(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】
(43)【公開日】
(54)【発明の名称】差動電力増幅器
(51)【国際特許分類】
【FI】
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】
(21)【出願番号】
(22)【出願日】
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤山 唯人
(72)【発明者】
【氏名】小田 倫也
【テーマコード(参考)】
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA12
5J500AA21
5J500AA41
5J500AC61
5J500AF15
5J500AH29
5J500AH33
5J500AH35
5J500AH38
5J500AK45
5J500AT03
(57)【要約】
【課題】複数の差動増幅回路を用いた構成において、バンドごとの通過特性を最適化することができる差動電力増幅器を実現する。
【解決手段】差動電力増幅器は、複数の差動増幅回路を含み、第1差動増幅回路1が増幅動作を行い、かつ、第2差動増幅回路2が増幅動作を行わない第1モードと、第1差動増幅回路1と第2差動増幅回路2とが共に増幅動作を行う第2モードと、を有する。一方端が第1差動増幅回路1の出力端子P1と接続される第1インダクタL1と、第1インダクタL1の他方端に接続される第1出力端子OUTP1と、第1出力端子OUTP1と接地電位GNDとの間に直列接続されるキャパシタC及び第2インダクタL2と、第2差動増幅回路2の出力端子P2に接続される第2出力端子OUTP2と、第1差動増幅回路1の出力端子P1と第2差動増幅回路2の出力端子P2との間に設けられるスイッチ回路5と、を備え、スイッチ回路5は、第1モードでオフに制御され、第2モードでオンに制御される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項】
複数の差動増幅回路を含み、
第1差動増幅回路が増幅動作を行い、かつ、第2差動増幅回路が増幅動作を行わない第1モードと、
前記第1差動増幅回路と前記第2差動増幅回路とが共に増幅動作を行う第2モードと、
を有し、
一方端が前記第1差動増幅回路の出力端子と接続される第1インダクタと、
前記第1インダクタの他方端に接続される第1出力端子と、
前記第1出力端子と接地電位との間に直列接続されるキャパシタ及び第2インダクタと、
前記第2差動増幅回路の出力端子に接続される第2出力端子と、
前記第1差動増幅回路の出力端子と前記第2差動増幅回路の出力端子との間に設けられるスイッチ回路と、
を備え、
前記スイッチ回路は、前記第1モードでオフに制御され、前記第2モードでオンに制御される、
差動電力増幅器。
【請求項】
請求項1に記載の差動電力増幅器であって、
前記キャパシタ及び前記第2インダクタは、前記第1モードにおいて第1ノッチフィルタを構成し、
前記キャパシタ、前記第1インダクタ、及び前記第2インダクタは、前記第2モードにおいて第2ノッチフィルタを構成する、
差動電力増幅器。
【請求項】
請求項2に記載の差動電力増幅器であって、
前記第1ノッチフィルタの共振周波数は、前記第1モードにおける基本波のn倍波に対応した周波数(但し、n≧3)を含む所定の周波数範囲内に含まれている、
差動電力増幅器。
【請求項】
請求項2又は3に記載の差動電力増幅器であって、
前記第2ノッチフィルタの共振周波数は、前記第2モードにおける基本波の(n-m)倍波に対応した周波数(但し、n>m≧1、n-m≧2)を含む所定の周波数範囲内に含まれている、
差動電力増幅器。
【請求項】
請求項2から4の何れか一項に記載の差動電力増幅器であって、
前記第1インダクタは、前記第1差動増幅回路の出力端子と前記第1ノッチフィルタとの間の配線インダクタンス成分である、
差動電力増幅器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【】
本開示は、差動電力増幅器に関する。
【背景技術】
【】
携帯電話などの移動体通信分野において、複数の差動増幅回路を組み合わせた電力増幅回路が開示されている。下記特許文献1には、複数の差動増幅回路の出力を合成することにより、広帯域な周波数特性を実現することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【】
上記特許文献1には、差動増幅での高調波成分を減衰させる構成については記載されていない。また、複数のバンドに対応する場合、バンドごとの通過特性を最適化する必要がある。
