させる目標値は、空調装置14の設定温度の上昇幅を示す値である。居室10の室温を上昇させる目標値は、例えば、+0.5℃、+1℃等の予め定められた値である。
【0043】
変数Wは、整数であり、複数の可動範囲のそれぞれに対応する変数である。変数Wは、可動範囲を選択する際に用いられる。変数Wには、初期値として0が格納されている。
【0044】
変数P1、P2、P3、およびP4は、整数である。変数P1、P2、P3、およびP4は、それぞれ後述する風向制御処理、温度上昇制御処理、第1ファン制御処理、および第2ファン制御処理の実施状況を示す変数である。変数P1、P2、P3、およびP4には、いずれにも初期値として0が格納されている。
【0045】
なお、コントローラ15は、CPU151のみによって各種処理が実行されるものであってもよい。コントローラ15は、ASIC155のみによって各種処理が実行されるものであってもよい。コントローラ15は、各処理を分担して実行する複数のCPU151を実装してもよい。コントローラ15は、各処理を分担して実行する複数のASIC155を実装してもよい。
【0046】
[結露抑制システム1の動作]
次に、結露抑制システム1の動作について、図7から図11のフローチャートを参照して説明する。
図7に示されるように、まず、コントローラ15は、空調装置14の動作が開始されたか否かを判断する(ステップS1)。空調装置14の動作が開始されている場合(ステップS1_YES)、処理は、ステップS2に進む。空調装置14の動作が開始されていない場合(ステップS1_NO)、結露抑制システム1の処理は、終了する。なお、空調装置14は、例えば、EEPROM154に格納されている居室10の設定温度に基づいて、風量、風速等を制御しつつ動作する。
【0047】
ステップS2において、コントローラ15は、温度センサ12が取得した温度に応じた電気信号を受信することにより、間仕切壁11の壁材111の表面温度を取得する。コントローラ15は、壁内温湿度センサ13から電気信号を受信することにより内部空間100の空気の温度および相対湿度を取得する(ステップS3)。その後、コントローラ15は、事前抑制処理を実行する。事前抑制処理については後述する(ステップS4)。事前抑制処理の後、処理は、ステップS5に進む。
【0048】
ステップS5において、コントローラ15は、取得した内部空間100の空気の温度および相対湿度に基づいて、内部空間100の露点温度を算出する。露点温度は、例えば、以下のように求められる。コントローラ15は、EEPROM154から飽和水蒸気圧の関係式を読み出す。コントローラ15は、内部空間100の空気の温度を飽和水蒸気圧の関係式に代入して、飽和水蒸気圧を算出する。コントローラ15は、EEPROM154から空気中の水蒸気圧の関係式を読み出す。コントローラ15は、算出した飽和水蒸気圧と内部空間100の相対湿度とを空気中の水蒸気圧の関係式に代入して、空気中の水蒸気圧を算出する。コントローラ15は、EEPROM154から露点温度の関係式を取得する。コントローラ15は、算出した水蒸気圧を露点温度の関係式に代入して、露点温度を算出する。
【0049】
コントローラ15は、壁材111の表面温度が算出された露点温度よりも低いか否かを判断する(ステップS6)。表面温度が露点温度よりも低い場合(ステップS6_YES)、処理は、ステップS7へ進む。表面温度が露点温度よりも高い場合(ステップS6_NO)、処理は、ステップS17へ進む。
【0050】
ステップS7において、コントローラ15は、既に空調装置14の風向制御処理が実施されているか否かを判断する。すなわち、コントローラ15は、ステップS11の処理が実施済みであるか否かを判断する。コントローラ15は、EEPROM154から変数P1を読み出す。変数P1が0である場合、コントローラ15は、風向制御処理が未実施であると判断する。変数P1が1である場合、コントローラ15は、風向制御処理が実施済みであると判断する。風向制御処理が実施済みである場合(ステップS7_YES)、処理は、ステップS8へ進む。風向制御処理が未実施である場合(ステップS7_NO)、処理は、ステップS11へ進む。
【0051】
ステップS11において、コントローラ15は、風向制御処理を実施する。風向制御処理の詳細については後述する。処理は、ステップS16へ進む。
【0052】
ステップS8において、コントローラ15は、既に温度制御処理が実施されているか否かを判断する。すなわち、コントローラ15は、ステップS12の処理が実施済みであるか否かを判断する。コントローラ15は、EEPROM154から変数P2を取得する。コントローラ15は、変数P2が0である場合、温度制御処理が未実施であると判断する。コントローラ15は、変数P2が1である場合、温度制御処理が実施済みであると判断する。温度制御処理が実施済みである場合(ステップS8_YES)、処理は、ステップS9へ進む。温度制御処理が未実施である場合(ステップS8_NO)、処理は、ステップS12へ進む。
