(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026000426
(43)【公開日】2026-01-05
(54)【発明の名称】医療用マニピュレータシステム、医療用マニピュレータの制御方法および制御装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/005 20060101AFI20251222BHJP
A61B 17/29 20060101ALN20251222BHJP
【FI】
A61B1/005 523
A61B17/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025016976
(22)【出願日】2025-02-04
(31)【優先権主張番号】63/660,691
(32)【優先日】2024-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】柳川 涼太
(72)【発明者】
【氏名】岸 宏亮
【テーマコード(参考)】
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C160GG22
4C160MM32
4C161AA04
4C161FF32
4C161HH32
4C161HH47
4C161HH56
4C161JJ11
(57)【要約】
【課題】挿入部等の湾曲駆動を所定の範囲に制限しつつ、挿入部等の最大湾曲角度が減少しにくい医療用マニピュレータシステム等を提供する。
【解決手段】医療用マニピュレータシステムは、湾曲部と、前記湾曲部を曲げる湾曲ワイヤと、を有する医療用マニピュレータと、前記湾曲ワイヤを駆動することにより前記湾曲部を曲げるアクチュエータと、前記湾曲ワイヤの張力を検出するセンサと、前記アクチュエータを制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記湾曲ワイヤの張力が前記湾曲ワイヤの牽引量に基づいて決まる張力制限値を超えないように前記湾曲ワイヤを駆動する。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲部と、前記湾曲部を曲げる湾曲ワイヤと、を有する医療用マニピュレータと、
前記湾曲ワイヤを駆動することにより前記湾曲部を曲げるアクチュエータと、
前記湾曲ワイヤの張力を検出するセンサと、
前記アクチュエータを制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、前記湾曲ワイヤの張力が前記湾曲ワイヤの牽引量に基づいて決まる張力制限値を超えないように前記湾曲ワイヤを駆動する、
医療用マニピュレータシステム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記湾曲ワイヤの牽引量が所定の牽引量制限値を超えないように前記湾曲ワイヤを駆動する、
請求項1に記載の医療用マニピュレータシステム。
【請求項3】
前記張力制限値は、前記牽引量が大きいほど増加する、
請求項1に記載の医療用マニピュレータシステム。
【請求項4】
前記湾曲ワイヤの牽引量が閾値以下のとき、前記張力制限値は一定であり、
前記湾曲ワイヤの牽引量が前記閾値より大きいとき、前記張力制限値は前記牽引量が大きいほど増加する、
請求項1に記載の医療用マニピュレータシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記湾曲ワイヤの牽引量が前記湾曲ワイヤの張力に基づいて決まる牽引量制限値を超えないように前記湾曲ワイヤを駆動し、
前記牽引量制限値は、前記張力が大きいほど増加する、
請求項1に記載の医療用マニピュレータシステム。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記湾曲ワイヤの駆動軸に取り付けられたエンコーダを有し、
前記コントローラは、前記エンコーダから前記湾曲ワイヤの牽引量を取得する、
請求項1に記載の医療用マニピュレータシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記湾曲ワイヤの牽引量が前記牽引量制限値を超える場合において第一の通知を実施し、
前記湾曲ワイヤの張力が前記張力制限値を超える場合において前記第一の通知と異なる第二の通知を実施する、
請求項2に記載の医療用マニピュレータシステム。
【請求項8】
医療用マニピュレータの湾曲動作を制御する方法であって、
前記医療用マニピュレータの湾曲部を曲げる湾曲ワイヤの張力が前記湾曲ワイヤの牽引量に基づいて決まる張力制限値を超えないように前記湾曲ワイヤを駆動する、
医療用マニピュレータの制御方法。
【請求項9】
前記湾曲ワイヤの牽引量が所定の牽引量制限値を超えないように前記湾曲ワイヤを駆動する、
請求項8に記載の医療用マニピュレータの制御方法。
【請求項10】
前記張力制限値は、前記牽引量が大きいほど増加する、
請求項8に記載の医療用マニピュレータの制御方法。
【請求項11】
前記湾曲ワイヤの牽引量が閾値以下のとき、前記張力制限値は一定であり、
前記湾曲ワイヤの牽引量が前記閾値より大きいとき、前記張力制限値は前記牽引量が大きいほど増加する、
請求項8に記載の医療用マニピュレータの制御方法。
【請求項12】
前記湾曲ワイヤの牽引量が前記湾曲ワイヤの張力に基づいて決まる牽引量制限値を超えないように前記湾曲ワイヤを駆動し、
前記牽引量制限値は、前記張力が大きいほど増加する、
請求項8に記載の医療用マニピュレータの制御方法。
【請求項13】
前記湾曲ワイヤの駆動軸に取り付けられたエンコーダから前記湾曲ワイヤの牽引量を取得する、
請求項8に記載の医療用マニピュレータの制御方法。
【請求項14】
前記湾曲ワイヤの牽引量が前記牽引量制限値を超える場合において第一の通知を実施し、
前記湾曲ワイヤの張力が前記張力制限値を超える場合において前記第一の通知と異なる第二の通知を実施する、
請求項9に記載の医療用マニピュレータの制御方法。
【請求項15】
医療用マニピュレータの湾曲動作を制御する制御装置であって、
前記医療用マニピュレータの湾曲部を曲げる湾曲ワイヤの張力が前記湾曲ワイヤの牽引量に基づいて決まる張力制限値を超えないように前記湾曲ワイヤを駆動する、
制御装置。
【請求項16】
前記湾曲ワイヤの牽引量が所定の牽引量制限値を超えないように前記湾曲ワイヤを駆動する、
請求項15に記載の制御装置。
【請求項17】
前記張力制限値は、前記牽引量が大きいほど増加する、
請求項15に記載の制御装置。
【請求項18】
前記湾曲ワイヤの牽引量が閾値以下のとき、前記張力制限値は一定であり、
前記湾曲ワイヤの牽引量が前記閾値より大きいとき、前記張力制限値は前記牽引量が大きいほど増加する、
請求項15に記載の制御装置。
【請求項19】
