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2026-373フレーム送信方法、フレーム送信プログラム、及び測定器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026000373
(43)【公開日】2026-01-05
(54)【発明の名称】フレーム送信方法、フレーム送信プログラム、及び測定器
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/06 20090101AFI20251222BHJP
【FI】
H04W24/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024097694
(22)【出願日】2024-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】林 秀樹
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067LL11
(57)【要約】
【課題】測定対象における通常のフレーム伝送状況を模擬できる、フレーム送信方法、フレーム送信プログラム、及び測定器を提供する。
【解決手段】フレーム送信方法は、複数のチャンネルのそれぞれからフレームを送信する送信タイミングを各チャンネルの送信レートに基づいて生成することと、送信タイミングを各チャンネルで異なる遅延時間で遅延させることとを含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンネルのそれぞれからフレームを送信する送信タイミングを各チャンネルの送信レートに基づいて生成することと、
前記送信タイミングを、前記各チャンネルで異なる遅延時間で遅延させることと
を含む、フレーム送信方法。
【請求項2】
前記各チャンネルにおける前記遅延時間を、前記各チャンネルからフレームを送信する送信間隔の自然数倍と異なる時間に設定することを更に含む、請求項1に記載のフレーム送信方法。
【請求項3】
前記複数のチャンネルの少なくとも一部のチャンネルがフレームのバースト送信を実行する場合に、前記各チャンネルにおける前記遅延時間を、前記バースト送信の期間よりも長い時間に設定することを更に含む、請求項1又は2に記載のフレーム送信方法。
【請求項4】
複数のチャンネルのそれぞれからフレームを送信する送信タイミングを各チャンネルの送信レートに基づいて生成することと、
前記送信タイミングを、前記各チャンネルで異なる遅延時間で遅延させることと
を測定器に実行させる、フレーム送信プログラム。
【請求項5】
前記各チャンネルにおける前記遅延時間を、前記各チャンネルからフレームを送信する送信間隔の自然数倍と異なる時間に設定することを前記測定器に更に実行させる、請求項4に記載のフレーム送信プログラム。
【請求項6】
前記複数のチャンネルの少なくとも一部のチャンネルがフレームのバースト送信を実行する場合に、前記各チャンネルにおける前記遅延時間を、前記バースト送信の期間よりも長い時間に設定することを前記測定器に更に実行させる、請求項4又は5に記載のフレーム送信プログラム。
【請求項7】
複数のチャンネルのそれぞれからフレームを送信する送信タイミングを各チャンネルの送信レートに基づいて生成するタイミング生成部と、
前記送信タイミングを、各チャンネルで異なる遅延時間で遅延させる遅延部と、
前記タイミング生成部にフレーム送信を開始するトリガを入力する制御部と
を備える、測定器。
【請求項8】
前記遅延部は、前記制御部と前記タイミング生成部との間に接続され、前記トリガを遅延させることによって、前記送信タイミングの生成を遅延させる、請求項7に記載の測定器。
【請求項9】
前記各チャンネルの送信タイミングの優先順を決定する優先制御部を更に備え、
前記遅延部は、前記タイミング生成部と前記優先制御部との間に接続され、前記タイミング生成部から前記優先制御部への前記送信タイミングの入力を遅延させる、請求項7に記載の測定器。
【請求項10】
前記制御部は、前記各チャンネルにおける前記遅延時間を、前記各チャンネルからフレームを送信する送信間隔の自然数倍と異なる時間に設定する、請求項7から9までのいずれか一項に記載の測定器。
【請求項11】
前記制御部は、前記複数のチャンネルの少なくとも一部のチャンネルがフレームのバースト送信を実行する場合に、前記各チャンネルにおける前記遅延時間を、前記バースト送信の期間よりも長い時間に設定する、請求項7から9までのいずれか一項に記載の測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イーサネット(登録商標)に対応したネットワーク網又は装置を試験する測定器におけるフレーム送信方法及びフレーム送信プログラム、並びに測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、ネットワーク試験装置においてフレームの送信時刻を短時間に決定できるフレーム信号発生装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-162808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の送信チャネルからネットワーク等の測定対象にフレームを送信して測定対象におけるフレームの伝送品質を測定する場合、測定開始時に複数の送信チャネルから同時にフレームの送信が開始されることによって、フレームの送信タイミングが必ず重複する。しかし、測定対象における通常のフレーム伝送状況においてフレームの送信タイミングの重複が必ず発生するわけではない。測定対象における通常のフレーム伝送状況を模擬することが求められる。
【0005】
本開示は、上述の点に鑑みてなされたものであり、測定対象における通常のフレーム伝送状況を模擬できる、フレーム送信方法、フレーム送信プログラム、及び測定器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)幾つかの実施形態に係るフレーム送信方法は、複数のチャンネルのそれぞれからフレームを送信する送信タイミングを各チャンネルの送信レートに基づいて生成することと、前記送信タイミングを、前記各チャンネルで異なる遅延時間で遅延させることとを含む。各チャンネルで異なる遅延時間でフレームの送信タイミングを遅延させることによって、フレームの送信開始のトリガを入力した後の、少なくとも最初のフレームの送信タイミングを異ならせることができる。その結果、測定対象における通常のフレーム伝送状況が模擬される。
