(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026029019
(43)【公開日】2026-02-20
(54)【発明の名称】媒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/22 20060101AFI20260213BHJP
B65H 5/08 20060101ALI20260213BHJP
B65H 7/06 20060101ALI20260213BHJP
【FI】
B65H5/22 Z
B65H5/08 B
B65H5/08 H
B65H7/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024131638
(22)【出願日】2024-08-08
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野口 芳史
【テーマコード(参考)】
3F048
3F049
3F101
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BB02
3F048BB05
3F048BD01
3F048DA06
3F048DC01
3F048DC11
3F048EB25
3F049EA17
3F049FA03
3F049FA05
3F049FB01
3F049FC02
3F049FC03
3F049LA01
3F049LB01
3F101CE03
3F101DC07
3F101EA08
3F101FC04
3F101LA01
3F101LB01
(57)【要約】
【課題】媒体搬送装置において、浮きが検知された媒体の搬送を簡単に再開する。
【解決手段】媒体搬送装置は、正転搬送及び逆転搬送可能に用紙P(媒体の一例)を搬送するレジストローラ対31(搬送部材の一例)と、このレジストローラ対31の搬送方向における下流側に配置され、用紙Pの浮きを検知する浮き検知センサFSと、この浮き検知センサFSによって浮きが検知された用紙Pをレジストローラ対31に逆転搬送させ、この逆転搬送された用紙Pをレジストローラ対31に正転搬送させる制御部(81)とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正転搬送及び逆転搬送可能に媒体を搬送する搬送部材と、
前記搬送部材の搬送方向における下流側に配置され、前記媒体の浮きを検知する浮き検知センサと、
前記浮き検知センサによって浮きが検知された前記媒体を前記搬送部材に逆転搬送させ、当該逆転搬送された媒体を前記搬送部材に正転搬送させる制御部と
を備えることを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記逆転搬送された媒体を前記搬送部材に正転搬送させる場合、前記搬送部材に搬送速度を遅くさせることによって搬送条件を変更する
ことを特徴とする請求項1記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記搬送部材の前記搬送方向における下流側に配置され、前記媒体を吸引することによって吸着搬送する吸着搬送部を更に備え、
前記制御部は、前記逆転搬送された媒体を前記搬送部材に正転搬送させる場合、前記吸着搬送部の吸引力を強くさせることによって搬送条件を変更する
ことを特徴とする請求項1記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記逆転搬送後に正転搬送された媒体の浮きを前記浮き検知センサが再び検知した場合、前記搬送条件を更に変更し、前記浮き検知センサによって浮きが検知されないと前記搬送条件を変更前の前記搬送条件に戻す
ことを特徴とする請求項2又は3記載の媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体の浮きを検知する浮き検知センサを備える媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙浮きが検出された際に、搬送動作を停止させ、複数のインクジェットヘッド全体を用紙搬送ベルトから遠ざける方向に待避させてから、紙浮きが検知された用紙を搬送する手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、用紙等の媒体の浮きが検知された場合に、印刷装置等の搬送動作を停止させ、ユーザが装置の扉を開いて媒体を取り除く作業は、ユーザにとって手間のかかる作業である。また、媒体が取り除かれるまで搬送を行うことができないため、搬送効率が悪い。
