(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026023204
(43)【公開日】2026-02-13
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60T 8/171 20060101AFI20260205BHJP
B60T 8/17 20060101ALI20260205BHJP
B61H 1/00 20060101ALI20260205BHJP
B60L 7/10 20060101ALI20260205BHJP
【FI】
B60T8/171 Z
B60T8/17 C
B61H1/00
B60L7/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024125037
(22)【出願日】2024-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 啓佑
(72)【発明者】
【氏名】西村 成人
【テーマコード(参考)】
3D246
5H125
【Fターム(参考)】
3D246AA17
3D246BA03
3D246DA01
3D246EA05
3D246GA22
3D246GB39
3D246GC14
3D246HA36A
3D246HA39A
3D246HA42A
3D246HA64A
3D246HA71B
3D246HA97A
3D246HB21A
3D246JB02
3D246JB11
3D246LA28Z
5H125AA05
5H125BA00
5H125CB02
5H125CB05
5H125EE64
5H125EE65
(57)【要約】
【課題】車輪の温度を上昇させて、ブレーキ力の低下を抑制する制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】ブレーキ制御装置20は、車輪12の温度を取得する車輪温度取得部21と、車輪12の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する判定部22と、判定部22が車輪12の温度が所定温度よりも低いと判定した場合に、車輪12の温度を上昇させる上昇処理を開始する制御部23と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪の温度を取得する車輪温度取得部と、
前記車輪の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する判定部と、
前記判定部が前記車輪の温度が前記所定温度よりも低いと判定した場合に、前記車輪の温度を少なくとも前記所定温度まで上昇させる加熱処理を開始する制御部と、を備える
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記車輪の温度が前記所定温度になるまで前記加熱処理を継続して行う
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記加熱処理を複数回に分けて行う
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記車輪温度取得部は、前記車輪の温度を測定する測定部が測定した前記車輪の温度を取得する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
外気の温度を取得する外気温度取得部と、
前記外気温度取得部が取得した前記外気の温度に基づいて前記車輪の温度を推定する推定部と、を備え、
前記車輪温度取得部は、前記推定部が推定した前記車輪の温度を取得する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記車輪の走行位置及び走行日時の少なくとも一方を走行情報として取得する走行情報取得部と、
前記走行情報に基づいて前記車輪の温度を推定する推定部と、を備え、
前記車輪温度取得部は、前記推定部が推定した前記車輪の温度を取得する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
外部から気象情報を取得する気象情報取得部を備え、
前記推定部は、前記気象情報に基づいて前記車輪の温度を推定する
請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記車輪の踏面に制輪子を押し当てることで前記加熱処理を行う
請求項1~7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、ブレーキ指令が入力されている際に、前記加熱処理を開始する
請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記車輪の温度上昇量を推定する推定部と、
前記加熱処理の開始時の前記車輪の温度と、推定された前記温度上昇量と、の和を算出する算出部と、を備え、
前記制御部は、前記判定部が前記和が前記所定温度以上と判定した際に、前記加熱処理を終了する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、ブレーキ指令が入力されている際に、前記車輪の踏面に制輪子を押し当てることで前記加熱処理を行い、
前記推定部は、前記車輪の踏面に前記制輪子を押し当てるブレーキの開始時の前記車輪の回転速度を加算した総和から前記温度上昇量を推定する
請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記車輪の踏面に制輪子を押し当てることで前記加熱処理を行い、
前記推定部は、前記車輪の踏面に前記制輪子を押し当てる圧力を加算した総和から前記温度上昇量を推定する
請求項10に記載の制御装置。
【請求項13】
外部から気象情報を取得する気象情報取得部を備え、
前記推定部は、前記気象情報に基づいて前記温度上昇量を推定する
請求項10に記載の制御装置。
【請求項14】
ブレーキは、前記車輪を駆動する駆動機によって減速させる回生ブレーキと、制輪子を前記車輪の踏面に押し当てる踏面ブレーキと、を含み、
