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  • -バスバー 図1
  • -バスバー 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026018228
(43)【公開日】2026-02-05
(54)【発明の名称】バスバー
(51)【国際特許分類】
   H01B 15/00 20060101AFI20260129BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20260129BHJP
【FI】
H01B15/00
H01B7/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024119433
(22)【出願日】2024-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002255
【氏名又は名称】SWCC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 恒也
(72)【発明者】
【氏名】光地 伸明
(72)【発明者】
【氏名】森 利明
【テーマコード(参考)】
5G309
【Fターム(参考)】
5G309BA01
5G309BA05
5G309BA06
5G309BA11
(57)【要約】
【課題】絶縁体層を剥離しやすいバスバーを提供すること。
【解決手段】本発明のバスバー(1)は、導体(10)と、前記導体(10)を被覆する絶縁体層(20)とを有するバスバー(1)であって、前記絶縁体層(20)は、前記バスバー(1)の長手方向に延びる凹部(21)を有し、前記凹部(21)は、前記絶縁体層(20)のうち前記導体(10)の表面の平面を被覆する部分に配置されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体と、前記導体を被覆する絶縁体層とを有するバスバーであって、
前記絶縁体層は、前記バスバーの長手方向に延びる凹部を有し、
前記凹部は、前記絶縁体層のうち前記導体の表面の平面を被覆する部分に配置されていることを特徴とする、バスバー。
【請求項2】
請求項1に記載のバスバーであって、前記凹部は、前記導体の幅方向について略中央に配置されていることを特徴とする、バスバー。
【請求項3】
請求項1に記載のバスバーであって、前記絶縁体層は、並べて配置された2つの前記凹部を有することを特徴とする、バスバー。
【請求項4】
請求項1に記載のバスバーであって、前記導体と、前記絶縁体層とは接着されていないことを特徴とする、バスバー。
【請求項5】
請求項1に記載のバスバーであって、JIS K 7215-1986に基づいて測定した前記絶縁体層のデュロメータD硬さは35~45であることを特徴とする、バスバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバスバーに関する。
【背景技術】
【0002】
バスバーは、例えば、バッテリー電気自動車(Battery Electric Vehicle:BEV)、ハイブリッド自動車(Hybrid Electric Vehicle:HEV)等の電気自動車においてバッテリーユニットとインバータとの間で送電に使用される部材である。近年の電気自動車はモータ駆動だけでなく、ブレーキやハンドルの駆動、ドアや窓の開閉までも電動化されている。たとえば、特許文献1はこのような電気自動車に用いられ得るバスバーを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2022-545548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の様なバスバーは、導体と導体を被覆する絶縁体層と有し、絶縁体層はバスバーの絶縁性を維持するのに適している。しかし、バスバーの導体をリサイクルしようとした場合、絶縁体層の硬さが硬いまたは絶縁体層の厚さが厚い、導体と絶縁体層が密着していると導体から剥離することが難しくリサイクルしにくい。
【0005】
本発明の目的は、絶縁体層を剥離しやすいバスバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
導体と、前記導体を被覆する絶縁体層とを有するバスバーであって、
前記絶縁体層は、前記バスバーの長手方向に延びる凹部を有し、
前記凹部は、前記絶縁体層のうち前記導体の表面の平面を被覆する部分に配置されていることを特徴とする、バスバーが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、絶縁体層を剥離しやすいバスバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1A、Bは、実施の形態に係るバスバーの斜視図である。
図2図2A~Dは、実施の形態に係るバスバーの端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施形態にかかるバスバーについて説明する。本明細書では、数値範囲を示す「~」の記載に関し下限値および上限値はその数値範囲に含まれる。
【0010】
[バスバー]