前記湾曲ワイヤの牽引量が前記湾曲ワイヤの張力に基づいて決まる牽引量制限値を超えないように前記湾曲ワイヤを駆動し、
前記牽引量制限値は、前記張力が大きいほど増加する、
請求項15に記載の制御装置。
【請求項20】
前記湾曲ワイヤの駆動軸に取り付けられたエンコーダから前記湾曲ワイヤの牽引量を取得する、
請求項15に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用マニピュレータシステム、医療用マニピュレータの制御方法および制御装置に関する。この出願は、2024年06月17日に出願された米国仮出願第63/660,691号の利益を主張し、その全文が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
従来、消化管などの管腔器官内の観察や処置に用いる医療用マニピュレータシステムが使用されている。医療用マニピュレータシステムは、管腔器官内に挿入される挿入部等が電動により湾曲駆動可能である。使用者は、体外に配置された操作部から挿入部等の湾曲動作を制御できる。
【0003】
管腔器官内を広く観察するために、挿入部等を大きく湾曲駆動できることが望ましい。一方、挿入部等を大きく湾曲駆動しようとすると、管腔器官に接触する挿入部等が管腔器官に対して大きな負荷をかけたり、湾曲しすぎた挿入部等が故障したりするため、挿入部等の湾曲駆動は所定の範囲に制限されることが望ましい。
【0004】
特許文献1には、湾曲部を湾曲させるワイヤの張力が所定値を超えたときに、湾曲部の湾曲駆動に制限をかける内視鏡が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1等に示す従来の医療用マニピュレータシステムは、挿入部等を湾曲させるワイヤの張力に基づいて挿入部等の湾曲駆動が制限されるため、例えばワイヤが大きく蛇行する状況など、挿入部等の湾曲駆動以外の要因によりワイヤの張力が増加する状況において、挿入部等の最大湾曲角度が減少してしまう。
【0007】
上記事情を踏まえ、本発明は、挿入部等の湾曲駆動を所定の範囲に制限しつつ、挿入部等の最大湾曲角度が減少しにくい医療用マニピュレータシステム、医療用マニピュレータの制御方法および制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係る医療用マニピュレータシステムは、湾曲部と、前記湾曲部を曲げる湾曲ワイヤと、を有する医療用マニピュレータと、前記湾曲ワイヤを駆動することにより前記湾曲部を曲げるアクチュエータと、前記湾曲ワイヤの張力を検出するセンサと、前記アクチュエータを制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記湾曲ワイヤの張力が前記湾曲ワイヤの牽引量に基づいて決まる張力制限値を超えないように前記湾曲ワイヤを駆動する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の医療用マニピュレータシステム、医療用マニピュレータの制御方法および制御装置によれば、挿入部等の湾曲駆動を所定の範囲に制限しつつ、挿入部等の最大湾曲角度が減少しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第一実施形態に係る医療用マニピュレータシステムの全体図である。
【
図2】術者によって使用される同医療用マニピュレータシステムの内視鏡と操作装置を示す図である。
【
図4】同挿入部の湾曲部の一部を断面図として示す図である。
【
図5】
図4に示す領域Eにおける同湾曲部の節輪の拡大図である。
【
図6】
図4および
図5のC1-C1線に沿う同湾曲部の断面図である。
【
図7】同医療用マニピュレータシステムの駆動装置に装着前の第一着脱部を示す図である。
【
図8】同駆動装置に装着前の上下湾曲ワイヤ着脱部を示す図である。
【
図9】同駆動装置に装着された同上下湾曲ワイヤ着脱部を示す図である。
【
図11】同医療用マニピュレータシステムの操作装置の斜視図である。
【
図12】同医療用マニピュレータシステムの映像制御装置の機能ブロック図である。
【
図13】同医療用マニピュレータシステムの制御装置の駆動コントローラの制御フローチャートである。
【
図14】大腸内に挿入された同挿入部を示す図である。
【
図15】湾曲ワイヤの牽引量制限値および張力制限値を示すグラフである。
【
図16】同張力制限値の変形例を示すグラフである。
【
図17】同牽引量制限値の変形例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係る電動内視鏡システム1000について、
図1から
図17を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る電動内視鏡システム1000の全体図である。電動内視鏡システム1000は、医療用マニピュレータシステムの一例である。医療用マニピュレータは、体内に挿入される電動駆動の内視鏡、カテーテル、処置具、エンドルミナルデバイス等を含む。
【0012】
[電動内視鏡システム1000]
電動内視鏡システム1000は、
図1に示すように、手術台Tに横たわる患者Pの体内を観察および処置する医療システムである。電動内視鏡システム1000は、内視鏡100と、駆動装置200と、操作装置300と、処置具400と、映像制御装置500と、表示装置900と、を備える。
【0013】
内視鏡100は、患者Pの管腔内に挿入して患部を観察および処置する装置である。内視鏡100は、駆動装置200と着脱自在である。内視鏡100の内部には内部経路101が形成されている。以降の説明において、内視鏡100において、患者Pの管腔内に挿入される側を「先端側A1」、駆動装置200に装着される側を「基端側A2」という。
【0014】
駆動装置200は、内視鏡100および操作装置300と着脱自在に接続される。駆動装置200は、操作装置300に入力された操作に基づき、内蔵するモータを駆動して内視鏡100を電動駆動する。また、駆動装置200は、操作装置300に入力された操作に基づき、内蔵するポンプ等を駆動して内視鏡100に送気吸引を実施させる。
【0015】
操作装置300は、操作ケーブル301を経由して駆動装置200と着脱自在に接続される。操作装置300は、有線通信ではなく無線通信により駆動装置200と通信可能であってもよい。術者Sは、操作装置300を操作することにより、内視鏡100を電動駆動できる。
【0016】
処置具400は、内視鏡100の内部経路101を挿通して患者Pの管腔内に挿入して患部を処置する装置である。
図1においては、処置具400は、鉗子口126から内視鏡100の内部経路101に挿入されている。
【0017】
