(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026004899
(43)【公開日】2026-01-15
(54)【発明の名称】スティック状化粧料
(51)【国際特許分類】
A61Q 1/06 20060101AFI20260107BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20260107BHJP
【FI】
A61Q1/06
A61K8/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102954
(22)【出願日】2024-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】安野(堀口) 絵里
(72)【発明者】
【氏名】市川 賢人
(72)【発明者】
【氏名】郡司(東) 竜太
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB232
4C083AB242
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC092
4C083AC172
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC422
4C083AC642
4C083AC792
4C083AC852
4C083AC912
4C083AD022
4C083AD052
4C083AD151
4C083AD152
4C083BB11
4C083BB12
4C083CC13
4C083DD04
4C083DD11
4C083EE03
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】 本発明は、モールド充填時に発生する気泡残りをより低減できているとともに、外観審美性がより高い立体模様を有するスティック状化粧料を提供すること。
【解決手段】 本発明は、表面から突出した凸状立体模様を単数又は複数有し、前記凸状立体模様は、凸部と凸部との間に線状溝を有する構成を有するスティック状化粧料を提供できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面高さ基準ライン以上に突出した凸状立体模様を単数又は複数有し、
前記凸状立体模様は、単数又は複数の線状溝を有し、
前記線状溝は、凸部と凸部との間に存在する、
スティック状化粧料。
【請求項2】
前記スティック状化粧料が、次の成分(A)及び(B);
(A)油性ゲル化剤
(B)25℃で液状の油剤、
を少なくとも有するものである、請求項1に記載のスティック状化粧料。
【請求項3】
前記表面高さ基準ライン以上に突出した、線状溝に隣接する1つの凸部の高さに対する前記線状溝の深さ、〔線状溝の深さ〕/〔線状溝に隣接する1つの凸部の高さ〕の割合が、50~150%である、請求項1又は2に記載のスティック状化粧料。
【請求項4】
前記線状溝の線状方向は、前記スティック状化粧料の長手方向に垂直な方向からみたときに、当該長手方向に対し非平行に設けられている部分を有する、請求項1又は2に記載のスティック状化粧料。
【請求項5】
前記スティック状化粧料の35℃における硬度が、300N~1500Nである、請求項1又は2に記載のスティック状化粧料。
【請求項6】
前記スティック状化粧料の100℃における溶融粘度が、1~1000mPa・sである、請求項1又は2に記載のスティック状化粧料。
【請求項7】
前記成分(A)は、ワックス及び/又はアミノ酸系ゲル化剤を含むものである、請求項1又は2に記載のスティック状化粧料。
【請求項8】
前記成分(B)は、シリコーン油を含むものである、請求項1又は2に記載のスティック状化粧料。
【請求項9】
前記シリコーン油が、ジメチルポリシロキサンである、請求項8に記載のスティック状化粧料。
【請求項10】
前記シリコーン油の動粘度(25℃)が、6~1000mm2/sである、請求項8に記載のスティック状化粧料。
【請求項11】
前記シリコーン油の含有量が、前記スティック状化粧料中、0.1~5質量%である、請求項8に記載のスティック状化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スティック状化粧料などに関する。
【背景技術】
【0002】
スティック状口紅などスティック状化粧料は、外観審美性を高めるために、表面に意匠的な価値を与えるために、部分的に凹凸模様を有するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1として、化粧料容器に収容された固形化粧料であって、表面にレーザ光照射により模様が形成されていることを特徴とする固形化粧料が提案されている。また、例えば、特許文献2として、鍛性プラスチック素材製の中空オジーブを形成するための金属タップをレーザ加工により形成し、当該オジーブと相補的な形状のリップスティックを製造することが提案されている。
例えば、特許文献3として、スティックの表面の少なくとも先端部位全面に、凹凸の連続模様を形成する天井又は線状の突起を設けたスティック状化粧料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-247832号公報
【特許文献2】特表2021-531079号公報
【特許文献3】特開2008-156304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、特許文献1に記載の口紅は、外周表面にレーザにて浅めの溝を設けたり、文字を設けたりする程度であり、外観審美性が高いとは言い難いと考えた。本発明者らは、特許文献2に記載のリップスティックは、外周表面に、直線を基調とした単調な繰り返しであって彫りの浅い文様を有する程度であり、外観審美性が高いとは言い難いと考えた。本発明者らは、特許文献3は、塗布時の使用感に優れるように外周表面に柱状点状突起をブロック状に多数設けたスティック状化粧料であって、外観審美性が高いとは言い難いと考えた。
本発明は、モールド充填時に発生する気泡残りをより低減できているとともに、外観審美性がより高い立体模様を有するスティック状化粧料を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の立体模様を用いることで、当該課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下のとおりである。
【0007】
本発明は、表面高さ基準ライン以上に突出した凸状立体模様を単数又は複数有し、
前記凸状立体模様は、単数又は複数の線状溝を有し、
前記線状溝は、凸部と凸部との間に存在する、
スティック状化粧料を提供する。
前記スティック状化粧料が、次の成分(A)及び(B);
(A)油性ゲル化剤
(B)25℃で液状の油剤、
を少なくとも有するものであってもよい。
【0008】
前記表面高さ基準ライン以上に突出した、線状溝に隣接する1つの凸部の高さに対する前記線状溝の深さ、〔線状溝の深さ〕/〔線状溝に隣接する1つの凸部の高さ〕の割合が、50~150%であることが好ましい。
前記線状溝の線状方向は、前記スティック状化粧料の長手方向に垂直な方向からみたときに、当該長手方向に対し非平行に設けられている部分を有してもよい。
前記スティック状化粧料の35℃における硬度が、300N~1500Nであってもよい。前記スティック状化粧料の100℃における溶融粘度が、1~1000mPa・sであってもよい。
前記成分(A)は、ワックス及び/又はアミノ酸系ゲル化剤を含んでもよい。
前記成分(B)は、シリコーン油を含んでもよい。前記シリコーン油が、ジメチルポリシロキサンであってもよい。前記シリコーン油の動粘度(25℃)が、6~1000mm2/sであってもよい。前記シリコーン油の含有量が、前記スティック状化粧料中、0.1~5質量%であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、モールド充填時に発生する気泡残りをより低減できているとともに、外観審美性がより高い凸状立体模様を有するスティック状化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るスティック状化粧料の外観の一例を示す図であり、スティック状化粧料を正面方向からみたときの図である。また、実施例2において、気泡残りのなさ及び外観審美性の高さに合格したスティック状口紅を、口紅の先端を上方向にし、ある一方向から表面をみたときの図でもある。スティック状化粧料の表面上に、複数の凸状立体模様があり、異なる大きさ及び形状の凸状立体模様(上部、中部、下部)の拡大図を、右に示す。
【
図2】一本実施形態に係るスティック状化粧料における凸状立体模様の一部を表面に対して垂直方向で断面にしたときの凸部と線状溝と凸部との断面形状の図である。符号Dの破線が、線状溝の深さの位置である。符号SLの破線が、表面高さ基準ラインの位置である。 上図(プラス)は、線状溝の深さが、表面高さ基準ライン(0mm)よりも浅くある状態の図である。中央図(プラスマイナスゼロ:図示なし)は、線状溝の深さが、表面高さ基準ライン(0mm)と同じ位置にある状態の図である。 右図(マイナス)は、線状溝の深さが、表面高さ基準ライン(0mm)よりも深くある状態の図である。
【
図3】一本実施形態に係るスティック状化粧料において、当該スティック状化粧料の長手方向に垂直な方向から、1つの凸状立体模様の上面を、見たときに、当該化粧料の長手方向(基準:0度)と、当該凸状立体模様に設けられる線状溝の線状方向とが成す角度を示す概念図である。図中の角度線は、便宜上設けた概念図であり、実際の角度を測定又は設定する際に、図中の角度線の角度に限定されるものではない。
【
図4】充填時の流動化した化粧料組成物の流れ及び充填時に発生した気泡残りがモールドの凹部に入りこの凹部から抜けるところを示した模式図である。
【
図5】本実施形態において、充填方向と、モールド面に設けられた1つの凹状立体模様(凸状立体模型の型)に設けられた突起(線状溝の型)との位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術を実施するための好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示であり、質量%は、以下、「%」と記す。また、本明細書においては、「~」を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値を含むものとする。また、各数値範囲(~)の上限値(以下)と下限値(以上)は、所望により、任意に組み合わせることができる。
【0012】
1.本技術に係るスティック状化粧料を検討した背景
【0013】
本発明者らは、まず、スティック状化粧料の表面に、立体感のある凸状の立体形状を設けるために、その表面から突出させ、その表面と段差を生じさせた凸状の形状を設けるためのラバーモールドの使用を検討した。
【0014】
本発明者らは、このラバーモールドを用いて、例えば、押し紅タイプの口紅充填方式にてスティック状口紅を製造した場合、液状化させた化粧料組成物を充填方向からモールドに充填する際に、液状の化粧料組成物が空気を巻き込みながら充填され速やかに固化するため、凸状形状を形成させるための凹部型のなかで空気が外に抜けきれず内包された状態で、化粧料組成物が固化されると考えた。このため、本発明者らは、形成されたスティック状化粧料の表面をみたときに、凸状形状の面に気泡残り跡が多くみられるため、凸状形状の外観審美性が損なわれると考えた。
【0015】
本発明者らは、モールド充填時の気泡残り発生を除去又は大幅に低減させるために、充填スピード及びモールド温度を増加させることが考えられるので、モールドに充填させる際の充填スピードやモールド温度の変化を検討した。しかしながら、これらの充填スピードやモールド温度を変化させても、モールド内に有する凸状形状を形成させるための凹部型に気泡残りが多く残存し固化後に、凸状形状の面に気泡残りが発生し、この立体模様の外観審美性はあまり良くなかった。
【0016】
そこで、本発明者らは、モールド充填時に発生する気泡残りをより低減できているとともに、外観審美性がより高い凸状形状を有するスティック状化粧料を提供することを主な目的とし、鋭意検討を行った。
そして、本発明者らは、後述する本第1実施形態、本第2実施形態、本第3実施形態又はこれらの組み合わせが、モールド充填時に発生する気泡残りをより低減できているとともに、外観審美性がより高い凸状形状を有するスティック状化粧料を提供できることを見出し、本技術を完成させた。
【0017】
なお、本技術において、凸状立体形状は、凸状立体模様であってもよく、凸状立体模様を採用することにより、外観審美性がより高く、より立体感又はよりレリーフ感のあるスティック状化粧料にすることができる。
本明細書において、レリーフ感とは、表面をみたときにレリーフのような感じを受けること;表面に立体感があること;表面から、立体的な形状が突き出でていることなどが挙げられ、これらから2種以上を組み合わせた意味であってもよい。
