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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】
(43)【公開日】
(54)【発明の名称】ゲート駆動装置
(51)【国際特許分類】
   
【FI】
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】
(21)【出願番号】
(22)【出願日】
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】山本 恭輔
(72)【発明者】
【氏名】曽根原 理仁
(72)【発明者】
【氏名】谷本 琢真
(72)【発明者】
【氏名】北川 明弘
(72)【発明者】
【氏名】山口 忠男
(72)【発明者】
【氏名】岡村 宏一
【テーマコード(参考)】
【Fターム(参考)】
5H740BA12
5H740BB09
5H740BB10
5H740BC01
5H740BC02
5H740JA01
5H740JB01
5H740MM01
5H740MM08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】遅延に関係なく、駆動する半導体スイッチング素子の保護と損失の低減とが実現されるゲート駆動装置を提供する。
【解決手段】入力信号と、記憶回路に記憶された、ゲート端子に入力するゲート電流の設定値およびそれより小さい設定値と、ゲート電流の時間的変化率の目標値である目標変化率と、ゲート端子の電圧が所定の中間電圧に遷移するときに蓄積される目標電荷量とに基づいて、ゲート電流を出力し始めるタイミング、設定値で出力する第1のタイミング、その後の設定値で出力する第2のタイミングを生成するタイミング生成回路32と、各タイミングと設定値と目標変化率とに基づいて、ゲート電流を出力するゲート電流出力回路34と、を備え、タイミングは、開始タイミングからタイミングまでのゲート電流により移動した総電荷量が目標電荷量に一致するように生成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項】
ゲート端子、ソース端子、ドレイン端子を有する半導体スイッチング素子を駆動するゲート駆動装置であって、
入力信号と、記憶回路に記憶された、前記ゲート端子に入力するゲート電流の第1の設定値および前記第1の設定値より小さい第2の設定値と、前記ゲート電流の変化する期間における時間的変化率の目標値である目標変化率と、前記ゲート端子の電圧が所定の中間電圧に遷移するときに蓄積されるゲート電荷量である目標電荷量と、に基づいて、前記ゲート電流の出力を開始する開始タイミングと、前記第1の設定値の前記ゲート電流を出力する第1のタイミングと、その後の前記第2の設定値の前記ゲート電流を出力する第2のタイミングと、を生成するタイミング生成回路と、
前記タイミング生成回路によって生成された各タイミングと、前記ゲート電流の前記第1の設定値および前記第2の設定値と、前記目標変化率と、に基づいて、前記ゲート電流を前記ゲート端子に出力するゲート電流出力回路と、を備え、
前記第2のタイミングは、前記開始タイミングから前記第2のタイミングまでの前記ゲート電流により移動した総電荷量が前記目標電荷量に一致するように生成される、ゲート駆動装置。
【請求項】
前記ゲート電流の時間的変化率の実際値である実際変化率を検出する変化率検出回路をさらに備え、
前記ゲート電流出力回路は、前記変化率検出回路によって検出された前記実際変化率と前記目標変化率とが等しくなるように調整可能に構成されている、請求項1に記載のゲート駆動装置。
【請求項】
前記ドレイン端子を流れるドレイン電流を検出する電流検出回路をさらに備え、
前記目標電荷量は、前記半導体スイッチング素子の飽和時のドレイン電流値と前記電流検出回路によって検出された前記半導体スイッチング素子の最大時のドレイン電流値との差が所定の値以下となるように更新される、請求項1または2に記載のゲート駆動装置。
【請求項】
前記半導体スイッチング素子の素子温度を検出する温度検出回路をさらに備え、
前記記憶回路は、前記半導体スイッチング素子の飽和時のドレイン電流値と素子温度とに対応する前記目標電荷量を記憶するテーブルを保持し、
前記目標電荷量は、前記電流検出回路によって検出された飽和時のドレイン電流値と、前記温度検出回路によって検出された素子温度と、に基づいて前記テーブルから決定される、請求項3に記載のゲート駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【】
本開示の技術は、ゲート端子、ソース端子およびドレイン端子を有する半導体スイッチング素子のゲート端子を駆動するためのゲート駆動装置、特に、モータを駆動するトランジスタのゲート端子を駆動するためのゲート駆動装置に関する。
【背景技術】
【】
一般に、モータを駆動する半導体スイッチング素子のゲート端子が損失の低減のために高速駆動されると、素子内部や回路上の寄生インダクタンス成分により、ドレイン端子に出力されるドレイン電圧にオーバーシュートが生じる。そして、このオーバーシュートがドレイン端子の許容最大定格を超えると、半導体スイッチング素子は破壊される。
【】
このような半導体スイッチング素子の保護と損失の低減との両立を図ることができるゲート駆動装置が、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1のゲート駆動装置では、ドレイン電圧が所望する切替電圧に到達するタイミングまたはそれに近いタイミングで、実際のゲート駆動速度が第1駆動速度から第2駆動速度へと変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【】