【0007】
(2)上記(1)に記載のフレーム送信方法は、前記各チャンネルにおける前記遅延時間を、前記各チャンネルからフレームを送信する送信間隔の自然数倍と異なる時間に設定することを更に含んでよい。遅延時間をフレームの送信間隔の自然数倍と異なる時間に設定することによって、複数のチャンネルのフレームの送信タイミングが同時になる確率が低下する。その結果、測定対象における通常のフレーム伝送状況が模擬される。
【0008】
(3)上記(1)又は(2)に記載のフレーム送信方法は、前記複数のチャンネルの少なくとも一部のチャンネルがフレームのバースト送信を実行する場合に、前記各チャンネルにおける前記遅延時間を、前記バースト送信の期間よりも長い時間に設定することを更に含んでよい。遅延時間をバースト送信の期間よりも長い時間に設定することによって、バースト送信のフレームに、他のチャンネルの単独の送信フレームが混入する状態が回避される。その結果、測定対象における通常のフレーム伝送状況が模擬される。
【0009】
(4)幾つかの実施形態に係るフレーム送信プログラムは、複数のチャンネルのそれぞれからフレームを送信する送信タイミングを各チャンネルの送信レートに基づいて生成することと、前記送信タイミングを、前記各チャンネルで異なる遅延時間で遅延させることとを測定器に実行させる。各チャンネルで異なる遅延時間でフレームの送信タイミングを遅延させることによって、フレームの送信開始のトリガを入力した後の、少なくとも最初のフレームの送信タイミングを異ならせることができる。その結果、測定対象における通常のフレーム伝送状況が模擬される。
【0010】
(5)上記(4)に記載のフレーム送信プログラムは、前記各チャンネルにおける前記遅延時間を、前記各チャンネルからフレームを送信する送信間隔の自然数倍と異なる時間に設定することを前記測定器に更に実行させてよい。遅延時間をフレームの送信間隔の自然数倍と異なる時間に設定することによって、複数のチャンネルのフレームの送信タイミングが同時になる確率が低下する。その結果、測定対象における通常のフレーム伝送状況が模擬される。
【0011】
(6)上記(4)又は(5)に記載のフレーム送信プログラムは、前記複数のチャンネルの少なくとも一部のチャンネルがフレームのバースト送信を実行する場合に、前記各チャンネルにおける前記遅延時間を、前記バースト送信の期間よりも長い時間に設定することを前記測定器に更に実行させてよい。遅延時間をバースト送信の期間よりも長い時間に設定することによって、バースト送信のフレームに、他のチャンネルの単独の送信フレームが混入する状態が回避される。その結果、測定対象における通常のフレーム伝送状況が模擬される。
【0012】
(7)幾つかの実施形態に係る測定器は、複数のチャンネルのそれぞれからフレームを送信する送信タイミングを各チャンネルの送信レートに基づいて生成するタイミング生成部と、前記送信タイミングを、各チャンネルで異なる遅延時間で遅延させる遅延部と、前記タイミング生成部にフレーム送信を開始するトリガを入力する制御部とを備える。各チャンネルで異なる遅延時間でフレームの送信タイミングを遅延させることによって、フレームの送信開始のトリガを入力した後の、少なくとも最初のフレームの送信タイミングを異ならせることができる。その結果、測定対象における通常のフレーム伝送状況が模擬される。
【0013】
(8)上記(7)に記載の測定器において、前記遅延部は、前記制御部と前記タイミング生成部との間に接続され、前記トリガを遅延させることによって、前記送信タイミングの生成を遅延させてよい。遅延部がタイミング生成部に入力されるトリガを遅延させることによって、送信開始のトリガの入力が簡便に構成される。
【0014】
(9)上記(7)に記載の測定器は、前記各チャンネルの送信タイミングの優先順を決定する優先制御部を更に備えてよい。前記遅延部は、前記タイミング生成部と前記優先制御部との間に接続され、前記タイミング生成部から前記優先制御部への前記送信タイミングの入力を遅延させてよい。遅延部がタイミング生成部の後に接続されてもよいことによって、測定部の回路構成の自由度が増大する。
【0015】
(10)上記(7)から(9)までのいずれか1つに記載の測定器において、前記制御部は、前記各チャンネルにおける前記遅延時間を、前記各チャンネルからフレームを送信する送信間隔の自然数倍と異なる時間に設定してよい。遅延時間をフレームの送信間隔の自然数倍と異なる時間に設定することによって、複数のチャンネルのフレームの送信タイミングが同時になる確率が低下する。その結果、測定対象における通常のフレーム伝送状況が模擬される。
【0016】
(11)上記(7)から(10)までのいずれか1つに記載の測定器において、前記制御部は、前記複数のチャンネルの少なくとも一部のチャンネルがフレームのバースト送信を実行する場合に、前記各チャンネルにおける前記遅延時間を、前記バースト送信の期間よりも長い時間に設定してよい。遅延時間をバースト送信の期間よりも長い時間に設定することによって、バースト送信のフレームに、他のチャンネルの単独の送信フレームが混入する状態が回避される。その結果、測定対象における通常のフレーム伝送状況が模擬される。
【発明の効果】
【0017】
本開示に係るフレーム送信方法、フレーム送信プログラム、及び測定器によれば、測定対象における通常のフレーム伝送状況が模擬される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】比較例に係る装置の構成を示すブロック図である。
図2】比較例に係る装置における複数のチャンネルの送信タイミングを表すチャートである。
図3】比較例に係る装置において複数のチャンネルの送信間隔が一致する場合の、各チャンネルの送信タイミングを表すチャートである。
図4】本開示に係る測定器の構成例を示すブロック図である。
図5】送信部の構成例を示すブロック図である。
図6】フレームの送信タイミング及び構成例を示す図である。
図7】バースト送信の構成例を示す図である。
図8】本開示に係る測定器における複数のチャンネルの送信タイミングの一例を表すチャートである。
図9】本開示に係る測定器において複数のチャンネルの送信間隔が一致する場合の、各チャンネルの送信タイミングの一例を表すチャートである。
図10】1つのチャンネルからバースト送信を実行する場合の、各チャンネルの送信タイミングの一例を表すチャートである。
図11】複数のチャンネルからバースト送信を実行する場合の、各チャンネルの送信タイミングの一例を表すチャートである。
