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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】路面切削機、吸引装置および切削ドラム
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/12 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
E01C23/12 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017112774
(22)【出願日】2017-06-07
(65)【公開番号】P2018204362
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-02-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲1▼公開日 平成29年1月10日~平成29年2月9日 公開場所 千葉県山武市蓮沼海浜公園(千葉県山武市蓮沼ホ368-1) 公開者 株式会社フタミ(大阪府堺市美原区大保124-1) ▲2▼公開日 平成29年4月12日 公開場所 大阪府堺市美原区大保124-1株式会社フタミ内 公開者 株式会社フタミ(大阪府堺市美原区大保124-1)
(73)【特許権者】
【識別番号】000235163
【氏名又は名称】範多機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136847
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼山 嘉成
(74)【代理人】
【識別番号】100144945
【弁理士】
【氏名又は名称】石野 明則
(73)【特許権者】
【識別番号】593162291
【氏名又は名称】株式会社フタミ
(74)【代理人】
【識別番号】100136847
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼山 嘉成
(72)【発明者】
【氏名】畠中 徹
(72)【発明者】
【氏名】樋口 幸弘
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-023755(JP,A)
【文献】特開昭63-110303(JP,A)
【文献】特開平05-103504(JP,A)
【文献】特開平06-303816(JP,A)
【文献】特開2014-152563(JP,A)
【文献】特開2017-095906(JP,A)
【文献】特開2003-184027(JP,A)
【文献】特開2008-208654(JP,A)
【文献】特開平02-047413(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0132059(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面を切削する路面切削機であって、
走行用の車輪を備えた車体と、
表面に複数の突起を有し、上記車体に回転可能に支持され、回転駆動される切削ドラムと、
油圧アクチュエータと、
上記油圧アクチュエータの移動量を、上記車輪と上記切削ドラムとの間の上下方向の移動量に変換する変換機構と、
制御部と、
上記制御部から入力された電気パルスに追従して、上記油圧アクチュエータを動作させる電磁弁とを備え
上記油圧アクチュエータは、車体の下部で前後運動する油圧シリンダであり、
上記変換機構は、上記油圧シリンダの一端に回動可能に連結され且つ上記車輪を回動可能に連結するクランクと、上記クランクを回動可能に連結する連結部とを含み、上記油圧シリンダが前後運動をすることで、上記車輪が上下する機構であることを特徴とする、路面切削機。
【請求項2】
上記電磁弁は、オンオフの切り替えが1分間あたり500回以上可能な高速反応電磁弁であることを特徴とする、請求項1に記載の路面切削機。
【請求項3】
上記電磁弁は、オンオフの切り替えが1分間あたり1000回以上可能な高速反応電磁弁であることを特徴とする、請求項2に記載の路面切削機。
【請求項4】
上記電磁弁は、オンオフの切り替えが1分間あたり1200回以上可能な高速反応電磁弁であることを特徴とする、請求項3に記載の路面切削機。
【請求項5】
上記電磁弁は、ステップ応答が100msec以下であることを特徴とする、請求項1に記載の路面切削機。
【請求項6】
上記電磁弁は、ステップ応答が50msec以下であることを特徴とする、請求項5に記載の路面切削機。
【請求項7】
上記切削ドラムに向けて配置された吸引口と、
上記吸引口から吸引することによって上記切削による破砕物を収集する吸引機構とを有する吸引装置を備えた請求項1~6のいずれかに記載の路面切削機。
【請求項8】
