(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026019002
(43)【公開日】2026-02-05
(54)【発明の名称】剥離装置、剥離システム、及び剥離方法
(51)【国際特許分類】
B09B 3/70 20220101AFI20260129BHJP
B32B 43/00 20060101ALN20260129BHJP
E04G 23/08 20060101ALN20260129BHJP
【FI】
B09B3/70
B32B43/00
E04G23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024120396
(22)【出願日】2024-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】岡田 修平
【テーマコード(参考)】
2E176
4D004
4F100
【Fターム(参考)】
2E176DD45
2E176DD53
2E176DD64
4D004AA31
4D004CA12
4D004CA22
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4D004CB31
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4F100AR00B
4F100AT00A
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4F100BA03
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100GB07
(57)【要約】
【課題】接着部材を効率的に剥離できる剥離装置、剥離システム、及び剥離方法を提供する。
【解決手段】剥離装置20は、接着部材53によって接着されている複数の被接着部材51、52を含む対象物の中に位置する剥離部26と制御部21とを備える。剥離部26は、接着部材53に作用することによって接着部材53を剥離するように動作可能に構成される。制御部21は、対象物の外に位置する端末装置10から受信した剥離指示に基づいて剥離部26を起動する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着部材によって接着されている複数の被接着部材を含む対象物の中に位置する、1又は複数の剥離部と、制御部とを備え、
前記剥離部は、前記接着部材に作用することによって前記接着部材を剥離するように動作可能に構成され、
前記制御部は、前記対象物の外に位置する端末装置から受信した剥離指示に基づいて前記剥離部を起動する、剥離装置。
【請求項2】
前記剥離部は、前記接着部材を溶解可能な溶剤を収容する容器と、前記容器から前記溶剤を放出させるアクチュエータとを備える、請求項1に記載の剥離装置。
【請求項3】
前記剥離部は、前記接着部材に熱を加える熱源を備える、請求項1に記載の剥離装置。
【請求項4】
前記剥離部は、前記接着部材に光を照射する光源を備える、請求項1に記載の剥離装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記端末装置から認証情報を受信し、前記認証情報による認証が成功した場合に前記剥離部を起動可能にする、請求項1に記載の剥離装置。
【請求項6】
前記剥離装置はメモリを備え、前記制御部は、あらかじめ当該メモリに格納している情報が前記認証情報に一致した場合に前記認証情報による認証が成功したと判定する、請求項5に記載の剥離装置。
【請求項7】
前記制御部を備える親機と、前記1又は複数の剥離部を備える子機とに分離している、請求項1から6までのいずれか一項に記載の剥離装置。
【請求項8】
1又は複数の剥離装置と、前記1又は複数の剥離装置に対して無線で給電するとともに剥離指示を送信する端末装置とを備え、
前記剥離装置は、接着部材によって接着されている複数の被接着部材を含む対象物の中に位置する、1又は複数の剥離部と、制御部とを備え、
前記剥離部は、前記接着部材に作用することによって前記対象物を剥離するように動作可能に構成され、
前記制御部は、前記対象物の外に位置する送信装置から無線で受信した剥離指示に基づいて前記剥離部を起動する、剥離システム。
【請求項9】
前記端末装置は、前記複数の剥離装置に認証情報を送信し、
前記制御部は、前記認証情報による認証が成功した場合に前記剥離部を起動可能にし、