前記制御部は、ブレーキ指令が入力されている際に、前記踏面ブレーキのみでブレーキを行うことで前記加熱処理を行う
請求項1に記載の制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記判定部が前記車輪の温度が所定温度以上と判定すると、前記回生ブレーキと前記踏面ブレーキとでブレーキを行う
請求項14に記載の制御装置。
【請求項16】
車輪の温度を取得する車輪温度取得処理と、
前記車輪の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する判定処理と、
前記車輪の温度が前記所定温度よりも低いと判定した場合に、前記車輪の温度を少なくとも前記所定温度まで上昇させる加熱処理と、を含む
制御方法。
【請求項17】
車輪の温度を取得する車輪温度取得部と、
前記車輪の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する判定処理と、
前記車輪の温度が前記所定温度よりも低いと判定した場合に、前記車輪の温度を少なくとも前記所定温度まで上昇させる加熱処理と、をコンピュータに実行させる
制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鉄道車両は、車輪の踏面に制輪子を押し当てることでブレーキ力を発生させる踏面ブレーキを備えている。踏面ブレーキは、車輪とレールとの粘着力が、制輪子を踏面に押し当てることで発生するブレーキ力よりも大きいと、車輪がレール上を回転しながら停止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、気温が低いときには、車輪とレールとの間の粘着係数が低くなり、踏面ブレーキのブレーキ力が低下することがある。この場合には、ブレーキ力が安定せず、車輪が回転せずにレール上を滑る滑走が発生するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決する制御装置は、車輪の温度を取得する車輪温度取得部と、前記車輪の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する判定部と、前記判定部が前記車輪の温度が前記所定温度よりも低いと判定した場合に、前記車輪の温度を少なくとも前記所定温度まで上昇させる加熱処理を開始する制御部と、を備える。
【0005】
上記構成によれば、車輪の温度が所定温度よりも低いと車輪とレールとの間の粘着係数が低くなり、ブレーキ力が低下することがある。そこで、車輪の温度が所定温度よりも低い場合に車輪の温度を少なくとも所定温度まで上昇させる。よって、車輪の温度を上昇させて、ブレーキ力の低下を抑制することができる。
【0006】
上記制御装置について、前記制御部は、前記車輪の温度が前記所定温度になるまで前記加熱処理を継続して行うことが好ましい。
上記制御装置について、前記制御部は、前記加熱処理を複数回に分けて行うことが好ましい。
【0007】
上記制御装置について、前記車輪温度取得部は、前記車輪の温度を測定する測定部が測定した前記車輪の温度を取得することが好ましい。
上記制御装置について、外気の温度を取得する外気温度取得部と、前記外気温度取得部が取得した前記外気の温度に基づいて前記車輪の温度を推定する推定部と、を備え、前記車輪温度取得部は、前記推定部が推定した前記車輪の温度を取得することが好ましい。
【0008】
上記制御装置について、前記車輪の走行位置及び走行日時の少なくとも一方を走行情報として取得する走行情報取得部と、前記走行情報に基づいて前記車輪の温度を推定する推定部と、を備え、前記車輪温度取得部は、前記推定部が推定した前記車輪の温度を取得することが好ましい。
【0009】
上記制御装置について、外部から気象情報を取得する気象情報取得部を備え、前記推定部は、前記気象情報に基づいて前記車輪の温度を推定することが好ましい。
上記制御装置について、前記制御部は、前記車輪の踏面に制輪子を押し当てることで前記加熱処理を行うことが好ましい。
【0010】
上記制御装置について、前記制御部は、ブレーキ指令が入力されている際に、前記加熱処理を行うことが好ましい。
上記制御装置について、前記車輪の温度上昇量を推定する推定部と、前記加熱処理の開始時の前記車輪の温度と、推定された前記温度上昇量と、の和を算出する算出部と、を備え、前記制御部は、前記判定部が前記和が前記所定温度以上と判定した際に、前記加熱処理を終了することが好ましい。
【0011】
上記制御装置について、前記制御部は、ブレーキ指令が入力されている際に、前記車輪の踏面に制輪子を押し当てることで前記加熱処理を行い、前記推定部は、前記車輪の踏面に前記制輪子を押し当てるブレーキの開始時の前記車輪の回転速度を加算した総和から前記温度上昇量を推定することが好ましい。
【0012】
上記制御装置について、前記制御部は、前記車輪の踏面に制輪子を押し当てることで前記加熱処理を行い、前記推定部は、前記車輪の踏面に前記制輪子を押し当てる圧力を加算した総和から前記温度上昇量を推定することが好ましい。
【0013】
上記制御装置について、外部から気象情報を取得する気象情報取得部を備え、前記推定部は、前記気象情報に基づいて前記温度上昇量を推定することが好ましい。
上記制御装置について、前記ブレーキは、前記車輪を駆動する駆動機によって減速させる回生ブレーキと、制輪子を前記車輪の踏面に押し当てる踏面ブレーキと、を含み、前記制御部は、ブレーキ指令が入力されている際に、前記踏面ブレーキのみでブレーキを行うことで前記加熱処理を行うことが好ましい。
【0014】
上記制御装置について、前記制御部は、前記判定部が前記車輪の温度が所定温度以上と判定すると、前記回生ブレーキと前記踏面ブレーキとでブレーキを行うことが好ましい。
上記課題を解決する制御方法は、車輪の温度を取得する車輪温度取得処理と、前記車輪の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する判定処理と、前記車輪の温度が前記所定温度よりも低いと判定した場合に、前記車輪の温度を少なくとも前記所定温度まで上昇させる加熱処理と、を含む。