【0018】
<本技術における第1実施形態~第3実施形態>
以下、本第1実施形態に係るスティック状化粧料(凸状立体模様)、本第2実施形態に係るスティック状化粧料(組成)、本第3実施形態に係るスティック状化粧料(物性)、などの詳細を説明する。
【0019】
1-1.本第1実施形態に係るスティック状化粧料(凸状立体模様)について
本第1実施形態は、「表面高さ基準ライン」以上に突出した「凸状立体模様」を単数又は複数有し、前記凸状立体模様は、単数又は複数の「線状溝」を有し、当該線状溝は凸部と凸部との間に存在する、スティック状化粧料を提供できる。
【0020】
前記凸状立体模様は、凸部と凸部との間に「線状溝を有する構成」を、単数又は複数有していてもよく、当該凸状立体模様は、凸部と凸部との間に線状溝を有する構成の単数又は複数から構成されるものであってもよい。前記線状溝を有する構成は、前記線状溝を有する領域であってもよい。また、前記凸状立体模様は、2つ以上の複数の凸部と1つ以上の単数又は複数の線状溝から構成されるものであってもよい。このようにして、本第1実施形態は、立体感がある外観審美性の高い凸状立体模様を、スティック状化粧料の表面から突出させて、単数又は複数有することができる。そして、当該スティック状化粧料は、モールド充填時に発生する気泡残りをより低減できているとともに、外観審美性がより高い凸状立体模様を有している。なお、凸状立体模様は、凸状形状又は立体的な凸状形状であってもよい。
【0021】
以下、各文言について詳細を説明する。
<スティック状化粧料の長手方向に垂直な方向>
本明細書において「スティック状化粧料の長手方向に垂直な方向」からみたときとは、スティック状化粧料の長手方向を上下方向にし、スティック状化粧料を中心として、スティック状化粧料側面の長手方向に垂直方向からスティック状化粧料をみたときである。これは、唇などへの塗布部分を上方向としたときであってもよい。
【0022】
<表面高さ基準ライン>
本明細書における、スティック状化粧料における「表面高さ基準」となる面とは、凸状立体模様などの凸部及び凹部が設けられていない領域の面(以下、「表面」ともいう)であり、当該表面は、凸状立体模様が突出していない面であることがより好ましい。当該表面は、表面の高さを基準(0mm)とすることが好ましく、このときの表面を基底面とし、この表面(基底面)の高さを基準とするラインを、「表面高さ基準ライン」とすることが望ましい。
【0023】
<凸部の上面>
本明細書において、スティック状化粧料の長手方向に垂直な方向からみたときの、凸状立体模様の面又は凸状立体模様に存在する凸部の面を、「凸状立体模様の上面」又は「凸部の上面」とする。
【0024】
<凸部の高さ>
本明細書における、表面高さ基準ラインからの凸部の高さは、表面高さ基準ラインからの凸部の上面までの高さであるが、当該上面までの全高であってもよい。本明細書における、表面高さ基準ラインは、高さ0mmと設定し、「表面高さ基準ライン(0mm)から1mm突出した凸状立体模様」などといった相対的な高さの基準としてもよい(
図2参照)。表面高さ基準ラインは、スティック状化粧料の長手方向の中心軸に対して垂直方向にある、スティック状化粧料の表面と同じ高さの位置に設定されることが好ましい。
本明細書における「高さ」の方向とは、表面高さ基準ライン以上であって、スティック状化粧料の長手方向の中心軸に垂直な方向である。
【0025】
凸部の高さが、一つの凸部内で一定ではない場合は、最も高い凸部の高さを優先して考えるものとする。本第1実施形態は、通常であれば凸部の高さが高いほど気泡残りが多くなりやすいものの、本第1実施形態を用いることでより良好に気泡残りの低減ができるという利点がある。
【0026】
本第1実施形態に用いられる、凸部の高さは、特に限定されないが、好適な下限値として、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上、さらに好ましくは0.15mm以上であり、また、好適は上限値としては、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.3mm以下、さらに好ましくは0.25mm以下であり、当該好適な数値範囲として、好ましくは0.05~0.5mm、より好ましくは0.1~0.3mm、さらに好ましくは0.15~0.25mmである。
【0027】
<凸部の幅>
本明細書において、「凸部の幅」は、特に限定しないが、凸部の上面をみたときの凸部の短手方向の長さの幅である。
【0028】
本第1実施形態に用いられる、凸部の幅は、特に限定されないが、好適な下限値として、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.8mm以上であり、また、好適は上限値としては、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下、さらに好ましくは3mm以下であり、当該好適な数値範囲として、より好ましくは0.1~5mm、さらに好ましくは0.5~4mm、より好ましくは0.5~3mmである。凸部の幅は短手方向であって最大長であってもよい。
【0029】
<凸部の長さ又は全長>
本明細書において、「凸部の長さ又は全長」は、特に限定しないが、凸部の上面をみたときの凸部の長手方向の長さとしてもよく、凸部の上面をみたときの凸部の長手方向であって、凸部の輪郭に沿った始端から終端までの長さであってもよい。
例えば、凸部の上面をみたときに凸部が環状を形成する場合には、「凸部の長さ又は全長」は、環状の始端と終端が同じ位置であってもよい。
例えば、凸部の上面をみたときに凸部が複数組み合わさった場合には、「凸部の長さ又は全長」は、それぞれの個々の凸部の始端から終端までの長さであってもよい。
【0030】
<凸部>
前記凸部は、前記凸状立体模様に設けられ、1つの凸部は1つの後述で説明する線状溝と隣接するように配置してもよい。
ある1方向からスティック状化粧料の表面をみたときの1つの凸部の上面の外周形状又は輪郭は、特に限定されず、花弁状、花柄状、多角形状(四角形状、長方形状など)、楕円状(横長又は縦長の長楕円状、正円状など)などが挙げられる。当該多角形状には、長方形状、平行四辺形状、台形状、正多角形状、角丸多角形状、テーパ形状などが含まれていてもよい。また、ある1方向からスティック状化粧料の表面をみたときの1つの凸部の1側面の外周形状又は輪郭も、上述した形状を適宜採用できる。
【0031】
ある1方向からスティック状化粧料をみたときの凸部の上面の面凹凸は、特に限定されず、凸面、凹面、及び平面から選択される1種又は2種以上であってもよい。凸部の上面の角は、面取り形状(例えばC面取り形状、R面取り形状、糸面取り形状など)でもよく、例えば、線状溝に隣接する側の角及び/又は隣接しない側の角に面取りがなされていてもよい。
【0032】
凸部同士は、ある1方向からスティック状化粧料をみたときに、それぞれの輪郭にて分画されてもよいし、後述する線状溝によって分画されていてもよいし、これらを組み合わせて分画されていてもよい。また、ある凸部が線状溝によって分画された場合は、分画されたこれらをそれぞれ分画凸部としてもよい。
【0033】
<線状溝>
前記凸状立体模様に設けられている線状溝は、ある1方向からスティック状化粧料をみたときに、線状であることが好ましいが、当該線状は、長い線状に限らず、短線状であってもよい。本第1実施形態では、線状溝の線状が長い線状であっても気泡残りを低減できているという利点があり、長い線状が可能であることで審美的な複雑な模様又は大きめの模様なども選択することができる。
【0034】
線状溝の線状は、直線状及び/もしくは曲線状からなる線状、又は、これらの組み合わせからなる線状のいずれであってもよい。線状溝の線状は、ある1方向からスティック状化粧料をみたときに、一筆書きの線状、つまり交差する点のない始点から終点までを同時に含む曲線状の線状でもよい。さらに、線状溝の線状は、中心から外方向又は外側から中心に向かう線状又は放射分散状などが挙げられる。また、線状溝の線状を複数組み合わせたときの複合線状として、特に限定されないが、例えば、樹状、格子状、放射線状などが挙げられる。また、複合線状として、例えば、円周とその円周に接続しその円周から外方向への複数の放射線状直線との組み合わせ、三叉状又は逆三叉状、中心を起点とし外方向の複数の樹状などの複雑な組み合わせを行うことも可能である(例えば
図1参照)。本第1実施形態は、線状溝の線状の複雑な組み合わせを行い外観審美性の高い立体模様としても、気泡残りが少ないという利点はある。
【0035】
線状溝の線状は、ある1方向からスティック状化粧料をみたときに、凸部と凸部との間に隣接して存在することが好ましい。そして、線状溝の線状が複数組み合わせることで、凸部の輪郭を複雑にすることも可能である。例えば、線状溝の線状によって、凸部を、多角形状(例えば、星形状、六角形形状など)又は曲線形状(例えば、ハート形状、花弁状、くびれ長楕円形状など)などの輪郭にすることも可能である。また、上述した「スティック状化粧料の周囲の断面形状」で説明したような形状(多角形状及び環状の例など)も適宜採用することができる。
【0036】
<線状溝の線状の方向>
線状溝の線状の方向は、スティック状化粧料の長手方向に垂直な方向から、ある1方向からスティック状化粧料をみたときに、長手方向と同じ方向(つまり、平行)に設けられている部分を有してもよい。ただし、長手方向に対し非平行に設けられている部分を有してもよい。長手方向に対する非平行とは、長手方向を0度とした場合に、この0度以外の方向を含めることができる。長手方向の上方向に線状溝がある場合、線状溝の線状方向と長手方向とのなす角度が上方向の左周り90度又は右回り90度、長手方向の下方向に線状溝がある場合、線状溝の線状方向と長手方向とのなす角度が下方向の左周り90度又は右周り90度と設定することができる。なお、「部分」は、「領域」であってもよい。
【0037】
本明細書における「線状溝の線状方向の角度」は、得られた円筒状口紅の長手方向に対する線状溝の線状方向と、長手方向(0度)とが成す角度である(例えば
図3参照)。長手方向に対する非平行は、角度が大きくなるほど、特に90度になると、充填時の気泡残りが抜ける経路の確保が難しいため気泡残りの低減が難しくなるものの模様の自由度が高まり外観審美性が高まるという利点がある。本第1実施形態では、当該非平行の範囲内に線状溝の線状が含まれている場合でも、良好に気泡残り低減が可能である。
【0038】
本第1実施形態に用いられる、線状溝の線状方向は、長手方向に対して、好適な下限値として好ましくは30度以上、より好ましくは40度以上、さらに好ましくは50度以上であり、上限値としては90度以下であり、当該好適な数値範囲として、より好ましくは40度又は50度以上90度以下という非平行に設けうる。
【0039】
なお、本第1実施形態では、不特段の説明がない場合には、線状溝の線状の部分又は領域が、長手方向に対し40度又は50度以上90度以下に設けられている部分又は領域を有する場合には、線状溝の線状を0度以上40度又は50度以下に設けることを排除するのはなく、線状溝の線状の少なくとも一部が、少なくとも40度又は50度以上90度以下の範囲に含まれていることを意味するものである。
【0040】
また、線状溝の線状を、ある1方向からスティック状化粧料をみたときに、スティック状化粧料の長手方向に対し平行又は非平行に設けることができ、特に非平行(より具体的には左右90度方向)に設けても、気泡残りを低減できているという利点があり、90度方向も利用できるため自由な線状を設けることができ、これにより外観審美性をより高くすることもできる。また、これにより、線状として、外観審美性の高い曲線状も含めることもでき、外観審美性の高い曲線のある凸状立体模様を得ることも可能である。
また、前記線状溝の何れかの一端は、前記凸状立体模様の輪郭外にある表面上の空間に接続していることが好ましい。
【0041】
好適な本第1実施形態において、上述のように、線状溝の線状は自由な線状とすることができるため、当該線状溝の線状が少なくとも含まれる部分又は領域は、ある1方向からスティック状化粧料をみたときに、スティック状化粧料の長手方向に対し非平行に設けられている部分又は領域とすることができる。
【0042】
<線状溝の深さ>
また、本明細書において、「線状溝の深さ」は、線状溝が隣接する凸部と凸部の間の溝がない状態の上面から溝底までの深さとしてもよい。隣接する凸部の上面と線状溝により形成される溝底までを「線状溝の深さ」としてもよい。したがって、隣接する2つの凸部の高さが異なる場合は、同一の線状溝において隣接する凸部ごとに線状溝の深さを算出し議論してもよいものとする。また、複数の凸部が存在し、それぞれの凸部間に隣接する線状溝が存在する場合、これらの線状溝の深さは同じであってもよいし異なってもよく、また、線状溝の深さは、始端から終端までの間で、同じであってもよし異なっていてもよく、異なるときの線状溝の深さは、後述する線状溝の深さの好適な範囲内であってもよい。
【0043】