【特許文献】特開2023-13594号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【】
ところで、特許文献1のゲート駆動装置では、出力のドレイン電圧に対する、遅延に応じた切替閾値電圧を設定することで、所望のタイミングが生成される。しかし、特許文献1の手法では、ドレイン電圧が変化し始める前の切替閾値電圧を設定することができない。つまり、かかるゲート駆動装置は、遅延が大きい場合のゲート駆動速度を変更するタイミングを設定することができない。そのため、所望のタイミングが生成されない場合に、駆動する半導体スイッチング素子の保護と損失の低減とが実現されないとの課題があった。
【】
本開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、遅延に関係なく、駆動する半導体スイッチング素子の保護と損失の低減とが実現されるゲート駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【】
本開示のゲート駆動装置は、ゲート端子、ソース端子、ドレイン端子を有する半導体スイッチング素子を駆動するゲート駆動装置であって、入力信号と、記憶回路に記憶された、前記ゲート端子に入力するゲート電流の第1の設定値および前記第1の設定値より小さい第2の設定値と、前記ゲート電流の変化する期間における時間的変化率の目標値である目標変化率と、前記ゲート端子の電圧が所定の中間電圧に遷移するときに蓄積されるゲート電荷量である目標電荷量と、に基づいて、前記ゲート電流の出力を開始する開始タイミングと、前記第1の設定値の前記ゲート電流を出力する第1のタイミングと、その後の前記第2の設定値の前記ゲート電流を出力する第2のタイミングと、を生成するタイミング生成回路と、前記タイミング生成回路によって生成された各タイミングと、前記ゲート電流の前記第1の設定値および前記第2の設定値と、前記目標変化率と、に基づいて、前記ゲート電流を前記ゲート端子に出力するゲート電流出力回路と、を備え、前記第2のタイミングは、前記開始タイミングから前記第2のタイミングまでの前記ゲート電流により移動した総電荷量が前記目標電荷量に一致するように生成される。
【】
この構成では、タイミング生成回路は、記憶回路に記憶された、ゲート電流の第1の設定値および第1の設定値より小さい第2の設定値と、ゲート電流の変化する期間における時間的変化率の目標値である目標変化率と、ゲート端子の電圧が所定の中間電圧に遷移するときに蓄積されるゲート電荷量である目標電荷量と、に基づいて、ゲート電流を出力するための各タイミングを生成する。すなわち、タイミング生成回路は、ゲート電流の出力を開始する開始タイミングと、第1の設定値のゲート電流を出力する第1のタイミングと、第2の設定値のゲート電流を出力する第2のタイミングと、を生成する。そして、ゲート電流出力回路は、生成された開始タイミングにおいて、ゲート電流の出力を開始し、目標変化率で増加させ、第1のタイミングにおいて、第1の設定値のゲート電流を出力する。その後、ゲート電流出力回路は、第2のタイミングにおいて、第2の設定値のゲート電流を出力する。ゲート電流は、第2のタイミングにおいて、開始タイミング以降の移動した総電荷量が目標電荷量に一致する。このとき、ゲート端子の電圧は、所定の中間電圧に遷移するとともに、ドレイン端子を流れるドレイン電流は、所定のドレイン電流値に達している。また、第2のタイミングのゲート電流は、第1の設定値より小さい第2の設定値に減少されている。そのため、ドレイン電流の時間的変化率が減少しているので、半導体スイッチング素子のボディダイオードに流れる逆回復電流の増大が抑制される。すなわちドレイン電流のオーバーシュートの発生が抑制される。つまり、遅延に関係なく、駆動する半導体スイッチング素子の保護と損失の低減とが実現される。
【】
本開示のゲート駆動装置は、前記ゲート電流の時間的変化率の実際値である実際変化率を検出する変化率検出回路をさらに備え、前記ゲート電流出力回路は、前記変化率検出回路によって検出された前記実際変化率と前記目標変化率とが等しくなるように調整可能に構成されてもよい。
【】
この構成では、ゲート駆動装置は、変化率検出回路を備えている。変化率検出回路は、ゲート電流出力回路の出力するゲート電流の時間的変化率の実際値である実際変化率を検出する。ゲート電流出力回路は、出力するゲート電流の時間的変化率を実際変化率に応じて調整可能に構成されているため、実際変化率を目標変化率に等しくされる。そのため、半導体スイッチング素子の製造ばらつきや温度特性、経時劣化等によるゲート電流の時間的変化率の変動が補償される。したがって、遅延に関係なく、駆動する半導体スイッチング素子の保護と損失の低減とが高精度に実現される。
【】
本開示のゲート駆動装置は、前記ドレイン端子を流れるドレイン電流を検出する電流検出回路をさらに備え、前記目標電荷量は、前記半導体スイッチング素子の飽和時のドレイン電流値と前記電流検出回路によって検出された前記半導体スイッチング素子の最大時のドレイン電流値との差が所定の値以下となるように更新されてもよい。
【】
この構成では、ゲート駆動装置は、電流検出回路を備えている。電流検出回路は、半導体スイッチング素子のドレイン端子を流れる最大時のドレイン電流値と飽和時のドレイン電流値とを検出する。そして、記憶回路に記憶された目標電荷量は、最大時のドレイン電流値と飽和時のドレイン電流値との差、つまりドレイン電流のオーバーシュートが所定の値以下となるように更新される。したがって、遅延に関係なく、駆動する半導体スイッチング素子の保護と損失の低減とが高精度に実現される。