映像制御装置500は、内視鏡100と着脱自在に接続されており、内視鏡100から撮像画像を取得する。映像制御装置500は、内視鏡100から取得した撮像画像や操作者に対する情報提供を目的とするGUI画像やCG画像を表示装置900に表示させる。
【0018】
駆動装置200と映像制御装置500とは、電動内視鏡システム1000を制御する制御装置600を構成する。制御装置600は、ビデオプリンタなどの周辺機器をさらに備えてもよい。駆動装置200と映像制御装置500とは、一体の装置であってもよい。
【0019】
表示装置900は、LCDなどの画像を表示可能な装置である。表示装置900は、表示ケーブル901を経由して映像制御装置500に接続されている。
【0020】
図2は、術者Sによって使用される内視鏡100と操作装置300を示す図である。
術者Sは、例えば、表示装置900に表示された撮像画像を観察しながら、患者Pの肛門から管腔内に挿入させた内視鏡100を右手Rで操作しながら、操作装置300を左手Lで操作する。内視鏡100と操作装置300とが分離しているため、術者Sは内視鏡100と操作装置300とを互いに影響を受けることなく独立して操作できる。
【0021】
[内視鏡100]
内視鏡100は、
図1に示すように、挿入部110と、連結部120と、体外軟性部140と、着脱部150と、湾曲ワイヤ160(
図6参照)と、内蔵物170(
図6参照)と、を備える。挿入部110と、連結部120と、体外軟性部140と、着脱部150と、は先端側から順に接続されている。
【0022】
図3は、内視鏡100の挿入部110を示す図である。
内視鏡100の内部には、挿入部110の先端から着脱部150の基端まで内視鏡100の長手方向Aに沿って延びる内部経路101が形成されている。湾曲ワイヤ160および内蔵物170は、内部経路101に挿入されている。
【0023】
内蔵物170は、チャンネルチューブ171と、送気吸引チューブ172(
図10参照)と、撮像ケーブル173と、ライトガイド174と、を有する。
【0024】
[挿入部110]
挿入部110は、管腔内に挿入可能な細長な長尺部材である。挿入部110は、先端部111と、湾曲部112と、体内軟性部119と、を有する。先端部111と、湾曲部112と、体内軟性部119と、は先端側から順に接続されている。
【0025】
先端部111は、
図3に示すように、開口部111aと、照明部111bと、撮像部111cと、を有する。開口部111aは、チャンネルチューブ171と連通する開口である。
図3に示すように、チャンネルチューブ171を挿通する処置具400の先端に設けられた把持鉗子などの処置部410が開口部111aから突没する。
【0026】
照明部111bは、照明光を導光するライトガイド174と接続されており、撮像対象を照明する照明光を出射する。撮像部111cは、CMOS等の撮像素子を備えており、撮像対象を撮像する。撮像信号は、撮像ケーブル173を経由して映像制御装置500に送られる。
【0027】
図4は、湾曲部112の一部を断面図として示す図である。
湾曲部112は、複数の節輪(湾曲駒ともいう)115と、複数の節輪115の先端に連結された先端部116と、アウターシース118(
図3参照)と、を有する。複数の節輪115および先端部116は、アウターシース118の内部において長手方向Aに連結されている。なお、湾曲部112が有する節輪115の形状および数は、
図4に示す節輪115の形状および数に限定されない。
【0028】
図5は、
図4に示す領域Eにおける節輪115の拡大図である。
節輪115は、金属で形成された短筒状の部材である。複数の節輪115は、隣り合う節輪115の内部空間が連続する空間となるように連結されている。
【0029】
節輪115は、先端側の第一節輪115aと、基端側の第二節輪115bと、を有する。第一節輪115aと第二節輪115bとは、第一回動ピン115pによって、長手方向Aに対して垂直な上下方向(「UD方向」ともいう)に回動可能に連結されている。
【0030】
隣り合う節輪115においては、先端側の節輪115における第二節輪115bと、基端側の節輪115における第一節輪115aとが、第二回動ピン115qによって、長手方向AおよびUD方向に対して垂直な左右方向(「LR方向」ともいう)に回動可能に連結されている。
【0031】
第一節輪115aと第二節輪115bとが第一回動ピン115pと第二回動ピン115qによって交互に連結されており、湾曲部112は所望の方向に湾曲自在である。
【0032】
図6は、
図4および
図5のC1-C1線に沿う湾曲部112の断面図である。
第二節輪115bの内周面には、上ワイヤガイド115uと、下ワイヤガイド115dと、が形成されている。上ワイヤガイド115uと下ワイヤガイド115dとは、長手方向Aの中心軸Oを挟んでUD方向の両側に配置されている。第一節輪115aの内周面には、左ワイヤガイド115lと、右ワイヤガイド115rと、が形成されている。左ワイヤガイド115lと右ワイヤガイド115rとは、長手方向Aの中心軸Oを挟んでLR方向の両側に配置されている。
【0033】
上ワイヤガイド115uと、下ワイヤガイド115dと、左ワイヤガイド115lと、右ワイヤガイド115rとには、湾曲ワイヤ160が挿通する貫通孔が長手方向Aに沿って形成されている。
【0034】
湾曲ワイヤ160は、湾曲部112を曲げるワイヤである。湾曲ワイヤ160は、内部経路101を通って着脱部150まで延びている。湾曲ワイヤ160は、
図4および
図6に示すように、上湾曲ワイヤ161uと、下湾曲ワイヤ161dと、左湾曲ワイヤ161lと、右湾曲ワイヤ161rと、4本のワイヤシース161sと、を有する。
【0035】
上湾曲ワイヤ161uと、下湾曲ワイヤ161dと、左湾曲ワイヤ161lと、右湾曲ワイヤ161rとは、
図4に示すように、それぞれワイヤシース161sを挿通している。ワイヤシース161sの先端は、湾曲部112の基端の節輪115に取り付けられている。ワイヤシース161sは、着脱部150まで延びている。
【0036】
上湾曲ワイヤ161uおよび下湾曲ワイヤ161dは、湾曲部112をUD方向に曲げるワイヤである。上湾曲ワイヤ161uは、上ワイヤガイド115uを挿通している。下湾曲ワイヤ161dは、下ワイヤガイド115dを挿通している。
【0037】
上湾曲ワイヤ161uと下湾曲ワイヤ161dの先端は、
図4に示すように、湾曲部112の先端の先端部116に固定されている。先端部116に固定された上湾曲ワイヤ161uと下湾曲ワイヤ161dの先端は、長手方向Aの中心軸Oを挟んでUD方向の両側に配置されている。
【0038】
左湾曲ワイヤ161lおよび右湾曲ワイヤ161rは、湾曲部112をLR方向に曲げるワイヤである。左湾曲ワイヤ161lは、左ワイヤガイド115lを挿通している。右湾曲ワイヤ161rは、右ワイヤガイド115rを挿通している。
【0039】
左湾曲ワイヤ161lと右湾曲ワイヤ161rの先端は、