【0053】
ステップS12において、コントローラ15は、温度制御処理を実施する。コントローラ15は、居室10の設定温度と、居室10の室温を上昇させる上昇幅である目標値とをEEPROM154から取得する。コントローラ15は、取得した目標値を居室10の室温に取得した目標値を加えた温度を空調装置14の新たな設定温度とする。コントローラ15は、新たな設定温度に基づいて空調装置14を動作させることにより、空調装置14から送出される風の温度が上昇する。空調装置14は、例えば、設定温度に基づいて冷媒の圧縮量を調整することで、送出する風の温度を上昇させる。その後、コントローラ15は、変数P2をインクリメントしてEEPROM154に格納する(ステップS13)。その後、処理は、ステップS16へ進む。
【0054】
ステップS9において、コントローラ15は、第1ファン18が稼動済みか否かを判断する。すなわち、コントローラ15は、ステップS14の処理が実施済みであるか否かを判断する。コントローラ15は、EEPROM154から変数P3を取得する。変数P3が0である場合、コントローラ15は、第1ファン制御処理が未実施であると判断する。変数P3が1である場合、コントローラ15は、第1ファン制御処理が実施済みであると判断する。第1ファン18が制御処理が実施済みである場合(ステップS9_YES)、処理は、ステップS10へ進む。第1ファン制御処理が未実施である場合(ステップS9_NO)、処理は、ステップS14へ進む。
【0055】
ステップS14において、コントローラ15は、第1ファン制御処理を実施する。第1ファン制御処理の詳細については後述する。その後、処理は、ステップS16へ進む。
【0056】
ステップS10において、コントローラ15は、第2ファン制御処理が実施済みか否かを判断する。すなわち、コントローラ15は、ステップS15の処理が実施済みであるか否かを判断する。コントローラ15は、EEPROM154から変数P4を取得する。変数P4が0である場合、コントローラ15は、第2ファン制御処理が未実施であると判断する。変数P4が1である場合、コントローラ15は、第2ファン制御処理が実施済みであると判断する。第2ファン制御処理が実施済みである場合(ステップS10_YES)、処理は、ステップS15へ進む。第2ファン制御処理が未実施である場合(ステップS10_NO)、処理は、ステップS16へ進む。
【0057】
ステップS15において、コントローラ15は、第2ファン制御処理を実施する。第2ファン制御処理の詳細については後述する。その後、処理は、ステップS16へ進む。
【0058】
ステップS16において、コントローラ15は、風向制御処理、温度制御処理、第1ファン制御処理、または第2ファン制御処理の終了から所定時間が経過したか否かを判断する。ここで、コントローラ15は、風向制御処理、温度制御処理、第1ファン制御処理、および第2ファン制御処理による表面温度に対する効果の発現が期待されるまで待機する。待機する時間は、例えば、5分間から10分間の範囲内で予め設定されている。待機する時間が経過している場合(ステップS16_YES)、処理は、ステップS19へ進む。待機する時間が経過していない場合(ステップS16_NO)、待機する時間が経過するまでステップS16を繰り返す。
【0059】
ステップS17において、コントローラ15は、動作中の制御が有るか否かを判断する。具体的には、コントローラ15は、変数P1、P2、P3、P4のうち、0が格納されいない変数があるか否かを判断する。動作中の制御がある場合(ステップS17_YES)、処理は、ステップS18へ進む。動作中の制御がない場合(ステップS17_NO)、処理は、ステップS19へ進む。
【0060】
ステップS18において、コントローラ15は、動作中の制御を全て停止させる。コントローラ15は、変数W、P1、P2、P3、P4をリセット(数値”0”に設定)して、変数W、P1、P2、P3、P4をEEPROM154に格納する。処理は、ステップS19へ進む。
【0061】
ステップS19において、コントローラ15は、空調装置14が停止されているか否かを判断する。空調装置14が停止されている場合(ステップS19_YES)、処理は、ステップS20へ進む。空調装置14が停止していない場合(ステップS19_NO)、処理は、ステップS2に戻る。
【0062】
ステップS20において、コントローラ15は、動作中の制御を全て停止させる。コントローラ15は、変数W、P1、P2、P3、P4をリセットして、変数W、P1、P2、P3、P4をEEPROM154に格納する。これにより、本フローの処理は、終了する。
【0063】
[事前抑制処理]