【】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の差動増幅回路を用いた構成において、バンドごとの通過特性を最適化することができる差動電力増幅器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【】
本開示の一側面の差動電力増幅器は、複数の差動増幅回路を含み、第1差動増幅回路が増幅動作を行い、かつ、第2差動増幅回路が増幅動作を行わない第1モードと、前記第1差動増幅回路と前記第2差動増幅回路とが共に増幅動作を行う第2モードと、を有し、一方端が前記第1差動増幅回路の出力端子と接続される第1インダクタと、前記第1インダクタの他方端に接続される第1出力端子と、前記第1出力端子と接地電位との間に直列接続されるキャパシタ及び第2インダクタと、前記第2差動増幅回路の出力端子に接続される第2出力端子と、前記第1モードにおいて、前記第1差動増幅回路の出力端子と前記第2差動増幅回路の出力端子とを開放し、前記第2モードにおいて、前記第1差動増幅回路の出力端子と前記第2差動増幅回路の出力端子とを接続するスイッチ回路と、を備える。
【発明の効果】
【】
本開示によれば、複数の差動増幅回路を用いた構成において、バンドごとの通過特性を最適化することができる差動電力増幅器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【】
【図
】
図1Aは、実施形態に係る差動電力増幅器の構成例における第1モードでの動作例を示す図である。
【図
】
図1Bは、実施形態に係る差動電力増幅器の構成例における第2モードでの動作例を示す図である。
【図
】
図2Aは、第1モードにおけるフィルタ回路を説明するための図である。
【図
】
図2Bは、第2モードにおけるフィルタ回路を説明するための図である。
【図
】
図3Aは、実施形態に係る差動電力増幅器の第1モードにおける周波数-利得特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。
【図
】
図3Bは、実施形態に係る差動電力増幅器の第2モードにおける周波数-利得特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【】
以下に、実施形態に係る差動電力増幅器を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、各実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能である。実施形態2以降では実施形態1と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【】
図1Aは、実施形態に係る差動電力増幅器の構成例における第1モードでの動作例を示す図である。
図1Bは、実施形態に係る差動電力増幅器の構成例における第2モードでの動作例を示す図である。実施形態1に係る差動電力増幅器100は、
図1A及び
図1Bに示すように、第1差動増幅回路1、第2差動増幅回路2、スイッチ回路5、及びフィルタ回路6を備えている。
【】
実施形態に係る差動電力増幅器100における第1モードは、例えば5G(第5世代移動通信システム)で定義される周波数帯(バンド)の信号を増幅対象信号とした効率重視モードであり、第1差動増幅回路1が増幅動作を行い、かつ、第2差動増幅回路2が増幅動作を行わない。なお、第1モードにおける入力信号は、5Gに限らず4G(第4世代移動通信システム)や6G(第6世代移動通信システム)で定義される周波数帯(バンド)の信号であっても良い。
【】
実施形態に係る差動電力増幅器100における第2モードは、例えば2G(第2世代移動通信システム)で定義される周波数帯(バンド)の信号を増幅対象信号とした出力パワー重視モードであり、第1差動増幅回路1と第2差動増幅回路2とが共に増幅動作を行う。
【】
本開示において、第1モードにおける出力信号RFOUT1は、第1出力端子OUTP1から出力される。また、本開示において、第2モードにおける出力信号RFOUT2は、第2出力端子OUTP2から出力される。
【】
第1差動増幅回路1は、第1差動信号を増幅する2つの増幅器11,12及び第1バラントランス3を含む。増幅器11は、入力信号RFIN1Pを増幅する。増幅器12は、入力信号RFIN1Nを増幅する。
【】
第2差動増幅回路2は、第2差動信号を増幅する2つの増幅器21,22及び第2バラントランス4を含む。増幅器21は、入力信号RFIN2Pを増幅する。増幅器22は、入力信号RFIN2Nを増幅する。
【】
