(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026018141
(43)【公開日】2026-02-05
(54)【発明の名称】編地及び衣類
(51)【国際特許分類】
D04B 1/08 20060101AFI20260129BHJP
A41D 27/24 20060101ALI20260129BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20260129BHJP
A41B 9/02 20060101ALI20260129BHJP
A41B 9/06 20060101ALI20260129BHJP
【FI】
D04B1/08
A41D27/24 Z
A41D31/00 502C
A41D31/00 503B
A41D31/00 503E
A41B9/02 Q
A41B9/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024119261
(22)【出願日】2024-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(72)【発明者】
【氏名】黒田 幸司
(72)【発明者】
【氏名】下村 昭二
(72)【発明者】
【氏名】内田 貴志
【テーマコード(参考)】
3B035
3B128
4L002
【Fターム(参考)】
3B035AC16
3B035AD04
3B128FB08
3B128FC02
4L002AA00
4L002AA02
4L002AA05
4L002AC01
4L002AC05
4L002BA02
4L002BB02
4L002DA01
4L002EA03
4L002FA01
(57)【要約】
【課題】主としてセルロース系繊維を含む糸と、主として合成繊維を含む糸とが交編された高強度の編地を提供する。
【解決手段】編地は、第1非弾性糸と第1弾性糸とがプレーティング編みされた第1コースと、第2非弾性糸と第2弾性糸とがプレーティング編みされた第2コースとが交互に配列されるように交編される。第1非弾性糸は、主としてセルロース系繊維を含み、第2非弾性糸は、主として合成繊維を含む。第1弾性糸及び第2弾性糸は、熱融着性を有し、第1弾性糸及び第2弾性糸が熱セット加工により溶融することにより、編地にほつれ止め機能が付与される。第1コースにおける第1非弾性糸のループ長と第1非弾性糸のハーフインチ当たりのウェール数との積を、第2コースにおける第2非弾性糸のループ長と第2非弾性糸のハーフインチ当たりのウェール数との積で除した糸長比が、1.01以上である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほつれ止め機能を有する編地であって、
第1非弾性糸と第1弾性糸とがプレーティング編みされた第1コースと、第2非弾性糸と第2弾性糸とがプレーティング編みされた第2コースとが交互に配列されるように交編され、
前記第1非弾性糸は、主としてセルロース系繊維を含み、
前記第2非弾性糸は、主として合成繊維を含み、
前記第1弾性糸及び前記第2弾性糸は、熱融着性を有し、前記第1弾性糸及び前記第2弾性糸が熱セット加工により溶融することにより、前記編地に前記ほつれ止め機能が付与され、
前記第1コースにおける前記第1非弾性糸のループ長と前記第1非弾性糸のハーフインチ当たりのウェール数との積を、前記第2コースにおける前記第2非弾性糸のループ長と前記第2非弾性糸のハーフインチ当たりのウェール数との積で除した糸長比が、1.01以上である、
編地。
【請求項2】
ハーフインチ当たりのコース方向の度目と、ハーフインチ当たりのウェール方向の度目との積が、500以上、700以下である、
請求項1に記載の編地。
【請求項3】
前記編地に含まれるセルロース系繊維の割合(重量)が40%~70%であり、前記編地に含まれる、前記第1弾性糸及び前記第2弾性糸を除く合成繊維の割合(重量)が20%~50%である、
