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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026036389
(43)【公開日】2026-03-05
(54)【発明の名称】ガラス物品の製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/20 20060101AFI20260226BHJP
   C03B 7/02 20060101ALI20260226BHJP
【FI】
C03B5/20
C03B7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024138946
(22)【出願日】2024-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168550
【弁理士】
【氏名又は名称】友廣 真一
(72)【発明者】
【氏名】愛内 孝介
(57)【要約】
【課題】
溶融ガラスを処理する処理槽から異質ガラスを除去するにあたり、設備コストを抑制しつつ効率のよい除去を可能にする。
【解決手段】
溶融ガラス3の分配処理を行う分配槽6を備え、分配槽6が、溶融ガラス3を槽内に供給する供給口13と、溶融ガラス3を槽外に流出させる流出口14,15と、異質ガラスを含み得る表層溶融ガラス3aを槽外に排出する排出口16と、を有するガラス物品の製造装置1について、平面視で排出口16が流出口14,15よりも供給口13から遠距離になるように配置すると共に、少なくとも排出口16が存在する範囲に棚12を設け、棚12の上面12aを流出口14,15よりも上方で且つ排出口16の開口上端16aよりも下方に位置させた。棚12の上面12aの上方では、表層溶融ガラス3aを排出口16に誘導する流れが生じ、同流れにより効率よく異質ガラスを分配槽6から除去できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融ガラスを処理する処理槽を備え、
前記処理槽が、
前記処理槽内に溶融ガラス又はガラス原料を供給する供給口と、
前記処理槽外に溶融ガラスを流出させると共に、前記処理槽よりも下流側の製造設備に通じる流出口と、
前記流出口よりも上方に配置されて前記処理槽内の表層溶融ガラスを槽外に排出すると共に、前記処理槽の側壁上で開口した排出口と、
を有するガラス物品の製造装置であって、
前記処理槽を平面視したときに、前記流出口と前記排出口とが重複しない配置とされ、且つ、前記排出口が前記流出口よりも前記供給口から遠距離に配置され、
前記処理槽の側壁の内壁面に沿って設けられた棚を更に備え、
前記棚の上面が、前記流出口よりも上方で且つ前記排出口の開口上端よりも下方に位置し、
前記処理槽を平面視したときに、少なくとも前記排出口が存在する範囲に、前記棚が設けられていることを特徴とするガラス物品の製造装置。
【請求項2】
前記棚の上面が、前記排出口の開口下端と同一の高さ位置、又は、前記排出口の開口下端よりも下方に位置することを特徴とする請求項1に記載のガラス物品の製造装置。
【請求項3】
前記流出口が、前記処理槽の側壁上で開口し、
前記処理槽を平面視したときに、前記排出口から前記流出口まで連続する範囲に、前記棚が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス物品の製造装置。
【請求項4】
前記処理槽が、前記流出口を複数有することを特徴とする請求項3に記載のガラス物品の製造装置。
【請求項5】
前記処理槽を平面視したときに、前記供給口と前記排出口とが対向する配置とされていることを特徴とする請求項4に記載のガラス物品の製造装置。
【請求項6】
前記処理槽を平面視したときに、
前記棚のうちの前記流出口が存在する範囲に設けられた箇所を流出口用棚とし、且つ、前記流出口での溶融ガラスが流出する方向を流出方向として、前記流出口用棚の上面の前記流出方向に沿った幅が、前記処理槽内の前記流出方向に沿った幅の10%以上であることを特徴とする請求項5に記載のガラス物品の製造装置。
【請求項7】
前記処理槽を平面視したときに、
前記排出口での表層溶融ガラスが排出される方向を排出方向として、前記排出口の開口幅が、表層溶融ガラスの前記排出方向の下流側から上流側に向かって漸次に拡大していることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス物品の製造装置。
【請求項8】
溶融ガラスを処理する処理槽を備え、
前記処理槽が、
前記処理槽内に溶融ガラス又はガラス原料を供給する供給口と、
前記処理槽外に溶融ガラスを流出させると共に、前記処理槽よりも下流側の製造設備に通じる流出口と、
前記流出口よりも上方に配置されて前記処理槽内の表層溶融ガラスを槽外に排出する排出口と、
を有するガラス物品の製造装置であって、
前記処理槽を平面視したときに、前記流出口と前記排出口とが前記処理槽の側壁上の異なる位置で開口し、