図12】本開示に係るフレーム送信方法の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(比較例)
比較例に係る装置は、ネットワーク又は通信装置等の測定対象におけるフレームの伝送品質を測定するために測定対象に送信するフレームを生成する。図1に示されるように、比較例に係る装置は、送信部90と制御部97と備える。送信部90は、送信タイミング生成部91-1~8と、優先制御部92と、メモリ93と、送信タイミング制御部94と、送信フレーム生成部95と、フレームデータメモリ96とを備える。図1の送信部90は、8つのチャンネルのそれぞれでフレームを生成する。
【0020】
送信タイミング生成部91-1~8は、8つのチャンネルのそれぞれに対応する。8つのチャンネルは、チャンネル番号を数字で表したCh1、Ch2、Ch3、Ch4、Ch5、Ch6、Ch7及びCh8として区別される。Ch1の送信タイミング生成部は、Ch1送信タイミング生成部91-1として表される。Ch2の送信タイミング生成部は、Ch2送信タイミング生成部91-2として表される。Ch3~Ch7の送信タイミング生成部は省略されている。Ch8の送信タイミング生成部は、Ch8送信タイミング生成部91-8として表される。
【0021】
送信タイミング生成部91-1~8は、制御部97からフレームの送信制御とフレームの設定とを取得する。送信制御は、フレームの送信を開始するトリガを含む。設定は、送信フレームのフレーム長、フレームデータ、又は送信レートを含む。フレーム長は、送信フレームの長さである。フレームデータは、送信フレームによって伝送する内容を表すデータである。送信レートは、送信フレームによってネットワーク等のフレームの伝送路が占有される割合である。
【0022】
優先制御部92は、送信タイミング生成部91-1~8からCh*情報を取得する。優先制御部92は、Ch*情報を取得した順番にCh*情報をメモリ93に格納する。優先制御部92は、複数のチャンネルのCh*情報を同時に取得した場合、複数のチャンネルの優先順を決定し、決定した順番でCh*情報をメモリ93に格納する。
【0023】
メモリ93は、優先制御部92によって格納された順番どおりに送信タイミング制御部94がCh*情報を読み出せるように、Ch*情報を格納する。
【0024】
送信タイミング制御部94は、制御情報に基づいて送信フレームを生成できる状態になっているか判定する。送信タイミング制御部94は、送信フレームを生成できる状態になっている場合、メモリ93に読み出し要求を出力してメモリ93からCh*情報を読み出し、送信フレーム生成部95にCh*情報を出力する。このとき、Ch*情報は、優先制御部92がメモリ93に格納した順番で読み出される。
【0025】
送信フレーム生成部95は、送信タイミング制御部94からCh*情報が入力された場合、Ch*情報に基づいて送信フレームを生成するために必要なフレームデータを、フレームデータメモリ96から読み出す。送信フレーム生成部95は、Ch*情報とフレームデータとに基づいて送信フレームを生成して出力する。
【0026】
フレームデータメモリ96は、フレームデータを格納する。フレームデータは、制御部97によってフレームデータメモリ96に格納される。
【0027】
送信部90は、複数のチャンネルから測定対象にフレームを送信する場合、制御部97からのトリガに応じて送信を開始する。送信部90は、送信開始時に、各チャンネルの最初のフレームの送信タイミングを同時に生成する。しかし、送信部90は、測定対象に向けてフレームを1つずつしか送信できない。よって、送信部90は、各チャンネルのフレームを1つずつ順番に送信するために、優先制御部92によって、各チャンネルのフレームの送信の優先順を決定する。そして、送信部90は、各チャンネルのフレームが優先順で送信されるように送信タイミング制御部94で各チャンネルの送信タイミングを制御し、送信フレーム生成部95で各チャンネルのフレームを生成することによってフレームを測定対象に送信する。
【0028】
比較例に係る装置において複数のチャンネルからフレームを送信するタイミングが図2のチャートを参照して説明される。図2の横軸は時刻の経過、すなわち時間軸を表す。図2において、4つのチャンネルのそれぞれのフレームの送信タイミングが生成される。4つのチャンネルは、Ch1、Ch2、Ch3及びCh4として表される。4つのチャンネルの送信タイミングは、各チャンネルに対応する時間軸において、三角形(▽)の位置によって表される。送信部90が時刻T90に4つのチャンネルからフレームの送信を開始する場合、4つのチャンネルのそれぞれにおいて最初のフレームを送信するタイミングが同時に時刻T90に生成される。
【0029】
送信部90は、4つのチャンネルのそれぞれのフレームを順番に送信するために、優先制御部92で4つのチャンネルの送信の優先順を適宜決定する。優先順を表す時間軸において、送信タイミングが同時に生成されて優先順の決定の対象となったフレームのタイミングは、ドットのハッチングが付された三角形として表される。図2の優先順の時間軸の時刻T90におけるドットの4つの三角形は、4つのチャンネルのフレームの送信タイミングが同時に生成されて優先順が決定されたことを表す。
【0030】
図2において、4つのチャンネルからフレームを送信する優先順が、Ch1、Ch2、Ch3及びCh4の順番に決定されたとする。送信部90は、優先順に基づいて各チャンネルのフレームを生成して測定対象に送信する。送信フレームを表す時間軸において、各チャンネルのフレームは、チャンネル番号の数字を付した矩形として表される。図2の送信フレームの時間軸に示されるように、送信部90は、時刻T90から、Ch1、Ch2、Ch3及びCh4のそれぞれのフレームを順番に測定対象に送信する。
【0031】
送信部90は、4つのチャンネルのそれぞれについて、フレーム長と、各チャンネルの送信レートとに基づいて、フレームの送信間隔を決定する。各チャンネルにおけるフレームの送信間隔が異なる場合、フレームの送信タイミングは同時に発生しにくい。例えば、図2の時刻T91において、Ch1、Ch3及びCh4のそれぞれの送信タイミングが短時間に集中しているものの、同時ではない。この場合、Ch1、Ch3及びCh4のそれぞれの送信タイミングは優先順の決定の対象ではなく、送信タイミングが発生した順番にフレームを送信するように処理される。
【0032】
4つのチャンネルの送信タイミングが同時に発生する確率は、測定対象における通常のフレーム伝送状況において非常に低い。つまり、時刻T90で4つのチャンネルの送信タイミングが同時に発生した現象は、測定対象における通常のフレーム伝送状況を模擬していない。しかし、比較例に係る装置において、送信部90がフレームの送信を開始するときに必ず複数のチャンネルの送信タイミングが同時に発生する。したがって、比較例に係る装置は、測定対象における通常のフレーム伝送状況を模擬できていない。
