(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】洗濯補助具
(51)【国際特許分類】
D06F 35/00 20060101AFI20220104BHJP
D06F 57/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
D06F35/00 A
D06F57/00 340
(21)【出願番号】P 2020014176
(22)【出願日】2020-01-15
【審査請求日】2020-09-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507148135
【氏名又は名称】株式会社ジャストニット
(72)【発明者】
【氏名】若月 壮介
(72)【発明者】
【氏名】若月 美保
(72)【発明者】
【氏名】若月 すみ子
【審査官】関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-334397(JP,A)
【文献】特開2000-312796(JP,A)
【文献】実公昭43-026776(JP,Y1)
【文献】特開昭62-026098(JP,A)
【文献】特開2006-026112(JP,A)
【文献】特開2000-342889(JP,A)
【文献】独国実用新案第000029814648(DE,U1)
【文献】実開昭60-027883(JP,U)
【文献】特開平10-151292(JP,A)
【文献】実開平05-070487(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 35/00
D06F 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項4】
前記内挿材が、ハンガーを保持する保持手段を有していることを特徴とした請求項1、2または3のいずれか1項に記載の洗濯補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄中の衣類に攪拌等による機械的な力が負荷されると、この機械力による衣類同士の衝突や接触、繊維同士の絡み合いが原因で、衣類の収縮や型崩れが生ずる事になる。
【0003】
このため、従来は、収縮や型崩れを生じやすくデリケートな扱いの必要な衣類に対しては、洗濯ネットと呼ばれる袋に入れた洗濯が行われていたが、収容された衣類は洗濯中に袋の中で激しく動いて丸まったり、洗濯ネットごと変形してよじれたりして、収縮や型崩れを十分に防止することができなかった。
【0004】
そのため特許文献1には、連結された板を衣類内に内挿して、連結部分で折り曲げ、洗濯ネットに収容して洗濯する方法が提案されている。
【文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のように連結された板を内挿材として使用した場合には、ある程度重量があり、洗濯される衣類どうしがこすれあっていたみやすく、また、衣類の繊維間を水流が通りにくく、洗濯の効率を落とし、また形状も大きくなりやすいため、家庭用の洗濯機には、不向きになりやすい。また、内挿材が板であるため、そのまま干すに通気性が悪化しやすい。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためのもので、型崩れや縮みを抑制しつつ洗濯される衣類同士にやさしく、そのまま干すこともでき、家庭用にも最適な洗濯補助用具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、下記の洗濯補助具を提供するものである。
(1)洗濯される衣類の内径に沿った首部分、胴部分、両袖部分の形状を一体に有するメッシュ布を2枚重ね、少なくとも前記胴部分の両側周辺、および前記両袖部分の周辺の端を、接着できるテープ状の繊維布である周辺部材によりつつんで接合し、前記胴部分の両脇裾部分、両袖部分の先にそれぞれ設けた短冊状のガイドヒモが、前記洗濯される衣類の胴部分、両袖部分から外に出る状態に内挿できる、折りたたみが容易な内挿材と、該内挿材を内挿し折り畳まれて洗濯される前記衣類を覆って収容する洗濯ネットとから成り、該洗濯ネットは、収容した洗濯される前記衣類と前記内挿材を共に折り畳んだ状態に保持する止着手段を有することを特徴とする洗濯補助具。