前記処理槽の側壁の内壁面に沿って設けられた棚を更に備え、
前記棚の上面が、前記流出口よりも上方で且つ前記排出口の開口上端よりも下方に位置し、
前記処理槽を平面視したときに、前記排出口から前記流出口まで連続する範囲に、前記棚が設けられていることを特徴とするガラス物品の製造装置。
【請求項9】
請求項1~2,8のいずれかに記載のガラス物品の製造装置を用いて、前記処理槽の前記流出口より流出させた溶融ガラスからガラス物品を成形する成形工程を含んだガラス物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガラス物品の製造装置、及び、同製造装置を用いたガラス物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板、ガラス管、ガラス繊維等に代表されるガラス物品は、ガラス溶融炉にてガラス原料を溶融させて生成した溶融ガラスを元に製造される。ガラス溶融炉で生成された溶融ガラスは、例えば、複数の流路に溶融ガラスを分配する分配槽を介して下流側の製造設備に供給される。
【0003】
溶融ガラスが揮発性成分を含有している場合、溶融ガラスの液面から揮発性成分が失われる。そのため、分配槽内の表層溶融ガラス(液面付近の溶融ガラス)には、分配槽内の下層溶融ガラス(表層溶融ガラスよりも下方の溶融ガラス)とは組成の異なる異質ガラスが含まれる。異質ガラスを含んだ溶融ガラスは、当該溶融ガラスからガラス物品を成形するに際して不具合を発生させたり、ガラス物品の製品品質を悪化させたりする場合がある。従って、分配槽から下流側の製造設備に異質ガラスが供給されないように、分配槽から異質ガラスを除去することが必要となる。
【0004】
ここで、特許文献1には、分配槽から異質ガラスを除去することを目的としたものではないが、ガラス溶融炉の溶融槽から異質ガラスを除去するための構造が開示されている。
【0005】
同文献に開示された構造(同文献の第1図および第2図を参照)では、溶融槽1から溶融ガラス2を流出させる流出通路5が、溶融槽1の側壁3から突き出ている。流出通路5の上方には、異質ガラス7を含んだ表層溶融ガラス2を溶融槽1外に排出する排出通路6が設けられている。この排出通路6が溶融槽1から異質ガラス7を除去することで、流出通路5を通じて溶融槽1から下流側に異質ガラス7が供給されることを可及的に阻止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭63-143533号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Thomas P. Seward III著、「High Temperature Glass Melt Property Database for Process Modeling」、Wiley-American Ceramic Society出版、第1版、2005年9月1日発行、p.16-17,p.95-117,p.119-130,p.131-171
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された構造を分配槽に適用しようとすると、分配槽が溶融ガラスの流出口を複数有する場合が多いことから、複数の流出口の各々に対応させて表層溶融ガラスを分配槽外に排出する排出通路を設ける必要が生じる。そのため、異質ガラスの除去のための設備コストが増大してしまうという問題がある。
【0009】
また、上記の構造を分配槽に適用したとしても、異質ガラスを効率よく除去できない場合がある。異質ガラスは、分配槽における溶融ガラスの供給口(流入口)から遠距離にある槽の側壁付近で発生しやすい。これは、同側壁付近の表層溶融ガラスは、分配槽内で表層(溶融ガラスの液面付近)に滞留した時間が比較的長く、異質ガラスを含みやすいからである。そのため、上記の構造を分配槽に適用したとしても、例えば、分配槽の供給口と排出通路との両者が近距離にある等、両者の位置関係によっては異質ガラスが少ない箇所に排出通路が設けられてしまう事態となる。その結果、異質ガラスを効率よく除去できなくなる。
【0010】
ここで、上述の問題は、分配槽でのみ発生しているものではなく、ガラス溶融炉の溶融槽をはじめ、溶融ガラスに何らかの処理を行う槽(以下、処理槽と表記)においては、同様に発生している問題である。なお、ガラス溶融炉の溶融槽では、ガラス原料の供給口から遠距離にある槽の側壁付近で異質ガラスが発生しやすい。
【0011】
