(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026016977
(43)【公開日】2026-02-04
(54)【発明の名称】温水装置およびこれに用いられる熱交換器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/02 20060101AFI20260128BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20260128BHJP
【FI】
F24H9/02 301D
F24H1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024117546
(22)【出願日】2024-07-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】岩本 幹大
(72)【発明者】
【氏名】大下 亘
【テーマコード(参考)】
3L034
3L037
【Fターム(参考)】
3L034BA22
3L034BB03
3L037AC07
(57)【要約】
【課題】補助部材を利用して熱交換器の排気流路が形成されている場合に、この排気流路から外部にドレン水が飛散することを適切に防止可能な温水装置を提供する。
【解決手段】個別に駆動燃焼が可能な横並びの第1および第2のバーナ部11A,11Bと、これらに送風を行なうファン10と、燃焼ガスが供給されるケース2内に湯水加熱用の第1および第2の伝熱管3A,3Bが配され、かつケース2の前壁部20aには、燃焼ガス用の排気筒部23が設けられている熱交換器HEと、排気筒部23内に配されて排気流路7を形成する補助部材4,5と、を備えており、排気流路7の片側には、燃焼ガスが流入すると同時に、排気流路7の反対の片側には、ファン10からの送風エアが流入する特定状態が発生可能な温水装置WHであって、補助部材4,5は、排気流路7の上壁面部70を構成しており、かつこの上壁面部70の少なくとも一部は、傾斜壁面部70a,70bである。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別に駆動燃焼が可能であり、かつ所定の横幅方向に並んだ第1および第2のバーナ部と、
これら第1および第2のバーナ部に送風を行なうためのファンと、
前記第1および第2のバーナ部により発生された燃焼ガスが供給されるケース内に、湯水加熱用の第1および第2の伝熱管が前記第1および第2のバーナ部に対応した横並びの配置で設けられ、かつ前記ケースの前壁部には、前記燃焼ガス用の排気筒部が設けられている熱交換器と、
前記排気筒部内に配されて排気流路を形成する補助部材と、
を備えており、
前記横幅方向における前記排気流路の片側には、前記燃焼ガスが流入すると同時に、前記排気流路の前記片側とは反対側には、前記ファンからの送風エアが流入する特定状態が発生可能な構成である、温水装置であって、
前記補助部材は、前記排気流路の上壁面部を構成しており、かつこの上壁面部の少なくとも一部は、前記横幅方向に対して上下に傾斜した傾斜壁面部とされていることを特徴とする、温水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温水装置であって、
前記傾斜壁面部として、前記上壁面部の前記横幅方向の中央寄りの位置において一端部どうしが繋がった第1および第2の傾斜壁面部を備えており、かつこれら第1および第2の傾斜壁面部は、前記上壁面部の前記横幅方向の両端寄りの位置ほど高さが低くなるように傾斜の向きが互いに反対である、温水装置。
【請求項3】
請求項2に記載の温水装置であって、
前記第1および第2の傾斜壁面部は、ともに平面状である、温水装置。
【請求項4】
請求項1に記載の温水装置であって、
前記排気流路に対面するようにして前記補助部材に取付けられた吸音材を、さらに備えている、温水装置。
【請求項5】
請求項1に記載の温水装置であって、
前記補助部材として、
前記排気筒部内の下寄り部分を塞ぐようにこの下寄り部分に配され、かつ前記排気流路の下壁面部を構成する下部材と、