(2)前記洗濯ネット表面よりも前記内挿材の表面が、毛羽立ちのある形状であることを特徴とした(1)に記載の洗濯補助具。
(3)前記メッシュ布が、寒冷紗であることを特徴とした(1)、または(2)のいずれかひとつに記載の洗濯補助具。
(4)前記内挿材が、ハンガーを保持する保持手段を有していることを特徴とした(1)、(2)または(3)のいずれかひとつに記載の洗濯補助具。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、型崩れや縮みを防止しつつ洗濯機内の衣類にあたる水流を細かくし、繊維間を通りやすくすることで衣類をやさしく、かつ、繊維間の汚れを落とし、よりよく洗濯する事が容易で、乾燥するときそのまま干すことが出来、型崩れを抑制し、乾燥時間も短縮でき、家庭用に最適な洗濯補助具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】本発明の内挿材を衣類内に内挿した状態の概略図を示している。
【
図5】本発明の内挿材を内挿した衣類を洗濯ネットに収納するための畳み方を示している。
【
図6】本発明の内挿材を内挿して、畳んだ衣類を洗濯ネットに収納する方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のメッシュ布は、糸を空隙率が高く(目が粗く)織り込んだ布で、織り糸には麻や綿、合成繊維ビニロン糸、テトロン糸や高強力ポリエステル糸などを使用できる。
メッシュ布として、目の粗い平織品である寒冷紗は好ましいもので、平織りにした薄い布の縦糸と緯糸の交点を、ポバール等の接着樹脂で固定した通常の市販品が使用できる。ポリエステルのような熱可塑性の繊維の場合、繊維とバインダー繊維の混紡糸からなる織物としバインダー成分によりポリエステル繊維同士及び経緯糸の交差点を融着して寒冷紗を得ることもできる。寒冷紗は、素材は紡績したままのもので、多少毛羽立ちがあり、作成した布も毛羽立ちが生じている。
【0012】
本発明の内挿材は、洗濯される衣類の内側に挿入するもので、洗濯される衣類の内径に沿った形状を有しており、型崩れや縮みを抑制するための部材をさす。主体がメッシュ布のため周辺がほつれやすい場合は、周辺部材を設けてほつれを抑制する。メッシュ布と縫い付けたりするが、周辺部材に熱圧着性があると取付作業がしやすくなり、固定も安定する。
内挿材は、折り畳みが容易な布ではあるが、ある程度の腰があるのが好ましく折り畳んだ後で折角度が0.5割から3割程度戻る方が、洗濯する衣類にしわが入りにくく、好ましい。また、通液性、通気性は大きいほど好ましいが、布に腰がなくなりやすい。
内挿材として2枚の前記メッシュ布を重ね合せ、その周辺部を上記周辺部材等で接合した場合、その2枚の間に間隙ができやすくなり、より通液性、通気性がよくなり、好ましい。
また、下記の洗濯ネット表面よりも内挿材の表面が、毛羽立ちのある形状であることが好ましい。この毛羽立ち等により、洗濯される衣類と弱い密着性が生じ、型崩れや縮みを抑制に役立つ。外側の面の毛羽立ちは、折りたたまれた内挿材の畳み具合の固定に役立つ。毛羽立ち等のある形状は、メッシュ布にあっても前記周辺部材にあってもよい。
単糸は、素材を紡績したままのもので、多少毛羽立ちがあり、単糸で作成した布も、毛羽立ちが生じやすい。一方双糸その他は、単糸を2本以上撚り合わせて更に撚っているため、表面が工程上なめらかになり、作成した布も毛羽立ちの少ないものになりやすい。
【0013】
本発明の洗濯ネットは、洗濯される衣類を収納する袋で内挿材を内挿して折り畳まれた洗濯される衣類を覆って収容し洗濯する
洗濯ネットの素材としては、ある程度目が粗く、水がスムースに流入、流出できること、
目が粗くとも中の洗濯物が洗濯槽に直接接触することをさまたげること、洗濯機槽内の水流に従って、洗濯機槽内の物及び水の動き対応できる程度の柔軟性があること、中の洗濯物、保護することが可能な程度のハリ、硬さを有する事、または、繰り返し使用するため、ある程度の堅牢性があることがあげられる。内挿材よりも、より水のとおりがよいことが望ましいため、太い糸を使用して粗く織り込んだ布なども洗濯ネットとして使用できる。
【0014】
本発明の止着手段は、洗濯ネットの表面に設ける留め具で、洗濯ネットを折り畳んだときにその形状を維持するものをさす。
【0015】
本発明のハンガーは、衣類用の吊り下げ型の整理具で、一般に市販されているものが使用できる。洗濯ネットを使用して洗濯した衣類を洗濯ネットから取り出し、内挿材付き衣類に取り付けて乾燥させることができる。
