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2026-22246半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート
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  • -半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026022246
(43)【公開日】2026-02-12
(54)【発明の名称】半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート
(51)【国際特許分類】
   H10W 70/695 20260101AFI20260204BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20260204BHJP
   C08L 79/00 20060101ALI20260204BHJP
   C08G 59/18 20060101ALI20260204BHJP
   H01B 3/30 20060101ALI20260204BHJP
【FI】
H01L23/14 R
C08L63/00 A
C08L79/00
C08G59/18
H01B3/30 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024123739
(22)【出願日】2024-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川合 賢司
【テーマコード(参考)】
4J002
4J036
5G305
【Fターム(参考)】
4J002BH00W
4J002CD00X
4J002CD04X
4J002CD05X
4J002CM05Y
4J002GF00
4J002GG02
4J002GN00
4J002GQ00
4J036AA06
4J036AC01
4J036AD07
4J036AD08
4J036EA06
4J036FA12
4J036HA12
4J036JA08
5G305AA06
5G305AB10
5G305AB24
5G305AB34
5G305AB40
5G305CA15
5G305CD08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】優れたスミア除去性、優れた耐熱性(ガラス転移温度)、及び高温高湿環境に暴露された場合の高い密着強度(CZ銅ピール強度)の3つの特性を両立する硬化物(絶縁層)をもたらす半導体パッケージ基板の絶縁層形成用樹脂シートを提供する。
【解決手段】支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを有し、樹脂組成物層が、(1A)特定の部分構造を有するマレイミド化合物、(B)エポキシ樹脂、及び(C)ポリカルボジイミド化合物、を含有する、半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを有し、
樹脂組成物層が、
(1A)下記式(1)で表される部分構造と、前記式(1)で表される部分構造と化学結合される下記式(T-1)で表される部分構造と、前記式(1)で表される部分構造と化学結合される下記式(T-2)で表される部分構造を有するマレイミド化合物、
(B)エポキシ樹脂、及び
(C)ポリカルボジイミド化合物、
を含有する、半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【化1】
(式(1)中、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mはそれぞれ独立に0~4の整数を表し、nは繰り返し単位数を表す。2つの「*」はそれぞれ結合手を表し、一方の結合手が下記式(T-1)中のL13又はL14の位置で化学結合され、他方の結合手が下記式(T-2)中のL11又はL12の位置で化学結合されることを表す。)
【化2】
(上記式(T-1)及び(T-2)中、R11及びR15はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R12及びR14はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。L11、L12、L13及びL14はそれぞれ独立に、結合手を表す。ただし、L11又はL12の位置において式(1)で表される部分構造と化学結合され、かつL13又はL14の位置において式(1)で表される部分構造と化学結合される。m及びmはそれぞれ独立に0~2の整数を表す。)
【請求項2】
式(T-1)及び(T-2)中、式(1)で表される部分構造と化学結合しないL11、L12、L13及びL14が、水素原子又は下記式(4)で表される1価の基と結合している、請求項1に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【化3】
(式(4)中、Ra5及びRa6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R16はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mは0~5の整数を表す。*は結合手を表す。)
【請求項3】
支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを有し、
樹脂組成物層が、
(2A)下記式(2)で表される構造単位を有するマレイミド化合物、
(B)エポキシ樹脂、及び
(C)ポリカルボジイミド化合物、
を含有する、半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【化4】
(式(2)中、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5及びRa6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R11はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R12はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R16はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、m+m≦2を満たす。mはそれぞれ独立に0~4の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~5の整数を表し、nはそれぞれ独立に繰り返し単位数を表す。)
【請求項4】
(2A)成分が、下記式(3)で表される構造を有するマレイミド化合物である、請求項3に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【化5】
【化6】
(式(3)、式(4)及び式(5)中、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5及びRa6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R11はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R12はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R16はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~3の整数を表し、m+m≦2及びm+m≦3を満たす。mはそれぞれ独立に0~4の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~5の整数を表し、nはそれぞれ独立に繰り返し単位数を表し、nはそれぞれ独立に1以上の整数を表す。XM1は、水素原子又は式(4)で表される1価の基を表す。XM2は、水素原子又は式(5)で表される1価の基を表す。*は結合手を表す。)
【請求項5】
13がそれぞれ独立に、炭素原子数1~18のアルキル基である、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【請求項6】
樹脂組成物層中の(C)成分に対する(1A)成分の質量比[(1A)成分/(C)成分]が0.1~50である、請求項1又は2に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【請求項7】
樹脂組成物層中の(C)成分に対する(2A)成分の質量比[(2A)成分/(C)成分]が0.1~50である、請求項3又は4に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【請求項8】
樹脂組成物層が、さらに(D)硬化剤を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【請求項9】
樹脂組成物層中の(B)エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数に対する(D)硬化剤の活性基のモル数の比(硬化剤の活性基のモル数/エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数)が1以上である、請求項8に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【請求項10】
樹脂組成物層が、さらに(E)無機充填材を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【請求項11】
樹脂組成物層中の(E)成分の含有量が、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、80質量%以下である、請求項10に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【請求項12】
樹脂組成物層が、さらに(1A)成分以外のマレイミド化合物(以下、「(1F)その他のマレイミド化合物」という。)を含有する、請求項1又は2に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【請求項13】
樹脂組成物層が、さらに(2A)成分以外のマレイミド化合物(以下、「(2F)その他のマレイミド化合物」という。)を含有する、請求項3又は4に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【請求項14】
樹脂組成物層が、さらに(G)ラジカル重合性樹脂を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【請求項15】
樹脂組成物層が、さらに(H)有機充填材を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【請求項16】
樹脂組成物層が、さらに(I)硬化促進剤を含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【請求項17】
支持体が、熱可塑性樹脂フィルム又は金属箔である、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【請求項18】
請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物からなる絶縁層を備える半導体パッケージ基板。
【請求項19】
請求項18に記載の半導体パッケージ基板を含む、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートに関する。さらには、当該樹脂シートを用いて得られる半導体パッケージ基板及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂を含む樹脂組成物は、絶縁性などに優れる硬化物をもたらすことから、半導体パッケージ基板等の回路基板の絶縁層の材料として広く使われてきた。当該絶縁層は、例えば、樹脂組成物層を含む樹脂シートを用いて樹脂組成物層を半導体パッケージ基板等の回路基板に積層し、該樹脂組成物層を硬化させることにより形成することができる。
【0003】
他方、近年の通信の高速化に伴い、半導体パッケージ基板等の回路基板の絶縁層の材料には、高周波環境で作動させる際の伝送損失を低減すべく、誘電特性(低誘電正接)に優れることが必要とされている。誘電特性に優れる絶縁層の材料としては、エポキシ樹脂の硬化反応において2級水酸基のような極性基が生じることを低減・抑制し得る活性エステル樹脂などの特定の硬化剤を採用したものが報告されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-157027号公報
【特許文献2】特開2020-094213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のように低誘電正接の硬化物を得るために、活性エステル樹脂等を硬化剤として用いると、ビアホール形成時にスミア残渣が残りやすいという課題が生じる場合がある。また、絶縁層と導体層を交互に積み重ねるビルドアップ方式により半導体パッケージ基板等の回路基板を製造する場合、導体層と絶縁層が高い密着強度(CZ銅ピール強度)を示すことも求められる。特に、製造直後には高い密着強度を示す場合であっても、回路基板が高温高湿環境に暴露されると、密着強度が低下する場合があることを本発明らは見出した。さらに、高周波環境での作動時は電子部品の発熱量が増大する傾向にあり、高速通信用途に使用される絶縁材料には耐熱性のさらなる向上も求められている。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、優れたスミア除去性及び優れた耐熱性(ガラス転移温度)を示し、かつ高温高湿環境に暴露された場合であっても高い密着強度(CZ銅ピール強度)を示し、当該3つの特性を両立する硬化物(絶縁層)をもたらす半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意検討した結果、特定構造を有するマレイミド化合物、エポキシ樹脂、及びポリカルボジイミド化合物を含有する樹脂組成物層を有する樹脂シートによれば上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] 支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを有し、
樹脂組成物層が、
(1A)下記式(1)で表される部分構造と、前記式(1)で表される部分構造と化学結合される下記式(T-1)で表される部分構造と、前記式(1)で表される部分構造と化学結合される下記式(T-2)で表される部分構造を有するマレイミド化合物、
(B)エポキシ樹脂、及び
(C)ポリカルボジイミド化合物、
を含有する、半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【化1】
(式(1)中、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mはそれぞれ独立に0~4の整数を表し、nは繰り返し単位数を表す。2つの「*」はそれぞれ結合手を表し、一方の結合手が下記式(T-1)中のL13又はL14の位置で化学結合され、他方の結合手が下記式(T-2)中のL11又はL12の位置で化学結合されることを表す。)
【化2】
(上記式(T-1)及び(T-2)中、R11及びR15はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R12及びR14はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。L11、L12、L13及びL14はそれぞれ独立に、結合手を表す。ただし、L11又はL12の位置において式(1)で表される部分構造と化学結合され、かつL13又はL14の位置において式(1)で表される部分構造と化学結合される。m及びmはそれぞれ独立に0~2の整数を表す。)
[2] 式(T-1)及び(T-2)中、式(1)で表される部分構造と化学結合しないL11、L12、L13及びL14が、水素原子又は下記式(4)で表される1価の基と結合している、[1]に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【化3】
(式(4)中、Ra5及びRa6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R16はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mは0~5の整数を表す。*は結合手を表す。)
[3] 支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを有し、
樹脂組成物層が、
(2A)下記式(2)で表される構造単位を有するマレイミド化合物、
(B)エポキシ樹脂、及び
(C)ポリカルボジイミド化合物、
を含有する、半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【化4】
(式(2)中、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5及びRa6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R11はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R12はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R16はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、m+m≦2を満たす。mはそれぞれ独立に0~4の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~5の整数を表し、nはそれぞれ独立に繰り返し単位数を表す。)
[4] (2A)成分が、下記式(3)で表される構造を有するマレイミド化合物である、[3]に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
【化5】
【化6】
(式(3)、式(4)及び式(5)中、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5及びRa6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R11はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R12はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R16はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~3の整数を表し、m+m≦2及びm+m≦3を満たす。mはそれぞれ独立に0~4の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~5の整数を表し、nはそれぞれ独立に繰り返し単位数を表し、nはそれぞれ独立に1以上の整数を表す。XM1は、水素原子又は式(4)で表される1価の基を表す。XM2は、水素原子又は式(5)で表される1価の基を表す。*は結合手を表す。)
[5] R13がそれぞれ独立に、炭素原子数1~18のアルキル基である、[1]~[4]のいずれかに記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
[6] 樹脂組成物層中の(C)成分に対する(1A)成分の質量比[(1A)成分/(C)成分]が0.1~50である、[1]、[2]、[5]のいずれかに記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
[7] 樹脂組成物層中の(C)成分に対する(2A)成分の質量比[(2A)成分/(C)成分]が0.1~50である、[3]~[5]のいずれかに記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
[8] 樹脂組成物層が、さらに(D)硬化剤を含有する、[1]~[7]のいずれかに記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
[9] 樹脂組成物層中の(B)エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数に対する(D)硬化剤の活性基のモル数の比(硬化剤の活性基のモル数/エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数)が1以上である、[8]に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
[10] 樹脂組成物層が、さらに(E)無機充填材を含有する、[1]~[9]のいずれかに記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
[11] 樹脂組成物層中の(E)成分の含有量が、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、80質量%以下である、[10]に記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
[12] 樹脂組成物層が、さらに(1A)成分以外のマレイミド化合物(以下、「(1F)その他のマレイミド化合物」という。)を含有する、[1]、[2]、[5]、[6]、[8]~[11]のいずれかに記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
[13] 樹脂組成物層が、さらに(2A)成分以外のマレイミド化合物(以下、「(2F)その他のマレイミド化合物」という。)を含有する、[3]~[5]、[7]~[11]のいずれかに記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
[14] 樹脂組成物層が、さらに(G)ラジカル重合性樹脂を含有する、[1]~[13]のいずれかに記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
[15] 樹脂組成物層が、さらに(H)有機充填材を含有する、[1]~[14]のいずれかに記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
[16] 樹脂組成物層が、さらに(I)硬化促進剤を含有する、[1]~[15]のいずれかに記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
[17] 支持体が、熱可塑性樹脂フィルム又は金属箔である、[1]~[16]のいずれかに記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート。
[18] [1]~[17]のいずれかに記載の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物からなる絶縁層を備える半導体パッケージ基板。
[19] [18]に記載の半導体パッケージ基板を含む、半導体装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れたスミア除去性及び優れた耐熱性(ガラス転移温度)を示し、かつ高温高湿環境に暴露された場合であっても高い密着強度(CZ銅ピール強度)を示し、当該3つの特性を両立する硬化物(絶縁層)をもたらす半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート、当該樹脂シートを用いて得られる半導体パッケージ基板及び半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、リフロー試験を実施する際に用いる内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板を模式的に表す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態及び例示物を示して、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に挙げる実施形態及び例示物に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施し得る。
【0012】
[用語の説明]
以下の説明において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、別に断らない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
【0013】
以下の説明において、「誘電率」とは、別に断らない限り「比誘電率」を表す。
【0014】
以下の説明において、「不揮発成分」とは、樹脂組成物層を構成する成分のうち後述する有機溶剤以外の成分をいう。また、「樹脂成分」とは、樹脂組成物層を構成する不揮発成分のうち、後述する無機充填材を除いた成分をいう。
【0015】
以下の説明において、化合物又は基についていう「置換基を有していてもよい」という用語は、別に断らない限り、該化合物又は基の水素原子が置換基で置換されていない場合、及び、該化合物又は基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されている場合の双方を意味する。また、該化合物又は基の構成原子数、炭素原子数を記載する場合、特に断らない限り、当該構成原子数、炭素原子数に置換基の構成原子数、炭素原子数は含まれない。
【0016】
以下の説明において、「芳香環」とは、環上のπ電子系に含まれる電子数が4r+2個(rは自然数)であるヒュッケル則に従う環を意味し、単環式芳香環、及び2個以上の単環式芳香環が縮合した縮合芳香環を含む。芳香環としては、特に記載のない限り、単環式芳香環が好ましい。芳香環は、環構成原子として炭素原子のみを有する芳香族炭素環、又は環構成原子として、炭素原子に加えて、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する芳香族複素環であり得る。芳香環としては、特に記載のない限り、芳香族炭素環が好ましい。芳香環の炭素原子数は、特に記載のない限り、好ましくは3以上、より好ましくは4以上又は5以上、さらに好ましくは6以上であり、その上限は、好ましくは24以下、より好ましくは18以下又は14以下、さらに好ましくは10以下である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。
【0017】
単環式芳香環としては、例えば、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、フラザン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環等が挙げられる。2個以上の単環式芳香環が縮合した縮合芳香環としては、例えば、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾイミダゾール環、インダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、アクリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、フタラジン環、ピリドチアゾール環、ベンゾトリアゾール環、イミダゾピリジン環、トリアゾピリジン環、プリン環等が挙げられる。特に記載のない限り、芳香環としてはベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
【0018】
以下の説明において「アルキル基」は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、(n-)ヘプチル基、(n-)オクチル基、(n-)ノニル基、(n-)デシル基、(n-)ウンデシル基、(n-)ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。
【0019】
以下の説明において、(1A)成分及び(2A)成分をまとめて「(A)成分」ということがある。また、(1F)成分及び(2F)成分をまとめて「(F)成分」ということがある。第1実施形態に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート及び第2実施形態に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートをまとめて「半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート」ということがある。
【0020】
[第1実施形態に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート]
本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを有し、樹脂組成物層が、(1A)第1の特定構造を有するマレイミド化合物、(B)エポキシ樹脂、及び(C)ポリカルボジイミド化合物を含有する。第1の特定構造については後述する。このような樹脂シートによれば、優れたスミア除去性及び優れた耐熱性(ガラス転移温度)を示し、かつ高温高湿環境に暴露された場合であっても高い密着強度(CZ銅ピール強度)を示し、当該3つの特性を両立する硬化物(絶縁層)をもたらすことができる。本発明における「密着強度」とは、本発明の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物からなる絶縁層と導体層の密着強度を意味する。本発明者らは、導体層が銅である場合における密着強度が特に優れていることを確認している。絶縁層と銅の密着強度としては、「CZ銅ピール強度」と「メッキピール強度」が挙げられる。「CZ銅ピール強度」とは、絶縁層と導体層(銅)をラミネートにより接合した際の絶縁層と導体層(銅)の密着性強度を意味する。「メッキピール強度」とは、絶縁層上にメッキにより導体層(銅)を形成した場合の絶縁層と導体層(銅)の密着強度を意味する。本発明によれば、CZ銅ピール強度及びメッキピール強度の両方が優れた硬化物(絶縁層)をもたらすことができ、特にCZ銅ピール強度が優れた硬化物(絶縁層)をもたらすことができる。本発明によりもたらされる硬化物(絶縁層)はまた、優れた誘電特性(低誘電率、低誘電正接)及び優れたリフロー耐性を示し、線熱膨張係数(CTE)が低く、反りが抑制され、粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さRaが低いことも、本発明者らは確認している。
【0021】
本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートは、半導体パッケージ基板の絶縁層用途として有用である。半導体パッケージ基板としては、例えばFC-BGA、FC-CSP、MIS-BGAパッケージ、ETS-BGAパッケージ、Fan-out型WLP(Wafer Level Package)、Fan-in型WLP、Fan-out型PLP(Panel Level Package)、Fan-in型PLPが挙げられる。以下、「半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート」を単に「樹脂シート」ということがある。
【0022】
<支持体>
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートは、支持体を有し、支持体は樹脂組成物層の一方の面と接合している。支持体としては、例えば、熱可塑性樹脂フィルム、金属箔、離型紙等が挙げられ、熱可塑性樹脂フィルム又は金属箔が好ましく、熱可塑性樹脂フィルムがより好ましい。
【0023】
支持体として熱可塑性樹脂フィルムを使用する場合、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下、「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート(以下、「PC」と略称することがある。);ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂;環状ポリオレフィン;トリアセチルセルロース(TAC);ポリエーテルサルファイド(PES);ポリエーテルケトン;ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートがより好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0024】
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
【0025】
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
【0026】
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型剤の市販品としては、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」等が挙げられる。また、離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤やポリオレフィン樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、東洋紡社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
【0027】
支持体の厚みは、特に限定されないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上であり、好ましくは75μm以下、より好ましくは60μm以下、更に好ましくは50μm以下である。離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
【0028】
<樹脂組成物層>
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートは樹脂組成物層を有し、支持体上に設けられる。絶縁層は、樹脂組成物層を熱硬化させることで形成できる。通常、絶縁層は樹脂組成物層の硬化物を含み、好ましくは樹脂組成物層の硬化物のみを含む。前述の通り樹脂組成物層は、(1A)第1の特定構造を有するマレイミド化合物、(B)エポキシ樹脂、及び(C)ポリカルボジイミド化合物を含有する。
【0029】
樹脂組成物層の厚さは、半導体パッケージ基板の薄型化、及び当該樹脂組成物層の硬化物が薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは55μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上、10μm以上等とし得る。
【0030】
樹脂組成物層は、(1A)~(C)成分に組み合わせて、さらに任意の成分を含有してもよい。任意の成分としては、例えば、(D)硬化剤、(E)無機充填材、(1F)その他のマレイミド化合物、(G)ラジカル重合性樹脂、(H)有機充填材、(I)硬化促進剤、(J)有機溶剤、(K)その他の添加剤等が挙げられる。以下、第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層に含まれる各成分について詳細に説明する。
【0031】
<(1A)第1の特定構造を有するマレイミド化合物>
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、(1A)下記式(1)で表される部分構造と、前記式(1)で表される部分構造と化学結合される下記式(T-1)で表される部分構造と、前記式(1)で表される部分構造と化学結合される下記式(T-2)で表される部分構造を有するマレイミド化合物(第1の特定構造を有するマレイミド化合物)を含有する。(1A)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【化7】
(式(1)中、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mはそれぞれ独立に0~4の整数を表し、nは繰り返し単位数を表す。2つの「*」はそれぞれ結合手を表し、一方の結合手が下記式(T-1)中のL13又はL14の位置で化学結合され、他方の結合手が下記式(T-2)中のL11又はL12の位置で化学結合されることを表す。)