前記横幅方向に間隔を隔てるようにして前記下部材の上側に位置し、かつ前記下壁面部から上向きに立ち上がって前記排気流路の左右一対の側壁面部を構成する一対の立ち上がり部、およびこれら一対の立ち上がり部の上部どうしを繋ぐ上側部を有する上部材と、
を備えており、
前記上側部が、前記排気流路の上壁面部を構成している、温水装置。
【請求項6】
内部に燃焼ガスが供給されるとともに、湯水加熱用の第1および第2の伝熱管が横並びの配置で内部に配され、かつ前壁部には、前記燃焼ガスの排気用の排気筒部が設けられているケースと、
前記排気筒部内に配されて排気流路を形成する補助部材と、
を備えている、熱交換器であって、
前記補助部材は、前記排気流路の上壁面部を構成しており、かつこの上壁面部の少なくとも一部は、前記ケースの横幅方向に対して上下に傾斜した傾斜壁面部とされていることを特徴とする、熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置などの温水装置、およびこの温水装置の構成要素として用いることが可能な熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
温水装置の具体例として、特許文献1~3に記載のものがある。
これらの文献に記載の温水装置は、バーナ部により発生された燃焼ガスから、1次および2次の熱交換器を利用して熱回収を行ない、湯水を加熱するものである。ここで、2次熱交換器は、伝熱管を収容し、かつ燃焼ガスが内部に供給されるケースを備えているが、このケースの前壁部には、排気筒部が突設されている。伝熱管による熱回収を終えた燃焼ガス(排ガス)は、前記排気筒部内の排気流路を通過してケースの外部に排気される。
ただし、燃焼ガスが乱流状態で排気筒部を通過すると、排気騒音が大きくなる。そこで、特許文献1~3においては、燃焼ガスを整流し、排気騒音を低減するための手段として、排気筒部内に補助部材(整流部材)を設けている。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、温水装置としては、特許文献3に示すように、いわゆる1缶2水路方式の熱交換器を備え、たとえば一般給湯と暖房給湯(または風呂給湯)とが可能とされたものがある。このような温水装置においては、ファンからの送風を受けるバーナ部として、一般給湯用と暖房給湯用との2つのバーナ部が具備され、かつ熱交換器のケース内には、前記2つのバーナ部に対応して一般給湯用と暖房給湯用との2組の伝熱管が横並び状態で配置されている。
【0005】
このような温水装置においては、たとえば2つのバーナ部のうち、暖房給湯用のバーナ部のみを駆動燃焼させ、その燃焼ガスを熱交換器の暖房給湯用の伝熱管の配置領域に進行させる場合に、ファンからの送風エアは、一般給湯用の伝熱管の配置領域に進行する。したがって、熱交換器の排気筒部内の横幅方向の片側には、暖房給湯用の伝熱管の配置領域を通過した燃焼ガス(排ガス)が通過するのに対し、前記片側とは反対側には、低温の送風エアが通過する特定状態が発生する。その際、排気流路においては、燃焼ガスが冷やされて燃焼ガス中の水蒸気が結露し、ドレン水(結露水)が発生する。このドレン水は、燃焼ガスや送風エアの流れによって吹き飛ばされ、外部に飛散する虞がある。これでは、熱交換器の前面部や前方領域がドレン水によって汚染される。したがって、このようなことが適切に解消されることが要請される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6076290号公報
【特許文献2】特許第6893422号公報
【特許文献3】特開2020-176802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、補助部材を利用して熱交換器の排気流路が形成されている場合に、この排気流路から外部にドレン水が飛散することを適切に防止可能な温水装置、およびこの温水装置に用いるのに適する熱交換器を