【】
本開示のゲート駆動装置は、前記半導体スイッチング素子の素子温度を検出する温度検出回路をさらに備え、前記記憶回路は、前記半導体スイッチング素子の飽和時のドレイン電流値と素子温度とに対応する前記目標電荷量を記憶するテーブルを保持し、前記目標電荷量は、前記電流検出回路によって検出された飽和時のドレイン電流値と、前記温度検出回路によって検出された素子温度と、に基づいて前記テーブルから決定される。
【】
この構成では、ゲート駆動装置は、温度検出回路を備えている。温度検出回路は、半導体スイッチング素子の素子温度を検出する。また、記憶回路は、半導体スイッチング素子の飽和時のドレイン電流値と素子温度とに対応する目標電荷量を記憶するテーブルを保持している。そして、目標電荷量は、このテーブルから、電流検出回路によって検出された半導体スイッチング素子の飽和時のドレイン電流値と、温度検出回路によって検出された半導体スイッチング素子の素子温度と、に基づいて決定される。そのため、半導体スイッチング素子の製造ばらつきや温度特性、経時劣化等によるゲート電荷量の変動が補償される。したがって、遅延に関係なく、駆動する半導体スイッチング素子の保護と損失の低減とが高精度に実現される。
【発明の効果】
【】
本開示のゲート駆動装置によれば、遅延に関係なく、駆動する半導体スイッチング素子の保護と損失の低減とが実現される。
【図面の簡単な説明】
【】
【図】図1は、実施の形態1に係るインバータシステムの概略構成の一例を示す図である。
【図】図2は、実施の形態1に係るゲート駆動装置の機能構成の一例を示す図である。
【図】図3は、実施の形態1に係るゲート駆動装置の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【図】図4は、実施の形態1に係るゲート電流出力回路の構成の一例を示す図である。
【図】図5は、図4のゲート電流出力回路の動作を説明するための図である。
【図】図6は、実施の形態1に係るゲート駆動装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図】図7は、実施の形態2に係るゲート駆動装置の機能構成の一例を示す図である。
【図】図8は、実施の形態2に係るゲート駆動装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図】図9は、実施の形態3に係るゲート駆動装置の機能構成の一例を示す図である。
【図】図10は、実施の形態3に係る記憶回路の目標電荷量のテーブルの一例を示す図である。
【図】図11は、実施の形態3に係るゲート駆動装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【】
以下、本開示の技術の実施の形態について、図面を参照して説明する。また、本明細書では、対応する構成要素等には同一または類似の符号を付すとともに、それらについての詳細な説明を繰り返さない。
【】
[実施の形態1]
(インバータシステム1の概要)
図1~2は、本実施の形態に係るインバータシステム1の概略構成の一例を示す。インバータシステム1は、電気駆動車両等に用いられ、電池等(図示しない)の直流電流からモータ(図示しない)を駆動するための交流電流に変換するための電力変換器である。インバータシステム1は、運転手等の運転操作に応じたオン指令CMDを出力する制御装置2と、制御装置2のオン指令CMDに応じてゲート電流Igを出力するゲート駆動装置3と、ゲート電流Igに駆動され外部のモータ(図示しない)を駆動するドレイン電流Idを出力するインバータ装置4と、を備えている。
【】
(インバータ装置4)
インバータ装置4は、ゲート駆動装置3のゲート電流Igによって、例えば3相の交流モータ(図示しない)を駆動するドレイン電流Idを出力する。インバータ装置4は、モータ駆動用の高電位電源VDDMおよび低電位電源VSSMの間に接続された3対のハーフブリッジ回路を含む。1対のハーフブリッジ回路は、例えば、上アームを構成する半導体スイッチング素子M2と、下アームを構成する半導体スイッチング素子M1と、を含む。6つの半導体スイッチング素子M1、M2、M3、M4、M5、M6は、それぞれがゲート端子、ソース端子およびドレイン端子を有している。また、それぞれのソース端子とドレイン端子との間には、ボディダイオードが形成されている。そして、例えば、半導体スイッチング素子M1、M2のゲート端子G1、G2は、ゲート駆動装置3の出力端子にそれぞれ接続されている。半導体スイッチング素子M1のソース端子S1は、低電位電源VSSMに接続されている。また、半導体スイッチング素子M1のドレイン端子D1は、半導体スイッチング素子M2のソース端子と接続されて交流モータ(図示しない)の入力端子に接続されている。半導体スイッチング素子M2のドレイン端子D2は、高電位電源VDDMに接続されている。
【】
(制御装置2)
制御装置2は、運転手等の運転操作に応じたオン指令CMDをゲート駆動装置3に出力する。制御装置2は、既知のマイコン等が使用され得る。
【】
(ゲート駆動装置3)
ゲート駆動装置3は、制御装置2の出力するオン指令CMDに応じて、インバータ装置4にゲート電流Igを出力する。具体的には、ゲート駆動装置3は、ゲート制御回路31と、タイミング生成回路32と、記憶回路33と、ゲート電流出力回路34と、を機能ブロックとして有する。なお、図2のゲート駆動装置3には、駆動する半導体スイッチング素子M1のゲート端子G1に出力されるゲート電流Igのみが示されている。他の駆動する半導体スイッチング素子M2、M3、M4、M5、M6についても、半導体スイッチング素子M1と同様に、ゲート電流が出力されている。