本第1実施形態における線状溝の深さは、特に限定されず、表面高さ基準ライン以下になるように深くしたり、当該基準ライン以上になるように浅くしたり調整されていてもよく、好ましくは、表面高さ基準ライン以上になるように浅く設けられていることである。線状溝の溝底を、深くする場合には、表面高さ基準ラインより内方向(例えば中心への内方向)の位置に設ける、または線状溝の溝底を、浅くする場合には、表面高さ基準ラインより外方向(例えば中心からの外方向)の位置に設けてもよい。
【0044】
本第1実施形態に用いられる、線状溝の深さは、特に限定されないが、好適な下限値としては、例えば0.1mm以上、より好ましくは0.15mm以上、さらに好ましくは0.2mm以上であり、また、好適な上限値としては、特に限定されず、所定の表面高さ基準ライン以下に深くすることも可能であるが、好ましくは所定の表面高さ基準ライン以上に浅くすることであり、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.4mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下である。
【0045】
<線状溝の長さ>
また、本明細書において、「線状溝の長さ」(「線状の長さ」ともいう)は、凸状立体模様の上面をみたときの線状溝の線状の始端から終端までの長さとしてもよく、線状が環状を形成する場合には、環状の始端と終端が同じ位置であってもよく、複数の線状が交差・組み合わさった場合には、交差する点からのそれぞれの個々の線状の長さを考えるものとする。
【0046】
本第1実施形態に用いられる、線状溝の線状の長さは、特に限定されないが、好適な下限値としては、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上であり、また、好適な上限値としては、特に限定されず、スティック状化粧料の全周であってもよく、らせん状に連続していてもよいが、好ましくは20mm以下、より好ましくは10mm以下である。これにより、より良好な、気泡残りの低減及び外観審美性のより高いスティック状化粧料を得ることができる。
【0047】
<線状溝の幅>
また、本明細書において、「線状溝の幅」(「溝の幅」ともいう)は、上面をみたときの線状溝の溝幅であり、隣接する凸部の内壁と内壁との間の幅であり、溝の短手方向の長さ(幅)であってもよい。溝の上面と底面が、なだらかな曲面を持つ場合には、溝の深さの中間値における溝の幅を「線状溝の幅」と定義することがより好ましい。
【0048】
本第1実施形態に用いられる、線状溝の溝幅(内幅)は、特に限定されないが、好適な下限値として、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0,4mm以上であり、また、好適な上限値として、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下であり、当該好適な数値範囲は、より好ましくは0.1~5mmである。また、線状溝の溝幅は、当該線状溝に隣接する凸部の幅よりも、細くしたり、太くしたりすることも可能である。これにより、より良好な、気泡残りの低減及び外観審美性のより高いスティック状化粧料を得ることができる。
【0049】
<線状溝の深さ/線状溝に隣接する1つの凸部の高さの割合>
本明細書において、〔線状溝の深さ/線状溝に隣接する1つの凸部の高さ〕の割合における「線状溝に隣接する1つの凸部の高さ」は、表面高さ基準ライン(0mm)から、線状溝が隣接する凸部の高さである。当該割合における「線状溝の深さ」は、前記<化粧料表面の線状溝の深さ>に記載したように、隣接する凸部の高さに応じて定義してよい。
例えば、第1凸部と第2凸部との間に線状溝が設けられている場合の「線状溝の深さ/線状溝に隣接する1つの凸部の高さ」の割合は、「線状溝の深さ/線状溝に隣接する1つの第1凸部の高さ」、及び「線状溝の深さ/線状溝に隣接する1つの第2凸部の高さ」を求めることができ、第1凸部及び第2凸部が同じ高さである場合には、いずれか一方の割合を用いてもよい。
線状溝に隣接する1つの凸部に対して異なる線状溝の深さが存在する場合は、この値が大きい線状溝のほうが、立体感や陰影感などの外観審美性の観点から、好ましいが、気泡残りのなさの観点からは、この値が小さい線状溝のほうが、この課題を克服しやすいと言える。
【0050】
本第1実施形態に用いられる、線状溝に隣接する1つの凸部の高さに対する前記線状溝の深さ〔線状溝の深さ/線状溝に隣接する1つの凸部の高さ〕の割合は、特に限定されないが、好適な上限値として、外観審美性の向上の観点から、好ましくは150%以下、より好ましくは140%以下、さらに好ましくは130%以下、より好ましくは125%以下、より好ましくは110%以下、より好ましくは100%以下、より好ましくは100%未満であり、また、好適な下限値としては、気泡残り低減の観点から、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であり、当該好適な数値範囲としては、より好ましくは150%以下であり、より好ましくは50%以上100%未満である。これにより、より良好な、気泡残りの低減及び外観審美性のより高いスティック状化粧料を得ることができる。
【0051】
ここで、
図2に示す上図は、〔線状溝の深さ/線状溝に隣接する1つの凸部の高さ〕が、(50%以上)100%未満の状態を示す図であり、中図は、〔線状溝の深さ/線状溝に隣接する1つの凸部の高さ〕が100%の状態を示す図であり、下図は、〔線状溝の深さ/線状溝に隣接する1つの凸部の高さ〕が100%超え150%以下の状態を示す図である。
【0052】
本第1実施形態における好適な態様として、表面高さ基準ライン以上に突出した、線状溝に隣接する凸部の高さに対する前記線状溝の深さ(線状溝の深さ/線状溝に隣接する凸部の高さ)の割合が、50~150%であることが好ましく、より好ましくは、50%以上~100%未満である。
本第1実施形態における好適な態様として、前記線状溝の線状方向は、スティック状化粧料の長手方向に垂直な方向からみたときに、長手方向に対し非平行に設けられている非平行な部分があってもよい。
【0053】
<凸状立体模様>
1つの凸状立体模様は、表面から突出した凸状立体模様であってもよく、表面の上に設けられた凸部形状であってもよく、表面と段差がある凸状立体模様であってもよい。凸状立体模様は、表面高さ基準ライン以上に突出させ、立体模様の輪郭部分又は縁部分と、表面高さ基準ラインとに、段差を設けることが、立体感や陰影感などの外観審美性の観点から、好ましい。凸状立体模様の角部又はその輪郭の角部は、面取りが行われていてもよい。また、凸状立体模様が、複数の凸部から形成されている場合には、凸部の高さ、凸部の上面の形状、凸部の立体的形状は、同一又は異なっていてもよい。
【0054】
1つの凸状立体模様は、単数又は複数の線状溝を有することが好ましい。また、1つの凸状立体模様は、単数又は複数の線状溝を有し、当該線状溝は、凸部と凸部との間に存在することが好ましい。また、1つの凸状立体模様は、複数の凸部と単数又は複数の線状溝とから少なくとも構成されることが好ましい。
【0055】
前記凸状立体模様は、当該立体模様の凸部形状の上面(スティック状化粧料の長手方向に垂直な方向からみたときの凸部の面)に、線状溝を有することが好ましく、線状溝の線状により、立体模様の輪郭や陰影などがはっきりとした外観審美性の高い凸状立体模様として視認できる利点がある。前記凸状立体模様に、線状溝が含まれていることで、気泡残りの低減及び外観審美性の高さが良好になる。
【0056】
1つの凸状立体模様は、凸部と凸部との間に存在する線状溝を有する構成(以下、「前記線状溝を有する構成」ともいう)を有することが好ましく、当該構成は、2つの凸部と1つの線状溝を含むものが好ましい。当該構成は、領域であってもよい。このような構成又は領域が採用されていることで、気泡残りの低減及び外観審美性の高さの両立を得ることができる。前記線状溝を有する構成は、表面高さ基準ラインで外周を覆われていているものでもよい。
例えば、スティック状化粧料の長手方向に垂直な方向からみたときに、前記線状溝を有する構成が、1つの凸部と1つの凸部との間に隣接して存在する1つの線状溝を有する構成を1としたときに、1.5構成のときの場合には凸部は3つかつ線状溝は2つとなる。また、前記線状溝を有する構成又は領域は、スティック状化粧料の長手方向に垂直な方向から表面をみたときに、格子状を形成している構成又は領域であってもよい。また、同一又は異なる、前記線状溝を有する構成又は領域が、複数組み合わさることで、気泡残りのより少ない及び外観審美性のより高い凸状立体模様を得ることができる(例えば、
図1に示す拡大図など参照)。
【0057】
本第1実施形態において前記線状溝を有する構成を利用することで、凸状立体模様の模様が複雑であっても、気泡残りの低減及び外観審美性の高さを満たすことができる。このことを、
図1の右下の拡大図を用いて、凸状立体模様1の一つの例である花形状の一例にて説明するが、本技術に用いられる凸状立体模様は花形状に限定されるものではない。右下の拡大図について、ある1方向から表面をみたときの当該凸状立体模様1は、(1)細長の湾曲の凸部2と細長の湾曲の凸部2との間に存在する線状溝3を有し、細長の湾曲の凸部2が4つかつ線状溝3が3つから構成される、凸状花弁模様1つ;(2)第2部分:凸状花弁模様による凸部と、凸状花弁模様による凸部との間に、表面上の空間と接続する線状溝4を有し、凸状花弁模様による凸部が6つかつ線状溝が6つから構成される、花弁模様の外周凸部;(2)第3部分:外方向に広がる扇状凸部2と当該扇状凸部2との間に存在する線状溝4を有し、扇状凸部2が6つかつ各間の線状溝4が6つから構成される雌しべ模様の内周凸部;(4)第4部分:花弁模様の外周凸部と、雌しべ模様の内周凸部と、の間に存在する環状の線状溝4から構成されている。
【0058】
また、
図1の右上の拡大図について簡単に説明すると、ある1方向からみたときの当該凸状立体模様は、内周凸部、円周状の線状溝、凸部と凸部間の線状溝とから構成される中間周凸部、星型多角形状凸部と当該星型の先端(突出、鋭角)部分にそれぞれ接続する放射線状に配置の線状溝とから構成される外周凸部から構成されている。また、
図1の右中の拡大図について簡単に説明すると、ある1方向からみたときの当該凸状立体模様は、中心円の外周に放射線状に6つの外方向に広がる扇状凸部を配置するとともに、中心円の凸部の外周に環状の線状溝を有し、当該環状の線状溝は、配置された扇状凸部と扇状凸部との間を外方向に向かって延伸し表面の上にある空間と接続している模様である。
【0059】
本第1実施形態において、前記凸部と凸部との間に存在する線状溝の単数又は複数を、又は、前記線状溝を有する構成もしくは領域の単数又は複数を、適宜用いることで、外観審美性の高い複雑な模様にすることができ、気泡残りの低減も可能である。また、当該模様は、立体感又はレリーフ感のある模様にすることも可能である。本第1実施形態を用いることで、気泡残りの低減化が可能となったため、スティック状化粧料の表面に設定する各凸状立体模様の模様又は大きさなどの自由度をより高くすることもできる。
【0060】
例えば、本第1実施形態は、スティック状化粧料を製造する際に、凸状立体模様に得られる線状溝の深さ、幅、長さなどの種々の制御も可能であるため、気泡残りを低減しつつ、前記凸部と凸部との間に存在する線状溝を有する構成又は領域から構成される凸状立体模様の模様は、例えば、線が細く、線の凹凸が深いといった外観審美性をより高くでき、立体感又はレリーフ感も高くできるという利点がある。
【0061】
また、本第1実施形態は、ある1方向からスティック状化粧料を見たときの各凸状立体模様の形状(好適には各模様全体の輪郭)を特に限定せず、表面に、自由に適宜設定することができる。また、本第1実施形態は、同一又は異なる模様や大きさの1種又は2種以上を表面に自由に配置してもよい。例えば、ある1方向から見たときに、ある1つの凸状立体模様の模様全体の形状又は輪郭としては、特に限定されず、例えば、花状、多角形状、環状などを挙げることができ、上述した「スティック状化粧料の周囲の断面形状」で説明したような形状(多角形状及び環状の例など)も適宜採用することができる。また、線対称、点対称、回転対称などの対称的な形状であってもよい。これらから少なくとも1種の模様を用いてもよく、又は2種以上を適宜組み合わせた模様であってもよい。
【0062】
ある1方向からスティック状化粧料をみたときの1つの立体模様全体の上面(ここでは線状溝の面も含める)の面積は、特に限定されないが、その好適な下限値としては、好ましくは0.1mm2以上、より好ましくは、好ましくは0.25mm2以上、さらに好ましくは1mm2以上であり、また、その好適な上限値としては、スティック状化粧料の全表面の面積に応じて自由に大きくすることは可能であるが、好ましくは150mm2以下、より好ましくは125mm2以下、さらに好ましくは100mm2以下であり、当該好適な数値範囲としては、気泡残りの低減及び外観審美性の高さの観点から、0.25~100mm2であり、当該範囲内に該当する大小模様を自由に選択することができる。
