(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026047048
(43)【公開日】2026-03-13
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/41 20060101AFI20260305BHJP
【FI】
G01N21/41 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2025030515
(22)【出願日】2025-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2024147679
(32)【優先日】2024-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京科学大学
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶川 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】辻口 雅人
(72)【発明者】
【氏名】藤田 直樹
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA02
2G059BB04
2G059BB05
2G059CC09
2G059CC15
2G059EE04
2G059HH01
2G059HH02
2G059JJ12
2G059JJ19
(57)【要約】
【課題】装置全体を簡略化しつつ、光学設計の自由度を高めることができる、検出装置を提供する。
【解決手段】表面プラズモン共鳴を利用した検出装置1であって、光源2と、光入射面5a、底面5b、及び光出射面5cを有する光学プリズム5と、光学プリズム5の底面5bに設けられており、光源2から出射され光入射面5aに入射した光を、光出射面5c側に反射させる金属薄膜6とを有する、センサ部3と、センサ部3の金属薄膜6で反射した光を検出する、検出器4とを備え、光学プリズム5は、屈折率ndが、1.8以上、4.0以下の材料により構成されており、光学プリズム5において、光入射面5aと光出射面5cとのなす角が、5°以上、170°以下であり、光入射面5aに入射する入射光の光軸X1と、光学プリズム5の底面5bとが、略垂直であり、光出射面5cから出射する出射光の光軸X2と、光学プリズム5の底面5bとが、略垂直である、検出装置1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面プラズモン共鳴を利用した検出装置であって、
光源と、
光入射面、底面、及び光出射面を有する光学プリズムと、前記光学プリズムの前記底面に設けられており、前記光源から出射され前記光入射面に入射した光を、前記光出射面側に反射させる金属薄膜とを有する、センサ部と、
前記センサ部の前記金属薄膜で反射した光を検出する、検出器と、
を備え、
前記光学プリズムは、屈折率ndが、1.8以上、4.0以下の材料により構成されており、
前記光学プリズムにおいて、前記光入射面と前記光出射面とのなす角が、5°以上、170°以下であり、
前記光入射面に入射する入射光の光軸と、前記光学プリズムの前記底面とが、略垂直であり、
前記光出射面から出射する出射光の光軸と、前記光学プリズムの前記底面とが、略垂直である、検出装置。
【請求項2】
前記光学プリズムを構成する前記ガラスの屈折率ndが、1.8以上、3.0以下である、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記光学プリズムにおいて、前記光入射面と前記光出射面とのなす角が、90°未満である、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記光学プリズムの断面形状が台形であり、
前記台形の一方側の斜辺に前記光入射面が配置されており、
前記台形の他方側の斜辺に前記光出射面が配置されている、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項5】
前記光源から出射される光の波長が、600nm以上、1500nm以下である、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項6】
屈折率感度が、1000nm/RIU以上、30000nm/RIU以下である、請求項1又は2に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面プラズモン共鳴を利用した検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面プラズモン共鳴を利用した検出装置が知られている。表面プラズモンの共鳴条件は、表面近傍の物質の有無や屈折率に敏感であるため、表面プラズモン共鳴を利用した検出装置は、高感度な物質の検出手段として用いることができる。例えば、表面プラズモンを利用した検出装置は、測定対象物の微小な屈折率変化を測定することができることから、屈折率センサや、バイオセンサ、化学センサ等の分野で利用されている。
【0003】
下記の特許文献1には、プリズムと、プリズムの下部に設けられ、底面に金属膜が取り付けられた平板と有する、センサ部を備える、検出装置が開示されている。特許文献1では、プリズムに入射した光を平板と金属膜との界面で全反射させることにより生じる表面プラズモン共鳴を利用して、金属膜の表面に配置される測定対象物の屈折率変化を測定し、例えば、免疫反応等の細胞内でのタンパク質の相互作用を測定することができる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、表面プラズモンを利用した検出装置では、通常、回転ステージ等を用いて入射角や反射角を精密に制御する機械的な機構が必要であることから、装置全体の簡略化や小型化が求められている。また、特許文献1のような検出装置では、装置全体を簡略化しつつ、光学設計の自由度を高めることが難しいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、装置全体を簡略化しつつ、光学設計の自由度を高めることができる、検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決する検出装置の各態様について説明する。
【0008】
本発明の態様1に係る検出装置は、表面プラズモン共鳴を利用した検出装置であって、光源と、光入射面、底面、及び光出射面を有する光学プリズムと、前記光学プリズムの前記底面に設けられており、前記光源から出射され前記光入射面に入射した光を、前記光出射面側に反射させる金属薄膜とを有する、センサ部と、前記センサ部の前記金属薄膜で反射した光を検出する、検出器とを備え、前記光学プリズムは、屈折率ndが、1.8以上、4.0以下の材料により構成されており、前記光学プリズムにおいて、前記光入射面と前記光出射面とのなす角が、5°以上、170°以下であり、前記光入射面に入射する入射光の光軸と、前記光学プリズムの前記底面とが、略垂直であり、前記光出射面から出射する出射光の光軸と、前記光学プリズムの前記底面とが、略垂直であることを特徴としている。なお、前記光学プリズムにおいて、前記光入射面とは、外部から前記光学プリズムに光が入射する側の面のことをいい、前記光出射面とは、前記光学プリズムから外部に光が出射する側の面のことをいうものとする。
【0009】
態様2に係る検出装置では、態様1において、前記光学プリズムを構成する前記ガラスの屈折率ndが、1.8以上、3.0以下であることが好ましい。
【0010】