【化8】
(上記式(T-1)及び(T-2)中、R11及びR15はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R12及びR14はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。L11、L12、L13及びL14はそれぞれ独立に、結合手を表す。ただし、L11又はL12の位置において式(1)で表される部分構造と化学結合され、かつL13又はL14の位置において式(1)で表される部分構造と化学結合される。m及びmはそれぞれ独立に0~2の整数を表す。)
【0032】
式(1)中、2つの*はそれぞれ結合手を表す。そして、2つの結合手のうち一方の結合手は、上記式(T-1)中のL13又はL14の位置で化学結合される。また、他方の結合手は、上記式(T-2)中のL11又はL12の位置で化学結合される。したがって、(1A)成分は、式(T-1)で表される部分構造と式(T-2)で表される部分構造とが式(1)で表される部分構造により連結された構造単位を有し、式(T-1)及び式(T-2)中のベンゼン環上のマレイミド基に対するパラ位又は1つのオルト位において、式(1)で表される部分構造が化学結合されている。
【0033】
式(1)中、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素基等が挙げられ、アルキル基であることが好ましい。炭化水素基の炭素原子数の上限は、12以下又は10以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下、4以下、3以下又は2以下がさらに好ましい。一実施形態において、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4における炭化水素基の炭素原子数は1であることが特に好ましい。
【0034】
a1、Ra2、Ra3及びRa4におけるアルキル基は、鎖状(直鎖又は分岐)アルキル基又は環状アルキル基である。アルキル基の炭素原子数は1~18であり、1~12又は1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~5、1~4、1~3又は1~2がさらに好ましく、1が特に好ましい。鎖状アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基又はt-ブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。また、環状アルキル基としては例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられ、シクロヘキシル基が好ましい。
【0035】
a1、Ra2、Ra3及びRa4におけるアルケニル基は、少なくとも1個の非芳香族性の炭素-炭素二重結合を有する直鎖、分枝鎖及び/又は環状の1価の脂肪族不飽和炭化水素基である。アルケニル基の炭素原子数は2~18であり、2~12又は2~10が好ましく、2~6がより好ましく、2~5、2~4又は2~3がさらに好ましく、2が特に好ましい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基)、ブテニル基(1-ブテニル基、クロチル基、メタリル基、イソクロチル基等)、ペンテニル基(1-ペンテニル基等)、ヘキセニル基(1-ヘキセニル基等)、ヘプテニル基(1-ヘプテニル基等)、オクテニル基(1-オクテニル基等)、シクロペンテニル基(2-シクロペンテニル基等)、シクロヘキセニル基(3-シクロヘキセニル基)等が挙げられる。
【0036】
a1、Ra2、Ra3及びRa4における芳香族炭化水素基は、芳香族炭素環から芳香環上の水素原子を1個除いた基である。芳香族炭化水素基の炭素原子数は6~18であり、6~12又は6~10が好ましく、6がより好ましい。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
【0037】
一実施形態において、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4は、水素原子であることが好ましい。
【0038】
別の一実施形態において、Ra1及びRa2の一方が水素原子で他方が炭素原子数1~18の炭化水素基であることが好ましく、Ra1及びRa2の一方が水素原子で他方が炭素原子数1~18のアルキル基であることがより好ましく、Ra1及びRa2の一方が水素原子で他方が炭素原子数1~6のアルキル基であることがさらに好ましく、Ra1及びRa2の一方が水素原子で他方がメチル基であることが特に好ましい。同様に、Ra3及びRa4の一方が水素原子で他方が炭素原子数1~18の炭化水素基であることが好ましく、Ra3及びRa4の一方が水素原子で他方が炭素原子数1~18のアルキル基であることがより好ましく、Ra3及びRa4の一方が水素原子で他方が炭素原子数1~6のアルキル基であることがさらに好ましく、Ra3及びRa4の一方が水素原子で他方がメチル基であることが特に好ましい。
【0039】
式(1)中、R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。m又はnが2以上の整数である場合、複数存在するR13は互いに同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素基等が挙げられ、アルキル基であることが好ましい。すなわち、R13は、炭素原子数1~18のアルキル基であることが好ましい。炭化水素基の炭素原子数の上限は、12以下又は10以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下、4以下、3以下又は2以下がさらに好ましい。一実施形態において、R13における炭化水素基の炭素原子数は1であることが特に好ましい。
【0040】
13におけるアルキル基は、鎖状(直鎖又は分岐)アルキル基又は環状アルキル基であり、鎖状のアルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基の炭素原子数は1~18であり、1~12又は1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~5、1~4、1~3又は1~2がさらに好ましく、1が特に好ましい。鎖状アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基又はt-ブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。また、環状アルキル基としては例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられ、シクロヘキシル基が好ましい。
【0041】
13におけるアルケニル基は、少なくとも1個の非芳香族性の炭素-炭素二重結合を有する直鎖、分枝鎖及び/又は環状の1価の脂肪族不飽和炭化水素基である。アルケニル基の炭素原子数は2~18であり、2~12又は2~10が好ましく、2~6がより好ましく、2~5、2~4又は2~3がさらに好ましく、2が特に好ましい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基)、ブテニル基(1-ブテニル基、クロチル基、メタリル基、イソクロチル基等)、ペンテニル基(1-ペンテニル基等)、ヘキセニル基(1-ヘキセニル基等)、ヘプテニル基(1-ヘプテニル基等)、オクテニル基(1-オクテニル基等)、シクロペンテニル基(2-シクロペンテニル基等)、シクロヘキセニル基(3-シクロヘキセニル基)等が挙げられる。
【0042】
13における芳香族炭化水素基は、芳香族炭素環から芳香環上の水素原子を1個除いた基である。芳香族炭化水素基の炭素原子数は6~18であり、6~12又は6~10が好ましく、6がより好ましい。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
【0043】
なお、式(1)中のR13が結合したベンゼン環は、後述するベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)のベンゼン環でありうる。
【0044】
式(1)中、mはそれぞれ独立に0~4の整数を表す。nが2以上の整数である場合、複数存在するmは互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに同一であることが好ましい。一実施形態において、mの下限は1以上が好ましい。mの上限は3以下が好ましく、2以下がより好ましい。また、mは2であることがさらに好ましい。別の一実施形態において、mは0であってもよい。
【0045】
式(1)中、nは繰り返し単位数を表す。nの上限は、樹脂シートの製造に用いる樹脂組成物の粘度を調整する観点から、好ましくは50以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは15以下である。nの下限は、好ましくは1以上である。また、一実施形態において、nは1であってもよい。当該繰り返し単位数nは、仕込み比、NMR等から算出することができる。
【0046】
式(T-1)及び(T-2)中、R11及びR15はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mが2である場合、2個のR11は互いに同一であっても、異なっていてもよく、互いに同一であることが好ましい。mが2である場合、2個のR15は互いに同一であっても、異なっていてもよく、互いに同一であることが好ましい。R11及びR15の好ましい態様は、R13と同じである。
【0047】
式(T-1)及び(T-2)中、m及びmはそれぞれ独立に0~2の整数を表す。m及びmは、互いに同一であっても、異なっていてもよく、互いに同一であることが好ましい。m及びmは、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0048】
式(T-1)及び(T-2)中、R12及びR14はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R12及びR14は、互いに同一であっても、異なっていてもよく、互いに同一であることが好ましい。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素基等が挙げられ、アルキル基であることが好ましい。炭化水素基の炭素原子数の上限は、12以下又は10以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下、4以下又は3以下がさらに好ましい。炭化水素基の炭素原子数の下限が、2以上が好ましい。一実施形態において、R12及びR14における炭化水素基の炭素原子数は2であることが特に好ましい。
【0049】
12及びR14におけるアルキル基は、鎖状(直鎖又は分岐)アルキル基又は環状アルキル基であり、鎖状のアルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基の炭素原子数の上限は18以下であり、12以下又は10以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下、4以下、又は3以下がさらに好ましい。アルキル基の炭素原子数の下限は2以上が好ましい。一実施形態において、R12及びR14におけるアルキル基の炭素原子数は2であることが特に好ましい。鎖状アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基又はt-ブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、エチル基がさらに好ましい。また、環状アルキル基としては例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられ、シクロヘキシル基が好ましい。
【0050】
12及びR14におけるアルケニル基は、少なくとも1個の非芳香族性の炭素-炭素二重結合を有する直鎖、分枝鎖及び/又は環状の1価の脂肪族不飽和炭化水素基である。アルケニル基の炭素原子数は2~18であり、2~12又は2~10が好ましく、2~6がより好ましく、2~5、2~4又は2~3がさらに好ましく、2が特に好ましい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基)、ブテニル基(1-ブテニル基、クロチル基、メタリル基、イソクロチル基等)、ペンテニル基(1-ペンテニル基等)、ヘキセニル基(1-ヘキセニル基等)、ヘプテニル基(1-ヘプテニル基等)、オクテニル基(1-オクテニル基等)、シクロペンテニル基(2-シクロペンテニル基等)、シクロヘキセニル基(3-シクロヘキセニル基)等が挙げられる。
【0051】
12及びR14における芳香族炭化水素基は、芳香族炭素環から芳香環上の水素原子を1個除いた基である。芳香族炭化水素基の炭素原子数は6~18であり、6~12又は6~10が好ましく、6がより好ましい。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
【0052】
式(T-1)中、L13及びL14はそれぞれ独立に、結合手を表す。但し、L13又はL14の少なくとも一方の位置において、式(1)で表される部分構造と式(T-1)で表される部分構造とは化学結合される。また、L13及びL14の2か所それぞれに対して式(1)で表される部分構造が化学結合されてもよい。
【0053】
式(T-2)中、L11及びL12はそれぞれ独立に、結合手を表す。但し、L11又はL12の少なくとも一方の位置において、式(1)で表される部分構造と式(T-2)で表される部分構造とは化学結合される。また、L11及びL12の2か所それぞれに対して式(1)で表される部分構造が化学結合されてもよい。
【0054】
式(T-1)及び式(T-2)のベンゼン環のマレイミド基に対するオルト位(6位)において、式(1)で表される部分構造との結合部位を許容することにより、有機溶剤に対してより高い溶解性を有し、かつ硬化時においてより優れた低誘電正接及び高耐熱性を示す。なお、式(T-1)中のR14が結合したベンゼン環、及び式(T-2)中のR12が結合したベンゼン環は、後述する芳香族アミン化合物(a)のベンゼン環でありうる。
【0055】
式(T-1)及び(T-2)中、式(1)で表される部分構造と化学結合しないL11、L12、L13及びL14は、水素原子又は下記式(4)で表される1価の基と結合していることが好ましく、水素原子と結合していることがより好ましい。
【化9】
(式(4)中、Ra5及びRa6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R16はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mは0~5の整数を表す。*は結合手を表す。)
【0056】
式(4)中、Ra5及びRa6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、式(1)中のRa1、Ra2、Ra3及びRa4と同じである。すなわち、一実施形態において、Ra5及びRa6は、水素原子であることが好ましい。別の一実施形態において、Ra5及びRa6の一方が水素原子で他方が炭素原子数1~18の炭化水素基であることが好ましく、Ra5及びRa6の一方が水素原子で他方が炭素原子数1~18のアルキル基であることがより好ましく、Ra5及びRa6の一方が水素原子で他方が炭素原子数1~6のアルキル基であることがさらに好ましく、Ra5及びRa6の一方が水素原子で他方がメチル基であることが特に好ましい。
【0057】
式(4)中、R16はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mが2以上の整数である場合、複数存在するR16は互いに同一であっても異なっていてもよく、互いに同一であることが好ましい。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素基等が挙げられ、アルキル基であることが好ましい。炭化水素基の炭素原子数の上限は、12以下又は10以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下、4以下又は3以下がさらに好ましい。炭化水素基の炭素原子数の下限が、2以上が好ましい。一実施形態において、R12及びR14における炭化水素基の炭素原子数は2であることが特に好ましい。
【0058】
16におけるアルキル基は、鎖状(直鎖又は分岐)アルキル基又は環状アルキル基であり、鎖状のアルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基の炭素原子数の上限は18以下であり、12以下又は10以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下、4以下、又は3以下がさらに好ましい。アルキル基の炭素原子数の下限は2以上が好ましい。一実施形態において、R16におけるアルキル基の炭素原子数は2であることが特に好ましい。鎖状アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられ、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基又はt-ブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、エチル基がさらに好ましい。また、環状アルキル基としては例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられ、シクロヘキシル基が好ましい。
【0059】
16におけるアルケニル基は、少なくとも1個の非芳香族性の炭素-炭素二重結合を有する直鎖、分枝鎖及び/又は環状の1価の脂肪族不飽和炭化水素基である。アルケニル基の炭素原子数は2~18であり、2~12又は2~10が好ましく、2~6がより好ましく、2~5、2~4又は2~3がさらに好ましく、2が特に好ましい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基)、ブテニル基(1-ブテニル基、クロチル基、メタリル基、イソクロチル基等)、ペンテニル基(1-ペンテニル基等)、ヘキセニル基(1-ヘキセニル基等)、ヘプテニル基(1-ヘプテニル基等)、オクテニル基(1-オクテニル基等)、シクロペンテニル基(2-シクロペンテニル基等)、シクロヘキセニル基(3-シクロヘキセニル基)等が挙げられる。
【0060】
16における芳香族炭化水素基は、芳香族炭素環から芳香環上の水素原子を1個除いた基である。芳香族炭化水素基の炭素原子数は6~18であり、6~12又は6~10が好ましく、6がより好ましい。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、フェニル基又はナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
【0061】
式(4)中、mは0~5の整数を表す。mの上限は、4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2以下がさらに好ましく、1以下が特に好ましい。一実施形態において、mは0であってもよく、1であってもよい。
【0062】
(1A)成分において、(1A)成分の総量(100質量%)に対して、式(T-1)で表される部分構造を1~99質量%含有することが好ましく、3~97質量%含有することがより好ましく、5~95質量%含有することがさらに好ましい。
【0063】
(1A)成分において、(1A)成分の総量(100質量%)に対して、式(T-2)で表される部分構造を1~99質量%含有することが好ましく、3~97質量%含有することがより好ましく、5~95質量%含有することがさらに好ましい。
【0064】
(1A)成分の具体例としては、例えば、下記式(3-1)~(3-4)で表されるマレイミド化合物等が挙げられる。
【化10】
【0065】
(1A)成分の数平均分子量(Mn)は、200~1,500の範囲であることが好ましく、300~800の範囲であることがより好ましい。また、(1A)成分の重量平均分子量(Mw)は280~2,000の範囲であることが好ましく、330~1,200の範囲であることがより好ましい。
【0066】
(1A)成分は、溶剤溶解性、耐熱性及び低誘電正接に優れる点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定から算出される分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))が1.01~4.0の範囲であることが好ましく、より好ましくは、1.05~2.0であり、更に好ましくは、1.10~1.8である。なお、GPC測定から得られるGPCチャートより、分子量分布が広範囲にわたり、高分子量成分が多い場合には、可撓性に寄与する高分子量成分の割合が多くなるため、従来のマレイミドを使用した硬化物と比較して、脆性が抑えられ、可撓性や柔軟性に優れた硬化物を得ることができ、好ましい態様となる。
【0067】
なお、(1A)成分の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)を用いて測定することができる。
【0068】
樹脂組成物層中の(1A)成分の含有量は、樹脂組成物層中の樹脂成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上又は2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上又は4質量%以上、特に好ましくは5質量%以上又は6質量%以上である。また、一実施形態において、7質量%以上、8質量%以上等とし得る。上限は、好ましくは50質量%以下又は45質量%以下、より好ましくは40質量%以下又は35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下又は25質量%以下、特に好ましくは20質量%以下、15質量%以下又は14質量%以下である。また、一実施形態において、13質量%以下、12質量%以下、11質量%以下、10質量%以下等とし得る。
【0069】
樹脂組成物層中の(1A)成分の含有量は、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01質量%以上又は0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上又は0.5質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上又は1質量%以上、特に好ましくは1.2質量%以上又は1.5質量%以上である。また、一実施形態において、1.8質量%以上、2質量%以上、2.2質量%以上、2.5質量%以上等とし得る。上限は、好ましくは20質量%以下又は18質量%以下、より好ましくは15質量%以下又は12質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下又は8質量%以下、特に好ましくは5質量%以下又は4質量%以下である。また、一実施形態において、3.8質量%以下、3.5質量%以下、3.2質量%以下、3質量%以下等とし得る。
【0070】
<(1A)第1の特定構造を有するマレイミド化合物に係る第1の製造方法>
(1A)成分の製造方法に制限はない。一実施形態において、(1A)成分は、例えば、下記式(a1)で表される芳香族アミン化合物(a)(以下、単に「芳香族アミン化合物(a)」とも称する。)と、ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)と、無水マレイン酸とを、反応原料(1)として製造することができる。
【化11】
(式(a1)中、Ra7及びRa8はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。)
【0071】
また、(1A)成分は、芳香族アミン化合物(a)同士がベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)由来の構造単位を介して連結された中間体アミン化合物(c)と、無水マレイン酸とを反応原料(2)とすることが好ましい。さらには、前記中間体アミン化合物(c)は、芳香族アミン化合物(a)と、ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)と、を反応原料(3)とする化合物であることが好ましい。
【0072】
換言すると、本実施形態における中間体アミン化合物(c)は、アミノ基が結合された芳香環を有する芳香族アミン化合物(a)の構造単位と、ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)由来の構造単位とが化学結合により連結された構造単位を有することが好ましい。そして、(1A)成分は、前記中間体アミン化合物(c)の芳香環に結合したアミノ基がN-置換マレイミド環に置換された構造を有する。なお、本明細書における「アミノ基」は、-NHの水素原子がさらに炭素原子数1~6のアルキル基で置換された置換アミノ基も含む。
【0073】
したがって、「マレイミド化合物」である(1A)成分と、当該「マレイミド化合物」の前駆体である「中間体アミン化合物(c)」とは、芳香環に結合したアミノ基がN-置換マレイミド環に置き換わっている点が異なる重合体化合物である。なお、上記芳香族アミン化合物(a)の構造単位とは、芳香族アミン化合物(a)の芳香環から少なくとも1つの水素原子を取り除いた基をいう。例えば、芳香族アミン化合物(a)が後述の式(a1)で表される場合、式(a1)のベンゼン環から少なくとも1つの水素原子を取り除いた基を芳香族アミン化合物(a)の構造単位という。また、上記ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)由来の構造単位とは、ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)中の末端基以外の-(CHO)-が、-(CH)-に置換され、かつベンゼン環に直接結合された-(CHO)-Rが全て-(CH)-に置換された基をいう。なお、前記Rは、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。
【0074】
本実施形態において、特定位置に置換基を有する芳香環構造を有する芳香族アミノ化合物(a)を反応原料としていることから、後述のベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)との反応部位を制御しやすくなるため、均質な化学構造、かつ、鎖状マレイミド化合物が得られやすくなり、その結果、溶剤への優れた溶解性や硬化時における高耐熱性及び低誘電正接性を示すマレイミド化合物((1A)成分)を提供しうる。
【0075】
以下、マレイミド化合物((1A)成分)の反応原料(1)の構成成分である、式(a1)で表される芳香族アミン化合物(a)と、ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)と、無水マレイン酸について説明する。
【0076】
<<式(a1)で表される芳香族アミン化合物(a)>>
本実施形態における芳香族アミン化合物(a)は、以下の式(a1)で表されるように、アミノ基が結合された芳香環を有し、かつ前記芳香環のオルト位の一つに炭素原子数1~18の炭化水素基が結合された構造を有する。
【化12】
(式(a1)中、Ra7及びRa8はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。)
【0077】
本実施形態の芳香族アミン化合物(a)において、当該芳香族アミン化合物(a)の芳香環の1以上2以下の水素原子に置換されてもよい炭化水素基(R、R)としては、直鎖、分岐状又は環状の炭素原子数1~18の炭化水素基が挙げられ、直鎖又は分岐状の炭素原子数1~12の炭化水素基が好ましく、直鎖又は分岐状の炭素原子数1~6のアルキル基がより好ましい。上記式(a1)に記載の通り、芳香環のオルト位とパラ位のそれぞれ1つにベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)との結合部位を有する。
【0078】
上記式(a1)中、Rは炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、炭素原子数1~12の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1~6の炭化水素基がより好ましい。
【0079】
上記式(a1)中、Rは水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、炭素原子数1~12の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1~6の炭化水素基がより好ましい。
【0080】
上記式(a1)中、Rは水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、炭素原子数1~12の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1~6の炭化水素基がより好ましい。
【0081】
また、芳香族アミン化合物(a)の芳香環に置換される炭化水素基(例えばアルキル基)の数を1以上にすることにより、後述のベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)と反応部位を制御しやすくなるため、特定の化学構造を有するマレイミド化合物((1A)成分)が得られやすくなる。その結果、樹脂組成物層の硬化物において、溶剤溶解性、耐熱性及び優れた高周波電気特性を発揮しやすくなる。特に、芳香族アミン化合物(a)のオルト位(近接位)への置換基(R)を導入していることから、当該芳香族アミン化合物(a)由来のアミノ基をマレイミド化した後において、アニリン骨格の芳香環平面とマレイミドの含窒素五員環平面とからなる二面角が大きくなることでマレイミド基由来の結晶性が崩れやすくなり、溶解性が向上すると考えられる。
【0082】
本実施形態において、芳香族アミン化合物(a)を構成するベンゼン環中の炭素原子のうち、最も大きいHOMOの電子密度(ヒュッケル係数)を有する炭素原子が1以上無置換である(水素原子に置換されている)ことが好ましい。そのため、式(a1)で表される芳香族アミン化合物(a)としては、2、4、6位のいずれか2つが水素原子に置換されていることが好ましい。式(a1)で表される芳香族アミン化合物(a)の特に好ましい形態としては、2位がアルキル基に置換され、かつ4位及び6位が水素原子である。これにより、後述のベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)から形成されるカチオノイド試剤によるArS反応及び分子設計を制御しやすくなる。その結果、樹脂組成物層の硬化物において、溶剤溶解性、耐熱性及び優れた高周波電気特性を発揮しやすくなる。特に、式(a1)のベンゼン環の4位、6位を水素原子で置換することにより、直鎖状に分子が伸長したマレイミド化合物(又は中間体アミン化合物)を得ることができる。
【0083】
本実施形態の芳香族アミン化合物(a)の具体例としては、例えば、o-トルイジン、2-エチルアニリン、2-プロピルアニリン、2-ブチルアニリン、2-シクロブチルアニリン、2-シクロペンチルアニリン、2-シクロヘキシルアニリン、ジメチルアニリン(2,3-キシリジン、2,4-キシリジン若しくは2,5-キシリジン)、ジエチルアニリン(2,3-ジエチルアニリン、2,4-ジエチルアニリン若しくは2,5-ジエチルアニリン)、ジイソプロピルアニリン(2,3-ジイソプロピルアニリン、2,4-ジイソプロピルアニリン若しくは2,5-ジイソプロピルアニリン)、エチルメチルアニリン(例えば、2,3位、2,4位若しくは2,5位のいずれか一方がメチル基であり、他方がエチル基であるエチルメチルアニリン)、メチルイソプロピルアニリン(例えば、2,3位、2,4位若しくは2,5位のいずれか一方がメチル基であり、他方がイソプロピル基であるメチルイソプロピルアニリン)、あるいはエチルブチルアニリン(例えば、2,3位、2,4位若しくは2,5位のいずれか一方がエチル基であり、他方がブチル基であるエチルブチルアニリン)等を用いることができる。また前記ブチルは、n-ブチル,tert-ブチル及びsec-ブチルを含む。なお、本実施形態における芳香族アミン化合物(a)は、単独で用いても、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0084】
例えば、N-フェニルマレイミドのように、無置換のベンゼン環にマレイミド基が直接結合する化学構造の場合、ベンゼン環とマレイミドの5員環が、同一平面上に並んだ状態が安定なため、スタッキングしやすくなり、高い結晶性が発現してしまう。そのため、溶剤溶解性が劣る原因となる。これに対して、本開示の場合、例えば、2-エチルアニリンのように、ベンゼン環に対する置換基として、アルキル基(例えば、エチル基)を有する場合、エチル基の立体障害からベンゼン環とマレイミドの5員環とがねじれた配座をとり、スタッキングしにくくなることから結晶性が低下し、溶剤溶解性が向上し、好ましい態様となる。但し、立体障害が大きすぎる場合あるいはアルキル基の置換位置によっては、マレイミド化の合成時における反応性を阻害することや、硬化物を作製する際にマレイミド基の硬化性が悪化することも懸念されるため、例えば、炭素原子数1~6の炭化水素基を有する芳香族アミン化合物(a)を使用することが好ましい。なお、本実施形態において、上記式(a1)で表される芳香族アミン化合物(a)は、単独で用いても、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0085】
<<ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)>>
本実施形態におけるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)は、化合物単体であっても混合物であってもよい。本実施形態におけるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)が化合物単体である場合、後述の式(b)で表される部分構造を有する化合物であることが好ましく、後述の式(b1)で表される化合物であることがより好ましく、後述の式(b2)で表される化合物であることがさらに好ましい。
【0086】
一方、本実施形態におけるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)が混合物である場合、下記の式(b)で表される部分構造を有する化合物及び/又は下記の式(b1)で表されるベンジルエーテル骨格を有する化合物を含む混合物だけでなく、下記式(b3)で表される部分構造を有する成分が全体の95質量%以上100質量%以下を占有する混合物であることが好ましい。本実施形態におけるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)は、下記の式(b)で表されるベンジルエーテル骨格を有している化合物であることが好ましい。
【化13】
(式(b)中、Rb3はそれぞれ独立して、炭素原子数1~18のアルキル基を表し、mb2は0以上4以下の整数を表し、j及びjはそれぞれ独立して、0以上4以下の整数であり、j+j≧1であり、k及びkはそれぞれ独立して、0又は1であり、*は他の原子との結合手を表す。)
【0087】
本実施形態におけるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)は、アルキルベンゼンとホルムアルデヒドとを酸触媒下で反応した生成物であることが好ましい。
【0088】
本実施形態におけるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)は、上記式(b)で表されるベンジルエーテル骨格を有し、かつ以下の物性値を少なくとも1つ満たすことが好ましい。これにより、より優れた、溶剤溶解性、耐熱性及び誘電特性を発揮しうる樹脂を合成しうる。
【0089】
本実施形態におけるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の数平均分子量(Mn)の上限は、1,200以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましく、500以下であることがさらに好ましい。ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の数平均分子量(Mn)の下限は、200以上であることが好ましく、240以上であることがより好ましく、250以上であることがさらに好ましい。