図4に示すように、湾曲部112の先端部116に固定されている。先端部116に固定された左湾曲ワイヤ161lと右湾曲ワイヤ161rの先端は、長手方向Aの中心軸Oを挟んでLR方向の両側に配置されている。
【0040】
湾曲部112は、湾曲ワイヤ160(上湾曲ワイヤ161u,下湾曲ワイヤ161d,左湾曲ワイヤ161l,右湾曲ワイヤ161r)をそれぞれ牽引または弛緩することによって、所望の方向に湾曲自在である。
【0041】
図6に示すように、湾曲部112の内部に形成された内部経路101には、湾曲ワイヤ160と、チャンネルチューブ171と、撮像ケーブル173と、ライトガイド174とが挿通している。
【0042】
体内軟性部119は、長尺で可撓性を有する管状部材である。体内軟性部119に形成された内部経路101には、湾曲ワイヤ160と、チャンネルチューブ171と、撮像ケーブル173と、ライトガイド174とが挿通している。
【0043】
[連結部120]
連結部120は、
図1に示すように、挿入部110の体内軟性部119と体外軟性部140とを連結する部材である。連結部120は、処置具400を挿入する挿入口である鉗子口126を備える。
【0044】
[体外軟性部140]
体外軟性部140は、長尺な管状部材である。体外軟性部140の内部に形成された内部経路101には、湾曲ワイヤ160と、撮像ケーブル173と、ライトガイド174と、送気吸引チューブ172(
図10参照)とが挿通している。
【0045】
[着脱部150]
着脱部150は、
図1に示すように、駆動装置200に装着される第一着脱部1501と、映像制御装置500に装着される第二着脱部1502と、を備える。なお、第一着脱部1501と第二着脱部1502とは、一体の着脱部であってもよい。
【0046】
体外軟性部140の内部に形成された内部経路101は、第一着脱部1501と第二着脱部1502に分岐する。湾曲ワイヤ160および送気吸引チューブ172は、第一着脱部1501を挿通する。撮像ケーブル173およびライトガイド174は、第二着脱部1502を挿通する。
【0047】
図7は、駆動装置200に装着前の第一着脱部1501を示す図である。
第一着脱部1501は、上下湾曲ワイヤ着脱部151と、左右湾曲ワイヤ着脱部152と、を有する。
【0048】
上下湾曲ワイヤ着脱部151は、湾曲部112をUD方向に曲げるワイヤ(上湾曲ワイヤ161uおよび下湾曲ワイヤ161d)を駆動装置200に着脱自在に連結する機構である。
【0049】
左右湾曲ワイヤ着脱部152は、湾曲部112をLR方向に曲げるワイヤ(左湾曲ワイヤ161lおよび右湾曲ワイヤ161r)を駆動装置200に着脱自在に連結する機構である。
【0050】
左右湾曲ワイヤ着脱部152は、上下湾曲ワイヤ着脱部151と同等の構造であるため、図示および説明を省略する。
【0051】
図8は、駆動装置200に装着前の上下湾曲ワイヤ着脱部151を示す図である。
図9は、駆動装置200に装着された上下湾曲ワイヤ着脱部151を示す図である。上下湾曲ワイヤ着脱部151は、支持部材155と、第一回転ドラム156と、第二回転ドラム157と、張力センサ159と、を有する。
【0052】
支持部材155は、第一回転ドラム156、第二回転ドラム157、および連結部材158を支持する。支持部材155は、上下湾曲ワイヤ着脱部151の基端側に露出する着脱検知用ドグ155aと、複数のベンドプーリ155pと、を有する。
【0053】
ベンドプーリ155pは、体外軟性部140を挿通する上湾曲ワイヤ161uの搬送方向を変更して、上湾曲ワイヤ161uを第一回転ドラム156まで案内する。また、ベンドプーリ155pは、体外軟性部140を挿通する下湾曲ワイヤ161dの搬送方向を変更して、下湾曲ワイヤ161dを第二回転ドラム157まで案内する。
【0054】
第一回転ドラム156は、長手方向Aに沿って延びる第一ドラム回転軸156rを中心に回動可能に支持部材155に支持されている。第一回転ドラム156は、第一巻取プーリ156aと、第一カップリング部156cと、を有する。
【0055】
第一巻取プーリ156aは、第一ドラム回転軸156rを中心に回動することにより上湾曲ワイヤ161uを牽引または送出する。先端側から基端側に向かって見て第一巻取プーリ156aが時計回りに回転することにより、上湾曲ワイヤ161uは第一巻取プーリ156aに巻き付けられて牽引される。逆に、第一巻取プーリ156aが反時計回りに回転することにより、上湾曲ワイヤ161uは第一巻取プーリ156aから送り出される。この構成によって、上湾曲ワイヤ161uの進退量が多くても、牽引された部分はコンパクトに格納されて場所を取らない。
【0056】
第一カップリング部156cは、第一ドラム回転軸156rを中心に回動する円板部材である。第一カップリング部156cは、第一巻取プーリ156aの基端に固定されており、第一巻取プーリ156aと一体に回動する。第一カップリング部156cは、上下湾曲ワイヤ着脱部151の基端側に露出している。第一カップリング部156cの基端側の面には、二個の第一嵌合凸部156dが形成されている。二個の第一嵌合凸部156dは、第一ドラム回転軸156rを挟んで両側に形成されている。
【0057】
第二回転ドラム157は、長手方向Aに沿って延びる第二ドラム回転軸157rを中心に回動可能に支持部材155に支持されている。第二回転ドラム157は、第二巻取プーリ157aと、第二カップリング部157cと、を有する。
【0058】
第二巻取プーリ157aは、第二ドラム回転軸157rを中心に回動することにより下湾曲ワイヤ161dを牽引または送出する。先端側から基端側に向かって見て第二巻取プーリ157aが反時計回りに回転することにより、下湾曲ワイヤ161dは第二巻取プーリ157aに巻き付けられて牽引される。逆に、第二巻取プーリ157aが時計回りに回転することにより、下湾曲ワイヤ161dは第二巻取プーリ157aから送り出される。
【0059】
第二カップリング部157cは、第二ドラム回転軸157rを中心に回動する円板部材である。第二カップリング部157cは、第二巻取プーリ157aの基端に固定されており、第二巻取プーリ157aと一体に回動する。第二カップリング部157cは、上下湾曲ワイヤ着脱部151の基端側に露出している。第二カップリング部157cの基端側の面には、二個の第二嵌合凸部157dが形成されている。二個の第二嵌合凸部157dは、第二ドラム回転軸157rを挟んで両側に形成されている。
【0060】
張力センサ159は、上湾曲ワイヤ161uおよび下湾曲ワイヤ161dの張力を検出する。張力センサ159の検出結果は、駆動コントローラ260によって取得される。
【0061】
[駆動装置200]
図10は、駆動装置200の機能ブロック図である。