態様3に係る検出装置では、態様1又は態様2の光学プリズムにおいて、前記光入射面と前記光出射面とのなす角が、90°未満であることが好ましい。
【0011】
態様4に係る検出装置では、態様1から態様3のいずれか一つの態様において、前記光学プリズムの断面形状が台形であり、前記台形の一方側の斜辺に前記光入射面が配置されており、前記台形の他方側の斜辺に前記光出射面が配置されていることが好ましい。
【0012】
態様5に係る検出装置では、態様1から態様4のいずれか一つの態様において、前記光源から出射される光の波長が、600nm以上、1500nm以下であることが好ましい。
【0013】
態様6に係る検出装置では、態様1から態様5のいずれか一つの態様において、屈折率感度が、1000nm/RIU以上、30000nm/RIU以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置全体を簡略化しつつ、光学設計の自由度を高めることができる、検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る検出装置を模式的に示す構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置を模式的に示す構成図である。
【
図3】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る検出装置を模式的に示す構成図である。
【
図4】
図4は、本発明の第4の実施形態に係る検出装置を模式的に示す構成図である。
【
図5】
図5は、本発明の第4の実施形態の変形例に係る検出装置を模式的に示す構成図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、表面プラズモン共鳴が生じる頂角αの求め方を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、光学プリズムに入射する光の波長λを633nmとし、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを1.5としたときに、式(4)及び式(5)をプロットしたグラフである。
【
図8】
図8は、光学プリズムに入射する光の波長λを633nmとし、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを1.86としたときに、式(4)及び式(5)をプロットしたグラフである。
【
図9】
図9は、光学プリズムに入射する光の波長λを633nmとし、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを2.0としたときに、式(4)及び式(5)をプロットしたグラフである。
【
図10】
図10は、光学プリズムに入射する光の波長λを633nmとし、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを2.5としたときに、式(4)及び式(5)をプロットしたグラフである。
【
図11】
図11は、光学プリズムに入射する光の波長λを633nmとし、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを3.0としたときに、式(4)及び式(5)をプロットしたグラフである。
【
図12】
図12は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを2.0とし、頂角αを30°としたときの入射光の波長と反射率との関係を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを2.0とし、頂角αを35°としたときの入射光の波長と反射率との関係を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを2.0としたときの頂角αと屈折率感度との関係を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを2.0としたときの頂角αと共鳴波長との関係を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを1.86としたときの頂角αと屈折率感度との関係を示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを1.86としたときの頂角αと共鳴波長との関係を示す図である。
【
図18】
図18は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを2.5としたときの頂角αと屈折率感度との関係を示す図である。
【
図19】
図19は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを2.5としたときの頂角αと共鳴波長との関係を示す図である。
【
図20】
図20は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを3.0としたときの頂角αと屈折率感度との関係を示す図である。
【
図21】
図21は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを3.0としたときの頂角αと共鳴波長との関係を示す図である。
【
図22】
図22は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを3.5としたときの頂角αと屈折率感度との関係を示す図である。
【
図23】
図23は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを3.5としたときの頂角αと共鳴波長との関係を示す図である。
【
図24】
図24は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを4.0としたときの頂角αと屈折率感度との関係を示す図である。
【
図25】
図25は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを4.0としたときの頂角αと共鳴波長との関係を示す図である。
【
図26】
図26は、実施例1において、水とエタノールとの混合液における、エタノール濃度と混合液の屈折率との関係を表す図である。
【
図27】
図27は、実施例2において、アミノヘキサデカンチオール水溶液をガラスプリズム底面の金薄膜の表面に曝露したときの、曝露時間(測定経過時間)と共鳴波長の変化を表す図である。
【
図28】
図28は、実施例3において、水とエタノールとの混合液における、エタノール濃度と混合液の屈折率との関係を表す図である。
【
図29】
図29は、実施例4において、アミノヘキサデカンチオール水溶液をガラスプリズム底面の金薄膜の表面に曝露したときの、曝露時間(測定経過時間)と共鳴波長の変化を表す図である。
【
図30】比較例の検出装置を模式的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
【0017】
[検出装置]
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る検出装置を模式的に示す構成図である。
【0018】
図1に示すように、検出装置1は、光源2と、センサ部3と、検出器4とを備える。また、センサ部3は、光学プリズム5と、金属薄膜6とを有する。
【0019】