【0033】
また、複数のチャンネルにおけるフレームの送信間隔が一致する場合、フレームの送信間隔だけ時刻が経過する毎に、複数のチャンネルの送信タイミングが同時に発生する。例えば図3に示されるように、4つのチャンネルからのフレームの送信が時刻T92に開始される場合、時刻T92に4つのチャンネルのそれぞれの送信タイミングが同時に発生する。また、フレームの送信間隔だけ時刻が経過した後の時刻T93、T94及びT95のそれぞれにおいて、4つのチャンネルのそれぞれの送信タイミングが同時に発生する現象が繰り返される。このようなフレーム伝送状況は、測定対象における通常のフレーム伝送状況を模擬できていない。
【0034】
そこで、本開示は、測定対象における通常のフレーム伝送状況を模擬できるフレーム送信方法、フレーム送信プログラム、及び測定器1(図4参照)について説明する。
【0035】
(測定器1の概要)
図4に示されるように、本開示に係る測定器1は、CPU(Central Processing Unit)10と、制御部20と、送信部30と、受信部40と、統計部50と、PHY60と、測定ポート70とを備える。本開示に係る測定器1は、測定ポート70で測定器1の測定対象と通信可能に接続される。測定ポート70は、測定器1の測定対象と通信可能に接続するためのインタフェースである。測定器1の測定対象は、例えばネットワーク又は通信装置を含む。
【0036】
測定器1は、操作部からユーザの操作又は設定の入力を受け付ける。測定器1は、ユーザの操作又は設定に基づいて測定ポート70から測定対象にフレームを送信し、測定対象から送信されたフレームを受信し、送信フレーム及び受信フレームを解析することによって、測定対象におけるフレームの伝送状態を測定する。送信フレームは、測定器1から測定対象に送信するフレームである。受信フレームは、測定器1が測定対象から受信するフレームである。測定器1は、表示装置に測定結果を表示する。以下、測定器1の各構成部の概要が説明される。
【0037】
CPU10は、測定器1の設定又は操作に関する情報を操作部から取得し、測定器1の各構成部に対する設定又は制御に変換して制御部20に出力する。操作部は、測定器1のユーザからの入力を受け付ける入力デバイスを含んでもよい。入力デバイスは、例えば、キーボード又は物理キーを含んでもよいし、タッチパネル若しくはタッチセンサ又はマウス等のポインティングデバイスを含んでもよい。測定器1は、操作部を備えてもよいし、外部の操作部に接続されてもよい。また、CPU10は、測定対象におけるフレームの伝送状態等の測定データを制御部20から取得し、表示装置に表示する。表示装置は、例えば液晶ディスプレイ等の種々のディスプレイを含んでよい。測定器1は、表示装置を備えてもよいし、外部の表示装置に接続されてよい。
【0038】
制御部20は、CPU10から取得した設定又は制御の情報に基づいて送信部30及び受信部40の設定又は制御を実行する。また、制御部20は、後述する統計部50から送信フレーム及び受信フレームの解析結果を取得し、取得した解析結果を、測定対象におけるフレームの伝送状態等の測定データとしてCPU10に出力する。
【0039】
送信部30は、制御部20による設定又は制御に基づいて測定ポート70にフレームを出力してネットワークにフレームを送信する。受信部40は、ネットワークから測定ポート70に送信されたフレームを受信する。
【0040】
測定器1において、送信部30及び受信部40と測定ポート70との間にPHY60が接続される。PHY60は、いわゆるOSI(Open Systems Interconnection)参照モデルの物理層(PHYsical layer)機能であり、測定ポート70に接続されるネットワーク又は通信装置に送信フレームを正しく送信し、ネットワーク又は通信装置から受信フレームを正しく受信できるように、送信フレーム及び受信フレームの信号変換を実行する。
【0041】
統計部50は、送信フレーム及び受信フレームの解析結果を測定対象の測定データとして制御部20に出力する。
【0042】
以上述べてきたように、測定器1は、ユーザの操作又は設定に応じて測定対象にフレームを送信することによって、測定対象におけるフレーム伝送状況をユーザが意図するように模擬できる。
【0043】
(測定器1の構成例)
以下、本開示に係る測定器1の構成例が説明される。
【0044】
CPU10は、少なくとも1つのプロセッサを含んで構成されてよい。制御部20は、CPU等のプロセッサ又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等の専用回路を含んで構成されてよい。CPU10又は制御部20は、測定器1の機能を実現するプログラムを実行するように構成されてよい。
【0045】
CPU10又は制御部20は、記憶部を備えてよい。記憶部は、測定器1の動作に用いられる各種情報、又は、測定器1の機能を実現するプログラム等を格納してよい。記憶部は、CPU10又は制御部20のワークメモリとして機能してよい。記憶部は、例えば半導体メモリ等で構成されてよい。記憶部は、CPU10又は制御部20と一体で構成されてもよいし別体で構成されてもよい。
【0046】
送信部30は、制御部20からの設定又は制御に基づいて、測定器1から測定対象に送信するフレームを適切なタイミングで生成して出力する。送信部30の設定は、例えば送信フレームのフレーム長、フレームデータ、又は送信レートを含んでよい。また、送信部30は、送信フレームに関する解析結果を統計データとして統計部50に出力する。送信部30は、統計部50に送信フレームを解析させるように、送信フレームに関する情報を統計部50に出力してもよい。送信部30の具体的な構成例は後述される。
【0047】
受信部40は、測定ポート70で受信したフレーム、すなわち受信フレームを終端し、設定に基づいて受信フレームを解析し、受信フレームに関する解析結果を統計データとして統計部50に出力する。受信部40は、統計部50に受信フレームを解析させるように、受信フレームに関する情報を統計部50に出力してもよい。
【0048】
統計部50は、送信部30及び受信部40から受け取った統計データを処理し、測定対象の測定データとして制御部20に出力する。統計部50は、送信部30から送信フレームに関する情報を取得した場合、送信フレームを解析して送信フレームの統計データを生成してよい。統計部50は、受信部40から受信フレームに関する情報を取得した場合、受信フレームを解析して受信フレームの統計データを生成してよい。