【0016】
本発明の保持手段は、内挿材に設ける手段で、内挿材がハンガーにかかるようにした手段で、内挿材にハンガーを通す空間を設けたり、表面メッシュ部材と裏面メッシュ部材の2枚のメッシュ布を重ね周辺を被着する場合に、少なくとも首の部分は被着せずハンガーを通す空間を設けたりすることで、内挿材がハンガーにかかるようにすることができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の内挿材の概略図を示している。
内挿材1は、上半身の衣類用のものを示していて、メッシュ布2の周辺に周辺部材3を設けている。周辺部材3は、接着できるテープ状の繊維布で、周辺の端をつつんで接着しステッチ止縫いをして形態の安定を図っている。また、首の部分にハンガーを通す空間4が設けられている。袖部分の先、両裾部分及び頭頂部分に、短冊状のガイドヒモ5をつけ、洗濯衣類の中へ通しやすくしている。
【0018】
図2は、本発明の別の内挿材の概略図を示している。内挿材は2枚のメッシュ布2が重ねられていて、裁ち端は周辺部材3として、テープ状の接着できる繊維布で巻きまわされている。
図2(a)は、胴部分が閉じている場合、
図2(b)は、同裾部分が開いている場合を示している。胴部分が開いていると、乾燥時の乾燥効率があがり、裾部分からハンガーの挿入も可能となるため、好ましい。
また、首から上の部分は、開口していて、2枚のメッシュ布2のそれぞれの端部が、別々に周辺部材3で巻きまわされている。ここより、ハンガー等を挿入することができる。
また、頭頂及び両袖口、両脇裾に洗濯物を通すためのガイドヒモ5をつけている。
【0019】
図3は、本発明の内挿材を衣類内に内挿した状態の概略図を示している。
内挿材1は、衿天井部分、袖先、両枠裾部分にガイドヒモ5を複数有している。このガイドヒモ5は、内装材1を衣類6に挿入する際ガイド的役割を果たし挿入しやすくするためのものである。
【0020】
図4は本発明の洗濯ネットの概略図を示している。
図4(a)は、開口部が開いた状態、
図4(b)は、開口部が閉じた状態を示している。
洗濯ネット7は、メッシュ状のシートで作られ、下半分は折り返され2重になる。その周りを周辺部材3であるテープ状の接着力のある繊維布で巻き回されてされ、その端をステッチ止めして、ほつれるのを防いでいる。
また、上部及び両脇に突起状のテープを取り付け洗濯する衣類入れて畳んだのちに形態を維持する。留め具8(例えばドットボタン)でたたんだ重なる端を止めることができるようにしている。
【0021】
図5は、本発明の内挿材を内挿した衣類を折り畳む方法を示している。
図5(a)は、畳む前、
図5(b)は畳む途中、
図5(c)は畳んだ後を示している。
まず、
図5(a)に示すように、洗濯する衣類6に内挿材1を挿入し、次に、
図5(b)に示すように、点線部分で、内挿材1の入った衣類6の袖をたたみ、襟を前に倒した状態とし、次に
図5(c)に示すように、
図5(b)の状態の衣類6の胴体部分を縦に3つに畳む。
【0022】
図6は、本発明の内挿材を内挿した衣類を洗濯ネットに収納する方法を示している。
図6(a)は、収納前、
図6(b)は収納後折り畳む前、
図6(c)は畳んだ後を示している。
まず、
図6(a)に示すように、洗濯ネット7の入口を開いて洗濯物を入れる。次に、
図6(b)に示すように、洗濯ネット7の入口の蓋部分を閉じる。次に、
図6(c)に示すように、洗濯ネット7を2つに畳んで、止めテープの留め具8であるドットボタンで止める。
【0023】
図7は、本発明の洗濯後の乾燥方法を示している。
図7(a)は、ハンガーにかける途中、
図7(b)は、干している状態を示している。
図7(a)に示すように、洗濯終了後、洗濯ネット7から出した洗濯した衣類6にハンガー9を挿入する。これを
図7(b)に示すように、さおにかけて乾燥する。
本発明の内挿材を使用することにより、衣類乾燥の作業はハンガーを挿入するという簡単な作業で終了でき、洗濯される衣類は無理なく衣類本来の形のまま自然な形で乾燥され型崩れのリスクが多分に減少され、さらに、衣類の中に空気が通り抜けやすく乾燥時間の短縮を期待できる。
【符号の説明】
【0024】
1…内挿材、2…メッシュ布、3…周辺部材、4…ハンガーを通す空間、5…ガイドヒモ、6…衣類、7…洗濯ネット、8…留め具、9…ハンガー