光学プリズム5は、光入射面5aと、底面5bと、光出射面5cとを有する。本実施形態において、光学プリズム5の形状は、三角柱状であり、光学プリズム5の断面形状は、三角形である。特に、本実施形態において、光学プリズム5の断面形状は、二等辺三角形である。もっとも、光学プリズム5の形状は、特に限定されず、例えば、光学プリズム5の断面形状が、台形等(例えば、等脚台形)であってもよい。なお、金属薄膜6は、光学プリズム5の底面5b上に設けられている。なお、本実施形態のように、光学プリズム5の断面形状が二等辺三角形である場合、底辺の長さは、例えば、5mm~20mmとすることができ、高さは、5mm~100mmとすることができる。もっとも、光学プリズム5の寸法は、特に限定されず、検出装置1の用途や、使用する光の波長に応じて適宜決定することができる。
【0020】
検出装置1では、光源2から出射された光が、光学レンズでコリメートされ、偏光フィルタに入射する(
図1において、光学レンズ及び偏光フィルタは、図示を省略している)。偏光フィルタでは、光がs偏光成分とp偏光成分とに偏波分離され、そのうちp偏光(以下、単に光と称する場合がある)が、光学プリズム5側に出射する。光学プリズム5に到達した光は、光入射面5aで屈折し、底面5b側へ進行する。底面5bに到達した光は、金属薄膜6で反射し、光出射面5c側へ進行する。光出射面5cに到達した光は、光出射面5cで屈折し、光学レンズで集光され、検出器4側へ進行する。検出装置1では、このようにして、光が検出器4に到達し、検出される。
【0021】
本実施形態の検出装置1は、光学プリズム5の底面5bに到達した光が、金属薄膜6で全反射するように構成されている。このような検出装置1では、特定の入射共鳴角及び波長において、表面プラズモン共鳴(伝搬型表面プラズモン共鳴)が起こる。このとき、検出対象物10の屈折率変化や金属薄膜6の表面6aへの物質の吸着や脱離により共鳴波長が変化するため、その変化を測定したり、センシングしたりすることにより、検出対象物10における屈折率ndの変化、あるいは検出対象物10中に含まれる物質の検出やその物質における状態の変化を追うことができる。従って、検出装置1は、金属薄膜6の表面6aに検出対象物10を配置して用いることができ、例えば、屈折率センサや、バイオセンサ、化学センサ等の分野で利用することができる。
【0022】
本実施形態の検出装置1において、光学プリズム5は、屈折率ndが、1.8以上、4.0以下の材料により構成されている。また、検出装置1において、光学プリズム5の光入射面5aと光出射面5cとのなす角は、5°以上、170°以下である。なお、
図1に示すように、本実施形態では、光学プリズム5の断面形状が、三角形であるため、光入射面5aと光出射面5cとのなす角αは、三角形の頂角に相当する。
【0023】
なお、本実施形態において、光学プリズム5を構成するガラスの屈折率nCは、1.78以上、3.99以下であることが好ましい。また、光学プリズム5を構成するガラスの屈折率nCは、より好ましくは1.79以上、3.95以下である。
【0024】
検出装置1においては、光学プリズム5の光入射面5aに入射する入射光の光軸X1と、光学プリズム5の底面5bとが、略垂直である。また、光学プリズム5の光出射面5cから出射する出射光の光軸X2と、光学プリズム5の底面5bとが、略垂直である。なお、本実施形態において、略垂直とは、完全に垂直な場合だけでなく、±3.0°の誤差がある場合も含まれる意味で用いられるものとする。もっとも、光軸X1及び光軸X2と、光学プリズム5の底面5bとが、完全に垂直となるように設計されることが望ましい。
【0025】
本実施形態の検出装置1は、上記の全体の構成を備えるので、装置全体を簡略化しつつ、光学設計の自由度を高めることができる。
【0026】
より具体的には、本実施形態の検出装置1では、光源2及び検出器4と対向する位置に、センサ部3を設置するだけで、表面プラズモン共鳴を利用したセンシング等を行うことができる。従って、検出装置1では、例えば、回転ステージ等を用いて入射角や反射角を精密に制御する機械的な機構等を必要とせず、装置全体の簡略化や小型化を図ることができる。
【0027】
また、本実施形態の検出装置1では、光学プリズム5が、屈折率ndが、1.8以上、4.0以下の材料により構成されているので、光学プリズム5の底面5bに到達した光を、金属薄膜6で全反射させるように設計することができ、表面プラズモン共鳴を生じ易くすることができる。また、光学プリズム5を構成する材料の屈折率ndが大きいほど、光学プリズム5の光入射面5aと光出射面5cとのなす角αがより大きくなるように設計することができる。
【0028】
また、本実施形態の検出装置1では、光学プリズム5の光入射面5aと光出射面5cとのなす角αが、5°以上、170°以下であるので、検出装置1における屈折率感度を高めるように設計することができる。なお、上述したように、光学プリズム5を構成する材料の屈折率ndが大きいほど、光学プリズム5の光入射面5aと光出射面5cとのなす角αを大きくすることができる。
【0029】
また、本実施形態の検出装置1では、光学プリズム5の光入射面5aに入射する入射光の光軸X1と、光学プリズム5の底面5bとが、略垂直であるので、
図30の比較例の検出装置101のように、光軸X3と、光学プリズム105の底面105bとが平行に配置される場合のように、光軸X3が底面すれすれに配置される場合と比較して、例えば、光源2から出射される光のビーム径を大きくするなど、検出装置1における光学設計の自由度を高めることができる。
【0030】
従って、本実施形態の検出装置1によれば、装置全体を簡略化しつつ、光学設計の自由度を高めることができる。
【0031】
本実施形態において、光学プリズム5を構成する材料の屈折率ndは、1.8以上、好ましくは1.85以上、より好ましくは2.0以上であり、4.0以下、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下である。光学プリズム5を構成する材料の屈折率が上記下限値以上である場合、後述するディップ波長が長波長側にシフトするので、金属薄膜6による損失をより少なくすることができ、検出装置1の屈折率感度をより高めることができる。また、光学プリズム5を構成する材料の屈折率は、材料選択の幅をより広げられるという観点から、上記上限値以下とすることが好ましい。なお、屈折率ndは、周知のVブロック法を用いて測定することができる。具体的には、試料を30mm×30mm×5mmに切り出し、一端を直角研磨した後に、研磨面を鏡面仕上げし、当該試料に対して、精密屈折系KPR-2000(島津製作所社製)を用いて、Heランプのd線の屈折率を測定する。
【0032】
光学プリズム5の光入射面5aと光出射面5cとのなす角αは、5°以上、好ましくは10°以上、より好ましくは30°以上であり、170°以下、好ましくは130°以下、より好ましくは105°以下、さらに好ましくは90°未満、特に好ましくは80°以下である。光学プリズム5の光入射面5aと光出射面5cとのなす角αが上記下限値以上である場合、光学プリズム5の光入射面5aに入射する光の反射ロスをより一層低減することができる。また、光学プリズム5の低背化を図ることができる。光学プリズム5の光入射面5aと光出射面5cとのなす角αが上記上限値以下又は上記上限値未満である場合、光学プリズム5を構成する材料選択の幅をより一層広げることができる。
【0033】
光学プリズム5の光入射面5aと光出射面5cとのなす角αは、光学プリズム5を構成する材料の屈折率ndが1.8~2.5である場合は、5°以上、90°未満であることが好ましく、8°以上、80°以下であることがより好ましく、10°以上、76°以下であることがさらに好ましい。この場合、検出装置1における屈折率感度をより一層高めることができ、また使用する光の波長をより一層望ましい範囲に設計することができる。