【0049】
送信部30、受信部40、又は、統計部50は、CPU等のプロセッサ又はFPGA等の専用回路を含んで構成されてよい。送信部30、受信部40、又は、統計部50は、CPU10又は制御部20と同様に記憶部を備えてもよい。
【0050】
上述してきた測定器1の各構成部の少なくとも一部は、他の構成部に含まれてよい。例えば、CPU10の少なくとも一部が制御部20に含まれてよい。また、送信部30、受信部40、又は、統計部50の少なくとも一部が制御部20に含まれてよい。
【0051】
PHY60、すなわちOSI参照モデルの物理層機能は、送信部30及び受信部40と測定ポート70との間の信号変換を実行できるように適宜構成されてよい。PHY60は、制御部20から設定を取得し、設定に基づいて信号変換を実行してよい。
【0052】
測定ポート70は、例えばLAN(Local Area Network)ケーブルを接続するコネクタを含んでよい。測定ポート70は、これに限られず、測定対象に接続できるように適宜構成されてよい。
【0053】
以下、送信部30の構成例が更に詳細に説明される。本開示に係る測定器1は、複数のチャンネルのそれぞれで生成したフレームを、測定ポート70から測定対象に対して送信できるように構成されるとする。
【0054】
図5に示されるように、送信部30は、送信タイミング生成部31-1~8と、遅延部37-1~8と、優先制御部32と、メモリ33と、送信タイミング制御部34と、送信フレーム生成部35と、フレームデータメモリ36とを備える。図5に例示した送信部30は、8つのチャンネルのそれぞれでフレームを生成できるとする。チャンネルの数は、8つに限られず、7つ以下であってもよいし、9つ以上であってもよい。
【0055】
送信タイミング生成部31-1~8は、8つのチャンネルのそれぞれに対応する。送信タイミング生成部31-1~8は、チャンネル別に区別されない場合、単にタイミング生成部とも称される。8つのチャンネルは、チャンネル番号を数字で表したCh1、Ch2、Ch3、Ch4、Ch5、Ch6、Ch7及びCh8として区別されるとする。Ch1のタイミング生成部は、Ch1送信タイミング生成部31-1として表される。Ch2のタイミング生成部は、Ch2送信タイミング生成部31-2として表される。Ch3~Ch7のタイミング生成部は省略されている。Ch8のタイミング生成部は、Ch8送信タイミング生成部31-8として表される。
【0056】
タイミング生成部は、制御部20からフレームの送信制御とフレームの設定とを取得する。送信制御は、フレームの送信を開始するトリガ、又は、フレームの送信を終了するトリガを含む。設定は、送信フレームのフレーム長、フレームデータ、又は送信レートを含む。
【0057】
送信フレームは、図6のチャートに示されるように、例えばプリアンブルとデータとFCS(Frame Check Sequence)とを含む。フレーム長は、プリアンブルとデータとFCSとを合わせた長さである。フレームデータは、送信フレームによって伝送する内容を表すデータである。
【0058】
送信レートは、送信フレームによってネットワーク等のフレームの伝送路が占有される割合である。送信レートは、フレームの送信間隔に対する、フレーム長とIFG(Interframe Gap)との和の比率として算出される。フレームの送信間隔は、先に伝送されるフレームの送信タイミングと、次に伝送されるフレームの送信タイミングとの間隔である。図6においてフレームの送信タイミングが水平方向に延びる時間軸における三角形(▽)の位置によって表される。つまり、フレームの送信間隔は、三角形(▽)の間隔で表される。IFGは、複数の送信フレームが伝送路において伝送される場合に送信フレーム同士の間に、フレームを伝送しない期間として必ず設定される間隔である。例えば、先に伝送される送信フレームの終端と、次に伝送される送信フレームの始端との間隔が最小サイズのIFGだけである場合、送信レートは100%として算出される。なお、IFGの最小サイズは、イーサネット(登録商標)の規格において12バイトであると定められている。
【0059】
フレームの送信間隔は、フレーム長と送信レートとに基づいて定まる。設定は、フレームの送信間隔を含んでもよい。設定がフレームの送信間隔とフレーム長とを含む場合、送信間隔とフレーム長とに基づいて送信レートが定まる。設定がフレームの送信間隔と送信レートとを含む場合、送信間隔と送信レートとに基づいてフレーム長が定まる。
【0060】
送信制御は、フレームのバースト送信を開始するトリガを含む。バースト送信は、通常の送信レートよりも送信レートが高い状態で複数のフレームを連続して送信することである。なお、バースト送信は、複数のフレームをまとめて送信する点で、通常の送信と異なるとする。図7のチャートに、バースト送信を実行したときに送信されるフレームが時間軸に沿って表される。バーストは、バースト送信が実行されている期間を表す。アイドルは、先に実行されるバースト送信と次に実行されるバースト送信との間の期間、すなわち2つのバーストの間の期間を表す。インターバルは、バーストとアイドルとを合わせた期間を表し、バースト通信が実行される周期に対応する。
【0061】
タイミング生成部は、送信制御としてフレームの送信の開始のトリガが入力された場合、各チャンネルからのフレームの送信タイミングの生成を開始する。タイミング生成部は、設定に基づいて各チャンネルのフレームの送信タイミングを生成する。各チャンネルのフレームの送信タイミングは、Ch*情報と表される。タイミング生成部は、Ch*情報を優先制御部32に出力する。Ch1の送信タイミングは、Ch1情報と表される。Ch2の送信タイミングは、Ch2情報と表される。Ch8の送信タイミングは、Ch8情報と表される。
【0062】
遅延部37-1~8は、送信タイミング生成部31-1~8のそれぞれに対応する。Ch1送信タイミング生成部31-1に対応する遅延部は、遅延部37-1として表される。Ch2送信タイミング生成部31-2に対応する遅延部は、遅延部37-2として表される。Ch3~Ch7のタイミング生成部に対応する遅延部は省略されている。Ch8送信タイミング生成部31-8に対応する遅延部は、遅延部37-8として表される。遅延部37-1~8は、チャンネル別に区別されない場合、単に遅延部とも称される。
【0063】