上記複数の突起は、一時に路面と接触する突起が一つとなるように配置されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の路面切削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装道路の路面を切削する路面切削機、切削により路面から生じる破砕物を回収する吸引装置、および、路面を切削するために路面切削機に備えられる切削ドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、舗装道路において亀裂などが入った表層の補修部分を剥離し、剥離によって生じる破砕物を回収するために路面切削機が用いられている。
【0003】
路面切削機は、特許文献1に示されるように、表面に掘削爪(突起)が設けられた回転ドラム(切削ドラム)が、路面切削機の走行に伴って、路面において走行方向に掘削爪が移動するように、高速回転される。これにより、路面に切削溝が形成され、切削により生じた破砕物が搬送コンベヤによって搬送されて回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-21107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の路面切削機はアスファルトの切削に用いられることが多く、1cm単位の切削深さ制御でよかった。しかし、近年、プールや屋上などのウレタン防水塗装や競技場などのゴム塗装などを機械的に切削することが求められており、ウレタン防水塗装であれば、1~2mm程度、ゴム塗装であれば1~5mm程度の深さを切削できるように、切削深さを精度良く制御することが求められている。
【0006】
特許文献1には、路面切削機の車体を上下させるための機構として、油圧駆動を用いることが記載されているが、通常の油圧駆動で車体を上下させる場合、車体の上下動を精度良く行なうことができない。したがって、特許文献1に記載の技術では、切削の深さを精密にコントロールすることができない。
【0007】
本発明の目的は、切削の深さを精密にコントロールして路面を切削する路面切削機、切削により生じた粉砕物を回収する吸引装置、および、路面切削機に備えられ路面の切削に用いられる切削ドラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る路面切削機は、路面を切削する路面切削機であって、走行用の車輪を備えた車体と、表面に複数の突起を有し、上記車体に回転可能に支持され、回転駆動される切削ドラムと、油圧アクチュエータと、上記油圧アクチュエータの移動量を、上記車輪と上記切削ドラムとの間の上下方向の移動量に変換する変換機構と、制御部と、上記制御部から入力された電気パルスに追従して、上記油圧アクチュエータを動作させる電磁弁とを備え、上記油圧アクチュエータは、車体の下部で前後運動する油圧シリンダであり、上記変換機構は、上記油圧シリンダの一端に回動可能に連結され且つ上記車輪を回動可能に連結するクランクと、上記クランクを回動可能に連結する連結部とを含み、上記油圧シリンダが前後運動をすることで、上記車輪が上下する機構である。
【0009】
この構成によれば、電磁弁は、制御部から入力された電気パルスに追従して動作する。そのため、電磁弁によって油圧アクチュエータの微小な量を高速に動作させることができる。また、変換機構によって、油圧アクチュエータの移動量が、車輪と切削ドラムとの間の上下方向における移動量に変換される。そのため、油圧アクチュエータの動作を上下移動に変換することより、精密な上下移動が可能となる。したがって、切削の深さをより迅速かつ精密にコントロールして路面を切削することができる。
【0010】
好ましくは、電磁弁は、オンオフの切り替えが1分間あたり500回以上可能な高速反応電磁弁であるとよく、より好ましくは、オンオフの切り替えが1分間あたり1000回以上可能な高速反応電磁弁であるとよく、さらに好ましくは、オンオフの切り替えが1分間あたり1200回以上可能な高速反応電磁弁であるとよい。
【0011】
好ましくは、電磁弁は、ステップ応答が100msec以下であるとよく、より好ましくは、ステップ応答が50msec以下であるとよい。
【0012】
このような高速反応電磁弁を用いることで、油圧アクチュエータの動作方向の切り替えを高速に行なうことができるので、切削深さのフィードバック制御によって、切削深さをmm単位で制御することが可能となる。
【0013】
切削ドラムに向けて配置された吸引口と、吸引口から吸引することによって上記切削による破砕物を収集する吸引機構とを有する吸引装置を備えていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、路面の切削によって生じた破砕物を効率的に回収することができる。
【0015】
複数の突起は、一時に路面と接触する突起が一つとなるように配置されているのが好ましい。
【0016】
この構成によれば、一時に一つの突起が路面に当接する。そのため、一時に複数の突起が路面に当接する場合と比較して、路面と突起との抵抗を下げることができる。その結果、複数の突起が路面に当接する場合と比較して、切削ドラムを高速に回転させることが可能となる。そのため、路面切削の施工速度を向上させることが可能となる。また、切削ドラムの切削時の抵抗を下げることで、容易に切削を行うことができ、切削ドラムの回転がスムースになる。そのため、切削ドラムの上下移動量をmm単位で制御したとしても、切削ドラムをスムースに回転させることができるので、路面をmm単位で切削することが可能となる。