【0005】
上述のように、媒体に浮きが検出された際に、搬送動作を停止させインクジェットヘッドを退避させてから、浮きが検知された媒体を搬送すると、インクジェットヘッドの昇降に時間を要する。また、インクジェットヘッドを昇降させる昇降機構が必須の構成となる。
【0006】
本発明の目的は、浮きが検知された媒体の搬送を簡単に再開することができる媒体搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、媒体搬送装置は、正転搬送及び逆転搬送可能に媒体を搬送する搬送部材と、前記搬送部材の搬送方向における下流側に配置され、前記媒体の浮きを検知する浮き検知センサと、前記浮き検知センサによって浮きが検知された前記媒体を前記搬送部材に逆転搬送させ、当該逆転搬送された媒体を前記搬送部材に正転搬送させる制御部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
前記態様によれば、浮きが検知された媒体の搬送を簡単に再開することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施の形態に係る媒体搬送装置を備える印刷装置の内部構造を示す図である。
【
図2】一実施の形態における印刷装置の制御構成を示す図である。
【
図3】一実施の形態に係る媒体搬送装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】一実施の形態における、浮きが発生した場合のレジストローラ対等の動作を説明するための拡大説明図である。
【
図5A】一実施の形態における、浮きが発生した場合の媒体搬送装置の動作を説明するための説明図(その1)である。
【
図5B】一実施の形態における、浮きが発生した場合の媒体搬送装置の動作を説明するための説明図(その2)である。
【
図5C】一実施の形態における、浮きが発生した場合の媒体搬送装置の動作を説明するための説明図(その3)である。
【
図5D】一実施の形態における、浮きが発生した場合の媒体搬送装置の動作を説明するための説明図(その4)である。
【
図5E】一実施の形態における、浮きが発生した場合の媒体搬送装置の動作を説明するための説明図(その5)である。
【
図5F】一実施の形態における、浮きが発生した場合の媒体搬送装置の動作を説明するための説明図(その6)である。
【
図6A】比較例における、浮きが発生した場合の媒体搬送装置の動作を説明するための説明図(その1)である。
【
図6B】比較例における、浮きが発生した場合の媒体搬送装置の動作を説明するための説明図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態に係る媒体搬送装置について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、一実施の形態に係る媒体搬送装置を備える印刷装置1の内部構造を示す図である。
【0012】
【0013】
図1及び
図2に示すように、印刷装置1は、外部給紙部10と、内部給紙部20と、印刷部40と、印刷搬送部50と、排紙部60と、レジストセンサRSと、トップエッジセンサTSと、浮き検知センサFSとを備える。また、
図1に示すように、印刷装置1は、レジストローラ対31と、上昇搬送部32と、両面搬送部33と、反転搬送部34と、再給紙部35と、排紙搬送部36と、直進搬送部37と、経路切り替え部38,39とを備える。また、
図2に示すように、印刷装置1は、搬送駆動部70と、制御部81と、記憶部82と、インターフェース部83とを備える。
【0014】
図1には、外部給紙部10又は内部給紙部20から続く用紙Pの直進経路R1を実線で、印刷部40の上方に位置する両面印刷(両面処理の一例)用の循環経路R2から排紙経路R3へ続く経路を2点鎖線で、循環経路R2の反転経路R2aを破線で示す。なお、用紙Pは、媒体の一例である。そして、本明細書において、給紙は供給の一例であり、排紙は排出の一例である。そのため、給紙は供給に、排紙は排出に、それぞれ置き換えることができる。媒体は、紙以外の素材からなるシート状のものや、封筒などの折り返し部分を有するものなどであってもよい。
【0015】
外部給紙部10は、印刷装置1の外部に露出するように配置されている。外部給紙部10は、印刷前の用紙Pが積載される給紙トレイ11と、この給紙トレイ11に積載された複数枚の用紙Pのうち最上位に位置する用紙Pを繰り出して搬送する2つの給紙ローラ12と、2つの給紙ローラ12のうち下流側の給紙ローラ12に対向し、この給紙ローラ12との間に用紙Pを挟み込むことにより用紙Pの重送を解消するサバキ板13とを有する。なお、図示はしないが、外部給紙部10には、給紙トレイ11や給紙ローラ12を駆動するモータ等のアクチュエータなども配置されている。