遅延部は、制御部20からのフレームの送信制御を遅延させてタイミング生成部に出力する。つまり、遅延部は、制御部20とタイミング生成部との間において、フレームの送信制御の伝達を遅延させる。遅延部37-1~8は、制御部20から各チャンネルにおける遅延時間の設定を取得する。遅延時間は、各チャンネルにおいて送信制御を遅延させる時間である。
【0064】
優先制御部32は、タイミング生成部からCh*情報を取得する。優先制御部32は、Ch*情報を取得した順番にCh*情報をメモリ33に格納する。優先制御部32は、複数のチャンネルのCh*情報を同時に取得した場合、複数のチャンネルの優先順を決定し、決定した順番でCh*情報をメモリ33に格納する。
【0065】
優先制御部32は、例えば、チャンネル番号の数字が小さい順、又は、大きい順に優先する、固定ルールで優先順を決定してよい。優先制御部32は、複数のチャンネルの優先順を決定する必要が生じる前に最後にCh*情報を取得したチャンネルの次のチャンネルを優先する、巡回ルールで優先順を決定してもよい。優先制御部32は、例えば、Ch3情報を取得した後に複数のチャンネルのCh*情報を取得した場合、Ch4、Ch5、Ch6、Ch7、Ch8、Ch1、Ch2、Ch3の順で優先順を決定してよい。
【0066】
メモリ33は、優先制御部32によって格納された順番どおりに送信タイミング制御部34がCh*情報を読み出せるように、Ch*情報を格納する。
【0067】
送信タイミング制御部34は、制御情報に基づいて、送信フレームを生成できる状態になっているかを判定する。制御情報は、測定ポート70と測定対象とのリンク状態を含んでよい。制御情報は、PAUSEフレームの受信による送信制御状態を含んでよい。制御情報は、測定機能の制御を含んでよい。送信タイミング制御部34は、例えば、前に生成したフレームの送信が完了している場合に送信フレームを送信できる状態になっていると判定し、前に生成したフレームの送信が完了していない場合に送信フレームを送信できる状態になっていないと判定する。
【0068】
送信タイミング制御部34は、送信フレームを生成できる状態になっていると判定した場合、メモリ33に読み出し要求を出力してメモリ33からCh*情報を読み出し、送信フレーム生成部35にCh*情報を出力する。このとき、Ch*情報は、優先制御部32がメモリ33に格納した順番で読み出される。つまり、送信タイミング制御部34は、優先制御部32が決定した順番でCh*情報を取得する。
【0069】
送信タイミング制御部34は、送信フレームを生成できる状態になっていると判定したときにメモリ33にCh*情報が格納されていない場合、次にメモリ33にCh*情報が格納されたときに即時にCh*情報を読み出す。
【0070】
送信タイミング制御部34は、読み出したCh*情報に含まれるフレーム長に基づいて、次にメモリ33からCh*情報を読み出すタイミングを生成してよい。具体的に、送信タイミング制御部34は、フレーム長とIFGとを合わせた時間の経過後のタイミングを、次にメモリ33からCh*情報を読み出すタイミングとして生成してよい。送信タイミング制御部34は、生成したタイミングにメモリ33にCh*情報が格納されていない場合にCh*情報を読み出さず、Ch*情報が格納されている場合に優先制御部32が決定した順番でCh*情報を読み出す。
【0071】
送信フレーム生成部35は、送信タイミング制御部34からCh*情報が入力された場合、Ch*情報に基づいて送信フレームを生成するために必要なフレームデータを、フレームデータメモリ36から読み出す。送信フレーム生成部35は、Ch*情報とフレームデータとに基づいて送信フレームを生成し、PHY60(図4参照)に送信フレームを出力する。送信フレームは、PHY60で信号変換が実行された後で測定ポート70(図4参照)から測定対象に送信される。
【0072】
フレームデータメモリ36は、フレームデータを格納する。フレームデータは、制御部20によってフレームデータメモリ36に格納される。フレームデータは、測定器1のユーザによって設定されたデータを含んでよい。フレームデータメモリ36は、送信フレーム生成部35がCh*情報に基づいてフレームデータを特定できるように、フレームデータとCh*情報とを対応づけて格納してよい。
【0073】
タイミング生成部、遅延部、優先制御部32、送信タイミング制御部34、又は、送信フレーム生成部35は、CPU等のプロセッサ又はFPGA等の専用回路を含んで構成されてよい。メモリ33又はフレームデータメモリ36は、例えば半導体メモリ等で構成されてよい。送信部30の各構成部の少なくとも一部は、他の構成部に含まれてもよい。
【0074】
(測定器1の動作例)
本実施形態に係る測定器1は、制御部20から各チャンネルの送信タイミング生成部31-1~8への送信制御の入力を遅延部37-1~8によって遅延させる。制御部20は、遅延部37-1~8のそれぞれに設定する遅延時間を異ならせる。各チャンネルにおける遅延時間が異なることによって、制御部20からタイミング生成部に対して送信制御としてフレームの送信を開始するトリガが入力されるときに、各チャンネルの送信タイミング生成部31-1~8が生成する最初のフレームの送信タイミングが互いにずれる。
【0075】
ここで、測定器1が複数のチャンネルからフレームを送信するタイミングが図8のチャートを参照して説明される。図8の横軸は時刻の経過、すなわち時間軸を表す。図8において、4つのチャンネルのそれぞれのフレームの送信タイミングが生成される。4つのチャンネルは、Ch1、Ch2、Ch3及びCh4として表される。4つのチャンネルの送信タイミングは、各チャンネルに対応する時間軸において、三角形(▽)の位置によって表される。各チャンネルのフレームの送信間隔は互いに異なる。
【0076】
制御部20は、時刻T0において、タイミング生成部に対してフレームの送信を開始するトリガを入力する。Ch1には遅延時間が設定されていない。つまり、Ch1に設定される遅延時間は0である。よって、Ch1において、フレームの送信開始トリガの入力から遅延せずに時刻T0において最初のフレームの送信タイミングが生成される。
【0077】
一方で、Ch2に遅延時間DT2が設定されている。よって、Ch2において、フレームの送信開始トリガの入力から遅延時間DT2だけ遅延して最初のフレームの送信タイミングが生成される。
【0078】
また、Ch3に遅延時間DT3が設定されている。よって、Ch3において、フレームの送信開始トリガの入力から遅延時間DT3だけ遅延して最初のフレームの送信タイミングが生成される。
【0079】
また、Ch4に遅延時間DT4が設定されている。よって、Ch4において、フレームの送信開始トリガの入力から遅延時間DT4だけ遅延して最初のフレームの送信タイミングが生成される。
【0080】