提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の側面により提供される温水装置は、個別に駆動燃焼が可能であり、かつ所定の横幅方向に並んだ第1および第2のバーナ部と、これら第1および第2のバーナ部に送風を行なうためのファンと、前記第1および第2のバーナ部により発生された燃焼ガスが供給されるケース内に、湯水加熱用の第1および第2の伝熱管が前記第1および第2のバーナ部に対応した横並びの配置で設けられ、かつ前記ケースの前壁部には、前記燃焼ガス用の排気筒部が設けられている熱交換器と、前記排気筒部内に配されて排気流路を形成する補助部材と、を備えており、前記横幅方向における前記排気流路の片側には、前記燃焼ガスが流入すると同時に、前記排気流路の前記片側とは反対側には、前記ファンからの送風エアが流入する特定状態が発生可能な構成である、温水装置であって、前記補助部材は、前記排気流路の上壁面部を構成しており、かつこの上壁面部の少なくとも一部は、前記横幅方向に対して上下に傾斜した傾斜壁面部とされていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、熱交換器のケース内に供給された燃焼ガスおよび送風エアが、ケース内を進行してケースの前壁部に接近し、排気流路に流入すると、急激な流路変化に起因し、縮流が生じる。また、排気流路内の縮流箇所を超えた位置では、流れを膨らませる渦流が発生する(後述の
図10の説明も参照)。このような縮流およびその後の膨らみ流れを生じる場合、燃焼ガスおよび送風エアの流れ方向は、排気流路の上部においては、排気流路の上壁面部に垂直な方向である。これに対し、本発明においては、上壁面部には上下に傾斜した傾斜壁面部が設けられており、前記特定状態が発生し、この傾斜壁面部に対して垂直な方向に燃焼ガスや送風エアが流れると、それら燃焼ガスや送風エアは横幅方向(水平方向)にも流れることとなり、これら燃焼ガスや送風エアが作用する排気流路の上壁面部には、積極的な熱移動を生じさせることができる。このことは、排気流路の上壁面部の各所の温度分布の平均化に役立つ。したがって、排気筒部の上壁面部のうち、送風エアによってかなり低温になっている部分に、高温の燃焼ガスが接触して結露を生じることは抑制される。その結果、排気流路の上壁面部において、多くのドレン水(結露水)が発生し、付着することは防止される。また、排気流路の上壁面部においてドレン水が発生した場合、このドレン水を傾斜壁面部に伝わらせてその下方に流れさせ、排除することもできる。このようなことから、熱交換器の排気流路の前方外部にドレン水が飛散して熱交換器の前面部や前方領域が汚染されることは適切に防止または抑制される。
なお、ドレン水は、排気流路の上部側(上壁面部)のみならず、下部側においても発生し得るが、排気流路の下部側において発生したドレン水は燃焼ガスや送風エアによって前方に吹き飛び難く、汚染原因にはなり難い。これに対し、排気流路の上部側(上壁面部)においてドレン水が発生した場合には、ドレン水が上壁面部に垂れ下がり状態になり易いため、燃焼ガスや送風エアの流れによって簡単に、かつ大きな距離で吹き飛ばされる。本発明においては、排気流路の上部側(上壁面部)からのドレン水の飛散を防止するため、合理的である。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記傾斜壁面部として、前記上壁面部の前記横幅方向の中央寄りの位置において一端部どうしが繋がった第1および第2の傾斜壁面部を備えており、かつこれら第1および第2の傾斜壁面部は、前記上壁面部の前記横幅方向の両端寄りの位置ほど高さが低くなるように傾斜の向きが互いに反対である。
【0012】
このような構成によれば、前記特定状態の発生時に、第1および第2の傾斜壁面部の一端部どうしが繋がった部分の近傍において、縮流およびその後の膨らみ流れを生じる燃焼
ガスと送風エアとを互いに接近するように流れさせ、これらを混合させることが可能となる。したがって、排気流路の上壁面部の温度の平均化を図り、ドレン水が発生することを一層効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記第1および第2の傾斜壁面部は、ともに平面状である。
【0014】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、本発明においては、傾斜壁面部(第1および第2の傾斜壁面部)を曲面状に形成することが可能である。ただし、そうすると、燃焼ガスや送風エアが縮流およびその後の膨らみ流れを生じる場合に、排気流路の横幅方向に大きな寸法で、かつ均一的に流れさせることがやや困難化する。これに対し、前記構成によれば、そのようなことを回避することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記排気流路に対面するようにして前記補助部材に取付けられた吸音材を、さらに備えている。