【0090】
本実施形態におけるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の含酸素率の上限は、15質量%以下であることが好ましく、13質量%以下であることがより好ましく、12質量%以下であることがさらに好ましい。ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の含酸素率の下限は、4質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、7質量%以上であることがさらに好ましい。
【0091】
本実施形態におけるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の比重の上限は、1.2未満であることが好ましく、より好ましくは1.15未満、さらに好ましくは1.10未満である。当該ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の比重の下限は、1.0以上であることが好ましく、より好ましくは1.01以上、さらに好ましくは1.02以上である。
【0092】
本実施形態におけるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の粘度(75℃)の上限は、1,500mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1,000mPa・s以下、さらに好ましくは900mPa・s以下である。ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の粘度(75℃)の下限は、好ましくは30mPa・s以上、より好ましくは50mPa・s以上、さらに好ましくは70mPa・s以上である。
【0093】
本実施形態におけるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の間接粘度(20℃)の上限は、1,000mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは800mPa・s以下、さらに好ましくは500mPa・s以下である。ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の間接粘度(20℃)の下限は、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは20mPa・s以上、さらに好ましくは30mPa・s以上である。本実施形態におけるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の水酸基価は、好ましくは16~50(mgKOH/g)、より好ましくは18~40(mgKOH/g)、さらに好ましくは22~35(mgKOH/g)である。
【0094】
(1A)成分の反応原料(1)であるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の一例は、下記式(b1)で表される構造単位を有する化合物であることが好ましい。
【化14】
(上記式(b1)中、Rb1はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~11のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1以上の-CH-は、互いに隣接しないよう-O-又は-C(=O)-に置換されてもよく、
b2及びRb3はそれぞれ独立して、炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、
はそれぞれ独立して、炭素原子数1~11のアルキレン基を表し、当該アルキレン基中の1以上の-CH-は、互いに隣接しないよう-O-に置換されてもよく、
は、単結合又は炭素原子数1~11のアルキレン基を表し、当該アルキレン基中の1以上の-CH-は、互いに隣接しないよう-O-又は-(C=O)-に置換されてもよく、
はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~11の炭化水素基を表し、
kは0以上20以下の整数を表し、
b1及びmb2はそれぞれ独立して、0以上4以下の整数を表し、
b1又はLの少なくともいずれか一方に、-CHO-基を有する。)
【0095】
上記式(b1)中のRb1は、水素原子又は炭素原子数1~11の炭化水素基を表すことが好ましく、水素原子又は炭素原子数1~9の炭化水素基を表すことがより好ましく、当該炭化水素基中の1以上の-CH-は、互いに隣接しないよう-O-に置換されてもよい。好ましいRb1は、水素原子、炭素原子数1~9のアルキル基、炭素原子数1~9のアルコキシ基、炭素原子数1~9のヒドロキシアルキル基、-(CHO)p1-C(=O)-Rb4、-(CHO)p1-Rb4、-(CHO)p1-(CHp2-Rb4、-(CHp3-(CHO)p1-(CHp2-Rb4、-(OCHq1-Rb4、-(OCHq1-(CHq2-Rb4及び-(CHq3-(OCHq1-(CHq2-Rb4からなる群から選択される1種であることが好ましい。ここで前記Rb4は、水素原子又は炭素原子数1~5のアルキル基を表す。また、前記p1~p3及び前記q1~q3はそれぞれ独立して、1~11の整数を表すことが好ましく、より好ましくは1~6の整数、さらに好ましくは1~3の整数、特に好ましくは1~2の整数である。
【0096】
さらには、Rb1又はLの少なくともいずれか一方に、-CHO-基を有することが好ましく、Rb1及びLの両方に、-CHO-基を有することがより好ましい。
【0097】
上記式(b1)中のRb2及びRb3はそれぞれ独立して、上記式(1)中のR13に対応しうる。したがって、上記式(b1)中のRb2及びRb3は、それぞれ独立して、炭素原子数1~18のアルキル基を表すことが好ましく、より好ましくは炭素原子数1~12のアルキル基、さらに好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基を表す。また、mb1が2以上の整数である場合、2以上のRb2は、互いに同一であっても、あるいはそれぞれ別の基であってもよい。同様に、mb2が2以上の整数である場合、2以上のRb3は、互いに同一であっても、あるいはそれぞれ別の基であってもよい。
【0098】
上記式(b1)中、Lはそれぞれ独立して、好ましくは炭素原子数1~11のアルキレン基、より好ましくは炭素原子数1~9のアルキレン基を表し、当該アルキレン基中の1以上の-CH-は、互いに隣接しないよう-O-に置換されてもよい。具体的には、Lは、炭素原子数1~11のアルキレン基、炭素原子数1~11のアルキレンオキシ基、-(CHO)p1-C(=O)-Rb4、-(CHO)p1-Rb4、-(CHO)p1-(CHp2-、-(CHp3-(CHO)p1-(CHp2-、-(OCHq1-、-(OCHq1-(CHq2-及び-(CHq3-(OCHq1-(CHq2-からなる群から選択される1種であることが好ましい。また、前記p1~p3及び前記q1~q3はそれぞれ独立して、1~11の整数を表すことが好ましく、より好ましくは1~6の整数、さらに好ましくは1~3の整数、特に好ましくは1~2の整数である。
【0099】
上記式(b1)中、Lはそれぞれ独立して、好ましくは単結合又は炭素原子数1~11のアルキレン基、より好ましくは単結合又は炭素原子数1~9のアルキレン基を表し、当該アルキレン基中の1以上の-CH-は、互いに隣接しないよう-O-に置換されてもよい。具体的には、Lは、単結合、炭素原子数1~11のアルキレン基、炭素原子数1~11のアルキレンオキシ基、-(CHO)p1-C(=O)-、-(CHO)p1-、-(CHO)p1-(CHp2-、-(CHp3-(CHO)p1-(CHp2-、-(OCHq1-、-(OCHq1-(CHq2-及び-(CHq3-(OCHq1-(CHq2-からなる群から選択される1種であることが好ましい。また、前記p1~p3及び前記q1~q3はそれぞれ独立して、1~11の整数を表すことが好ましく、より好ましくは1~6の整数、さらに好ましくは1~3の整数、特に好ましくは1~2の整数である。
【0100】
さらには、Rb1又はLの少なくともいずれか一方に、-CHO-基を有することが好ましく、Rb1及びLの両方に、-CHO-基を有することがより好ましい。
【0101】
上記式(b1)中のZは、水素原子又は炭素原子数1~11のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子又は炭素原子数1~9のアルキル基を表すことがより好ましい。
【0102】
上記式(b1)中、kは、0~20の整数であることが好ましく、より好ましくは0~15の整数、さらに好ましくは0~10の整数である。なお、kが2以上の場合、複数存在するLは、互いに同一の基であっても、あるいは異なる基であってもよい。
【0103】
本実施形態のベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の好ましい形態としては、以下の式(b2)で表される構造単位を有する化合物でありうる。
【化15】
(式(b2)中、Rb1はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~11のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1以上の-CH-は、互いに隣接しないよう-O-又は-C(=O)-に置換されてもよく、
b2及びRb3はそれぞれ独立して、炭素原子数1~18のアルキル基を表し、
はそれぞれ独立して、炭素原子数1~11のアルキレン基を表し、当該アルキレン基中の1以上の-CH-は、互いに隣接しないよう-O-に置換されてもよく、
は、単結合又は炭素原子数1~11のアルキレン基を表し、当該アルキレン基中の1以上の-CH-は、互いに隣接しないよう-O-又は-(C=O)-に置換されてもよく、
はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~11のアルキル基を表し、
kは0以上20以下の整数を表し、
b1及びmb2はそれぞれ独立して、0以上4以下の整数を表し、
b1又はLの少なくともいずれか一方に、-CHO-基を有する。)
【0104】
上記式(b2)中、Rb1、Rb2及びRb3、L、L、Z、k、並びにmb1及びmb2の好ましい形態は、上記式(b1)と同様である。
【0105】
本実施形態におけるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)は、単独で用いても、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、互いに異なるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)を2種以上含有する混合物であってもよい。なお、本明細書では説明の便宜上、用語「ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)」のうち、互いに異なるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)を2種以上含有する混合物を、ベンジルエーテル骨格を有する混合物(b)と称する。したがって、「ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)」とは、1種の化合物だけを表す場合だけでなく、ベンジルエーテル骨格を有する混合物(b)も包含する。
【0106】
本実施形態のベンジルエーテル骨格を有する混合物(b)は、以下の式(b3)で表される部分構造:
【化16】
(式(b3)中、L及びLは連結基であり、それぞれ独立して、-CH-、-CHO-CH-、-(CHO)-CH-及び-(CHO)-CH-からなる群から選択される1種の基であり、*は他の原子との結合手を表す。)を有する成分がベンジルエーテル骨格を有する混合物(b)全体の95質量%以上100質量%以下を占有することが好ましい。
【0107】
本実施形態のベンジルエーテル骨格を有する混合物(b)は、上記式(b3)で表される部分構造を有する成分がベンジルエーテル骨格を有する混合物(b)全体の95質量%以上100質量%以下を占有し、かつ以下の(I)又は(II)の要件を満たすことが好ましい。
(I)上記式(b3)で表される部分構造を有する成分を構成する一分子当たりの連結基の数(L及びLの合計数)が、1.1以上2.4以下である。
(II)上記式(b3)で表される部分構造を有する成分を構成する分子の末端に結合されている末端基の数が、前記分子1つあたり、0.5以上1.5以下である。
【0108】
本実施形態において、上記式(b3)で表される部分構造を有する成分を構成する分子の連結基(L及びL)としては、-CH-、-CHO-CH-、-(CHO)-CH-及び-(CHO)-CH-からなる群から選択される1種の基が挙げられる。
【0109】
ベンジルエーテル骨格を有する混合物(b)全体において、上記式(b3)で表されるベンジルエーテル骨格を有する一分子当たりの以下の連結基(L及びLの合計数)の数が、以下の(1)~(4)の組成であることが好ましい。
(1)連結基「-CH-」の数は、0.65以上1.4以下であることが好ましい。
(2)連結基「-CHO-CH-」の数は、0.07以上0.2以下であることが好ましく、0.08以上0.14以下であることがより好ましい。
(3)連結基「-(CHO)-CH-」の数は、0.10以上0.8以下であることが好ましく、0.2以上0.8以下であることがより好ましい。別の形態では、0.41超0.8以下であることが好ましい。
(4)連結基「-(CHO)-CH-」の数は、0.05以上0.65以下であることが好ましく、0.09以上0.6以下であることが好ましく、0.10以上0.55以下であることがさらに好ましい。
【0110】
本実施形態のベンジルエーテル骨格を有する混合物(b)において、-CH-OH、-CHO-CH、-(CHO)-CH、-(CHO)-CH及び-(CHO)-COHからなる群から選択される1種以上の基を、上記式(b3)で表される部分構造を有する成分を構成する分子の末端に結合されている末端基として有することが好ましい。
【0111】
そして、ベンジルエーテル骨格を有する混合物(b)全体において、上記式(b3)で表されるベンジルエーテル骨格を有し、かつ一分子当たりの末端基の数が、0.5以上1.5以下であることが好ましい。ベンジルエーテル骨格を有する混合物(b)全体において、ベンジルエーテル骨格を有する一分子当たりの以下の末端基の数が、以下の(5)~(9)の組成であることが好ましい。
(5)末端基「-CH-OH」の数は、0.17以上0.4以下であることが好ましく、0.18以上0.25以下であることがより好ましい。
(6)末端基「-CHO-CH」の数は、0.17以上0.7以下であることが好ましく、0.18以上0.44以下であることがより好ましい。
(7)末端基「-(CHO)-CH」の数は、0.08以上0.6以下であることが好ましく、0.09以上0.3以下であることが好ましい。
(8)末端基「-(CHO)-CH」の数は、実質的に含んでいないことが好ましく、0.3以下であることがより好ましく、0.2以下であることがさらに好ましい。 (9)末端基「-(CHO)-COH」の数は、0以上0.1以下であることが好ましく、0.01以上0.1以下であることがより好ましい。
【0112】
本実施形態のベンジルエーテル骨格を有する混合物(b)において、連結基の化学構造及びその数、並びに末端基の化学構造及びその数は、後述の実施例の欄に示す通り、NMRから算出する、あるいは製造メーカのカタログを参照することができる。
【0113】
本実施形態において、ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)は合成品でも市販品でもよく、市販されているベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)としては、例えば、フドー株式会社製のキシレン樹脂(商標名:ニカノール(Y-50、Y-100、Y-300、Y-1000、LLL、LL、L又はH))が好ましい。
【0114】
本実施形態において、(1A)成分の総量(100質量%)に対して、ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の構造単位は1~99質量%含有することが好ましく、5~95質量%含有することがより好ましい。上記ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の構造単位とは、上記式(1)で表される基をいう。
【0115】
<<無水マレイン酸>>
本実施形態において、無水マレイン酸は、(1A)成分の反応原料(1)に含まれ、後述の通り、芳香族アミン化合物(a)に由来するアミノ基をマレイミド化する反応に使用される。
【0116】
(1A)成分の製造方法の具体的な態様としては、例えば、以下の工程(1)及び(2)を含む製造方法が挙げられる。
工程(1):反応原料(2)として、上記式(a1)で表される芳香族アミン化合物(a)と、ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)とを反応させて、本実施形態に
おける中間体アミン化合物(c)を得る工程。
工程(2):反応原料(3)として、上記工程(1)で得られた中間体アミン化合物(c)と、無水マレイン酸とを反応させて、(1A)成分を得る工程。
【0117】
具体的には、(1A)成分の製造方法は、上記式(a1)で表される芳香族アミン化合物(a)と、ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)とを固体酸触媒下で反応させる工程(1)(「架橋工程」とも称する。)と、前記工程(1)により生成した中間体アミン化合物(c)と無水マレイン酸とを縮合させる工程(2)(「縮合工程」とも称する。)を有することが好ましい。以下、(1A)成分を製造する方法の各工程について順に説明する。
【0118】
<<工程(1):中間体アミン化合物(c)の製造工程>>
以下に、本実施形態における中間体アミン化合物(c)の製造工程について説明する。工程(1)は、上述した芳香族アミン化合物(a)と、上述したベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)(例えば、ニカノール等)と、必要に応じて添加されるその他の化合物とを、酸触媒の存在下で反応させる工程である。これにより、中間体アミン化合物(c)が生成されうる。
【0119】
前記芳香族アミン化合物(a)と、前記ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)との配合割合としては、得られる硬化物の製造時の成形性、硬化性の物性バランスを考慮すると、前記芳香族アミン化合物(a)1モルに対して、前記ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)のモル割合として、0.001~1モルが好ましく、0.1~0.5モルがより好ましい。
【0120】
また、ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)として上記のベンジルエーテル骨格を有する混合物(b)などの混合物を使用する場合、芳香族アミン化合物(a)との反応点は、当該混合物に含まれるベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)中のメチレンオキシ部(例えば、ベンジルエーテル部(Ph-CHO-CH-)、ベンジルアルコール部(Ph-CHO-H)又はメチレンオキシ部(-CH-O-))でありうる。また、これら各反応点の合計数を1とした場合、芳香族アミン化合物(a)の配合量は等量以上10倍以下であることが好ましく、例えば、前記各反応点の合計数1モルに対して、芳香族アミン化合物(a)の配合量は1~10モルであることが好ましい。
【0121】
また、上記反応を実施する具体的方法としては、全原料を一括装入し、そのまま所定の温度で反応させるか、又は、芳香族アミン化合物(a)若しくはベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の一方と酸触媒とを装入し、所定の温度に保ちつつ、芳香族アミン化合物(a)若しくはベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)の他方を滴下させながら反応させる方法が一般的である。この際、滴下時間は、通常、0.1~12時間であり、6時間以下が好ましい。反応後、溶媒を使用した場合は、必要により、溶媒と未反応物を留去させて、前記中間体アミン化合物(c)を得ることができ、溶媒を使用しない場合は、未反応物を留去することによって目的物である前記中間体アミン化合物(c)を得ることができる。
【0122】
本実施形態の工程(1)に用いる酸触媒としては、有機酸、無機酸又は固体酸のいずれでも使用できる。上記有機酸としては、例えば、メタンスルホン酸若しくはフルオロメタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸;3-モルホリノプロパンスルホン酸、ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)、10-カンファースルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸若しくはトリフルオロメタンスルホン酸等の芳香族スルホン酸;リン酸ジメチル若しくはリン酸ジエチル等のアルキルリン酸;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、ラウリル硫酸等のアルキル硫酸;硫酸フェニル、フルオリド硫酸フェニル等の芳香族硫酸;シュウ酸等の種々の酸が挙げられる。上記無機酸としては、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸又はホウ酸等が挙げられる。上記固体酸としては、活性白土、酸性白土、アルミナ、シリカアルミナ、ゼオライト、層状珪酸塩、ヘテロポリ塩酸又は強酸性イオン交換樹脂等が挙げられる。当該層状珪酸塩としては、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイトなどのカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、テニオライト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群が挙げられる。これら層状珪酸塩は混合層を形成していてもよい。また、上記酸触媒は1種を単独で用いてもよく、あるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。上記工程(1)における反応後、濾過により簡便に触媒除去が可能な固体酸がハンドリンク性の観点からも好ましく、他の酸を用いるときは、反応後、塩基による中和と水による洗浄を行うことが好ましい。
【0123】
なお、上記塩基としては、特に制限されることはなく、有機塩基あるいは無機塩であってもよい。当該有機塩基としては、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムターシャリーブトキシド、カリウムターシャリーブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類;トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のトリアルキルアミン;N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン等の炭素数1から4のアルキル基を有するアニリン誘導体;ピリジン、2,6-ルチジン等の、炭素原子数1~4のアルキル置換基を有していてもよいピリジン誘導体;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン等の含窒素複素環化合物等を挙げることができる。一方、上記無機塩基としては、ナトリウムハイドライド、リチウムハイドライド等のアルカリ金属水素化物;カルシウムハイドライド等のアルカリ土類金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩又は炭酸水素塩;フッ化カリウム、フッ化セシウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化化合物;を挙げることができる。これらの塩基は1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0124】
本実施形態において、酸触媒の配合量は、仕込む原料(ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)及び芳香族アミン化合物(a))の総量100質量部に対して、酸触媒を0.1~50質量部の範囲で配合されるが、ハンドリング性と経済性の点から、1~20質量部の範囲が好ましい。反応温度は、通常100~300℃の範囲であればよいが、異性体構造の生成を抑制し、熱分解等の副反応を避けるためには120~250℃の範囲が好ましい。
【0125】
本実施形態の工程(1)において、ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)と、芳香族アミン化合物(a)との混合物反応時間、すなわち架橋反応の時間としては、短時間では反応が完全に進行せず、また長時間にすると生成物の熱分解反応等の副反応が起こることから、前記反応温度条件下で、通常は、のべ1~60時間の範囲であるが、好ましくは、のべ1~20時間の範囲である。
【0126】
本実施形態における中間体アミン化合物(c)の製造方法においては、芳香族アミン化合物(a)又はその誘導体が溶剤を兼ねるため、必ずしも他の溶剤は用いなくても良いが、溶剤を用いることも可能である。例えば、ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)としてニカノールLを原料として反応させる場合には、トルエン、キシレン、又はクロロベンゼン等の共沸脱水可能な溶剤を用いて、必要により触媒等に含まれる水分を共沸脱水させた後、溶媒を留去してから、上記反応温度の範囲で反応を行う方法を採用してもよい。
【0127】
上記工程(1)により得られる中間体アミン化合物(c)は、下記式(1)で表される部分構造と、前記式(1)で表される部分構造と化学結合される式(t-1)で表される部分構造と、前記式(1)で表される部分構造と化学結合される式(t-2)で表される部分構造と、を有することが好ましい。
【化17】
(式(1)中、Ra1、Ra2、Ra3及びRa4はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mはそれぞれ独立に0~4の整数を表し、nは繰り返し単位数を表す。2つの「*」はそれぞれ結合手を表し、一方の結合手が下記式(t-1)中のL13又はL14の位置で化学結合され、他方の結合手が下記式(t-2)中のL11又はL12の位置で化学結合されることを表す。)
【化18】
(上記式(t-1)及び(t-2)中、R11及びR15はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R12及びR14はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。L11、L12、L13及びL14はそれぞれ独立に、結合手を表す。ただし、L11又はL12の位置において式(1)で表される部分構造と化学結合され、かつL13又はL14の位置において式(1)で表される部分構造と化学結合される。m及びmはそれぞれ独立に0~2の整数を表す。)
【0128】
中間体アミン化合物(c)に係る式(1)中のRa1、Ra2、Ra3及びRa4、R13、m、並びにnは、(1A)成分に係る式(1)中のRa1、Ra2、Ra3及びRa4、R13、m、並びにnと同じである。
【0129】
式(t-1)及び(t-2)中のR11及びR15、R12及びR14、L11、L12、L13及びL14、m及びmは、式(T-1)及び(T-2)中のR11及びR15、R12及びR14、L11、L12、L13及びL14、m及びmと同じである。
【0130】
本実施形態において、中間体アミン化合物(c)のアミン当量としては、160~1,200g/当量であることが好ましく、より好ましくは180~600g/当量である。なお、本明細書における中間体アミン化合物(c)のアミン当量の測定は、JIS K0070(1992)に規定される中和滴定法に準拠した方法で測定した値とする。
【0131】
<<工程(2):マレイミド化>>
本実施形態における工程(2)は、工程(1)で得られた中間体アミン化合物(c)と、無水マレイン酸とを反応させる工程である。中間体アミン化合物(c)のアミノ基がマレイミド化反応により、前記アミノ基がN-置換マレイミド環に置換された化学構造を形成することができるため、本開示のマレイミド化合物が得られる。
【0132】
本実施形態において、工程(1)により得られた、上記式(1)で表される部分構造と式(t-1)で表される部分構造と式(t-2)で表される部分構造とを有する中間体アミン化合物(c)を反応器に仕込み、適当な溶媒に溶解した後、触媒の存在下で無水マレイン酸と反応させる。そして反応後、水洗等により未反応の無水マレイン酸又は他の不純物を除去し、減圧によって溶媒を除くことにより目的物であるマレイミド化合物を得ることができる。また、必要により反応時に脱水剤を用いてもよい。
【0133】
本実施形態の工程(2)において使用される有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン、アセトニトリル、スルホラン等の非プロトン性溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒等が挙げられ、またこれらは単独で用いても混合して用いてもよい。
【0134】
本実施形態の工程(2)において、中間体アミン化合物(c)と無水マレイン酸との混合比率としては、中間体アミン化合物(c)のアミノ当量に対する無水マレイン酸の当量比を、1~5の範囲に配合することが好ましく、より好ましくは1~3で仕込み、中間体アミン化合物(c)と無水マレイン酸との合計量に対して、0.1~10の質量比、好ましくは0.2~5の質量比の有機溶媒中で反応させることが好ましい態様となる。
【0135】
本実施形態の工程(2)において使用可能な触媒としては、ニッケル、コバルト、ナトリウム、カルシウム、鉄、リチウム、マンガン等の酢酸塩、塩化物、臭化物、硫酸塩、硝酸塩等の無機塩、リン酸、塩酸、硫酸のような無機酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロメタンスルホン酸等の有機酸、活性白土、酸性白土、シリカアルミナ、ゼオライト、強酸性イオン交換樹脂のような固体酸、ヘテロポリ塩酸等を挙げることができ、トルエンスルホン酸が好ましく、p-トルエンスルホン酸がより好ましい。
【0136】
本実施形態の工程(2)に用いる脱水剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸のような低級脂肪族カルボン酸無水物、五酸化リン、酸化カルシウム、酸化バリウム等の酸化物、硫酸等の無機酸、モレキュラーシーブ等の多孔性セラミック等が挙げられるが、好ましくは無水酢酸を用いることができる。本実施形態の工程(2)において使用される触媒、脱水剤の使用量の制限は特にないが、通常、中間体アミン化合物(c)のアミノ基(-NH)1当量に対し、触媒は0.0001~1モル、好ましくは0.01~0.3モル、脱水剤は1~3モル、好ましくは1~1.5モルで使用することができる。
【0137】
本実施形態の工程(2)において、マレイミド化の反応条件としては、上記中間体アミン化合物(c)と無水マレイン酸を仕込み、10~100℃、好ましくは30~60℃の温度範囲で、0.5~12時間、好ましくは1~4時間反応させた後、前記触媒を加えて、90~130℃、好ましくは105~120℃の温度範囲で、1~24時間、好ましくは1~10時間反応させることができる。
【0138】
<(1A)第1の特定構造を有するマレイミド化合物に係る第2の製造方法>
他の一実施形態(第2の製造方法)において、(1A)成分は、例えば、
(x1-1)アルキル基で置換されたアニリン化合物と、
(x1-2)置換基を有していてもよいジビニルベンゼン化合物と、
を反応させて得た中間体アミン化合物(x1)のマレイミド化物である。第2の製造方法によれば、式(1)中、nが1である(1A)成分を製造することができる。
【0139】
中間体アミン化合物(x1)を得るにあたり、上記(x1-1)成分及び(x1-2)成分に加えて、さらに(x1-3)置換基を有していてもよいモノビニルベンゼン化合物を反応させてもよい。
【0140】
したがって他の一実施形態において、(1A)成分は、
(x1-1)アルキル基で置換されたアニリン化合物と、
(x1-2)置換基を有していてもよいジビニルベンゼン化合物と、
(x1-3)置換基を有していてもよいモノビニルベンゼン化合物と、
を反応させて得た中間体アミン化合物(x1)のマレイミド化物である。
【0141】
<<(x1-1)アルキル基で置換されたアニリン化合物>>
(x1-1)成分は、アルキル基で置換されたアニリン化合物であり、下記式(x1-1)で表される。
【0142】
【化19】
(式(x1-1)中、R11はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R12は、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mはそれぞれ独立に0~2の整数を表す。)
【0143】
式(x1-1)中のR11、R12、及びmは、式(T-2)中のR11、R12、及びmと同じである。(x1-1)成分としては、目的とする(1A)成分の構造を達成すべく、適宜決定してよい。なお、(x1-2)成分や(x1-3)成分との組み合わせにおいて(1A)成分を円滑に合成し得る観点から、(x1-1)成分のベンゼン環の2位、4位、6位のうち少なくとも1つの炭素原子は未置換であることが好ましい。(x1-1)成分の具体例としては、例えば、2-エチルアニリン等が挙げられる。
【0144】
<<(x1-2)置換基を有していてもよいジビニルベンゼン化合物>>
(x1-2)成分は、置換基を有していてもよいジビニルベンゼン化合物であり、下記式(x1-2)で表される。
【0145】
【化20】
(式(x1-2)中、R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mは0~4の整数を表す。)
【0146】
式(x1-2)中のR13及びmは、式(1)中のR13及びmと同じである。(x1-2)成分としては、目的とする(1A)成分の構造を達成すべく、適宜決定してよい。目的とする(1A)成分中のmが0である場合、ジビニルベンゼンを用いればよい。
【0147】
<<(x1-3)置換基を有していてもよいモノビニルベンゼン化合物>>
(x1-3)成分は、置換基を有していてもよいモノビニルベンゼン化合物であり、下記式(x1-3)で表される。
【0148】
【化21】
(式(x1-3)中、R16はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mは0~5の整数を表す。)
【0149】
式(x1-3)中のR16及びmは、式(4)中のR16及びmと同じである。(x1-3)成分としては、目的とする(1A)成分の構造を達成すべく、適宜決定してよい。目的とする(1A)成分中のmが0である場合、モノビニルベンゼンを用いればよい。(x1-3)成分の具体例としては、例えば、エチルスチレン等が挙げられる。
【0150】
上記の(x1-1)成分と(x1-2)成分、必要に応じてさらに(x1-3)成分とを、酸触媒の存在下で反応させて、中間体アミン化合物(x1)を得る。斯かる反応において、(x1-2)成分や(x1-3)成分のビニル基が酸触媒の存在下でカルボカチオンを生じ、これが(x1-1)成分のベンゼン環の未置換炭素と反応し結合する。
【0151】
(x1-1)成分と、(x1-2)成分の配合割合は、(B)成分及び(C)成分との組み合わせにおいて、より優れたスミア除去性とより高い密着強度を併せて呈する硬化物をもたらす(1A)成分を実現し得る観点から、(x1-1)成分1モルに対して、好ましくは0.1~10モル、より好ましくは0.2~3モルの(x1-2)成分を用いることが好適である。また、(x1-3)成分を併用する場合には、(x1-1)成分1モルに対して、好ましくは0.1~10モル、より好ましくは0.2~3モルの(x1-3)成分を用いることが好適である。