以上のように、DT2、DT3及びDT4が互いに異なる値に設定されることによって、Ch1~Ch4の各チャンネルにおける最初のフレームの送信タイミングがずれる。各チャンネルにおけるフレームの送信タイミングがずれることによって、優先制御部32は、図8の優先順を表す時間軸に示されるように、送信タイミングが生成された順番にCh*情報をメモリ33に格納する。
【0081】
送信タイミング制御部34は、送信タイミングが生成された順番にCh*情報をメモリ33から取得する。送信フレーム生成部35は、送信タイミング生成された順番に各チャンネルの送信フレームを生成する。図8の送信フレームを表す時間軸において、各チャンネルのフレームは、チャンネル番号の数字を付した矩形として表される。図8の送信フレームの時間軸に示されるように、送信部30は、時刻T0から、Ch1、Ch2及びCh3の順番で各チャンネルの送信フレームを測定対象に送信する。
【0082】
以上のように、本開示に係る測定器1は、最初のフレームの送信タイミングが必ず同時になる状況(図2参照)を回避できる。その結果、本開示に係る測定器1は、測定対象における通常のフレーム伝送状況を模擬できる。
【0083】
図8において、時刻T1にCh1の送信タイミングとCh2の送信タイミングとが同時に生成されている。この場合、優先制御部32は、Ch1とCh2との優先順を決定し、決定した順番でCh1情報及びCh2情報をメモリ33に格納する。優先順を表す時間軸において、送信タイミングが同時に生成されて優先順の決定の対象となったフレームのタイミングは、ドットのハッチングが付された三角形として表される。図8の優先順の時間軸の時刻T1におけるドットの2つの三角形は、2つのチャンネルのフレームの送信タイミングが同時に生成されて優先順が決定されたことを表す。
【0084】
時刻T1における複数のチャンネルの送信タイミングの同時の生成は偶然である。複数のチャンネルの送信タイミングが偶然同時に生成されることは、測定対象における通常のフレーム伝送状況においても発生し得ることである。したがって、複数のチャンネルの送信タイミングが偶然同時に生成されたとしても、本開示に係る測定器1は、測定対象における通常のフレーム伝送状況を模擬できている。
【0085】
図9に示されるように4つのチャンネルのフレームの送信間隔が同じである場合においても、各チャンネルに異なる遅延時間が設定されることによって、フレームの送信タイミングが必ず同時になる状況が回避される。
【0086】
具体的に、制御部20は、時刻T2において、タイミング生成部に対してフレームの送信を開始するトリガを入力する。Ch1には遅延時間が設定されていない。よって、Ch1において、フレームの送信開始トリガの入力から遅延せずに時刻T2において最初のフレームの送信タイミングが生成される。一方で、Ch2、Ch3及びCh4のそれぞれに遅延時間DT2、DT3及びDT4が設定されている。その結果、Ch2、Ch3及びCh4のそれぞれにおいて、時刻T2からそれぞれの遅延時間だけ遅延して最初のフレームの送信タイミングが生成される。
【0087】
Ch1の次のフレームの送信タイミングは、時刻T3に生成されるとする。各チャンネルのフレームの送信間隔が同じであることから、Ch2、Ch3及びCh4のそれぞれの次のフレームの送信タイミングは、時刻T3からそれぞれの遅延時間だけ遅延して生成される。その結果、各チャンネルにおけるフレームの送信タイミングがずれる。同様に、時刻T4及びT5でも、各チャンネルにおけるフレームの送信タイミングがずれる。
【0088】
以上述べてきたように、複数のチャンネルのフレームの送信間隔が同じであっても、測定器1は、各チャンネルに異なる遅延時間を設定することによって、フレームの送信タイミングが必ず同時になる状況(図3参照)を回避できる。その結果、本開示に係る測定器1は、測定対象における通常のフレーム伝送状況を模擬できる。
【0089】
遅延時間は、他のチャンネルにおけるフレームの送信間隔の自然数倍と異なる値に設定されてよい。このようにすることで複数のチャンネルのフレームの送信タイミングが同時になる確率が低下する。また、少なくとも最初のフレームの送信タイミングが同時にならない。その結果、測定対象における通常のフレーム伝送状況が模擬される。
【0090】
遅延時間は、ランダムな値に設定されてもよい。遅延時間は、複数のチャンネルのフレームの送信間隔が同じである場合、フレームの送信間隔の中で各チャンネルが均等にフレームを出力するように、フレームの送信間隔をチャンネルの数で割った値だけ変化させるように設定されてよい。
【0091】
遅延時間は、操作部からのユーザの入力に基づいて設定されてもよい。
【0092】
各チャンネルのフレーム長又は送信レートは、同じであってもよいし異なってもよい。複数のチャンネルの一部のチャンネルだけでフレーム長又は送信レートが同じであってもよいし異なってもよい。
【0093】
<バースト送信を実行するチャンネルが存在する場合>
制御部20は、ユーザの操作又は設定に応じて、一部のチャンネルに対してバースト送信のトリガを入力することがある。例えば図10に示されるように、制御部20は、時刻T6において、Ch1にバースト送信のトリガを入力し、Ch2及びCh3に通常のフレーム送信の開始のトリガを入力したとする。この場合、制御部20は、Ch2及びCh3の遅延時間を、Ch2及びCh3の最初のフレームの送信タイミングがCh1のアイドルの期間(図7参照)に生成されるように設定してよい。このようにすることで、Ch2及びCh3からの最初のフレームの送信タイミングがCh1のバーストの期間(図7参照)に必ず含まれる状態が回避される。その結果、Ch2及びCh3の最初のフレームがCh1のバースト送信のフレームに混入せず、単独の送信フレームとして測定対象に送信される。
【0094】
Ch2及びCh3のフレームの送信間隔は、Ch1のバースト送信のインターバル(図7参照)と同じであってもよいし異なってもよい。図10において、Ch2及びCh3の次のフレームの送信タイミングは、時刻T7から開始するCh1の次のバーストの期間の後のアイドルの期間に生成されている。仮にCh2又はCh3のフレームの送信タイミングがCh1のバーストの期間に生成されたとしても、フレームの送信タイミングが他のチャンネルのバーストの期間に偶然重なることは、測定対象における通常のフレーム伝送状況においても発生し得ることである。したがって、あるチャンネルのバーストの期間に他のチャンネルのフレームの送信タイミングが偶然生成されたとしても、本開示に係る測定器1は、測定対象における通常のフレーム伝送状況を模擬できている。
【0095】