請求項1又は2に記載の編地。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の編地から作製され、切りっぱなしの端部を有する衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編地及び衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ほつれ止め機能を有する編地であって、セルロース系繊維と弾性繊維とをプレーティング編みしたコースと、合成繊維と弾性繊維とをプレーティング編みしたコースとを含む編地を開示している。ほつれ止め機能を有する編地は、切りっぱなし仕様の衣類を作製するのに用いることができる。切りっぱなしとは、衣類の端部に縫製等によるほつれ止めの始末がされていないことを言う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レーヨン、キュプラ、綿等のセルロース系繊維は、吸水性及び吸湿性が高く、風合いが良い等の理由からアパレル素材として広く使用されている。また、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維は、速乾性が良く、型崩れしにくく、高強度である等の理由から同じくアパレル素材として広く使用されている。これらの繊維の特性を両方得るためには、特許文献1のように、これらの繊維を交編することが考えられる。しかし、一般的には、セルロース系繊維の糸と合成繊維の糸とを交編すると、セルロース系繊維の強度が合成繊維ほど高くないため、セルロース系繊維の糸が破断し易く、編地が強度不足になり得る。
【0005】
本発明の目的は、主としてセルロース系繊維を含む糸と、主として合成繊維を含む糸とが交編された高強度の編地及びこれから作製される衣類を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
項1.ほつれ止め機能を有する編地であって、
第1非弾性糸と第1弾性糸とがプレーティング編みされた第1コースと、第2非弾性糸と第2弾性糸とがプレーティング編みされた第2コースとが交互に配列されるように交編され、
前記第1非弾性糸は、主としてセルロース系繊維を含み、
前記第2非弾性糸は、主として合成繊維を含み、
前記第1弾性糸及び前記第2弾性糸は、熱融着性を有し、前記第1弾性糸及び前記第2弾性糸が熱セット加工により溶融することにより、前記編地に前記ほつれ止め機能が付与され、
前記第1コースにおける前記第1非弾性糸のループ長と前記第1非弾性糸のハーフインチ当たりのウェール数との積を、前記第2コースにおける前記第2非弾性糸のループ長と前記第2非弾性糸のハーフインチ当たりのウェール数との積で除した糸長比が、1.01以上である、
編地。
【0007】
項2.ハーフインチ当たりのコース方向の度目と、ハーフインチ当たりのウェール方向の度目との積が、500以上、700以下である、
項1に記載の編地。
【0008】
項3.前記編地に含まれるセルロース系繊維の割合(重量)が40%~70%であり、前記編地に含まれる、前記第1弾性糸及び前記第2弾性糸を除く合成繊維の割合(重量)が20%~50%である、
項1又は2に記載の編地。
【0009】
項4.項1から3のいずれかに記載の編地から作製され、切りっぱなしの端部を有する衣類。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、主としてセルロース系繊維を含む糸と、主として合成繊維を含む糸とが交編された高強度の編地及びこれから作製される衣類が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る編地及びこれから作製される衣類について説明する。なお、図面は、理解を容易にするために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。
【0013】
[1.編地の構成]
本実施形態に係る編地1は、衣類、特に肌着を作製するのに好ましく用いることができる生地である。
図1は、編地1の組織を示す図である。同図に示すように、編地1は、第1非弾性糸10、第1弾性糸11、第2非弾性糸20及び第2弾性糸21により編成される。より詳細には、編地1は、第1非弾性糸10及び第1弾性糸11と、第2非弾性糸20及び第2弾性糸21とを交編した編地である。すなわち、編地1は、第1非弾性糸10と第1弾性糸11とから編成される第1コースC1と、第2非弾性糸20と第2弾性糸21とから編成される第2コースC2とが交互に配列されるように交編された編地である。第1コースC1と第2コースC2とは、ウェール方向に隣接する。なお、第1コースC1の第1弾性糸11と、第2コースC2の第2弾性糸21とは、本実施形態の説明では異なる符号が付されて区別されているが、異なる糸である必要はなく、同じ連続した糸から構成されていてもよい。すなわち、第1コースC1及び第2コースC2には、それぞれ異なる弾性糸が編み込まれてもよいし、同じ連続した弾性糸が編み込まれてもよい。