上述の事情に鑑みて解決すべき課題は、溶融ガラスを処理する処理槽から異質ガラスを除去するにあたり、設備コストを抑制しつつ効率のよい除去を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための第1のガラス物品の製造装置は、溶融ガラスを処理する処理槽を備え、処理槽が、処理槽内に溶融ガラス又はガラス原料を供給する供給口と、処理槽外に溶融ガラスを流出させると共に、処理槽よりも下流側の製造設備に通じる流出口と、流出口よりも上方に配置されて処理槽内の表層溶融ガラスを槽外に排出すると共に、処理槽の側壁上で開口した排出口と、を有する製造装置であって、処理槽を平面視したときに、流出口と排出口とが重複しない配置とされ、且つ、排出口が流出口よりも供給口から遠距離に配置され、処理槽の側壁の内壁面に沿って設けられた棚を更に備え、棚の上面が、流出口よりも上方で且つ排出口の開口上端よりも下方に位置し、処理槽を平面視したときに、少なくとも排出口が存在する範囲に、棚が設けられていることを特徴とする。
【0013】
第1のガラス物品の製造装置では、排出口が、流出口よりも供給口から遠距離に配置されている。つまり、排出口が、流出口と比べて処理槽内で異質ガラスが存在しやすい箇所に配置されている。その上、同製造装置では、少なくとも排出口が存在する範囲に棚が設けられ、棚の上面が、流出口よりも上方で且つ排出口の開口上端よりも下方に位置している。この棚の上面の上方では、表層溶融ガラスを排出口に誘導する流れが生じる。このとおり、異質ガラスの存在しやすい箇所に排出口が配置されていることに加え、棚により表層溶融ガラスを排出口に誘導する流れが生じることで、効率よく異質ガラスを処理槽から除去できる。さらに、同製造装置では、異質ガラスを効率よく除去するにあたり、処理槽の側壁の内壁面に沿って棚を設けるだけでよいので、異質ガラスの除去のための設備コストを抑制することも可能である。
【0014】
第2のガラス物品の製造装置は、上記の第1の製造装置において、棚の上面が、排出口の開口下端と同一の高さ位置、又は、排出口の開口下端よりも下方に位置する形態としたものである。
【0015】
第2のガラス物品の製造装置では、排出口の開口全体が、棚の上面の上方に露出した状態となる。これにより、棚の上面の上方では、表層溶融ガラスを排出口に誘導する流れが更に生じやすくなる。その結果、更に効率よく異質ガラスを処理槽から除去できる。
【0016】
第3のガラス物品の製造装置は、上記の第1又は第2の製造装置において、流出口が、処理槽の側壁上で開口し、処理槽を平面視したときに、排出口から流出口まで連続する範囲に、棚が設けられている形態としたものである。
【0017】
第3のガラス物品の製造装置では、排出口から流出口まで連続する範囲に棚が設けられている。これにより、流出口付近で棚の上面の上方に存する表層溶融ガラス(異質ガラスが含まれ得る溶融ガラス)を排出口に誘導することが可能となる。そのため、一層効率よく異質ガラスを処理槽から除去できる。加えて、同製造装置では、棚の上面が流出口への異質ガラスの流入を防止する屋根の役割を果たすようになる。従って、流出口を通じて異質ガラスが下流側の製造設備に供給されるのを防止する上でも有利となる。
【0018】
第4のガラス物品の製造装置は、上記の第3の製造装置において、処理槽が、流出口を複数有する形態としたものである。
【0019】
第4のガラス物品の製造装置では、上記の第3の製造装置における(1)流出口付近で棚の上面の上方に存する表層溶融ガラスを排出口に誘導する効果、(2)流出口を通じて異質ガラスが下流側の製造設備に供給されるのを防止する効果、を複数の流出口の各々について得られる。
【0020】
第5のガラス物品の製造装置は、上記の第3又は第4の製造装置において、処理槽を平面視したときに、供給口と排出口とが対向する配置とされている形態としたものである。
【0021】
第5のガラス物品の製造装置では、供給口と排出口とが対向していることから、処理槽内で異質ガラスを含んだ表層溶融ガラスが排出口に流れ着きやすくなる。そのため、より一層効率よく異質ガラスを処理槽から除去できる。
【0022】
第6のガラス物品の製造装置は、上記の第3~第5のいずれかの製造装置において、処理槽を平面視したときに、棚のうちの流出口が存在する範囲に設けられた箇所を流出口用棚とし、且つ、流出口での溶融ガラスが流出する方向を流出方向として、流出口用棚の上面の流出方向に沿った幅が、処理槽内の流出方向に沿った幅の10%以上である形態としたものである。
【0023】
第6のガラス物品の製造装置では、流出口用棚の上面の流出方向に沿った幅が、処理槽内の流出方向に沿った幅の10%以上であることで、上述の(1)流出口付近で棚の上面の上方に存する表層溶融ガラスを排出口に誘導する効果、(2)流出口を通じて異質ガラスが下流側の製造設備に供給されるのを防止する効果、を向上させることが可能となる。
【0024】
第7のガラス物品の製造装置は、上記の第1~第6のいずれかの製造装置において、処理槽を平面視したときに、排出口での表層溶融ガラスが排出される方向を排出方向として、排出口の開口幅が、表層溶融ガラスの排出方向の下流側から上流側に向かって漸次に拡大している形態としたものである。
【0025】
第7のガラス物品の製造装置では、排出口の開口幅が、表層溶融ガラスの排出方向の下流側から上流側に向かって漸次に拡大しているため、異質ガラスを含んだ表層溶融ガラスを排出口に流入させやすくなる。
【0026】