【0015】
上記方法によれば、車輪の温度が所定温度よりも低いと車輪とレールとの間の粘着係数が低くなり、ブレーキ力が低下することがある。そこで、車輪の温度が所定温度よりも低い場合に車輪の温度を少なくとも所定温度まで上昇させる。よって、車輪の温度を上昇させて、ブレーキ力の低下を抑制することができる。
【0016】
上記課題を解決する制御プログラムは、車輪の温度を取得する車輪温度取得部と、前記車輪の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する判定処理と、前記車輪の温度が前記所定温度よりも低いと判定した場合に、前記車輪の温度を少なくとも前記所定温度まで上昇させる加熱処理と、をコンピュータに実行させる。
【0017】
上記プログラムによれば、車輪の温度が所定温度よりも低いと車輪とレールとの間の粘着係数が低くなり、ブレーキ力が低下することがある。そこで、車輪の温度が所定温度よりも低い場合に車輪の温度を上昇させる。よって、車輪の温度を上昇させて、ブレーキ力の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車輪の温度を上昇させて、ブレーキ力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】(a)~(c)同実施形態の制御装置によるブレーキを示す図である。
【
図3】同実施形態の制御装置による制御方法を示すフローチャートである。
【
図4】第2実施形態の制御装置による制御方法を示すフローチャートである。
【
図5】第3実施形態の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図6】同実施形態の制御装置による制御方法を示すフローチャートである。
【
図7】第4実施形態の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図8】同実施形態の制御装置による制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図3を参照して、制御装置、制御方法、及び制御プログラムをブレーキ装置に具体化した第1実施形態について説明する。ブレーキ装置は、鉄道車両に搭載され、鉄道車両を減速させたり、停止させたりする。
【0021】
図1に示すように、ブレーキ制御システム1は、鉄道車両に搭載され、鉄道車両のブレーキを制御するシステムである。ブレーキ制御システム1は、ブレーキ指令部2と、回生ブレーキ制御装置3と、圧力センサ4と、速度センサ5と、温度センサ6と、ブレーキ装置10と、ブレーキシリンダ11と、制輪子13と、を備えている。
【0022】
ブレーキ指令部2は、鉄道車両の運転台等に設置され、運転士等からの操作に基づいたブレーキ指令を生成して、ブレーキ装置10に出力する。回生ブレーキ制御装置3は、車輪12を駆動する駆動機(図示略)による回生ブレーキを制御する装置である。圧力センサ4は、乗客によって鉄道車両に掛かる荷重を検出するために空気ばね等の圧力を検出してブレーキ装置10に出力する。速度センサ5は、車輪12の回転速度を検出してブレーキ装置10に出力する。温度センサ6は、車輪12の温度を検出してブレーキ装置10に出力する。温度センサ6は、車輪12が回転するため、非接触で温度測定可能な温度計が好ましい。例えば、物体が放射する赤外線エネルギー量から温度を測定する放射温度計や短波長から温度を測定する放射温度計等が好ましい。なお、温度センサ6が車輪12の温度を測定する測定部に相当する。温度センサ6は、各車輪12に設けられてもよく、同じ台車に少なくとも1個設けられてもよく、同じ車両に少なくとも1個設けられてもよく、同じ編成に少なくとも1個設けられてもよい。各車輪12に温度センサ6が設けられない場合には、他の台車や車両の温度センサ6から車輪12の温度を取得する。
【0023】
ブレーキ装置10は、ブレーキシリンダ11をブレーキシリンダ圧PCによって駆動してブレーキ力を発生させる装置である。ブレーキシリンダ11は、制輪子13を車輪12に押し当てる踏面ブレーキに接続されている。
【0024】
ブレーキ装置10は、ブレーキ制御装置20と、元空気タンク30と、電空変換弁31と、中継弁32と、第1圧力センサ33と、第2圧力センサ34と、を備えている。ブレーキ制御装置20は、回生ブレーキ制御装置3と協調するとともに、ブレーキシリンダ11を駆動させてブレーキ力を発生させる。
【0025】
ブレーキ制御装置20は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサとして構成し得る。ブレーキ制御装置20すなわちプロセッサにより実行される処理には、制御方法が含まれる。制御方法は、後述する車輪温度取得処理と、判定処理と、加熱処理と、を含む。なお、ブレーキ制御装置20は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、又はその組み合わせを含む回路(circuitry)として構成してもよい。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。コンピュータ可読媒体に格納されたプログラムには制御プログラムが含まれる。制御プログラムは、車輪温度取得処理と、判定処理と、加熱処理と、をコンピュータに実行させる。
【0026】
ブレーキ制御装置20は、車輪温度取得部21と、判定部22と、制御部23と、記憶部24と、を備えている。車輪温度取得部21は、車輪12の温度を取得する。車輪温度取得部21は、温度センサ6が測定した車輪12の温度を取得する。判定部22は、車輪温度取得部21が取得した車輪12の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する。所定温度は、車輪12とレールとの間の粘着係数が低くなり、踏面ブレーキのブレーキ力が低下する温度であって、車輪の種類ごとに設定される。車輪12の温度が所定温度以上であれば、車輪12とレールとの間の粘着係数が低くならず、踏面ブレーキのブレーキ力が低下しない。