【0016】
このような構成によれば、排気騒音を低減する上で好ましい。また、吸音材の取付けに、補助部材を利用しているため、その構成は合理的である。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記補助部材として、前記排気筒部内の下寄り部分を塞ぐようにこの下寄り部分に配され、かつ前記排気流路の下壁面部を構成する下部材と、前記横幅方向に間隔を隔てるようにして前記下部材の上側に位置し、かつ前記下壁面部から上向きに立ち上がって前記排気流路の左右一対の側壁面部を構成する一対の立ち上がり部、およびこれら一対の立ち上がり部の上部どうしを繋ぐ上側部を有する上部材と、を備えており、前記上側部が、前記排気流路の上壁面部を構成している。
【0018】
このような構成によれば、下部材と上部材とを組み合わせた簡易な構成により、排気流路の上壁面部、下壁面部、および一対の側壁面部を構成し、排気流路をドレン水の飛散防止効果や排気騒音防止効果に優れたものとすることが可能である。
【0019】
本発明の第2の側面により提供される熱交換器は、内部に燃焼ガスが供給されるとともに、湯水加熱用の第1および第2の伝熱管が横並びの配置で内部に配され、かつ前壁部には、前記燃焼ガスの排気用の排気筒部が設けられているケースと、前記排気筒部内に配されて排気流路を形成する補助部材と、を備えている、熱交換器であって、前記補助部材は、前記排気流路の上壁面部を構成しており、かつこの上壁面部の少なくとも一部は、前記ケースの横幅方向に対して上下に傾斜した傾斜壁面部とされていることを特徴としている。
【0020】
このような構成の熱交換器は、本発明の第1の側面により提供される温水装置の熱交換器として用いるのに適しており、本発明の第1の側面により提供される温水装置について述べたのと同様な効果を期待することができる。
【0021】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る温水装置の一例を模式的に示す正面断面図である。
【
図2】
図1に示す温水装置で用いられている熱交換器(2次熱交換器)の斜視図である。
【
図4】(a)は、
図2のIV-IV断面図であり、(b)は、(a)の要部拡大断面図である。
【
図7】
図2~
図5に示す熱交換器の要部拡大分解斜視図である。
【
図8】(a)は、
図5のVIII-VIII断面図であり、(b)は、(a)の要部拡大図である。
【
図10】熱交換器や送風エアの流れ作用の例を示す説明図である。
【
図11】本発明との対比例を示す要部断面図である。
【
図12】(a),(b)は、本発明の他の例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1に示す温水装置WHは、給湯装置であり、熱交換器HEを具備する他、ファン10、このファン10から燃焼用空気の供給(送風)を受け、かつ個別に駆動燃焼が可能な横並び配置の第1および第2のバーナ部11A,11B、ならびにこれら第1および第2のバーナ部11A,11Bによって発生された燃焼ガスから顕熱を回収して湯水を加熱する1次熱交換器12を、さらに備えている。
熱交換器HEは、潜熱回収用の2次熱交換器であり、本発明でいう熱交換器の具体例に相当する。1次熱交換器12は、本発明でいう熱交換器の具体例には相当しない。
【0025】
1次熱交換器12は、第1および第2のバーナ部11A,11Bにそれぞれ対応する伝熱管13A,13B、ならびにこれらを収容する缶体18を備えている。伝熱管13A,13B内を流通する湯水は、第1および第2のバーナ部11A,11Bのそれぞれによって個別に加熱可能である。第1および第2のバーナ部11A,11Bのそれぞれの燃焼室の相互間には、仕切り板15が設けられており、第1および第2のバーナ部11A,11Bによって発生された燃焼ガスが、伝熱管13A,13Bに効率よく作用するように構成されている。