【】
(ゲート制御回路31)
ゲート制御回路31は、記憶回路33からプログラムを読み出して実行する等により、ゲート駆動装置3の全体を制御する。まず、ゲート制御回路31は、記憶回路33に記憶された、ゲート電流Igの設定値Ig1、Ig2と、時間的変化率の目標値である目標変化率αと、を取得して、ゲート電流出力回路34を設定する。さらに、ゲート制御回路31は、記憶回路33に記憶された目標電荷量Qgsを取得して、ゲート電流Igを出力するためのタイミング信号をタイミング生成回路32に生成させる。そして、ゲート制御回路31は、タイミング生成回路32によって生成されたタイミング信号に基づいて、ゲート電流出力回路34にゲート電流Igを出力させる。なお、ゲート電流Igの設定値Ig2は、設定値Ig1より小さい値である。ゲート制御回路31の具体的な制御動作については、後述する。
【】
ここで、目標変化率αは、ゲート電流Igの変化する期間における時間的変化率(dIg/dt)の目標値である。また、目標電荷量Qgsは、半導体スイッチング素子M1のゲート端子G1とソース端子S1との間のゲート電圧Vgsがゲートプラトー電圧である所定の中間電圧Vplに遷移するときに蓄積されるゲート電荷量である。目標電荷量Qgsは、半導体スイッチング素子M1を製造する半導体ベンダーから提供されるデータシート等から取得され得る。
【】
ゲート制御回路31は、既知のマイコン等が使用され得る。また、ゲート制御回路31は、順序回路や制御装置2の追加機能として実現されてもよい。
【】
(タイミング生成回路32)
タイミング生成回路32は、図3に示すように、制御装置2からの入力信号であるオン指令CMDと、ゲート電流Igの設定値Ig1およびIg2と、目標変化率αと、目標電荷量Qgsと、に基づいて、ゲート電流Igを出力するためのタイミングT0、T1、T2、T3を生成する。タイミングT0では、ゲート電流Igの出力が開始される。タイミングT1では、設定値Ig1のゲート電流Igが出力される。タイミングT2では、ゲート電流Igの出力が設定値Ig1から減少され始める。タイミングT3では、設定値Ig2のゲート電流Igが出力される。このとき、タイミングT3は、タイミングT0からタイミングT3までのゲート電流Igにより移動した総電荷量が半導体スイッチング素子M1のゲート端子G1の目標電荷量Qgsに一致するように生成される。
【】
具体的には、タイミングT1は、タイミングT0に、設定値Ig1を目標変化率αで除した値の加算された、T1=T0+Ig1/αが生成される。タイミングT2は、タイミングT0に、目標電荷量Qgsを設定値Ig1で除した値と、設定値Ig2の2乗を設定値Ig1および目標変化率αならびに2で除した値との加算された、T2=T0+Qgs/Ig1+(Ig2)2/(2×α×Ig1)が生成される。タイミングT3は、タイミングT2に、設定値Ig1と設定値Ig2との差を目標変化率αで除した値の加算された、T3=T2+(Ig1-Ig2)/αが生成される。タイミング生成回路32は、生成したタイミングT0、T1、T2、T3を表す信号をゲート制御回路31に出力する。なお、タイミングT0は、任意の値に設定され得るが、モータの高速駆動のためには小さい値が好ましい。
【】
タイミング生成回路32は、既知のタイマー回路が使用され得る。
【】
なお、タイミングT4において、半導体スイッチング素子M1はドレイン電圧Vdsの降下を開始し、タイミングT5において終了する。さらに、タイミングT6において、ゲート電圧Vgsが高電位電源VDDHの電圧(VDDHとする)に達してターンオンを終了する。
【】
(記憶回路33)
記憶回路33は、ゲート電流Igの設定値Ig1、Ig2と、時間的変化率の目標値である目標変化率αと、ゲート電荷量の目標電荷量Qgsと、を予め記憶している。また、記憶回路33は、ゲート制御回路31の制御プログラムを記憶していてもよい。
【】
記憶回路33は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性のメモリ、フラッシュメモリ、レジスタ等が使用され得る。
【】
(ゲート電流出力回路34)
ゲート電流出力回路34は、タイミング生成回路32によって生成された各タイミングT0、T1、T2、T3と、ゲート制御回路31によって設定されたゲート電流の設定値Ig1、Ig2と、目標変化率αと、に基づいて、半導体スイッチング素子M1のゲート端子G1にゲート電流Igを出力する。
【】
ゲート電流出力回路34は、図4に示すように、ゲート電流Igを設定するための一対の電流源IS1、IS2と、カレントミラー接続された一対のN型のMOSFET(以下では、単にトランジスタと称する場合がある)であるM31、M32と、を含む。一端を高電位電源VDDHに接続された電流源IS1の他端は、ダイオード接続されたトランジスタM31のドレイン端子に接続されている。トランジスタM32のドレイン端子は、一端を高電位電源VDDHに接続された電流源IS2の他端に接続されている。また、トランジスタM31、M32のソース端子は、それぞれ低電位電源VSSHに接続されている。そして、トランジスタM32のドレイン端子は、演算増幅器OP1の正入力端子に接続されている。演算増幅器OP1の出力は、N型のトランジスタM33のゲート端子に接続され、トランジスタM33のソース端子は演算増幅器OP1の負入力端子と、抵抗R1の一端とに接続されている。抵抗R1の他端は低電位電源VSSHに接続されている。トランジスタM33のドレイン端子は、ダイオード接続されたP型のトランジスタM34のドレイン端子に接続されている。トランジスタM34にカレントミラー接続されたP型のトランジスタM35のドレイン端子は、他端を低電位電源VSSHに接続された電流源IS3の一端とゲート電流出力回路34の出力端子とに接続されている。トランジスタM34、M35のソース端子は、それぞれ高電位電源VDDHに接続されている。また、電流源IS1、IS2、IS3は、抵抗体または可変抵抗体であり得る。