【0014】
第1コースC1は、第1非弾性糸10を地糸とし、第1弾性糸11を添え糸として、プレーティング編みにより編み立てられている。従って、第1コースC1の表目の部分では、主として地糸(第1非弾性糸10)が外側に現れ、第1コースC1の裏目の部分では、主として添え糸(第1弾性糸11)が外側に現れる。第2コースC2は、第2非弾性糸20を地糸とし、第2弾性糸21を添え糸として、プレーティング編みにより編み立てられている。従って、第2コースC2の表目の部分では、主として地糸(第2非弾性糸20)が外側に現れ、第2コースC2の裏目の部分では、主として添え糸(第2弾性糸21)が外側に現れる。
図1では、見易さのため、第1非弾性糸10が白色で、第2非弾性糸20がライトグレーで、第1弾性糸11及び第2弾性糸21がともにダークグレーで示されている。しかしながら、これらの糸10,11,20,21は、同色であっても、異なる色であってもよい。
【0015】
図1の例では、第1コースC1と第2コースC2とが縦方向に一段ずつ交互に配列されている。しかし、第1コースC1及び第2コースC2の少なくとも一方が縦方向に複数段連続していてもよいし(第1コースC1がn段編まれた後、第2コースC2がm段編まれるパターンを繰り返す編地であり、n及びmの少なくとも一方が2以上の整数)、第1コースC1及び第2コースC2が縦方向に異なる段数ずつ交互に配列されてもよい(第1コースC1がn段編まれた後、第2コースC2がm段編まれるパターンを繰り返す編地であり、n及びmは異なる整数)。
【0016】
また、
図1の例では、編地1は、横編地であり、フライス編みされている。しかしながら、この例に限定されず、編地1は、他の編み方で編まれていてもよく、例えば、天竺編みされていてもよい。フライス編みの場合、縦方向に連なる表目によりリブが形成され、リブとリブとの間に裏目の筋が形成される。
図1の例では、表目と裏目が横方向に1目ずつ交互に配列されているが(1×1ゴム編み)、表目及び裏目の少なくとも一方が横方向に複数目連続していてもよいし(n×mゴム編み、n及びmの少なくとも一方が2以上の整数)、表目と裏目が横方向に異なる目数ずつ交互に配列されてもよい(n×mゴム編み、n及びmは異なる整数)。表目と裏目とが横方向に同数目ずつ交互に配列されるフライス編みの場合、編地1の表面及び裏面は、同じ外観となる。なお、
図1では、編地1が平面的に示されているため、表目と裏目とが同程度に目立っているが、実際には、表目により作られるリブが、リブとリブに挟まれる裏目の筋よりも手前側に(外側に)突出し得る。従って、本実施形態では、編地1の表面及び裏面の両方が、地糸(第1非弾性糸10及び第2非弾性糸20)が目立つ外観となり得る。一方、天竺編みの場合、編地1の表面には、表目が並び、主として地糸(第1非弾性糸10及び第2非弾性糸20)が現れ、編地1の裏面には、裏目が並び、主として添え糸(第1弾性糸11及び第2弾性糸21)が現れる。
【0017】
編地1は、ほつれ止め機能を有する編地である。第1弾性糸11及び第2弾性糸21は、熱融着性を有し、第1弾性糸11及び第2弾性糸21が熱セット加工により溶融することにより、編地1にほつれ止め機能が付与される。第1弾性糸11及び第2弾性糸21は、それぞれ第1非弾性糸10及び第2非弾性糸20に融着する。これに限定されないが、熱セット加工の温度は、約160℃とすることができる。
【0018】
第1弾性糸11及び第2弾性糸21の原料は、典型的には、ポリウレタンであるが、この例に限定されない。例えば、第1弾性糸11及び第2弾性糸21の原料を、ポリスチレン系エラストマーとすることもできる。第1弾性糸11及び第2弾性糸21は、ここで例示した原料のみから構成する(例えば、ポリウレタン100%とする)こともできるし、ここで例示した原料に別の原料が混合されてもよい。ただし、第1弾性糸11及び第2弾性糸21は、ここで例示した原料を、重量割合で少なくとも50%以上含むことが好ましく、70%以上含むことがより好ましく、90%以上含むことがさらに好ましく、95%以上含むことがより好ましい。第1弾性糸11及び第2弾性糸21は、典型的には、フィラメント糸であり、マルチフィラメント糸であってもよいが、モノフィラメント糸であることが好ましい。
【0019】
編地1に含まれる第1弾性糸11及び第2弾性糸21の合計割合(重量)は、5%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。以上の数値条件が満たされる場合、編地1のほつれ止めの機能が効果的に発揮される。一方で、編地1に含まれる第1弾性糸11及び第2弾性糸21の合計割合(重量)は、20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましい。