【0034】
光学プリズム5の光入射面5aと光出射面5cとのなす角αは、光学プリズム5を構成する材料の屈折率ndが2.5~4.0である場合(ndは2.5より大きくてもよい)は、70°以上、170°以下であることが好ましく、80°以上、140°以下であることがより好ましく、90°以上、130°以下であることがさらに好ましい。この場合、検出装置1における屈折率感度をより一層高めることができ、また使用する光の波長をより一層望ましい範囲に設計することができる。
【0035】
本実施形態において、光源2から出射される光としては、例えば、可視光や近赤外光を用いることができる。なかでも、光源2から出射される光の波長は、好ましくは600nm以上、1500nm以下である。例えば、金属薄膜6がAuである場合には、光源2から出射される光の波長は、600nm以上、1200nm以下であることがより好ましい。また、例えば、金属薄膜6がAgである場合には、光源2から出射される光の波長は、400nm以上、1800nm以下であることがより好ましい。また、光源2から出射される光は、インコヒーレント光であってもよい。本実施形態の検出装置1では、光学プリズム5の光入射面5aに入射する入射光の光軸X1と、光学プリズム5の底面5bとが、略垂直であり、光学設計の自由度を高めることができるので、インコヒーレント光を利用した検出装置等にも好適に用いることができる。
【0036】
また、光源2から出射される光のビーム径は、特に限定されないが、例えば、0.01mm以上とすることができ、好ましくは1mm以上、好ましくは10mm以下である。
【0037】
光学プリズム5を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、屈折率ndが1.8以上、4.0以下であり、かつ波長600nm以上、1500nm以下の光に対して透過性を有する材料を用いることができる。光学プリズム5を構成する材料としては、例えば、ガラス、シリコン(Si)、リン化ガリウム(GaP)、ダイヤモンド等が挙げられる。ガラスとしては、例えば、TiO2、Ta2O5、Nb2O5及びLa2O3から選択される少なくとも一種を含有するガラスであることが好ましい。光学プリズム5を構成するガラスは、例えば、ガラスが質量%で、TiO2+Ta2O5+Nb2O5+La2O3 10%~90%を含有することが好ましい。
【0038】
以下、光学プリズム5を構成する材料がガラスである場合において、ガラス組成の好ましい範囲について理由を説明する。なお、各成分の範囲の説明において、特に断りのない限り、%表示は質量%を指す。
【0039】
TiO2、Ta2O5、Nb2O5及びLa2O3は、ガラスの屈折率を顕著に高める成分である。TiO2+Ta2O5+Nb2O5+La2O3の含有量(TiO2、Ta2O5、Nb2O5及びLa2O3の合量)は10%~90%であることが好ましい。詳細には、TiO2+Ta2O5+Nb2O5+La2O3の含有量の下限は10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、特に60%以上であることが好ましく、TiO2+Ta2O5+Nb2O5+La2O3の含有量の上限は90%以下、特に80%以下であることが好ましい。なお、TiO2、Ta2O5、Nb2O5及びLa2O3の各成分の好ましい含有量は以下の通りである。
【0040】
TiO2の含有量は0%~60%であることが好ましい。TiO2の含有量の下限は0%以上、1%以上、2%以上、5%以上、特に10%以上であることが好ましく、TiO2の含有量の上限は60%以下、50%以下、40%以下、特に30%以下であることが好ましい。TiO2の含有量が多すぎるとガラスが着色したり、耐失透性が低下し易くなる。
【0041】
Ta2O5の含有量は0%~60%であることが好ましい。Ta2O5の含有量の下限は0%以上、1%以上、2%以上、5%以上、特に10%以上であることが好ましく、Ta2O5の含有量の上限は60%以下、50%以下、40%以下、特に30%以下であることが好ましい。Ta2O5の含有量が多すぎると耐失透性が低下し易くなる。
【0042】
Nb2O5の含有量は0%~60%であることが好ましい。Nb2O5の含有量の下限は0%以上、1%以上、2%以上、5%以上、特に10%以上であることが好ましく、Nb2O5の含有量の上限は60%以下、50%以下、40%以下、特に30%以下であることが好ましい。Nb2O5の含有量が多すぎると、液相温度が急激に上昇し、液相粘度が低下して量産性が悪化する傾向にある。また、内部透過率が低下しやすくなる。
【0043】
La2O3の含有量は0%~60%であることが好ましい。La2O3の含有量の下限は0%以上、1%以上、2%以上、5%以上、特に10%以上であることが好ましく、La2O3の含有量の上限は60%以下、50%以下、40%以下、特に30%以下であることが好ましい。La2O3の含有量が多すぎると、液相粘度が低下して量産性が悪化する傾向にある。
【0044】
金属薄膜6の材料としては、例えば、Ag、Au、Cu等を用いることができる。金属薄膜6の厚みとしては、好ましくは30nm以上、より好ましくは45nm以上であり、好ましくは70nm以下、より好ましくは55nm以下である。金属薄膜6の厚みが、上記範囲内にある場合、表面プラズモンをより一層容易に励起させることができる。
【0045】
検出器4としては、例えば、CCDカメラ、フォトダイオード、光電子増倍管、分光装置とCCDカメラやフォトダイオードアレイ等を用いることができる。
【0046】
偏光フィルタとしては、例えば、プラスチックの偏光フィルムを用いることができる。なお、検出装置1において、偏光フィルタは、設けられていなくてもよい。
【0047】
光学レンズとしては、例えば、対物レンズを用いることができる。なお、検出装置1において、光学レンズは、設けられていなくてもよく、入射側の光学レンズ及び出射側の光学レンズのうち一方のみが設けられていてもよい。
【0048】
本実施形態の検出装置1の屈折率感度は、好ましくは1000nm/RIU以上、より好ましくは2000nm/RIU以上であり、好ましくは30000nm/RIU以下、より好ましくは20000nm/RIU以下である。なお、検出装置1の屈折率感度(Sn)は、検出対象物10の屈折率の変化に伴いディップ波長が変化したときに、ディップ波長の変化量(Δλ)を屈折率の変化量(Δn)で除することにより求めることができる(Sn=Δλ/Δn)。検出装置1の屈折率感度が上記範囲内にある場合、屈折率センサや、バイオセンサ、化学センサ等の用途において好適に利用することができる。
【0049】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置を模式的に示す構成図である。
【0050】
図2に示すように、検出装置21では、光学プリズム25の形状が、等脚台形を側面に有する六面体であり、その断面形状は等脚台形である。光学プリズム25の形状は、等脚台形を側面に有する六面体でなくても、四角錐台状でもよい。その場合、錐体の頂点を含む底面に垂直な面で切った断面の形状は、
図2に示す等脚台形となるようにする。なお、本実施形態のように、光学プリズム5の断面形状が台形である場合、底辺の長さは、例えば、5mm~20mmとすることができ、高さは、5mm~50mmとすることができる。
【0051】