【0027】
制御部23は、車輪12の温度が所定温度よりも低いと判定部22が判定した場合に、車輪12の温度を少なくとも所定温度まで上昇させる加熱処理を開始する。制御部23は、車輪12の温度が所定温度になるまで加熱処理を継続して行う。
【0028】
制御部23は、車輪12の踏面に制輪子13を押し当てることで加熱処理を行う。車輪12の踏面に制輪子13を押し当てると、摩擦熱によって車輪12が加熱される。制御部23は、車輪12の回転速度が所定回転速度未満である場合に、加熱処理を行う。制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されている際に、加熱処理を開始する。すなわち、制御部23は、ブレーキを行う時に車輪12の踏面に制輪子13を押し当てて車輪12を加熱する。更に、制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されている際に、踏面ブレーキのみでブレーキを行い、車輪12の温度を上昇させる。
【0029】
記憶部24は、制御部23が車輪12の温度を上昇させる加熱処理を行う際に使用する、ブレーキシリンダ圧PCやブレーキシリンダ圧PCをかける期間等のパラメータを記憶している。
【0030】
ブレーキは、車輪12を駆動する駆動機(図示略)によって減速させる回生ブレーキと、制輪子13を車輪12の踏面に押し当てる踏面ブレーキと、を含む。ブレーキ制御装置20は、回生ブレーキによるブレーキ力と、踏面ブレーキによるブレーキ力との合計がブレーキ指令から求められたブレーキ力になるよう制御する。
【0031】
図2(a)に示すように、制御部23は、加熱処理がない場合には、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されると回生ブレーキを行い、車輪12の回転速度が回生ブレーキを終了する終了速度に低下すると回生ブレーキを停止して、車輪12の回転が停止するまで踏面ブレーキを行う。回生ブレーキを行うことで電気を回収することができるため、回生ブレーキによる減速効果が得られる終了速度まで回生ブレーキを行うことが望ましい。なお、ブレーキ指令から求められたブレーキ力を回生ブレーキのみで得られない場合には、求められたブレーキ力が得られるように踏面ブレーキを併用する。
【0032】
図2(b)に示すように、制御部23は、第1加熱処理を行う場合には、加熱処理がない場合と比較して、回生ブレーキの期間の割合を短くして踏面ブレーキの期間の割合を長くする。言い換えれば、制御部23は、第1加熱処理を行う場合には、回生ブレーキによるブレーキ力を減少させるとともに、踏面ブレーキによるブレーキ力を増加させる。制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されると回生ブレーキを行い、ブレーキ開始から所定時間が経過すると車輪12を加熱するために回生ブレーキを停止して、車輪12の回転が停止するまで踏面ブレーキを行う。なお、車輪12の回転速度が高いと制輪子13が過度に摩耗するため、踏面ブレーキを開始する開始速度未満で踏面ブレーキを開始することが望ましい。そこで、制御部23は、車輪12の回転速度が開始速度以上である場合には回生ブレーキを行い、車輪12の回転速度が開始速度未満に低下すると加熱処理として踏面ブレーキを開始してもよい。開始速度は、所定回転速度に相当する。
【0033】
図2(c)に示すように、制御部23は、第2加熱処理を行う場合には、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されると、車輪12を最大限加熱するために回生ブレーキを行わず、ブレーキ開始から車輪12の回転が停止するまで踏面ブレーキを行う。なお、車輪12の温度が所定温度以上になると、加熱処理を停止するため、踏面ブレーキによるブレーキを解除して制輪子13を車輪12から離して、回生ブレーキを行う。
【0034】
図1に示すように、元空気タンク30は、貯留されている圧縮空気PAを出力する空気タンクである。
電空変換弁31は、制御部23から出力される電気信号である圧力制御信号SAを、空気の圧力によって制御内容を示す空気信号PBに変換する。
【0035】
中継弁32は、電空変換弁31から出力された空気信号PBの空気圧である指令圧に応じたブレーキシリンダ圧PCの空気をブレーキシリンダ11に出力する。ブレーキシリンダ圧PCは、空気信号PBが圧縮空気PAによって増幅されたものである。ブレーキシリンダ圧PCと空気信号PBの指令圧とは、比例関係にあるものとする。
【0036】
第1圧力センサ33は、空気信号PBの空気圧である指令圧を検出するセンサである。指令圧は、車輪12に制輪子13を押し付ける力を示す物理量である。第1圧力センサ33は、検出した空気信号PBの指令圧をフィードバック信号SBとして、ブレーキ制御装置20に出力する。
【0037】
第2圧力センサ34は、ブレーキシリンダ11の空気圧であるブレーキシリンダ圧PCを検出するセンサである。ブレーキシリンダ圧PCは、車輪12に制輪子13を押し付ける力を示す物理量である。第2圧力センサ34は、検出したブレーキシリンダ圧PCをフィードバック信号SCとして、ブレーキ制御装置20に出力する。
【0038】
(第1実施形態の作用)
次に、
図3を併せ参照して、上記のように構成されたブレーキ制御装置20による制御方法について説明する。
【0039】
まず、ブレーキ制御装置20は、車輪12の温度を取得する(ステップS11)。すなわち、車輪温度取得部21は、温度センサ6が測定した車輪12の温度を取得する。ステップS11は、車輪温度取得処理に相当する。
【0040】
続いて、ブレーキ制御装置20は、車輪12の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する(ステップS12)。すなわち、判定部22は、車輪温度取得部21が取得した車輪12の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する。つまり、判定部22は、車輪12とレールとの間の粘着係数が低くなり、踏面ブレーキのブレーキ力が低下しているか否かを判定する。ステップS12は、判定処理に相当する。