【0017】
高速反応電磁弁によって、切削ドラムの移動量を微細に調整できるようにしたとしても、路面と突起との抵抗が大きいと、路面切削時の切削ドラムの上下変動が大きくなってしまい、その結果、切削ドラムの上下移動量が安定化しにくくなる。しかし、切削ドラムの回転時の抵抗を小さくすることで、路面切削時の切削ドラムの上下変動を小さくすることができるため、その結果、切削ドラムの上下移動量が安定しやすくなる。そのため、高速反応電磁弁による切削ドラムの移動量の微細な制御が有効に作用して、切削ドラムを所望の切削深さとなるように、微細に制御することが可能となる。このような、高速反応電磁弁による上下移動量の精密制御と一時に一つの突起が路面に当接する構成との組み合わせによって、相乗効果が期待でき、精度の高い路面切削の実現が可能となる。
【0018】
本発明に係る吸引装置は、上記の路面切削機に対して使用される吸引装置であって、当該切削ドラムに向けて配置された吸引口と、吸引口から吸引することによって上記切削による破砕物を収集する吸引機構とを備える。
【0019】
このように、破砕物を収集する吸引機構を備えることで、路面切削時の周辺の環境を良好なものとすることが可能となる。
【0020】
本発明に係る切削ドラムは、上記の路面切削機に備えられ、回転駆動される切削ドラムであって、切削ドラムは、複数の突起を表面に有しており、複数の突起は、一時に路面と接触する突起が一つとなるように配置されている。
【0021】
このような構成によって、切削ドラムと路面との抵抗を下げることが可能となるので、切削ドラムをスムースに回転させることができる。また、切削ドラムを高速に回転させることができる。そのため、施工スピードの向上が期待できる。
【発明の効果】
【0022】
このように、本発明によれば、変換機構により、油圧アクチュエータの移動量を、車輪と切削ドラムとの間の上下方向における移動量に変換させ、電気パルスに追従する電磁弁と変換機構によって油圧アクチュエータを動作させるので、切削の深さを迅速かつ精密にコントロールして路面を切削することができる。
【0023】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、左側の後輪14aが後方に位置する場合の路面切削機1の外観を示す概略側面図である。
図2図1は、左側の後輪14aが前方に位置する場合の路面切削機1の外観を示す概略側面図である。
図3図3は、吸引車2の外観を示す概略側面図である。
図4図4は、左側の後輪14aを前後させるための機構を説明するための路面切削機1の概略平面図であって、左側の後輪14aが後方に位置した場合の図である。
図5図5は、左側の後輪14aを前後させるための機構を説明するための路面切削機1の概略平面図であって、左側の後輪14aが前方に位置した場合の図である。
図6図6は、後輪14a,14bを上下させる機構を説明するための概略側面図であって、後輪14a,14bが上昇した際の概略側面図である。
図7図7は、後輪14a,14bを上下させる機構を説明するための概略側面図であって、後輪14a,14bが下降した際の概略側面図である。
図8図8は、切削ドラム11の円周面72におけるビット71の配置を示す図である。
図9図9は、路面切削機1の機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1及び図2は、路面切削機1の外観を示す概略側面図である。以下の説明において、図1の左側を車体12の前方とし、図1の右側を車体12の後方とする。また、車体12の進行方向に向かって左側を車体12の左側とし、車体12の進行方向に向かって右側を車体12の右側とする。
【0026】
路面切削機1は、切削ドラム11を備えており、切削ドラム11を回転させることにより路面5を切削するものである。後輪14aは、前後にスライド可能であり、図1では、後輪14aが後方に位置している場合を図示しており、図2では、後輪14aが前方に位置している場合を図示している。
【0027】
図3は、吸引車2の外観を示す側面図である。吸引車2は、路面切削機1によって路面5が切削された際に生じた破砕物を吸引して回収するものである。路面切削機1と吸引車2とは、吸引ホース3によって接続されている。路面切削機1と吸引車2とによって路面切削システム4が構成される。
【0028】
図1に示すように、路面切削機1は、車体12、1つの前輪13、2つの後輪14a,14b(図4参照)、ハンドル15、およびエンジン(不図示)を備えている。
【0029】
前輪13は、車体12の前端部かつ車体12の幅方向(以下、「車幅方向」という。)の中央において、回転可能に支持されている。車体12の後部上面に設けられたハンドル15が運転者によって操作されることにより、前輪13の向きが変化し、車体12が走行する方向を変化させることができる。
【0030】
後輪14a,14bは、車体12の後端部かつ車幅方向の両端部(図4参照)において、それぞれ回転可能に支持されている。
【0031】
駆動輪は、前輪13であってもよいし、後輪14a,14bであってもよい。また、前輪13および後輪14a,14bのすべてが駆動輪であってもよい。駆動輪にエンジンからの駆動力が伝達されることにより、車体12の走行が可能となる。