【0016】
給紙ローラ12は、レジストローラ対31よりも搬送方向の上流側において用紙P(媒体)を搬送する上流側搬送部材の一例である。また、外部給紙部10は、レジストローラ対31へ用紙P(媒体)を供給する供給部の一例である。この供給部の他の一例としては、後述する内部給紙部20が挙げられる。
【0017】
内部給紙部20は、第1給紙部21と、第2給紙部22と、第3給紙部23とを有する。
【0018】
第1給紙部21、第2給紙部22、及び第3給紙部23は、この順に上から並んで、印刷装置1の内部に配置されている。第1給紙部21、第2給紙部22、及び第3給紙部23のそれぞれは、印刷前の用紙Pが積載される給紙トレイ21a,22a,23aと、この給紙トレイ21a,22a,23aに積載された複数枚の用紙Pのうち最上位に位置する用紙Pを繰り出して搬送するそれぞれ2つの給紙ローラ21b,22b,23bと、この2つの給紙ローラ21b,22b,23bのうち下流側の給紙ローラ21b,22b,23bに対向し、この給紙ローラ21b,22b,23bとの間に用紙Pを挟み込むことにより用紙Pの重送を解消する図示しないサバキ板とを有する。図示はしないが、内部給紙部20には、給紙ローラ21b,22b,23bを駆動するモータ等のアクチュエータなども配置されている。
【0019】
レジストローラ対31は、外部給紙部10又は内部給紙部20から続く直進経路R1において、外部給紙部10及び内部給紙部20よりも搬送方向の下流側で且つ印刷部40及び印刷搬送部50よりも搬送方向の上流側に配置されている。レジストローラ対31は、正転搬送及び逆転搬送可能に用紙P(媒体)を搬送する搬送部材の一例である。この搬送部材としては、ローラ対に代えて、搬送ベルトなどが用いられてもよい。また、搬送部材としては、レジストローラ対31とは異なる位置に配置される部材であってもよい。
【0020】
レジストローラ対31は、印刷部40に向けて搬送される用紙Pが突き当てられる。これにより、レジストローラ対31は、用紙Pの斜行を補正し、用紙Pをニップしつつ搬送する。
【0021】
レジストローラ対31の搬送方向における下流側で且つ印刷部40よりも搬送方向の上流側には、用紙Pの浮きを検知する浮き検知センサFSが配置されている。この浮き検知センサFSは、例えば、用紙Pの搬送経路から離隔した位置に設けられ浮きが生じた用紙Pのみによって押圧される板金等の被検知片と、この被検知片が用紙Pによって押圧されたことを検出するセンサとを有する接触式のものであるとよい。但し、浮き検知センサFSは、透過型又は反射型の光学センサなどであってもよい。
【0022】
レジストローラ対31の搬送方向における上流側近傍には、用紙Pが到達したことを検知する例えば透過型又は反射型の光学センサであるレジストセンサRSが配置されている。
【0023】
上昇搬送部32は、直進経路R1から循環経路R2へ用紙Pを上昇させながら搬送する。上昇搬送部32は、用紙Pをニップしつつ搬送する加速ローラ対32a,32bを有する。
【0024】
両面搬送部33は、循環経路R2の上昇搬送部32よりも搬送方向下流側において、用紙Pを搬送する。両面搬送部33は、用紙Pをニップしつつ搬送する等速ローラ対33a,33b,33c,33dを有する。
【0025】
反転搬送部34は、循環経路R2の両面搬送部33よりも搬送方向の下流側に設けられた反転経路R2aにおいて、用紙Pの表裏を反転させて搬送するスイッチバック搬送を行う。反転搬送部34は、用紙Pをニップしつつ搬送するスイッチバックローラ対34a,34bと、後述する排紙トレイ61の下部に設けられた蓄積部34cとを有する。この蓄積部34cは、反転経路R2aの先端に設けられている。蓄積部34cは、例えば直方体の排紙トレイ61の内部に、廃棄対象の用紙Pを蓄積する。排紙トレイ61には、ユーザが蓄積部34cから用紙Pを除去するための隙間が設けられているとよい。なお、蓄積部34cは、排紙トレイ61とは独立して配置されていてもよいし、反転搬送部34とは異なる位置などに配置されていてもよい。
【0026】
再給紙部35は、両面搬送部33及び反転搬送部34よりも搬送方向の下流側において、用紙Pを印刷部40に向けて再給紙する。再給紙部35は、循環経路R2からレジストローラ対31へ用紙P(媒体)を再供給する再供給搬送部の一例である。