なお、本明細書において、「ある1方向からスティック状化粧料をみたとき」は、「スティック状化粧料の長手方向に垂直な方向からみたときに」であってもよい。
【0063】
本第1実施形態では、ある1方向からスティック状化粧料をみたときに、1つの立体模様全体中の凸部全部の上面の面積は、1つの立体模様全体の上面(ここでは線状溝の溝部分の上面の面積も含める)の面積を100%としたときに、特に限定されず、例えば1%以上99%以下の範囲内において自由に設定してもよく、好適な下限値としては、5%、10%、15%、又は20%以上であることが好ましく、30%、40%以上、又は50%以上であることがより好ましいが、さらに60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上にすることができる。凸状による審美性の観点からは、上述した好適な下限値、例えば20%以上などを適宜採用でき、また、好適な上限値としては、95%以下又は90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましく、この範囲であると、表面から突出又は浮き出したようなレリーフ様や彫刻様などの優れた審美的で立体感のある凸状立体模様となりやすい。
【0064】
本第1実施形態において、線状溝を有する凸状立体模様の形状を有するスティック状化粧料は、モールド充填時に発生する気泡残りをより低減できているとともに、外観審美性がより高い凸状立体模様を有するスティック状化粧料を提供することができる。
【0065】
また、本第1実施形態のスティック状化粧料の形態として、特に限定されないが、例えば、口紅、リップグロス、リップトリートメント、リップクリーム、リップ下地などの口唇化粧料やファンデーション、コンシーラー、アイカラー、チーク、スポット用スキンケア化粧料などが挙げられ、これらから1種又は2種以上を選択することができるが、口唇化粧料であることが特に好ましい。剤型は、油性又は油中水型が好ましく、さらに好ましくは、油性である。
【0066】
本第1実施形態のスティック状化粧料の外観形状は、特に限定されず、スティック状であればよい。スティック状化粧料の長手方向に垂直な断面形状は、特に限定されないが、例えば、環状(例えば、円形状、楕円形状(横長又は縦長の長楕円形状)、正円形状、くびれ長楕円形状、ハート形状など)、多角形状(三角形状、四角形状、五角形状、六角形状、八角形状など)などを挙げることができる。当該多角形状には、長方形状、平行四辺形状、台形状、正多角形状、角が丸い形状(例えば、角丸多角形状)などが含まれていてもよい。これらから1種又は2種以上を用いることができる。
【0067】
本第1実施形態のスティック状化粧料の製造方法は、特に限定されず、一般的な製造方法を採用することができ、例えば、成分(A)油性ゲル化剤及び成分(B)25℃で液状の油剤、並びに任意の油性成分を加熱溶融したのち、任意の粉体や水系成分などを均一に混合分散し、これを容器又は型に加熱溶解後に流し込み充填し、冷却させ、容器にセットして得ることができる。本技術のスティック状化粧料の製造方法は、モールドを用いた挿し紅タイプの製造方法が好ましい。
【0068】
なお、本第1実施形態のスティック状化粧料は、後述する本第2実施形態の組成及び本第3実施形態の物性に関する技術的特徴を適宜採用することができる。
例えば、本第1実施形態の組成を、成分(A)油性ゲル化剤(好適にはワックス又はアミノ酸系ゲル化剤)(B)25℃で液状の油剤、を少なくとも有するものにすることができる。また、例えば本第1実施形態の物性を、スティック状化粧料の35℃における硬度が、300N~1500Nである、及び/又は、スティック状化粧料の100℃における溶融粘度が、1~1000mPa・sであるにすることができる。
【0069】
1-2.本第2実施形態に係るスティック状化粧料(組成)について
本第2実施形態は、次の成分(A)及び(B);(A)油性ゲル化剤(好適にはワックス又はアミノ酸系ゲル化剤)(B)25℃で液状の油剤、を少なくとも有するスティック状化粧料を提供できる。さらに、成分(B)は、シリコーン油を含むことが、気泡残りの低減の観点から、好ましい。
【0070】
本第2実施形態の好適な態様として、スティック状化粧料の物性又は当該化粧料組成物の物性を好適な範囲に調整することが、気泡残りの低減及び外観審美性の高さの観点から、好ましい。
好適な前記スティック状化粧料は、35℃における硬度300N~1500N、及び/又は、100℃における溶融粘度1~1000mPa・s、であることが好ましい。
【0071】
本第2実施形態に用いられる前記成分(B)は、シリコーン油を含むものであることが、気泡残りの低減の観点から、好ましい。前記シリコーン油が、ジメチルポリシロキサンであることが好ましい。前記シリコーン油の動粘度(25℃)が、6~1000mm2/sであることが、気泡残りの低減及び外観審美性の高さの観点から、好ましい。前記シリコーン油の含有量が、前記スティック状化粧料中、0.1~5質量%であることが好ましい。
【0072】
(A)油性ゲル化剤
本第2実施形態に用いられる油性ゲル化剤としては、通常化粧料に用いられるもので、25℃で液状の油剤を固化ないしゲル化できるものであれば特に限定されないが、前記スティック状化粧料の所定の硬度範囲になるように固めることができる油性ゲル化剤が好ましい。当該油性ゲル化剤としては、通常化粧料で使用されるものを使用することができ、例えば、ワックス、アミノ酸系ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、糖脂肪酸エステルなどが挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。
このうち、本実施形態に用いられる成分(A)は、ワックス、又は、アミノ酸系ゲル化剤、又はこれらの組み合わせである。
また、前記成分(A)は、ワックス及び/又はアミノ酸系ゲル化剤が好ましく、より好ましくはワックスを少なくとも含むことである。
また、前記成分(A)は、融点60℃又は70以上のものが好ましい。
【0073】
前記成分(A)の含有量は、特に限定しないが、スティック状化粧料全量に対し、好適な下限値としては、好ましくは4%以上、より好ましくは8%以上、さらに好ましくは11%以上であり、また、好適な上限値としては、好ましくは20%以下、より好ましくは17%以下、さらにより好ましくは14%以下である。好適な数値範囲としては、好ましくは4~20%、より好ましくは8~17%、さらに好ましくは11~14%である。当該成分(A)の含有量を調整することにより、油性ゲル化剤及び25℃で液状の油剤との相性をより良好にすることができ、これにより、スティック状化粧料の均一的な塗布感、均一的な色合い、さらに充填時に発生する気泡残りの抑制などが得られやすい。
【0074】
<ワックス>
本第2実施形態に用いられるワックスは、通常化粧料に配合される動物油、植物油、合成油等の起源のワックスであれば特に限定されない。
【0075】
前記ワックスとしては、特に限定されないが、例えば、パラフィンワックス、セレシンワックス、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、合成ワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリプロピレンワックス等の炭化水素ワックス;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ビーズワックス、ライスワックス、ヒマワリワックス、ホホバエステルなどのエステルワックス等が挙げられ、これらから選択される1種又は2種以上である。このうち、気泡残りの低減及び外観審美性の高さの観点から、炭化水素ワックス及びエステルワックスを組み合わせて用いることが好ましい。
【0076】
前記ワックスとしては、融点60℃以上のワックス(より好適には70℃以上のワックス)を用いることが好ましく、その好適な上限値は通常化粧料で使用されている上限値が挙げられる。融点60~90℃又は80~90℃のワックスとしては、キャンデリラワックスなどのエステルワックスなどが挙げられる。融点90~110℃のワックスとしては、特に限定されないが、例えば、エチレン・プロピレンコポリマー、合成ワックス(例えば炭化水素ワックスなど)、フィッシャートロプシュワックス、ポリプロピレンワックスなどの炭化水素ワックスなどが挙げられる。これら融点の異なるワックスを組み合わせて用いることで、このうち、凸状立体模様にある凸部の輪郭をより明瞭にし、外観審美性のより高い立体模様を得る観点から、融点の異なる炭化水素ワックス及びエステルワックスを組み合わせて用いることが好ましい。
【0077】
前記ワックスの融点は、好適な下限値として、好ましくは60℃又は70℃以上、より好ましくは80℃以上のものであり、また、好適な上限値として、好ましくは110℃又は100℃以下、より好ましくは95℃以下であり、好適な数値範囲として好ましくは70℃~110℃のものである。
【0078】
本第2実施形態に用いられる成分(A)ワックスとして、融点60~90℃のワックス(例えば融点80~90℃のワックス)、融点90~110℃のワックスから選択される1種又は2種以上を用いることができる。これら3種のワックスの例示を適宜組合せてもよく、これらから選択される1種又は2種以上を用いることができる。本実施形態において、高い融点のワックスを調整し使用することで、立体模様の輪郭がよりはっきりとしやすく、より良好に外観審美性の高い立体模様を得ることができる。
【0079】
融点範囲が異なるワックスの組み合わせの質量含有割合として、例えば、融点90~110℃(好適には90~100℃程度)のワックスと融点60~90℃(好適には80~90℃程度)のワックスとの質量含有割合は、特に限定されないが、例えば1~20:0.5~5が挙げられ、好ましくは5~15:1~2であるが、シリコーン油及びこれ以外の液状油剤との調整により適宜設定してもよい。
【0080】
本第2実施形態における融点の測定は、示差走査型熱量計(DSC6200、セイコーインスツルメンツ社製)を用い、試料を窒素雰囲気下-10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm)とする。
【0081】
前記成分(A)のワックスの含有量は、特に限定しないが、スティック状化粧料全量に対し、好適な下限値としては、外観審美性と使用性の観点から、好ましくは5%以上、より好ましくは6%以上、さらに好ましくは8%以上であり、また、好適な上限値としては、外観審美性と使用性の観点から、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、さらにより好ましくは15%以下である。好適な数値範囲としては、好ましくは5~25%、より好ましくは6~20%、さらに好ましくは8~15%である。当該成分(A)の含有量を調整することにより、ワックス及び25℃で液状の油剤との相性をより良好にすることができ、これにより、スティック状化粧料の均一的な塗布感、均一的な色合い、さらに充填時に発生する気泡残りの抑制などが得られやすい。
【0082】
<アミノ酸系ゲル化剤>
本第2実施形態用いられる成分(A)アミノ酸系ゲル化剤は、アミノ酸を主骨格とする油性ゲル化剤で、例えば、ジブチルラウロイルグルタミド(融点151-160℃)、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド(融点183-196℃)が挙げられる。
【0083】
前記アミノ酸系ゲル化剤の融点は、特に限定されないが、150℃~200℃程度のものが好ましい。
【0084】
前記成分(A)のアミノ酸系ゲル化剤の含有量は、特に限定しないが、スティック状化粧料全量に対し、好適な下限値としては、好ましくは4%以上、より好ましくは4.5%以上、さらに好ましくは5%以上であり、また、好適な上限値としては、好ましくは7%以下、より好ましくは6.5%以下、さらにより好ましくは6%以下である。好適な数値範囲としては、好ましくは4~7%、より好ましくは4.5~6.5%、さらに好ましくは、5~6%である。当該成分(A)の含有量を調整することにより、アミノ酸系ゲル化剤及び25℃で液状の油剤との相性をより良好にすることができ、これにより、スティック状化粧料の均一的な塗布感、均一的な色合い、さらに充填時に発生する気泡残りの抑制などが得られやすい。
【0085】
(B)25℃で液状の油剤
本第2実施形態に用いられる成分(B)25℃で液状の油剤は、通常化粧料に用いられるものであれば、特に限定されずに用いることができる。動物油、植物油、合成油等の起源を問わず、例えば、炭化水素油、エステル油、高級アルコール、脂肪酸類、シリコーン油、フッ素系油等が挙げられ、これらから1種又は2種以上選択して、当該液状の油剤中又はスティック状化粧料中に含ませる又は用いることができる。
【0086】
前記成分(B)25℃で液状の油剤は、炭化水素油、エステル油、高級アルコール、シリコーン油から選択される、1種以上、又は、2種又は3種又は4種の組み合わせであってもよい。