次に、事前抑制処理の流れについて、図8のフローチャートを参照して説明する。事前制御処理は、外気の露点温度が上昇して間仕切壁11の壁材111の表面に結露が発生しそうな状況において、事前に結露が発生しにくくする動作を結露抑制システム1において実施する処理である。
【0064】
コントローラ15は、外気温湿度センサ21から受信した電気信号に基づいて、外気の温度および相対湿度を取得する(ステップS41)。コントローラ15は、取得した外気の温度および相対湿度から、外気の絶対湿度を算出する(ステップS42)。絶対湿度は、例えば、以下のように求められる。まず、コントローラ15は、温度に基づいて算出される飽和水蒸気圧の関係式をEEPROM154から読み出す。コントローラ15は、読み出した飽和水蒸気圧の関係式に外気の温度を代入して、飽和水蒸気圧を算出する。コントローラ15は、EEPROM154から飽和水蒸気圧と温度とに基づく飽和水蒸気量の関係式を読み出す。コントローラ15は、飽和水蒸気量の関係式に、算出した飽和水蒸気圧と外気の温度とを代入して飽和水蒸気量を算出する。コントローラ15は、算出した飽和水蒸気量と外気の相対湿度との積を絶対湿度として算出する。
【0065】
コントローラ15は、取得した外気の温度および相対湿度から、外気の露点温度を算出する(ステップS43)。露点温度は、例えば、以下のように求められる。コントローラ15は、EEPROM154から飽和水蒸気圧の関係式を読み出す。コントローラ15は、外気の温度を飽和水蒸気圧の関係式に代入して、飽和水蒸気圧を算出する。コントローラ15は、EEPROM154から空気中の水蒸気圧の関係式を読み出す。コントローラ15は、算出した飽和水蒸気圧と外気の相対湿度とを空気中の水蒸気圧の関係式に代入して、空気中の水蒸気圧を算出する。コントローラ15は、EEPROM154から露点温度の関係式を取得する。コントローラ15は、算出した水蒸気圧を露点温度の関係式に代入して、露点温度を算出する。
【0066】
コントローラ15は、取得した内部空間100の温度および相対湿度から、内部空間100の絶対湿度を算出する(ステップS44)。絶対湿度は、例えば、以下のように求められる。まず、コントローラ15は、温度に基づいて算出される飽和水蒸気圧の関係式をEEPROM154から読み出す。コントローラ15は、読み出した飽和水蒸気圧の関係式に内部空間100の温度を代入して、飽和水蒸気圧を算出する。コントローラ15は、EEPROM154から飽和水蒸気圧と温度とに基づく飽和水蒸気量の関係式を読み出す。コントローラ15は、飽和水蒸気量の関係式に、算出した飽和水蒸気圧と内部空間100の温度とを代入して飽和水蒸気量を算出する。コントローラ15は、算出した飽和水蒸気量と内部空間100の相対湿度との積を絶対湿度として算出する。
【0067】
コントローラ15は、外気の絶対湿度が内部空間100の絶対湿度以上か否かを判断する(ステップS45)。外気の絶対湿度が内部空間100の絶対湿度以上である場合(ステップS45_YES)、処理は、ステップS46に進む。外気の絶対湿度が内部空間100の絶対湿度よりも小さい場合、事前制御処理は、終了する。
【0068】
ステップS46において、コントローラ15は、外気の露点温度が間仕切壁11の壁材111の表面温度以上か否かを判断する(ステップS47)。外気の露点温度が表面温度以上である場合(ステップS47_YES)、処理は、ステップS47に進む。外気の露点温度が表面温度よりも低い場合(ステップS47_NO)、事前制御処理は、終了する。
【0069】
ステップS47において、外気の内部空間100への流入により結露が発生する状況であるので、コントローラ15は、風向制御処理を実行する。風向制御処理の詳細については後述する。これにより、事前制御処理は、終了する。
【0070】
[風向制御処理]
次に、風向制御処理の流れについて、図9のフローチャートを参照して説明する。風向制御処理は、空調装置14から送出される風の風向きを制御することにより、間仕切壁11の壁材111に風が当たることを抑制する動作を結露抑制システム1において実施する処理である。壁材111に風が直接当たらないようになることで、壁材111の冷却が抑制される。
【0071】
コントローラ15は、空調装置14によって向けるべき風向きの情報を取得する(ステップS110)。コントローラ15は、例えば、EEPROM154に格納されている風向情報を読み出すことにより、向けるべき風向きの情報を取得する。
【0072】
コントローラ15は、EEPROM154から変数Wを取得して、空調装置14の風向きの制御を実施する(ステップS111)。コントローラ15は、変数Wの値に基づいて、取得した風向情報に含まれる可動範囲を選択する。コントローラ15は、例えば、変数W=0である場合に、最も広い可動範囲(例えば、図3の可動範囲M)を選択する。コントローラ15は、例えば、変数Wが1ずつ増えるごとに、風向情報に含まれる可動範囲のうち、徐々に狭い可動範囲を選択する(例えば、変数W=1のとき、可動範囲M1)。コントローラ15は、選択された可動範囲に基づいて、空調装置14の風向きを制御する。