検出装置21では、光学プリズム25の断面形状である台形において、台形の一方側の斜辺に光入射面25aが配置されており、台形の他方側の斜辺に前記光出射面25cが配置されている。より具体的には、光学プリズム25の六面体または四角錐台状において、対向している斜面の一方側の斜面が光入射面25aであり、他方側の斜面が光出射面25cである。検出装置21において、光入射面25aと光出射面25cとのなす角αは、光入射面25aの延びる方向における仮想線と、光出射面25cの延びる方向における仮想線とがなす角である。光入射面25aと光出射面25cとのなす角αは、光入射面25aの延びる方向における仮想線と、光出射面25cの延びる方向における仮想線とを結んでなる三角形の頂角に相当する。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
【0052】
第2の実施形態の検出装置21においても、光学プリズム25は、屈折率ndが、1.8以上、4.0以下の材料により構成されている。また、検出装置21においても、光学プリズム25の光入射面25aと光出射面25cとのなす角αが、5°以上、170°以下である。また、検出装置21においても、光学プリズム25の光入射面25aに入射する入射光の光軸X1と、光学プリズム25の底面25bとが、略垂直である。また、光学プリズム25の光出射面25cから出射する出射光の光軸X2と、光学プリズム25の底面25bとが、略垂直である。そのため、第2の実施形態の検出装置21においても、装置全体を簡略化しつつ、光学設計の自由度を高めることができる。
【0053】
第2の実施形態の検出装置21のように、光学プリズム25の形状が、六面体または四角錐台状であり、光学プリズム25の断面形状は等脚台形となる。この場合、光学プリズム25を低背化することができるので、検出装置21を小型化することができる。
【0054】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態に係る検出装置を模式的に示す構成図である。
【0055】
図3に示すように、検出装置31は、光源及び検出器が一体化されてなる光源/検出器40を備える。また、光源/検出器40と、光学プリズム25との間に、光学レンズ37及びスリット板38が設けられている。光学レンズ37としては、例えば、第1の実施形態で説明した光学レンズを用いることができる。スリット板38は、入射側スリット38a及び出射側スリット38bを有する。
【0056】
検出装置31では、光源/検出器40から出射された光が、光学レンズ37で平行光にされ、偏光フィルタに入射する(
図3において、偏光フィルタは、図示を省略している)。偏光フィルタでは、光がs偏光成分とp偏光成分とに偏波分離され、そのうちp偏光(以下、単に光と称する場合がある)が、スリット板38側に出射する。スリット板38に到達した光は、入射側スリット38aを通って、光学プリズム25側に出射する。光学プリズム25に到達した光は、光入射面25aで屈折し、底面25b側へ進行する。底面25bに到達した光は、金属薄膜6で反射し、光出射面25c側へ進行する。光出射面25cに到達した光は、光出射面25cで屈折し、スリット板38側に出射する。スリット板38に到達した光は、出射側スリット38bを通って、光学レンズ37側に出射する。光学レンズ37に到達した光は、光学レンズ37で集光され、光源/検出器40側へ進行する。検出装置31では、このようにして、光源/検出器40の検出器に光が到達し、検出される。その他の点は、第2の実施形態と同様である。
【0057】
第3の実施形態の検出装置31においても、光学プリズム25は、屈折率ndが、1.8以上、4.0以下の材料により構成されている。また、検出装置31においても、光学プリズム25の光入射面25aと光出射面25cとのなす角が、5°以上、170°以下である。また、検出装置31においても、光学プリズム25の光入射面25aに入射する入射光の光軸X1と、光学プリズム25の底面25bとが、略垂直である。また、光学プリズム25の光出射面25cから出射する出射光の光軸X2と、光学プリズム25の底面25bとが、略垂直である。そのため、第3の実施形態の検出装置31においても、装置全体を簡略化しつつ、光学設計の自由度を高めることができる。
【0058】
第3の実施形態のように、検出装置31が、光源及び検出器が一体化されてなる光源/検出器40を備えていてもよい。この場合、光源/検出器40から出射した光が、光源/検出器40に戻ってきて検出されるため、検出装置31全体をより簡略化することができ、また、検出装置31をより小型化することもできる。なお、検出装置31においては、光源/検出器40からリング状の光を出射させてもよい。また、光源/検出器40は、光源と検出器とがY型光ファイバーにより一体化されてなる構造であってもよい。具体的には、Y型光ファイバーの第1の端部に光源が接続され、第2の端部に検出器が接続された構造であってもよい。この場合、光源から出射された光は、光源及び検出器が接続されていない端部(第3の端部、Y字の下端部)から出射される。また、光学プリズム25の底面25bで反射された光はY型光ファイバーの第3の端部から入射し、検出器側へ進行する。
【0059】
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態に係る検出装置を模式的に示す構成図である。
【0060】
図4に示すように、検出装置41は、光源2を備える。光源2と、光学プリズム25との間に、光学レンズ43が設けられている。光学レンズ43としては、例えば、第1の実施形態で説明した光学レンズを用いることができる。また、光学プリズム25と、検出器4との間に、ミラー44及び光学レンズ45が設けられている。
【0061】
検出装置41では、光源2から出射された光が、光学レンズ43でコリメートされ、偏光フィルタに入射する(
図4において、偏光フィルタは、図示を省略している)。偏光フィルタでは、光がs偏光成分とp偏光成分とに偏波分離され、そのうちp偏光(以下、単に光と称する場合がある)が、光学プリズム25側に出射する。光学プリズム25に到達した光は、光入射面25aで屈折し、底面25b側へ進行する。底面25bに到達した光は、金属薄膜6で反射し、光出射面25c側へ進行する。光出射面25cに到達した光は、光出射面25cで屈折し、ミラー44側に出射する。ミラー44に到達した光は、ミラー44で反射され、光軸X2が底面25bと平行になった後、光学レンズ45側に出射する。光学レンズ45に到達した光は、光学レンズ45で集光され、検出器4側へ進行する。検出装置41では、このようにして、検出器4に光が到達し、検出される。その他の点は、第2の実施形態と同様である。
【0062】
第4の実施形態の検出装置41においても、光学プリズム25は、屈折率ndが、1.8以上、4.0以下の材料により構成されている。また、検出装置41においても、光学プリズム25の光入射面25aと光出射面25cとのなす角が、5°以上、170°以下である。また、検出装置41においても、光学プリズム25の光入射面25aに入射する入射光の光軸X1と、光学プリズム25の底面25bとが、略垂直である。また、光学プリズム25の光出射面25cから出射する出射光の光軸X2と、光学プリズム25の底面25bとが、略垂直である。そのため、第4の実施形態の検出装置41においても、装置全体を簡略化しつつ、光学設計の自由度を高めることができる。
【0063】
(第4の実施形態の変形例)
図5は、本発明の第4の実施形態の変形例に係る検出装置を模式的に示す構成図である。
【0064】
図5に示すように、第4の実施形態の変形例の検出装置41Aでは、光源2と検出器4との配置が、第4の実施形態の検出装置41とは、逆になっている。具体的には、検出装置41Aでは、光源2と、光学プリズム25との間に、光学レンズ45及びミラー44が設けられている。また、光学プリズム25と、検出器4との間に、光学レンズ43が設けられている。