【0152】
反応は、溶媒を使用せずに無溶媒系で進行させてもよいし、有機溶媒を使用して有機溶媒系で進行させてもよい。反応に用いる有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒が挙げられる。有機溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0153】
反応に用いる酸触媒としては、例えば、リン酸、塩酸、硫酸のような無機酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロメタンスルホン酸等の有機酸、活性白土、酸性白土、シリカアルミナ、ゼオライト、強酸性イオン交換樹脂のような固体酸、ヘテロポリ塩酸等を挙げることができる。
【0154】
反応温度は、反応が進行する限り特に限定されず、例えば、100~250℃の範囲としてよい。また反応時間は、目的とする中間体アミン化合物(x1)の構造が達成される限り特に限定されず、例えば、30分間~48時間の範囲としてよい。
【0155】
反応後に中間体アミン化合物(x1)を精製してもよい。例えば、反応後、触媒や過剰量の出発原料を系内から除去するために、濾過、蒸留などの精製工程を施してもよい。
【0156】
こうして、下記式(x1)で表される構造を有する中間体アミン化合物が得られる。
【0157】
【化22】
【化23】
(式(x1)、式(4)及び式(x1-5)中、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5及びRa6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R11はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R12はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R16はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~3の整数を表し、m+m≦2及びm+m≦3を満たす。mはそれぞれ独立に0~4の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~5の整数を表し、nはそれぞれ独立に繰り返し単位数を表し、nはそれぞれ独立に1以上の整数を表す。XM1は、水素原子又は式(4)で表される1価の基を表す。XM2は、水素原子又は式(5)で表される1価の基を表す。*は結合手を表す。)
【0158】
次いで、得られた中間体アミン化合物(x1)を無水マレイン酸と反応させてマレイミド化し、(1A)成分を得る。
【0159】
(x1)成分と無水マレイン酸との反応は、無水マレイン酸を用いた従来公知のアミノ基のマレイミド化反応によって実施してよい。反応は、溶媒を使用せずに無溶媒系で進行させてもよいし、有機溶媒を使用して有機溶媒系で進行させてもよいこと、使用し得る有機溶媒の種類は、(x1-1)成分と(x1-2)成分、(x1-3)成分との反応に関連して先述したとおりである。
【0160】
反応温度は、反応が進行する限り特に限定されず、例えば、0~100℃の範囲としてよい。また反応時間は、目的とする(1A)成分の構造が達成される限り特に限定されず、例えば、1~24時間の範囲としてよい。反応後、水洗や精密濾過などの精製工程を施してもよい。
【0161】
反応は触媒の存在下に実施してよく、斯かる触媒としては、ニッケル、コバルト、ナトリウム、カルシウム、鉄、リチウム、マンガン等の酢酸塩、塩化物、臭化物、硫酸塩、硝酸塩等の無機塩、リン酸、塩酸、硫酸のような無機酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロメタンスルホン酸等の有機酸、活性白土、酸性白土、シリカアルミナ、ゼオライト、強酸性イオン交換樹脂のような固体酸、ヘテロポリ塩酸等を挙げることができ、トルエンスルホン酸が好ましく、p-トルエンスルホン酸がより好ましい。
【0162】
中間体アミン化合物(x1)と無水マレイン酸との配合割合は、(B)成分及び(C)成分との組み合わせにおいて、より優れたスミア除去性とより高い密着強度を併せて呈する硬化物をもたらす(1A)成分を実現し得る観点から、中間体アミン化合物(x1)のアミノ基当量に対する無水マレイン酸の当量比を、1~5の範囲に配合することが好ましい。
【0163】
<(B)エポキシ樹脂>
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、(B)エポキシ樹脂を含有する。(B)エポキシ樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。一実施形態において、(B)エポキシ樹脂は、2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、3種以上を組み合わせて用いることがより好ましい。
【0164】
(B)エポキシ樹脂は、1分子中に1個以上(好ましくは2個以上)のエポキシ基を有する限り、その種類は特に限定されない。(B)エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールC型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌラート型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂、グリシロール型エポキシ樹脂、アルキレンオキシ骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン構造含有エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂等が挙げられ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールC型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂又はビフェニル型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールC型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂又はビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂又はビフェニル型エポキシ樹脂がさらに好ましい。一実施形態において、(B)成分は、芳香族骨格を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
【0165】
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、(B)成分として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、(B)エポキシ樹脂100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
【0166】
(B)エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。本発明の樹脂組成物は、(B)成分として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよい。一実施形態において、本発明の樹脂組成物は、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含むことが好ましい。
【0167】
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
【0168】
液状エポキシ樹脂としては、例えば、グリシロール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、環状脂肪族グリシジルエーテル、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アルキレンオキシ骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン構造含有エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂などが挙げられ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はナフタレン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。
【0169】
液状エポキシ樹脂の具体例としては、ナガセケムテックス社製の「EX-992L」、三菱ケミカル社製の「YX7400」、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP-4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「828EL」、「825」、「エピコート828EL」、DIC社製の「850S」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL9133」(ビスフェノールC型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX-1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ナガセケムテックス社製の「EX-991L」(アルキレンオキシ骨格含有エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「EG-280」(フルオレン構造含有エポキシ樹脂);ナガセケムテックス社製の「EX-201」(レゾルシノール型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0170】
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
【0171】
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂、フルオレン構造含有エポキシ樹脂などが挙げられ、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂又はビフェニル型エポキシ樹脂が好ましく、ビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。
【0172】
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」、「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP-6000」、「HP-6000L」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC-7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC-3000」、「NC-3000L」、「NC-3000FH」、「NC-3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC-3000H」(ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂);「日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」、「ESN4100V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン構造含有エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)、などが挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0173】
(B)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50~5,000g/eq.である。エポキシ当量の下限は、より好ましくは60g/eq.以上、さらに好ましくは80g/eq.以上、特に好ましくは110g/eq.以上である。エポキシ当量の上限は、好ましくは3,000g/eq.以下、より好ましくは2,000g/eq.以下、さらに好ましくは1,000g/eq.以下、特に好ましくは500g/eq.以下、400g/eq.以下又は300g/eq.以下である。エポキシ当量は、1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量であり、JIS K7236に従って測定することができる。
【0174】
(B)エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、GPC法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
【0175】
樹脂組成物層中の(B)成分の含有量は、樹脂組成物層中の樹脂成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上又は10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上又は20質量%以上、特に好ましくは25質量%以上又は30質量%以上である。上限は、好ましくは70質量%以下又は65質量%以下、より好ましくは60質量%以下又は55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下又は45質量%以下、特に好ましくは40質量%以下又は35質量%以下である。
【0176】
樹脂組成物層中の(B)成分の含有量は、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.1質量%以上又は0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上又は2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、4質量%以上又は5質量%以上、特に好ましくは6質量%以上、7質量%以上又は8質量%以上である。上限は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下又は30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下又は20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下又は10質量%以下である。
【0177】
<(C)ポリカルボジイミド化合物>
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、(C)ポリカルボジイミド化合物を含有する。(C)ポリカルボジイミド化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0178】
(C)ポリカルボジイミド化合物は、1分子中にカルボジイミド基(-N=C=N-)を2個以上有する化合物である。(C)ポリカルボジイミド化合物としては、例えば、テトラメチレン-ビス(t-ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサンビス(メチレン-t-ブチルカルボジイミド)等の脂肪族ビスカルボジイミド;フェニレン-ビス(キシリルカルボジイミド)等の芳香族ビスカルボジイミド等のビスカルボジイミド;ポリヘキサメチレンカルボジイミド、ポリトリメチルヘキサメチレンカルボジイミド、ポリシクロヘキシレンカルボジイミド、ポリ(メチレンビスシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド;ポリ(フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(トリレンカルボジイミド)、ポリ(メチルジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(キシリレンカルボジイミド)、ポリ(テトラメチルキシリレンカルボジイミド)、ポリ(メチレンジフェニレンカルボジイミド)、ポリ[メチレンビス(メチルフェニレン)カルボジイミド]等の芳香族ポリカルボジイミド等のポリカルボジイミド;などが挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0179】
本発明の効果を顕著に得る観点から、(C)ポリカルボジイミド化合物の重量平均分子量は、好ましくは500以上、より好ましくは600以上、さらに好ましくは700以上、さらにより好ましくは800以上、特に好ましくは900以上又は1,000以上である。また、良好な相溶性を得る観点から、(C)ポリカルボジイミド化合物の重量平均分子量の上限は、好ましくは10,000以下、8,000以下、7,000以下、6,000以下又は5,000以下、より好ましくは4,500以下、さらに好ましくは4,000以下、さらにより好ましくは3,500以下、特に好ましくは3,000以下である。(C)ポリカルボジイミド化合物の重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレン換算)で測定することができる。
【0180】
(C)ポリカルボジイミド化合物のカルボジイミド当量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは150g/eq.以上、より好ましくは200g/eq.以上、さらに好ましくは250g/eq.以上であり、好ましくは1,000g/eq.以下、より好ましくは800g/eq.以下、さらに好ましくは600g/eq.以下である。カルボジイミド当量は、カルボジイミド基1当量あたりの樹脂の質量を表す。
【0181】
(C)ポリカルボジイミド化合物の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製のカルボジライトV-03(カルボジイミド基当量:216g/eq.、後述する式(C1)で表されるカルボジイミド化合物)、カルボジライトV-05(カルボジイミド基当量:262g/eq.)、カルボジライトV-07(カルボジイミド基当量:200g/eq.)、カルボジライトV-09(カルボジイミド基当量:200g/eq.);ランクセス社製のスタバクゾールP(カルボジイミド基当量:302g/eq.)等が挙げられる。
【0182】
一実施形態において、(C)ポリカルボジイミド化合物は、下記式(C1)で表される構造単位を含有することが好ましい。
【0183】
【化24】
(式(C1)中、Xは、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基を表し、これらは置換基を有していてもよい。pは1~5の整数を表す。Xが複数存在する場合、それらは同一でも相異なってもよい。*は結合手を表す。)
【0184】
Xで表されるアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~6、1~4、又は1~3である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。該アルキレン基の好適な例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。
【0185】
Xで表されるシクロアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは3~20、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~6である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。該シクロアルキレン基の好適な例としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基が挙げられる。
【0186】
Xで表されるアリーレン基は、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子を2個除いた基である。該アリーレン基の炭素原子数は、好ましくは6~24、より好ましくは6~18、さらに好ましくは6~14、さらにより好ましくは6~10である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。該アリーレン基の好適な例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基が挙げられる。
【0187】
本発明の効果を顕著に得る観点から、Xは、アルキレン基又はシクロアルキレン基であることが好ましく、これらは置換基を有していてもよい。
【0188】
Xで表されるアルキレン基、シクロアルキレン基又はアリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基及びアシルオキシ基が挙げられる。置換基として用いられるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。置換基として用いられるアルキル基、アルコキシ基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、その炭素原子数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~6、1~4、又は1~3である。置換基として用いられるシクロアルキル基、シクロアルキルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは3~20、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~6である。置換基として用いられるアリール基は、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子を1個除いた基であり、その炭素原子数は、好ましくは6~24、より好ましくは6~18、さらに好ましくは6~14、さらにより好ましくは6~10である。置換基として用いられるアリールオキシ基の炭素原子数は、好ましくは6~24、より好ましくは6~18、さらに好ましくは6~14、さらにより好ましくは6~10である。置換基として用いられるアシル基は、式:-C(=O)-Rで表される基(式中、Rはアルキル基又はアリール基を表す。)をいう。Rで表されるアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、その炭素原子数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~6、1~4、又は1~3である。Rで表されるアリール基の炭素原子数は、好ましくは6~24、より好ましくは6~18、さらに好ましくは6~14、さらにより好ましくは6~10である。置換基として用いられるアシルオキシ基は、式:-O-C(=O)-Rで表される基(式中、Rは上記と同じ意味を表す。)をいう。中でも、置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、及びアシルオキシ基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0189】
式(C1)中、pは1~5の整数を表す。本発明の効果を顕著に得る観点から、pは、好ましくは1~4、より好ましくは2~4、さらに好ましくは2又は3である。
【0190】
式(C1)中、Xが複数存在する場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。好適な一実施形態において、少なくとも1つのXは、アルキレン基又はシクロアルキレン基であり、これらは置換基を有していてもよい。
【0191】
好適な一実施形態において、(C)ポリカルボジイミド化合物は、ポリカルボジイミド化合物の分子全体の質量を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上又は90質量%以上にて、式(C1)で表される構造単位を含有する。ポリカルボジイミド化合物は、末端構造を除いて、式(C1)で表される構造単位から実質的になってもよい。ポリカルボジイミド化合物の末端構造としては、特に限定されないが、例えば、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。末端構造として用いられるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基は、Xで表される基が有していてもよい置換基について説明したアルキル基、シクロアルキル基、アリール基と同じであってよい。また、末端構造として用いられる基が有していてもよい置換基は、Xで表される基が有していてもよい置換基と同じであってよい。
【0192】
一実施形態において、(C)ポリカルボジイミド化合物は、下記式(C2)で表される構造単位を含有することが好ましい。
【化25】
(式(C2)中、Yは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。*は結合手を表す。)
【0193】
式(C2)において、Yは、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。Yにおける2価の炭化水素基の炭素原子数は、通常1以上、好ましくは2以上であり、通常30以下である。2価の炭化水素基は、2価の飽和炭化水素基であってもよく、2価の不飽和炭化水素基であってもよい。2価の不飽和炭化水素基とは、別に断らない限り、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合又は芳香族炭化水素環を有する炭化水素基を表し、直鎖状、分枝鎖状及び環状のいずれも包含する。
【0194】
Yにおける好ましい2価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、及びこれらを組み合わせた基が挙げられる。
【0195】
Yにおけるアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、更に好ましくは1~6、1~4、又は1~3である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アルキレン基の好適な例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。
【0196】
Yにおけるシクロアルキレン基の炭素原子数は、好ましくは3~20、より好ましくは3~12、更に好ましくは3~6である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。シクロアルキレン基の好適な例としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基が挙げられる。
【0197】
Yにおけるアリーレン基は、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子を2個除いた基を表す。アリーレン基の炭素原子数は、好ましくは6~24、より好ましくは6~18、更に好ましくは6~14、又は6~10である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。アリーレン基の好適な例としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基が挙げられる。
【0198】
Yにおける置換基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル-オキシ基、アルケニル-オキシ基、アリール-オキシ基、アルキル-オキシ-カルボニル基、アルケニル-オキシ-カルボニル基、アリール-オキシ-カルボニル基、アルキル-カルボニル-オキシ基、アルケニル-カルボニル-オキシ基、アリール-カルボニル-オキシ基等が挙げられる。中でも、Yにおける2価の炭化水素基は、置換基を有さないことが好ましい。
【0199】
より好ましくは、Yは、置換基を有していてもよい炭素原子数2~30の2価の飽和炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数2~30の2価の不飽和炭化水素基を表す。更に好ましくは、Yは、置換基を有していてもよく且つ環構造(例えばシクロアルカン環、ベンゼン環、及びナフタレン環から選ばれる環構造)を有する炭素原子数2~30の2価の飽和炭化水素基、又は置換基を有していてもよく且つ環構造(例えばシクロアルカン環、ベンゼン環、及びナフタレン環から選ばれる環構造)を有する炭素原子数2~30の2価の不飽和炭化水素基を表す。
【0200】
式(C2)中のYは、下記式(C3)で表される2価の基を表すことが好ましい。
【化26】
(式(C3)において、Y、Y及びYは、それぞれ独立して、単結合、又はC(Rを表し;Rは、それぞれ独立して、水素原子、又はメチル基を表し;環Y及び環Yは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数4~10のシクロアルカン環、置換基を有していてもよいベンゼン環、又は、置換基を有していてもよいナフタレン環を表し;nは、0又は1を表し;*は結合手を表す。)
【0201】
式(C3)において、Y、Y及びYは、それぞれ独立して、単結合、又はC(Rを表す。好ましくは、Y及びYが単結合であり且つYがC(Rを表す。Rは、それぞれ独立して、水素原子、又はメチル基を示し、好ましくは水素原子である。
【0202】
式(C3)において、環Y及び環Yは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数4~10のシクロアルカン環、置換基を有していてもよいベンゼン環、又は、置換基を有していてもよいナフタレン環を表す。好ましくは、環Y及び環Yは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数4~10のシクロアルカン環を表す。炭素原子数4~10のシクロアルカン環としては、例えば、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環等の単環系の飽和炭化水素環;ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環(ノルボルナン環)、ビシクロ[4.4.0]デカン環(デカリン環)、ビシクロ[5.3.0]デカン環、ビシクロ[4.3.0]ノナン環(ヒドリンダン環)、ビシクロ[3.3.0]オクタン環、ビシクロ[3.3.1]ノナン環等の二環系の飽和炭化水素環;トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環(テトラヒドロジシクロペンタジエン環)、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン環(アダマンタン環)等の三環系の飽和炭化水素環等が挙げられる。より好ましくは、環Y及び環Yは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいシクロヘキサン環を表す。シクロアルカン環、ベンゼン環及びナフタレン環における置換基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリール-アルキル基(アリール基で置換されたアルキル基)、アルキル-アリール基(アルキル基で置換されたアリール基)、アルキル-オキシ基、アルケニル-オキシ基、アリール-オキシ基、アルキル-オキシ-カルボニル基、アルケニル-オキシ-カルボニル基、アリール-オキシ-カルボニル基、アルキル-カルボニル-オキシ基、アルケニル-カルボニル-オキシ基、アリール-カルボニル-オキシ基等が挙げられる。中でも、環Y及び環Yは、無置換のシクロヘキサン環が特に好ましい。
【0203】
Yの具体例としては、式(Y1)~(Y14)で表される2価の基が挙げられ、式(Y1)で表される2価の基が特に好ましい。式(Y1)~(Y14)中、*は、結合手を示す。
【化27】
【0204】
好ましい一例において、(C)成分が含有する式(C2)で表される構造単位の割合は、(C)成分の分子全体の質量100質量%に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、90質量%以上でもよい。
【0205】
一実施形態において、(C)ポリカルボジイミド化合物は、式(C4)で表される化合物であることが好ましい。
【化28】
(式(C4)において、Rは、それぞれ独立して、水素原子、又はメチル基を表し;
は、それぞれ独立して、カルボニル基、メチレン基、フェニレン基、又はフェニレン-メチレン基を表し;Xは、それぞれ独立して、炭素原子数2~4の2価の飽和炭化水素基を表し;Zは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数2~300の2価の飽和炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数2~300の2価の不飽和炭化水素基を表し;aは、それぞれ独立して、0、又は1以上の整数を表し;bは、それぞれ独立して、b≦1を表し;cは、それぞれ独立して、c≦1以上を表し;dは、0、又はd≦1以上を表し;、Yは、それぞれ独立して、上述した基を表す。a単位、b単位、c単位及びd単位は、それぞれ、単位毎に同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
【0206】
式(C4)において、Rは、それぞれ独立して、水素原子、又はメチル基を示す。
【0207】
式(C4)において、Xは、それぞれ独立して、カルボニル基、メチレン基、フェニレン基、又はフェニレン-メチレン基(結合方向は特に限定されないが、フェニレン側が「R-C」におけるCと結合していることが好ましい)を表す。好ましくは、Xは、それぞれ独立して、メチレン基、又はカルボニル基である。フェニレン-メチレン基は、1,2-フェニレン-メチレン基、1,3-フェニレン-メチレン基、及び1,4-フェニレン-メチレン基を含む。
【0208】
式(C4)において、Xは、それぞれ独立して、炭素原子数2~4の2価の飽和炭化水素基を表す。2価の飽和炭化水素基は、直鎖状でもよく、分枝鎖状でもよく、環状でもよい。炭素原子数2~4の2価の飽和炭化水素基の具体例としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等の炭素原子数2~4の直鎖アルキレン基;エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、エチルメチルメチレン基等の炭素原子数2~4の分枝鎖アルキレン基等が挙げられる。Xは、一実施形態において、それぞれ独立して、好ましくは、炭素原子数2又は3の2価の飽和炭化水素基であり、より好ましくは、エチレン基(-CH-CH-)を示す。
【0209】
式(C4)において、Zは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数2~300の2価の飽和炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素原子数2~300の2価の不飽和炭化水素基を表す。好ましくは、Zは、それぞれ独立して、炭素原子数2~300の2価の飽和炭化水素基、又は炭素原子数2~300の2価の不飽和炭化水素基を表す。より好ましくは、Zは、それぞれ独立して、下記式(Z1)~(Z8)からなる群より選ばれる構造単位を有する炭素原子数300以下の2価の炭化水素基を表す。更に好ましくは、Zは、それぞれ独立して、式(Z1)~(Z8)からなる群より選ばれる構造単位からなる炭素原子数300以下の2価の炭化水素基を表す。
【化29】
(式中、*は結合手を表す。)
【0210】
Zは、それぞれ独立して、式(Z1)で表される構造単位を有する炭素原子数300以下の2価の炭化水素基を表すことが更に好ましく;式(Z1)~(Z8)から選ばれる構造単位からなり、且つ、少なくとも式(Z1)で表される構造単位を有する炭素原子数300以下の2価の炭化水素基を表すことが更に好ましい。中でも、Zは、下記式(Z-1)で表される炭素原子数300以下の2価の炭化水素基を表すことが特に好ましい。
【化30】
(式(Z-1)において、nは、1以上の整数を示し;*は結合手を示す。)