制御部20は、複数のチャンネルに対してバースト送信のトリガを入力することがある。例えば図11に示されるように、制御部20は、時刻T8において、Ch1及びCh2にバースト送信のトリガを入力したとする。この場合、制御部20は、Ch2の遅延時間を、Ch1のバーストの期間が終了した後でCh2のバースト送信が開始するように設定してよい。また、制御部20は、Ch2のバーストの期間がCh1のアイドルの期間よりも短くなるようにバースト送信の設定を生成してもよい。このようにすることで、複数のチャンネルのバースト送信が互いに混ざる状態が避けられる。その結果、各チャンネルのバースト送信がそれぞれ単独のバースト送信として測定対象に送信される。
【0096】
<フレーム送信方法の手順例>
測定器1の制御部20及び送信部30は、図12に示されるフローチャートの手順例を含むフレーム送信方法を実行してよい。フレーム送信方法は、制御部20が備えるプロセッサに実行させるフレーム送信プログラムとして実現されてもよい。フレーム送信プログラムは、非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体に格納されてよい。
【0097】
制御部20は、送信部30の各チャンネルの遅延部37-1~8に遅延時間を設定し、送信部30の各チャンネルの送信タイミング生成部31-1~8に送信フレームに関する情報を設定する(ステップS1)。送信フレームに関する情報は、送信フレームのフレーム長、フレーム間隔、又は送信レートを含む。遅延時間は、送信フレームに関する情報に含まれてもよい。遅延時間が送信フレームに関する情報に含まれる場合、制御部20は、遅延時間を含む送信フレームに関する情報を送信部30にまとめて設定してよい。遅延時間は、送信フレームに関する情報に含まれなくてもよい。遅延時間が送信フレームに関する情報に含まれない場合、制御部20は、遅延時間と送信フレームに関する情報とをそれぞれ送信部30に設定してよい。
【0098】
制御部20は、フレームの送信を開始するトリガを送信部30の送信タイミング生成部31-1~8に出力する(ステップS2)。このとき、各チャンネルの送信タイミング生成部31-1~8に対してフレームの送信を開始するトリガが入力されるタイミングは、各チャンネルの遅延部37-1~8に設定した遅延時間だけ遅延する。
【0099】
送信タイミング生成部31-1~8は、ステップS1で設定された送信フレームに関する情報に基づいてフレームの送信タイミングを生成する(ステップS3)。送信タイミング生成部31-1~8は、送信タイミングを生成したチャンネルのCh*情報を、送信部30の優先制御部32に出力する。
【0100】
優先制御部32は、優先制御を実行する(ステップS4)。優先制御部32は、複数のチャンネルのCh*情報が同時に入力された場合、チャンネルの優先順を決定し、決定した優先順でCh*情報をメモリ33に格納する。優先制御部32は、1つのチャンネルのCh*情報が入力された場合、Ch*情報が入力された順番にメモリ33に格納する。
【0101】
送信部30は、送信フレームを生成する(ステップS5)。具体的に、送信部30の送信タイミング制御部34は、メモリ33からCh*情報を読み出して送信部30の送信フレーム生成部35に出力する。送信フレーム生成部35は、送信タイミング制御部34から入力されたCh*情報に基づいて送信フレームを生成し、測定ポート70に出力する。測定器1は、ステップS5の手順の実行後、図12に示されるフローチャートの手順例の実行を終了する。測定器1は、制御部20からタイミング生成部に対してフレームの送信を終了するトリガを入力するまで、ステップS2からS5までの手順を繰り返し実行してよい。
【0102】
(まとめ)
以上述べてきたように、本開示に係る測定器1は、複数のチャンネルのそれぞれについて異なる遅延時間でフレームの送信タイミングを遅延させることができる。測定器1は、各チャンネルで異なる遅延時間でフレームの送信タイミングを遅延させることによって、フレームの送信開始のトリガを入力した後の、少なくとも最初のフレームの送信タイミングを異ならせることができる。その結果、測定器1は、測定対象における通常のフレーム伝送状況を模擬できる。
【0103】
上述してきた実施形態において、遅延部は、タイミング生成部の前に接続され、制御部20から各チャンネルのタイミング生成部への送信開始のトリガの入力を遅延させる。遅延部が送信開始のトリガの入力を遅延させることによって、制御部20から1つのトリガを入力するだけで、各チャンネルのフレームの送信タイミングを異ならせることができる。また、遅延部が送信開始のトリガの入力を遅延させることによって、送信開始のトリガが測定器1の外部から入力される場合であっても、各チャンネルのフレームの送信タイミングを異ならせることができる。つまり、遅延部が送信開始のトリガの入力を遅延させることによって、送信開始のトリガの入力が簡便に構成される。
【0104】
遅延部は、タイミング生成部から優先制御部32に入力されるCh*情報を遅延させてもよい。この場合、遅延部は、タイミング生成部と優先制御部32との間に接続されてよい。例えば図5の例において、遅延部37-1は、Ch1送信タイミング生成部31-1と優先制御部32との間に接続されてよい。遅延部が各チャンネルのCh*情報を遅延させることによっても、各チャンネルの最初のフレームの送信タイミングがずれる。その結果、測定対象における通常のフレームの伝送状況が模擬される。遅延部がタイミング生成部の後に接続されてもよいことによって、送信部30の回路構成の自由度が増大する。
【0105】
遅延部は、バッファ回路等のハードウェアとして実現されてよい。遅延部がハードウェアとして実現されることによって、遅延時間の誤差が少なくなる。遅延時間の誤差が少なくなることによって、高速通信のネットワーク又は通信装置を測定対象としてフレームを送信する場合に、フレームの送信タイミングが高精度で制御される。
【0106】
遅延部は、プログラム等のソフトウェアとして実現されてもよい。
【0107】
以上、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【符号の説明】
【0108】
1 測定器
10 CPU
20 制御部
30 送信部
31-1~8 タイミング生成部
32 優先制御部
33 メモリ
34 送信タイミング制御部
35 送信フレーム生成部
36 フレームデータメモリ
37-1~8 遅延部
40 受信部
50 統計部
60 PHY
70 測定ポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12