【0027】
排紙搬送部36は、反転経路R2aよりも搬送方向上流側で循環経路R2に連結された排紙経路R3において、用紙Pを排紙部60に向けてニップしつつ搬送する排紙ローラ対である。
【0028】
直進搬送部37は、直進経路R1の搬送方向の下流側端部に配置され、印刷装置1に連結される図示しない外部排紙部、搬送装置、後処理装置などに向けて、用紙Pをニップしつつ搬送する直進ローラ対である。
【0029】
経路切り替え部38は、印刷部40によって印刷が行われた直進経路R1の用紙Pの搬送経路を、直進経路R1と循環経路R2とに切り替える。経路切り替え部38は、例えばフリッパである。
【0030】
経路切り替え部39は、循環経路R2を搬送される用紙Pの搬送経路を、反転経路R2aと排紙経路R3とに切り替える。経路切り替え部39は、例えばフリッパである。
【0031】
印刷部40は、例えば、印刷に用いられる各色分の図示しないラインヘッド型インクジェットヘッドを有する。なお、印刷部40の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。
【0032】
ここで、印刷部40は、用紙P(媒体)に印刷(処理)を行う処理部の一例である。この処理部としては、検査(処理)を行う検査部、パンチ穴加工(処理)を行うパンチなどであってもよく、印刷部40に限られない。そして、印刷装置1は、処理部(印刷部40)と、媒体搬送装置とを備える処理装置の一例である。この処理装置としては、印刷装置1に限らず、検査装置などであってもよい。また、媒体搬送装置は、例えば、印刷装置1のうち印刷部40を除いた構成を備えるものであるが、少なくとも、搬送部材(一例がレジストローラ対31)と、浮き検知センサFSと、制御部81とを備えるものであればよく、処理部を備えない装置であってもよい。
【0033】
印刷搬送部50は、印刷部40に対向して配置され、用紙Pを搬送する。印刷搬送部50は、レジストローラ対31よりも搬送方向の下流側に配置され、用紙P(媒体)を吸引することによって吸着搬送する吸着搬送部の一例である。
【0034】
例えば、印刷搬送部50は、複数のプーリ51と、これらのプーリ51に掛け渡されたベルト52と、このベルト52に設けられた複数の孔を通してエアを吸引することによって用紙Pをベルト52に吸着させる吸引ファン53(吸引手段の一例)と、印刷搬送部50の搬送方向の上流側端部のプーリ51に対向するように配置されたガイドローラ54と、印刷搬送部50の搬送方向の下流側端部のプーリ51に対向するように配置されたガイドローラ55とを有する。
【0035】
ガイドローラ54の搬送方向における上流側で且つレジストローラ対31の搬送方向における下流側には、トップエッジセンサTSが配置されている。このトップエッジセンサTSは、用紙Pが到達したことを検知する例えば透過型又は反射型の光学センサである。
【0036】
印刷搬送部50は、例えば、ベルト52の内部で且つ印刷部40の下方に位置するプラテンを有するものについては、ベルトプラテンと呼ぶことができる。なお、印刷搬送部50は、任意の構成を採用することができるが、用紙P(媒体)を吸着した状態で搬送するものとしては、吸引ファン53によるエアの吸引を行うことで用紙P(媒体)を吸着した状態で搬送するものに代えて、例えば、用紙Pを静電吸着によって吸着した状態で搬送するものなどであってもよい。
【0037】
排紙部60は、印刷装置1の外部に露出するように配置されている。排紙部60は、印刷後の用紙Pが積載される排紙トレイ61と、この排紙トレイ61に向けて用紙Pを搬送する排紙ローラ対62とを有する。
【0038】
図2に示す搬送駆動部70は、レジストローラ対31を駆動するレジスト駆動部71と、上昇搬送部32を駆動する上昇駆動部72と、両面搬送部33を駆動する両面駆動部73と、反転搬送部34を駆動する反転駆動部74と、再給紙部35を駆動する再給紙駆動部75と、排紙搬送部36を駆動する排紙駆動部76と、直進搬送部37を駆動する直進駆動部77と、経路切り替え部38,39を駆動する切り替え駆動部78,79とを有する。各駆動部は、1つ又は複数のモータ等のアクチュエータを含む。また、単一のアクチュエータが複数の駆動部を兼ねてもよい。
【0039】
制御部81は、印刷装置1全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有し、レジストローラ対31(搬送部材)、印刷部40、印刷搬送部50(吸着搬送部)、搬送駆動部70等の各部を制御する。このように、制御部81、又は印刷装置1(制御部81及び記憶部82)は、プログラムを実行するコンピュータとして機能する。詳しくは後述するが、制御部81は、浮き検知センサFSによって浮きが検知された用紙Pをレジストローラ対31に逆転搬送させ、この逆転搬送された用紙Pをレジストローラ対31に正転搬送させる。