【0073】
コントローラ15は、風速センサ22から受信した電気信号に基づいて風速を取得する(ステップS112)。コントローラ15は、取得した風速が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS113)。所定値は、例えば、EEPOM154から取得される。風速が所定値以下である場合(ステップS113_YES)、間仕切壁11の壁材111に空調装置14から送出される風が当たっていない状況であり、処理は、ステップS114に進む。風速が所定値を超える場合(ステップS113_NO)、間仕切壁11の壁材111に空調装置14から送出される風が当たっている状況であり、処理は、ステップS115に進む。
【0074】
ステップS114において、コントローラ15は、変数P1をインクリメントする。コントローラ15は、インクリメントした変数P1をEEPROM154に格納する。そして、風向制御処理は、終了する。
【0075】
ステップS115において、コントローラ15は、変数Wをインクリメントする。コントローラ15は、インクリメントした変数WをEEPROM154に格納する。そして、処理は、ステップS111に戻る。
【0076】
[第1ファン制御処理]
次に、第1ファン制御処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。第1ファン制御処理は、第1ファン18の回転方向を制御して、屋外から居室10内に外気を取り入れる処理である。外気が居室10に取り入れられることにより、居室10および屋外が内部空間100に対して正圧となる。居室10が内部空間100および屋外に対して正圧となることにより、貫通孔16を介して居室10から内部空間100に空気が流れる。居室10の空気は、空調装置14により乾燥されているので、乾燥した空気を内部空間100に導入して、内部空間100の相対湿度を下げることができる。
【0077】
コントローラ15は、差圧センサ17から受信した電気信号に基づいて、間仕切壁11の内部空間100の気圧と屋外の気圧との差を取得する(ステップS141)。コントローラ15は、取得した差に基づいて、内部空間100の圧力が外気の圧力よりも小さいか否かを判断する(ステップS142)。内部空間100の圧力が外気の圧力よりも小さい場合(ステップS142_YES)、処理は、ステップS143に進む。内部空間100の圧力が外気の圧力以上である場合(ステップS144_NO)、第1ファン制御処理は、終了する。
【0078】
ステップS143において、コントローラ15は、第1ファン18の稼働を開始する。コントローラ15は、第1ファン18の回動方向を制御することにより、居室10内に外気を取り込む。そして、処理は、ステップS144に進む。
【0079】
ステップS144において、コントローラ15は、変数P3をインクリメントする。コントローラ15は、インクリメントした変数P3をEEPROM154に格納する。そして、第1ファン制御処理は、終了する。
【0080】
[第2ファン制御処理]
次に、第2ファン制御処理について、図11のフローチャートを参照して説明する。第2ファン制御処理は、第2ファン20の回転方向を制御して、居室10から間仕切壁11の内部空間100に空気を送り込む処理である。第2ファンの稼動により、第1ファンのみの稼動の場合と比べ、居室10から内部空間100内に導入される空気の量が増加する。内部空間100に導入される空気の量が増加することにより、内部空間100の相対湿度をより下げることができる。
【0081】
コントローラ15は、居室温湿度センサ19から受信した電気信号に基づいて、居室10における室温および相対湿度を取得する(ステップS151)。コントローラ15は、取得した室温および相対湿度に基づいて、居室10および内部空間100の絶対湿度を算出する(ステップS152)。絶対湿度は、例えば、以下のように求められる。まず、コントローラ15は、温度に基づいて算出される飽和水蒸気圧の関係式をEEPROM154から読み出す。コントローラ15は、読み出した飽和水蒸気圧の関係式に居室10の室温を代入して、飽和水蒸気圧を算出する。コントローラ15は、EEPROM154から飽和水蒸気圧と温度とに基づく飽和水蒸気量の関係式を読み出す。コントローラ15は、飽和水蒸気量の関係式に、算出した飽和水蒸気圧と室温とを代入して飽和水蒸気量を算出する。コントローラ15は、算出した飽和水蒸気量と内部空間100の相対湿度との積を絶対湿度として算出する。
【0082】
コントローラ15は、居室10の絶対湿度が内部空間100の絶対湿度より小さいか否かを判断する(ステップS153)。居室10の絶対湿度が内部空間100の絶対湿度よりも小さい場合(ステップS153_YES)、処理は、ステップS154に進む。居室10の絶対湿度が内部空間100の絶対湿度以上である場合(ステップS153_NO)、第2ファン制御処理は、終了する。