駆動装置200は、アダプタ210と、操作受信部220と、送気吸引駆動部230と、ワイヤ駆動部(アクチュエータ)250と、駆動コントローラ260と、を備える。
【0062】
アダプタ210は、
図7に示すように、第一アダプタ211と、第二アダプタ212と、を有する。第一アダプタ211は、操作ケーブル301が着脱可能に接続されるアダプタである。第二アダプタ212は、内視鏡100の第一着脱部1501が着脱可能に接続されるアダプタである。
【0063】
操作受信部220は、操作ケーブル301を経由して操作装置300から操作入力を受信する。操作装置300と駆動装置200とが有線通信ではなく無線通信により通信を行う場合、操作受信部220は公知の無線受信用モジュールを有する。
【0064】
送気吸引駆動部230は、内視鏡100の内部経路101に挿入された送気吸引チューブ172と接続される。送気吸引駆動部230は、ポンプ等を備えており、送気吸引チューブ172に空気を送気する。また、送気吸引駆動部230は、送気吸引チューブ172から空気を吸引する。
【0065】
ワイヤ駆動部(アクチュエータ)250は、上下湾曲ワイヤ着脱部151および左右湾曲ワイヤ着脱部152とカップリングして湾曲ワイヤ160を駆動する。
【0066】
ワイヤ駆動部250は、
図7に示すように、上下湾曲ワイヤ駆動部(第一アクチュエータ)251と、左右湾曲ワイヤ駆動部(第二アクチュエータ)252と、を有する。
【0067】
上下湾曲ワイヤ駆動部251は、上下湾曲ワイヤ着脱部151とカップリングして、湾曲部112をUD方向に曲げるワイヤ(上湾曲ワイヤ161uおよび下湾曲ワイヤ161d)を駆動する機構である。
【0068】
左右湾曲ワイヤ駆動部252は、左右湾曲ワイヤ着脱部152とカップリングして、湾曲部112をLR方向に曲げるワイヤ(左湾曲ワイヤ161lおよび右湾曲ワイヤ161r)を駆動する機構である。
【0069】
左右湾曲ワイヤ駆動部252は、上下湾曲ワイヤ駆動部251と同等の構造であるため、図示および説明を省略する。
【0070】
上下湾曲ワイヤ駆動部251は、
図8に示すように、支持部材255と、上湾曲ワイヤ駆動部256と、下湾曲ワイヤ駆動部257と、着脱センサ259と、を有する。
【0071】
上湾曲ワイヤ駆動部256は、上下湾曲ワイヤ着脱部151の第一回転ドラム156とカップリングして、上湾曲ワイヤ161uを駆動する。上湾曲ワイヤ駆動部256は、第一シャフト256aと、第一モータ部256bと、第一被カップリング部256cと、第一トルクセンサ256eと、第一弾性部材256sと、を有する。
【0072】
第一シャフト256aは、第一シャフト回転軸256rを中心に回動可能かつ長手方向Aに進退可能に支持部材255に支持されている。内視鏡100の第一着脱部1501が駆動装置200に装着されたとき、第一シャフト回転軸256rは、第一ドラム回転軸156rと一致する。
【0073】
第一モータ部256bは、DCモータなどの第一モータと、第一モータを駆動する第一モータドライバと、第一モータエンコーダと、を有する。第一モータは、第一シャフト256aを第一シャフト回転軸256rを中心に回転させる。第一モータドライバは、駆動コントローラ260によって制御される。
【0074】
第一被カップリング部256cは、第一シャフト回転軸256rを中心に回動する円板部材である。第一被カップリング部256cは、第一シャフト256aの先端に固定されており、第一シャフト256aと一体に回動する。
図8に示すように、第一被カップリング部256cは、上下湾曲ワイヤ駆動部251の先端側に露出している。第一被カップリング部256cの先端側の面には、二個の第一嵌合凹部256dが形成されている。二個の第一嵌合凹部256dは、第一シャフト回転軸256rを挟んで両側に形成されている。
【0075】
図9に示すように、第一嵌合凸部156dと第一嵌合凹部256dとが嵌合して、第一カップリング部156cと第一被カップリング部256cとがカップリングする。その結果、第一モータ部256bによる第一シャフト256aの回転が第一回転ドラム156に伝達される。先端側から基端側に向かって見て第一シャフト256aが時計回りに回転することにより、上湾曲ワイヤ161uは牽引される。逆に、第一シャフト256aが反時計回りに回転することにより、上湾曲ワイヤ161uは送出される。
【0076】
第一トルクセンサ256eは、第一シャフト256aの第一シャフト回転軸256rを中心とした回転トルクを検出する。第一トルクセンサ256eの検出結果は、駆動コントローラ260によって取得される。
【0077】
第一弾性部材256sは、例えば圧縮バネであり、先端部が第一被カップリング部256c、基端部が支持部材255に接触している。第一弾性部材256sは、第一被カップリング部256cを先端側A1に付勢する。
図9に示すように、第一カップリング部156cが装着されると、第一被カップリング部256cは、第一シャフト256aとともに基端側A2に移動する。
【0078】
下湾曲ワイヤ駆動部257は、上下湾曲ワイヤ着脱部151の第二回転ドラム157とカップリングして、下湾曲ワイヤ161dを駆動する。下湾曲ワイヤ駆動部257は、第二シャフト257aと、第二モータ部257bと、第二被カップリング部257cと、第二トルクセンサ257eと、第二弾性部材257sと、を有する。
【0079】
第二シャフト257aは、第二シャフト回転軸257rを中心に回動可能かつ長手方向Aに進退可能に支持部材255に支持されている。内視鏡100の第一着脱部1501が駆動装置200に装着されたとき、第二シャフト回転軸257rは、第二ドラム回転軸157rと一致する。
【0080】
第二モータ部257bは、DCモータなどの第二モータと、第二モータを駆動する第二モータドライバと、第二モータエンコーダと、を有する。第二モータは、第二シャフト257aを第二シャフト回転軸257rを中心に回転させる。第二モータドライバは、駆動コントローラ260によって制御される。
【0081】
第二被カップリング部257cは、第二シャフト回転軸257rを中心に回動する円板部材である。第二被カップリング部257cは、第二シャフト257aの先端に固定されており、第二シャフト257aと一体に回動する。
図8に示すように、第二被カップリング部257cは、上下湾曲ワイヤ駆動部251の先端側に露出している。第二被カップリング部257cの先端側の面には、二個の第二嵌合凹部257dが形成されている。二個の第二嵌合凹部257dは、第二シャフト回転軸257rを挟んで両側に形成されている。
【0082】
図9に示すように、第二嵌合凸部157dと第二嵌合凹部257dとが嵌合して、第二カップリング部157cと第二被カップリング部257cとがカップリングする。その結果、第二モータ部257bによる第二シャフト257aの回転が第二回転ドラム157に伝達される。先端側から基端側に向かって見て第二シャフト257aが反時計回りに回転することにより、下湾曲ワイヤ161dは牽引される。逆に、第二シャフト257aが時計回りに回転することにより、下湾曲ワイヤ161dは送出される。