上記の課題を解決するための第8のガラス物品の製造装置は、溶融ガラスを処理する処理槽を備え、処理槽が、処理槽内に溶融ガラス又はガラス原料を供給する供給口と、処理槽外に溶融ガラスを流出させると共に、処理槽よりも下流側の製造設備に通じる流出口と、流出口よりも上方に配置されて処理槽内の表層溶融ガラスを槽外に排出する排出口と、を有する製造装置であって、処理槽を平面視したときに、流出口と排出口とが処理槽の側壁上の異なる位置で開口し、処理槽の側壁の内壁面に沿って設けられた棚を更に備え、棚の上面が、流出口よりも上方で且つ排出口の開口上端よりも下方に位置し、処理槽を平面視したときに、排出口から流出口まで連続する範囲に、棚が設けられていることを特徴とする。
【0027】
第8のガラス物品の製造装置では、排出口から流出口まで連続する範囲に棚が設けられている。この棚の上面の上方では、表層溶融ガラスを排出口に誘導する流れが生じる。これにより、流出口付近に異質ガラスを含んだ表層溶融ガラスが存在したとしても、同表層溶融ガラスを流出口に流入させることなく、排出口に誘導することが可能となる。そのため、効率よく異質ガラスを処理槽から除去できる。さらに、同製造装置では、異質ガラスを効率よく除去するにあたり、処理槽の側壁の内壁面に沿って棚を設けるだけでよいので、異質ガラスの除去のための設備コストを抑制することも可能である。
【0028】
上記の第1~第8のいずれかの製造装置を用いて、ガラス物品の製造方法を実行できる。同製造方法は、処理槽の流出口より流出させた溶融ガラスからガラス物品を成形する成形工程を含んでいる。
【0029】
本製造方法では、成形工程に供給される溶融ガラスに異質ガラスが含まれることを可及的に回避できる。そのため、異質ガラスに起因したガラス物品の成形時の不具合や、ガラス物品の製品品質の悪化を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本開示のガラス物品の製造装置によれば、溶融ガラスを処理する処理槽から異質ガラスを除去するにあたり、設備コストを抑制しつつ効率のよい除去が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】ガラス物品の製造装置および製造方法を示した断面図である。
図2】(a)は分配槽を模式的に示した斜視図であり、(b)は(a)のA-A断面を示した断面図である。
図3】ガラス物品の製造方法の流れを示したフローチャートである。
図4】分配槽を模式的に示した平面図である。
図5】分配槽を用いたシミュレーションの結果を示したグラフである。
図6】ガラス物品の製造装置および製造方法を示した断面図である。
図7】ガラス物品の製造装置および製造方法を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、ガラス物品の製造装置および製造方法の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。実施形態の説明で参照する一部の図面に表示したX方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する方向である。
【0033】
<第一実施形態>
図1に示すように、ガラス物品の製造装置1(以下、単に製造装置1と表記)は、ガラス原料2を溶融させて溶融ガラス3を生成するガラス溶融炉4と、ガラス溶融炉4から溶融ガラス3を流出させる流出通路5と、流出通路5を通過した溶融ガラス3を分配する分配槽6と、分配槽6で分配された溶融ガラス3を流通させる第一流路7および第二流路8と、分配槽6内の表層溶融ガラス3a(異質ガラスが含まれ得る溶融ガラス3)を槽外に排出する排出通路9と、を備えている。
【0034】
ガラス溶融炉4は、溶融ガラス3の収容が可能な溶融槽10を備えている。ガラス溶融炉4は、原料供給装置11の供給口11aから溶融槽10内の溶融ガラス3上に連続的に供給されたガラス原料2を加熱装置(図示省略)により加熱して溶融させる。これにより、新たな溶融ガラス3を連続的に生成する。原料供給装置11としては、例えばスクリューフィーダー等が採用される。加熱装置としては、例えば燃焼バーナーや溶融ガラス3の通電加熱装置等が採用される。
【0035】
溶融槽10は、耐火物でなる底壁、天井壁、及び側壁を有する。溶融槽10は、槽内から流出通路5に溶融ガラス3を流出させるための流出口10aを有する。溶融槽10内での溶融ガラス3の流れの下流端に位置する側壁を後側壁10xとしたとき、流出口10aは、後側壁10xにおける溶融槽10の底面(底壁)付近で開口している。
【0036】
流出通路5は、その上流端がガラス溶融炉4の溶融槽10と接続されると共に、その下流端が分配槽6と接続されている。流出通路5は、図1に矢印D1で示すように、溶融槽10から流出させた溶融ガラス3を分配槽6に流入させる。流出通路5は、白金又は白金合金製のパイプや耐火物で構成される。
【0037】