【0040】
記憶部82は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリを有する。
【0041】
インターフェース部83は、外部機器との各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部83は、印刷制御装置やユーザ端末から印刷データを含む印刷ジョブを受信する。
【0042】
次に、印刷装置1における通常の印刷動作について説明する。
【0043】
図2に示す制御部81は、印刷ジョブが入力されると、用紙Pの給紙及び搬送を行うように印刷装置1の各部を制御する。また、制御部81は、印刷ジョブに含まれる画像データに所定の画像処理を施した後、印刷搬送部50により搬送される用紙Pに印刷を行うように印刷部40を制御する。
【0044】
ここで、片面印刷の場合、
図1に示すように、外部給紙部10、第1給紙部21、第2給紙部22、及び第3給紙部23のいずれかから未印刷の用紙Pが順次繰り出され、印刷搬送部50において所定の紙間で各用紙Pが搬送されるようなタイミングで順次給紙される。給紙された用紙Pは、レジストローラ対31によって斜行が補正された後、印刷搬送部50において所定の搬送速度で搬送されつつ、印刷部40によって印刷が行われる。印刷が行われた用紙Pは、経路切り替え部38により循環経路R2へ導かれ、経路切り替え部39により排紙経路R3へ導かれる。そして、用紙Pは、排紙搬送部36により排紙部60へ排紙される。或いは、印刷が行われた用紙Pは、そのまま直進経路R1を搬送され、図示しない排紙装置などに搬送される。
【0045】
両面印刷の場合、例えば、片面印刷時の給紙タイミングに対して各用紙Pの給紙タイミング間の時間が2倍となるタイミングで未印刷の用紙Pが順次給紙される。給紙された用紙Pは、片面印刷時と同様に、印刷搬送部50により搬送されつつ印刷部40によって印刷が行われる。
【0046】
片面印刷後の用紙Pは、経路切り替え部38により両面印刷用の循環経路R2に導かれ、上昇搬送部32及び両面搬送部33により搬送された後、経路切り替え部39により反転経路R2aへ搬送される。反転搬送部34に到達した用紙Pは、スイッチバックローラ対34a,34bによってスイッチバック搬送され、表裏が反転する。
【0047】
次いで、用紙Pは、再給紙部35によりレジストローラ対31へ再給紙される。そして、用紙Pは、上述のようにレジストローラ対31によって斜行が補正された後、印刷部40に搬送される。
【0048】
ここで、片面印刷後の用紙Pは、順次給紙される未印刷の用紙Pと交互に印刷部40に送られるようなタイミングで再給紙される。上述のように、両面印刷では、片面印刷の場合の給紙タイミングに対して、各用紙Pの給紙タイミング間の時間が2倍である。このため、未印刷の用紙Pの間に片面印刷後の用紙Pを挿入し、未印刷の用紙Pの給紙と交互に片面印刷後の用紙Pを再給紙することが可能になっている。
【0049】
片面印刷後の用紙Pは、反転搬送部34によりスイッチバックされた後、未印刷面を上向きにして印刷部40へ送られる。片面印刷後の用紙Pは、印刷搬送部50により搬送されつつ印刷部40によって未印刷面に印刷が行われる。そして、両面印刷済みの用紙Pは、そのまま直進経路R1を搬送され、図示しない排紙装置などに搬送されるか、或いは、排紙部60へ排紙される。
【0050】
次に、本実施の形態における、媒体搬送装置(主に浮きが発生した場合)の動作について説明する。
【0051】
図3に示すフローチャートの処理は、例えば印刷ジョブを受信したことに基づいて、制御部81によって行われる。
【0052】
まず、制御部81は、外部給紙部10に用紙Pの給紙を開始させ、レジストローラ対31などに用紙Pを搬送させるとともに、印刷部40に印刷を開始させる(ステップS1)。
【0053】
次に、制御部81は、浮き検知センサFSが用紙Pの浮きを検知したかを判定する(ステップS2)。
【0054】
図4(a)に示すように用紙Pの先端に浮きが発生し、浮き検知センサFSが用紙Pの浮きを検知すると(ステップS2:YES)、制御部81は、レジストローラ対31等による用紙Pの搬送速度が最低で且つ印刷搬送部50(吸引ファン53)の吸引力が最高であるかを判定する(ステップS3)。なお、搬送速度や吸引力の最低値及び最高値は、印刷装置1の構成や用紙Pの印刷設定などに応じて予め定められている。