【0083】
第二トルクセンサ257eは、第二シャフト257aの第二シャフト回転軸257rを中心とした回転トルクを検出する。第二トルクセンサ257eの検出結果は、駆動コントローラ260によって取得される。
【0084】
第二弾性部材257sは、例えば圧縮バネであり、先端部が第二被カップリング部257c、基端部が支持部材255に接触している。第二弾性部材257sは、第二被カップリング部257cを先端側A1に付勢する。
図9に示すように、第二カップリング部157cが装着されると、第二被カップリング部257cは、第二シャフト257aとともに基端側A2に移動する。
【0085】
着脱センサ259は、
図9に示すように、着脱検知用ドグ155aとの係合および非係合を検出することにより、上下湾曲ワイヤ着脱部151の上下湾曲ワイヤ駆動部251への着脱を検出する。着脱センサ259の検出結果は、駆動コントローラ260によって取得される。
【0086】
上記の仕組みにより、上下湾曲ワイヤ着脱部151が上下湾曲ワイヤ駆動部251に装着されると、上湾曲ワイヤ駆動部256が上湾曲ワイヤ161uを独立して駆動でき、下湾曲ワイヤ駆動部257が下湾曲ワイヤ161dを独立して駆動できる。そのため、内視鏡100の湾曲部112から駆動装置200までの距離が従来の軟性内視鏡と比較して長い場合であっても、湾曲部112の湾曲操作を高精度に制御できる。
【0087】
駆動コントローラ260は、駆動装置200の全体を制御する。駆動コントローラ260は、操作受信部220が受信した操作入力を取得する。駆動コントローラ260は、取得した操作入力に基づいて、送気吸引駆動部230およびワイヤ駆動部250を制御する。
【0088】
駆動コントローラ260は、プロセッサ261と、メモリ262と、プログラムおよびデータを記憶可能な記憶部263と、入出力制御部264と、を備えたプログラム実行可能なコンピュータである。駆動コントローラ260の機能は、プログラムをプロセッサが実行することにより実現される。駆動コントローラ260の少なくとも一部の機能は、専用の論理回路によって実現されていてもよい。
【0089】
駆動コントローラ260は、複数の湾曲ワイヤ160を駆動する複数のモータを高精度に制御するため、高い演算性能を備えていることが望ましい。
【0090】
なお、駆動コントローラ260は、プロセッサ261、メモリ262、記憶部263、および入出力制御部264以外の構成をさらに有してもよい。例えば、駆動コントローラ260は、画像処理や画像認識処理の一部もしくは全部を行う画像演算部をさらに有してもよい。画像演算部をさらに有することで、駆動コントローラ260は、特定の画像処理や画像認識処理を高速に実行できる。画像演算部は通信回線で接続される別体のハードウェア装置に搭載されていてもよい。
【0091】
[操作装置300]
図11は、操作装置300の斜視図である。
操作装置300は、内視鏡100を駆動するための操作が入力される装置である。入力された操作入力は、操作ケーブル301を経由して駆動装置200に送信される。操作装置300は、有線通信ではなく無線通信により駆動装置200と通信可能であってもよい。
【0092】
操作装置300は、操作部本体310と、送気ボタンと、吸引ボタンと、各種ボタン352と、タッチパッド380と、タッチセンサ381と、を備える。
【0093】
操作部本体310は、術者Sが左手Lで保持可能な略棒状に形成されている。操作部本体310は、上方に設けられたタッチパッド支持部314と、下方に設けられた把持部316と、後方に設けられたハンドル317と、を有する。術者Sは、
図11に示すように、左手Lにより把持部316を把持しながら、左手Lの親指FTによりタッチパッド380を操作できる。
【0094】
タッチパッド380は、湾曲部112に対する湾曲操作等が入力されるタッチセンシティブインターフェースである。タッチパッド380は、タッチパネルであってもよい。
【0095】
[映像制御装置500]
図12は、映像制御装置500の機能ブロック図である。
映像制御装置500は、電動内視鏡システム1000を制御する。映像制御装置500は、第三アダプタ510と、撮像処理部520と、光源部530と、メインコントローラ560と、を備える。
【0096】
第三アダプタ510は、内視鏡100の第二着脱部1502が着脱可能に接続されるアダプタである。
【0097】
撮像処理部520は、撮像ケーブル173を経由して先端部111の撮像部111cから取得された撮像信号を撮像画像に変換する。
【0098】
光源部530は、撮像対象に照射される照明光を発生させる。光源部530が発生させた照明光は、ライトガイド174を経由して先端部111の照明部111bに導かれる。
【0099】
メインコントローラ560は、プロセッサ561とメモリ562と、プログラムおよびデータを記憶可能な記憶部563と、入出力制御部564と、を備えたプログラム実行可能なコンピュータである。メインコントローラ560の機能はプログラムをプロセッサ561が実行することにより実現される。メインコントローラ560の少なくとも一部の機能は、専用の論理回路によって実現されていてもよい。
【0100】
メインコントローラ560は、プロセッサ561と、プログラムを読み込み可能なメモリ562と、記憶部563と、入出力制御部564と、を有する。
【0101】
記憶部563は、上述したプログラムや必要なデータを記憶する不揮発性の記録媒体である。記憶部563は、例えばROMやハードディスク等で構成される。記憶部563に記録されたプログラムは、メモリ562に読み込まれ、プロセッサ561によって実行される。
【0102】
入出力制御部564は、撮像処理部520、光源部530、駆動装置200、表示装置900、入力装置(不図示)、およびネットワーク機器(不図示)と接続されている。入出力制御部564は、プロセッサ561の制御に基づき、接続される機器に対するデータの送受信や制御信号の送受信を実施する。
【0103】
メインコントローラ560は、撮像処理部520が取得した撮像画像に対して画像処理を実施できる。メインコントローラ560は、術者Sに対する情報提供を目的とするGUI画像やCG画像を生成できる。メインコントローラ560は、撮像画像やGUI画像やCG画像を表示装置900に表示させることができる。
【0104】
メインコントローラ560は、一体となったハードウェア装置に限られない。例えば、メインコントローラ560は、一部が別体のハードウェア装置として分離した上で、分離したハードウェア装置を通信回線で接続することで構成してもよい。例えば、メインコントローラ560は、分離された記憶部563を通信回線で接続するクラウドシステムであってもよい。