【】
また、ゲート電流出力回路34は、トランジスタM32のドレイン端子と低電位電源VSSHとの間に、ゲート電流Igの時間的変化率を調整可能な変化率調整機構CV1を有している。変化率調整機構CV1は、可変容量のコンデンサを含む。
【】
ゲート電流出力回路34の電流設定、すなわち直流動作について、図5を参照して説明する。電流源IS1の電流値と電流源IS2の電流値とが等しいとき、トランジスタM32のドレイン電位VS2は、トランジスタM31のドレイン電位VS1と等しく、VS2=VS1となる。そして、負帰還接続された演算増幅器OP1の正入力端子と負入力端子とはほぼ同電位となるため、抵抗R1の端子電位VS21は、トランジスタM32のドレイン電位VS2とほぼ等しく、VS21=VS2となる。また、抵抗R1およびトランジスタM34を流れる電流I34は、オームの法則により、抵抗R1の端子電位VS21を抵抗R1の抵抗値(R1とする)で除した、I34=VS21/R1となる。そして、出力されるゲート電流Ig、すなわちトランジスタM35を流れる電流I35は、電流I34と等しいため、Ig=I34となる。つまり、ゲート電流Igは、Ig=VS1/R1となる。したがって、ゲート電流Igは、トランジスタM31のドレイン電位VS1、ひいては電流源IS1の電流値で決まるため、電流源IS1の電流値を設定することで設定され得る。つまり、ゲート電流Igは、電流源IS1の設定により、設定値Ig1、Ig2に設定される。
【】
次に、変化率調整機構CV1の動作について、説明する。電流源IS1の設定の変更に伴って電位VS1、VS2が変化する。このときの電位VS2の時間的変化率は、変化率調整機構CV1のコンデンサ容量値に応じて変化する。例えば、変化率調整機構CV1のコンデンサ容量値が増加すると、時定数が増加し時間的変化が緩やかとなるので、電位VS2の時間的変化率は減少する。そのため、電位VS2とほぼ同電位となる電位VS21、ひいては出力されるゲート電流Igの時間的変化率も減少する。つまり、ゲート電流Igの時間的変化率は、変化率調整機構CV1のコンデンサ容量値に応じて変化する。したがって、ゲート電流Igの時間的変化率は、変化率調整機構CV1によって目標変化率αに設定される。
【】
(ゲート駆動装置3の動作)
実施の形態1に係るゲート駆動装置3、すなわちゲート制御回路31の具体的な制御動作について、図6のフローチャートを参照して、説明する。
【】
ステップST1において、記憶回路33からゲート電流の設定値Ig1、Ig2、目標変化率αを取得し、ゲート電流出力回路34を設定する。
【】
ステップST2において、記憶回路33から目標電荷量Qgsを取得する。
【】
ステップST3において、制御装置2からオン指令CMDが入力される。
【】
ステップST4において、入力されたオン指令CMD、取得したゲート電流の設定値Ig1、Ig2、目標変化率α、目標電荷量Qgsから、ゲート電流Igを出力するためのタイミングT0~T3を生成する。
【】
ステップST5において、タイミングT0~T3および目標変化率αによるゲート電流Igをゲート電流出力回路34から出力する。
【】
ステップSTEにおいて、例えば、停車時のモータの回転が0になる場合のゲート駆動装置3の動作終了が判定されるまで、ステップST3~ST5を繰り返す。
【】
<ターンオン時における各部の動作タイミング>
半導体スイッチング素子M1のターンオン時におけるゲート駆動装置3の各部の動作タイミングについて図3を参照して説明する。図3において、ゲート電流Ig、ゲート電圧Vgs、ドレイン電流Id、ドレイン電圧Vdsは、ゲート駆動装置3の駆動する半導体スイッチング素子M1の動作波形を示す。図3の各実線は、本開示の技術を適用した場合の動作波形を示し、各破線は、本開示の技術を適用しない場合の動作波形を示す。上述のとおり、タイミングT4、T5は、それぞれドレイン電圧Vdsの降下開始および終了のタイミング、タイミングT6は、ゲート電圧Vgsが高電位電源VDDHの電圧に達したターンオン終了のタイミングを示す。また、ゲート電流Igの出力値は、ゲート電流の出力を開始するタイミングT0以前において、0である。
【】
本開示の技術を適用した場合、タイミングT0において、ゲート電流Igの出力値が0から、設定された目標変化率αで増加する。タイミングT1において、ゲート電流Igの出力値が設定値Ig1に達し、その後、出力値が設定値Ig1に維持される。タイミングT2において、ゲート電流Igが設定値Ig1から、目標変化率αで減少する。タイミングT3において、ゲート電流Igの出力値が設定値Ig2に達する。そして、タイミングT3において、ゲート電圧Vgsは、ゲート電流Igによりゲート端子に移動した総電荷量が目標電荷量Qgsに一致するため、ゲートプラトー電圧である所定の中間電圧Vplに遷移する。また、半導体スイッチング素子M1のドレイン電流Idは、飽和時のドレイン電流値Idonに達する。
【】
一般に、タイミングT3では、上アームの半導体スイッチング素子M2のボディダイオードに逆回復電流が流れるため、ドレイン電流Idの時間的変化率が大きいと逆回復電流が増大してドレイン電流Idのオーバーシュートが発生し得る。