【0083】
ステップS154において、コントローラ15は、第2ファン20の稼働を開始する。コントローラ15は、第2ファン20の回転方向を制御することにより、間仕切壁11の内部空間100に居室10の空気を送り込む。
【0084】
コントローラ15は、変数P4をインクリメントする(ステップS155)。コントローラ15は、インクリメントした変数P4をEEPROM154に格納する。そして、第2ファン制御処理は、終了する。
【0085】
(実施形態の作用効果)
間仕切壁11の内部空間100における露点温度が壁材111の表面温度よりも高い場合に、空調装置14の風向きが間仕切壁11へ向かわないように制御される。これにより、壁材111が空調装置14から送出される風によって冷却されることが抑制される。壁材111の表面温度の低下が抑制されることにより、壁材111の表面における結露が抑制される。
【0086】
空調装置14から送出される風の温度を上昇させることにより、壁材111の表面温度が上昇する。壁材111の表面温度が上昇されることにより、壁材111の表面における結露が抑制される。風向きの制御とともに温度を上昇させることにより、より効果的に結露が抑制される。
【0087】
外壁に位置する第1ファン18を用いて居室10に外気を導入することにより、居室10内が屋外および間仕切壁11の内部空間100に対して正圧になる。空調装置14によって乾燥した空気が貫通孔16を介して間仕切壁11の内部空間100に流入することにより、間仕切壁11の内部空間100への外気の流入が抑制される。間仕切壁11の内部空間100における露点温度が低下するので、壁材111の表面における結露が抑制される。風向きの制御とともに第1ファン18を動作させることにより、より効果的に結露が抑制される。
【0088】
間仕切壁11の内部空間100よりも絶対湿度の低い居室10の空気が間仕切壁11の内部空間100に流入するので、間仕切壁11の内部空間100における絶対湿度が低下する。間仕切壁11の内部空間100における絶対湿度の低下により、壁材111の表面における結露が抑制される。第1ファン18の制御とともに実施されることにより内部空間100に流入する空気量が増加するので、効果的に結露が抑制される。
【0089】
外気の絶対湿度が間仕切壁11の内部空間100における絶対湿度よりも高く、且つ外気の露点温度が間仕切壁11の壁材111の表面温度よりも高い場合に、空調装置14の風向きが間仕切壁11へ向かわないように制御される。間仕切壁11の内部空間100に外気が流入することで結露が発生する状況において、予め空調装置14から送出される風が間仕切壁11に向かわないようにしておくことができるので、壁材111の表面における結露を抑制できる。
【0090】
(変形例)
上記実施形態において、コントローラ15は、空調装置14の風向きについて、予め定められた可動範囲を示す風向情報を取得するとしたが、これに限定されない。EEPROM154には、空調装置14に対して、間仕切壁11の位置する方向を予め定めた方向情報が格納されていてもよい。コントローラ15は、方向情報を取得して、方向情報に示される間仕切壁11の位置に風向きが向かないように空調装置14を制御してもよい。
【0091】
また、上記実施形態において、コントローラ15は、空調装置14の風向きについて、図3に示す限界位置A1の位置を限界位置A2に向けてリニアに移動させてもよい。風速センサ22によって取得される風速が所定値以下になるまで、コントローラ15は、空調装置14の風向きを移動してもよい。これにより、風速センサ22で取得される風速が所定値以下になったときを風向制御による風向きとすることができるので、風向きをできる限り広くしつつ、結露を抑制しつつ、居室の快適性をできる限り確保することができる。
【0092】
また、上記実施形態において、コントローラ15は、温度上昇制御処理の際に、温度の上昇量に合わせて風量を増加させる制御をしてもよい。風量の増加により、温度上昇制御処理に伴う体感温度の上昇を抑制できる。また、温度上昇の目標値は、内部空間100の露点温度に基づいて動的に決められてもよい。例えば、内部空間100の露点温度が室温よりも高い場合に、コントローラ15は、室温と目標値との和が露点温度よりも高くなるように目標値を決めてもよい。また、目標値は、徐々に増加する複数の値であってもよい。コントローラ15は、温度上昇制御処理に際して、最初に最も小さな目標値を用いて空調装置14の設定温度を決定してもよい。所定時間経過後、壁材111の表面温度が露点温度よりも未だ低い場合に、コントローラ15は、次に小さな目標値を用いて空調装置14の設定温度を決定してもよい。コントローラ15は、例えば、温度上昇制御処理の直前における空調装置14の設定温度に対して、次に小さな目標値を加えて新たな設定温度に決定してもよい。