以下、図1及び図2を参照して分配槽6の詳細について説明する。ここで、図2(a),(b)のうちの図2(a)では、分配槽6の耐火物でなる底壁6b、天井壁、及び側壁6aの図示を省略しており、分配槽6に備わった棚12(灰色で表示)、及び、分配槽6内の溶融ガラス3のみを図示している。図2(a),(b)に示した寸法Hは、分配槽6内における溶融ガラス3の液面3sの高さを表している。また、図2(a)では、流出通路5、第一流路7、第二流路8、及び排出通路9の図示を省略しており、これら5,7,8,9の内部を流れる溶融ガラス3のみを図示している。
【0038】
本実施形態では、分配槽6が、溶融ガラス3の分配処理を行う処理槽に相当する。分配槽6は、流出通路5から分配槽6に溶融ガラス3を流入させて供給するための供給口13と、分配槽6から第一流路7および第二流路8にそれぞれ溶融ガラス3を流出させるための第一流出口14および第二流出口15と、分配槽6から排出通路9に表層溶融ガラス3aを排出するための排出口16と、を有する。
【0039】
本実施形態の分配槽6は、第一流出口14と第二流出口15との二つの流出口を有する。これにより、分配槽6は、槽内に流入した溶融ガラス3を、第一流出口14を通じて第一流路7に流出させる溶融ガラス3と、第二流出口15を通じて第二流路8に流出させる溶融ガラス3と、に分配する。勿論この限りではなく、本実施形態の変形例として、分配槽6が三つ以上の流出口を有し、三つ以上の流路に溶融ガラス3を分配してもよい。
【0040】
分配槽6の形状は特に限定されるものではないが、本実施形態の分配槽6は、平面視したときに(Z方向から視て)、八角形をなしている。供給口13、第一流出口14、第二流出口15、及び排出口16は、八角形をなす分配槽6の側壁6a上における相互に異なる位置で開口している。つまり、供給口13、第一流出口14、第二流出口15、及び排出口16は、平面視で相互に重複しない配置とされている。
【0041】
供給口13、第一流出口14、及び第二流出口15は、分配槽6の底面(底壁6b)付近で開口している。本実施形態では、供給口13、第一流出口14、及び第二流出口15の開口は、これら13,14,15の開口下端と、分配槽6の底面と、が同一の高さ位置となるように開口している。勿論この限りではなく、本実施形態の変形例として、供給口13、第一流出口14、及び第二流出口15の開口下端が、分配槽6の底面よりも上方に位置してもよい。
【0042】
排出口16は、供給口13、第一流出口14、及び第二流出口15よりも上方に配置されており、分配槽6内における溶融ガラス3の液面3s付近で開口している。本実施形態では、排出口16の開口は、その開口上端16aが溶融ガラス3の液面3sよりも上方に位置すると共に、その開口下端16bが溶融ガラス3の液面3sよりも下方に位置している。排出口16の開口の形状は特に限定されるものではないが、本実施形態の排出口16の開口は、X方向から視て矩形に形成されており、矩形のY方向に延びる上辺および下辺が、それぞれ開口上端16aおよび開口下端16bに相当する。なお、本実施形態では、分配槽6内と排出通路9内とで溶融ガラス3の液面3sの高さが同一となっている。
【0043】
排出口16は、第一流出口14および第二流出口15よりも供給口13から遠距離に配置されている。さらに、排出口16は、分配槽6内において、平面視で供給口13から最も遠距離となる位置に配置されている。これにより、溶融ガラス3が揮発性成分を含有している場合、分配槽6内の表層溶融ガラス3aに含まれる異質ガラスを排出口16から除去しやすくなる。排出口16は、平面視でテーパー状に形成されており、排出口16の開口幅(Y方向の幅)が、表層溶融ガラス3aの排出方向(図1及び図2に示した矢印D2と同方向)の下流側から上流側に向かって漸次に拡大している。
【0044】
供給口13と排出口16とは、分配槽6を平面視したときに、X方向で対向するように配置されている。第一流出口14と第二流出口15との二つの流出口は、Y方向で対向するように配置されている。第一流出口14および第二流出口15は、X方向における供給口13と排出口16との中間に配置されている。第一流出口14および第二流出口15を、異質ガラスが発生しやすい排出口16付近から離して配置したことで、両流出口14,15を通じて分配槽6から異質ガラスが流出することを可及的に回避している。
【0045】
分配槽6は、耐火物でなる棚12を備えている。棚12は、分配槽6の側壁6aの内壁面に沿って設けられている。本実施形態の棚12は、分配槽6を平面視したときに、分配槽6の側壁6aがなす八角形の八辺のうち、連続する五辺に沿って設けられている。これにより、棚12は、排出口16から第一流出口14まで、及び、排出口16から第二流出口15まで連続する範囲に設けられている。棚12の上面12aの上方では、表層溶融ガラス3aを排出口16に誘導する流れが生じる。
【0046】
ここで、以下の説明では、棚12のうちの第一流出口14が存在する範囲に設けられた箇所、及び、第二流出口15が存在する範囲に設けられた箇所を、それぞれ流出口用棚12xと呼称する。
【0047】