図1Aはバスバー1の斜視図である。図1Bは、曲げられた部分を有するバスバー1である。図1Aおよび図1Bに示すとおり、バスバー1は、導体10と、導体10を被覆する絶縁体層20とを有する。
【0011】
バスバー1は、例えば、導体10の周りに絶縁体層20となる樹脂を押出し成形することで製造される。このように製造されたバスバー1において、導体10は、長手方向の全長にわたって絶縁体層20によって被覆されている。バスバー1が使用されるときは、例えば、図1Bに示されるように、バスバー1の2つの端部(両端)の絶縁体層20を剥離して導体10を露出させる。露出した導体10は、バッテリーユニットやインバータなどの接続対象の装置に電気的に接続される。
【0012】
バスバー1の形状は、図1Aに示されるように直線状(平板状)であってもよいし、図1Bに示されるように、バスバー1が接続される装置の位置やバスバー1が配置される空間の形状などに応じて、曲がっている部分を有していてもよい。図1Bに示されるように、曲がっている部分の例には、バスバー1の幅方向に曲げるエッジワイズ曲げ部分1a、バスバー1の厚さ方向に曲げるフラットワイズ曲げ部分1bが含まれる。なお、本実施の形態において、バスバー1は車載用バスバーである。
【0013】
以下、バスバー1が有する導体10と絶縁体層20とについて説明する。
【0014】
(導体)
導体10は導電性を有すればよい。導体10の大きさは特に制限されず、通電させる電力の大きさに応じて適宜設計され得る。具体的には、導体10の厚さおよび幅は通電させる電力の大きさによって適宜設定され得る。また、導体10の長さは、設置場所、設置条件などによって適宜設定され得る。導体10を構成する金属の例には、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金が含まれる。
【0015】
本実施の形態において、導体10はバー状であり、具体的には薄い直方体状である。直方体状である導体10は6つの平面を有する。
【0016】
6つの平面のうち4つの平面は、導体10の長手方向に延びる平面であり、残りの2つの平面は長手方向の両端にある端面である。導体10の長手方向に延びる4つの平面のうち2つの平面は、バーの幅方向に延びる平面であり、残りの2つの平面はバーの厚さ方向に延びる平面である。本実施の形態において、長手方向に延びる4つの平面は絶縁体層20によって被覆されている。一方、本実施の形態において2つの端面は絶縁体層20によって被覆されていない。
【0017】
図2Aは、バスバー1の端面を示す図である。図2Aに示されるように導体10は、端面において4つの角10aおよび4つの辺10bを有する。本実施の形態において、導体10は薄板状であり、その端面は細長い矩形状である。
【0018】
導体10は、1枚の金属板で構成されていても、複数の金属板で構成されていてもよい。導体10が複数の金属板で構成される場合、例えば、約0.1~0.3mmの金属薄板を積層して溶接してもよい。導体10の形状は、直線状(平板状)であってもよいし、直線状でなくてもよい。上述のように導体10は、バスバー1が接続される装置の位置やバスバー1が配置される空間の形状などに応じて曲がっている部分や、ねじれている部分などを有していてもよい。
【0019】
導体10は、図1Bに示されるように、その端部に例えばバッテリーなどの端子と接続されるための構造を有していてもよい。このような構造の例には、図1Bに示されるように、ボルトで固定されるためのボルト受け入れ孔11が含まれる。
【0020】
(絶縁体層)
絶縁体層20は導体10を被覆する。絶縁体層20は、例えば、押出し成形されて導体10を被覆する。あるいは、絶縁体層20は予め筒状であり、その内部に導体10が収容されてもよい。本実施の形態において、絶縁体層20は導体10の長手方向の全長に亘って導体10を被覆しており、絶縁体層20の厚さは絶縁体層20の長手方向において略一定である。
【0021】
図1A、Bに示されるように、絶縁体層20は、絶縁体層を剥離する際に亀裂の進展を促進するための凹部21を有する。凹部21は、カッターなどの刃を凹部21に入れて、絶縁体層20の一部を厚さ方向に切断した後に、特別な道具を用いることなく剥離しようとした場合に、亀裂を進展させて全面剥離させることが可能であることが好ましい。レーザー照射などで剥離させてもよい。
【0022】
本実施の形態において、凹部21は絶縁体層20の表側(導体10と接触する側の反対側)に配置され、バスバー1(絶縁体層20)の長手方向に全長に亘って延びている。より具体的には、本実施の形態において凹部21は、導体10の幅方向に沿う面および厚さ方向に沿う面を被覆する絶縁体層20のうち幅方向に沿う面を被覆する絶縁体層20に配置されている。すなわち、凹部21は、絶縁体層20のうち導体10の表面の平面を被覆する部分に配置されている。
【0023】