【0105】
メインコントローラ560は、
図12に示すプロセッサ561、メモリ562、記憶部563、および入出力制御部564以外の構成をさらに有してもよい。例えば、メインコントローラ560は、プロセッサ561が行っていた画像処理や画像認識処理の一部もしくは全部を行う画像演算部をさらに有してもよい。画像演算部をさらに有することで、メインコントローラ560は、特定の画像処理や画像認識処理を高速に実行できる。画像演算部は通信回線で接続される別体のハードウェア装置に搭載されていてもよい。
【0106】
[電動内視鏡システム1000の動作]
次に、本実施形態の電動内視鏡システム1000の動作について説明する。具体的には、大腸内の管壁に形成された患部を電動内視鏡システム1000を用いて観察および処置する手技について説明する。
【0107】
以降、
図13に示す制御装置600の駆動コントローラ260の制御フローチャートに沿って説明を行う。制御装置600が起動されると、駆動コントローラ260は初期化を実施した後に湾曲ワイヤ160の湾曲駆動制御を開始する(ステップS100)。次に、駆動コントローラ260(主としてプロセッサ261)はステップS110を実行する。
【0108】
図14は、大腸内に挿入された挿入部110を示す図である。
術者Sは、内視鏡100の挿入部110を患者Pの肛門から大腸内に挿入する。術者Sは、表示装置900に表示された撮像画像を観察しながら、体内軟性部119を右手Rで操作しながら、挿入部110を移動させて、先端部111を患部に近付ける。また、術者Sは、操作装置300を左手Lで操作して、湾曲部112に対する湾曲操作を入力する。
【0109】
<ステップS110>
駆動コントローラ260は、ステップS110において、操作装置300のタッチパッド380に入力された湾曲部112に対する湾曲操作を取得する。
【0110】
<ステップS120>
駆動コントローラ260は、ステップS120において、湾曲ワイヤ160の牽引量をを取得する。駆動コントローラ260は、第一モータ部256bの第一モータエンコーダや第二モータ部257bの第二モータエンコーダなどからシャフト回転軸(駆動軸)における回転量(駆動量)に基づいて湾曲ワイヤ160の牽引量を取得する。なお、駆動コントローラ260は、湾曲ワイヤ160の駆動履歴から湾曲ワイヤ160の牽引量を算出することにより、湾曲ワイヤ160の牽引量を取得してもよい。駆動コントローラ260は、次にステップS130を実行する。
【0111】
<ステップS130>
図15は、湾曲ワイヤ160の牽引量制限値MAおよび張力制限値MTを示すグラフである。駆動コントローラ260は、ステップS130において、取得した湾曲ワイヤ160の牽引量を基準として、受信した湾曲操作に基づいて湾曲ワイヤ160を駆動させた場合における湾曲ワイヤ160の牽引量を算出する。駆動コントローラ260は、受信した湾曲操作に基づいて湾曲ワイヤ160を駆動させた場合における湾曲ワイヤ160の牽引量と、所定の牽引量制限値MAとを比較する。
【0112】
「牽引量制限値MA」とは、軟性部(挿入部110と体外軟性部140を含む部分)の湾曲形状がどのような形状であっても、湾曲ワイヤ160を牽引できる牽引量の最大値である。「牽引量制限値MA」とは、例えば湾曲部112の湾曲角度の最大値に相当する値である。「牽引量制限値MA」は、例えば湾曲部112の節輪(湾曲駒)115の耐久性を考慮し、節輪(湾曲駒)115が変形しない牽引量の限度に相当する値とすることもできる。
【0113】
受信した湾曲操作に基づいて湾曲ワイヤ160を駆動させた場合における湾曲ワイヤ160の牽引量が牽引量制限値MAを超える場合、駆動コントローラ260は湾曲ワイヤ160を駆動せず、ステップS170を実行する。すなわち、駆動コントローラ260は、湾曲ワイヤ160の牽引量が牽引量制限値MAを超えないように湾曲ワイヤ160を駆動する。
【0114】
駆動コントローラ260は、湾曲ワイヤ160の牽引量と牽引量制限値MAとを比較することにより、湾曲部112の湾曲角度の最大値を超えて湾曲部112を湾曲させているかどうかを判定できる。湾曲部112が湾曲しすぎて、例えば節輪(湾曲駒)115が変形して、湾曲部112が故障してしまうことを防止できる。
【0115】
牽引量制限値MAは、湾曲部112の湾曲角度の最大値に相当する値となるように、湾曲ワイヤ160の牽引量に対して湾曲部112の湾曲角度が増加しやすい軟性部(挿入部110と体外軟性部140を含む部分)の形状において設定されることが望ましい。湾曲ワイヤ160の牽引量に対して湾曲部112の湾曲角度が増加しやすい軟性部の形状は、直線形状(第一の形状)である。
【0116】
湾曲操作に基づいて湾曲ワイヤ160を駆動させた場合における湾曲ワイヤ160の牽引量が牽引量制限値MAを超える場合、駆動コントローラ260は術者Sに対して湾曲ワイヤ160の駆動が制限されたことを示す第一の通知を実施してもよい。第一の通知は、例えば表示装置900への警告メッセージの表示などである。
【0117】
<ステップS140>
駆動コントローラ260は、ステップS140において、湾曲ワイヤ160の張力を張力センサ159から取得する。なお、駆動コントローラ260は、駆動装置200のトルクセンサ(第一トルクセンサ256e,第二トルクセンサ257e)から取得したトルクや、モータ部(第一モータ部256b,第二モータ部257b)のモータ電流値から湾曲ワイヤ160の張力を推定してもよい。駆動コントローラ260は、次にステップS150を実行する。
【0118】
<ステップS150>
駆動コントローラ260は、ステップS150において、取得した湾曲ワイヤ160の張力を基準として、受信した湾曲操作に基づいて湾曲ワイヤ160を駆動させた場合における湾曲ワイヤ160の張力を算出する。駆動コントローラ260は、受信した湾曲操作に基づいて湾曲ワイヤ160を駆動させた場合における湾曲ワイヤ160の張力と、張力制限値MTとを比較する。
【0119】
「張力制限値MT」とは、湾曲ワイヤ160の牽引量に基づいて決まる値である。「張力制限値MT」とは、先端部111に外力がかかっていない場合における湾曲ワイヤ160の張力より大きく、かつ、湾曲部112が破損する張力より小さい値である。
【0120】
張力制限値MTは、基本的に、湾曲ワイヤ160の牽引量が大きいほど増加する値である。張力制限値MTは、例えば、線形関数および二次関数や、牽引量に基づいて段階的に増加するステップ関数などである。
【0121】
例えば、張力制限値MTは、傾きaであり切片bである線形関数である。傾きaは、例えば式(1)に基づいて算出される。式(1)において、αは定数であり(α≧1)、Cは定数であり(C≧0)、Lは湾曲ワイヤ160が挿通する軟性部(挿入部110と体外軟性部140を含む部分)の長さであり、EAは軟性部を挿通する湾曲ワイヤ160の剛性である。