【0041】
判定部22は、車輪温度取得部21が取得した車輪12の温度が所定温度以上であると判定した場合(ステップS12:NO)には、加熱処理を行わず終了する。この場合には、制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されている際に、
図2(a)に示した加熱処理なしのブレーキを行う。
【0042】
一方、判定部22は、車輪温度取得部21が取得した車輪12の温度が所定温度よりも低いと判定した場合(ステップS12:YES)には、ステップS13に移行する。ブレーキ制御装置20は、加熱処理を行う(ステップS13)。すなわち、制御部23は、車輪12の踏面に制輪子13を押し当てることで加熱処理を行う。制輪子13を押し当てられた車輪12は、摩擦熱によって温度が上昇して加熱される。
【0043】
制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されている際に、加熱処理を行う。つまり、制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されていない場合には、加熱処理を行わない。また、制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力され、且つ車輪12の回転速度が所定回転速度(開始速度)未満である場合には、
図2(c)に示した第2加熱処理のブレーキを行う。つまり、制御部23は、踏面ブレーキのみでブレーキを行い、車輪12を加熱させる。一方、制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力され、且つ車輪12の回転速度が所定回転速度(開始速度)以上である場合には、
図2(b)に示した第1加熱処理のブレーキを行う。つまり、制御部23は、車輪12の回転速度が開始速度未満になるまで回生ブレーキのみでブレーキを行い、車輪12の回転速度が開始速度未満となると踏面ブレーキのみでブレーキを行い、車輪12を加熱させる。
【0044】
制御部23は、車輪12の回転速度が開始速度未満である場合に、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されると、踏面ブレーキによって加熱処理を行い、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されなくなると、踏面ブレーキを解除することで加熱処理も終了する。
【0045】
(第1実施形態の効果)
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)車輪12の温度が所定温度よりも低いと車輪12とレールとの間の粘着係数が低くなり、ブレーキ力が低下することがある。そこで、車輪12の温度が所定温度よりも低い場合に車輪12の温度を少なくとも所定温度まで上昇させる。よって、車輪12の温度を上昇させて、ブレーキ力の低下を抑制することができる。
【0046】
(1-2)車輪12の温度が所定温度になるまで継続して上昇させるので、所定温度にできる限り早く到達させることができる。
(1-3)温度センサ6が測定した車輪12の温度によって所定温度よりも低いか否かを判定するので、車輪12の温度から確実に判定することができる。
【0047】
(1-4)車輪12の踏面に制輪子13を押し当てることで加熱処理を行う。このため、温度を上昇させるための機器を別途備える必要がない。
(1-5)ブレーキ指令が入力されている際に車輪12の踏面に制輪子13を押し当てることで車輪12の温度を上昇させる。このため、ブレーキ時に車輪12の温度を上昇させて、加熱処理を別途行わずに済む。
【0048】
(1-6)ブレーキ指令が入力されている際に、踏面ブレーキのみでブレーキを行い、車輪12の温度を上昇させる。このため、新たな装置を設けることなく、ブレーキの選択によって車輪12の温度を上昇させることができる。
【0049】
(第2実施形態)
以下、
図1及び
図4を参照して、制御装置、制御方法、及び制御プログラムをブレーキ装置に具体化した第2実施形態について説明する。この実施形態の制御装置、制御方法、及び制御プログラムは、車輪12の温度を推定する点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0050】
図1に示すように、ブレーキ制御装置20は、外気温度取得部25と、推定部26と、算出部27と、を更に備えている。外気温度取得部25は、外気の温度を取得する。外気温度取得部25は、鉄道車両に設けられる外気の温度を測定する温度センサから取得する。推定部26は、外気温度取得部25が取得した外気の温度に基づいて車輪12の温度を推定する。車輪温度取得部21は、推定部26が推定した車輪12の温度を取得する。
【0051】
また、制御部23は、ブレーキ指令が入力されている際に、車輪12の踏面に制輪子13を押し当てることで加熱処理を行う。推定部26は、車輪12の温度上昇両を推定する。算出部27は、加熱処理の開始時の車輪12の温度と、推定された温度上昇量と、の和を算出する。制御部23は、判定部22が前記和が所定温度以上と判定した際に、加熱処理を終了する。推定部26は、車輪12の踏面に制輪子13を押し当てる踏面ブレーキの開始時の車輪12の回転速度を加算した総和から車輪12の温度上昇量を推定する。推定部26は、踏面ブレーキの開始時の車輪12の回転速度を加算することでおおよその車輪12の温度上昇を把握することができる。制御部23は、車輪12の温度が所定温度以上である場合に加熱処理を終了する。
【0052】
(第2実施形態の作用)
次に、
図4を併せ参照して、上記のように構成されたブレーキ制御装置20による制御方法について説明する。
【0053】