【0093】
コントローラ15は、用いられる目標値について、例えば、風向制御処理の変数Wと同様に、所定の変数をインクリメントすることで適用することで判断するようにしてもよい。全ての目標値が用いられ、且つ所定時間経過後に、未だ表面温度が露点温度よりも低い場合、その後、コントローラ15は、ステップS9へ進んでもよい。なお、設定温度の上限値がEEPROM154に予め格納されていてもよい。新たに設定される設定温度が上限値よりも高い場合、コントローラ15は、新たな設定温度に決定せずに、ステップS9に進むようにしてもよい。これにより、居室10の室温の過度な上昇を抑制して、居室10における快適性を維持することができる。
【0094】
また、上記実施形態において、空調装置14が停止した場合に、動作中の制御を停止するとしたが、これに限定されない。表面温度が内部空間100の露点温度以下である場合、コントローラ15は、空調装置14が停止した場合であっても、第1ファン制御処理を実行し続けてもよい。また、コントローラ15は、空調装置14が停止した場合であっても、第1ファン制御処理に加えて、第2ファン制御処理を実行し続けてもよい。さらには、コントローラ15は、表面温度が内部空間100の露点温度よりも高くなった場合に、第1ファン制御処理および第2ファン制御処理を停止してもよい。
【0095】
また、上記実施形態における事前制御処理において、風向制御処理を実行するとしたがこれに限定されない。風向制御処理に代えて、温度上昇制御処理または第1ファン制御処理が実行されてもよい。風向制御処理に加えて、温度上昇制御処理および第1ファン制御処理の少なくとも一方が実行されてもよい。第1ファン制御処理に加えて、第2ファン制御処理が実行されてもよい。例えば、外気の絶対湿度の増加する速度に応じて、コントローラ15は、実施する制御処理の数を増加させてもよい。これにより、間仕切壁11の内部空間100における絶対湿度の予想される増加量に応じて、結露を抑制するために柔軟に対応できる。
【0096】
また、図12に示されるように、間仕切壁11の壁材111と空調装置14との間に、上下方向7にシートを展開可能なロールスクリーン80が位置してもよい。ロールスクリーン80のシート81は、例えば、巻回された状態で天板102付近に位置する。シート81は、巻回された状態から下方に展開されることにより、壁材111と空調装置14との間に伸張される。シート81は、例えば、壁材111に対して、空調装置14から送出される風を遮断可能な位置および広さを有する。コントローラ15は、風向制御処理に加えまたは代えて、ロールスクリーンを動作させて伸張させる。これにより、空調装置14から壁材111への風の吹き付けが抑制され、壁材111の表面温度の低下が抑制される。
【0097】
また、上記実施形態において、第1ファン制御処理の前に温度上昇制御処理を実施するとしが、これに限定されない。第1ファン制御処理の後に、温度上昇制御処理が実施されてもよい。第2ファン制御処理は、第1ファン制御処理の実施の後であれば、温度上昇制御処理の前後のいずれで実施されてもよい。
【0098】
[付記1]
居室と、
上記居室を区画する壁材を有する間仕切壁と、
上記間仕切壁の内部空間において上記壁材の表面温度を取得する温度センサと、
上記間仕切壁の内部空間における温度および相対湿度を取得する壁内温湿度センサと、
上記居室に風を送出して上記居室の室温を調節する空調装置と、
上記空調装置の風向きを制御するコントローラと、
を備え、
上記コントローラは、
上記壁内温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて露点温度を算出する壁内露点温度算出処理と、
上記表面温度よりも上記露点温度が高いことを条件として、上記風向きの動作範囲を制限することにより、上記空調装置の上記風向きが上記間仕切壁へ向かわないように制御する風向制御処理と、を実行する結露抑制システム。
【0099】
[付記2]
上記コントローラは、上記風向制御処理を実行した後、上記表面温度よりも上記露点温度が高いことを条件として、上記空調装置から送出される風の温度を上昇させる温度上昇処理をさらに実行する付記1に記載の結露抑制システム。
【0100】
[付記3]
上記壁材を貫通して上記間仕切壁の内部空間と上記居室と連通する貫通孔と、
上記間仕切壁の内部空間の気圧と屋外の気圧との差を取得する差圧センサと、
上記居室と上記屋外とを区画する外壁の開口に位置する第1ファンと、をさらに備え、
上記コントローラは、
上記風向制御処理を実行した後、上記表面温度よりも上記露点温度が高く、且つ上記間仕切壁の内部空間よりも上記屋外の圧力が高いことを条件として、上記第1ファンを駆動して、上記屋外から上記居室へ外気を導入する第1ファン制御処理をさらに実行する付記1または2に記載の結露抑制システム。
【0101】