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本開示の技術では、タイミングT3のゲート電流Igは、設定値Ig1より小さい設定値Ig2に減少されている。そのため、ドレイン電流Idの時間的変化率が減少しているので、逆回復電流の増大が抑制される。すなわちドレイン電流Idのオーバーシュートの発生が抑制される。また、このときのゲート電圧Vgsの増大も抑制される。
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一方、本開示の技術を適用しない場合、半導体スイッチング素子M1のゲート電流Igは、タイミングT2の設定値Ig1から設定値Ig2に減少されるタイミング制御が行われない。すなわち、タイミングT3のゲート電流Igは、設定値Ig1から減少されない。そのため、ドレイン電流Idの時間的変化率が大きいまま減少されないので、逆回復電流の増大が抑制されない。すなわち、ドレイン電流Idのオーバーシュートの発生が抑制されない。また、このときのゲート電圧Vgsにも中間電圧Vplを超える電圧Vpkが発生する。
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実施の形態1では、タイミング生成回路32は、記憶回路33に記憶された、ゲート電流Igの第1の設定値Ig1および第1の設定値より小さい第2の設定値Ig2と、ゲート電流の変化する期間における時間的変化率の目標値である目標変化率αと、ゲート端子の電圧が所定の中間電圧Vplに遷移するときに蓄積されるゲート電荷量である目標電荷量Qgsと、に基づいて、ゲート電流Igを出力するための各タイミングを生成する。すなわち、タイミング生成回路は、ゲート電流Igの出力を開始する開始タイミングT0と、第1の設定値Ig1のゲート電流Igを出力する第1のタイミングT1と、第2の設定値Ig2のゲート電流Igを出力する第2のタイミングT3と、を生成する。そして、ゲート電流出力回路34は、生成された開始タイミングT0において、ゲート電流Igの出力を開始し、目標変化率αで増加させ、第1のタイミングT1において、第1の設定値Ig1のゲート電流Igを出力する。その後、ゲート電流出力回路34は、第2のタイミングT3において、第2の設定値Ig2のゲート電流Igを出力する。ゲート電流Igは、第2のタイミングT3において、開始タイミングT0以降の移動した総電荷量が目標電荷量Qgsに一致する。このとき、ゲート端子G1の電圧Vgsは、所定の中間電圧Vplに遷移するとともに、ドレイン端子D1を流れるドレイン電流Idは、所定のドレイン電流値Idonに達している。また、第2のタイミングT3のゲート電流Igは、第1の設定値Ig1より小さい第2の設定値Ig2に減少されている。そのため、ドレイン電流Idの時間的変化率が減少しているので、上アームの半導体スイッチング素子M2のボディダイオードに流れる逆回復電流の増大が抑制される。すなわちドレイン電流Idのオーバーシュートの発生が抑制される。つまり、遅延に関係なく、駆動する半導体スイッチング素子M1の保護と損失の低減とが実現される。
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次に、本発明の実施の形態2および3について説明する。以下の説明において、実施の形態1のゲート駆動装置3と同一の構成についての重複する説明を省略する。
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[実施の形態2]
実施の形態2は、図7~8に示すように、ゲート駆動装置3は、さらに電流検出回路35を含む点が実施の形態1と異なる。
【】
(ゲート駆動装置3の概要)
実施の形態2に係るゲート駆動装置3は、電流検出回路35によって半導体スイッチング素子M1の最大時のドレイン電流値Idmaxと、飽和時のドレイン電流値Idonとを検出する。そして、ゲート制御回路31は、両者の差、つまりオーバーシュートOSが許容範囲内となるまで、記憶回路33の目標電荷量Qgsの値を更新する。なお、検出する飽和時のドレイン電流値Idonは、ターンオン時に検出されたドレイン電流Idの最終的な定常値として定義され得る。
【】
(電流検出回路35)
電流検出回路35は、半導体スイッチング素子M1のドレイン電流Idを検出する。電流検出回路35は、半導体スイッチング素子M1のドレイン端子D1を監視し、検出された飽和時のドレイン電流値Idonと最大時のドレイン電流値Idmaxと、を表す信号をゲート制御回路31に出力する。そして、飽和時のドレイン電流値Idonと最大時のドレイン電流値Idmaxとの差が所定の値以下となるように、記憶回路33の目標電荷量Qgsが更新される。
【】
また、飽和時のドレイン電流値Idonは、検出された飽和時のドレイン電流値Idonの代わりに、半導体ベンダーから提供されるデータシート等のカタログ値が用いられてもよい。この場合、飽和時のドレイン電流値Idonのカタログ値は、記憶回路33に予め記憶され得る。
【】
電流検出回路35は、既知の電流検出回路(電流計)が使用され得る。
【】
(ゲート駆動装置3の動作)
実施の形態2に係るゲート駆動装置3、すなわちゲート制御回路31の具体的な制御動作について、図8のフローチャートを参照して、説明する。
【】
図8のフローチャートにおいて、ステップST1~ST5までは、実施の形態1と同様であるため、説明を繰り返さない。
【】
ステップST6において、電流検出回路35により、半導体スイッチング素子M1のターンオン時のドレイン電流Idの最大値Idmaxおよび飽和時のドレイン電流値Idonを検出する。
【】
ステップST7において、ドレイン電流Idの最大値Idmaxと、飽和時のドレイン電流値Idonとを比較し、両者の差、つまりオーバーシュートOSが許容範囲内か否かを判定する。