【0026】
図2~
図5に示すように、熱交換器HEは、ケース2、このケース2内に収容された複数の第1および第2の伝熱管3A,3B、ならびに補助部材4,5(4A,4B,5A,5B)を具備している。なお、
図1においては、第1および第2の伝熱管3A,3Bを模式的に示している。
【0027】
第1および第2の伝熱管3A,3Bは、横並び配置であり、たとえば平面視蛇行状の蛇行管がそれぞれ上下に間隔を隔てて積層した構成である。第1の伝熱管3Aは、一般給湯の湯水加熱用であり、第2の伝熱管3Bは、温水暖房用(または風呂追い焚き加熱用)である。これら第1および第2の伝熱管3A,3Bの相互間には、仕切壁90が設けられている。第1の伝熱管3Aは、第2の伝熱管3Bよりも全長寸法が長く大型である。このことに対応し、第1のバーナ部11Aは、第2のバーナ部11Bよりも燃焼能力が大きい。
【0028】
複数の第1および第2の伝熱管3A,3Bの両端部は、ケース2の両側壁部20fを貫通し、かつ両側壁部20fに設けられた入水用および出湯用のヘッダ6a~6dと接続されている。入水用のヘッダ6a,6cに入水した湯水が複数の第1および第2の伝熱管3A,3Bを通過する過程において、これらの湯水はケース2内に供給された燃焼ガスにより加熱され、かつその後に出湯用のヘッダ6b,6dに至る。これら出湯用のヘッダ6b,6から出湯した湯水は、1次熱交換器12の伝熱管13A,13Bに送り込まれる。
【0029】
ケース2は、略直方体状であり、後壁部20bに設けられた燃焼ガス用の給気口21A,21B、および前壁部20aに突設され、かつ先端部が排気口22とされる排気筒部23を有している。
給気口21Aは、給気口21Bよりも広幅であり、開口面積が大きくされている。これら給気口21A,21Bには、伝熱管13A,13Bを通過した燃焼ガスが供給される。給気口21A,21Bからケース2内に供給された燃焼ガスは、ケース2内を前進して第1および第2の伝熱管3A,3Bにそれぞれ作用し、熱回収がなされる。その後、前記燃焼ガスは、排気筒部23内に設けられた後述する排気流路7を通過し、排気口22からケース2の外部に排ガスとして排出される。
【0030】
排気筒部23は、
図6および
図7によく表われているように、ケース2の前壁部20aに深絞り加工などによって一体形成された略円筒状の基端筒部23aに、これとは別体で形成された略円筒状の先端筒部23bが嵌合・接続された構成である。排気口22には、排気筒部23内に異物や人の手指などが進入することなどを防止するためのキャップ91が取付けられる。
排気筒部23は、ケース2の前壁部20aのうち、左右横幅方向の略中央部に位置しており、第1の伝熱管3Aに作用した燃焼ガスの排気用と、第2の伝熱管3Bに作用した燃焼ガスの排気用とを兼ねている。
【0031】
この温水装置WHにおいては、次に述べる「特定状態」が発生する場合がある。その際、排気筒部23内(排気流路7)には、燃焼ガス(排ガス)およびファン10からの送風エアの双方が通過する。
この点をより詳細に説明すると、まず、この温水装置WHにおいては、一般給湯および暖房給湯の双方のうち、一般給湯のみ、あるいは暖房給湯のみを実行可能である。暖房給湯のみが実行される場合、ファン10が運転され、第1のバーナ部11Aが非駆動燃焼とされ、かつ第2のバーナ部11Bが駆動燃焼とされる。このため、第2のバーナ部11Bによって発生された燃焼ガスは、
図4の黒色太矢印に示すように、給気口21Bからケース2内に供給され、第2の伝熱管3Bに作用してから排気筒部23(排気流路7)に向かう。一方、ファン10からの送風エアの一部は、
図4の白抜き太矢印に示すように、給気口21Aからケース2内に供給され、第1の伝熱管3Aに作用してから排気筒部23(排気流路7)に向かう。この場合、排気流路7の横幅方向の片側には、燃焼ガス(排ガス)が流入すると同時に、その反対側には、送風エアが流入する。このような状態は、本発明における「特定状態」の具体例に相当する。この特定状態時は、本来的に、排気流路7において、燃焼ガス(排ガス)中の水蒸気が結露し易く、多くのドレン水が発生する虞があるが、本実施形態によれば、そのような虞を少なくすべく後述の手段が設けられている。
【0032】