[付記4]
上記居室における室温および相対湿度を取得する居室温湿度センサと、
上記間仕切壁の開口に位置する第2ファンをさらに備え、
上記コントローラは、
上記居室温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて、上記居室における絶対湿度を算出する居室絶対湿度算出処理と、
上記壁内温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて、上記間仕切壁の内部空間における絶対湿度を算出する壁内絶対湿度算出処理と、
上記第1ファン制御処理を実行した後、上記表面温度よりも上記露点温度が高く、且つ上記居室における絶対湿度が上記間仕切壁の内部空間における絶対湿度よりも小さいことを条件として、上記第2ファンを駆動して、上記居室から上記間仕切壁の内部空間へ空気を導入する第2ファン制御処理と、をさらに実行する付記3に記載の結露抑制システム。
【0102】
[付記5]
外気の温度および相対湿度を取得する外気温湿度センサをさらに備え、
上記コントローラは、
上記外気温湿度センサによって取得される温度および相対湿度に基づいて、上記外気における絶対湿度を算出する外気絶対湿度算出処理と、
上記外気温湿度センサによって取得される温度および相対湿度に基づいて、上記外気における露点温度を算出する外気露点温度算出処理と、
上記壁内温湿度センサによって取得される室温および相対湿度に基づいて、上記間仕切壁の内部空間における絶対湿度を算出する壁内絶対湿度算出処理と、を実行し、
上記外気における絶対温度が上記間仕切壁の内部空間における絶対温度よりも高く、且つ上記外気における露点温度が上記表面温度よりも高いことを条件として、上記風向制御処理を実行する付記1から4のいずれかに記載の結露抑制システム。
【0103】
[付記6]
上記壁材の上記居室側の表面に位置しており、上記居室側の上記間仕切壁の表面上における風の速度を取得する風速センサをさらに備え、
上記コントローラは、
上記風向制御処理において、上記風速センサによって取得される風速が所定値以下となるように上記空調装置から上記間仕切壁に向かう上記風向きを制御する付記1から5のいずれかに記載の結露抑制システム。
【0104】
[付記7]
居室と、
上記居室を区画する壁材を有する間仕切壁と、
上記間仕切壁の内部空間において上記壁材の表面温度を取得する温度センサと、
上記間仕切壁の内部空間における室温および相対湿度を取得する壁内温湿度センサと、
上記居室に風を送出して上記居室の室温を調節する空調装置と、
上記空調装置の風向きを制御するコントローラと、
を備える結露抑制システムとして動作させるプログラムであって、
上記コントローラに、
上記壁内温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて露点温度を算出する壁内露点温度算出処理と、
上記表面温度よりも上記露点温度が高いことを条件として、上記風向きの動作範囲を制限することにより、上記空調装置の上記風向きが上記間仕切壁へ向かわないように制御する風向制御処理と、を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0105】
1・・・結露抑制システム
10・・・居室
11・・・間仕切壁
12・・・温度センサ
13・・・壁内温湿度センサ
14・・・空調装置
15・・・コントローラ
16・・・貫通孔
17・・・差圧センサ
18・・・第1ファン
19・・・居室温湿度センサ
20・・・第2ファン
21・・・外気温湿度センサ
22・・・風速センサ
31,32・・・開口
100・・・内部空間
111・・・壁材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
居室と、
上記居室を区画する壁材を有する間仕切壁と、
上記間仕切壁の内部空間において上記壁材の表面温度を取得する温度センサと、
上記間仕切壁の内部空間における温度および相対湿度を取得する壁内温湿度センサと、
上記居室に風を送出して上記居室の室温を調節する空調装置と、
上記空調装置の風向きを制御するコントローラと、
を備え、
上記コントローラは、
上記壁内温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて露点温度を算出する壁内露点温度算出処理と、
上記表面温度よりも上記露点温度が高いことを条件として、上記風向きの動作範囲を制限することにより、上記空調装置の上記風向きが上記間仕切壁へ向かわないように制御する風向制御処理と、を実行する結露抑制システム。
【請求項2】
上記コントローラは、上記風向制御処理を実行した後、上記表面温度よりも上記露点温度が高いことを条件として、上記空調装置から送出される風の温度を上昇させる温度上昇処理をさらに実行する請求項1に記載の結露抑制システム。
【請求項3】