まず、ブレーキ制御装置20は、外気の温度を取得する(ステップS21)。すなわち、外気温度取得部25は、鉄道車両に設けられる温度センサが測定した外気の温度を取得する。ステップS21は、外気温度取得処理である。
【0054】
続いて、ブレーキ制御装置20は、車輪12の温度を推定する(ステップS22)。すなわち、推定部26は、外気温度取得部25が取得した外気の温度に基づいて車輪12の温度を推定する。車輪温度取得部21は、推定部26が推定した車輪12の温度を取得する。ステップS22は、推定処理である。ステップS21,S22は、車輪温度取得処理に相当する。
【0055】
続いて、ブレーキ制御装置20は、車輪12の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する(ステップS23)。すなわち、判定部22は、車輪温度取得部21が取得した車輪12の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する。つまり、判定部22は、車輪12とレールとの間の粘着係数が低くなり、踏面ブレーキのブレーキ力が低下しているか否かを判定する。ステップS23は、判定処理に相当する。
【0056】
判定部22は、車輪温度取得部21が取得した車輪12の温度が所定温度以上であると判定した場合(ステップS23:NO)には、加熱処理を行わず終了する。この場合には、制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されている際に、
図2(a)に示した加熱処理なしのブレーキを行う。
【0057】
一方、判定部22は、車輪温度取得部21が取得した車輪12の温度が所定温度よりも低いと判定した場合(ステップS23:YES)には、ステップS24に移行する。ブレーキ制御装置20は、加熱処理を行う(ステップS24)。すなわち、制御部23は、車輪12の踏面に制輪子13を押し当てることで加熱処理を行う。制輪子13を押し当てられた車輪12は、摩擦熱によって温度が上昇して加熱される。
【0058】
続いて、ブレーキ制御装置20は、ブレーキ指令を取得したか否かを判定する(ステップS25)。すなわち、制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されているか否かで判定する。そして、制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されていないと判定すると(ステップS25:NO)、ブレーキ指令が入力されるまで待機する。
【0059】
一方、制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されていると判定すると(ステップS25:YES)、ステップS26に移行する。
ブレーキ制御装置20は、車両が停止したか否かを判定する(ステップS26)。すなわち、制御部23は、ブレーキ指令が入力されなくなるとともに、車輪12の回転速度がゼロになると、車両が停止したと判定する。そして、制御部23は、車両が停止していないと判定すると(ステップS26:NO)、車両が停止するまで待機する。
【0060】
一方、制御部23は、車両が停止したと判定すると(ステップS26:YES)、ステップS27に移行する。
続いて、ブレーキ制御装置20は、ブレーキを開始したときの車輪12の回転速度(ブレーキ初速)を取得する(ステップS27)。すなわち、制御部23は、速度センサ5からブレーキを開始したときの車輪12の回転速度を取得する。
【0061】
続いて、ブレーキ制御装置20は、ブレーキを開始したときの車輪12の回転速度(ブレーキ初速)の総和が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS28)。すなわち、制御部23は、速度センサ5から取得したブレーキ初速の総和を求めて、ブレーキ初速の総和が閾値以上であるか否かを判定する。そして、制御部23は、ブレーキ初速の総和が閾値未満であると判定すると(ステップS28:NO)、ステップS25に移行する。
【0062】
一方、制御部23は、ブレーキ初速の総和が閾値以上であると判定すると(ステップS28:YES)、加熱処理が十分に行われたと判定して、加熱処理を終了する。この場合には、制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されている際に、
図2(a)に示した加熱処理なしのブレーキを行う。
【0063】
制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されている際に、加熱処理を行う。つまり、制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されていない場合には、加熱処理を行わない。また、制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力され、且つ車輪12の回転速度が所定回転速度(開始速度)未満である場合には、
図2(c)に示した第2加熱処理のブレーキを行う。つまり、制御部23は、踏面ブレーキのみでブレーキを行い、車輪12を加熱させる。一方、制御部23は、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力され、且つ車輪12の回転速度が所定回転速度(開始速度)以上である場合には、
図2(b)に示した第1加熱処理のブレーキを行う。つまり、制御部23は、車輪12の回転速度が開始速度未満になるまで回生ブレーキのみでブレーキを行い、車輪12の回転速度が開始速度未満となると踏面ブレーキのみでブレーキを行い、車輪12を加熱させる。
【0064】
制御部23は、車輪12の回転速度が開始速度未満である場合に、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されると、踏面ブレーキによって加熱処理を行い、ブレーキ指令部2からブレーキ指令が入力されなくなると、踏面ブレーキを解除することで加熱処理も終了する。
【0065】
(第2実施形態の効果)