【0055】
制御部81は、用紙Pの搬送速度が最低で且つ印刷搬送部50の吸引力が最高である場合(ステップS3:YES)、浮きエラーとして、
図3に示す処理を終了する。この場合、制御部81は、用紙Pの搬送や印刷などを停止させ、音声などによってユーザへの報知を行うとよい。
【0056】
一方、制御部81は、用紙Pの搬送速度が最低で且つ印刷搬送部50の吸引力が最高である場合には該当しない場合(ステップS3:NO)、制御部81は、
図4(b)に示すように、浮きが検知された用紙Pをレジストローラ対31に逆転させ、停止させる(ステップS4)。この場合、制御部81は、レジストローラ対31の搬送方向上流側の給紙ローラ12を停止させ、印刷搬送部50は搬送を継続させるとよい。この結果、用紙Pは、給紙ローラ12とサバキ板13との間に挟み込まれた状態で、弛みが生じる。ここで、用紙Pを逆転搬送する距離は、その後に用紙Pを正転搬送させても浮き検知センサFSによって浮きを検知可能な距離であればよい。なお、印刷搬送部50が搬送を継続し、レジストローラ対31が用紙Pを逆転搬送しても、ガイドローラ54とプーリ51との用紙Pのニップ圧がレジストローラ対31のニップ圧よりも弱いため、用紙Pの逆転搬送に支障を来さない。
【0057】
次に、制御部81は、用紙Pの搬送速度が最低であるかを判定する(ステップS5)。用紙Pの搬送速度が最低でなければ(ステップS5:NO)、制御部81は、用紙Pの搬送速度を1段階減速させる(ステップS6)。そのため、
図4(c)に示すように、逆転搬送された用紙Pをレジストローラ対31に正転搬送させる場合に、レジストローラ対31等に搬送速度を遅く(速度v1→v2)させることによって搬送条件が変更となる。
【0058】
また、制御部81は、印刷搬送部50の吸引力が最高であるかを判定する(ステップS7)。印刷搬送部50の吸引力が最高でなければ(ステップS7:NO)、制御部81は、印刷搬送部50の吸引力を1段階増加させる(ステップS8)。そのため、
図4(c)に示すように、逆転搬送された用紙Pをレジストローラ対31に正転搬送させる場合に、印刷搬送部50に吸引力を強く(エアA1→A2)させることによって搬送条件が変更となる。
【0059】
そして、制御部81は、逆転搬送された用紙Pをレジストローラ対31に正転搬送させ、
図4(c)に示すように搬送を開始(再開)する(ステップS9)。その後、制御部81は、浮き検知センサFSが用紙Pの浮きを検知したかの判定処理(ステップS2)から処理を繰り返す。そのため、制御部81は、逆転搬送後に正転搬送された用紙Pの浮きを浮き検知センサFSが再び検知した場合も、
図4(d)に示すように用紙Pを逆転搬送させ、
図4(e)に示すように搬送速度や吸引力などの搬送条件を更に変更し(搬送速度v3、エアA3)、正転搬送することになる。なお、制御部81は、逆転搬送された用紙Pを、少なくとも1度、搬送条件を変更せずに用紙Pをレジストローラ対31に正転搬送させ、搬送を再開してもよい。搬送条件を変更しなくとも、用紙Pの浮きが解消される場合があるためである。そのため、上述のように浮きエラーですぐに
図3に示す処理を終了せず、逆転搬送(ステップS4)及び正転搬送(ステップS9)が行われてもよい。また、搬送条件として、搬送速度及び吸引力を挙げたが、変更対象の搬送条件は、搬送速度及び吸引力のうちの一方のみであってもよいし、他の搬送条件であってもよい。
【0060】
浮き検知センサFSが用紙Pの浮きを検知したかの判定処理(ステップS2)に戻り、制御部81は、
図4(e)に示すように、浮き検知センサFSによって浮きが検知されない場合(ステップS2:NO)、浮きが連続発生しているかを判定する(ステップS10)。例えば、単一の用紙Pについて規定回数(複数回数)以上浮きが検知されて、その後に浮きが検知されなくなった場合や、過去の規定枚数の用紙Pに連続して浮きが検知された場合や、過去の規定枚数の用紙Pのうち浮きが検知された枚数の割合が規定割合以上である場合や、過去の一定期間に浮きが検知された回数(又は割合)が規定回数(又は規定割合)以上である場合などに、制御部81は、浮きが連続発生していると判定するとよい。
【0061】
浮きが連続発生していなければ(ステップS10:NO)、制御部81は、上述のように搬送条件(ステップS6,S8)が変更されている場合に、搬送条件を初期条件(元の搬送条件)に戻す(ステップS11)。なお、制御部81は、上述の変更処理(ステップS6,S8)で搬送条件を変更した1段階分など一部の搬送条件のみを元に戻してもよいし、浮きの発生状況に応じて搬送条件を戻す度合いを変更してもよい。