【0211】
式(C4)において、aは、それぞれ独立して、0、又は1以上の整数を表し、好ましくは、0、又は1~10の整数であり、より好ましくは、0、又は1である。
【0212】
式(C4)において、bはカルボジイミド基の平均重合度を表す。bは、それぞれ独立して、b≦1以上を表し、好ましくは、1以上の整数であり、より好ましくは1~100であり、さらに好ましくは、1~100の整数、1~10、1~10の整数である。
【0213】
式(C4)において、cはZが表す置換基を有していてもよい炭素原子数2~300の2価の飽和炭化水素基の平均重合度を表す。cは、それぞれ独立して、c≦1以上を表し、好ましくは、1以上の整数であり、より好ましくは1~100であり、さらに好ましくは、1~100の整数であり、1~10であり、1~10の整数であり、又は1である。
【0214】
式(C4)において、dは、Zが表す基とポリカルボジイミドとの平均重合度を表す。dは、それぞれ独立して、0、又はd≦1以上を表し、好ましくは、0、又は1~100であり、より好ましくは、0、又は1~100の整数であり、さらに好ましくは0、又は1~10、もしくは0、又は1~10の整数である。
【0215】
(C)成分は、その製法に由来して、分子中にイソシアネート基(-N=C=O)を含有する場合がある。(C)成分中のイソシアネート基の含有量(「NCO含有量」ともいう。)は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、さらにより好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下又は0.5質量%以下である。
【0216】
式(C4)で表される(C)成分の具体例としては、以下の(S1)~(S5)で表される化合物を挙げることができる。但し、(C)成分は、これら具体例に限定されるものではない。式中、b’は式(C4)中のbと同じであり、d’は式(C4)中のdと同じであり、e’は式(C4)中のcと同じである。なお、式(S5)中、e’単位として、1,2-付加構造単位のみを表記しているが、1,4-付加構造単位(cis、trans)も含む。
【化31】
【0217】
式(C2)で表される構造単位を有する(C)成分、及び式(C4)で表される構造単位を有する(C)成分は、例えば以下の方法により製造することができる。具体的には、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、及び3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン-1-オキシド等のカルボジイミド化触媒を混合、攪拌することでカルボジイミド化反応を行い、イソシアネート末端ポリカルボジイミドを得て、その後、得られたイソシアネート末端ポリカルボジイミドと、(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性基を有する化合物と、必要に応じて両末端水酸基ポリブタジエン等のその他の重合性化合物とを反応させる方法が挙げられる。
【0218】
樹脂組成物層中の(C)成分の含有量は、樹脂組成物層中の樹脂成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01質量%以上又は0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上又は0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上又は1.5質量%以上、特に好ましくは2質量%以上、2.5質量%以上又は3質量%以上である。上限は、好ましくは30質量%以下又は25質量%以下、より好ましくは20質量%以下又は15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下又は9質量%以下、特に好ましくは8質量%以下又は7質量%以下である。また、一実施形態において、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下等とし得る。
【0219】
樹脂組成物層中の(C)成分の含有量は、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.001質量%以上、0.005質量%以上又は0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、0.1質量%以上又は0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、0.4質量%以上又は0.5質量%以上、特に好ましくは0.6質量%以上、0.7質量%以上又は0.8質量%以上である。上限は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下又は4質量%以下、特に好ましくは3質量%以下又は2質量%以下である。また、一実施形態において、1.8質量%以下、1.5質量%以下、1.2質量%以下、1質量%以下等とし得る。
【0220】
樹脂組成物層中の(1A)成分、(B)成分及び(C)成分の含有量の合計は、樹脂組成物層中の樹脂成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、特に好ましくは35質量%以上又は40質量%以上である。上限は特に制限はないが、100質量%でもよく、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下等とし得る。
【0221】
樹脂組成物層中の(C)成分に対する(1A)成分の質量比[(1A)成分/(C)成分]は、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.1以上又は0.2以上、より好ましくは0.5以上又は0.8以上、さらに好ましくは1以上又は1.2以上、特に好ましくは1.5以上又は1.8以上である。また、一実施形態において、2以上、2.5以上、3以上等とし得る。上限は、好ましくは50以下又は40以下、より好ましくは30以下又は25以下、さらに好ましくは20以下、15以下又は10以下、特に好ましくは8以下、6以下又は5以下である。また、一実施形態において、4以下、3.5以下等とし得る。一実施形態において、質量比[(1A)成分/(C)成分]は、0.1~50であることが好ましい。
【0222】
<(D)硬化剤>
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、任意の成分として、(D)硬化剤を含有してもよく、(D)硬化剤を含有することが好ましい。ただし、(C)成分に該当するものは、(D)成分から除かれる。(D)硬化剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。一実施形態において、(D)硬化剤は、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。一実施形態において、(D)硬化剤は、エポキシ樹脂硬化剤を含むことが好ましく、(D)硬化剤は、エポキシ樹脂硬化剤であることがより好ましい。
【0223】
(D)硬化剤の反応基当量は、好ましくは50g/eq.~3,000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1,000g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~500g/eq.、特に好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。反応基当量は、反応基1当量あたりの(D)硬化剤の質量である。
【0224】
好適な一実施形態において、本発明の樹脂シートの樹脂組成物層において、(D)硬化剤は、活性エステル樹脂を含む。(D)硬化剤が活性エステル樹脂を含むことにより、リフロー耐性が高い硬化物をもたらすこともできる。
【0225】
活性エステル樹脂としては、1分子中に1個以上の活性エステル基を有する化合物を用いることができる。中でも、活性エステル樹脂としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましい。当該活性エステル樹脂は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル樹脂が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル樹脂がより好ましい。
【0226】
カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0227】
フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
【0228】
活性エステル樹脂の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル樹脂(以下「ジシクロペンタジエン型活性エステル樹脂」ともいう。)、ナフタレン構造を含む活性エステル樹脂、りん含有活性エステル樹脂、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル樹脂、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル樹脂、ブタジエン構造を含む活性エステル樹脂等が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル樹脂、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル樹脂又はブタジエン構造を含む活性エステル樹脂が好ましく、ナフタレン構造を含む活性エステル樹脂がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
【0229】
活性エステル樹脂の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル樹脂として「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000-65T」、「EXB-8000H」、「HPC-8000L-65MT」、「EXB-8000L-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含むナフタレン型活性エステル樹脂として「EXB-9416-70BK」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-8150L-65T」、「HPC-8150-62T」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-8」(DIC社製)、「PC1300-02-65T」、「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製);りん含有活性エステル樹脂として「EXB-9401」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル樹脂として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル樹脂として「YLH1026」(三菱ケミカル社製)、「YLH1030」(三菱ケミカル社製)、「YLH1048」(三菱ケミカル社製)、「EXB-8500-65T」(DIC社製)等が挙げられる。
【0230】
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、さらに活性エステル樹脂以外の硬化剤を含んでもよい。活性エステル樹脂以外の硬化剤としては、例えば、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びチオール系硬化剤等が挙げられる。一実施形態において、本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層において、(D)硬化剤は、活性エステル樹脂及びフェノール系硬化剤を含むことが好ましい。
【0231】
フェノール系硬化剤としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環に結合した水酸基(フェノール性水酸基)を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する硬化剤を用い得る。耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤が好ましい。また、被着体に対する密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂が好ましい。
【0232】
フェノール系硬化剤の具体例としては、例えば、UBE社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、「MEH-7600」、「MEH-7851」、「MEH-8000H」;日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、「GPH-65」、「GPH-103」;日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN-170」、「SN-180」、「SN-190」、「SN-475」、「SN-485」、「SN-495V」、「SN-495」、「SN-375」、「SN-395」;DIC社製の「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-3018」、「LA-3018-50P」、「LA-1356」、「TD-2090」、「TD2131」、「TD-2090-60M」、「KA-1160」、「KA-1163」、「KA-1165」等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0233】
酸無水物系硬化剤としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する硬化剤が挙げられ、1分子内中に2個以上の酸無水物基を有する硬化剤が好ましい。酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0234】
酸無水物系硬化剤の市販品としては、新日本理化社製の「HNA-100」、「MH-700」、「MTA-15」、「DDSA」、「OSA」;三菱ケミカル社製の「YH-306」、「YH-307」;レゾナック社製の「HN-2200」、「HN-5500」;クレイバレー社製「EF-30」、「EF-40」、「EF-60」、「EF-80」等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0235】
アミン系硬化剤としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のアミノ基を有する硬化剤が挙げられる。アミン系硬化剤が有するアミノ基は、第1級アミノ基又は第2級アミノ基が好ましく、第1級アミノ基がより好ましい。アミン系硬化剤としては、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、本発明の所望の効果を奏する観点から、芳香族アミン類が好ましい。アミン系硬化剤は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。
【0236】
アミン系硬化剤の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系硬化剤は市販品を用いてもよく、例えば、セイカ社製「SEIKACURE-S」、日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」、住友精化社製「DTDA」等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0237】
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OP100D」、「ODA-BOZ」;昭和高分子社製の「HFB2006M」;四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」などが挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0238】
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート))、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、arxada社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0239】
チオール系硬化剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0240】
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層が(D)硬化剤を含有する場合、樹脂組成物層中の(D)成分の含有量は、樹脂組成物層中の樹脂成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは1質量%以上又は5質量%以上、より好ましくは10質量%以上又は15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上又は25質量%以上、特に好ましくは30質量%以上、35質量%以上又は40質量%以上である。上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下又は70質量%以下、さらに好ましくは65質量%以下又は60質量%以下、特に好ましくは55質量%以下又は50質量%以下である。
【0241】
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層が(D)硬化剤を含有する場合、樹脂組成物層中の(D)成分の含有量は、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上又は5質量%以上、特に好ましくは8質量%以上又は10質量%以上である。上限は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下又は18質量%以下、特に好ましくは15質量%以下又は13質量%以下である。
【0242】
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層が(D)硬化剤を含有する場合、樹脂組成物層中の(1A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の含有量の合計は、樹脂組成物層中の樹脂成分を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上又は70質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上又は80質量%以上、特に好ましくは85質量%以上又は90質量%以上である。上限は特に制限はないが、100質量%でもよく、99質量%以下、98質量%以下、97質量%以下、96質量%以下、95質量%以下等とし得る。
【0243】
樹脂組成物層中の(B)エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数に対する(D)硬化剤の活性基のモル数の比(硬化剤の活性基のモル数/エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数)は、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01以上又は0.05以上、より好ましくは0.1以上又は0.2以上、さらに好ましくは0.5以上又は0.8以上、特に好ましくは1以上又は1.05以上である。上限は、好ましくは100以下又は50以下、より好ましくは10以下又は8以下、さらに好ましくは5以下、3以下又は2以下、特に好ましくは1.8以下、1.5以下又は1.2以下である。「硬化剤の活性基のモル数」は、「硬化剤の配合量÷硬化剤の反応基当量」により算出することができる。「エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数」は、「エポキシ樹脂の配合量÷エポキシ樹脂のエポキシ当量」により、算出することができる。
【0244】
<(E)無機充填材>
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、任意の成分として、(E)無機充填材を含有してもよく、(E)無機充填材を含有することが好ましい。樹脂組成物層に(E)無機充填材を含有させることにより、硬化物の誘電正接をさらに低下させることができる。
【0245】
(E)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いることができる。(E)無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、シリカが好ましい。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカの形状としては球形シリカが好ましい。(E)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0246】
(E)無機充填材の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」、「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」、「SC2300-SVJ」、「SC2050-SXF」、「180nmSX-C1」;デンカ社製の「UFP-30」、「DAW-03」、「FB-105FD」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;太平洋セメント社製の「セルスフィアーズ」、「MGH-005」などが挙げられる。
【0247】
(E)無機充填材の平均粒径は、硬化物(絶縁層)表面が低粗度となり、微細配線形成を容易にする観点から、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2μm以下、さらにより好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.7μm以下又は0.6μm以下である。(E)無機充填材の平均粒径の下限は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.15μm以上、0.2μm以上、0.3μm以上又は0.4μm以上である。(E)無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。レーザー回折式粒径分布測定装置の使用光源波長としては、青色及び赤色とすることができ、フローセル方式で測定することができる。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
【0248】
(E)無機充填材の比表面積は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1m/g以上、より好ましくは0.5m/g以上、さらに好ましくは1m/g以上又は3m/g以上である。(E)無機充填材の比表面積の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは100m/g以下、より好ましくは70m/g以下、さらに好ましくは50m/g以下、特に好ましくは40m/g以下、30m/g以下、20m/g以下又は10m/g以下である。無機充填材の比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
【0249】
(E)無機充填材は、表面処理剤で表面処理されていることが好ましい。表面処理されることにより、(E)無機充填材の耐湿性及び分散性を高めることができる。表面処理剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル系シランカップリング剤;3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリル系シランカップリング剤;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル系シランカップリング剤;N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-8-アミノオクチルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート系シランカップリング剤;3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等の等のウレイド系シランカップリング剤;3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート系シランカップリング剤;3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等の酸無水物系シランカップリング剤;ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;等のシランカップリング剤、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等の非シランカップリング-アルコキシシラン化合物、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。また、表面処理剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。一実施形態において、(E)無機充填材はアミノ系シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましく、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランで表面処理されていることがより好ましい。
【0250】
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量部は、0.2質量部~5質量部の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量部~3質量部で表面処理されていることが好ましく、0.3質量部~2質量部で表面処理されていることが好ましい。
【0251】
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上がさらに好ましい。上限は、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
【0252】
(E)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄み液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
【0253】
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層が(E)無機充填材を含有する場合、樹脂組成物層中の(E)成分の含有量は、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは10質量%以上又は20質量%以上、より好ましくは30質量%以上又は40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上、50質量%以上又は55質量%以上、特に好ましくは60質量%以上、65質量%以上又は70質量%以上である。上限は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、特に好ましくは75質量%以下である。
【0254】
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層が(E)無機充填材を含有する場合、樹脂組成物層中の(1A)成分、(B)成分、(C)成分及び(E)成分の含有量の合計は、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上又は65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上又は75質量%以上、特に好ましくは80質量%以上又は84質量%以上である。上限は特に制限はないが、100質量%でもよく、99質量%以下、98質量%以下、95質量%以下、92質量%以下、90質量%以下、88質量%以下等とし得る。
【0255】
<(1F)その他のマレイミド化合物>
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、任意の成分として、(1A)成分以外のマレイミド化合物(以下、「(1F)その他のマレイミド化合物」という。)を含有してもよい。(1F)その他のマレイミド化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0256】
(1F)その他のマレイミド化合物としては、1分子中に1個以上(好ましくは2個以上)のマレイミド基(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル基)を有し、(1A)成分に該当しない限り、その種類は特に限定されない。マレイミド化合物としては、例えば、「BMI-3000J」、「BMI-5000」、「BMI-1400」、「BMI-1500」、「BMI-1700」、「BMI-689」(いずれもDesigner Molecules Inc.製)などのダイマージアミン由来の炭素原子数36の脂肪族骨格を含むマレイミド化合物;「SLK-1500」(信越化学工業社製)、「SLK-6895」(信越化学工業社製)、「BMI-TMH」(大和化成社製)などの脂肪族マレイミド化合物;発明協会公開技報公技番号2020-500211号に記載される、インダン骨格を含むマレイミド化合物;「MIR-3000-70MT」、「MIR-5000-60T」(日本化薬社製)、「BMI-4000」、「BMI-2300」(大和化成社製)、「BMI-80」、「BMI-70」(ケイアイ化成社製)などのマレイミド基の窒素原子と直接結合している芳香環骨格を含むマレイミド化合物;等が挙げられる。
【0257】
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層が(1F)その他のマレイミド化合物を含有する場合、樹脂組成物層中の(1F)成分の含有量は、樹脂組成物層中の樹脂成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上又は0.2質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上又は0.8質量%以上である。また、一実施形態において、1質量%以上、1.5質量%以上、2質量%以上、2.5質量%以上、3質量%以上等とし得る。上限は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下又は15質量%以下、さらに好ましくは12質量%以下又は10質量%以下、特に好ましくは8質量%以下又は7質量%以下である。また、一実施形態において、6質量%以下、5.5質量%以下、5質量%以下、4.5質量%以下、4質量%以下等とし得る。
【0258】
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層が(1F)その他のマレイミド化合物を含有する場合、樹脂組成物層中の(1F)成分の含有量は、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上又は0.01質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上又は0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上又は0.25質量%以上である。また、一実施形態において、0.3質量%以上、0.5質量%以上、0.8質量%以上、1質量%以上等とし得る。上限は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下又は3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下又は1.8質量%以下である。また、一実施形態において、1.5質量%以下、1.2質量%以下等とし得る。
【0259】
<(G)ラジカル重合性樹脂>
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、任意の成分として、(G)ラジカル重合性樹脂を含有してもよい。ただし、(1A)成分又は(1F)成分に該当するものは、(G)成分から除かれる。(G)ラジカル重合性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0260】
(G)ラジカル重合性樹脂は、エチレン性不飽和結合を含有しうる。よって、(G)ラジカル重合性樹脂は、エチレン性不飽和結合を含むラジカル重合性基を有しうる。ラジカル重合性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、3-シクロヘキセニル基、3-シクロペンテニル基、2-ビニルフェニル基、3-ビニルフェニル基、4-ビニルフェニル基等の不飽和炭化水素基;アクリロイル基、メタクリロイル基等のα,β-不飽和カルボニル基等が挙げられる。(G)ラジカル重合性樹脂は、ラジカル重合性基を2個以上有することが好ましい。
【0261】
(G)ラジカル重合性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系ラジカル重合性樹脂、スチレン系ラジカル重合性樹脂、アリル系ラジカル重合性樹脂などが挙げられる。(G)成分としては、スチレン系ラジカル重合性樹脂、アリル系ラジカル重合性樹脂、及びスチレン系ラジカル重合性樹脂のいずれかを含むことが好ましく、スチレン系ラジカル重合性樹脂を含むことがさらに好ましい。
【0262】
(メタ)アクリル系ラジカル重合性樹脂は、例えば、1個以上、好ましくは2個以上のアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有する化合物である。(メタ)アクリル系ラジカル重合性樹脂としては、例えば、シクロヘキサン-1,4-ジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン-1,3-ジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの低分子量(分子量1000未満)の脂肪族(メタ)アクリル酸エステル化合物;ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、3,6,9-トリオキサウンデカン-1,11-ジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなどの低分子量(分子量1000未満)のエーテル含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;トリス(3-ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートなどの低分子量(分子量1000未満)のイソシアヌレート含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリル変性ポリフェニレンエーテル樹脂などの高分子量(分子量1000以上)のアクリル酸エステル化合物などが挙げられる。(メタ)アクリル系ラジカル重合性樹脂の市販品としては、例えば、新中村化学工業社製の「A-DOG」(ジオキサングリコールジアクリレート)、共栄社化学社製の「DCP-A」(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、「DCP」(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)、日本化薬社製の「KAYARAD R-684」(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、「KAYARAD R-604」(ジオキサングリコールジアクリレート)、SABIC社製の「SA9000」、「SA9000-111」(メタクリル変性ポリフェニレンエーテル)などが挙げられる。