前記認証情報は、前記複数の剥離装置のうち一部の剥離装置だけで認証を成功させる情報である、請求項8に記載の剥離システム。
【請求項10】
接着部材によって接着されている複数の被接着部材を含む対象物の中に位置し、前記接着部材に作用することによって前記対象物を剥離するように動作可能に構成される剥離部を、前記対象物の外に位置する端末装置から受信した剥離指示に基づいて起動するステップを含む、剥離方法。
【請求項11】
前記剥離部を起動するステップにおいて、前記端末装置から認証情報を受信し、前記認証情報による認証が成功した場合に前記剥離部を起動する、請求項10に記載の剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、剥離装置、剥離システム、及び剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱溶融性又は熱分解性を付与した解体性接着部材を、電磁誘導又はマイクロ波による加熱で解体する方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】倉敷 哲生、“解体性を考慮した接着接合の現状とFRP接着接合への適用”、日本接着学会誌、Vol.54、No.11(2018)、p.397-401
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接着部材を加熱して解体又は分離する場合、解体対象物の内部の接着部材を加熱するために解体対象物全体を加熱する必要がある。この場合、接着部材以外を加熱するエネルギーが無駄になり、又は加熱によって接着部材以外の部分が劣化などの悪い影響を受ける場合もあり得る。接着部材を効率的に剥離することが求められる。
【0005】
本開示は、上述の点に鑑みてなされたものであり、接着部材を効率的に剥離できる剥離装置、剥離システム、及び剥離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)幾つかの実施形態に係る剥離装置は、接着部材によって接着されている複数の被接着部材を含む対象物の中に位置する、1又は複数の剥離部と、制御部とを備える。前記剥離部は、前記接着部材に作用することによって前記接着部材を剥離するように動作可能に構成される。前記制御部は、前記対象物の外に位置する端末装置から受信した剥離指示に基づいて前記剥離部を起動する。
【0007】
(2)上記(1)に記載の剥離装置において、前記剥離部は、前記接着部材を溶解可能な溶剤を収容する容器と、前記容器から前記溶剤を放出させるアクチュエータとを備えてよい。
【0008】
(3)上記(1)又は(2)に記載の剥離装置において、前記剥離部は、前記接着部材に熱を加える熱源を備えてよい。
【0009】
(4)上記(1)から(3)までのいずれか1つに記載の剥離装置において、前記剥離部は、前記接着部材に光を照射する光源を備えてよい。
【0010】
剥離装置が対象物の中で、剥離部によって接着部材に溶剤、熱又は光を作用させることによって、接着部材が効率的に剥離され、解体の対象物が効率的に解体される。
【0011】
(5)上記(1)から(4)までのいずれか1つに記載の剥離装置において、前記制御部は、前記端末装置から認証情報を受信し、前記認証情報による認証が成功した場合に前記剥離部を起動可能にしてよい。
【0012】
(6)上記(5)に記載の剥離装置は、メモリを備えてよい。前記制御部は、あらかじめ当該メモリに格納している情報が前記認証情報に一致した場合に前記認証情報による認証が成功したと判定してよい。
【0013】
剥離装置が認証に成功した場合に剥離部を起動することによって、対象物が意図せず解体される事態を回避できる。例えば悪意のある第三者による不正な解体が防止される。その結果、解体に関するセキュリティが向上する。
【0014】
(7)上記(1)から(6)までのいずれか1つに記載の剥離装置は、前記制御部を備える親機と、前記1又は複数の剥離部を備える子機とに分離してよい。
【0015】
親機と子機とが分離されることによって、剥離装置が種々の態様で配置され得る。その結果、剥離システムの利便性が向上する。
【0016】
(8)幾つかの実施形態に係る剥離システムは、1又は複数の剥離装置と、前記1又は複数の剥離装置に対して無線で給電するとともに剥離指示を送信する端末装置とを備える。前記剥離装置は、接着部材によって接着されている複数の被接着部材を含む対象物の中に位置する、1又は複数の剥離部と、制御部とを備える。前記剥離部は、前記接着部材に作用することによって前記対象物を剥離するように動作可能に構成される。前記制御部は、前記対象物の外に位置する送信装置から無線で受信した剥離指示に基づいて前記剥離部を起動する。