【0065】
検出装置41Aでは、光源2から出射された光が、光学プリズム25の底面25bと平行に進行し、光学レンズ45でコリメートされ、偏光フィルタに入射する(
図5において、偏光フィルタは、図示を省略している)。偏光フィルタでは、光がs偏光成分とp偏光成分とに偏波分離され、そのうちp偏光(以下、単に光と称する場合がある)が、底面25bと平行にミラー44側へ進行し、ミラー44で反射される。ミラー44で反射された光は、光軸X1が底面25bに垂直となり、光学プリズム25側に進行する。光学プリズム25に到達した光は、光入射面25a1で屈折し、底面25b側へ進行する。底面25bに到達した光は、金属薄膜6で反射し、光出射面25c1側へ進行する。光出射面25c1に到達した光は、光出射面25c1で屈折し、光学レンズ43で集光され、検出器4側へ進行する。検出装置41Aでは、このようにして、光が検出器4に到達し、検出される。
【0066】
第4の実施形態の変形例の検出装置41Aにおいても、光学プリズム25は、屈折率ndが、1.8以上、4.0以下の材料により構成されている。また、検出装置41Aにおいても、光学プリズム25の光入射面25a1と光出射面25c1とのなす角が、5°以上、170°以下である。また、検出装置41Aにおいても、光学プリズム25の光入射面25a1に入射する入射光の光軸X1と、光学プリズム25の底面25bとが、略垂直である。また、光学プリズム25の光出射面25c1から出射する出射光の光軸X2と、光学プリズム25の底面25bとが、略垂直である。そのため、第4の実施形態の変形例の検出装置41Aにおいても、装置全体を簡略化しつつ、光学設計の自由度を高めることができる。
【0067】
以下、具体例を用いて、本発明の検出装置のさらなる詳細について説明する。なお、以下の具体例においては、
図2の検出装置21を用いたシミュレーションによる実験例について説明する。なお、この具体例においては、光入射面25aと光出射面25cとのなす角αは、光入射面25aの延びる方向における仮想線と、光出射面25cの延びる方向における仮想線とを結んでなる三角形の頂角αと称するものとする。また、この具体例においては、光入射面25aの延びる方向における仮想線と、光出射面25cの延びる方向における仮想線とを結んでなる三角形のうち、光入射面25aが位置する辺における長さ方向中心に光を入射させた。また、金属薄膜6としては、膜厚が47nmのAu膜を用いた。また、検出対象物10としては、屈折率nd=1.33の水を用いた。
【0068】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、表面プラズモン共鳴が生じる頂角αの求め方を説明するための模式図である。なお、
図6では、
図2の光源2及び検出器4を図示していない。
【0069】
図6に示すように、検出装置21では、光学プリズム25の光入射面25aに入射する入射光の光軸X1と、光学プリズム25の底面25bとが、略垂直であることから、光学プリズム25の光入射面25aに入射する光の入射角及び屈折角は、スネルの法則より下記式(1)のように表される。
【0070】
【0071】
また、金属薄膜6への光の入射角γ(表面プラズモン共鳴が生じる入射角γ)は、光学プリズム25に入射する光の波長λ、光学プリズム25を構成する材料の屈折率n、金属薄膜6の膜厚、検出対象物10の屈折率等の関数であり、γ(n,λ)とも表される。なお、本関数は、光学プリズムを構成する材料の屈折率の波長依存性を考慮していない。そのため、d線以外の波長における屈折率は、屈折率ndと同じ値であると仮定している。
図6より、入射角γ(γ(n,λ))は、外角定理を用いて下記式(2)のように表される。
【0072】
【0073】
式1(1)及び式(2)をまとめると、下記式(3)のように表される。
【0074】
【0075】
式(3)より、表面プラズモン共鳴が生じる頂角αを求めるためには、下記式(4)及び下記式(5)をプロットし、その交点を求めればよいことがわかる。
【0076】
【0077】
【0078】
図7は、光学プリズムに入射する光の波長λを633nmとし、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを1.5としたときに、式(4)及び式(5)をプロットしたグラフである。また、
図8~
図11は、
図7において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndをそれぞれ順に、1.86、2.0、2.5、3.0としたときのグラフである。
【0079】
図7より、光学プリズム25を構成する材料の屈折率ndが1.5のときには、頂角αが0°以上となる式(4)及び式(5)の交点が存在していないことがわかる。一方、
図8~
図11より、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndが1.86~3.0のときには、式(4)及び式(5)の交点となる頂角α(表面プラズモン共鳴が生じる頂角α)が存在しており、上記屈折率ndが大きいほど、式(4)及び式(5)の交点となる頂角αが大きくなっていることがわかる。
【0080】
同様にして、光学プリズムに入射する光の波長を633nmとし、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを3.5、4.0としたときに、式(4)及び式(5)の交点となる頂角αを求めた。また、光学プリズムに入射する光の波長を800nmとし、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを1.86、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0としたときに、式(4)及び式(5)の交点となる頂角αを求めた。結果を下記の表1に示す。なお、表1においては、検出対象物10は水溶液(屈折率ndは1.33)としており、表面プラズモン共鳴が生じる入射角γを併せて示している。
【0081】
【0082】
次に、検出装置21の屈折率感度測定の具体例について説明する。
【0083】
図12は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを2.0とし、頂角αを30°としたときの入射光の波長と反射率との関係を示す図である。
図12において、実線は、検出対象物10として、屈折率nd=1.33の水溶液を用いた場合の結果を示しており、破線は、屈折率nd=1.34の水溶液を用いた場合の結果を示している。
【0084】
図12より、検出対象物10としての水溶液の屈折率ndが1.34である場合、水溶液の屈折率ndが1.33の場合と比較して、表面プラズモン共鳴が生じるディップ波長(共鳴波長)が長波長側にシフトしていることがわかる。
【0085】
図13は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを2.0とし、頂角αを35°としたときの入射光の波長と反射率との関係を示す図である。
図13において、実線は、検出対象物10として、屈折率nd=1.33の水溶液を用いた場合の結果を示しており、破線は、屈折率nd=1.34の水溶液を用いた場合の結果を示している。
【0086】
図13より、頂角αを35°とすることにより、
図12のグラフ(同じ屈折率ndであり、頂角αが30°)よりも、表面プラズモン共鳴が生じるディップ波長(共鳴波長)が長波長側にシフトしていることがわかる。また、