凹部21の深さは、亀裂の進展を促進しつつ、絶縁機能の低下を抑制できるように適宜設定されればよい。この観点から、凹部21の深さは、絶縁体層20の厚さを1としたときに0.4~0.6程度(凹部21の底の部分の絶縁体層20の厚さは0.4~0.6程度)が好ましい。本実施の形態においては、凹部21の深さは、絶縁体層20の厚さを1としたときに0.5程度(凹部21の底の部分の絶縁体層20の厚さは0.5程度)である。より具体的には、絶縁体層20の厚さは、0.8~1.5mm程度とすることができ、凹部21の深さは0.32~0.9mm程度(凹部21の底の部分の絶縁体層20の厚さは0.32~0.9mm程度)とすることができる。本実施の形態において、絶縁体層20の厚さは1mm程度であり、凹部21の深さは、0.5mm程度(凹部21の底の部分の絶縁体層20の厚さは0.5mm程度)である。
【0024】
本実施の形態において、凹部21は、図2Aに示されるように、導体10の幅方向について略中央に配置されている。凹部21が略中央から外れた位置に配置した場合、図1Bに示されるようにバスバー1がエッジワイズ曲げ部分1aを有していても応力が凹部21に集中し、絶縁体層20に膨れや割れが生じることで、外観不良や絶縁性能が低下する。凹部21が略中央に配置されていることで、エッジワイズ曲げによる応力が集中しにくい。略中央とは、例えば、図2Aに示されるように、凹部21の導体10の幅方向の両端の間の長さを1とし、一方の端の位置を0とし、他方の端の位置を1としたときに、一方の端から0.25~0.75の範囲とすることができ、好ましくは0.375~0.625の範囲とすることができる。
【0025】
凹部21の形状は、亀裂の進展を促進できれば特に制限されない。凹部21は、例えば、横断面視したときに四角形状、U字形状、V字形状であり得る。本実施の形態において、凹部21は、図2Aに示されるようにV字形状である。
【0026】
絶縁体層20は、剥離しやすいようにある程度の柔らかさを有することが好ましい。この観点から、JIS K 7215-1986に基づいて測定した絶縁体層20のデュロメータD硬さ(HDD)は、35~45であることが好ましい。本実施の形態において、絶縁体層20のデュロメータD硬さは40程度である。
【0027】
絶縁体層20の材料は、絶縁性能を発揮しつつ、上記のデュロメータD硬さを有することが好ましい。この観点から樹脂の種類が適宜選択されることが好ましい。また、この観点から樹脂に添加される添加物(例えばフィラー)などの種類および量が適宜選択されてもよい。絶縁体層20の材料の例には、ノンハロゲン樹脂が含まれる。特に、ポリオレフィン系樹脂およびゴム成分の動的架橋物が好ましい。
【0028】
絶縁体層20は、絶縁性能を発揮させる観点から導体10にできるだけ隙間が無い状態で接触(密着)していることが好ましい。一方で、絶縁体層20は、剥離の際に導体10から容易に剥がれることが好ましい。この観点から、絶縁体層20は導体10に接着されていないことが好ましい。なお、絶縁体層20と導体10が接着されず剥離しやすいという観点から、絶縁体層20が上述のデュロメータD硬さを有することが好ましい。
【0029】
(効果)
本実施の形態に係るバスバーは、凹部21が導体10の幅方向について略中央に配置されている。これにより、絶縁体層20を剥離しやすくなり、さらにエッジワイズ曲げ部分1aを有していても絶縁体層に膨れや割れが発生しない。
【0030】
[他の実施の形態]
図2B~Dは、本発明のバスバーの他の実施の形態の例を示す端面図である。本発明は、図2Aに示されるように導体10の幅方向に沿う面を被覆する、導体10を挟んで2つ存在する絶縁体層20(導体10の4つの側面のうち面積が大きい2つの側面を被覆する絶縁体層20)のうち、一方のみに凹部21が配置されている実施の形態に限定されない。
【0031】
図2Bに示されるように、凹部21は、導体10の幅方向に沿う面を被覆する2つの絶縁体層20の両方に配置されていてもよい。
【0032】
また、図2Cに示されるように、凹部21は2つ並んで配置されていてもよい。凹部21が2つ並んで配置されることで、2つの凹部21の間に手などで保持しやすい部分ができる。剥離する際はこの部分を保持し、引っ張ることで、絶縁体層20をより容易に剥離することができる。凹部21が2つ並んで配置される場合、凹部21の横断面視したときの形状は特に制限されないが、剥離しやすさの観点から、四角形状であることが好ましい。
【0033】
また、図2Cに示されるように、2つ並んだ凹部21は、導体10の幅方向に沿う面を被覆する2つの絶縁体層20のうち、一方のみに配置されていてもよいし、図2Dに示されるように両方に配置されていてもよい。2つ並んだ凹部21は、上述のように幅方向の略中央に配置されることが好ましい。
【0034】
なお、上記の実施の形態および他の実施の形態では、導体10と絶縁体層20とが接触している例を説明したが、導体10と絶縁体層20とが接触せず、導体10と絶縁体層20との間に耐火層が配置されていてもよい。耐火層は、例えば、マイカテープなどの耐火テープによって形成された層である。
【0035】
(効果)
図2B~Dに示される他の実施の形態に係るバスバーも上述の実施の形態に係るバスバー1と同様の効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の実施の形態に係るバスバーは、絶縁体層を容易に剥離することができるため、例えば導体を効率的にリサイクルするのに有用である。
【符号の説明】
【0037】
1 バスバー
1a エッジワイズ曲げ部分
1b フラットワイズ曲げ部分
10 導体
10a 角
10b 辺
11 ボルト受け入れ孔
20 絶縁体層
21 凹部
図1
図2