【】
ステップST7の判定がNOの場合、ステップST8において、記憶回路33の目標電荷量Qgsを更新するともに、更新後のQgsを再度取得して、ステップST3~ST7を繰り返す。
【】
ステップST7の判定がYESの場合、実施の形態1と同様に、ステップSTEにおいてゲート駆動装置3の動作終了が判定されるまで、ステップST3~ST8を繰り返す。
【】
実施の形態2では、ゲート駆動装置3は、電流検出回路35を備えている。電流検出回路35は、半導体スイッチング素子M1のドレイン端子D1を流れる最大時のドレイン電流値Idmaxと飽和時のドレイン電流値Idonと、を検出する。そして、記憶回路33に記憶された目標電荷量Qgsは、最大時のドレイン電流値Idmaxと飽和時のドレイン電流値Idonとの差、つまりドレイン電流のオーバーシュートOSが所定の値以下となるように更新される。したがって、遅延に関係なく、駆動する半導体スイッチング素子M1の保護と損失の低減とが高精度に実現される。
【】
[実施の形態3]
実施の形態3は、図9~11に示すように、ゲート駆動装置3はさらに変化率検出回路36と、温度検出回路37と、を含む点、また、記憶回路33は目標電荷量Qgsのテーブルを保持する点が実施の形態2と異なる。
【】
(ゲート駆動装置3の概要)
実施の形態3に係るゲート駆動装置3では、目標電荷量Qgsは、記憶回路33にテーブルとして保持され、電流検出回路35によって検出された半導体スイッチング素子M1の飽和時のドレイン電流値Idonと温度検出回路37によって検出された素子温度Tとを含む条件に基づいて決定される。また、ゲート電流Igの時間的変化率dIg/dtは、変化率検出回路36によって検出された実際値である実際変化率βと目標変化率αとが等しくなるように変化率調整機構CV1が調整される。そして、実施の形態2と同様に、記憶回路33の目標電荷量Qgsは、電流検出回路35によって検出されたオーバーシュートOSが許容範囲内となるまで更新される。
【】
(記憶回路33)
記憶回路33は、図10に示すように、目標電荷量Qgsのテーブル331を保持している。目標電荷量Qgsは、半導体スイッチング素子M1の飽和時のドレイン電流値Idonと素子温度Tとを含む動作条件に基づいて決定される。図10のテーブル331では、目標電荷量Qgsは、例えば、飽和時のドレイン電流値Idonが10[A]、20[A]、30[A]、40[A]、50[A]、素子温度Tが-25[℃]、0[℃]、25[℃]、50[℃]、75[℃]の各動作条件の値が保持されている。目標電荷量Qgsは、実際の動作条件に近い動作条件の値が選択されてもよいし、テーブルの各動作条件の目標電荷量から内挿または外挿されることによって決定されてもよい。また、図10のテーブル331では、初期条件の目標電荷量Qgsは、例えば、飽和時のドレイン電流値Idonが40[A]、素子温度Tが25[℃]の条件の値である32[nC]が設定されている。
【】
(変化率検出回路36)
変化率検出回路36は、ゲート電流出力回路34から出力されるゲート電流Igの実際変化率βを検出する。すなわち、変化率検出回路36は、ゲート電流出力回路34の出力するゲート電流Igの時間的波形を監視する回路として構成されている。変化率検出回路36は、ゲート電流Igの実際変化率βを表す信号をゲート制御回路31に出力する。そして、実際変化率βと目標変化率αとが等しくなるようにゲート電流出力回路34の変化率調整機構CV1が調整される。
【】
(温度検出回路37)
温度検出回路37は、半導体スイッチング素子M1の素子温度Tを検出する。温度検出回路37は、検出された素子温度Tの値を表す信号をゲート制御回路31に出力する。電流検出回路35によって検出された飽和時のドレイン電流値Idonと、温度検出回路37によって検出された素子温度Tと、に基づいて、記憶回路33のテーブル331から半導体スイッチング素子M1の実際の動作条件に対応する目標電荷量Qgsが取得される。
【】
温度検出回路37は、ダイオード等のPN接合に流れる接合電流の温度特性等を利用した既知の測温回路が使用され得る。
【】
(ゲート駆動装置3の動作)
実施の形態3に係るゲート駆動装置3の動作、すなわちゲート制御回路31の制御動作について、図11のフローチャートを参照して、説明する。
【】
図11のフローチャートのステップST1~ST6は、ステップST2において、記憶回路33のテーブルから初期条件の目標電荷量Qgsが取得されることを除いて、実施の形態2と同様であるため、説明を繰り返さない。
【】
ステップST7において、温度検出回路37により、半導体スイッチング素子M1の素子温度Tを検出する。
【】
ステップST8において、電流検出回路35によって検出された飽和時のドレイン電流値Idonおよび温度検出回路37によって検出された素子温度Tの動作条件が、記憶回路33のテーブルから取得した目標電荷量Qgsの条件に対して妥当か否かを判定する。
【】
ステップST8の判定がNOの場合、ステップST9において、記憶回路33のテーブルの対応する条件の目標電荷量Qgsを再度取得する。そして、ステップST3~ST8を繰り返す。
【】
ステップST8の判定がYESの場合、ステップST10において、変化率検出回路36により、ゲート電流Igの時間的変化率dIg/dtの実際変化率βを検出する。
【】
ステップST11において、時間的変化率dIg/dtの実際変化率βが、目標変化率αの設定通りか否かを判定する。
【】
ステップST11の判定がNOの場合、ステップST12において、変化率調整機構CV1の設定を変更する。そして、ステップST3~ST11を繰り返す。
【】