【0263】
スチレン系ラジカル重合性樹脂は、例えば、芳香族炭素原子に直接結合した1個以上、好ましくは2個以上のビニル基を有する化合物である。スチレン系ラジカル重合性樹脂としては、例えば、ジビニルベンゼン、2,4-ジビニルトルエン、2,6-ジビニルナフタレン、1,4-ジビニルナフタレン、4,4’-ジビニルビフェニル、1,2-ビス(4-ビニルフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ビニルフェニル)プロパン、ビス(4-ビニルフェニル)エーテルなどの低分子量(分子量1000未満)のスチレン系化合物;スチレン変性ポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体などの高分子量(分子量1000以上)のスチレン系化合物などが挙げられる。スチレン系ラジカル重合性樹脂の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ODV-XET(X03)」、「ODV-XET(X04)」、「ODV-XET(X05)」(スチレン-ジビニルベンゼン共重合体)、三菱ガス化学社製の「OPE-2St 1200」、「OPE-2St 2200」(スチレン変性ポリフェニレンエーテル樹脂)が挙げられる。また、スチレン系ラジカル重合性樹脂としては、例えば、国際公開第2017/115813号に記載の共重合体A等が挙げられる。
【0264】
アリル系ラジカル重合性樹脂は、例えば、1個以上、好ましくは2個以上のアリル基を有する化合物である。アリル系ラジカル重合性樹脂としては、例えば、ジフェン酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジアリル、2,3-ナフタレンカルボン酸ジアリルなどの芳香族カルボン酸アリルエステル化合物;1,3,5-トリアリルイソシアヌレート、1,3-ジアリル-5-グリシジルイソシアヌレートなどのイソシアヌル酸アリルエステル化合物;2,2-ビス[3-アリル-4-(グリシジルオキシ)フェニル]プロパンなどのエポキシ含有芳香族アリル化合物;ビス[3-アリル-4-(3,4-ジヒドロ-2H-1,3-ベンゾオキサジン-3-イル)フェニル]メタンなどのベンゾオキサジン含有芳香族アリル化合物;1,3,5-トリアリルエーテルベンゼンなどのエーテル含有芳香族アリル化合物;ジアリルジフェニルシランなどのアリルシラン化合物などが挙げられる。アリル系ラジカル重合性樹脂の市販品としては、例えば、日本化成社製の「TAIC」(1,3,5-トリアリルイソシアヌレート)、日触テクノファインケミカル社製の「DAD」(ジフェン酸ジアリル)、富士フイルム和光純薬社製の「TRIAM-705」(トリメリット酸トリアリル)、日触テクノファインケミカル社製の商品名「DAND」(2,3-ナフタレンカルボン酸ジアリル)、四国化成工業社製「ALP-d」(ビス[3-アリル-4-(3,4-ジヒドロ-2H-1,3-ベンゾオキサジン-3-イル)フェニル]メタン)、日本化薬社製の「RE-810NM」(2,2-ビス[3-アリル-4-(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン)、四国化成工業社製の「DA-MGIC」(1,3-ジアリル-5-グリシジルイソシアヌレート)などが挙げられる。
【0265】
(G)ラジカル重合性樹脂のエチレン性不飽和結合当量は、好ましくは20g/eq.~3,000g/eq.、より好ましくは50g/eq.~2,500g/eq.、さらに好ましくは70g/eq.~2,000g/eq.、特に好ましくは90g/eq.~1,500g/eq.である。エチレン性不飽和結合当量は、エチレン性不飽和結合1当量あたりのラジカル重合性樹脂の質量を表す。
【0266】
(G)ラジカル重合性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100,000以下、80,000以下、50,000以下又は40,000以下、より好ましくは10,000以下、さらに好ましくは5,000以下、特に好ましくは3,000以下である。下限は、特に限定されるものではないが、例えば、150以上などとしうる。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
【0267】
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層が(G)ラジカル重合性樹脂を含有する場合、樹脂組成物層中の(G)成分の含有量は、樹脂組成物層中の樹脂成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.1質量%以上又は0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上又は2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上又は4質量%以上、特に好ましくは5質量%以上又は6質量%以上である。上限は、好ましくは30質量%以下又は25質量%以下、より好ましくは20質量%以下又は15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下又は15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下又は8質量%以下である。
【0268】
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層が(G)ラジカル重合性樹脂を含有する場合、樹脂組成物層中の(G)成分の含有量は、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上又は0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上又は1質量%以上、特に好ましくは1.2質量%以上又は1.5質量%以上である。上限は、好ましくは15質量%以下又は12質量%以下、より好ましくは10質量%以下又は8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下又は4質量%以下、特に好ましくは3質量%以下又は2質量%以下である。
【0269】
<(H)有機充填材>
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、任意の成分として、(H)有機充填材を含有してもよく、(H)有機充填材を含有することが好ましい。(H)有機充填材は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0270】
(H)有機充填材は、樹脂組成物中に粒子状の形態で存在する。(H)有機充填材としては、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子、コア-シェル型粒子などが挙げられ、本発明においては、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、(H)有機充填材は、ゴム粒子、及びコア-シェル型粒子のいずれかを含むことが好ましく、ゴム粒子を含むことがより好ましく、コア-シェル型ゴム粒子を含むことがさらに好ましい。
【0271】
ゴム粒子に含まれるゴム成分としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロブタジエン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-イソブチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、イソプレン-イソブチレン共重合体、イソブチレン-ブタジエン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体等のオレフィン系熱可塑性エラストマー;ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、ポリ(メタ)アクリル酸オクチル等のアクリル系熱可塑性エラストマー;等の熱可塑性エラストマーが挙げられ、好ましくはアクリル系熱可塑性エラストマーである。ゴム成分としてアクリル系熱可塑性エラストマーを含むゴム粒子を「アクリル系ゴム粒子」と呼ぶ。ゴム成分としてアクリル系熱可塑性エラストマーを含むコア-シェル型粒子を「アクリル系コア-シェル型粒子」と呼ぶ。ゴム成分としてアクリル系熱可塑性エラストマーを含むコア-シェル型ゴム粒子を「アクリル系コア-シェル型ゴム粒子」と呼ぶ。すなわち、(H)有機充填材は、アクリル系ゴム粒子及びアクリル系コア-シェル型粒子のいずれかを含むことが好ましく、アクリル系ゴム粒子を含むことがより好ましく、アクリル系コア-シェル型ゴム粒子を含むことがさらに好ましい。さらにゴム成分には、ポリオルガノシロキサンゴム等のシリコーン系ゴムを混合してもよい。ゴム粒子に含まれるゴム成分は、ガラス転移温度が0℃以下であることが好ましく、-10℃以下であることがより好ましく、-20℃以下であることがさらに好ましく、-30℃以下であることが特に好ましい。
【0272】
ゴム粒子としては、市販品を用いてもよく、例えば、ダウ・ケミカル日本社製の「EXL-2655」、アイカ工業社製の「スタフィロイドAC3401N」、「スタフィロイドAC3816N」等が挙げられる。「スタフィロイドAC3816N」は、コア-シェル型ゴム粒子にも該当する。
【0273】
コア-シェル型粒子とは、上記で挙げたようなゴム成分を含むコア粒子と、それを覆う1層以上のシェル部からなる粒子状の有機充填材である。さらに、コア-シェル型粒子は、上記で挙げたようなゴム成分を含むコア粒子と、コア粒子に含まれるゴム成分と共重合可能なモノマー成分をグラフト共重合させたシェル部からなるコア-シェル型グラフト共重合体粒子であることが好ましい。ここでいうコア-シェル型とは、必ずしもコア粒子とシェル部が明確に区別できるもののみを指しているわけではなく、コア粒子とシェル部の境界が不明瞭なものも含み、コア粒子はシェル部で完全に被覆されていなくてもよい。
【0274】
ゴム成分は、コア-シェル型グラフト共重合体粒子中に、40質量%以上含有することが好ましく、50質量%以上含有することがより好ましく、60質量%以上含有することがさらに好ましい。コア-シェル型グラフト共重合体粒子中のゴム成分の含有量の上限は、特に限定されるものではないが、コア粒子をシェル部で十分に被覆する観点から、例えば、95質量%以下、90質量%であることが好ましい。
【0275】
コア-シェル型グラフト共重合体粒子のシェル部を形成するモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸;N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のN-置換マレイミド;マレイミド;マレイン酸、イタコン酸等のα,β-不飽和カルボン酸;スチレン、4-ビニルトルエン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル等が挙げられ、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。
【0276】
コア-シェル型グラフト共重合体粒子の市販品としては、例えば、サムスンSDI社製の「CHT」;テクノUMG社製の「B602」;ダウ・ケミカル日本社製の「パラロイドEXL2602」、「パラロイドEXL2603」、「パラロイドEXL-2655」、「パラロイドEXL2311」、「パラロイドEXL2313」、「パラロイドEXL2315」、「パラロイドKM330」、「パラロイドKM336P」、「パラロイドKCZ201」;三菱ケミカル社製の「メタブレンC-223A」、「メタブレンE-901」、「メタブレンS-2001」、「メタブレンW-450A」「メタブレンSRK-200」;カネカ社製の「カネエースM-511」、「カネエースM-600」、「カネエースM-400」、「カネエースM-580」、「カネエースMR-01」等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0277】
コア-シェル型グラフト共重合体粒子の平均粒径(平均一次粒子径)は、特に限定されるものではないが、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上、さらに好ましくは80nm以上、特に好ましくは100nm以上である。上限は、好ましくは5,000nm以下、より好ましくは2,000nm以下、さらに好ましくは1,000nm以下、特に好ましくは500nm以下である。コア-シェル型グラフト共重合体粒子の平均粒径(平均一次粒子径)は、ゼータ電位粒度分布測定装置等を用いて測定できる。
【0278】
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層が(H)有機充填材を含有する場合、樹脂組成物層中の(H)成分の含有量は、樹脂組成物層中の樹脂成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上又は2質量%以上、特に好ましくは3質量%以上又は4質量%以上である。また、一実施形態において、5質量%以上、5.5質量%以上、6質量%以上等とし得る。上限は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下又は20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下又は10質量%以下、特に好ましくは9質量%以下又は8質量%以下である。また、一実施形態において、7質量%以下、6.5質量%以下等とし得る。
【0279】
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層が(H)有機充填材を含有する場合、樹脂組成物層中の(H)成分の含有量は、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01質量%以上又は0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上又は0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上又は0.8質量%以上、特に好ましくは1質量%以上又は1.2質量%以上である。また、一実施形態において、1.5質量%以上等とし得る。上限は、好ましくは15質量%以下又は12質量%以下、より好ましくは10質量%以下又は8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下又は4質量%以下、特に好ましくは3質量%以下又は2質量%以下である。
【0280】
<(I)硬化促進剤>
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、任意の成分として、(I)硬化促進剤を含有してもよく、(I)硬化促進剤を含有することが好ましい。(I)硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0281】
(I)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、ウレア系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。(I)硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(I)硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤又はイミダゾール系硬化促進剤を含むことが好ましく、イミダゾール系硬化促進剤を含むことがより好ましい。
【0282】
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン;4-ジメチルアミノピリジン等のピリジン類;ベンジルジメチルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられ、ピリジン類が好ましく、4-ジメチルアミノピリジンがより好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0283】
アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「MY-25」、広栄化学工業社製の「DMAP」等が挙げられる。
【0284】
リン系硬化促進剤としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物;トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0285】
ウレア系硬化促進剤としては、例えば、1,1-ジメチル尿素;1,1,3-トリメチル尿素、3-エチル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロヘキシル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロオクチル-1,1-ジメチル尿素等の脂肪族ジメチルウレア;3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(2-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジメチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-ニトロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、N,N-(1,4-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)、N,N-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)〔トルエンビスジメチルウレア〕等の芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0286】
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0287】
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体等が挙げられ、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。
【0288】
イミダゾール系硬化促進剤の市販品としては、例えば、四国化成工業社製の「1B2PZ」、「2P4MZ」、「2M4MZ」、「2E4MZ」、「2MZA-PW」、「2MZ-OK」、「2MA-OK」、「2MA-OK-PW」、「2PHZ」、「2PHZ-PW」、「Cl1Z」、「Cl1Z-CN」、「Cl1Z-CNS」、「C11Z-A」;三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0289】
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩等が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0290】
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層が(I)硬化促進剤を含有する場合、樹脂組成物層中の(I)成分の含有量は、樹脂組成物層中の樹脂成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01質量%以上又は0.02質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上又は0.08質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上又は0.2質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上又は0.8質量%以上である。上限は、好ましくは20質量%以下、18質量%以下又は15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、10質量%以下又は8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、4質量%以下又は3質量%以下、特に好ましくは2質量%以下、1.5質量%以下又は1.2質量%以下である。
【0291】
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層が(I)硬化促進剤を含有する場合、樹脂組成物層中の(I)成分の含有量は、樹脂組成物層中の不揮発成分を100質量%としたとき、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.001質量%以上又は0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上又は0.02質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上、0.08質量%以上又は0.1質量%以上、特に好ましくは0.15質量%以上、0.2質量%以上又は0.25質量%以上である。上限は、好ましくは10質量%以下又は8質量%以下、より好ましくは5質量%以下又は2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下又は0.8質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下、0.4質量%以下又は0.3質量%以下である。
【0292】
<(J)有機溶剤>
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、任意の成分として、(J)有機溶剤を含有してもよい。後述の<樹脂シートの製造方法>欄に記載の乾燥の際に樹脂組成物層に有機溶剤が残留した場合、樹脂組成物層は(J)有機溶剤を含有し得る。(J)有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。一実施形態において、(J)有機溶剤は、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
【0293】
(J)有機溶剤としては、例えば、炭素原子、酸素原子、窒素原子、リン原子、硫黄原子、ハロゲン原子及び水素原子から選択される原子で構成される有機溶剤が挙げられる。安全性の観点から、(J)有機溶剤は、炭素原子、酸素原子及び水素原子から選択される原子で構成される有機溶剤であることが好ましく、炭素原子、酸素原子及び水素原子から構成される有機溶剤であることがより好ましい。
【0294】
(J)有機溶剤としては、例えば、グリコール系有機溶剤、グリコールエーテル系有機溶剤、グリコールエーテルエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、エステル系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、アルコール系有機溶剤、脂肪族炭化水素系有機溶剤、芳香族系有機溶剤、窒素系有機溶剤、硫黄系有機溶剤、ハロゲン系有機溶剤等が挙げられる。窒素系有機溶剤としては、アミド系有機溶剤、尿素系有機溶剤、ニトリル系有機溶剤等が挙げられる。安全性の観点から、(J)有機溶剤としては、エステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、グリコール系有機溶剤、グリコールエーテル系有機溶剤、グリコールエーテルエステル系有機溶剤又は芳香族系有機溶剤が好ましく、エステル系有機溶剤、グリコールエーテルエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤又は芳香族系有機溶剤がより好ましく、ケトン系有機溶剤又は芳香族系有機溶剤がさらに好ましく、ケトン系有機溶剤が特に好ましい。
【0295】
グリコール系有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール等が挙げられる。
【0296】
グリコールエーテル系有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル(別名:メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(別名:セロソルブ)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(別名:プロピルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(別名:ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノイソブチルエーテル(別名:イソブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル(別名:tert-ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル等のセロソルブ類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル(別名:メチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(別名:カルビトール)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(別名:プロピルカルビトール)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DB)(別名:ブチルカルビトール)等のカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM、別名:1-メトキシ-2-プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールエーテル類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエ-テル等のジプロピレングリコールエーテル類等が挙げられ、プロピレングリコールエーテル類が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1-メトキシ-2-プロパノール)がより好ましい。
【0297】
グリコールエーテルエステル系有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(別名:メチルセロソルブアセテート)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名:セロソルブアセテート)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名:ブチルセロソルブアセテート)等のセロソルブエステル類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(EDGAc)(別名:カルビトールアセテート)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名:ブチルカルビトールアセテート)等のカルビトールエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEAc)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールエーテルエステル類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のジプロピレングリコールエーテルエステル類等が挙げられ、カルビトールエステル類が好ましく、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートより好ましい。
【0298】
ケトン系有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、2-ペンタノン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン(MAK)、ジイソブチルケトン等の脂肪族非環状ケトン類;シクロペンタノン、シクロヘキサノン(Anone)、2-メチルシクロヘキサノン等の脂肪族環状ケトン類;アセトフェノン等の芳香族ケトン類等が挙げられ、メチルエチルケトン(MEK)又はシクロヘキサノンが好ましい。ケトン系有機溶剤の炭素原子数の下限は2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上がさらに好ましい。ケトン系有機溶剤の炭素原子数の上限は10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下がさらに好ましい。
【0299】
エステル系有機溶剤は、グリコールエーテルエステル系有機溶剤に該当しないエステル構造を有する有機溶剤であり、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸tert-ブチル、酢酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル等の脂肪酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のヒドロキシ酸アルキルエステル類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケト酸アルキルエステル類;γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン等のラクトン類;安息香酸メチル、安息香酸エチル等の芳香族エステル類等が挙げられる。エステル系有機溶剤としては、ラクトン類が好ましい。また、エステル系有機溶剤の炭素原子数は3~9が好ましい。
【0300】
エーテル系有機溶剤は、グリコールエーテル系有機溶剤及びグリコールエーテルエステル系有機溶剤に該当しないエーテル構造を有する有機溶剤であり、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル,メチルtert-ブチルエーテル,エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等の脂肪族非環状エーテル類;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン等の脂肪族環状エーテル類;アニソール、フェネトール等の芳香族エーテル類が挙げられる。エーテル系有機溶剤の炭素原子数は2~9が好ましい。
【0301】
アルコール系有機溶剤は、グリコール系有機溶剤及びグリコールエーテル系有機溶剤には該当しないアルコール構造を有する有機溶剤であり、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、sec-ペンチルアルコール、tert-ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、n-ヘキシルアルコール、n-ヘプチルアルコール、イソヘプチルアルコール、n-オクチルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール等の脂肪族非環状アルコール類;シクロヘキサノール等の脂肪族環状アルコール類;ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等の芳香族アルコール類が挙げられる。
【0302】
脂肪族炭化水素系有機溶剤としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、2-メチルペンタン(別名:イソヘキサン)、n-ヘプタン、n-オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン等が挙げられる。脂肪族炭化水素系有機溶剤の炭素原子数は5~10が好ましい。
【0303】
芳香族系有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、エチルベンゼン等のC6-8芳香族炭化水素;1,2,3-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン(別名:メシチレン)、1,2,4-トリメチルベンゼン、4-エチルトルエン、3-エチルトルエン、2-エチルトルエン等のC芳香族炭化水素;1,2-ジエチルベンゼン、1,3-ジエチルベンゼン、1,4-ジエチルベンゼン、3-エチル-o-キシレン、4-エチル-o-キシレン、2-エチル-p-キシレン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、テトラリン等のC10芳香族炭化水素;ピリジン、フラン、チオフェン等の芳香族複素ヘテロ環化合物等が挙げられ、トルエンが好ましい。芳香族系有機溶剤の炭素原子数は6~10が好ましい。
【0304】
アミド系有機溶剤としては、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等の脂肪族非環状アミド類;N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン等のラクタム類;ヘキサメチルホスホルアミド等のリン酸アミド類等が挙げられる。アミド系有機溶剤の炭素原子数は2~10が好ましい。
【0305】
尿素系有機溶剤としては、例えば、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン等が挙げられる。
【0306】
ニトリル系有機溶剤としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。ニトリル系有機溶剤の炭素原子数は2~10が好ましい。
【0307】
硫黄系有機溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0308】
ハロゲン系有機溶剤としては、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン等が挙げられる。ハロゲン系有機溶剤の炭素原子数は1~10が好ましい。
【0309】
これらの中でも、(J)有機溶剤としては、γ-ブチロラクトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル又はトルエンが好ましく、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル又はトルエンがより好ましく、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル又はトルエンがさらに好ましく、メチルエチルケトン(MEK)又はシクロヘキサノンが特に好ましい。
【0310】
<(K)その他の添加剤>
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、本発明の目的を阻害しない程度に、さらに任意の成分として、(K)その他の添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、例えば、過酸化物系ラジカル重合開始剤、アゾ系ラジカル重合開始剤等のラジカル重合開始剤;フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂;有機銅化合物、有機亜鉛化合物、有機コバルト化合物等の有機金属化合物;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤;シリコーン系レベリング剤、アクリルポリマー系レベリング剤等のレベリング剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;尿素シラン等の接着性向上剤;トリアゾール系密着性付与剤、テトラゾール系密着性付与剤、トリアジン系密着性付与剤等の密着性付与剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;リン系難燃剤(例えばリン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸化合物、赤リン)、窒素系難燃剤(例えば硫酸メラミン)、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤(例えば三酸化アンチモン)等の難燃剤;リン酸エステル系分散剤、ポリオキシアルキレン系分散剤、アセチレン系分散剤、シリコーン系分散剤、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤等の分散剤;ボレート系安定剤、チタネート系安定剤、アルミネート系安定剤、ジルコネート系安定剤、イソシアネート系安定剤、カルボン酸系安定剤、カルボン酸無水物系安定剤等の安定剤等が挙げられる。斯かる添加剤の含有量は、樹脂組成物に要求される特性に応じて決定してよい。また、前記(1A)~(J)成分が、ラジカル重合開始剤、熱可塑性樹脂、有機金属化合物、着色剤、重合禁止剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、紫外線吸収剤、接着性向上剤、密着性付与剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、界面活性剤、難燃剤、分散剤、安定剤等の機能を有していてもよい。その場合、当該成分は(K)成分ではなく、(1A)~(J)成分の各成分とみなす。