また、前記成分(B)25℃で液状の油剤は、炭化水素油、エステル油、及び高級アルコールから選択される1種又は2種以上を含む油剤と、シリコーン油との組み合わせであってもよい。
【0087】
また、前記成分(B)25℃で液状の油剤は、シリコーン油以外の25℃で液状の油剤と、シリコーン油との組み合わせが、気泡残りの低減の観点から、好ましい。また、前記成分(B)25℃で液状の油剤は、エステル油と、シリコーン油との組み合わせが、気泡残りの低減の観点から、好ましい。
また、前記成分(B)又はスティック状化粧料は、液状のエステル油及び/又は液状のシリコーン油を少なくとも含ませることが、気泡残りの低減及び外観審美性のより高い立体模様を得る観点から、好ましく、液状のエステル油及び/又は液状のシリコーン油に、さらに液状の炭化水素油及び/又は液状の高級アルコールを含ませてもよい。
【0088】
前記成分(B)25℃で液状の油剤の含有量は、スティック状化粧料全量に対し、特に限定されないが、好適な下限値として、外観審美性と使用性の観点から、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは75%以上であり、また、好適な上限値として、特に限定されず、外観審美性と使用性の観点から、好ましくは90%以下、より好ましくは87.5%以下、さらに好ましくは85%以下である。
【0089】
<液状の炭化水素>
本第2実施形態に用いられる25℃で液状の炭化水素油としては、特に限定されないが、例えば、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ドデカン、イソドデカン、トリデカン、イソトリデカン、テトラデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、流動イソパラフィン、スクワラン、水添ポリデセン、水添ポリイソブテン等が挙げられ、これらを1種または2種以上を使用することができる。
前記液状の炭化水素油は、水添ポリデセン、及び/又は、水添ポリイソブテンを含ませる又は用いることが好ましい。
【0090】
<液状のエステル油>
本第2実施形態に用いられる25℃で液状のエステル油としては、特に限定されないが、例えば、脂肪酸、有機酸等と、(多価)アルコール、(ポリ)グリセリン、糖、糖アルコール等とのエステル油が挙げられる。より詳細には、例えば、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、2-エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸ミリスチリル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ステアロイルステアリン酸オクチルドデシル、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、トリメリト酸トリトリデシル等の脂肪酸とアルコール(一価)とのエステル;ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等の脂肪酸と多価アルコールとのエステル;テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル等の脂肪酸と糖アルコールとのエステル;クエン酸トリエチル、コハク酸ジ-2-エチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル等の有機酸とアルコールとのエステル、ヤシ油、オリーブ油、パーム油、マカデミアンナッツ油、メドウフォーム油、ホホバ油、菜種油、コメヌカ油、ヒマシ油、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、デカエチルヘキサン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10等の脂肪酸とポリグリセリンとのエステル;ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビスイソステアリル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ジ水添ロジンダーマジリノレイル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)等が挙げられ、これらを1種または2種以上を使用することができる。
【0091】
前記液状のエステル油のなかでも、外観審美性と使用性の観点から、有機酸エステル及び脂肪酸エステルが好ましく、より好ましくは、有機酸とアルコールとのエステル、脂肪酸とアルコールとのエステル、脂肪酸と多価アルコールとのエステル、脂肪酸とポリグリセリンとのエステル及び脂肪酸と糖アルコールとのエステルよりなる群から選択される1種または2種以上である。
【0092】
前記液状のエステル油は、有機酸とアルコールとのエステル、脂肪酸とアルコール(一価)とのエステル、脂肪酸とポリグリセリンとのエステルから選択される1種又は2種以上を含ませる又は用いることが、より好ましい。
前記液状のエステル油は、脂肪酸と、アルコール(好適には一価アルコール)又はポリグリセリンとのエステルを、少なくとも含ませる又は用いることが、さらに好ましい。
【0093】
前記液状のエステル油のより好適な具体例としては、リンゴ酸ジイソステアリル、トリメリト酸トリトリデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ステアロイルステアリン酸オクチルドデシル、ステアリン酸オクチルドデシル、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、及び、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10から選択される1種又は2種以上、又は、これらすべての組み合わせを少なくとも含ませる又は用いることが好ましい。
【0094】
前記液状のエステル油の含有量は、スティック状化粧料全量に対し、特に限定されないが、好適な下限値として、外観審美性と使用性の観点から、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上、さらに好ましくは40%以上であり、また、好適な上限値として、特に限定されず、外観審美性と使用性の観点から、好ましくは90%以下、より好ましくは87.5%以下、さらに好ましくは85%以下である。
【0095】
<液状高級アルコール>
本第2実施形態に用いられる25℃で液状の高級アルコール(好適には炭素数16、18、20又は22~24、)として、例えば、オレイルアルコール、2-オクチルドデカノール、2-デシルテトラデカノール、イソステアリルアルコール、2-ヘキシルデカノール等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
前記高級アルコールは、2-オクチルドデカノール、及び/又は、2-デシルテトラデカノールを少なくとも含ませる又は用いることが好ましい。
【0096】
前記液状の高級アルコールの含有量は、スティック状化粧料全量に対し、特に限定されないが、好適な下限値として、外観審美性と使用性の観点から、好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上であり、また、好適な上限値として、特に限定されず、観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下である。
【0097】
<液状フッ素油類>
本実施形態に用いられる25℃で液状のフッ素系油類として、特に限定されないが、例えば、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることもできる。
【0098】
<液状シリコーン油>
本実施形態に用いられる25℃で液状のシリコーン油として、25℃において液状であり、通常化粧料に用いられるシリコーン油であれば特に限定されず、いずれのものも使用することができ、揮発性、非揮発性や粘度、起源を問わない。
【0099】
前記液状のシリコーン油として、特に限定されないが、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性シリコーン等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。これらの中でも、ジメチルポリシロキサンやメチルフェニルポリシロキサン等の鎖状シリコーン油であり、より好ましくは、ジメチルポリシロキサンである。
【0100】
スティック状化粧料中に、シリコーン油(好適には、好適な動粘度範囲に調整されたシリコーン油)を、少なくとも含ませる又は使用することで、充填時の化粧料組成物自体に気泡残りの発生が少なくなるという利点がある。さらに、シリコーン油を使用することで、気泡残りの低減化が行い易く、外観審美性のより高い立体模様を得やすいという利点がある。さらに、シリコーン油を使用することで、スティック状化粧料の35℃における硬度を好適な範囲になるように調整し易いという利点がある。
【0101】
前記液状のシリコーン油の含有量は、スティック状化粧料全量に対し、特に限定されないが、好適な下限値として、気泡残り低減の観点から、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.5%以上であり、また、好適な上限値として、特に限定されず、線又は輪郭などの模様形状の鋭さ低下の抑制の観点から、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下であり、当該好適な数値範囲としては、好ましくは0.01~10%、より好ましくは0.1~5%である。
【0102】
また、前記液状のジメチコンの含有量は、上述した「前記液状のシリコーン油の含有量」の好適な下限値及び好適な上限値を適宜採用することができ、例えば、当該好適な数値範囲としては、好ましくは0.01~10%、より好ましくは0.1~5%である。
【0103】
また、前記液状のシリコーン油以外の前記液状の油剤に対する前記液状のシリコーン油の含有量〔(前記液状のシリコーン油/当該シリコーン油を除く前記液状の油剤)(%)〕は、特に限定されないが、好適な下限値として、外観審美性と使用性の観点から、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.5%以上であり、また、好適な上限値として、特に限定されず、外観審美性と使用性の観点から、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下であり、当該好適な数値範囲としては、好ましくは0.01~20%、より好ましくは0.1~15%である。
また、前記〔(前記液状のシリコーン油/当該シリコーン油を除く前記液状の油剤)(%)〕における「前記液状のシリコーン油」を「前記液状のジメチコン」としてもよい。
【0104】
前記シリコーン油の25℃における動粘度(mm2/s(CS))は、好適な下限値として、外観審美性と使用性の観点から、好ましくは1mm2/s以上、より好ましくは2mm2/s以上、さらに好ましくは5mm2/s以上であり、より好ましくは6mm2/s以上であり、また、好適な上限値として、好ましくは10万mm2/s以下、より好ましくは1万mm2/s以下、より好ましくは5000mm2/s以下、より好ましくは3000mm2/s以下、より好ましくは2000mm2/s以下、より好ましくは1000mm2/s以下、当該好適な数値範囲としては、好ましくは1~10万mm2/s、より好ましくは6~1000mm2/sである。
また、前記ジメチルポリシロキサン(ジメチコンともいう)の25℃における動粘度(mm2/s(CS))は、上述した「前記シリコーン油の25℃における動粘度(mm2/s(CS))」の好適な下限値及び好適な上限値を適宜採用することができ、例えば、当該好適な数値範囲としては、当該好適な数値範囲としては、好ましくは1~10万mm2/s、より好ましくは6~1000mm2/sである。
【0105】
シリコーン油の動粘度をより好適な範囲に調整することで、シリコーン油以外の油剤との相溶性を良くし充填時の気泡残りの低減できるとともに、シリコーン油による前記成分(A)油性ゲル化剤(好適にはワックス)が固化することを、固化しないように調整することができる。
【0106】
本明細書における動粘度は、日本工業規格に規定される原油及び石油製品動粘度試験方法および粘度指数算出方法(JIS K2283)に準拠して行う。
【0107】
本第2実施形態は、上記の成分(A)及び(B)の他に、通常化粧料に使用される成分、粉体、着色成分(着色粉体)、界面活性剤、水性成分、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料等を本実施形態の効果を妨げない範囲で含有することができる。