棚12の上面12aは、分配槽6内における溶融ガラス3の液面3sよりも下方に存在する。つまり、棚12の全体が、分配槽6内で溶融ガラス3に沈んだ状態にある。棚12の上面12aは、一例として水平面である。棚12の上面12aは、第一流出口14および第二流出口15よりも上方に位置している。これにより、第一流出口14および第二流出口15に併設された流出口用棚12xは、それぞれ第一流出口14および第二流出口15の屋根を形成する。棚12の上面12aは、排出口16の開口上端16aよりも下方に位置している。本実施形態では、棚12の上面12aと、排出口16の開口下端16bおよび排出通路9の底面9aと、が同一の高さ位置となっている。
【0048】
第一流出口14および第二流出口15にて溶融ガラス3が流出する方向(図1及び図2に示した矢印D3,D4と同方向)を流出方向としたとき、流出口用棚12xの上面12aの流出方向に沿った幅W2は、分配槽6内の流出方向に沿った幅W1の10%以上である。つまり、(W2/W1)×100≧10の関係が満たされている。同関係の「幅W2」とは、第一流出口14に併設の流出口用棚12xにおける幅と、第二流出口15に併設の流出口用棚12xにおける幅との和ではなく、両流出口用棚12x,12xの各々における幅である。なお、(W2/W1)×100の値が大きすぎると、第一流出口14および第二流出口15から溶融ガラス3が流出し難くなり、第一流路7および第二流路8に流通させるべき溶融ガラス3の流量を確保し難くなる恐れがある。そのため、(W2/W1)×100≦50の関係が満たされるように、幅W2を決定することが好ましく、(W2/W1)×100≦25の関係が満たされるように、幅W2を決定することがより好ましい。これらの関係式は、後述のように第一流出口14と第二流出口15との一方のみに流出口用棚12xが併設される場合にも適用される。
【0049】
ここで、本実施形態の変形例として、第一流出口14に併設の流出口用棚12xと、第二流出口15に併設の流出口用棚12xとでは、幅W2の寸法が異なってもよい。さらに、本実施形態の変形例として、第一流出口14と第二流出口15との一方のみに流出口用棚12xを併設してもよい。例えば、第一流出口14と第二流出口15とのうち、高品質が要求されるガラス物品の製造に供される溶融ガラス3を通過させる流出口にのみ流出口用棚12xを併設してもよい。このようにすれば、ガラス物品の製品品質の不良を効率的に回避できる。
【0050】
棚12は、分配槽6の底面(底壁6b)上に載置されており、棚12の下面は、分配槽6の底面と接触している。棚12の側面12bは、分配槽6の底面に対して直立した直立面となっている。勿論この限りではなく、本実施形態の変形例として、棚12の側面12bは、分配槽6の底面に対して傾斜した傾斜面となっていてもよい。流出口用棚12xの側面12bには、分配槽6内から第一流出口14あるいは第二流出口15に向かう溶融ガラス3の通路となる開口部12xaが形成されている。
【0051】
図1に示すように、第一流路7および第二流路8の各々は、その上流端が分配槽6と接続されている。一方、第一流路7および第二流路8の各々は、その下流端が製造装置1に含まれる製造設備(分配槽6よりも下流側の製造設備)と接続されている。第一流路7および第二流路8は、図1に矢印D3,D4でそれぞれ示すように、分配槽6から流出した溶融ガラス3を流通させる。これにより、上記の製造設備に溶融ガラス3を供給する。
【0052】
排出通路9は、その上流端が分配槽6と接続されている。排出通路9は、図1に矢印D2で示すように、排出口16を通じて分配槽6から排出通路9に流入した表層溶融ガラス3aを流通させる。排出通路9には、当該通路を流れる表層溶融ガラス3aの流量を調整する流量調整機構(図示省略)が設けられている。本実施形態では、既述のとおり、排出通路9の底面9aおよび排出口16の開口下端16bが、棚12の上面12aと同一の高さ位置となっている。しかし、本実施形態の変形例として、排出通路9の底面9aおよび排出口16の開口下端16bが、棚12の上面12aよりも下方に位置してもよい。
【0053】
以下、上記の製造装置1を用いたガラス物品の製造方法について説明する。
【0054】
図3に示すように、本製造方法は、ガラス物品の製造ラインの上流側から順番に、溶融工程P1と、分配工程P2と、成形工程P3と、を含んでいる。なお、本実施形態の溶融ガラス3は、ホウケイ酸ガラスである。ホウケイ酸ガラスは、揮発性成分を含有している。
【0055】
溶融工程P1では、ガラス溶融炉4によりガラス原料2から新たな溶融ガラス3を連続的に生成する。分配工程P2では、流出通路5を通じてガラス溶融炉4の溶融槽10から分配槽6に流入した溶融ガラス3を第一流路7と第二流路8とに分配する。また、分配工程P2では、排出口16を通じて分配槽6内の表層溶融ガラス3aを排出通路9に排出する。成形工程P3では、第一流路7および第二流路8を流通した溶融ガラス3を元にガラス物品(例えばガラス板、ガラス管、ガラス繊維等)を成形する。
【0056】