【0311】
<保護フィルム>
本発明の第1実施形態に係る樹脂シートは、必要に応じて、その他の層として支持体に準じた保護フィルムを含んでいてもよい。保護フィルムは、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられる。保護フィルムを樹脂シートに積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
【0312】
保護フィルムとしては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
【0313】
保護フィルムとしてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0314】
保護フィルムとして金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
【0315】
保護フィルムは、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
【0316】
また、保護フィルムとしては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き保護フィルムを使用してもよい。離型層付き保護フィルムの離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型剤の市販品としては、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」等が挙げられる。また、離型層付き保護フィルムは、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤やポリオレフィン樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、東洋紡社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
【0317】
保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~75μmである。保護フィルムが、離型層付き保護フィルム等の複層構造である場合、保護フィルム全体の厚さが斯かる範囲であることが好ましい。
【0318】
[第2実施形態に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート]
本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを有し、樹脂組成物層が、(2A)第2の特定構造を有するマレイミド化合物、(B)エポキシ樹脂、及び(C)ポリカルボジイミド化合物を含有する。第2の特定構造については後述する。このような樹脂シートによれば、優れたスミア除去性及び優れた耐熱性(ガラス転移温度)を示し、かつ高温高湿環境に暴露された場合であっても高い密着強度(CZ銅ピール強度)を示し、当該3つの特性を両立する硬化物(絶縁層)をもたらすことができる。本発明における「密着強度」とは、本発明の半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物からなる絶縁層と導体層の密着強度を意味する。本発明者らは、導体層が銅である場合における密着強度が特に優れていることを確認している。絶縁層と銅の密着強度としては、「CZ銅ピール強度」と「メッキピール強度」が挙げられる。「CZ銅ピール強度」とは、絶縁層と導体層(銅)をラミネートにより接合した際の絶縁層と導体層(銅)の密着性強度を意味する。「メッキピール強度」とは、絶縁層上にメッキにより導体層(銅)を形成した場合の絶縁層と導体層(銅)の密着強度を意味する。本発明によれば、CZ銅ピール強度及びメッキピール強度の両方が優れた硬化物(絶縁層)をもたらすことができ、特にCZ銅ピール強度が優れた硬化物(絶縁層)をもたらすことができる。本発明によりもたらされる硬化物(絶縁層)はまた、優れた誘電特性(低誘電率、低誘電正接)及び優れたリフロー耐性を示し、線熱膨張係数(CTE)が低く、反りが抑制され、粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さRaが低いことも、本発明者らは確認している。
【0319】
本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートは、半導体パッケージ基板の絶縁層用途として有用である。半導体パッケージ基板としては、例えば、FC-CSP、MIS-BGAパッケージ、ETS-BGAパッケージ、Fan-out型WLP(Wafer Level Package)、Fan-in型WLP、Fan-out型PLP(Panel Level Package)、Fan-in型PLPが挙げられる。以下、「半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シート」を単に「樹脂シート」ということがある。
【0320】
<支持体>
第2実施形態に係る樹脂シートは、支持体を有し、支持体は樹脂組成物層の一方の面と接合している。第2実施形態に係る支持体は、第一実施形態に係る支持体と同じである。
【0321】
<樹脂組成物層>
本発明の第2実施形態に係る樹脂シートは樹脂組成物層を有し、支持体上に設けられる。絶縁層は、樹脂組成物層を熱硬化させることで形成できる。通常、絶縁層は樹脂組成物層の硬化物を含み、好ましくは樹脂組成物層の硬化物のみを含む。前述の通り樹脂組成物層は、(2A)第2の特定構造を有するマレイミド化合物、(B)エポキシ樹脂、及び(C)ポリカルボジイミド化合物を含有する。
【0322】
樹脂組成物層の厚さは、半導体パッケージ基板の薄型化、及び当該樹脂組成物層の硬化物が薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは55μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上、10μm以上等とし得る。
【0323】
樹脂組成物層は、(2A)~(C)成分に組み合わせて、さらに任意の成分を含有してもよい。任意の成分としては、例えば、(D)硬化剤、(E)無機充填材、(2F)その他のマレイミド化合物、(G)ラジカル重合性樹脂、(H)有機充填材、(I)硬化促進剤、(J)有機溶剤、(K)その他の添加剤等が挙げられる。以下、本発明の第2実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層に含まれる各成分について説明する。
【0324】
<(2A)第2の特定構造を有するマレイミド化合物>
本発明の第2実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、(2A)下記式(2)で表される構造単位を有するマレイミド化合物を含有する。(2A)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【化32】
(式(2)中、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5及びRa6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R11はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R12はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R16はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、m+m≦2を満たす。mはそれぞれ独立に0~4の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~5の整数を表し、nはそれぞれ独立に繰り返し単位数を表す。)
【0325】
式(2)中、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5及びRa6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、式(1)中のRa1、Ra2、Ra3及びRa4、並びに式(4)中のRa5及びRa6と同じである。
【0326】
式(2)中、R11はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、式(T-2)中のR11と同じである。
【0327】
式(2)中、R12はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、式(T-2)中のR12と同じである。
【0328】
式(2)中、R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、式(1)中のR13と同じである。
【0329】
式(2)中、R16はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、式(4)中のR16と同じである。
【0330】
式(2)中、mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、m+m≦2を満たす。mは、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。mは、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
【0331】
式(2)中、mはそれぞれ独立に0~4の整数を表し、式(1)中のmと同じである。
【0332】
式(2)中、mはそれぞれ独立に0~5の整数を表し、式(4)中のmと同じである。
【0333】
式(2)中、nはそれぞれ独立に繰り返し単位数を表し、式(1)中のnと同じである。
【0334】
一実施形態において、(2A)成分は、下記式(3)で表される構造を有するマレイミド化合物であることが好ましい。
【化33】
【化34】
(式(3)、式(4)及び式(5)中、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5及びRa6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R11はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R12はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。R16はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表す。mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~3の整数を表し、m+m≦2及びm+m≦3を満たす。mはそれぞれ独立に0~4の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~5の整数を表し、nはそれぞれ独立に繰り返し単位数を表し、nはそれぞれ独立に1以上の整数を表す。XM1は、水素原子又は式(4)で表される1価の基を表す。XM2は、水素原子又は式(5)で表される1価の基を表す。*は結合手を表す。)
【0335】
式(3)、式(4)及び式(5)中、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5及びRa6はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、式(1)中のRa1、Ra2、Ra3及びRa4、並びに式(4)中のRa5及びRa6と同じである。
【0336】
式(3)、式(4)及び式(5)中、R11はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、式(T-2)中のR11と同じである。
【0337】
式(3)中、R12はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、式(T-2)中のR12と同じである。
【0338】
式(3)中、R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、式(1)中のR13と同じである。
【0339】
式(3)、式(4)及び式(5)中、R16はそれぞれ独立に、炭素原子数1~18の炭化水素基を表し、式(4)中のR16と同じである。
【0340】
式(3)及び式(5)中、mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~2の整数を表し、mはそれぞれ独立に0~3の整数を表し、m+m≦2及びm+m≦3を満たす。式(3)及び式(5)中のm及びmは、式(2)中のm及びmと同じである。mは、0~2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
【0341】
式(3)中、mはそれぞれ独立に0~4の整数を表し、式(1)中のmと同じである。
【0342】
式(4)及び式(5)中、mはそれぞれ独立に0~5の整数を表し、第1実施形態に係る式(4)中のmと同じである。
【0343】
式(3)中、nはそれぞれ独立に繰り返し単位数を表し、式(1)中のnと同じである。
【0344】
式(3)中、XM1は、水素原子又は式(4)で表される1価の基を表す。一実施形態において、XM1は、水素原子であることが好ましい。
【0345】
式(3)中、XM2は、水素原子又は式(5)で表される1価の基を表す。一実施形態において、XM2は、式(5)で表される1価の基であることが好ましい。
【0346】
(2A)成分の具体例、数平均分子量及び重量平均分子量の好ましい態様、含有量の好ましい態様は、(1A)成分と同じである。
【0347】
<(2A)第2の特定構造を有するマレイミド化合物の製造方法>
(2A)成分の製造方法に制限はない。(2A)成分は、例えば、<(1A)第1の特定構造を有するマレイミド化合物に係る第1の製造方法>欄に記載の製造方法、<(1A)第1の特定構造を有するマレイミド化合物に係る第2の製造方法>欄に記載の製造方法等により、製造することができる。
【0348】
<(B)エポキシ樹脂>
本発明の第2実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、(B)エポキシ樹脂を含有する。第2実施形態に係る(B)エポキシ樹脂は、第1実施形態に係る(B)エポキシ樹脂と同じである。
【0349】
<(C)ポリカルボジイミド化合物>
本発明の第2実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、(C)ポリカルボジイミド化合物を含有する。第2実施形態に係る(C)ポリカルボジイミド化合物は、第1実施形態に係る(C)ポリカルボジイミド化合物と同じである。すなわち、一実施形態において、樹脂組成物層中の(C)成分に対する(2A)成分の質量比[(2A)成分/(C)成分]は0.1~50であることが好ましい。
【0350】
<(D)硬化剤>
本発明の第2実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、任意の成分として、(D)硬化剤を含有してもよく、(D)硬化剤を含有することが好ましい。第2実施形態に係る(D)硬化剤は、第1実施形態に係る(D)硬化剤と同じである。
【0351】
<(E)無機充填材>
本発明の第2実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、任意の成分として、(E)無機充填材を含有してもよく、(E)無機充填材を含有することが好ましい。第2実施形態に係る(E)無機充填材は、第1実施形態に係る(E)無機充填材と同じである。
【0352】
<(2F)その他のマレイミド化合物>
本発明の第2実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、任意の成分として、(2A)成分以外のマレイミド化合物(以下、「(2F)その他のマレイミド化合物」という。)を含有してもよい。(2F)その他のマレイミド化合物の好ましい態様、好ましい含有量は、(1F)その他のマレイミド化合物と同じである。
【0353】
<(G)ラジカル重合性樹脂>
本発明の第2実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、任意の成分として、(G)ラジカル重合性樹脂を含有してもよい。ただし、(2A)成分又は(2F)成分に該当するものは、(G)成分から除かれる。第2実施形態に係る(G)ラジカル重合性樹脂は、第1実施形態に係る(G)ラジカル重合性樹脂と同じである。
【0354】
<(H)有機充填材>
本発明の第2実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、任意の成分として、(H)有機充填材を含有してもよく、(H)有機充填材を含有することが好ましい。第2実施形態に係る(H)有機充填材は、第1実施形態に係る(H)有機充填材と同じである。
【0355】
<(I)硬化促進剤>
本発明の第2実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、任意の成分として、(I)硬化促進剤を含有してもよく、(I)硬化促進剤を含有することが好ましい。第2実施形態に係る(I)硬化促進剤は、第1実施形態に係る(I)硬化促進剤と同じである。
【0356】
<(J)有機溶剤>
本発明の第2実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、任意の成分として、(J)有機溶剤を含有してもよい。第2実施形態に係る(J)有機溶剤は、第1実施形態に係る(J)有機溶剤と同じである。
【0357】
<(K)その他の添加剤>
本発明の第2実施形態に係る樹脂シートの樹脂組成物層は、本発明の目的を阻害しない程度に、さらに任意の成分として、(K)その他の添加剤を含有してもよい。第2実施形態に係る(K)その他の添加剤は、第1実施形態に係る(K)その他の添加剤と同じである。
【0358】
<保護フィルム>
本発明の第2実施形態に係る樹脂シートは、必要に応じて、その他の層として支持体に準じた保護フィルムを含んでいてもよい。第2実施形態に係る保護フィルムは、第1実施形態に係る保護フィルムと同じである。
【0359】
[半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの製造方法]
半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートは、例えば、樹脂組成物層に含まれる成分を有機溶剤に溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
【0360】
有機溶剤としては、樹脂組成物層の成分として説明した有機溶剤と同様のものが挙げられる。有機溶剤は1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0361】
樹脂組成物の成分として、溶剤で希釈された市販品を用いる場合、当該溶剤を除去して得られた固形樹脂を用いてもよく、溶剤で希釈された市販品をそのまま使い、溶剤部分は(J)有機溶剤として用いてもよい。
【0362】
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の方法により実施してよい。乾燥条件は、特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂組成物中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂組成物を用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
【0363】
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、通常は、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
【0364】
[樹脂シートの物性]
一実施形態において、本発明に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物は、スミア除去性に優れるという特徴を呈する。例えば、後述する<スミア除去性の評価試験>欄に記載のように、硬化物にビアホールを形成してデスミア処理をした場合、ビアホール底部の壁面から延びるスミアのうち、最も長いスミアの長さは5μm未満であることが好ましい。
【0365】
一実施形態において、本発明に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物は、CZ銅ピール強度が高いという特徴を呈する。例えば、後述する<高温高湿環境(HAST)曝露前後の導体層との密着強度(CZ銅ピール強度)の測定>欄に記載のように、硬化後(高温高湿環境(HAST)曝露前)の硬化物について測定した銅箔剥離強度測定時の荷重は、好ましくは0.30kgf/cm以上、より好ましくは0.40kgf/cm以上、さらに好ましくは0.50kgf/cm以上又は0.60kgf/cm以上、特に好ましくは0.65kgf/cm以上又は0.70kgf/cm以上である。上限は特に限定されないが、10kgf/cm以下、1kgf/cm以下等とし得る。
【0366】
一実施形態において、本発明に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物は、高温高湿環境(HAST)曝露後もCZ銅ピール強度が高いという特徴を呈する。例えば、後述する<高温高湿環境(HAST)曝露前後の導体層との密着強度(CZ銅ピール強度)の測定>欄に記載のように、高温高湿環境(HAST)曝露後の硬化物について測定した銅箔剥離強度測定時の荷重は、好ましくは0.20kgf/cm以上、より好ましくは0.30kgf/cm以上、さらに好ましくは0.40kgf/cm以上、特に好ましくは0.45kgf/cm以上又は0.50kgf/cm以上である。上限は特に限定されないが、10kgf/cm以下、1kgf/cm以下等とし得る。
【0367】
一実施形態において、本発明に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物は、高温であっても誘電率(Dk)が低いという特徴を呈する。例えば、後述する<誘電率、誘電正接の測定試験>欄に記載のように、測定周波数10GHz、測定温度90℃にて測定した場合、本発明に係る樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物の誘電率(Dk)は、好ましくは5以下又は4.5以下、より好ましくは4以下又は3.9以下、さらに好ましくは3.8以下又は3.7以下、特に好ましくは3.6以下又は3.5以下である。下限は特に限定されないが、0.1以上、1.0以上等とし得る。
【0368】
一実施形態において、本発明に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物は、高温であっても誘電正接(Df)が低いという特徴を呈する。例えば、後述する<誘電率、誘電正接の測定試験>欄に記載のように、測定周波数10GHz、測定温度90℃にて測定した場合、本発明に係る樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物の誘電正接(Df)は、好ましくは0.0100以下、より好ましくは0.0080以下又は0.0060以下、さらに好ましくは0.0040以下又は0.0035以下、特に好ましくは0.0030以下又は0.0025以下である。下限は特に限定されないが、0.0001以上、0.0010以上等とし得る。
【0369】
一実施形態において、本発明に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物は、耐熱性に優れる(ガラス転移温度が高い)という特徴を呈する。例えば、後述する<ガラス転移温度(Tg)、線熱膨張係数(CTE)の測定試験>欄に記載のように、熱機械分析装置を用いて測定した場合、本発明に係る樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは130℃以上又は140℃以上、より好ましくは150℃以上又は155℃以上、さらに好ましくは160℃以上又は165℃以上、特に好ましくは170℃以上、175℃以上又は180℃以上である。上限は特に限定されないが、400℃以下、300℃以下等とし得る。
【0370】
一実施形態において、本発明に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物は、線熱膨張係数(CTE)が低いという特徴を呈する。例えば、後述する<ガラス転移温度(Tg)、線熱膨張係数(CTE)の測定試験>欄に記載のように、熱機械分析装置を用いて測定した場合、本発明に係る樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物の線熱膨張係数(CTE)は、好ましくは30ppm/℃以下、より好ましくは25ppm/℃以下、さらに好ましくは20ppm/℃以下又は18ppm/℃以下、特に好ましくは16ppm/℃以下又は15ppm/℃以下である。下限は特に限定されないが、0.1ppm/℃以上、1ppm/℃以上、3ppm/℃以上等とし得る。
【0371】
一実施形態において、本発明に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物は、反りが抑制されているという特徴を呈する。例えば、後述する<反りの測定>欄に記載のように測定した場合、120mm×160mmの大きさに切り出した内層基板上のフルキュア後の硬化物の反りは、好ましくは40mm以下又は35mm以下、より好ましくは30mm以下又は25mm以下、さらに好ましくは22mm以下又は20mm以下、特に好ましくは18mm以下又は16mm以下である。下限は特に限定されないが、0.1mm以上、1mm以上等とし得る。
【0372】
一実施形態において、本発明に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物は、メッキピール強度が高いという特徴を呈する。例えば、後述する<メッキピール強度の測定>欄に記載のように測定した場合、絶縁層(硬化物)とメッキ導体層のピール強度の測定時の荷重は、好ましくは0.15kgf/cm以上、より好ましくは0.20kgf/cm以上、さらに好ましくは0.25kgf/cm以上又は0.30kgf/cm以上、特に好ましくは0.32kgf/cm以上又は0.34kgf/cm以上である。上限は特に限定されないが、10kgf/cm以下、1kgf/cm以下等とし得る。
【0373】
一実施形態において、本発明に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物は、粗化処理後の算術平均粗さ(Ra)が小さいという特徴を呈する。例えば、後述する<粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)の測定>欄に記載のように測定した場合、粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは100nm以下又は90nm以下、より好ましくは80nm以下又は70nm以下、さらに好ましくは60nm以下又は50nm以下、特に好ましくは40nm以下又は35nm以下である。下限は特に限定されないが、0.1nm以上、1nm以上、10nm以上等とし得る。
【0374】
一実施形態において、本発明に係る半導体パッケージ基板の絶縁層形成用の樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物は、リフロー耐性に優れるという特徴を呈する。例えば、後述する<リフロー試験>欄に記載のように、湿度85%RH、温度55℃の恒温恒湿槽にて19時間吸湿させた後、ピーク温度260℃にて20回リフローを行った場合、膨れが生じないことが好ましい。
【0375】
ここで、リフロー試験の際には、後述する<リフロー試験>欄に記載のように、樹脂基板の両面に銅箔が積層された内層基板が用いられるが、当該銅箔には内層回路が形成されている場合がある。内層回路が形成されることにより樹脂基板が露出している場合(図1の内層回路2~4)、当該露出部分から水分が吸収されやすくなることを原因として、リフロー試験時に膨れが生じやすくなる。一方で、樹脂基板が露出していない場合(図1の内層回路1)、リフロー試験時に樹脂組成物層で発生したガスの逃げ場がないことを原因として、膨れが生じやすくなる。すなわち、リフロー試験時の膨れは、上記2つの原因で起こり得るところ、いずれの原因による膨れも生じないことが好ましい。すなわち、図1の内層回路1~4のいずれを用いた際にも、リフロー試験において膨れが生じないことが好ましい。
【0376】
[半導体パッケージ基板及びその製造方法]
本発明の半導体パッケージ基板は、回路基板と、この回路基板に搭載された半導体チップとを含み、回路基板は、本発明の樹脂シートにおける樹脂組成物層の硬化物により形成された絶縁層を含む。この半導体パッケージ基板は、回路基板に半導体チップを接合することにより、製造できる。回路基板については後述する。
【0377】
半導体チップの端子電極が回路基板の回路配線と導体接続する限り、接合条件は特に限定されず、半導体チップのフリップチップ実装において使用される公知の条件を使用してよい。また、半導体チップと回路基板間に絶縁性の接着剤を介して接合してもよい。
【0378】
好適な一実施形態は、半導体チップを回路基板に圧着する。圧着条件としては、例えば、圧着温度は120℃~240℃の範囲(好ましくは130℃~200℃の範囲、より好ましくは140℃~180℃の範囲)、圧着時間は1秒間~60秒間の範囲(好ましくは5秒間~30秒間)とすることができる。
【0379】
また、他の好適な一実施形態は、半導体チップを回路基板にリフローして接合する。リフロー条件としては、例えば、120℃~300℃の範囲とすることができる。
【0380】
半導体チップを回路基板に接合した後、例えば、半導体チップをモールドアンダーフィル材で充填することで半導体パッケージ基板を得ることも可能である。モールドアンダーフィル材で充填する方法は公知の方法で実施することができる。
【0381】
回路基板は、本発明の樹脂シートにおける樹脂組成物層の硬化物により形成された絶縁層を含む。この回路基板は、例えば、下記の工程(I)及び工程(II)を含む製造方法によって製造できる。
(I)内層基板上に、樹脂シートを、樹脂シートの樹脂組成物層が内層基板と接合するように、積層する工程。
(II)樹脂組成物層を硬化して、絶縁層を形成する工程。
【0382】
工程(I)で用いる「内層基板」とは、回路基板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。また、回路基板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も、前記の「内層基板」に含まれる。回路基板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用してもよい。
【0383】
内層基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール等)が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
【0384】
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施される。
【0385】
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
【0386】
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
【0387】
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。
【0388】
工程(II)において、樹脂組成物層を硬化して、樹脂組成物層の硬化物からなる絶縁層を形成する。樹脂組成物層の硬化は、通常、熱硬化によって行う。樹脂組成物層の具体的な硬化条件は、回路基板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
【0389】
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物層に含まれる成分の種類等によっても異なるが、一実施形態において、硬化温度は、好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。硬化時間は、好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間でありうる。
【0390】
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃~150℃、好ましくは60℃~140℃、より好ましくは70℃~130℃の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上、好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間予備加熱してもよい。
【0391】
回路基板を製造するに際しては、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、(V)導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(III)乃至工程(V)は、回路基板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間に実施してよい。また、必要に応じて、工程(I)~工程(V)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層配線板を形成してもよい。
【0392】
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法及び形状は、回路基板のデザインに応じて適宜決定してよい。
【0393】
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。通常、この工程(IV)において、スミアの除去も行われる。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、回路基板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。
【0394】
粗化処理に用いる膨潤液としては、例えば、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液である。該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。
【0395】
粗化処理に用いる酸化剤としては、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は、5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
【0396】
粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
【0397】
工程(V)は、導体層を形成する工程であり、絶縁層上に導体層を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