【0017】
(9)上記(8)に記載の剥離システムにおいて、前記端末装置は、前記複数の剥離装置に認証情報を送信してよい。前記制御部は、前記認証情報による認証が成功した場合に前記剥離部を起動可能にしてよい。前記認証情報は、前記複数の剥離装置のうち一部の剥離装置だけで認証を成功させる情報であってよい。
【0018】
(10)幾つかの実施形態に係る剥離方法は、接着部材によって接着されている複数の被接着部材を含む対象物の中に位置し、前記接着部材に作用することによって前記対象物を剥離するように動作可能に構成される剥離部を、前記対象物の外に位置する端末装置から受信した剥離指示に基づいて起動するステップを含む。
【0019】
(11)上記(10)に記載の剥離方法の前記剥離部を起動するステップにおいて、前記端末装置から認証情報が受信され、前記認証情報による認証が成功した場合に前記剥離部が起動可能にされてよい。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、接着部材を効率的に剥離できる剥離装置、剥離システム、及び剥離方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】比較例に係る加熱による剥離方法を示す模式図である。
【
図1B】比較例に係る溶剤による剥離方法を示す模式図である。
【
図2】本開示に係る剥離システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】本開示に係る剥離システムの配置例を示す模式図である。
【
図4】本開示に係る剥離方法の手順例を示すフローチャートである。
【
図5】剥離装置を親機と子機とに分離した構成例を示すブロック図である。
【
図6】剥離装置の親機及び子機の配置例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(比較例)
接着部材で接着されている部材を解体するために、接着部材を剥離する必要がある。
【0023】
接着部材が加熱によって軟化する材料である場合、又は、接着部材が加熱によって膨張するマイクロカプセル又は発泡剤等の熱膨張材料を含む場合、解体対象の部材を加熱することによって接着部材を剥離して解体することが考えられる。第1の比較例として、
図1Aに示されるように、加熱によって膨張するマイクロカプセル94を含む接着部材93によって被接着部材91と被接着部材92とを接着した部材を解体する場合が仮定される。この場合、解体対象の部材を加熱することによってマイクロカプセル94が膨張する。マイクロカプセル94の膨張によって接着部材93の層が膨張して被接着部材91及び92から剥離し、被接着部材91と被接着部材92とを含む部材が解体される。
【0024】
しかし、接着部材93を加熱するために解体対象の部材全体を加熱する場合、部材が大きいほど、無駄になる熱エネルギーが増大する。
【0025】
接着部材が溶剤によって溶解する材料である場合、接着部材に溶剤をかけて剥離して解体することが考えられる。第2の比較例として、
図1Bに示されるように、被接着部材91と被接着部材92との間の接着部材93の層に溶剤95をかけることによって接着部材93が剥離し、被接着部材91と被接着部材92とが解体される。
【0026】
しかし、溶剤によって接着部材93を剥離して部材を解体できるように構成される場合、溶剤を接着部材93の端からかけて徐々に接着部材93を溶かす必要があり、時間がかかる。また、無駄になる溶剤の量が増大する。
【0027】
以上述べてきたように、比較例に係る剥離方法によれば、熱エネルギー又は溶剤の無駄が増大し、剥離作業の効率が悪い。本開示は、接着部材を効率的に剥離できる剥離システム1及び剥離装置20(
図2又は
図3等参照)、並びに剥離方法を説明する。
【0028】
(剥離システム1の構成例)
図2に示されるように、本開示に係る剥離システム1は、端末装置10と、剥離装置20とを備える。端末装置10は、端末制御部11と、通信アンテナ12と、給電アンテナ13と、表示部14とを備える。剥離装置20は、剥離制御部21と、通信アンテナ22と、給電アンテナ23と、メモリ24と、バッテリ25と、剥離部26とを備える。
【0029】