【0062】
また、制御部81は、浮きが連続発生していれば(ステップS10:YES)、搬送条件を元に戻す処理(ステップS11)を行わない。但し、制御部81は、浮きが連続発生している場合(ステップS10:YES)にも変更した搬送条件の一部又は全部を元に戻してもよい。
【0063】
その後、制御部81は、印刷が終了したかを判定し(ステップS12)、終了していなければ(ステップS12:NO)、浮き検知センサFSが用紙Pの浮きを検知したかの判定処理(ステップS2)から処理を繰り返す。一方、印刷が終了した場合(ステップS12:YES)、制御部81は、
図3に示す処理を終了する。
【0064】
図3及び
図4を参照しながら上述したように、制御部81は、浮き検知センサFSによって浮きが検知された用紙Pをレジストローラ対31に逆転搬送させ、この逆転搬送された用紙Pをレジストローラ対31に正転搬送させる。この動作時における印刷装置1内の他の用紙Pの動きを、
図5A~
図5Fを参照しながら説明する。
【0065】
図5Aに示すように、用紙P5の浮きが浮き検知センサFSによって検知されたときに、印刷装置1内で、先行する用紙P1~P4が搬送されている場合について考える。
【0066】
この場合、
図5Bに示すように用紙P5が上述のように逆転搬送されている間に、印刷搬送部50等が搬送を継続することで、印刷装置1内の用紙P1~P4は、例えば、上述の蓄積部34cに搬送され、廃棄対象となる。なお、印刷が完了した用紙Pについては、排紙部60に搬送され、廃棄を回避してもよい。
【0067】
そして、
図5Cに示すように、搬送条件が変更されて用紙P5が再度正転搬送され、用紙P5の浮きが検知されないと、
図5D及び
図5Eに示すように用紙P5も蓄積部34cに搬送される。この場合、用紙P5の浮きが検知されなかったことに基づいて、制御部81は、レジストローラ対31の搬送を停止させ、印刷搬送部50は搬送を維持したまま、搬送速度及び吸引力を元の搬送条件に戻す。そのため、印刷装置1内に用紙Pが残らないため、ユーザが印刷装置1の扉を開いて用紙Pを取り除く作業が不要となる。また、自動的に用紙Pの搬送(印刷)を継続再開することが可能となる。また、浮きが検知されたときに、用紙Pの搬送速度が最低で且つ印刷搬送部50の吸引力が最高である場合(
図3のステップS3:YES)に浮きエラーとなっても、
図5Fに示すように、印刷装置1内に残留する用紙Pは、用紙P5のみであり、給紙部分のみから用紙P5を取り除くことができる。なお、印刷搬送部50は、浮き検知センサFSにより用紙Pの浮きが検知された後、レジストローラ対31が用紙Pを逆転搬送して再度正転搬送するまでの間に停止させてもよいが、先行する用紙Pを早く搬送する観点では、印刷搬送部50は搬送を継続しているとよい。
【0068】
ところで、
図6Aに示す比較例のように、用紙P15の浮きが浮き検知センサFSによって検知されたときに、印刷装置1内で、先行する用紙P11~P14が搬送されている場合に、レジストローラ対31及び印刷搬送部50の搬送を停止させる例について考える。この例では、
図6Bに示すように、両面搬送部33、上昇搬送部32等が搬送を継続したとしても、レジストローラ対31及び印刷搬送部50に位置する用紙P13~P15が残留し、蓄積部34cに搬送されるのは用紙P11,P12のみとなる。そのため、印刷装置1の扉を開いて印刷装置1内に残留する用紙P13~P15を取り除く作業に手間がかかる。また、印刷の自動再開もできない。
【0069】
以上説明した本実施の形態では、媒体搬送装置は、正転搬送及び逆転搬送可能に用紙P(媒体の一例)を搬送するレジストローラ対31(搬送部材の一例)と、このレジストローラ対31の搬送方向における下流側に配置され、用紙Pの浮きを検知する浮き検知センサFSと、この浮き検知センサFSによって浮きが検知された用紙Pをレジストローラ対31に逆転搬送させ、この逆転搬送された用紙Pをレジストローラ対31に正転搬送させる制御部81とを備える。
【0070】
このように、浮きが検知された用紙Pを逆転搬送させることによって、用紙Pの浮きの有無を浮き検知センサFSによって再び検知することができる。そのため、浮きを解消するためのデカーラなどの複雑な構成を要さない場合であっても、用紙Pの搬送を停止させユーザが媒体搬送装置(印刷装置1)から用紙Pを取り除く作業を、簡単な動作で省略することができる。よって、本実施の形態によれば、浮きが検知された用紙Pの搬送を簡単に再開することができる。なお、媒体搬送装置は、浮きを解消するためのデカーラなどの浮き解消部を備えてもよいが、この浮き解消部を備えない場合には、コストや搭載スペースを省略することができる。