【0398】
導体層は、単層構造であってもよく、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
【0399】
導体層の厚さは、所望の半導体パッケージ基板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
【0400】
一実施形態において、導体層は、メッキにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にメッキして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法が好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
【0401】
まず、絶縁層の表面に、無電解メッキによりメッキシード層を形成する。次いで、形成されたメッキシード層上に、所望の配線パターンに対応してメッキシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出したメッキシード層上に、電解メッキにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なメッキシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
【0402】
他の実施形態において、導体層は、金属箔を使用して形成してよい。金属箔を使用して導体層を形成する場合、工程(V)は、工程(I)と工程(II)の間に実施することが好適である。例えば、工程(I)の後、支持体を除去し、露出した樹脂組成物層の表面に金属箔を積層する。樹脂組成物層と金属箔との積層は、真空ラミネート法により実施してよい。積層の条件は、工程(I)について説明した条件と同様としてよい。次いで、工程(II)を実施して絶縁層を形成する。その後、絶縁層上の金属箔を利用して、サブトラクティブ法、モディファイドセミアディティブ法等の従来の公知の技術により、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
【0403】
金属箔は、例えば、電解法、圧延法等の公知の方法により製造することができる。金属箔の市販品としては、例えば、JX金属社製のHLP箔、JXUT-III箔、三井金属鉱業社製の3EC-III箔、TP-III箔等が挙げられる。
【0404】
[半導体装置]
本発明の半導体パッケージ基板を実装することとなる半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット型デバイス、ウェラブルデバイス、デジタルカメラ、医療機器、及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
【実施例0405】
以下、実施例を示して本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の説明において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、特に指定が無い場合の温度条件及び圧力条件は、室温(23℃)及び大気圧(1atm)である。
【0406】
<合成例1:マレイミド化合物(A-1)の合成>
(I)中間体アミン化合物(c-1)の合成
温度計、冷却管、ディーンスタークトラップ及び攪拌機を取り付けたフラスコに、2-エチルアニリン400g(3.3mol)、ベンジルエーテル骨格を有する化合物(b)(ニカノールL、フドー社製)127g、トルエン193g及び活性白土53gを仕込み、攪拌しながら120℃まで昇温し、30分間ホールドした。その後、150℃まで昇温し3時間ホールドした。ホールド終了後、30分かけて200℃まで昇温し、10時間ホールドした。ホールド終了後、トルエン193gで希釈し、濾過により活性白土を濾別した。濾液から加熱減圧により溶剤及び過剰の2-エチルアニリンを留去し、中間体アミン化合物(c-1)を得た(アミン当量209g/eq.)。
【0407】
(II)マレイミド化
温度計、冷却管、ディーンスタークトラップ及び攪拌機を取り付けた2Lフラスコに無水マレイン酸73.2g(126mol、1.3当量)及びトルエン461gを仕込み、室温で攪拌した。次に中間体アミン化合物(c-1)209g(1当量)とN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)57.7gとの混合溶液を1時間かけて滴下し、その後2時間反応させた。その反応液にp-トルエンスルホン酸一水和物9.72gを加え、反応液を115℃まで加熱し還流下で共沸してくる水とトルエンとを冷却・分離した後、トルエンだけを系内に戻して脱水反応を5時間行った。室温まで空冷後、減圧濃縮して得られた褐色溶液を酢酸エチル600gに溶解させ、イオン交換水200gで3回、2質量%炭酸水素ナトリウム水溶液150gで3回洗浄した。硫酸ナトリウムを加え乾燥後、減圧濃縮して得られた反応物を80℃で4時間真空乾燥し、マレイミド化合物(A-1)を得た。
【化35】
【0408】
<合成例2:マレイミド化合物(A-2)の合成>
(I)中間体アミン化合物(c-2)の合成
温度計、冷却管、ディーンスタークトラップ及び攪拌機を取り付けたフラスコに、2-エチルアニリン242.4g(2.0mol)、キシレン242g及び活性白土80gを仕込み、攪拌しながら130℃まで昇温し、30分間ホールドした。その後、DVB-810(ジビニルベンゼン及びエチルスチレンの混合物(ジビニルベンゼン:エチルスチレン=81:19(mol%))、日鉄ケミカル&マテリアル社製)272.0gを2時間かけて滴下し、そのまま1時間反応させた。その後、6時間かけて190℃に昇温し、10時間ホールドした。反応後に100℃まで空冷し、トルエン300gで希釈してろ過により活性白土を除き、減圧下で溶剤及び未反応物等の低分子量化合物を留去することにより、中間体アミン化合物(c-2)を得た。中間体アミン化合物(c-2)のアミン当量は214g/eq.であった。
【0409】
(II)マレイミド化
温度計、冷却管、ディーンスタークトラップ及び攪拌機を取り付けた2Lフラスコに無水マレイン酸117.7g(1.2mol)及びトルエン700gを仕込み、室温で攪拌した。次に中間体アミン化合物(c-2)214g(1当量)とDMF175gとの混合溶液を1時間かけて滴下し、その後2時間反応させた。その反応液にp-トルエンスルホン酸一水和物37.1gを加え、115℃まで加熱し還流下で共沸してくる水とトルエンとを冷却・分離した後、トルエンだけを系内に戻して脱水反応を5時間行った。室温まで空冷後、49%水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で中和した。その後、60℃でトルエンと水を減圧留去し、フラスコ内に残ったDMF溶液にMEK(メチルエチルケトン)600gを加えた。その溶液を60℃に昇温後、イオン交換水200gで3回分液処理して溶液中の塩を取り除いた。さらに硫酸ナトリウムを加え乾燥後、減圧濃縮して得られた反応物を80℃で真空乾燥し、マレイミド化合物(A-2)を得た。マレイミド化合物(A-2)は、以下に示す3つのマレイミド化合物を主成分とする混合物である。
【化36】
【0410】
<合成例3:活性エステル樹脂(D-1)の合成>
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管及び撹拌器を取り付けたフラスコに、2,7-ジヒドロキシナフタレン320g(2.0モル)、ベンジルアルコール184g(1.7モル)、p-トルエンスルホン酸一水和物5.0gを仕込み、室温下、窒素を吹き込みながら撹拌した。その後、150℃に昇温し、生成する水を系外に留去しながら4時間攪拌した。反応終了後、メチルイソブチルケトン900g及び20%水酸化ナトリウム水溶液5.4gを添加して中和した。その後、分液により水層を除去し、水280gで3回水洗を行い、メチルイソブチルケトンを減圧下除去して、ベンジル変性ナフタレン化合物(D’)460gを得た。得られたベンジル変性ナフタレン化合物(D’)は黒色固体であり、水酸基当量は180g/eq.であった。
【0411】
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管及び撹拌器を取り付けたフラスコに、イソフタル酸クロリド203.0g(酸クロリド基のモル数:2.0モル)とトルエン1400gを仕込み、系内を減圧窒素置換し溶解させた。次いで、オルトフェニルフェノール113.9g(0.67モル)、ベンジル変性ナフタレン化合物(D’)240g(フェノール性水酸基のモル数:1.33モル)を仕込み、系内を減圧窒素置換し溶解させた。その後、テトラブチルアンモニウムブロミド0.70gを溶解させ、窒素ガスパージを施しながら、系内を60℃以下に制御して、20%水酸化ナトリウム水溶液400gを3時間かけて滴下した。次いでこの条件下で、1.0時間撹拌を続けて反応を進行させた。
【0412】
反応終了後、静置分液し、水層を取り除いた。さらに、反応物が溶解しているトルエン層に水を投入して15分間撹拌混合し、静置分液して水層を取り除いた。水層のpHが7になるまでこの操作を繰り返した。その後、デカンタ脱水で水分を除去して、不揮発成分65質量%のトルエン溶液状態にある活性エステル樹脂(D-1)を得た。得られた活性エステル樹脂(D-1)の活性エステル基当量は、238g/eq.であった。
【化37】
【0413】
<合成例4:活性エステル樹脂(D-3)の合成>
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコにジシクロペンタジエンおよびフェノールの重付加反応樹脂(水酸基当量:165g/eq.、軟化点85℃)165gと、オルトアリルフェノール134g(1.0mol)と、トルエン1200gとを仕込み、系内を減圧窒素置換した。次いで、イソフタル酸クロリド203g(1.0mol)を仕込み、系内を減圧窒素置換した。テトラブチルアンモニウムブロミド0.6gを添加し、窒素ガスパージ処理を行いながら、系内を60℃以下に制御して、20%水酸化ナトリウム水溶液412gを3時間かけて滴下し、滴下終了後、1.0時間撹拌した。反応終了後、静置分液により水層を除去した。得られたトルエン層にさらに水を投入して15分間撹拌し、静置分液により水層を除去した。この操作を水層のpHが7になるまで繰り返した。そして、加熱乾燥により不揮発成分を70質量%に調整することで、下記式で表される活性エステル樹脂(D-3)を得た。sは0又は1以上の整数を表し、仕込み比から算出されたrの平均値は1である。また、波線は、イソフタル酸クロリド、並びにフェノールの重付加反応樹脂及び/又はオルトアリルフェノールが反応して得られる構造である。
【化38】
【0414】
<合成例5:その他のマレイミド化合物(F-1)の合成>
発明協会公開技報公技番号2020-500211号の合成例1にしたがって、下記式で表されるマレイミド化合物(F-1)のMEK溶液(不揮発成分62質量%)を用意した。このマレイミド化合物(F-1)のMw/Mnは1.81、式中のt’’は1.47(主に1、2又は3)であった。
【化39】
【0415】
<合成例6:ビニル樹脂(G-1)の合成>
ジビニルベンゼン3.0モル(390.6g)、エチルビニルベンゼン1.8モル(229.4g)、スチレン10.2モル(1066.3g)、及び酢酸n-プロピル15.0モル(1532.0g)を5.0Lの反応器内に投入し、さらに70℃で600ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、4時間反応させた。重合溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で停止させた。その後、純水で3回油層を洗浄し、60℃で減圧脱揮し、重合体を回収した。得られた重合体を秤量して、当該重合体としてビニル樹脂(G-1)が896.7g得られたことを確認した。ビニル樹脂(G-1)の重量平均分子量Mwは、41,300であった。
【0416】
<合成例7:ビニル樹脂(G-2)の合成>
攪拌装置を備えた四つ口セパラブルフラスコに、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(33.85g)、4,6-ジクロロ-2-フェニルピリミジン(16.66g)及び炭酸カリウム(18.66g)を量り入れ、N-メチル-2-ピロリドン(42.50g)を加え、窒素雰囲気下、10℃で6時間反応させた。反応後、容器を10℃に冷却した状態で、m,p-(クロロメチル)スチレン(8.68g)を滴下した後、100℃で4時間反応させた。
【0417】
得られた反応液に、N-メチル-2-ピロリドン(55.0g)を加えて希釈した液から、濾過により塩を除去した後、得られた溶液をメタノール(6900g)に投入した。析出した固体を濾別し、該固体を少量のメタノールで洗浄し、再度濾別して回収した後、真空乾燥機を用いて減圧下60℃で12時間乾燥し、ビニル樹脂(G-2)を得た(収量46.55g、収率90%)。ビニル樹脂(G-2)の重量平均分子量Mwは、3,400であった。
【0418】
<合成例8:ポリカルボジイミド化合物(C-1)の合成>
ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(HMDI)100質量部、及びカルボジイミド化触媒として3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン-1-オキシド0.5質量部を、還流管及び撹拌機付き反応容器に入れ、窒素気流下、185℃で24時間撹拌混合し、カルボジイミド化反応を行い、イソシアネート末端ポリカルボジイミドを得た。得られたイソシアネート末端ポリカルボジイミドについて、IRスペクトル測定にて、波長2150cm-1前後におけるカルボジイミド基による吸収ピークが確認された。また、末端NCO量は8.19質量%であり、上記測定方法により求められたカルボジイミド基の平均重合度は3.5であった。
【0419】
次いで、前記イソシアネート末端ポリカルボジイミドに、エチレングリコールモノアクリレート8.8質量部および両末端水酸基ポリブタジエン(日本曹達社製「G-1000」、数平均分子量1,400、1,2-付加構造単位85%以上、trans-1,4-付加構造単位15%以下)4質量部を添加し、180℃まで加熱し、2時間撹拌混合して反応させた。IRスペクトル測定にて、波長2200~2300cm-1のイソシアネート基の吸収ピークが消失したことを確認した後、反応容器から反応生成物を取り出し、室温まで冷却して、淡黄色透明な固形状のポリカルボジイミド化合物(カルボジイミド構造を有するラジカル重合性基含有化合物;主成分は下記式の化合物;b’はカルボジイミド基の平均重合度を意味する。d’はポリブタジエンとポリカルボジイミドの組み合わせ単位の平均重合度を意味する。e’は上記数平均分子量に相当するブタジエン単位の平均重合度を意味する。e’単位として、1,2-付加構造単位のみを表記しているが、1,4-付加構造単位(cis、trans)も含む。)を得た。
【化40】
【0420】
<実施例1~17及び比較例1~7>
(1)樹脂組成物の製造
下記表1に記載の配合組成にしたがって各成分を秤量及び混合し、更にMEK(メチルエチルケトン)10部及びシクロヘキサノン10部を混合し、高速回転ミキサーを用いて均一に分散して、樹脂組成物(樹脂ワニス)を得た。なお、表1に記載の配合組成は、不揮発性成分の量(質量部)を表す。
【表1】
【0421】
また、表1に記載の各成分の詳細は、以下のとおりである。
(A)特定構造を有するマレイミド化合物
・マレイミド化合物(A-1):合成例1で合成したマレイミド化合物(A-1)
・マレイミド化合物(A-2):合成例2で合成したマレイミド化合物(A-2)
【0422】
(B)エポキシ樹脂
・HP-4032SS:エポキシ当量144g/eq.、DIC社製、ナフタレン型エポキシ樹脂
・YL9133:エポキシ当量191g/eq.、三菱ケミカル社製、ビスフェノールC型エポキシ樹脂
・NC-3000L:エポキシ当量270g/eq.、日本化薬社製、ビフェニル型エポキシ樹脂
【0423】
(C)ポリカルボジイミド化合物
・V-03:活性基当量約216g/eq.、日清紡ケミカル社製
・ポリカルボジイミド化合物(C-1):合成例8で合成したポリカルボジイミド化合物(C-1)
【0424】
(D)硬化剤
・LA-3018-50P:フェノール性水酸基当量151g/eq.、不揮発成分50質量%の1-メトキシ-2-プロパノール溶液、DIC社製、フェノール樹脂
・活性エステル樹脂(D-1):活性エステル基当量238g/eq.、合成例3で合成した活性エステル樹脂(D-1)
・活性エステル樹脂(D-2):活性エステル基当量250g/eq.、下記式で表される活性エステル樹脂(式中、n≧0)、不揮発成分60質量%のトルエン溶液
【化41】
・活性エステル樹脂(D-3):活性エステル基当量214g/eq.、合成例4で合成した活性エステル樹脂(D-3)、不揮発成分70質量%のトルエン溶液
・活性エステル樹脂(D-4):活性エステル基当量248g/eq.、下記式で表される活性エステル樹脂(主にnが0~6の整数、mが0~6の整数の化合物で構成)、不揮発成分70質量%のトルエン溶液
【化42】
・活性エステル樹脂(D-5):活性エステル基当量1002g/eq.、下記式で表される活性エステル樹脂
【化43】
・HPC-8000L-65MT:活性エステル基当量223g/eq.、不揮発成分65質量%のトルエン/MEK溶液、DIC社製、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル樹脂
【0425】
(E)無機充填材
・SO-C2:アミノ系シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)で表面処理された球形シリカ、平均粒径0.5μm、比表面積5.8m/g、アドマテックス社製
【0426】
(F)その他のマレイミド化合物
・その他のマレイミド化合物(F-1):合成例5で合成したその他のマレイミド化合物(F-1)
・MIR-3000-70MT:不揮発成分70質量%のトルエン/MEK溶液、日本化薬社製、下記式で表される構造を有するマレイミド化合物(下記式において、nは1~100を示す。)
【化44】
・SLK-6895:信越化学工業社製、脂肪族マレイミド化合物
・SLK-1500:信越化学工業社製、脂肪族マレイミド化合物
【0427】
(G)ラジカル重合性樹脂
・OPE-2St 1200:不揮発成分65質量%のトルエン溶液、三菱ガス化学社製、ポリフェニレンエーテル骨格を有するスチレン系のラジカル重合性樹脂
・ビニル樹脂(G-1):合成例6で合成したビニル樹脂(G-1)
・ビニル樹脂(G-2):合成例7で合成したビニル樹脂(G-2)
【0428】
(H)有機充填材
・EXL-2655:ダウ社製、ゴム成分を含む有機充填材
【0429】
(I)硬化促進剤
・1B2PZ:四国化成工業社製、イミダゾール系硬化促進剤(1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール)
【0430】
(2)樹脂シートの製造
支持体として、アルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL-5」)で離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)を用意した。この支持体の離型層上に、得られた樹脂組成物を、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが40μmとなるように均一に塗布した。その後、樹脂組成物を80℃~100℃(平均90℃)で4分間乾燥させて、樹脂組成物層/支持体の層構成を有する樹脂シートAを得た。また、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが27.5μmとなるように樹脂組成物の塗布厚みを変更した以外は、樹脂シートAと同じ製造方法により、樹脂シートBを製造した。
【0431】
<誘電率、誘電正接の測定試験>
樹脂シートAを190℃のオーブンで90分間加熱し、樹脂組成物層を硬化させた。次いで、支持体を剥離して樹脂組成物層の硬化物を得た。その硬化物を長さ30mm、幅40mmに切り出し、誘電率及び誘電正接測定用の硬化物サンプルを得た。
【0432】
硬化物サンプルについて、測定装置(アジレントテクノロジーズ(AgilentTechnologies)社製、「HP8362B」)を用いて、スプリットシリンダー法により、測定周波数10GHz、測定温度90℃にて、誘電率Dk及び誘電正接Dfを測定した。2本の試験片にて測定を実施し、その平均を算出した。
【0433】
<ガラス転移温度(Tg)、線熱膨張係数(CTE)の測定試験>
樹脂シートAを190℃のオーブンで90分硬化し、更に支持体を剥離して、硬化フィルムを得た。この硬化フィルムを長さ20mm、幅6mmに切り出し、ガラス転移温度及び線熱膨張係数測定用の硬化物サンプルを得た。この硬化物サンプルについてTMA装置(熱機械分析装置、リガク社製)を用い、25℃から220℃まで5℃/分の昇温速度で加熱して測定を行った。次いで同一の試験片について25℃から250℃まで5℃/分の昇温速度で加熱して測定を行い、2回目の測定結果からTg及びCTEを算出した。
【0434】
<高温高湿環境(HAST)曝露前後の導体層との密着強度(CZ銅ピール強度)の測定>
(1)内層基板への樹脂シートAの積層
内層基板として、表面に銅箔を有するガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.8mm、パナソニック社製「R1515A」)を用意した。この表面の銅箔を、マイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)を用いて、銅エッチング量1μmにてエッチングして、粗化処理を行った。
【0435】
上記で得られた樹脂シートAを、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP1700」)を用いて、樹脂シートAの樹脂組成物層が内層基板と接するように、内層基板の両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、温度100℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着することにより実施した。
【0436】
次いで、ラミネートされた樹脂シートAを、大気圧下、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスして平滑化した。その後支持体を剥離して、樹脂組成物層/内層基板/樹脂組成物層をこの順で含む「中間複層体I」を得た。
【0437】
(2)銅箔の積層
光沢面を有する銅箔(厚さ35μm、三井金属鉱業社製「3EC-III」)を用意した。この銅箔の光沢面を、マイクロエッチング剤(メック社製「CZ8401」)を用いて、銅エッチング量0.1μmにてエッチングして、粗化処理を行った。こうして得られた銅箔を「粗化銅箔」という。
【0438】
この粗化銅箔を、当該粗化銅箔の粗化処理を施された面が中間複層体Iの樹脂組成物層に接合するように、中間複層体Iの両面に積層した。この積層は、上記の内層基板への樹脂シートAの積層と同じ条件で行った。これにより、粗化銅箔/樹脂組成物層/内層基板/樹脂組成物層/粗化銅箔をこの順で含む「中間複層体II」を得た。
【0439】
(3)樹脂組成物層の熱硬化
得られた中間複層体IIを、130℃のオーブンに投入して30分間加熱し、次いで170℃のオーブンに移し替えて30分間加熱した。次いで、中間複層体IIを、オーブンから室温雰囲気下に取り出した後、さらに190℃のオーブンに投入して90分間追加で加熱した。これにより、樹脂組成物層の熱硬化が行われて、粗化銅箔/樹脂組成物層の硬化物としての絶縁層/内層基板/樹脂組成物層の硬化物としての絶縁層/粗化銅箔をこの順で含む「評価基板」を得た。この評価基板において、粗化銅箔が導体層に相当する。
【0440】
(4)導体層との密着強度(CZ銅ピール強度)の測定
得られた評価基板を用いて、粗化銅箔と絶縁層とのピール強度の測定を行った。このピール強度の測定は、JIS C6481に準拠して行った。具体的には、下記の操作によってピール強度の測定を行った。
【0441】
評価基板の粗化銅箔に、幅10mm、長さ100mmの矩形部分を囲む切込みをいれた。この矩形部分の一端を剥がして、つかみ具(ティー・エス・イー社製オートコム型試験機「AC-50C-SL」)で掴んだ。この矩形部分の長さ35mmの範囲を垂直方向に引き剥がし、この引き剥がし時の荷重(kgf/cm)を、ピール強度として測定した。上記の引き剥がしは、室温中にて50mm/分の速度で行った。さらに、温度130℃、湿度85%RHの条件で100時間の高温高湿環境試験(HAST)を実施した後、上記と同様の操作を行い、ピール強度を測定した。
【0442】
<スミア除去性の評価試験>
(1)内層基板の用意
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.8mm、パナソニック社製「R1515A」)の両面をマイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)にて1μmエッチングして、銅表面の粗化処理を行い、内層基板を得た。
【0443】
(2)樹脂シートBの積層
バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP1700」)を用いて、樹脂シートBを、樹脂組成物層が内層基板と接するように、内層基板の両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下に調整した後、120℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスして、樹脂組成物層を平滑化した。
【0444】
(3)樹脂組成物層の熱硬化
その後、樹脂シートBが積層された内層基板を、130℃のオーブンに投入して30分間加熱し、次いで170℃のオーブンに移し替えて30分間加熱して、樹脂組成物層を熱硬化させて、絶縁層を形成した。その後、支持体を剥離して、絶縁層/内層基板/絶縁層の構造を有する硬化基板Xを得た。
【0445】
(4)ビアホールの形成
得られた硬化基板Xの絶縁層に対し、COレーザー加工機(ビアメカニクス社製「LK-2K212/2C」)を使用して、周波数2000Hzでパルス幅3μ秒、出力0.95W、ショット数3の条件で穴あけ加工を施して、ビアホールを形成した。形成されたビアホールの絶縁層表面における開口径(直径、トップ径)は50μm、絶縁層底面における直径(ボトム径)は40μmであった。
【0446】
(5)粗化処理
ビアホールを形成した硬化基板の絶縁層に、粗化処理としてのデスミア処理を施した。デスミア処理としては、下記の湿式デスミア処理を実施した。
【0447】
(湿式デスミア処理)
ビアホールを形成した硬化基板を、膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリングディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムの水溶液)に60℃で10分間浸漬した。次いで、硬化基板を、酸化剤溶液(アトテックジャパン社製「コンセントレート・コンパクトP」、過マンガン酸カリウム濃度約6%、水酸化ナトリウム濃度約4%の水溶液)に80℃で25分間浸漬した。最後に、硬化基板を、中和液(アトテックジャパン社製「リダクションソリューション・セキュリガントP」、硫酸水溶液)に40℃で5分間浸漬した。その後、硬化基板を80℃で15分間乾燥した。このデスミア処理後の硬化基板を、以下「評価用基板A」と称することがある。
【0448】
(6)スミア除去性の評価
評価用基板Aについて、ビアホールの底部の周囲を走査電子顕微鏡(SEM)にて観察した。得られた画像から、ビアホール底部の壁面から延びるスミア(樹脂残渣)のうち、最も長いスミアの長さ(最大スミア長)を測定し、以下の基準で評価した。
「スミア残渣なし」:最大スミア長が5μm未満。
「スミア残渣あり」:最大スミア長が5μm以上。
【0449】
<メッキピール強度の測定>
(1)粗化処理
前記の硬化基板Xを、膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリングディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムの水溶液)に、60℃で10分間浸漬した。次に、硬化基板を、粗化液(アトテックジャパン社製のコンセントレート・コンパクトP(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に、80℃で20分間浸漬した。その後で、硬化基板を、中和液(アトテックジャパン社製「リダクションソリューション・セキュリガントP」、硫酸水溶液)に、40℃で5分間浸漬した。その後、硬化基板を80℃で30分乾燥して、「評価基板A’」を得た。
【0450】
(2)セミアディティブ工法によるメッキ
評価基板A’を、塩化パラジウム(PdCl)を含む無電解メッキ用溶液に40℃で5分間浸漬し、次に、無電解銅メッキ液に25℃で20分間浸漬した。その後、150℃にて30分間加熱して、アニール処理を行った。その後に、エッチングレジストを形成し、エッチングによるパターン形成を行った。その後、硫酸銅電解メッキを行い、20μmの厚さで導体層を形成した。次に、アニール処理を190℃にて90分間行って、「評価基板B’」を得た。
【0451】
(3)メッキピール強度の測定
評価基板B’の導体層に、幅10mm、長さ100mmの矩形部分を囲む切込みを形成した。矩形部分の一端を剥がして、つかみ具(ティー・エス・イー社製、オートコム型試験機「AC-50C-SL」)で掴んだ。つかみ具により、室温中にて50mm/分の速度で前記の矩形部分を垂直方向に引きはがし、35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)をメッキピール強度として測定した。
【0452】
<粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)の測定>
<スミア除去性の評価試験>で作製した粗化処理後の硬化基板(評価用基板A)の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)を、非接触型表面粗さ計(ブルカー社製「WYKO GT-X」)を用いて、VSIモード、50倍レンズにより測定範囲を121μm×92μmとして得られる数値により求めた。それぞれ10点の平均値を求めることにより測定した。
【0453】
<反りの測定>
(1)内層基板の用意
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.2mm、レゾナック社製「E700G」)の両面について全面銅をエッチングにより除去し、内層基板を得た。
【0454】
(2)樹脂シートAの積層
バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP1700」)を用いて、110mm×150mmの大きさに切り出した樹脂シートAを、樹脂組成物層が内層基板と接するように、120mm×160mmの大きさに切り出した内層基板の片面の中央に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下に調整した後、140℃、圧力0.74MPaにて10秒間圧着させることにより実施した。
【0455】
(3)樹脂組成物層の熱硬化
その後、樹脂シートAが積層された内層基板を、130℃のオーブンに投入して30分間加熱し、次いで170℃のオーブンに移し替えて30分間加熱して、樹脂組成物層を熱硬化させて、絶縁層を形成した。その後、支持体を剥離し、絶縁層/内層基板の構造を有する硬化基板Yを得た。
【0456】
(4)フルキュア後反りの評価
硬化基板Yを200℃のオーブンに投入して90分間加熱し、硬化基板Y’を得た。平らな台の上に硬化基板Y’を載せ、隣り合う2辺を台に固定し、台から硬化基板Y’までの距離を定規にて測定し、値を反り量として記録した。
【0457】
<リフロー試験>
(1)内層基板の用意
図1のように内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ35μm、基板の厚さ0.2mm、レゾナック社製「E700G」)の両面をマイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)にて1μmエッチングして、銅表面の粗化処理を行い、内層基板を得た。図1に示すように当該内層基板には、4種類の内層回路が形成されている。図1の点10は、ガラス布基材エポキシ樹脂の表面に張られた銅箔に穴が形成され、ガラス布基材エポキシ樹脂が露出していることを意味する。すなわち、内層回路1では銅箔に穴が形成されておらず、内層回路2では1.5mm間隔で銅箔に穴が形成されており、内層回路3では1mm間隔で銅箔に穴が形成されており、内層回路4では0.5mm間隔で銅箔に穴が形成されている。
【0458】
(2)樹脂シートAの積層
バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP1700」)を用いて、樹脂シートAを、樹脂組成物層が内層基板と接するように、内層基板の両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下に調整した後、140℃、圧力0.74MPaにて10秒間圧着させることにより実施した。次いで、110℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスして、樹脂組成物層を平滑化した。
【0459】
(3)樹脂組成物層の熱硬化
その後、樹脂シートAが積層された内層基板を、130℃のオーブンに投入して30分間加熱し、次いで170℃のオーブンに移し替えて30分間加熱して、樹脂組成物層を熱硬化させて、絶縁層を形成した。その後、支持体を剥離して、絶縁層/内層基板/絶縁層の構造を有する硬化基板Pを得た。
【0460】
(4)粗化処理
前記の硬化基板Pを、膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリングディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムの水溶液)に、60℃で10分間浸漬した。次に、硬化基板を、粗化液(アトテックジャパン社製のコンセントレート・コンパクトP(KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に、80℃で20分間浸漬した。その後で、硬化基板を、中和液(アトテックジャパン社製「リダクションソリューション・セキュリガントP」、硫酸水溶液)に、40℃で5分間浸漬した。その後、硬化基板を80℃で30分乾燥して、「評価基板Q」を得た。
【0461】
(5)セミアディティブ工法によるメッキ
評価基板Qを、塩化パラジウム(PdCl)を含む無電解メッキ用溶液に40℃で5分間浸漬し、次に、無電解銅メッキ液に25℃で20分間浸漬した。その後、150℃にて30分間加熱して、アニール処理を行った。その後に、エッチングレジストを形成し、エッチングによるパターン形成を行った。その後、硫酸銅電解メッキを行い、20μmの厚さで導体層を形成した。次に、アニール処理を190℃にて90分間行って、「評価基板R」を得た。
【0462】
(6)リフロー試験
評価基板Rを、上記4種類の内層回路が入るように切り出し、湿度85%RH、温度55℃の恒温恒湿槽にて19時間吸湿させた。その後、リフロー炉を用いて、ピーク温度260℃にてリフローを行った。同一試験片について20回リフローを行い、膨れの有無を記録し、以下の基準で評価した。
「○」:膨れ無し
「×」:膨れ有り
【0463】
表1に示す通り、(A)特定構造を有するマレイミド化合物、(B)エポキシ樹脂、及び(C)ポリカルボジイミド化合物を含有する実施例1~17では、優れたスミア除去性及び優れた耐熱性(ガラス転移温度)を示し、かつ高温高湿環境に暴露された場合であっても高い密着強度(CZ銅ピール強度)を示し、当該3つの特性を両立する硬化物を得ることができた。一方で、(A)成分又は(C)成分を含有しない比較例1~7では、スミア除去性、耐熱性(ガラス転移温度)及び密着強度(CZ銅ピール強度)の少なくとも1つが劣っており、当該3つの特性を両立させることができなかった。
【符号の説明】
【0464】
1 樹脂基板の露出なしの内層回路
2 樹脂基板の露出が1.5mm間隔の内層回路
3 樹脂基板の露出が1.0mm間隔の内層回路
4 樹脂基板の露出が0.5mm間隔の内層回路
10 樹脂基板の露出箇所(直径0.2mm)
図1