端末制御部11及び剥離制御部21は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等の専用回路を含んで構成されてよい。端末制御部11及び剥離制御部21は、剥離システム1の種々の機能を実現するプログラムを実行するように構成されてよい。端末制御部11又は剥離制御部21は、単に制御部とも称される。
【0030】
端末制御部11又は剥離制御部21は、記憶部を備えてよい。記憶部は、端末制御部11若しくは剥離制御部21の動作に用いられる各種情報、又は、端末制御部11若しくは剥離制御部21の機能を実現するためのプログラム等を格納してよい。記憶部は、端末制御部11又は剥離制御部21のワークメモリとして機能してよい。記憶部は、例えば半導体メモリ等で構成されてよい。記憶部は、端末制御部11又は剥離制御部21と別体で構成されてもよい。剥離制御部21の記憶部の機能は、後述するメモリ24によって実現されてもよい。端末制御部11又は剥離制御部21は、時刻を認識するための時計又はタイマを備え、時刻によって同期をとってよい。
【0031】
通信アンテナ12及び22は、端末装置10と剥離装置20との間の通信用の周波数の電波を送受信できるように構成される。端末装置10から剥離装置20に情報又はデータを出力する場合、端末制御部11は、剥離制御部21に出力する情報又はデータに係る電気信号を変調した電波を通信アンテナ12から送信する。剥離制御部21は、通信アンテナ22で受信した電波を復調して端末制御部11からの情報又はデータに係る電気信号を取得する。逆に、剥離装置20から端末装置10に情報又はデータを出力する場合、剥離制御部21は、端末制御部11に出力する情報又はデータに係る電気信号を変調した電波を通信アンテナ22から送信する。端末制御部11は、通信アンテナ12で受信した電波を復調して剥離制御部21からの情報又はデータに係る電気信号を取得する。この例では電波による通信について書いたが、光による通信でもよい。
【0032】
端末制御部11及び剥離制御部21は、通信アンテナ12及び22を介した通信を実現するための通信デバイスを含んで構成されてよい。通信デバイスは、例えばLAN(Local Area Network)又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に基づくデバイスであってよい。通信デバイスは、これらの通信規格に限られず、他の種々の通信規格に基づくデバイスであってもよい。
【0033】
給電アンテナ13は、剥離装置20に対する給電用の周波数の電波を、端末装置10から送信できるように構成される。給電アンテナ23は、端末装置10からの給電用の周波数の電波を、剥離装置20で受信できるように構成される。端末装置10から剥離装置20に給電する場合、端末制御部11は、給電用の電波を給電アンテナ13から送信する。剥離制御部21は、給電アンテナ23で受信した電波のエネルギーを電力に変換し、剥離制御部21自身で消費する。また、剥離制御部21は、メモリ24、バッテリ25、又は剥離部26に給電する。
【0034】
通信用の周波数と給電用の周波数とは同じ値に設定されてもよい。端末装置10の通信アンテナ12と給電アンテナ13とは共通化されてもよい。剥離装置20の通信アンテナ22と給電アンテナ23とは共通化されてもよい。
【0035】
剥離システム1は、給電アンテナ13及び23を備えなくてもよい。この場合、剥離装置20は、バッテリ25に充電されている電力で動作する。剥離システム1は、バッテリ25を備えなくてもよい。この場合、剥離装置20は、給電アンテナ23に給電される電力で動作する。
【0036】
端末装置10の表示部14は、例えば液晶ディスプレイ等の種々のディスプレイを含んでよい。端末装置10は、ユーザからの入力を受け付ける入力デバイスを含んでもよい。入力デバイスは、例えば、キーボード又は物理キーを含んでもよいし、タッチパネル若しくはタッチセンサ又はマウス等のポインティングデバイスを含んでもよい。本開示において、表示部14は、入力デバイスと一体化したタッチパネルであるとする。
【0037】
剥離装置20のメモリ24は、剥離制御部21が剥離部26を動作させる指示を通信アンテナ22で受信した場合に、指示が正しいかを認証するために用いる情報を格納する。メモリ24は、例えば半導体メモリ等で構成されてよい。メモリ24は、剥離制御部21と一体に構成されてもよい。
【0038】
剥離装置20のバッテリ25は、給電アンテナ23で受信した給電用の電波を剥離制御部21によって整流した電力を充電する。バッテリ25は、放電することによって電力を剥離部26に供給する。バッテリ25は、剥離制御部21又はメモリ24に電力を供給してもよい。
【0039】