図13においても、検出対象物10としての水溶液の屈折率ndが1.34である場合、水溶液の屈折率ndが1.33の場合と比較して、表面プラズモン共鳴が生じるディップ波長(共鳴波長)が長波長側にシフトしていることがわかる。
【0087】
図14は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを2.0としたときの頂角αと屈折率感度との関係を示す図である。また、
図15は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを2.0としたときの頂角αと共鳴波長との関係を示す図である。
【0088】
なお、屈折率感度は、周辺媒質の屈折率ndが1変化した場合に生じる共鳴波長の変化量であり、大きいほど感度がよい。また、共鳴波長とは、光源に白色光を用いた場合の反射率が最も小さくなる波長のことであり、この波長において表面プラズモン共鳴が強く生じている。また、屈折率感度(Sn)は、例えば、
図12に示すように、水溶液の屈折率の変化に伴い、ディップ波長(共鳴波長)が変化するときに、水溶液の屈折率の変化量(Δn)をディップ波長(共鳴波長)の変化量(Δλ)で除することにより求めた(Sn=Δλ/Δn)。
【0089】
図14及び
図15に示すように、頂角αが大きくなるほど、屈折率感度が大きくなっている一方、頂角αが大きくなるほど、共鳴波長も大きくなっていることがわかる。このように、所望する屈折率感度や、使用する光の波長に応じて頂角αを適宜調整することが望ましい。
図14及び
図15や上記の理由等を考慮して、光学プリズム25を構成する材料の屈折率ndを2.0としたときは、例えば、頂角αを15°以上、50°以下、より好ましくは26°以上、38°以下とすることが望ましい。
【0090】
図16は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを1.86としたときの頂角αと屈折率感度との関係を示す図である。また、
図17は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを1.86としたときの頂角αと共鳴波長との関係を示す図である。
【0091】
図16及び
図17に示すように、頂角αが大きくなるほど、屈折率感度が大きくなっている一方、頂角αが大きくなるほど、共鳴波長も大きくなっていることがわかる。このように、所望する屈折率感度や、使用する光の波長に応じて頂角αを適宜調整することが望ましい。
図16及び
図17や上記の理由等を考慮して、光学プリズム25を構成する材料の屈折率ndを1.86としたときは、例えば、頂角αを5°以上、40°以下、より好ましくは10°以上、22°以下とすることが望ましい。
【0092】
図18は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを2.5としたときの頂角αと屈折率感度との関係を示す図である。また、
図19は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズム25を構成する材料の屈折率ndを2.5としたときの頂角αと共鳴波長との関係を示す図である。
【0093】
図18及び
図19に示すように、頂角αが大きくなるほど、屈折率感度が大きくなっている一方、頂角αが大きくなるほど、共鳴波長も大きくなっていることがわかる。このように、所望する屈折率感度や、使用する光の波長に応じて頂角αを適宜調整することが望ましい。
図18及び
図19や上記の理由等を考慮して、光学プリズム25を構成する材料の屈折率ndを2.5としたときは、例えば、頂角αを30°以上、90°未満、より好ましくは70°以上、78°以下とすることが望ましい。
【0094】
図20は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを3.0としたときの頂角αと屈折率感度との関係を示す図である。また、
図21は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを3.0としたときの頂角αと共鳴波長との関係を示す図である。
【0095】
図20及び
図21に示すように、頂角αが大きくなるほど、屈折率感度が大きくなっている一方、頂角αが大きくなるほど、共鳴波長も大きくなっていることがわかる。このように、所望する屈折率感度や、使用する光の波長に応じて頂角αを適宜調整することが望ましい。
図20及び
図21や上記の理由等を考慮して、光学プリズム25を構成する材料の屈折率ndを3.0としたときは、例えば、頂角αを80°以上、120°以下、より好ましくは94°以上、102°以下とすることが望ましい。
【0096】
図22は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを3.5としたときの頂角αと屈折率感度との関係を示す図である。また、
図23は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを3.5としたときの頂角αと共鳴波長との関係を示す図である。
【0097】
図22及び
図23に示すように、頂角αが大きくなるほど、屈折率感度が大きくなっている一方、頂角αが大きくなるほど、共鳴波長も大きくなっていることがわかる。このように、所望する屈折率感度や、使用する光の波長に応じて頂角αを適宜調整することが望ましい。
図22及び
図23や上記の理由等を考慮して、光学プリズム25を構成する材料の屈折率ndを3.5としたときは、例えば、頂角αを100°以上、130°以下、より好ましくは111°以上、117°以下とすることが望ましい。
【0098】
図24は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを4.0としたときの頂角αと屈折率感度との関係を示す図である。また、
図25は、本発明の第2の実施形態に係る検出装置において、光学プリズムを構成する材料の屈折率ndを4.0としたときの頂角αと共鳴波長との関係を示す図である。
【0099】
図24及び
図25に示すように、頂角αが大きくなるほど、屈折率感度が大きくなっている一方、頂角αが大きくなるほど、共鳴波長も大きくなっていることがわかる。このように、所望する屈折率感度や、使用する光の波長に応じて頂角αを適宜調整することが望ましい。
図24及び
図25や上記の理由等を考慮して、光学プリズム25を構成する材料の屈折率ndを4.0としたときは、例えば、頂角αを110°以上、140°以下、より好ましくは122°以上、128°以下とすることが望ましい。
【実施例0100】
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
【0101】
(実施例1)
実施例1では、検出装置として、共鳴波長を測定する屈折率センサを作製した。センサ構成は
図3に示す第3の実施形態の検出装置31と同様とした。本検出装置31では、光源/検出器40から出射した光は、光学レンズ37で平行光にされ、偏光フィルタに入射する(
図3において、偏光フィルタは、図示を省略している)。偏光フィルタでは、光がs偏光成分とp偏光成分とに偏波分離され、そのうちp偏光(以下、単に光と称する場合がある)が、スリット板38側に出射する。スリット板38に到達した光は、入射側スリット38aを通って、光学プリズム25側に出射する。光学プリズム25に到達した光は、光入射面25aで屈折し、底面25b側へ進行する。底面25bに到達した光は、金属薄膜6で反射し、光出射面25c側へ進行する。光出射面25cに到達した光は、光出射面25cで屈折し、スリット板38側に出射する。スリット板38に到達した光は、出射側スリット38bを通って、光学レンズ37側に出射する。光学レンズ37に到達した光は、光学レンズ37で集光され、光源/検出器40側へ進行する。検出装置31では、このようにして、光源/検出器40の検出器に光が到達し、検出される。