上記壁材を貫通して上記間仕切壁の内部空間と上記居室と連通する貫通孔と、
上記間仕切壁の内部空間の気圧と屋外の気圧との差を取得する差圧センサと、
上記居室と上記屋外とを区画する外壁の開口に位置する第1ファンと、をさらに備え、
上記コントローラは、
上記風向制御処理を実行した後、上記表面温度よりも上記露点温度が高く、且つ上記間仕切壁の内部空間よりも上記屋外の圧力が高いことを条件として、上記第1ファンを駆動して、上記屋外から上記居室へ外気を導入する第1ファン制御処理をさらに実行する請求項1または2に記載の結露抑制システム。
【請求項4】
上記居室における室温および相対湿度を取得する居室温湿度センサと、
上記間仕切壁の開口に位置する第2ファンをさらに備え、
上記コントローラは、
上記居室温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて、上記居室における絶対湿度を算出する居室絶対湿度算出処理と、
上記壁内温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて、上記間仕切壁の内部空間における絶対湿度を算出する壁内絶対湿度算出処理と、
上記第1ファン制御処理を実行した後、上記表面温度よりも上記露点温度が高く、且つ上記居室における絶対湿度が上記間仕切壁の内部空間における絶対湿度よりも小さいことを条件として、上記第2ファンを駆動して、上記居室から上記間仕切壁の内部空間へ空気を導入する第2ファン制御処理と、をさらに実行する請求項3に記載の結露抑制システム。
【請求項5】
外気の温度および相対湿度を取得する外気温湿度センサをさらに備え、
上記コントローラは、
上記外気温湿度センサによって取得される温度および相対湿度に基づいて、上記外気における絶対湿度を算出する外気絶対湿度算出処理と、
上記外気温湿度センサによって取得される温度および相対湿度に基づいて、上記外気における露点温度を算出する外気露点温度算出処理と、
上記壁内温湿度センサによって取得される室温および相対湿度に基づいて、上記間仕切壁の内部空間における絶対湿度を算出する壁内絶対湿度算出処理と、を実行し、
上記外気における絶対温度が上記間仕切壁の内部空間における絶対温度よりも高く、且つ上記外気における露点温度が上記表面温度よりも高いことを条件として、上記風向制御処理を実行する請求項1に記載の結露抑制システム。
【請求項6】
上記壁材の上記居室側の表面に位置しており、上記居室側の上記間仕切壁の表面上における風の速度を取得する風速センサをさらに備え、
上記コントローラは、
上記風向制御処理において、上記風速センサによって取得される風速が所定値以下となるように上記空調装置から上記間仕切壁に向かう上記風向きを制御する請求項1に記載の結露抑制システム。
【請求項7】
居室と、
上記居室を区画する壁材を有する間仕切壁と、
上記間仕切壁の内部空間において上記壁材の表面温度を取得する温度センサと、
上記間仕切壁の内部空間における室温および相対湿度を取得する壁内温湿度センサと、
上記居室に風を送出して上記居室の室温を調節する空調装置と、
上記空調装置の風向きを制御するコントローラと、
を備える結露抑制システムにおいて
上記コントローラに、
上記壁内温湿度センサによって取得された室温および相対湿度に基づいて露点温度を算出する壁内露点温度算出処理と、
上記表面温度よりも上記露点温度が高いことを条件として、上記風向きの動作範囲を制限することにより、上記空調装置の上記風向きが上記間仕切壁へ向かわないように制御する風向制御処理と、を実行させるプログラム。
【請求項8】
間仕切壁の内部空間において壁材の表面温度を取得する温度センサと、
上記間仕切壁の内部空間の温度および相対湿度を取得する壁内温湿度センサと、
空調装置と、
上記空調装置の風向きを制御するコントローラと、を備え、
上記コントローラは、
上記壁内温湿度センサによって取得された温度および相対湿度に基づいて露点温度を算出する壁内露点温度算出処理と、
上記表面温度よりも上記露点温度が高いことを条件として、上記風向きの範囲を制限する風向制御処理と、を実行する結露抑制システム。
【請求項9】
上記コントローラは、上記風向制御処理において、上記空調装置の上記風向きが上記間仕切壁へ向かわないように上記風向きの範囲を制限する請求項8に記載の結露抑制システム。
【請求項10】
壁内温湿度センサによって取得された間仕切壁の内部空間の温度および相対湿度に基づいて露点温度を算出する壁内露点温度算出処理と、
上記間仕切壁の内部空間に位置する温度センサによって取得された壁材の表面温度よりも上記露点温度が高いことを条件として、空調装置の風向きの範囲を制限する風向制御処理と、をコントローラに実行させるプログラム。
【請求項11】
上記風向制御処理において、上記空調装置の上記風向きが上記間仕切壁へ向かわないように上記風向きの範囲を制限する請求項10に記載のプログラム。