【0071】
また、本実施の形態では、制御部81は、逆転搬送された用紙Pをレジストローラ対31に正転搬送させる場合、レジストローラ対31に搬送速度を遅くさせることによって搬送条件を変更する。
【0072】
これにより、高速搬送により先端に生じやすい用紙Pの浮きを、低速搬送によって生じにくくすることができる。したがって、浮きが検知された用紙Pの搬送をより確実に再開することができる。また、予め搬送速度が遅くなっている態様と比較して、用紙Pの搬送効率を上げることができる。
【0073】
また、本実施の形態では、媒体搬送装置は、レジストローラ対31の搬送方向における下流側に配置され、用紙Pを吸引することによって吸着搬送する印刷搬送部50(吸着搬送部の一例)を更に備える。制御部81は、逆転搬送された用紙Pをレジストローラ対31に正転搬送させる場合、印刷搬送部50の吸引力を強くさせることによって搬送条件を変更する。
【0074】
そのため、用紙Pの吸引によって用紙Pの浮きを生じにくくすることができる。したがって、浮きが検知された用紙Pの搬送をより確実に再開することができる。また、予め吸引力が強くなっている態様と比較して、消費電力を抑えることができる。
【0075】
また、本実施の形態では、制御部81は、逆転搬送後に正転搬送された用紙Pの浮きを浮き検知センサFSが再び検知した場合、搬送条件を更に変更し、浮き検知センサFSによって浮きが検知されないと搬送条件を変更前の搬送条件に戻す。
【0076】
これにより、用紙Pの浮きを更に生じにくくすることができる。したがって、浮きが検知された用紙Pの搬送をより一層確実に再開することができる。
【0077】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の明細書に記載の一部の発明を付記する。
【0078】
[付記1]
正転搬送及び逆転搬送可能に媒体を搬送する搬送部材と、
前記搬送部材の搬送方向における下流側に配置され、前記媒体の浮きを検知する浮き検知センサと、
前記浮き検知センサによって浮きが検知された前記媒体を前記搬送部材に逆転搬送させ、当該逆転搬送された媒体を前記搬送部材に正転搬送させる制御部と
を備えることを特徴とする媒体搬送装置。
【0079】
[付記2]
前記制御部は、前記逆転搬送された媒体を前記搬送部材に正転搬送させる場合、前記搬送部材に搬送速度を遅くさせることによって搬送条件を変更する
ことを特徴とする付記1記載の媒体搬送装置。
【0080】
[付記3]
前記搬送部材の前記搬送方向における下流側に配置され、前記媒体を吸引することによって吸着搬送する吸着搬送部を更に備え、
前記制御部は、前記逆転搬送された媒体を前記搬送部材に正転搬送させる場合、前記吸着搬送部の吸引力を強くさせることによって搬送条件を変更する
ことを特徴とする付記1又は2記載の媒体搬送装置。
【0081】
[付記4]
前記制御部は、前記逆転搬送後に正転搬送された媒体の浮きを前記浮き検知センサが再び検知した場合、前記搬送条件を更に変更し、前記浮き検知センサによって浮きが検知されないと前記搬送条件を変更前の前記搬送条件に戻す
ことを特徴とする付記2又は3記載の媒体搬送装置。
【符号の説明】
【0082】
1 印刷装置
10 外部給紙部
11 給紙トレイ
12 給紙ローラ
13 サバキ板
20 内部給紙部
21 第1給紙部
22 第2給紙部
23 第3給紙部
21a,22a,23a 給紙トレイ
21b,22b,23b 給紙ローラ
31 レジストローラ対
32 上昇搬送部
32a,32b 加速ローラ対
33 両面搬送部
33a,33b,33c,33d 等速ローラ対
34 反転搬送部
34a,34b スイッチバックローラ対
34c 蓄積部
35 再給紙部
36 排紙搬送部
37 直進搬送
38,39 経路切り替え部
40 印刷部
50 印刷搬送部
51 プーリ
52 ベルト
53 吸引ファン
54,55 ガイドローラ
60 排紙部
61 排紙トレイ
62 排紙ローラ対
70 搬送駆動部
71 レジスト駆動部
72 上昇駆動部
73 両面駆動部
74 反転駆動部
75 再給紙駆動部
76 排紙駆動部
77 直進駆動部
78,79 切り替え駆動部
81 制御部
82 記憶部
83 インターフェース部
FS 浮き検知センサ
P 用紙
R1 直進経路
R2 循環経路
R2a 反転経路
R3 排紙経路
RS レジストセンサ
TS トップエッジセンサ