【0020】
第1非弾性糸10は、主としてセルロース系繊維を含む糸である。なお、本明細書において「主としてXを含む」とは、重量割合でXを50%以上含むことを意味する。ここでいうセルロース系繊維には、レーヨン、キュプラ等の再生繊維や、綿、麻等の植物繊維(天然繊維)が含まれる。セルロース系繊維は、吸水性及び吸湿性が高く、風合いが良いという特徴を有する。従って、第1非弾性糸10が編み込まれた編地1もまた、吸水性及び吸湿性が高く、風合いが良い。第1非弾性糸10は、フィラメント糸であっても、紡績糸であってもよい。
【0021】
第1非弾性糸10は、重量割合でセルロース系繊維を70%以上含むことがより好ましく、90%以上含むことがさらに好ましく、95%以上含むことがより好ましく、100%含んでいてもよい。第1非弾性糸10に含めることができるセルロース系繊維以外の繊維の例としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維や、絹、ウール等の動物性繊維(天然繊維)が挙げられる。また、第1非弾性糸10は、2種類以上のセルロース系繊維を含んでいてもよい。例えば、第1非弾性糸10は、レーヨン、キュプラ等の再生繊維と、綿等の植物繊維とを含んでいてもよい。
【0022】
第2非弾性糸20は、主として合成繊維を含む糸である。ここでいう合成繊維には、ポリエステル、ナイロン、アクリル等が含まれる。合成繊維は、速乾性が良く、型崩れしにくいという特徴を有する。従って、第2非弾性糸20が編み込まれた編地1もまた、速乾性が良く、型崩れしにくい。第2非弾性糸20は、フィラメント糸であっても、紡績糸であってもよい。
【0023】
第2非弾性糸20は、重量割合で合成繊維を70%以上含むことがより好ましく、90%以上含むことがさらに好ましく、95%以上含むことがより好ましく、100%含んでいてもよい。第2非弾性糸20に含めることができる合成繊維以外の繊維の例としては、例えば、レーヨン、キュプラ等の再生繊維や、綿、麻等の植物繊維(天然繊維)、絹、ウール等の動物性繊維(天然繊維)が挙げられる。また、第2非弾性糸20は、2種類以上の合成繊維を含んでいてもよい。
【0024】
編地1に含まれるセルロース系繊維の割合(重量)は、40%~70%であることが好ましく、45%~65%であることがより好ましい。また、編地1に含まれる、第1弾性糸11及び第2弾性糸21を除く合成繊維の割合(重量)は、20%~50%であることが好ましく、20%~45%であることがより好ましい。
【0025】
第1コースC1における第1非弾性糸10のループ長(1ループを形成する平均糸長)をL1(cm)とし、第1コースC1における第1非弾性糸10のハーフインチ当たりのウェール数をN1wとする。また、第2コースC2における第2非弾性糸20のループ長(1ループを形成する平均糸長)をL2(cm)とし、第2コースC2における第2非弾性糸20のハーフインチ当たりのウェール数をN2wとする。このとき、(L1×N1w)/(L2×N2w)≧1.01が好ましく、(L1×N1w)/(L2×N2w)≧1.02がより好ましい。なお、L1×N1wは、第1コースC1におけるハーフインチ当たりの第1非弾性糸10の糸長を表し、L2×N2wは、第2コースC2におけるハーフインチ当たりの第2非弾性糸20の糸長を表す。すなわち、(L1×N1w)/(L2×N2w)は、第2非弾性糸20に対する第1非弾性糸10の糸長比である。
【0026】
ところで、第1非弾性糸10のような、主としてセルロース系繊維を含む糸と、第2非弾性糸20のような、主として合成繊維を含む糸とを交編すると、一般的にはセルロース系繊維(特に、再生繊維)の強度が合成繊維ほど高くないため、主としてセルロース系繊維を含む糸が破断し易く(切れ易く)、編地が強度不足になり得る。この点、糸長比(L1×N1w)/(L2×N2w)が以上の数値範囲を満たす場合、相対的に強度の低い第1非弾性糸10の糸長が、より高強度の第2非弾性糸20の糸長よりも長くなるため、第1非弾性糸10が破断しにくくなる。その結果、これらの糸10,20が交編された編地1の強度が高められ、編地1が破けにくくなる。
【0027】