次に、第2実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-1)、(1-2)、及び(1-4)~(1-6)の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0066】
(2-1)外気の温度が低下すると、外気に冷やされて車輪12の温度も低下する。そこで、外気の温度から推定部26が推定した車輪12の温度によって車輪12の温度が所定温度よりも低いか否かを判定することができる。
【0067】
(2-2)加熱処理の開始時の車輪12の温度と推定された温度上昇量との和が所定温度以上と判定した際に、加熱処理を終了する。このため、車輪12の温度が所定温度以上となったときに加熱処理を終了することができる。
【0068】
(2-3)ブレーキの開始時が最も回転速度が高いので、開始時の回転速度の総和から加熱した車輪12の温度を推定することができる。このため、車輪12の温度が所定温度よりも高くなったことを推定して加熱処理を終了することができる。
【0069】
(第3実施形態)
以下、
図5及び
図6を参照して、制御装置、制御方法、及び制御プログラムをブレーキ装置に具体化した第3実施形態について説明する。この実施形態の制御装置、制御方法、及び制御プログラムは、車輪12の温度を推定するために車両の走行情報を用いる点が上記第2実施形態と異なっている。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0070】
図5に示すように、ブレーキ制御装置20は、外気温度取得部25に代えて走行情報取得部28を備えている。走行情報取得部28は、走行情報を取得する。走行情報は、走行位置及び走行日時の少なくとも一方である。記憶部24には、走行位置及び走行日時の少なくとも一方に対する外気の温度又は車輪12の温度が記憶されている。推定部26は、走行情報取得部28が取得した走行情報に基づいて車輪12の温度を推定する。車輪温度取得部21は、推定部26が推定した車輪12の温度を取得する。
【0071】
また、制御部23は、ブレーキ指令が入力されている際に、車輪12の踏面に制輪子13を押し当てることで加熱処理を行う。推定部26は、車輪12の踏面に制輪子13を押し当てる踏面ブレーキの開始時の車輪12の回転速度を加算した総和から車輪12の温度上昇量を推定する。推定部26は、踏面ブレーキの開始時の車輪12の回転速度を加算することでおおよその車輪12の温度上昇を把握することができる。制御部23は、車輪12の温度が所定温度以上である場合に加熱処理を終了する。
【0072】
(第3実施形態の作用)
次に、
図6を併せ参照して、上記のように構成されたブレーキ制御装置20による制御方法について説明する。
【0073】
まず、ブレーキ制御装置20は、走行情報を取得する(ステップS31)。すなわち、走行情報取得部28は、鉄道車両に設けられる運転制御装置等から走行位置及び走行日時の少なくとも一方を取得する。ステップS31は、走行情報取得処理である。
【0074】
続いて、ブレーキ制御装置20は、車輪12の温度を推定する(ステップS32)。すなわち、推定部26は、走行情報取得部28が取得した走行情報に基づいて車輪12の温度を推定する。車輪温度取得部21は、推定部26が推定した車輪12の温度を取得する。ステップS32は、推定処理である。ステップS31,S32は、車輪温度取得処理に相当する。
【0075】
続いて、ブレーキ制御装置20は、車輪12の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する(ステップS23)。すなわち、判定部22は、車輪温度取得部21が取得した車輪12の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する。つまり、判定部22は、車輪12とレールとの間の粘着係数が低くなり、踏面ブレーキのブレーキ力が低下しているか否かを判定する。ステップS23は、判定処理に相当する。ステップS23以降は、第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0076】
(第3実施形態の効果)
次に、第3実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-1)、(1-2)、及び(1-4)~(1-6)及び第2実施形態の(2-2)の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0077】
(3-1)車輪12の走行位置及び走行日時の少なくとも一方である走行情報を取得し、走行情報から推定した車輪12の温度によって、車輪12の温度が所定温度よりも低いか否かを判定することができる。
【0078】
(第4実施形態)
以下、
図7及び
図8を参照して、制御装置、制御方法、及び制御プログラムをブレーキ装置に具体化した第4実施形態について説明する。この実施形態の制御装置、制御方法、及び制御プログラムは、車輪12の温度を推定するために車両の走行情報を用いる点が上記第2実施形態と異なっている。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0079】
図7に示すように、ブレーキ制御装置20は、外気温度取得部25に代えて気象情報取得部29を備えている。気象情報取得部29は、外部から気象情報を取得する。気象情報は、気温及び風速等である。気象情報取得部29は、走行位置も取得して走行位置に対応した気象情報を取得することが好ましい。なお、気象情報は、車両の走行時の気温に限らず、その日の最低気温を採用してもよい。推定部26は、気象情報取得部29が取得した気象情報に基づいて車輪12の温度を推定する。車輪温度取得部21は、推定部26が推定した車輪12の温度を取得する。
【0080】
また、制御部23は、ブレーキ指令が入力されている際に、車輪12の踏面に制輪子13を押し当てることで加熱処理とともにブレーキを行う。推定部26は、車輪12の踏面に制輪子13を押し当てる踏面ブレーキの開始時の車輪12の回転速度を加算した総和から車輪12の温度上昇量を推定する。推定部26は、踏面ブレーキの開始時の車輪12の回転速度を加算することでおおよその車輪12の温度上昇を把握することができる。制御部23は、車輪12の温度が所定温度以上である場合に加熱処理を終了する。