【0108】
また、本第2実施形態は、油を連続相とするものであり、実質的に水を含有しないものが好ましい。本実施形態における実質的に含有しないとは、全く含まないか、含んだとしても本実施形態に影響を与えない程度であることを意味するものであり、当該影響を与えない程度とは、スティック状化粧料全量に対し、水含有量としては例えば5%、3%、又は1%以下が挙げられる。
【0109】
前記粉体は、通常化粧料で使用されるものであれば、特に限定されず、例えば、多孔性や煙霧状の無水ケイ酸、ジメチルシリル化シリカ等の無水ケイ酸類などが挙げられる。粉体の含有量は、スティック状化粧料全量に対し、特に限定されないが、好適な下限値として、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上であり、また、好適な上限値として、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。
【0110】
前記着色粉体としては、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、硫酸バリウム等の無機粉体類;赤202、黄4などの有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類等が挙げられ、必要に応じて、これらを複合化したり、1種又は2種以上を使用することができる。着色粉体の含有量は、スティック状化粧料全量に対し、特に限定されないが、好適な下限値として、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上であり、また、好適な上限値として、好ましくは8%以下、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは5%以下である。
【0111】
本第2実施形態における、より好適な態様として、本技術のスティック状化粧料は、前記成分(B)は、シリコーン油を含むものが好ましい。当該シリコーン油のうちジメチルポリシロキサンを含むものがより好ましい。当該シリコーン油(好適にはジメチルポリシロキサン)の動粘度(25℃)が、6~1000mm2/sである。また、当該シリコーン油(好適にはジメチルポリシロキサン)の含有量が、0.1~5%であることが好ましい。
【0112】
本第2実施形態は、上述した成分(A)及び成分(B)などを使用した組成にて、モールド充填時に発生する気泡残りをより低減できているとともに、外観審美性がより高い凸状の形状(好適には線状溝を有する凸状立体模様)を有するスティック状化粧料を提供できる。
【0113】
なお、本第2実施形態のスティック状化粧料は、前述した本第1実施形態の形状及び後述する本第3実施形態の物性に関する技術的特徴を適宜採用することができる。
例えば、本第2実施形態の形状は、その表面に、凸部と凸部との間に設けられた線状溝を有する構成又は領域を有する凸状立体模様を備えることにすることができる。また、例えば本第2実施形態の物性を、当該スティック状化粧料の35℃における硬度が、300N~1500Nである、及び/又は、当該スティック状化粧料の100℃における溶融粘度が、1~1000mPa・sである、にすることができる。また、本第2実施形態の形態や剤形、外観形状、製造方法などは、上述した本第1実施形態を適宜採用することができる。
【0114】
また、本第2実施形態の別の側面として、スティック状化粧料の製造又はスティック状化粧料に用いる化粧料組成物の調製において、前記成分(A)及びシリコーン油以外の成分(B)(例えばエステル油)又はこれらを含む組成物に対して、シリコーン油を使用すること又は含有させることで、モールド充填時に発生する気泡留まりを大幅に低減でき、得られた凸状形状の気泡残りが大幅に低減できているとともに凸状の形状(好適には立体模様)の外観審美性がより良好なスティック状化粧料を提供できる。よって、本第2実施形態の別の態様は、凸状立体模様の気泡残りを低減するために用いられる、シリコーン油又はその使用などを提供でき、また、前記成分(A)及びシリコーン油以外の成分(B)又はこれらを含む組成物に対する、シリコーン油の使用方法などを提供できる。また、シリコーン油を用いる、スティック状化粧料製造時の凸状立体模様の気泡残りの低減する剤、又は、スティック状化粧料製造時の凸状立体模様の気泡残り低減剤の製造におけるシリコーン油の使用、又は、シリコーン油を用いるスティック状化粧料製造時の凸状立体模様の気泡残りの低減する方法などを提供できる。
【0115】
1-3.本第3実施形態に係るスティック状化粧料(物性)について
本第3実施形態は、スティック状化粧料の35℃における硬度が、300N~1500N、及び/又は、スティック状化粧料の100℃における溶融粘度が、1~1000mPa・sであるスティック状化粧料を提供できる。
【0116】
スティック状化粧料の100℃における溶融粘度(mPa・s)は、特に限定されないが、好適な下限値としては、好ましくは0.5mPa・s以上、より好ましくは1mPa・s以上、さらに好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは20mPa・s以上、より好ましくは30mPa・s以上であり、また、好適な上限値としては、好ましくは600mPa・s以下、より好ましくはm500Pa・s以下、さらに好ましくは400mPa・s以下、より好ましくは300mPa・s以下、より好ましくは150mPa・s以下、より好ましくは110mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以下であり、当該好適な数値範囲は、気泡残りの低減及び外観審美性のより高い立体模様を得る観点から、より好ましくは1~600mPa・sである。
【0117】
<100℃における溶融粘度の測定方法>
スティック状化粧料の100℃における溶融粘度(mPa・s)は、100℃のときのサンプルを、B型回転粘度計(芝浦システム株式会社)を用いて、測定する。
【0118】
スティック状化粧料の35℃における硬度は、特に限定されないが、好適な下限値としては、好ましくは150N以上、より好ましくは200N以上、さらに好ましくは300N以上、より好ましくは400N以上、さらに好ましくは500N以上であり、また、好適な上限値としては、好ましくは1700N以下、より好ましくは1500N以下、さらに好ましくは1400以下、より好ましくは1200N以下、より好ましくは1000N以下であり、気泡残りの低減及び外観審美性のより高い立体模様を得る観点から、当該好適な数値範囲としては、より好ましくは300N~1500Nである。
【0119】
<35℃における硬度(N)の測定方法>
原料組成(成分)を100℃で溶解し撹拌しながら、ジャー容器に溶融充填し、35℃で1時間放置したものをサンプルとし、これに、FUDOHレオメータ((株)レオテック製)を用いて、下記の測定条件にて、サンプルの硬さ(N)を測定する。機器測定条件:5mmφ治具、テーブルスピード2cm/min、2mmまで針入した際の最大値。
【0120】
本第3実施形態のスティック状化粧料において、例えば、当該スティック状化粧料の35℃における硬度が、300N~1500N、及び/又は、当該スティック状化粧料の100℃における溶融粘度が、1~1000mPa・sになるように、化粧料組成物を調整することが、好ましい。
【0121】
本第3実施形態は、上述した、スティック状化粧料における物性を特定の範囲内になるように調整することで、モールド充填時に発生する気泡残りを低減でき、外観審美性がより高い凸状の形状(好適には線状溝を有する凸状立体模様)を有するスティック状化粧料を提供できる。
【0122】
また、製造する際に原料として使用される油性ゲル化剤(好適にはワックス)の成分及び含有量などを考慮しつつ、25℃で液状のシリコーン油を使用して、本第3実施形態の好適な物性になるように調整することが、モールド充填時に発生する気泡残りの低減及び外観審美性のより高い凸状の形状(好適には立体模様)を得る観点から、より好ましい。
【0123】
なお、本第3実施形態のスティック状化粧料は、上述した本第1実施形態の形状及び本第2実施形態の物性に関する技術的特徴を適宜採用することができる。
例えば、本第3実施形態の形状を、その表面に、凸部と凸部との間に存在する線状溝を有する凸状立体模様を備えるものにすることができる。また、例えば本第3実施形態の組成を、成分(A)油性ゲル化剤(好適にはワックス又はアミノ酸系ゲル化剤)(B)25℃で液状の油剤、を少なくとも有するものにすることができる。また、本第3実施形態の形態や剤形、外観形状、製造方法などは、上述した本第1実施形態を適宜採用することができる。
【0124】
1-4.本第1実施形態~第3実施形態の組み合わせについて
上述のように、本技術は、本第1実施形態に係るスティック状化粧料(形状)、本第2実施形態に係るスティック状化粧料(組成)、本第3実施形態に係るスティック状化粧料(物性)を提供できる。そして、これら実施形態は適宜組み合わせることも可能であり、例えば、本第1実施形態及び本第2実施形態、本第1実施形態及び本第3実施形態、本第2実施形態及び本第3実施形態、本第1~本第3実施形態の組み合わせなどが挙げられる。
これらを組み合わせることによって、モールド充填時に発生する気泡残りをより良好に低減できているとともに、外観審美性がより良好に高い凸状立体模様を有するスティック状化粧料を提供できる。
【0125】
1-5.本第4実施形態に係るスティック状化粧料の製造方法について
本発明者らは、後記〔実施例〕に示すように、スティック状化粧料の表面をみたときに、当該表面に突出して設けている凸状形状の上面に、線状溝が凸部と凸部との間に存在する構成(又は領域)と相補的な凹凸をラバーモールド面に設けた(
図4及び
図5参照)。具体的には、本発明者らが、スティック状化粧料の外観審美性を有する凸状立体模様(特に凸部と線状溝と凸部からなる構成を含む)に対応するように、モールド内の型部分を調整した。より具体的には、ラバーモールド面に設ける凹部に突起を設けてこの凹部を2つに分画することで、ラバーモールド面に、分画凹部と突起と分画凹部を含む構成を設けた。このようなラバーモールド面を用いることで、本発明者らは、充填時のモールド内の凹部の縁又は輪郭の近傍で発生する空気溜まりをより良好に低減できることを見出した。なお、線状溝と相補的な突起は、線状の突起であってもよい。
【0126】
より好適な具体的な例として、モールド内で、スティック状化粧料における凸部と凸部との間に線状溝が存在する凸状立体模様中の構成に対応する相補的な凹部と凹部との間に突起が設けられること;より好適にはモールドの凹部の間に設けられる突起は、突起の高さが、表面高さ基準ライン以下になるように低く設けられていること;などが挙げられる。
【0127】
本第4実施形態に係るスティック状化粧料の製造方法は、上述したスティック状化粧料の形状的な特徴、組成的な特徴、物性的な特徴に関する技術以外は、一般的な製造方法を用いることができる。例えば、上述したスティック状化粧料の化粧料組成物のうち、油性成分を加熱し均一に混合したのち、その他の成分を均一に混合し、形状的な特徴のあるモールドに充填し、冷却固化して得ることができる。本実施形態の製造方法においては、上述した成分(A)及び(B)を含む化粧料組成物を、加熱した状態でモールドに流し込み、冷却固化してスティック状の化粧料を得ることが好ましい。また、モールドの充填前の混合物は、各成分の配合及び各含有量の調整などにより、適宜所望の物性に調整されていてもよい。
【0128】
また、成分(A)、成分(B)を少なくとも含む化粧料組成物を溶融させるための加熱温度は、例えば、使用する前記成分(A)の融点を考慮して融点を超える溶融可能な温度帯(例えば融点±20℃程度)に適宜設定することが好ましく、例えば、ワックスを使用する場合には90~120℃程度、アミノ酸系ゲル化剤を使用する場合には、170~190℃程度が挙げられ、上述した成分(A)の融点幅を適宜採用できる。さらに着色成分などの任意成分を配合する際には、90~110℃又は120~140℃程度で加熱することが挙げられる。
また、冷却固化の温度は、特に限定されないが、4~40℃程度や常温(20~30℃程度)などが挙げられる。
【0129】
<モールド>
本実施形態の製造方法に用いるモールドは、本実施形態のスティック状化粧料の特徴的な形状と相補的な形状を有するモールド面を有することが好ましい。モールドは、金属モールド、ゴムモールドなどが挙げられるが、可とう性のあるゴムモールドの方が、固化後のスティック状化粧料をモールドから外すときに、スティック状化粧料の表面に設けられた凸状立体模様を損傷することが少なく、スティック状化粧料の外観審美性がより高いので、好ましい。当該モールド面には、スティック状化粧料の凸状立体模様を形成するための凹部に突起を設けることが、モールド充填時に固化後に発生する気泡残りを低減できるとともに固化後に外観審美性がより高い凸状立体模様を形成できる観点から、好ましい。
【0130】