増幅器11,12,21,22は、例えば、バイポーラトランジスタで構成されていても良いし、例えば、FETで構成されていても良い。増幅器11,12,21,22をバイポーラトランジスタで構成する場合、例えばHBTが例示される。増幅器11,12,21,22の構成により本開示が限定されるものではない。
【】
第1バラントランス3は、入力側巻線31及び出力側巻線32を含む。
【】
入力側巻線31は、第1差動増幅回路1の出力OUT1Pと出力OUT1Nとの間に接続されている。入力側巻線31の中点にはセンタータップが設けられ、このセンタータップに電源電圧VCC1が印加される。
【】
第1バラントランス3の入力側巻線31と出力側巻線32とは、電磁界結合されている。これにより、第1差動増幅回路1の増幅器11,12から出力された平衡出力信号OUT1P,OUT1Nは、第1バラントランス3によって平衡-不平衡変換され、第1不平衡信号RF1として出力端子P1から出力される。
【】
第2バラントランス4は、入力側巻線41及び出力側巻線42を含む。
【】
入力側巻線41は、第2差動増幅回路2の出力OUT2Pと出力OUT2Nとの間に接続されている。入力側巻線41の中点にはセンタータップが設けられ、このセンタータップに電源電圧VCC2が印加される。
【】
第2バラントランス4の入力側巻線41と出力側巻線42とは、電磁界結合されている。これにより、第2差動増幅回路2の増幅器21,22から出力された平衡出力信号OUT2P,OUT2Nは、第2バラントランス4によって平衡-不平衡変換され、第2不平衡信号RF2として出力端子P2から出力される。
【】
図1A及び
図1Bに示す例において、スイッチ回路5は、例えば、1対1接続のマルチプレクサであり、第1差動増幅回路1の出力端子P1と第2差動増幅回路2の出力端子P2との間に設けられている。スイッチ回路5は、外部制御回路(不図示)から入力されるモード制御信号CONTによりオンオフ制御される。
図1A及び
図1Bに示すスイッチ回路5の構成は一例であって、スイッチ回路5の構成により本開示が限定されるものではない。
【】
フィルタ回路6は、キャパシタC、第1インダクタL1、第2インダクタL2を含む。第1インダクタL1は、一方端が第1差動増幅回路1の出力端子P1と接続され、他方端が第1出力端子OUTP1と接続される。キャパシタC及び第2インダクタL2は、第1出力端子OUTP1と接地電位GNDとの間に直列接続される。
【】
図2Aは、第1モードにおけるフィルタ回路を説明するための図である。
図2Bは、第2モードにおけるフィルタ回路を説明するための図である。
【】
実施形態に係る差動電力増幅器100において、スイッチ回路5は、
図1A及び
図2Aに示すように、第1モードにおいてオフに制御され、第1差動増幅回路1の出力端子P1と第2差動増幅回路2の出力端子P2とを開放する。これにより、
図2Aに示すように、キャパシタC及び第2インダクタL2によって第1ノッチフィルタ6Aが構成される。
【】
また、スイッチ回路5は、
図1B及び
図2Bに示すように、第2モードにおいてオンに制御され、第1差動増幅回路1の出力端子P1と第2差動増幅回路2の出力端子P2とを接続する。
図2Bでは、キャパシタC、第1インダクタL1、及び第2インダクタL2の実際の配置を破線で示している。キャパシタC、第1インダクタL1、及び第2インダクタL2は、第2モードにおいてスイッチ回路5がオンに制御されたことにより、第1差動増幅回路1の出力端子P1及び第2差動増幅回路2の出力端子P2と、第1出力端子OUTP1との間に、
図2Bに実線で示す第2ノッチフィルタ回路6Bが等価的に構成されているものと見做せる。
【】
本開示において、第1インダクタL1は、第1差動増幅回路1の出力端子P1と第1ノッチフィルタ6Aとの間の配線インダクタンス成分で構成される。第1ノッチフィルタ6Aと第2ノッチフィルタ6Bとでは、配線インダクタ成分である第1インダクタL1の見え方が異なっている。
【】
具体的に、
図1Aに示すように、第1モードにおいて、第1インダクタL1は、第1差動増幅回路1の出力端子P1と第1ノッチフィルタ6Aとの間の第1不平衡信号RF1の経路上に存在する配線インダクタンス成分であり、第1ノッチフィルタ6Aには含まれない。
【】
一方、
図2Bに示すように、第2モードにおいて、第1インダクタL1は、スイッチ回路5がオン制御されることによって同電位となる第1不平衡信号RF1と第2不平衡信号RF2との合成信号の経路と接地電位GNDとの間に構成される第2ノッチフィルタ6Bに含まれる。
【】