一方で、第1非弾性糸10と第2非弾性糸20との糸長差が大きくなり過ぎると、編地1が波打ち、編地1の品位が低下し得る。これを防止する観点からは、(L1×N1w)/(L2×N2w)≦1.15が好ましく、(L1×N1w)/(L2×N2w)≦1.10がより好ましい。
【0028】
編地1のハーフインチ当たりのコース方向の度目をDc(/0.5inch)とし、編地1のハーフインチ当たりのウェール方向の度目をDw(/0.5inch)とする。このとき、Dc≧25であることが好ましく、Dc≧30であることがより好ましい。また、Dc≦35であることが好ましい。また、Dw≧15であることが好ましい。また、Dw≦25であることが好ましい。また、Dc×Dw≧500であることが好ましい(なお、「×」は積を表す)。以上の数値条件が満たされる場合、編地1の目が効果的に詰まり、編地1が高密度となるため、編地1の強度がより高められる。一方、編地1が高密度になりすぎると、伸びにくくなるため、Dc×Dw≦700であることが好ましい。
【0029】
編地1の目付は、180g/m2以下あることが好ましい。なお、生地の目付が大きくなると、生地がよりしっかりとするため、破けにくくなるが、生地が重くなり、伸びにくくなる。この点、以上の数値条件が満たされる場合、編地1が軽く、伸びやすくなり、軽い着心地の衣類が作製される。
【0030】
編地1の厚みは、0.8mm以下であることが好ましい。以上の数値条件が満たされる場合、編地1が薄くなり、ひいては軽い着心地の衣類が作製される。また、編地1の厚みは、0.6mm以上であることが好ましい。以上の数値条件が満たされる場合、編地1の強度がより高められる。
【0031】
編地1の縦方向の伸張率をRswとし、横方向の伸張率をRscとし、縦横方向の伸張率の平均をRs_ave(=(Rsw+Rsc)/2)とする。このとき、Rsw≧20%であることが好ましい。また、Rsc≧90%であることが好ましく、Rsc≧100%であることがより好ましい。また、Rs_ave≧60%であることが好ましい。以上の数値条件が満たされる場合、編地1から作製される衣類が適度に伸びるため、衣類の着用が容易になるとともに、着用者が動き易くなる。すなわち、衣類の着用感が良好になる。
【0032】
編地1の縦方向の回復率をRrwとし、横方向の回復率をRrcとし、縦横方向の回復率の平均をRr_ave(=(Rrw+Rrc)/2)とする。このとき、Rrw≧70%であることが好ましい。また、Rrc≧65%であることが好ましい。また、Rr_ave≧70%であることが好ましい。以上の数値条件が満たされる場合、編地1から作製される衣服を脱いだ後に、衣服が伸びたままにならず、着用前のサイズに戻り易く、型崩れがしにくくなる。
【0033】
なお、以上の伸張率及び回復率は、以下の通り測定され、以下の式(1)(2)に従って算出される。まず、測定場所は、室温20±2℃、相対湿度65±4%の標準状態の試験室(JIS L 0105)である。測定器は、引張試験機である。サンプル片サイズは、長さ200mm×幅100mm(コース方向及びウェール方向に採取)である。チャック間距離は、100mmである。引張速度は、200mm/minである。4.91Nまでサンプル片を引っ張ること、及び、サンプル片の引っ張りを解除すること(サンプル片を元の位置まで戻すこと)を5回繰り返す。
【0034】
伸張率(%)=5回目に一定荷重(4.91N)が加えられた後の伸び(mm)÷元の長さ(100mm)×100 ・・・(1)
回復率(%)=5回目に一定荷重(4.91N)が取り除かれた際の仕事量(cJ)÷5回目に一定荷重(4.91N)が加えられた際の仕事量(cJ)×100 ・・・(2)
【0035】
編地1の縦方向の破断強度をSw(N)とし、横方向の破断強度をSc(N)とし、縦横方向の破断強度の平均をS_ave(=(Sw+Sc)/2)とするとき、S_ave≧45Nであることが好ましい。また、編地1の縦方向の破断伸度をEw(%)とし、横方向の破断伸度をEc(%)とし、縦横方向の破断伸度の平均をE_ave(=(Ew+Ec)/2)とするとき、E_ave≧200%であることが好ましい。また、S_ave×E_ave≧12000N%であることが好ましく、S_ave×E_ave≧14000N%であることがより好ましい(なお、「×」は積を表す)。
【0036】
編地1の縦横方向の破断強度の平均S_aveと、編地1の縦横方向の破断伸度の平均E_aveとの積であるS_ave×E_aveは、編地1の強度及び伸び易さを総合的に評価する指標であり、編地1の破けにくさを表す指標となり得る。従って、以上の数値範囲を満たす場合、衣類の着用時等に、編地1がより破けにくくなる。