より好適な態様として、上述したスティック状化粧料の形状を形成するための紅充填用のゴムモールドを使用する、スティック状化粧料の製造方法であり、
前記モールドは、前記スティック状化粧料の表面に凸状立体模様を設けるために、モールドの表面から窪ませた、凹状立体模様を単数又は複数有し、
前記凹状立体模様は、単数又は複数の突起を有し、前記突起は凹部と凹部との間に存在する、前記スティック状化粧料の製造方法を提供できる。
また、前記凹状立体模様は、2以上の凹部と、1又は2以上の突起から構成されるものが好ましい。また、前記凹状立体模様は、凹部と凹部との突起を有する構成又は領域を有することが好ましい。
本実施形態の製造方法として、前記突起における当該突起の上面の高さは、モールド表面高さ基準ラインよりも低く設けられている、ことが好ましい。
【0131】
前記モールド面は、本技術のスティック状化粧料の形状的な特徴である凹凸形状と相補的な凸凹形状となるため、例えば、スティック状化粧料の凸部、凹部、線状溝などは、モールド表面の凹部、凸部、突起などとすることができ、上述したスティック状化粧料の形状的な特徴である凹凸形状を相補的な凸凹形状に変換して適宜採用することができる。
例えば、1つの凹状立体模様の表面積は、好ましくは0.25~100mm2であり、1つの立体模様全体の上面を100%としたときに、突起の上面の突起部分の面積を除いたときの凹部の上面の面積は、好ましくは70%以上である。また、モールド面にある突起の線状は、充填方向に対し平行若しくは非平行を設けられている部分又は領域とすることができる。
また、モールド面の突起の高さは、好ましくは0.1mm以上0.5mm以下である。モールド面の突起の突起幅は、好ましくは0.1~5mmである。突起の線状の長さは、好ましくは0.1mm以上10mm以下である。
また、モールド面の凹部の窪みは、好ましくは0.1~0.3mmである。モールド面の凹部の幅は、好ましくは0.1~5mmである。
また、モールド面の〔突起の高さ/突起に隣接する1つの凹部の窪み〕は、50%以上100%以下である。
【0132】
図4及び
図5に示すような、モールド50のモールド面54から窪ませた、凹状立体模様51を単数又は複数有し、前記凹状立体模様51は、単数又は複数の突起53を有し、前記突起53は凹部52と凹部52との間に存在する、ラバーモールドのモールド50を用いる。化粧料組成物であるバルク30を加熱により液状にし、液状のバルク30を、充填方向(下矢印)から、モールド50に充填する。モールド50に充填された液状のバルク30には気泡残り58が含まれており、モールド面の凹部52にこの気泡残りが留まりやすい。特に、
図5に示すように、充填方向と突起53とが成す角度が90度になるほど、気泡残りが凹部52により留まりやすくなる。
【0133】
本実施形態では、1つの凹部に1つの突起を設け、2つに分画された凹部52及び凹部52とし、凹部52と凹部52との間に存在する前記突起53がモールド50内面に形成されている。これにより、気泡残り58が、凹部52に留まる数量をより良好に低減することができ、充填方向と突起53とが成す角度が90度であっても気泡残りが凹部52に留まる数量をより良好に低減できる。また、化粧料組成物の組成又は物性を調整することで、さらに気泡残り58が、凹部52に留まる数量をより良好に低減できる。そして、冷却固化後、モールド50面からスティック状化粧料10を取り出すことができる。スティック状化粧料10は、その表面から突出させた大小様々な異なる花模様の凸状立体模様1を複数有する。そして、ある1つの凸状立体模様1は、複数の線状溝3を有し、当該線状溝3は、凸部2と凸部2との間に存在する。スティック状化粧料10は、モールド充填時に発生する気泡残りをより低減できているとともに、外観審美性がより高い立体模様を有する。
【0134】
2.また、本技術は、以下の構成を採用することも可能である。
・〔1〕 表面高さ基準ライン以上に突出した凸状立体模様を単数又は複数有し、
前記凸状立体模様は、単数又は複数の線状溝を有し、
前記線状溝は、凸部と凸部との間に存在する、スティック状化粧料。当該化粧料は、後記〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔6〕の何れかの技術的特徴を適宜組み込んでもよい。
・〔2〕 表面高さ基準ライン以上に突出した凸状立体模様を単数又は複数有し、前記凸状立体模様は、凸部と凸部との間に設けられた線状溝を有する構成又は領域を単数又は複数有する、スティック状化粧料。線状溝は、凸部と凸部とに隣接して設けられていることが好ましい。当該化粧料は、前記〔1〕、後記〔3〕、〔4〕、〔6〕の何れかの技術的特徴を適宜組み込んでもよい。
・〔3〕 表面高さ基準ライン以上に突出した凸状立体模様を単数又は複数有し、 前記立体模様のうち少なくとも1つは、線状溝を有する大凸部を有する、 スティック状化粧料。当該大凸部は、前記線状溝によって凸部と凸部とに分画され、分画された凸部と凸部との間に設けられた線状溝を有する構成又は領域であってもよい。当該化粧料は、前記〔1〕、〔2〕、後記〔4〕、〔6〕の何れか1つの技術的特徴を適宜組み込んでもよい。
【0135】
・〔4〕 次の成分(A)及び(B);(A)油性ゲル化剤(好適にはワックス)、(B)25℃で液状の油剤、を少なくとも有するものである、スティック状化粧料。当該化粧料は、前記〔1〕~〔3〕、後記〔6〕の何れか1つの技術的特徴を適宜組み込んでもよい。
・〔5〕 次の成分(A)及び(B);(A)油性ゲル化剤(好適にはワックス)、(B)25℃で液状の油剤、を少なくとも有するものである、前記〔1〕~〔3〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。
【0136】
・〔6〕 スティック状化粧料であり、当該スティック状化粧料の35℃における硬度が、300N~1500Nである、及び/又は、当該スティック状化粧料の100℃における溶融粘度が、1~1000mPa・sである、前記スティック状化粧料。当該化粧料は、前記〔1〕~〔4〕の何れか1つの技術的特徴を適宜組み込んでもよい。
・〔7〕 スティック状化粧料であり、当該スティック状化粧料の35℃における硬度が、300N~1500Nである、及び/又は、当該スティック状化粧料の100℃における溶融粘度が、1~1000mPa・sである、前記〔1〕~〔6〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。
【0137】
・〔8〕 前記線状溝の深さが、前記表面高さ基準ライン以上に突出した、線状溝に隣接する凸部の高さに対する前記線状溝の深さ(〔線状溝の深さ〕/〔線状溝に隣接する凸部の高さ〕)の割合が、50%以上150%以下である、前記〔1〕~〔7〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。好適には、前記(〔線状溝の深さ〕/〔線状溝に隣接する凸部の高さ〕)の割合が、50%以上100%未満である。
・〔9〕 前記線状溝の線状方向は、前記スティック状化粧料の長手方向に垂直な方向からみたときに、長手方向に対して非平行に設けられている部分を有する、前記〔1〕~〔8〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。
前記線状溝の方向は、長手方向(上方向又は下方向:0度)と前記立体模様の中心から外に向かう方向(左右方向と上下方向)との成す角度が30~90度又は90度以外の角度の範囲内に存在することが好ましい。
【0138】
・〔10〕 前記スティック状化粧料の35℃における硬度が、300N~1500Nである、前記〔1〕~〔9〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。
・〔11〕 前記スティック状化粧料の100℃における溶融粘度が、1~1000mPa・sである、前記〔1〕~〔10〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。
【0139】
・〔12〕 前記成分(A)は、ワックス及び/又はアミノ酸系ゲル化剤を含む、又は、ワックスを少なくとも含むものである、前記〔1〕~〔11〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。
【0140】
・〔13〕 前記成分(B)は、シリコーン油を含むものである、前記〔1〕~〔12〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。
前記シリコーン油が、ジメチルポリシロキサンであることが好適である。
前記シリコーン油の動粘度(25℃)が、6~1000mm2/sであることが好適である。
前記シリコーン油の含有量は、スティック状化粧料全量に対し、0.1~5質量%であることが好適である。
・〔14〕 前記成分(B)は、25℃で液状のエステル油を含むものである、前記〔1〕~〔13〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。
【0141】
・〔15〕 前記線状溝の溝幅は、0.2mm~4mmであること;前記線状溝の溝深さは、0.1mm~0.3mmであること;前記線状溝の線状の長さは、0.2mm~10mmであること;前記線状溝の少なくとも一端は、前記表面の上の空間と接続されていること;から選択される1種又は2種以上である、前記〔1〕~〔14〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。
・〔16〕 前記凸状立体模様は、この上面をみたときに、単数若しくは複数の直線からなる形状、単数若しくは複数の曲線からなる形状、又は、これらの組み合わせからなる形状を含む模様である、前記〔1〕~〔15〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。
・〔17〕 前記凸状立体模様の形状は、この上面をみたときに、環形状、多角形状、これらの組み合わせから選択される1種又は2種以上である、前記〔1〕~〔16〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。前記立体模様は、花弁形状を含む花形状が好ましい。
・〔18〕 前記凸状立体模様に設けられている線状溝の線状は、この上面をみたときに、直線状及び/又は曲線状からなる線状、又は、直線状及び曲線状の組み合わせからなる線状である、前記〔1〕~〔17〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。
・〔19〕 前記立体模様の高さは、表面から0.05~0.5mmである、前記〔1〕~〔18〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。
【0142】
・〔20〕 前記凸部の形状は、この上面をみたときに、単数若しくは複数の直線から形成される形状、単数若しくは複数の曲線から形成される形状、又は、これらの組み合わせから形成される形状である、前記〔1〕~〔19〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。
・〔21〕 前記線状溝の線状の形状は、一筆書き形状でもよい、直線からなる形状、曲線からなる形状、又は、直線及び曲線の組み合わせからなる形状である、前記〔1〕~〔20〕の何れか1つに記載のスティック状化粧料。
【実施例0143】
以下、実施例等に基づいて本技術をさらに詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例等は、本技術の代表的な実施例等の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0144】
下記<実施例1:試験例1~60>において、ラバーモールドのモールド面に、10mmφのスティック状化粧料の凸状立体模様を形成するための凹部に、突起を設けた。このモールド面は、スティック状口紅の塗布部を上方向とし、この長手方向に垂直な方向からスティック状口紅をみたときの線状溝及び凸部は、平行であって、横直線方向の円柱状の口紅が得られるように、作製した。同様にして、縦直線方向、横直線方向及び縦直線方向の組み合わせ(格子状)、右上から左下下がりの斜線方向の各モールド面も、作製した。より具体的には、表1~4に示すように、得られるスティック状口紅が、所定の「線状溝の深さ(mm)」、「2つの凸部に挟まれた線状溝の幅(mm)」、「線状溝に隣接する凸部の高さ(mm)」、「線状溝の長さ(mm)」、「〔線状溝の深さ〕/〔線状溝に隣接する凸部の高さ〕」、「線状溝の線状方向の角度」になるように、相補的な面を有するラバーモールドを作成した。
下記<実施例2:処方試験例1~13>において、
図1に示すような、上部、中部及び下部に、複雑な花模様の凸状立体模様を有するスティック状口紅と相補的なモールド面(内面)を有するラバーモールドを作成した。そして、スティック状口紅を作成し、〔気泡残りのなさ〕〔外観審美性の高さ〕の評価を行い、その結果を表5及び6に示した。