このように、第1差動増幅回路1の出力端子P1と第1ノッチフィルタ6Aとの間の配線インダクタンス成分で構成される第1インダクタL1は、第1モードにおける第1ノッチフィルタ6Aには含まれず、第2モードにおける第2ノッチフィルタ6Bには含まれる。このため、第1モードにおける第1ノッチフィルタ6Aと第2モードにおける第2ノッチフィルタ6Bとでは、ノッチフィルタとしての減衰極の周波数が異なっている。
【】
図3Aは、実施形態に係る差動電力増幅器の第1モードにおける周波数-利得特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。
図3Bは、実施形態に係る差動電力増幅器の第2モードにおける周波数-利得特性のシミュレーション結果の一例を示す図である。
図3A及び
図3Bに示す例において、実線は、フィルタ回路6を設けた実施形態に係る差動電力増幅器の各モードにおける周波数-利得特性のシミュレーション結果を示し、破線は、フィルタ回路6を設けていない場合の各モードにおける周波数-利得特性のシミュレーション結果を示している。
【】
実施形態に係る差動電力増幅器100の構成では、キャパシタC、第1インダクタL1、及び第2インダクタL2を適切に設定することにより、各モードにおける周波数帯(バンド)の所定の高調波成分を効果的に減衰させることができる。これにより、各モードにおける出力信号RFOUT1,RFOUT2の特性を最適化することができる。
【】
具体的には、例えば、第1ノッチフィルタ6Aの共振周波数は、第1モードにおける周波数帯(バンド)B1の基本波のn倍波成分(但し、n≧3)を含む所定の周波数範囲f1-f2内に含まれ、かつ、第2ノッチフィルタ6Bの共振周波数は、第2モードにおける周波数帯(バンド)B2の基本波の(n-m)倍波成分(但し、n>m≧1、n-m≧2)を含む所定の周波数範囲f2-f2内に含まれるように、キャパシタC、第1インダクタL1、及び第2インダクタL2を適切に設定することが可能である。
【】
より具体的には、例えば、
図3Aに示すように、第1ノッチフィルタ6Aの共振周波数が第1モードにおける周波数帯(バンド)B1の基本波の3倍波に対応した周波数を含む所定の周波数範囲f1-f2内に含まれ、かつ、
図3Bに示すように、第2ノッチフィルタ6Bの共振周波数が第2モードにおける周波数帯(バンド)B2の基本波の2倍波に対応した周波数を含む所定の周波数範囲f3-f4内に含まれるようにすることができる。
【】
このように、実施形態に係る差動電力増幅器100の構成では、上述したように、フィルタ回路6を構成するキャパシタC、第1インダクタL1、及び第2インダクタL2を適切に設定することにより、第1モードにおける第1ノッチフィルタ6Aの共振周波数と第2モードにおける第2ノッチフィルタ6Bの共振周波数とをそれぞれ設定することができる。
【】
また、キャパシタC及び第2インダクタL2は、第1モードにおける第1ノッチフィルタ6A及び第2モードにおける第2ノッチフィルタ6Bの双方に共用可能である。
【】
これにより、第1モードにおける増幅対象信号(例えば、5Gで定義される周波数帯(バンド)の信号)と第2モードにおける増幅対象信号(例えば、2Gで定義される周波数帯(バンド)の信号)とでそれぞれフィルタ回路を設けることなく、第1モード及び第2モードにそれぞれ対応する周波数帯(バンド)ごとの通過特性を最適化することができ、差動電力増幅器100の小型化に寄与することができる。
【】
また、第1インダクタL1は、第1差動増幅回路1の出力端子P1と第1ノッチフィルタ6Aとの間の配線インダクタンス成分で構成することにより、差動電力増幅器100のさらなる小型化が可能となる。
【】
なお、上記した実施形態は、本開示の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本開示は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本開示にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【】
1 第1差動増幅回路
2 第2差動増幅回路
3 第1バラントランス
4 第2バラントランス
5 スイッチ回路
6 フィルタ回路
6A 第1ノッチフィルタ
6B 第2ノッチフィルタ
11,12 増幅器(第1差動増幅回路)
21,22 増幅器(第2差動増幅回路)
31 入力側巻線(第1バラントランス)
32 出力側巻線(第1バラントランス)
41 入力側巻線(第2バラントランス)
42 出力側巻線(第2バラントランス)
100 差動電力増幅器
C キャパシタ
L1 第1インダクタ
L2 第2インダクタ
OUTP1 第1出力端子
OUTP2 第2出力端子
P1 出力端子(第1差動増幅回路)
P2 出力端子(第2差動増幅回路)
【図】
【図】
【図】
【図】
【図】
【図】