【0081】
(第4実施形態の作用)
次に、
図8を併せ参照して、上記のように構成されたブレーキ制御装置20による制御方法について説明する。
【0082】
まず、ブレーキ制御装置20は、気象情報を取得する(ステップS41)。すなわち、気象情報取得部29は、鉄道車両に設けられる運転制御装置等を介して走行位置に対する気象情報を取得する。ステップS41は、気象情報取得処理である。
【0083】
続いて、ブレーキ制御装置20は、車輪12の温度を推定する(ステップS42)。すなわち、推定部26は、走行情報取得部28が取得した走行情報に基づいて車輪12の温度を推定する。車輪温度取得部21は、推定部26が推定した車輪12の温度を取得する。ステップS42は、推定処理である。ステップS41,S42は、車輪温度取得処理に相当する。
【0084】
続いて、ブレーキ制御装置20は、車輪12の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する(ステップS23)。すなわち、判定部22は、車輪温度取得部21が取得した車輪12の温度が所定温度よりも低いか否かを判定する。つまり、判定部22は、車輪12とレールとの間の粘着係数が低くなり、踏面ブレーキのブレーキ力が低下しているか否かを判定する。ステップS23は、判定処理に相当する。ステップS23以降は、第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0085】
(第4実施形態の作用)
次に、第4実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-1)、(1-2)、及び(1-4)~(1-6)及び第2実施形態の(2-2)の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0086】
(4-1)外部から気象情報を取得し、走行位置に応じた気象情報から推定した車輪12の温度によって、車輪12の温度が所定温度よりも低いか否かを判定することができる。
【0087】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0088】
・上記各実施形態では、ブレーキ時に回生ブレーキと踏面ブレーキとを同時に行わずどちらか一方のみを行うようにした。しかしながら、ブレーキ時に回生ブレーキを行いつつ、踏面ブレーキも行うようにしてもよい。なお、回生ブレーキの有無に係らず、踏面ブレーキによって車輪12の温度を上昇させることができる。
【0089】
・上記各実施形態では、踏面ブレーキの開始時の車輪12の回転速度を加算した総和から車輪12の温度上昇量を推定部26が推定し、車輪12の温度が所定温度以上である場合に制御部23が加熱処理を終了するようにした。しかしながら、制御部23が加熱処理を行った回数や時間によって車輪12の温度が所定温度以上であることを推定部26が推定してもよい。
【0090】
・また、各実施形態において、制御部23が車輪の踏面に制輪子を押し当てることで前記加熱処理を行い、推定部26が車輪12の踏面に制輪子13を押し当てる圧力を加算した総和から温度上昇量を推定してもよい。
【0091】
・また、第4実施形態において、気象情報取得部29から外部から気象情報を取得し、推定部26が気象情報に基づいて前記温度上昇量を推定してもよい。
・上記各実施形態では、ブレーキ指令が入力されている際に、制御部23が加熱処理を行うようにした。しかしながら、ブレーキ指令の有無に関係なく、制御部23が車輪12の温度が所定温度よりも低いと判定した場合に、加熱処理を行うようにしてもよい。
【0092】
・上記各実施形態では、車輪12の回転速度が所定回転速度未満である場合に、制御部23が上昇処理を行うようにした。しかしながら、車輪12の回転速度に関係なく、制御部23が車輪12の温度が所定温度よりも低いと判定した場合に、加熱処理を行うようにしてもよい。
【0093】
・上記各実施形態では、車輪12の踏面に制輪子13を押し当てることで加熱処理を行うようにした。しかしながら、車輪12にヒータ等の加熱部材を取り付けて車輪12を加熱してもよい。
【0094】
・上記各実施形態では、車輪12の温度が所定温度になるまで加熱処理を継続して行うようにした。しかしながら、加熱処理を複数回に分けて行うようにしてもよい。
・上記各実施形態では、回生ブレーキを行わず、ブレーキ開始から車輪12の回転が停止するまで踏面ブレーキを行うようにした。なお、車輪12の温度が所定温度以上になると、加熱処理を停止するため、踏面ブレーキによるブレーキを解除して制輪子13を車輪12から離して、回生ブレーキを行うようにした。しかしながら、ブレーキ動作中に車輪12の温度が所定温度以上になったとしても、回生ブレーキを行わず、停車して次のブレーキ指令が入力されたときに回生ブレーキを行うようにしてもよい。
【0095】
・上記各実施形態において、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【0096】
・上記各実施形態において、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0097】
PA…圧縮空気
PB…空気信号
PC…ブレーキシリンダ圧
SA…圧力制御信号
SB…フィードバック信号
SC…フィードバック信号
1…ブレーキ制御システム
2…ブレーキ指令部
3…回生ブレーキ制御装置
4…圧力センサ
5…速度センサ
6…温度センサ
10…ブレーキ装置
11…ブレーキシリンダ
12…車輪
13…制輪子
20…ブレーキ制御装置
21…車輪温度取得部
22…判定部
23…制御部
24…記憶部
25…外気温度取得部
26…推定部
27…算出部
28…走行情報取得部
29…気象情報取得部
30…元空気タンク
31…電空変換弁
32…中継弁
33…第1圧力センサ
34…第2圧力センサ