補助部材4,5は、本来的には、たとえば排気筒部23内を通過する燃焼ガス(排ガス)が乱流になることを抑制し、排気騒音を低減するための整流部材であるが、本実施形態においては、排気筒部23内に、この排気筒部23の内側領域の開口面積よりも小さい流路面積の排気流路7を形成する部材である。ただし、第1および第2の伝熱管3A,3Bによる潜熱回収に伴って、それらの表面に発生するドレン水が燃焼ガスによって排気筒部23内に向けて直接吹き飛ばされた際に、これを遮り、排気口22の前方に飛散することを防止するドレン水飛散防止部材としての機能も併せもつ。なお、ケース2内において発生したドレン水は、ケース2の底壁部20d上を流れるなどしてドレン水排水口27に到達し、外部に排出される。
【0033】
排気流路7は、
図4,
図5,
図8,
図9に示すように、熱交換器HEの正面視または正面断面視において、五角形状であり、下壁面部72、この下壁面部72の上側に位置する左右一対の側壁面部71、およびこれら一対の側壁面部71の上端部の相互間を繋ぐ上壁
面部70を有しており、この上壁面部70は、後述するように、第1および第2の傾斜壁面部70a,70bに区分されている。本実施形態においては、前記した下壁面部72、一対の側壁面部71、および上壁面部70のそれぞれは、平面状である(ただし、曲面状とすることも可能である)。
【0034】
補助部材4,5として、本実施形態においては、第1および第2の下部材5(5A,5B)、ならびに第1および第2の上部材4(4A,4B)を具備している。これらは、本発明でいう「下部材」および「上部材」の具体例に相当し、いずれも薄肉状のステンレス板にプレス加工を施すなどして形成されている。
【0035】
図6および
図7において、第1の下部材5Aは、本体部50と、これを支持するための支持片部51とを有しており、本体部50は、水平板状の第1のベース板部50a、ならびにこのベース板部50aの前縁部および後縁部からそれぞれ下方に突出する前板部50bおよび後板部50cを有している。第2の下部材5Bは、第2のベース板部52a、およびその後縁部から下方に突出する後板部52bを有している。第1および第2の下部材5A,5Bは、これらの前板部50bおよび後板部52bが互いに重ね合わされた態様でネジ部材92を用いて連結される。
【0036】
第1の下部材5Aの本体部50および第2の下部材5Bは、排気筒部23内の下寄り部分に配されており、この下寄り部分は後板部50cによって閉塞されている。第1および第2の下部材5A,5Bは、
図4および
図5に示すように、第1の下部材5Aの支持片部51が、ケース2の前壁部20aの裏面に重ねられて(第1の上部材4Aの後述する後側支持片部43にも重ねられて)接合されていることにより、排気筒部23内における固定が図られている。第1および第2のベース板部50a,52aの上面は、排気流路7の下壁面部72となる。
なお、
図4に示すように、ケース2の前壁部20aの裏面側には、矢印Naに示すように進行する送風エア(または燃焼ガス)を遮るためのバッフル板94を設けた構成とすることもできる。
【0037】
図6および
図7において、第1の上部材4Aは、上下高さ方向に起立する一対の第1の立ち上がり部40、これらの上部どうしを繋ぐ正面視屈曲状の第1の上側部41、ならびにこれらの前縁部および後縁部に連設された複数の前側支持片部42および後側支持片部43を備えている。第2の上部材4Bは、上下高さ方向に起立する一対の第2の立ち上がり部44、これらの上部どうしを繋ぐ正面視屈曲状の第2の上側部45、ならびにこれらの後縁部に連設された複数の支持片部46を備えている。第1および第2の立ち上がり部40,44、および第1および第2の上側部41,45は、本発明でいう上部材の「立ち上がり部」および「上側部」の具体例に相当する。
第1および第2の上部材4A,4Bは、これらの前側支持片部42および支持片部46が互いに重ね合わされた態様でネジ部材93を用いて連結される。
【0038】
第1および第2の上部材4A,4Bは、後側支持片部43が、ケース2の前壁部20aの裏面に重ねられて接合されていることにより、排気筒部23内における固定が図られ、かつ第1および第2のベース板部50a,52aの上側に配されている。このことにより、第1および第2の立ち上がり部40,44の内向き面は、排気流路7の左右一対の側壁面部71を構成する。また、第1および第2の上側部41,45の下向き面は、排気流路7の上壁面部70を構成する。