剥離装置20の剥離部26は、接着部材53(
図3等参照)に作用することによって接着部材53を剥離するように動作可能に構成される。剥離部26は、剥離制御部21からの制御指示に応じて、接着部材53を剥離する動作を開始する。
【0040】
剥離部26は、接着部材53が溶剤によって溶解する材料である場合、接着部材53を溶解可能な溶剤を収容する容器と、溶剤を容器から放出して接着部材53にかけるためのアクチュエータとを備える。
【0041】
剥離部26は、接着部材53が加熱によって分解又は膨張する材料である場合、熱源を備えてよい。熱源は、ヒータを含んでよい。熱源は、化学反応によって発熱する材料と、発熱材料の化学反応を開始させるアクチュエータとを備えてよい。熱源は、接着部材53の分子を振動させる周波数のマイクロ波を射出するマイクロ波源を備えてよい。熱源は、これらの例に限られず種々の態様で構成されてよい。
【0042】
剥離部26は、接着部材53がUV光等の光の照射によって分解する材料である場合、光源を備えてよい。光源は、ランプ、LED(Light Emitting Diode)又はLD(Laser Diode)等を含んでよい。
【0043】
(剥離システム1の動作例)
図3に例示されるように、被接着部材51と被接着部材52とを接着部材53によって接着した部材において、端末装置10は、部材の外に配置される。一方で、剥離装置20は、部材の中に配置される。剥離装置20の数は、1個であってもよいし2個以上であってもよい。剥離システム1は、部材を解体の対象物とする場合、部材の外に配置された端末装置10から電波を送信し、部材の中に配置された剥離装置20をリモート操作して剥離動作を開始させて接着部材53を剥離することによって、被接着部材51及び52を含む対象物を容易に解体できる。1個の端末装置10がリモート操作できる剥離装置20の数は、1個であってもよいし2個以上であってもよい。2個以上の端末装置10のそれぞれがリモート操作できる剥離装置20が部材の中に配置されてもよい。端末装置10と剥離装置20との組み合わせは、通信用の電波の周波数によって特定されてよい。
【0044】
剥離装置20は、部材の中において接着部材53に直接触れるように配置されてよい。剥離装置20は、接着部材53に囲まれる位置に配置されてよい。剥離装置20は、被接着部材51又は52と接着部材53との間に配置されてよい。剥離装置20の配置間隔は、接着部材53が効率的に剥離されるように適宜決定されてよい。剥離装置20が溶剤によって接着部材53を剥離する場合、剥離部26が放出する溶剤の量に応じて剥離装置20の配置間隔が決定されてよい。剥離装置20が加熱によって接着部材53を剥離する場合、剥離部26が発生させる熱量に応じて剥離装置20の配置間隔が決定されてよい。剥離装置20が光によって接着部材53を剥離する場合、剥離部26が射出する光量に応じて剥離装置20の配置間隔が決定されてよい。
【0045】
剥離装置20は、部材の中において接着部材53に直接触れないように配置されてもよい。剥離装置20が接着部材53に直接触れないように配置される場合において、剥離部26が溶剤を備える場合、溶剤が剥離部26から接着部材53に到達する通路が設けられてよい。剥離部26が熱源を備える場合、熱源と接着部材53との間に熱伝導率が高い材料が配置されてもよい。剥離部26が光源を備える場合、光源と接着部材53との間に光の透過率が高い材料が配置されてもよい。
【0046】
剥離システム1において、端末装置10の端末制御部11は、表示部14のタッチパネルでユーザから操作指示の入力を受け付ける。操作指示は、バッテリ25の充電指示を含んでよい。操作指示は、剥離装置20を起動させる剥離指示を含んでよい。端末装置10は、操作指示として剥離指示の入力を受け付けるとともに、剥離装置20を起動させる際に必要な、又は、剥離部26を起動可能にするために必要な認証情報の入力を受け付けてもよい。
【0047】
端末制御部11は、操作指示としてバッテリ25の充電指示の入力を受け付けた場合、給電アンテナ13から給電用の電波を送信させる。剥離装置20の剥離制御部21は、給電用の電波を給電アンテナ23で受信して整流し、バッテリ25に充電する。
【0048】
端末制御部11は、操作指示として剥離指示の入力を受け付けた場合、剥離指示に対応する通信用の電波を通信アンテナ12から送信する。剥離制御部21は、剥離指示に対応する通信用の電波を通信アンテナ22で受信して剥離指示を取得する。剥離制御部21は、認証無しで剥離部26を起動できる場合、剥離指示に応じて剥離部26を起動し、剥離部26に剥離動作を開始させる。剥離部26は、バッテリ25から放電される電力、又は、給電アンテナ23で受電した電力の少なくとも一方を用いて動作してよい。