【0037】
また、Sw×Ew≧9500N%であることが好ましい。また、Sc×Ec≧10000N%であることが好ましい。
【0038】
なお、以上の破断強度及び破断伸度は、それぞれ、JIS L 1096に従う引張強さ及び伸び率として測定される。より詳細には、編地を裁断し、コース方向及びウェール方向に5枚ずつ、長さ200mm×幅25mmのサイズのサンプル片を採取する。引張試験機を用いて、チャック間距離を100mmとし、100%の伸張速度でサンプル片を引っ張り、サンプル片の切断時の引張強さ(N)及び伸び率(%)を5回ずつ測定し、5回の測定の平均値を算出し、それぞれ破断強度及び破断伸度とする。
【0039】
[2.衣類の構成]
以上の編地1から、切りっぱなし仕様の衣類、特に肌着を好ましく作製することができる。切りっぱなし仕様の衣類とは、衣類の端部の一部又は全部が切りっぱなしに構成された衣類である。切りっぱなしの端部においては、縫製等によるほつれ止めの始末が省略されている。衣類には、トップス及びボトムスが含まれる。衣類の端部は、典型的には開口部を形成し、例えば、トップスの襟ぐり(ネックライン)、袖口及び裾口、ボトムスのウェスト周り及び裾口等である。トップスは、上半身用の衣類全般を意味し、Tシャツ、タンクトップ、キャミソール、スリップ、ブラジャー、腹巻等の肌着を含む。ボトムスは、下半身用の衣類全般を意味し、パンツ、ショーツ、レギンス、タイツ、靴下、股引等の肌着を含む。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【実施例0041】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0042】
実施例1~6及び比較例1~6に係る編地を用意した。実施例1~6及び比較例1~6の編地は、表1及び表3に示す4本の原糸を交編することにより作製された。より詳細には、第1非弾性糸と第1弾性糸とから編成される第1コースと、第2非弾性糸と第2弾性糸とから編成される第2コースとが、縦方向に1段ずつ交互に配列されるように交編した。第1コースは、1本の第1非弾性糸を地糸とし、1本の第1弾性糸を添え糸として、プレーティング編みされ、第2コースは、1本の第2非弾性糸を地糸とし、1本の第2弾性糸を添え糸として、プレーティング編みされた。また、実施例1~6及び比較例1~6の編地は、全てベアフライス編み(1×1ゴム編み)された。
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
実施例1~6及び比較例1~6の編地の編み条件は、表1及び表3に示す通りとした。また、実施例1~6及び比較例1~6の編地に対し、表2及び表4に示す物性を測定及び算出した。
【0048】
表1~4においては、(L1×N1w)/(L2×N2w)≧1.01、500≦Dc×Dw≦700、目付≦180g/m2、Rs_ave≧60%、Rr_ave≧70%、S_ave×E_ave≧12000N%の条件を満たさないセルの背景にグレーを付した。この結果から分かる通り、(L1×N1w)/(L2×N2w)≧1.01の条件を満たす実施例1~6の編地は全て、同条件を満たすため(すなわち、主としてセルロース系繊維を含む第1非弾性糸が、主として合成繊維を含む第2非弾性糸よりも長く、第1非弾性糸が破断しにくいため)高強度であるばかりか、軽く(目付≦180g/m2)、着用感が良く(Rs_ave≧60%)、型崩れしにくく(Rr_ave≧70%)、破けにくい(S_ave×E_ave≧12000N%)編地となった。また、実施例1~6の編地は全て、編み目の密度が(強度及び伸び易さの観点から)適切な範囲(500≦Dc×Dw≦700)に収まった。一方で、(L1×N1w)/(L2×N2w)≧1.01の条件を満たさない比較例1~6の編地の場合、同条件を満たさないせいで十分な強度が確保されないのみならず、軽さ、着用感、型崩れのしにくさ及び破けにくさの少なくともいずれかが劣る結果となった。より詳細には、比較例1,2の編地は、目付が小さい分、破け易い編地となった(S_ave×E_ave<12000N%)。また、比較例1の編地は、型崩れもし易い編地となった(Rr_ave<70%)。また、比較例3~6の編地は、破けにくい(S_ave×E_ave≧12000N%)ものの、目付が大きく重い編地となり、さらには、伸びにくく着用感の悪い編地となった(Rs_ave<60%)。また、比較例1,2,4~6では、編み目の密度が適切な範囲(500≦Dc×Dw≦700)に収まらなかった。