【0039】
第1の上部材4Aは、吸音材80(
図4~
図6においては、適宜に網点模様を付している)を取付けるのにも利用されている。吸音材80は、たとえば発泡樹脂製などであり、第1の上部材4Aに対応した形状の屈曲シート状である。第1の立ち上がり部40および
上側部41には、吸音材80を取付けるための複数の爪部47が設けられ、また複数の開口部48が設けられている(
図4では、開口部48は省略)。
図5によく表われているように、吸音材80の一部は複数の開口部48を介して排気流路7に対面している。この作用により、排気騒音の一層の低減が図られる。なお、吸音材80のうち、開口部48を介して排気流路7に面している部分は、排気流路7の上壁面部70または側壁面部71の一部に相当する。
【0040】
排気流路7の上壁面部70(第1および第2の上側部41,45の下向き面)は、略へ字状に屈曲しており、第1および第2の傾斜壁面部70a,70bとして構成されている。これら第1および第2の傾斜壁面部70a,70bは、上壁面部70の横幅方向の中央において一端部どうしが繋がり、かつ上壁面部70の横幅方向の両端寄りの位置ほど高さが低くなるように傾斜しており、その傾斜の向きは互いに反対である。
【0041】
次に、前記した熱交換器HEを備えた温水装置WHの作用について説明する。
【0042】
まず、一般給湯および暖房給湯のうち、暖房給湯のみを行なう場合には、既述したように、排気流路7の横幅方向の片側には燃焼ガスが流入し、かつその反対側にはファン10からの送風エアが流入する特定状態となる。なお、その際には、次に述べるような縮流およびその後の膨らみ流れが発生する。
すなわち、
図10に模式的に示すように、ケース2内の流路面積A1に対し、排気流路7の流路面積A2はかなり小さい。このため、ケース2内を流れる気体(燃焼ガスまたは送風エア)は、排気流路7の入り口近傍において、その流れの投影面積A3が一時的に流路面積A2よりも小さくなる縮流が発生する。この縮流は、排気流路7の基端開口部の角部Cに大きな丸みがなく、角部Cが鋭角であるほど顕著に生じる(本実施形態では、
図4(b)の符号C1で示す角部の丸みが小さい形状とされ、前記縮流ができる限り顕著に生じるように設定されている)。また、排気流路7に流入した気体は、前記した縮流を生じた後には、気体流れが流路面積A2になるように、膨らみ流れを生じる。
【0043】
前記したような縮流およびその後の膨らみ流れを生じる場合、燃焼ガスおよび送風エアの流れ方向は、排気流路7の上部においては、
図8(b)に示すように、排気流路7の上壁面部70に垂直な方向である。これに対し、上壁面部70は、第1および第2の傾斜壁面部70a,70bとして傾斜しているため、縮流およびその後の膨らみ流れを生じる燃焼ガスおよび送風エアは、前記傾斜に対応した寸法ΔLaだけ横幅方向(水平方向)にも流れることとなる。このことは、排気流路7の上壁面部70に、積極的な熱移動を生じさせ、上壁面部70の各所の温度分布の平均化に役立つ。したがって、上壁面部70のうち、送風エアによってかなり低温になっている部分に、高温の燃焼ガスが接触して結露を生じることは抑制される。
【0044】
さらに、第1および第2の傾斜壁面部70a,70bの一端部どうしが繋がった部分の近傍においては、縮流およびその後の膨らみ流れを生じる燃焼ガスと送風エアとを互いに接近するように流れさせることも可能となる。したがって、それら燃焼ガスと送風エアとを積極的に混合させて、上壁面部70の温度の平均化を図り、ドレン水が発生することを一層効果的に抑制することが可能となる。
【0045】
図11は、本発明との対比例を示している。この対比例において、排気流路7eの上壁面部70eは、横幅方向の全長域にわたって非傾斜の水平状に設けられている。この対比例においては、排気流路7eに流入した燃焼ガスや送風エアに、前記した縮流およびその後の膨らみ流れが生じ、上壁面部70eに垂直な方向に流れたとしても、横幅方向への移動寸法ΔLbは、実質ゼロである。したがって、
図8(b)を参照して述べたような作用は得られない。対比例においては、上壁面部70eの温度分布の平均化が図られず、上壁