ここで、分配工程P2と成形工程P3との間には、溶融ガラス3に含まれる気泡を脱泡させる清澄工程や、溶融ガラス3を撹拌して均質化させる撹拌工程や、溶融ガラス3の温度(粘度)を調節し、成形工程P3に供給する溶融ガラス3の流量を調節する調節工程等が含まれる場合がある。
【実施例0057】
上記の第一実施形態による異質ガラスを除去する効果について、数値シミュレーションにより確認した。本シミュレーションは、有限体積法による熱流体解析である。溶融ガラス3は、ホウケイ酸ガラスを想定し、その比熱、熱伝導率、密度、及び粘度の値は、非特許文献1に記載のlow-expansion borosilicate glassの値を用いた。
【0058】
本シミュレーションでは、分配槽6内の幅W1を2mの固定値に設定した上で、流出口用棚12xの上面12aの幅W2を変更することで、上記の(W2/W1)×100の値を0%、5%、7.5%、10%、15%、20%の6つに変化させた。なお、(W2/W1)×100の値が0%とは、分配槽6に棚12が備わっていない場合に対応する比較例である。その上で、(W2/W1)×100の各値と、分配槽6内の異質ガラスのうちの排出口16から排出される異質ガラスの割合と、の関係を割り出した。
【0059】
分配槽6内における溶融ガラス3の液面3sの高さ(図2(a),(b)の寸法H)は、0.5mとした。棚12の上面12a、排出口16の開口下端16b、及び排出通路9の底面9aは、溶融ガラス3の液面3sから0.1mだけ下方に位置する設定とした。分配槽6を構成する耐火物による保温効果の模擬のため、境界条件として総括熱伝達係数を3.5W/m・Kに設定した。分配槽6内の溶融ガラス3の液面3sよりも上方の空間では、分配槽6の内壁面の温度が1450℃に保持されるように、燃焼ガスや電気ヒーターにて温度を制御することを想定した。そのため、溶融ガラス3の液面3sには輻射伝熱境界条件を設定し、輻射境界温度を1450℃、輻射率を0.9とした。棚12の熱伝導率は5.0W/m・Kとした。
【0060】
供給口13から分配槽6に流入する溶融ガラス3の温度、流量は、1550℃、48ton/dayとした。分配槽6から第一流路7および第二流路8に流出する溶融ガラス3の流量は、それぞれ20ton/dayとした。分配槽6から排出口16に排出される表層溶融ガラス3aの流量は、8ton/dayとした。
【0061】
分配槽6内において、供給口13から離れた側壁6a付近の表層溶融ガラス3aに含まれやすい異質ガラスの動きを確認するため、図4で黒色に塗りつぶして示した粒子追跡開始位置17に異質ガラスに見立てた粒子を配置した。そして、溶融ガラス3の流れに従って、粒子が第一流出口14、第二流出口15、又は、排出口16に向かって移動する際の軌跡を確認した。
【0062】
粒子追跡開始位置17は、分配槽6内の供給口13側を上流側、排出口16側を下流側としたときに、X方向における供給口13と排出口16との中間地点よりも下流側に位置している。また、粒子追跡開始位置17は、分配槽6の側壁6aから5cm以内の距離にあると共に、排出口16の正面を除外した範囲にある。さらに、粒子追跡開始位置17は、溶融ガラス3の液面3sよりも1mmだけ下方に位置する設定とした。粒子追跡開始位置17には、約1cmの間隔で略格子状に約1200点(正確には1186点)の粒子を配置した。
【0063】
本シミュレーションにより割り出した(W2/W1)×100の各値と、排出口16から排出される異質ガラス(粒子)の割合である排出割合と、の関係を図5に示す。図5から理解できるように、比較例である(W2/W1)×100の値が0%の場合と比べ、実施例である5%、7.5%、10%、15%、20%の場合では、排出割合が高くなっている。さらに、(W2/W1)×100の値が大きくなるほど、排出割合がより高くなることが理解できる。なお、(W2/W1)×100の値が0%、5%、7.5%、10%、15%、20%における排出割合は、それぞれ8.9%、36.6%、43.1%、55.1%、86.3%、100%であった。本シミュレーションの結果から、上記の第一実施形態によれば、分配槽6から効率よく異質ガラスを除去できることが分かる。
【0064】
<第二実施形態>
以下、第二実施形態について図6を参照して説明する。なお、第二実施形態については第一実施形態との相違点についてのみ説明する。第二実施形態が第一実施形態と相違している主な点は、分配槽6が平面視で六角形をなしている点、及び、分配槽6に第二流出口15が存在せず、分配槽6に第二流路8が接続されていない点である。
【0065】
第二実施形態の棚12は、分配槽6を平面視したときに、分配槽6の側壁6aがなす六角形の六辺のうち、連続する三辺に沿って設けられている。第二実施形態においては、第一流出口14が分配槽6の有する唯一の流出口であり、第一流路7が分配槽6と接続された唯一の流路である。これにより、第二実施形態の分配工程P2では、分配槽6に流入した溶融ガラス3の分配を実質的に行わず、成形工程P3では、第一流路7を流通した溶融ガラス3のみを元にガラス物品を成形する。