【0049】
端末制御部11は、認証情報の入力を受け付けた場合、認証情報に対応する電波を、剥離指示に対応する電波とともに通信アンテナ12から送信する。剥離制御部21は、認証情報に対応する電波を通信アンテナ22で受信して認証情報を取得する。剥離制御部21は、剥離部26を起動可能にするための認証が必要である場合、取得した認証情報を、メモリ24に格納されている情報と照合する。剥離制御部21は、取得した認証情報がメモリ24に格納されている認証情報と一致する場合に認証が成功したと判定し、剥離部26を起動可能にし、剥離指示に応じて剥離部26を起動し、剥離部26に剥離動作を開始させる。
【0050】
剥離制御部21は、端末制御部11から取得した認証情報を、認証情報そのものとしてメモリ24にあらかじめ格納されている情報と照合してよい。端末制御部11は、メモリ24にあらかじめ格納されている情報と同じ情報を記憶部にあらかじめ格納しておき、記憶部から読み出した情報を認証情報として剥離制御部21に送信してもよい。この場合、端末制御部11は、認証情報の入力を受け付けなくてもよい。
【0051】
<剥離方法の手順例>
剥離装置20の剥離制御部21は、
図4に示されるフローチャートの手順例を含む剥離方法を実行してよい。剥離方法は、剥離制御部21が備えるプロセッサに実行させる剥離プログラムとして実現されてもよい。剥離プログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてよい。
【0052】
剥離制御部21は、端末装置10の端末制御部11から通信アンテナ22を通じて剥離指示を受信する(ステップS1)。剥離制御部21は、剥離指示を実行する際に認証が必要であるかを判定する(ステップS2)。剥離制御部21は、認証が必要でない場合(ステップS2:NO)、ステップS4の手順に進む。
【0053】
剥離制御部21は、認証が必要である場合(ステップS2:YES)、認証を実行し、認証が成功したかを判定する(ステップS3)。剥離制御部21は、認証が成功しなかった場合(ステップS3:NO)、すなわち認証が失敗した場合、剥離指示を実行せずに
図4のフローチャートの実行を終了する。
【0054】
剥離制御部21は、認証が成功した場合(ステップS3:YES)、又は、認証が必要でない場合(ステップS2:NO)、剥離部26を起動可能にし、剥離指示を実行して剥離部26を起動する(ステップS4)。剥離制御部21は、ステップS4の手順の実行後、
図4のフローチャートの実行を終了する。
【0055】
(まとめ)
以上述べてきたように、本開示に係る剥離システム1によれば、解体の対象物の中に位置する剥離装置20が対象物の外の端末装置10でリモート操作される。このようにすることで、解体の対象物の中の接着部材53に対して溶剤、熱又は光等を作用させることができる。その結果、接着部材53が効率的に剥離され、解体の対象物が効率的に解体される。
【0056】
また、剥離装置20が認証に成功した場合に剥離部26を起動可能にすることによって、対象物が意図せず解体される事態を回避できる。例えば悪意のある第三者による不正な解体が防止される。その結果、解体に関するセキュリティが向上する。
【0057】
(他の実施形態)
以下、他の実施形態が説明される。
【0058】
<剥離装置20の分離>
図5に例示されるように、剥離装置20は、剥離装置親機201と、剥離装置子機202とに分離されてもよい。剥離装置親機201は、剥離制御部21と、通信アンテナ22と、給電アンテナ23と、メモリ24と、バッテリ25と、親機通信部27とを備える。剥離装置子機202は、剥離部26と、子機通信部28とを備える。剥離装置親機201は、単に親機とも称される。剥離装置子機202は、単に子機とも称される。1個の親機に接続される子機の数は、1個であってもよいし2個以上であってもよい。
【0059】
親機通信部27と子機通信部28とは、互いに有線で通信可能に接続される。親機通信部27と子機通信部28とは、無線で通信可能に接続されてもよい。
【0060】
図6に例示されるように剥離装置20が剥離装置親機201と剥離装置子機202とに分離される場合、被接着部材51と被接着部材52とを接着部材53によって接着した部材において、親機及び子機は、部材の中に配置される。子機は、