【0122】
傾きaは、無負荷時における牽引量あたりの張力変化kを基準に設定される。張力変化kは、EAに比例し、Lに反比例する。湾曲ワイヤ160の牽引量が大きくなるほど、湾曲ワイヤ160の張力は大きくなりばらつきも大きくなる。そのため、傾きaの算出において定数αおよび定数Cを設けて傾きaが張力変化kよりも大きくなるように調整する。これにより牽引量が大きくなるに伴い発生しやすいばらつきを許容できる。
【0123】
【0124】
傾きaおよび切片bは、軟性部(挿入部110と体外軟性部140を含む部分)の形状を考慮して、式(2)に基づいて算出されてもよい。式(2)において、Dは定数であり(D≧0)、μは湾曲ワイヤ160とワイヤシース161sとの間の摩擦係数であり、θは軟性部の総湾曲角度である。αはθの増加関数である。
【0125】
軟性部が湾曲していると無負荷時における牽引量あたりの張力変化kが増加する。そのため、軟性部の総湾曲角度θに応じてαを増加させる。切片bは湾曲部112が破損しない範囲の張力に基づいて設定される。軟性部が湾曲していると湾曲部112への力の伝達率が低下するが、その分張力制限値MTが引き上がる。
【0126】
【0127】
受信した湾曲操作に基づいて湾曲ワイヤ160を駆動させた場合における湾曲ワイヤ160の張力が張力制限値MTを超える場合、駆動コントローラ260は湾曲ワイヤ160を駆動せず、ステップS170を実行する。すなわち、駆動コントローラ260は、湾曲ワイヤ160の張力が張力制限値MTを超えないように湾曲ワイヤ160を駆動する。
【0128】
駆動コントローラ260は、湾曲ワイヤ160の張力と張力制限値MTとを比較することにより、湾曲部112の湾曲駆動以外の要因(例えば、先端部111に外力がかかっている)により湾曲ワイヤ160の張力が増加しているかどうかを判定できる。
【0129】
張力制限値MTは、湾曲ワイヤ160の牽引量に対して湾曲ワイヤ160の張力が増加しやすい軟性部(挿入部110と体外軟性部140を含む部分)の形状において設定されることが望ましい。湾曲ワイヤ160の牽引量に対して湾曲ワイヤ160の張力が増加しやすい軟性部の形状は、例えば軟性部が90度以上曲がった形状などの湾曲形状(第二の形状)である。
【0130】
湾曲操作に基づいて湾曲ワイヤ160を駆動させた場合における湾曲ワイヤ160の張力が張力制限値MTを超える場合、駆動コントローラ260は術者Sに対して湾曲ワイヤ160の駆動が制限されたことを示す第二の通知を実施してもよい。第二の通知は、例えば表示装置900への警告メッセージの表示などである。術者は、通知が第一の通知であるか第二の通知であるかを区別することにより、湾曲ワイヤ160の駆動が制限された原因を区別できる。
【0131】
<ステップS160>
駆動コントローラ260は、ステップS160において、受信した湾曲操作に基づいて湾曲ワイヤ160を駆動する。
【0132】
<ステップS170>
駆動コントローラ260は、ステップS170において、湾曲駆動制御の終了判定を実施する。駆動コントローラ260は、湾曲駆動制御を終了しないと判断した場合、ステップS110を実行する。駆動コントローラ260は、湾曲駆動制御を終了すると判断した場合、ステップS180を実行して、湾曲駆動制御を終了する。
【0133】
上記の湾曲駆動制御は、4本の湾曲ワイヤ160(上湾曲ワイヤ161u,下湾曲ワイヤ161d,左湾曲ワイヤ161l,右湾曲ワイヤ161r)それぞれに対して実施される。
【0134】
なお、上記の湾曲駆動制御は、メインコントローラ560(主としてプロセッサ561)がワイヤ駆動部(アクチュエータ)250を制御することにより実施されてもよい。
【0135】
本実施形態に係る電動内視鏡システム1000によれば、湾曲部112の湾曲駆動を所定の範囲に制限しつつ、湾曲部112の最大湾曲角度が減少しにくい。湾曲ワイヤ160の牽引量と牽引量制限値MAとの比較を実施することにより、湾曲部112が湾曲角度の最大値を超えて湾曲することを確実に防止できる。また、湾曲ワイヤ160の牽引量に応じた張力制限値MTと湾曲ワイヤ160の張力との比較により、先端部111に外力がかからない範囲で湾曲部112を湾曲させることができ、湾曲部112の最大湾曲角度が減少しにくい。
【0136】
以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0137】
(変形例1)
図16は、張力制限値MTの変形例を示すグラフである。
湾曲ワイヤ160の牽引量が閾値Th以下のとき、張力制限値MTは一定であってもよい。湾曲ワイヤ160の牽引量が閾値Thより大きいとき、張力制限値MTは牽引量が大きいほど増加する。実際の手技においては、術者Sは意図的に湾曲部112で管腔を押すことがある。そのため、湾曲角度が小さい範囲(牽引量が小さい範囲)において、ある程度の負荷を湾曲部112に対してかけられるように、張力制限値MTに下限を設けてもよい。
【0138】
(変形例2)
図17は、牽引量制限値MAの変形例を示すグラフである。
牽引量制限値MAは、所定の固定値に限定されない。牽引量制限値MAは、湾曲ワイヤ160の張力に基づいて決まる値であってもよい。
図17に示す牽引量制限値MAは、張力が大きいほど増加する線形関数等である。
【0139】
各実施形態におけるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明は、管腔器官内等を観察および処置する医療システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0141】
1000 電動内視鏡システム(医療用マニピュレータシステム)
100 内視鏡(医療用マニピュレータ)
110 挿入部
111 先端部
112 湾曲部
118 アウターシース
119 体内軟性部
120 連結部
126 鉗子口
140 体外軟性部
150 着脱部
151 第一上下湾曲ワイヤ着脱部
152 第一左右湾曲ワイヤ着脱部
153 第二上下湾曲ワイヤ着脱部
154 第二左右湾曲ワイヤ着脱部
159 張力センサ
160 湾曲ワイヤ
161 第一湾曲ワイヤ
161d 下湾曲ワイヤ(第一下湾曲ワイヤ)
161l 左湾曲ワイヤ(第一左湾曲ワイヤ)
161r 右湾曲ワイヤ(第一右湾曲ワイヤ)
161u 上湾曲ワイヤ(第一上湾曲ワイヤ)
200 駆動装置
250 ワイヤ駆動部(アクチュエータ)
251 上下湾曲ワイヤ駆動部(第一上下湾曲ワイヤ駆動部、第一アクチュエータ)
252 左右湾曲ワイヤ駆動部(第一左右湾曲ワイヤ駆動部、第二アクチュエータ)
253 第二上下湾曲ワイヤ駆動部
254 第二左右湾曲ワイヤ駆動部
256 上湾曲ワイヤ駆動部
257 下湾曲ワイヤ駆動部
260 駆動コントローラ
300 操作装置
500 映像制御装置
600 制御装置
900 表示装置