【0066】
<第三実施形態>
以下、第三実施形態について図7を参照して説明する。なお、第三実施形態については第一実施形態との相違点についてのみ説明する。第三実施形態が第一実施形態と相違している主な点は、ガラス溶融炉4の溶融槽10が排出口16を有し、溶融槽10から排出通路9に表層溶融ガラス3aを排出している点、及び、溶融槽10が棚12を備えている点である。本実施形態では、ガラス溶融炉4の溶融槽10が、溶融ガラス3の生成処理、保温処理等を行う処理槽に相当する。
【0067】
排出口16は、後側壁10xのY方向における端部付近で開口している。排出口16は、Y方向の一方側と他方側とで対となる二つが存在している。各排出口16は、流出口10aよりも上方に配置されており、溶融槽10内における溶融ガラス3の液面付近で開口している。本実施形態では、排出口16の開口は、その開口上端が溶融ガラス3の液面よりも上方に位置すると共に、その開口下端が溶融ガラス3の液面よりも下方に位置している。
【0068】
排出口16は、流出口10aよりも原料供給装置11の供給口11aから遠距離に配置されている。さらに、排出口16は、溶融槽10内において、平面視で供給口11aから最も遠距離となる位置に配置されている。これにより、溶融ガラス3が揮発性成分を含有している場合、溶融槽10内の表層溶融ガラス3aのうち、排出口16付近の表層溶融ガラス3aに異質ガラスが含まれやすくなる。
【0069】
棚12は、溶融槽10の後側壁10xの内壁面に沿って設けられている。本実施形態の棚12は、後側壁10xのY方向における全長に沿って設けられている。これにより、棚12は、二つの一方の排出口16から流出口10aを通過して他方の排出口16まで連続する範囲に設けられている。棚12の上面12aのX方向に沿った幅(上面12aが後側壁10xから突出した寸法)は、排出口16の開口幅と略等しくなっている。勿論この限りではなく、本実施形態の変形例として、上面12aのX方向に沿った幅が、排出口16の開口幅よりも長くてもよい。棚12の上面12aの上方では、表層溶融ガラス3aを排出口16に誘導する流れが生じる。
【0070】
棚12の上面12aは、溶融槽10内における溶融ガラス3の液面よりも下方に存在する。つまり、棚12の全体が、溶融槽10内で溶融ガラス3に沈んだ状態にある。棚12の上面12aは、流出口10aよりも上方に位置している。これにより、棚12は、流出口10aの屋根を形成する。
【0071】
排出通路9は、Y方向の一方側と他方側とで対となる二つが存在している。各排出通路9の上流端は、溶融槽10と接続されている。二つの排出通路9は、図7に矢印D5,D6で示すように、排出口16を通じて溶融槽10から排出通路9に流入した表層溶融ガラス3aを流通させる。
【0072】
<他の変形例>
ここで、上記の実施形態に対しては、下記のような変形例を適用することも可能である。棚12を分配槽6あるいは溶融槽10に設ける形態について、上記の各実施形態に限定されるものではない。棚12は、分配槽6あるいは溶融槽10を平面視したときに、少なくとも排出口16が存在する範囲(排出口16の開口幅の範囲)に設けられていればよい。
【0073】
棚12の上面12aの高さ位置について、上記の各実施形態では、棚12の上面12aが、排出口16の開口下端16bおよび排出通路9の底面9aと同一の高さ位置となっているが、この限りではない。棚12の上面12aが、排出口16の開口下端16bおよび排出通路9の底面9aよりも下方に位置してもよい。
【0074】
棚12の構成について、上記の各実施形態に限定されるものではない。棚12は、分配槽6の側壁6aあるいは溶融槽10の後側壁10xから突き出るように設けられた板状のものであってもよい。ただし、棚12の強度を確保する観点からは、上記の各実施形態の構成とすることが好ましい。
【0075】
排出口16の配置について、上記の各実施形態では、排出口16が、流出口(第一実施形態の第一および第二流出口14,15、第二実施形態の第一流出口14、第三実施形態の流出口10a)よりも供給口(第一および第二実施形態の供給口13、第三実施形態の供給口11a)から遠距離に配置されているが、この限りではない。上記の各実施形態とは異なり、排出口16が、流出口14,15,10aよりも供給口13,11aから近距離に配置されてもよい。ただし、この場合には、排出口16から流出口14,15,10aまで連続する範囲に、棚12を設けることが必要である。
【符号の説明】
【0076】
1 ガラス物品の製造装置
2 ガラス原料
3 溶融ガラス
3a 表層溶融ガラス
6 分配槽(処理槽)
6a 側壁
10 溶融槽(処理槽)
10a 流出口
10x 後側壁
11a 供給口
12 棚
12a 上面
12x 流出口用棚
13 供給口
14 第一流出口
15 第二流出口
16 排出口
16a 開口上端
16b 開口下端
P3 成形工程
W1 幅
W2 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7