図3に例示される剥離装置20と同様に配置されてよい。子機は、部材の中において接着部材53に直接触れるように配置されてよい。子機は、接着部材53に囲まれる位置に配置されてよい。子機は、被接着部材51又は52と接着部材53との間に配置されてよい。子機は、部材の中において接着部材53に直接触れないように配置されてもよい。親機は、
図6に例示されるように、部材の中において接着部材53に直接触れないように配置されてよいが、接着部材53の中又は接着部材53に触れる位置に配置されてもよい。
【0061】
一方で、この場合においても、端末装置10は、部材の外に配置される。剥離システム1は、部材の外に配置された端末装置10から電波を送信し、部材の中に配置された親機をリモート操作し、親機から子機を制御して剥離部26に剥離動作を開始させて接着部材53を剥離することによって、被接着部材51及び52を容易に解体できる。
【0062】
以上述べてきたように、剥離装置20を親機と子機とに分離することによって、剥離装置20が種々の態様で配置され得る。その結果、剥離システム1の利便性が向上する。
【0063】
また、子機の数が増えた場合に、複数の子機に対して、親機の剥離制御部21、通信アンテナ22、給電アンテナ23、メモリ24及びバッテリ25が共通化される。その結果、これらの部品の使用点数が削減される。
【0064】
<剥離装置20の使い分け>
1台の端末装置10は、複数の剥離装置20と通信できる場合において、複数の剥離装置20の一部の装置の認証情報と他の装置の認証情報とを異ならせることによって、一部の装置だけを起動できるように構成されてもよい。言い換えれば、複数の剥離装置20が2つ以上のグループに分けられ、各グループに固有の認証情報が設定されてよい。このようにすることで、1台の端末装置10が複数の剥離装置20から一部の装置を選択して起動できる。その結果、剥離システム1を用いた解体作業の利便性が向上する。
【0065】
<解体の対象物>
解体の対象物は、対象物の中の剥離装置20を起動すること以外の手段で解体しにくいように構成されてよい。接着部材53が溶剤によって剥離される場合、対象物は、対象物の外から接着部材53に溶剤をかけることができないように構成されてよい。接着部材53が加熱によって剥離される場合、対象物は、対象物の外から加熱しても接着部材53の温度が上がらないように、例えば、接着部材53が断熱部材で囲まれるように構成されてよい。つまり、接着部材53が対象物の外からの剥離手段から保護されることによって、対象物を解体する手段が剥離装置20の起動に限定されてよい。対象物を解体する手段が剥離装置20の起動に限定されることによって、対象物が意図せず解体される事態を回避できる。例えば悪意のある第三者による不正な解体が防止される。その結果、解体に関するセキュリティが向上する。
【0066】
また、接着部材53が対象物の外からの溶剤又は熱から保護されることによって、対象物の環境温度の上昇、又は、対象物の環境に存在する溶剤によって意図しないダメージが対象物に生じることが防がれる。
【0067】
解体の対象物は、巨大な施設又は設備の少なくとも一部であってもよい。この場合、内部の接着部材53を外部から剥離することが難しい。本開示に係る剥離システム1を用いることによって、外部から接着部材53を剥離することが難しい対象物の解体作業の利便性が向上する。
【0068】
<認証情報の他の例>
認証情報として時刻に応じて変化するワンタイムパスワードが用いられてもよい。認証情報としてワンタイムパスワードが用いられる場合、剥離制御部21は、ワンタイムパスワードを生成するためのルール又はアルゴリズムに基づいて、時計又はタイマで確認できる時刻に応じたワンタイムパスワードを生成し、端末制御部11から取得した認証情報と照合する。剥離システム1は、ワンタイムパスワードをユーザに通知するデバイスを更に備えてもよい。端末装置10は、ワンタイムパスワードを生成し、認証情報として剥離制御部21に送信してもよい。この場合、端末制御部11は、認証情報としてワンタイムパスワードの入力を受け付けなくてもよい。
【0069】
以上、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1 剥離システム
10 端末装置(11:端末制御部、12:通信アンテナ、13:給電アンテナ、14:表示部)
20 剥離装置(21:剥離制御部、22:通信アンテナ、23:給電アンテナ、24:メモリ、25:バッテリ、26:剥離部)
201 剥離装置親機(27:親機通信部)
202 剥離装置子機(28:子機通信部)
51、52 被接着部材
53 接着部材