面部70eの一部が送風エアによってかなり低温状態にあるのに対し、この部分に燃焼ガスが触れることにより、多くのドレン水が発生する虞がある。
これに対し、本実施形態においては、そのような虞をなくし、ドレン水の発生量を少なくすることができる。したがって、上壁面部70に発生したドレン水が燃焼ガスや送風エアによって、排気口22の前方外部に吹き飛ばされることを抑制し、ドレン水によって温水装置WHの前部周辺が汚染される不具合を適切に解消することが可能である。
【0046】
また、上壁面部70が第1および第2の傾斜壁面部70a,70bとして形成されていれば、これらの部位で発生したドレン水は、これらの傾斜に沿って上壁面部70の横幅方向両端に流れていく。このようなことによっても、上壁面部70のドレン水が排気口22の前方外部に吹き飛ばされることを抑制可能である。
なお、ドレン水は、排気流路7の下壁面部72などの位置においても発生し得るが、このような低位の部分において発生したドレン水は、燃焼ガスや送風エアによって前方に吹き飛ばされ難く、汚染原因にはなり難い。
【0047】
図12は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0048】
図12(a)に示す実施形態においては、排気流路7の上壁面部70が、その横幅方向の全幅にわたって一方向に傾斜した傾斜壁面部70cとされている。
同図(b)に示す実施形態においては、排気流路7の上壁面部70の横幅方向の一部は、非傾斜の壁面部70fであり、残余の部分が、傾斜壁面部70dとされている。
これらのいずれの実施形態においても、傾斜壁面部70c,70dが設けられているため、本発明が意図する作用を生じさせることが可能である。これらの実施形態から理解されるように、本発明においては、排気流路の上壁面部の少なくとも一部が、横幅方向(水平方向)に対して上下に傾斜した傾斜壁面部とされていればよい。
【0049】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る温水装置、および熱交換器の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0050】
上述の実施形態においては、補助部材として、第1および第2の下部材5(5A,5B)、ならびに第1および第2の上部材4(4A,4B)が具備されているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、前記部材のうち、第1の下部材5Aおよび第1の上部材4Aに相当する部材のみを用いて排気流路7を形成した構成とすることも可能である。補助部材は、要は、排気流路を形成する部材であって、排気流路の上壁面部を構成し、かつこの上壁面部としては、少なくともその一部が、横幅方向に対して上下に傾斜した傾斜壁面部とされている構成であればよく、補助部材の全体の具体的な形状、サイズ、材質、部品総数は問わない。
【0051】
排気筒部は、正面視円形状に限らず、たとえば正面視矩形状、楕円状などであってもよく、その具体的な形状やサイズなどは限定されない。
熱交換器の第1および第2の伝熱管としては、蛇行管に限らず、たとえば平面視円形状、楕円状、または長円状などの螺旋管、あるいは直状管などを用いた構成とすることもできる。
本発明に係る温水装置は、一般給湯用、風呂給湯用、暖房給湯用の他、融雪用なども含む。
本発明でいう「熱交換器のケースの前壁部」は、熱交換器のケース自体の前部に位置する壁部であり、熱交換器を温水装置に組み付けた場合において、ケースの前部は、必ずし
も温水装置の前側に位置している必要はない。
【符号の説明】
【0052】
HE 熱交換器
WH 温水装置
10 ファン
11A,11B 第1および第2のバーナ部
2 ケース
20a 前壁部(ケースの)
23 排気筒部
3A,3B 第1および第2の伝熱管
4A,4B 第1および第2の上部材(補助部材)
5A,5B 第1および第2の下部材(補助部材)
7 排気流路
70 上壁面部(排気流路の)
70a,70b 第1および第2の傾斜壁面部(傾斜壁面部)
70c,70d 傾斜壁面部
71 側壁面部(排気流路の)
72 下壁面部(排気流路の)