ステップST11の判定がYESの場合、ステップST13において、半導体スイッチング素子M1のターンオン時のドレイン電流Idの最大値Idmaxと、飽和時のドレイン電流値Idonとを比較し、両者の差、つまりオーバーシュートOSが許容範囲内か否かを判定する。
【】
ステップST13の判定がNOの場合、ステップST14において、記憶回路33のテーブルの対応する条件の目標電荷量Qgsを更新する。そして、更新後の目標電荷量Qgsを再度取得して、ステップST3~ST13を繰り返す。
【】
ステップST13の判定がYESの場合、実施の形態1と同様に、ステップSTEにおいてゲート駆動装置3の動作終了が判定されるまで、ステップST3~ST14を繰り返す。
【】
実施の形態3では、ゲート駆動装置3は、変化率検出回路36を備えている。変化率検出回路36は、ゲート電流出力回路34の出力するゲート電流Igの時間的変化率の実際値である実際変化率βを検出する。ゲート電流出力回路34は、出力するゲート電流Igの時間的変化率を実際変化率βに応じて調整可能に構成されているため、実際変化率βを目標変化率αに等しくされる。そのため、半導体スイッチング素子M1の製造ばらつきや温度特性、経時劣化等によるゲート電流Igの時間的変化率の変動が補償される。したがって、遅延に関係なく、駆動する半導体スイッチング素子の保護と損失の低減とが高精度に実現される。
【】
また、実施の形態3では、ゲート駆動装置3は、温度検出回路37を備えている。温度検出回路37は、半導体スイッチング素子M1の素子温度Tを検出する。また、記憶回路33は、半導体スイッチング素子M1の飽和時のドレイン電流値Idonと素子温度Tとに対応する目標電荷量Qgsを記憶するテーブルを保持している。そして、目標電荷量Qgsは、このテーブルから、電流検出回路35によって検出された半導体スイッチング素子M1の飽和時のドレイン電流値Idonと、温度検出回路37によって検出された半導体スイッチング素子M1の素子温度Tと、に基づいて決定される。そのため、半導体スイッチング素子M1の製造ばらつきや温度特性、経時劣化等によるゲート電荷量の変動が補償される。したがって、遅延に関係なく、駆動する半導体スイッチング素子の保護と損失の低減とが高精度に実現される。
【】
(変形例)
本実施の形態3では、目標電荷量Qgsは、記憶回路33にテーブルとして保持され、半導体スイッチング素子M1の飽和時のドレイン電流値Idonと素子温度Tと、を含む条件に基づいて決定されたが、これに限定されない。例えば、テーブルとして保持されず、初期条件の値のみが保持されていてもよい。これにより、目標電荷量Qgsを記憶する記憶回路33の構成が簡単化されるので、遅延に関係なく、駆動する半導体スイッチング素子の保護と損失の低減とが容易に実現される。
【】
本実施の形態2および3では、ゲート駆動装置3は、図8および図11のフローチャートにおいて、オーバーシュートOSが許容範囲内にあるか否かを常時判定するようにされたが、これに限定されない。例えば、ゲート駆動装置3は、間欠的に判定するようにされてもよい。また、ゲート駆動装置3は、オーバーシュートOSが許容範囲内にあると判定した後に、高電位電源VDDHおよびVDDMの電圧、素子温度T等を含む動作条件の変動が所定の範囲内にある場合、上記判定を再度実行しないようにされてもよい。
【】
本明細書で説明するブロック図およびフローチャート等は、例示的な実施の形態による、システム、方法、およびプログラムの実現可能な実施態様を示す。この点において、ブロック図またはフローチャートにおける各ブロックは、モジュール、セグメント、または、コードの一部を表すこともあり、これらは、特定の1つ、または複数の論理機能を実行するための1つまたは複数の実行可能な命令である。なお、いくつかの代替の実施態様において、ブロックに記載した機能は、図示した順序とは異なる順序で実行されてもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックの機能は、その機能によっては、実質的に同時に行われてもよいし、逆の順序で行われてもよい。
【】
本開示の技術は上述の実施の形態に限られるものではなく、本開示の技術の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施の形態に種々の変更を加えたものを含む。
【符号の説明】
【】
1 インバータシステム
2 制御装置
3 ゲート駆動装置
31 ゲート制御回路
32 タイミング生成回路
33 記憶回路
34 ゲート電流出力回路
35 電流検出回路
36 変化率検出回路
37 温度検出回路
4 インバータ装置
CV1 変化率調整機構
D1 半導体スイッチング素子M1のドレイン端子
G1 半導体スイッチング素子M1のゲート端子
Ig1,Ig2 ゲート電流の設定値
M1,M2,M3,M4,M5,M6 半導体スイッチング素子
Qgs 目標電荷量(ゲート電荷量)
S1 半導体スイッチング素子M1のソース端子
T0,T1,T2,T3 ゲート電流を出力するためのタイミング
VDDH 高電位電源(ゲート駆動装置)
VSSH 低電位電源(ゲート駆動装置)
VDDM モータ駆動用の高電位電源
VSSM モータ駆動用の低電位電源
α ゲート電流の時間的変化率の目標変化率
β ゲート電流の時間的変化率の実際変化率
【図】
【図】
【図】
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【図】
【図】
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【図】
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