図1に示す上部、中部、下部にあるそれぞれの凸状立体模様について、正面からみたときのそれぞれの「1模様全体の上面面積(1つの凸状立体模様の凸部の上面面積+当該凸状立体模様に存在する線状溝の溝部分の上面の面積)」は、それぞれ、50、10、95mm
2であり、〔1つの凸状立体模様の凸部の上面面積(mm
2)/前記1模様全体の上面面積(mm
2)〕の割合(%)は、それぞれ、60%以上、50%以上、60%以上に該当した。
【0145】
表1~4中の「線状溝の線状方向の角度」は、得られた円筒状口紅の長手方向に対する線状溝の線状方向と、長手方向(0度)とが成す角度である(例えば
図3参照)。表中の「線状溝の線状方向の角度」の場合、線状溝の線状は直線状に形成され、これと平行に凸部が直線状に形成されている。
表中の「線状溝の線状方向の角度」が0度(縦)の場合、スティック状口紅にある凸部は、縦線状の線状溝と平行に、縦方向に形成されている。
表中の「線状溝の線状方向の角度」が90度(横)の場合、スティック状口紅にある凸部は、横線状の線状溝と平行に、横方向に形成されている。
表中の「線状溝の線状方向の角度」が90度+0度の場合、線状溝90度と線状溝0度とを交差させた格子模様になっている。
【0146】
表中の「線状溝の線状方向の角度」が30度又は45度の場合、スティック状口紅にある凸部は、横線状溝と平行に、右上から左下下がり若しくは左上から右下の傾斜方向に形成されている。
表中の「線状溝の線状方向の角度」の角度30度、45度は、上0度からの右回り若しくは左回り(右上から左下の傾斜若しくは左上から右下の傾斜)30度、45度である。
【0147】
評価方法の〔気泡残りのなさ〕について、「凸部数に対する平均気泡残り発生量」は、ある1方向からスティック状口紅の1面をみたときの「1面にある気泡残り発生の総個数/1面にある凸部の総数」である。
【0148】
そして、これらラバーモールドを用いて押し紅タイプの口紅充填方式にてスティック状口紅を製造した。化粧料組成物は、後述する表4及び5に記載の処方実施例1及び4を使用した。このときの化粧料組成物の調製及び当該化粧料組成物のモールドへの充填は、後述する<製造工程 No.1-12>にて行った。
【0149】
<実施例1:試験例1~60>にて、得られたスティック状口紅について、後述する<評価方法>における「気泡残りのなさ」及び「外観審美性の高さ」にて、評価を行い、その結果を表1~4に記載した。
【0150】
<実施例1:試験例1~60>の結果から、円筒状のラバーモールド面に、スティック状化粧料の凸状立体模様を形成するための凹部に突起を設けることで、得られたスティック状口紅は、その表面から突出した凸状立体模様を単数又は複数有し、前記凸状立体模様は、凸部と凸部との間に設けられた線状溝を有する構成又は領域を単数又は複数有するものを得ることができた。そして、当該スティック状口紅は、モールド充填時に発生する気泡残りをより低減できているとともに、外観審美性がより高い凸状立体模様を有していた。
【0151】
そして、表1~4に示すように、モールド面に設けた充填方向に対して90度方向(横方向)の突起(口紅では、「線状溝の角度」90度)の場合には、充填方向と平行な0度方向(縦方向)の突起よりも、気泡残りが抜ける経路の確保が困難であるため、気泡残りが生じやすいが、本件の「線状溝の角度」90度(例えば、試験例33など)の場合には、合格ライン以上にはあった。さらに、「線状溝の角度」30度や45度の場合でも、気泡残りが低減できる。このように、線状溝の線状は、様々な方向であっても、気泡残りが低減できるので、様々な模様を作製することができ、これにより外観審美性の高いスティック状化粧料を得ることができる。
【0152】
さらに、実際に、後述する<実施例2:処方試験例1~13>において、複雑な花模様の凸状立体模様を複数形成させたスティック状口紅において、気泡残りのなさ、外観審美性の高さは非常に良好であった。このことから、本技術は、線状溝の線状が少なくとも45又は50度~90度の範囲にあるような凸状立体模様を有している場合でも、気泡残りのなさは良好であり、外観審美性も高いと考える。
【0153】
さらに、<実施例2:処方試験例1~13>において、モールド充填時に発生する気泡残りをより低減できているとともに、外観審美性がより高い立体模様を有するスティック状化粧料を提供するためのより好適な条件について、化粧料組成物の組成の側面から検討を行った。
【0154】
その結果、成分(A)油性ゲル化剤(好適には、ワックス、アミノ酸系ゲル化剤)及び成分(B)25℃で液状の油剤(好適には、エステル油、シリコーン油)を使用することがより好ましいと考えた。
【0155】
さらに、モールド充填時に発生する気泡残りをより低減できているとともに、外観審美性がより高い立体模様を有するスティック状化粧料を提供できるスティック状化粧料の好適な物性についても検討したところ、スティック状口紅の35℃における硬度が、300N~1500Nであり、及び、スティック状口紅の100℃における溶融粘度が、1~1000mPa・sであることがより好ましいと考えた。
【0156】
また、<実施例2:処方試験例1~13>において、油性ゲル化剤と25℃で液状の油剤から形成されるスティック状口紅において、気泡残りのなさのより低減及び外観審美性の高さのより向上させることを検討した結果、シリコーン油(好適には比較的低粘度のシリコーン油)を使用することで、さらなる気泡残りのなさのより低減及び外観審美性の高さのより向上させることができることも見出した。
【0157】
<まとめ>
処方実施例1~13のスティック状化粧料は、モールド充填時に発生する気泡残りがより低減できているとともに、外観審美性がより高い凸状の形状(好適には立体模様)を有することができた。そして、得られたスティック状化粧料は、複雑な模様のある凸状立体模様や大小異なる複数の凸状立体模様も形成できていたことからも、立体感があり、外観審美性に優れていた(例えば
図1など参照)。特に、処方実施例3,4,10,13のスティク状化粧料の模様には、気泡残りも非常に少なく表面から立体的形状として突き出して立体感がありレリーフのような感じが感じられ、レリーフ感が強く非常に外観審美性に優れていた。
【0158】
そして、スティック状化粧料の長手方向に対し垂直な方向からみたときに、凸状形状の上面に線状溝の線状が設けられていることで、凸状形状の表面の凹凸がはっきりと視認でき、模様の輪郭や縁取りもより明瞭であった(例えば
図1、
図2、
図3など参照)。
そして、表3に示す「実施例44、47」の条件のモールドを用いて、処方実施例2、3、5~13の化粧料組成物についても、スティック化粧料を作製し、〔気泡残りのなさ〕〔外観審美性の高さ〕の評価を行ったところ、これらすべて気泡残りの低減、外観審美性の高さの何れも、少なくともB以上であった。
<実施例1の試験例1~60>及び<実施例2の処方実施例1~13>の評価結果を考慮すると、スティック状化粧料における凸状立体模様は、花模様に限らず、幅広い様々な模様に設定でき、気泡残りのなさが良好であり、外観審美性の高いと考えられる。
【0159】
また、スティック状化粧料に、成分(A)油性ゲル化剤及び成分(B)25℃で液状の油剤を含有させることで、モールド充填時に発生する気泡残りをより低減でき、凸状の形状(好適には立体模様)の表面に発生する気泡残りをより良好に抑制できているとともに、外観審美性がより高い凸状の形状(好適には立体模様)を有するスティック状化粧料を提供できた。さらに、25℃で液状の油剤のうちで、比較的低粘度のシリコーン油を使用した場合に、さらに気泡残りが大幅に低減できているとともに、かつ外観審美性がより高い凸状の形状(好適には立体模様)を有するスティック状化粧料を提供できた。
【0160】
また、スティック状化粧料は、スティック状口紅の35℃における硬度が、300N~1500Nであり、及び、スティック状口紅の100℃における溶融粘度が、1~1000mPa・sになるように調整することで、モールド充填時に発生する気泡残りをより低減でき、凸状の形状(好適には立体模様)の表面に発生する気泡残りをより良好に抑制できているとともに、外観審美性がより高い凸状の形状(好適には立体模様)を有するスティック状化粧料を提供できた。
【0161】
<評価方法>
〔気泡残りのなさ〕
化粧料1方向側面あたりの、凸部数に対する平均気泡残り発生量が0~0.1個以下 : AA
化粧料1方向側面あたりの、凸部数に対する平均気泡残り発生量が0.1個を超えて~0.5個以下 : A
化粧料1方向側面あたりの、凸部数に対する平均気泡残り発生量が0.5個を超えて~1個以下 : B
化粧料1方向側面あたりの、凸部数に対する平均気泡残り発生量が1個を超えて~1.5個以下 : C
化粧料1方向側面あたりの、凸部数に対する平均気泡残り発生量が1.5個を超える : D
【0162】
〔外観審美性の高さ〕
(評価項目)
化粧品専門評価者 20名により、紅を繰り上げた際の外観の模様の美しさを評価(官能評価)した。以下のように各々5段階評価した。
<評価基準>
(評点) :(評価)
5:模様の輪郭が明確で非常に美しい
4:やや模様の輪郭が明確で美しい
3:わずかに模様が美しい
2:やや模様の輪郭が明確ではなく美しくない
1:非常に模様の輪郭が明確ではなく美しくない
(判定):(評点の平均点)
AA :平均評点が4.5以上~5.0
A :平均評点が4.0以上~4.5未満
B :平均評点が3.5以上~4.0未満
C :平均評点が2.5以上~3.5未満
D :平均評点が2.5未満
【0163】
<実施例1:試験例1~60>
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
<実施例2:処方試験例1~13>
【0169】
【0170】
【0171】
※1 EPSワックス 日本ナチュラルプロダクツ
※2 LIPWAX A-4 日本ナチュラルプロダクツ
※3 精製キャンデリラワックス SR-3 日本ナチュラルプロダクツ
※4 アミノ酸系ゲル化剤GP-1 味の素
※5 アミノ酸系ゲル化剤EB-21 味の素
※6 コスモール 43V 日清オイリオグループ
※7 パールリーム18 日油
※8 サラコス 913 日清オイリオグループ
※9 リソノール 24SP 高級アルコール工業
※10 KIS-1010 阪本薬品工業
※11 SILKFLO 364 LIPO CHEMICALS INC
※12 リソカスタ ODSHS 高級アルコール工業
※13 ハイマレート DIS 高級アルコール工業
※14 LIPONATE TDTM LIPO CHEMICALS INC
※15 AEROSIL R-976S 日本アエロジル
※16 KF-96L-2CS 信越化学工業
※17 シリコン KF-96A(6CS) 信越化学工業
※18 KF-96-100CS 信越化学工業
※19 KF-96-1000CS 信越化学工業
※20 シリコン SH200(10万CS) 東レ・ダウコーニング
【0172】
<製造工程 No.1-12>
A.成分(1)~(21)を均一に100℃にて溶解する。
B.成分(22)~(26)をAに加え、ロールミルにて混合分散する。
C.Bを100℃で溶解し攪拌しながらモールド容器に充填し、冷却固化後、油性化粧料(スティック口紅)を得た。
モールド容器は、表3:実施例44、及び47と同一基準のもの、並びに
図1記載のものである。
【0173】
<製造工程 No.13>
A.成分(1)~(21)を均一に180℃にて溶解する。
B.成分(22)~(26)をAに加え、ロールミルにて混合分散する。
C.Bを130℃で溶解し攪拌しながらモールド容器に充填し、冷却固化後、油性化粧料(スティック口紅)を得た。
モールド容器は、表3:実施例47と同一基準のもの、及び
図1記載のものである。
【0174】
<100℃における溶融粘度(mPa・s)の測定方法>
機器/メーカー : B型回転粘度計(芝浦システム株式会社)
100℃のときのサンプルを、B型回転粘度計(芝浦システム株式会社)を用いて、測定する。
【0175】
<スティック状化粧料の35℃における硬度(N)の測定方法>
機器/メーカー:(株)レオテック製FUDOHレオメータ
機器測定条件 : 5mmφ(直径)治具、テーブルスピード2cm/min、2mmまで針入した際の最大値
充填条件 : ジャー容器にバルクを溶融充填し、35℃で1時間放置したスティック状化粧料
原料組成(成分)を100℃で溶解し撹拌しながら、ジャー容器に溶融充填し、35℃で1時間放置したものをサンプルとし、これに、FUDOHレオメータ((株)レオテック製)を用いて、下記の測定条件にて、サンプルの硬さ(N)を測定する。機器測定条件:5mmφ(直径)治具、テーブルスピード2cm/min、2mmまで針入した際の最大値。
1 凸状立体模様;2 凸部;3 線状溝;4 表面高さ基準;5 線状溝の溝底;6 凸部の上面;SL 表面高さ基準ライン;D 線状溝の深さ;H 凸部の高さ;10 スティック状化粧料;20 スティック状化粧料用容器;30 バルク(化粧料の内容物):50 モールド;51:凹状立体模様(モールド面の凹状立体模様);52 凹部(モールド面の凹部);53 突起(モールド面の突起);54 モールド面;58 気泡残り