【0102】
光学プリズム25としては、屈折率ndが2.0、頂角αが30°、高さが11.2mm、底辺の長さが14.6mmである等脚台形を側面に有する六面体ガラスプリズムを用いた。ガラスプリズムを構成するガラスには、質量%で、TiO2+Ta2O5+Nb2O5+La2O3 10%以上を含有するガラスを用いた。ガラスプリズム(光学プリズム25)の底面25bの金属薄膜6には金薄膜を用い、膜厚は50nmとした。光源/検出器40としては、光源と検出器とがY型光ファイバーにより一体化されてなる構造を有する光源/検出器を用いた。具体的には、Y型光ファイバーの第1の端部に光源が接続され、第2の端部に検出器が接続された構造の光源/検出器40を用いた。白色光の光源にはハロゲンランプ(オーシャンオプティクス社製)を用いた。検出器には光学分光器(USB-2000、オーシャンオプティクス社製)を用いた。光源から出射された光は、Y型光ファイバーの光源及び検出器が接続されていない端部(第3の端部、Y字の下端部)から出射された。また、光学プリズム25の底面25bで反射された光はY型光ファイバーの第3の端部から入射し、検出器側へ進行し、検出された。検出対象物10は水とエタノールとの混合液とした。具体的には、水とエタノールとの混合比を変えることにより混合液の屈折率ndを制御した。なお、参考文献1によると、15℃における水の屈折率ndの値は1.33345であり、エタノールの屈折率ndは1.36332である。
【0103】
参考文献1 化学便覧 基礎編 改訂6版 14章 表14.5-3
【0104】
次に、水とエタノールとの混合液について、実施例1の検出装置31を用いて共鳴波長変化量を測定し、波長650nmから780nmに現れた共鳴波長の変化量から、水とエタノールとの混合液の屈折率を求めた。結果を
図26に示す。
図26より、実施例1では、共鳴波長の変化量について、実験値とシミュレーション値がおおむね一致しており、検出装置31が屈折率センサとして良好に動作したことが確認できた。なお、
図26に示す実線は、参考文献1で示された屈折率の値を内挿した混合液の屈折率の値である。参考文献1のエタノール濃度は重量%で示されているため、参考文献2に示されたエタノールの密度の値を用いて体積%に変換した。
【0105】
参考文献2 理科年表 2025年度版 物理/化学部 種々の物質の密度
【0106】
(実施例2)
実施例2では、検出装置として、物質を検出する化学センサを作製した。センサ構成は実施例1と同様とした。検出対象は0.05mMのアミノヘキサデカンチオールの水溶液とした。アミノヘキサデカンチオールは、金薄膜と接触すると、金薄膜表面に自己組織化単分子膜が成長する。この自己組織化単分子膜は光学的には誘電体薄膜として振る舞う。実施例2では、アミノヘキサデカンチオール水溶液をガラスプリズム底面の金薄膜の表面に曝露し、その共鳴波長の変化量から誘電体薄膜の厚さを算出した。また、算出された誘電体薄膜の厚さと、理論的な誘電体薄膜の厚さ(分子構造と結合長とから求めたアミノヘキサデカンチオール分子の長さ)とを比較した。
【0107】
アミノヘキサデカンチオール水溶液をガラスプリズムの底面25bの金薄膜(金属薄膜6)の表面6aに曝露したときの測定経過時間と共鳴波長との関係を
図27に示す。
図27に示すように、測定開始後200秒後にアミノヘキサデカンチオール水溶液の曝露を開始し、測定開始から3200秒後(曝露開始3000秒後)に共鳴波長の変化がほぼ止まり、誘電体薄膜の形成が終了したと判断した。このとき、共鳴波長は674nmから682nmに変化したため、共鳴波長の変化量は8nmであった。金薄膜上の誘電体薄膜の厚さ1nmにつき共鳴波長が3.4nm変化するというシミュレーション値から、誘電体薄膜の厚さはおおむね2.35nmと計算された。この厚さは、分子構造と結合長とから求めたアミノヘキサデカンチオール分子の長さ(2.3nm)とほぼ一致していた。測定開始から4000秒後(曝露開始3800秒後)に表面を水でリンスして反応を終了した。なお、このように、実施例2においては、実験値から算出した誘電体薄膜の厚さと、理論的な誘電体薄膜の厚さとがおおむね一致しており、化学センサとして良好に動作したことが確認できた。
【0108】
(実施例3)
実施例3では、検出装置として、別の実施の形態の共鳴波長を測定する屈折率センサを作製した。センサ構成は
図4に示す第4の実施形態の検出装置41と同様とした。本検出装置41では、光源2から出射した光は、光学レンズ43と偏光板(偏光フィルタ、図示せず)とを通過し、入射光の光軸X1と光学プリズム25としてのガラスプリズムの底面25bとが垂直となるようにガラスプリズムに入射する。続いて、ガラスプリズムから出射した光は、出射光の光軸X2と底面25bとが垂直となるように進行し、ミラー44で反射され、対物レンズ(光学レンズ45)を通過した後、検出器4に入射する。
【0109】
光学プリズム25としては、実施例1と同様のガラスプリズムを用いた。実施例1と同様にガラスプリズム底面25bの金属薄膜には金薄膜を用い、膜厚は50nmとした。白色光の光源2にはハロゲンランプ(オーシャンオプティクス社製)を用いた。検出器4には光学分光器(USB-2000、オーシャンオプティクス社製)を用いた。また、検出対象物10は実施例1と同様とした。
【0110】
次に、水とエタノールとの混合溶液について、実施例3の検出装置41を用いて共鳴波長変化量を測定し、波長650nmから780nmに現れた共鳴波長の変化量から、水とエタノールとの混合液の屈折率を求めた。結果を
図28に示す。
図28より、実施例3では、共鳴波長の変化量について、実験値とシミュレーション値がおおむね一致しており、屈折率センサとして良好に動作したことが確認できた。なお、
図28に示す実線は、
図26と同様に参考文献1で示された屈折率の文献値を内挿した混合液の屈折率の値である。
【0111】
(実施例4)
実施例4では、検出装置として、物質を検出する化学センサを作製した。センサ構成は実施例3と同様とした。検出対象は0.5mMのアミノヘキサデカンチオールの水エタノール溶液とした。実施例2と同様の方法により誘電体薄膜の厚さを算出した。算出された誘電体薄膜の厚さと、理論的な誘電体薄膜の厚さ(分子構造と結合長から求めたアミノヘキサデカンチオール分子の長さ)とを比較した。
【0112】
アミノヘキサデカンチオール水溶液(0.5mM)をガラスプリズム底面25bの金薄膜の表面6aに曝露したときの測定経過時間と共鳴波長との関係を
図29に示す。
図29に示すように、測定開始から500秒後にアミノヘキサデカンチオール水溶液の曝露を開始し、測定開始から1500秒後(曝露開始1000秒後)に共鳴波長の変化がほぼ止まり、誘電体薄膜の形成が終了したと判断した。このとき、共鳴波長は625nmから634nmに変化したため、共鳴波長の変化量は9nmであった。金薄膜上の誘電体薄膜の厚さ1nmにつき共鳴波長が3.4nm変化するというシミュレーション値から、誘電体薄膜の厚さはおおむね2.6nmと計算された。この厚さは、分子構造と結合長とから求めたアミノヘキサデカンチオール分子の長さ(2.3nm)とほぼ一致していた。測定開始から5900秒後(曝露開始5400秒後)に表面を水でリンスして反応を終了した。このように、実施例4においては、実験値から算出した誘電体薄膜の厚さと、理論的な誘電体薄膜の厚さとがおおむね一致しており、化学センサとして良好に動作したことが確認できた。