【0032】
図3に示すように、吸引車2は、荷台31を備えた貨物自動車である。荷台31には、吸引機構32が設置されている。吸引機構32は、吸引ホース3、真空ポンプ33、第1タンク34、および第2タンク35を備えている。
【0033】
吸引機構32は、第1タンク34および第2タンク35を介して、真空ポンプ33によって吸引ホース3を吸引する。路面切削機1によって切削された路面の破砕物が、吸引ホース3によって吸引され、吸引された破砕物のうち、粗大なものは第1タンク34に回収され、微細なものは第2タンク35に回収される。
【0034】
図4は、左側の後輪14aを前後させるための機構を説明するための路面切削機1の概略平面図であって、左側の後輪14aが後方に位置した場合の図である。図5は、左側の後輪14aを前後させるための機構を説明するための路面切削機1の概略平面図であって、左側の後輪14aが前方に位置した場合の図である。
【0035】
図1図2図4、及び図5に示すように、路面切削機1は、左側の後輪14aを前後移動させるための機構として、前後スライド部41、油圧シリンダ等からなる前後用アクチュエータ42を備えている。
【0036】
前後スライド部41は、車体12に対して、前後に摺動可能な構造を有している。たとえば、車体12の底面に設けられた断面コの字状の二つの部材で、前後スライド部41を挟み込むことで、前後スライド部41が前後にスライド可能とすることができるが、特に限定されない。前後スライド部41には、前後用アクチュエータ42が連結されており、前後用アクチュエータ42の駆動に合わせて、前後スライド部41が前後に摺動する。前後スライド部41には、連結部41bが連結されている。
【0037】
なお、車体12の右側の連結部41bは、車体12の底部に固定されている。
【0038】
前後スライド部41には、油圧シリンダ等からなる上下シリンダ51aが連結されている。車体12の右側には、上下シリンダ51bが、車体12の底部に固定されている。上下シリンダ51a及び51bは、車輪14a,14bを上下させるためのアクチュエータであり、上下用アクチュエータと呼ぶことにする。
【0039】
前後スライド部41の前後に合わせて、左側の連結部41b及び上下シリンダ51aが前後する。
【0040】
なお、前後用アクチュエータ42及び上下用アクチュエータ(上下シリンダ51a、上下シリンダ51b)は、油圧システムによって、駆動しているが、油圧ポンプや油圧モータ等の油圧システムに関する図示は省略している。
【0041】
図1及び図4に示すように、後輪14aが後方に位置している状態で、前後用アクチュエータ42のピストンが前方に移動することで、前後スライド部41が前方に移動し、それに合わせて、左側の上下シリンダ51a及び連結部41bも前方に移動する。それによって、図2及び図5に示すように、後輪14aが前方に位置することとなる。たとえば、左側の後輪14aを前方に移動させた状態で、切削ドラム11を車幅方向に左右にスライドさせるための機構(不図示)を用いて、図5に示すように、切削ドラム11を左方向に移動させることで、路肩のぎりぎりまで、路面を切削することが可能となる。
【0042】
路面を切削する際に、切削深さを調整する必要がある。切削深さを調整するために、本発明では、左右の後輪14a,14bの高さを調整することで、切削ドラム11の路面5からの高さを調整し、切削深さを調整することとしている。以下、左右の後輪14a,14bの高さを調整する機構について説明する。
【0043】
図6は、後輪14a,14bを上下させる機構を説明するための概略側面図であって、後輪14a,14bが上昇した際の概略側面図である。図7は、後輪14a,14bを上下させる機構を説明するための概略側面図であって、後輪14a,14bが下降した際の概略側面図である。
【0044】
図6及び図7に示すように、クランク43は、L字形状を有しており、車輪14a,14bの各回転軸54を回転可能に支持するように、左右に1つずつ配置されている(図4参照)。クランク43は、回動軸55を介して、連結部41bに、揺動可能に取り付けられている。さらに、クランク43は、上下用アクチュエータ(上下シリンダ51a、上下シリンダ51b)の一端に回動軸53を介して、回動可能に取り付けられている。上下シリンダ51aの他端は、回転軸52を介して前後スライド部41に回動可能に取り付けられている。上下シリンダ51bの他端は、回転軸52を介して、車体12の底部に回動可能に取り付けられている。
【0045】
図6及び図7に示すように、上下用アクチュエータ(上下シリンダ51a、上下シリンダ51b)のピストンの前後に合わせて、回動軸53が前後する。回動軸53の前後に合わせて、回動軸55を中心に、クランク43が揺動し、それに合わせて、回動軸54が上下に移動する。回動軸54の上下移動に合わせて、車輪14a,14bが上下することとなる。
【0046】
このように、上下用アクチュエータ(上下シリンダ51a、上下シリンダ51b)のピストン運動と連動して、車輪14a,14bを上下させることで、切削ドラム11の路面5に対する深さを上下させることができる。
【0047】
なお、ここでは、上下用アクチュエータの左右の移動量を、車輪14a,14bの上下方向の移動量に変換するための変換機構21として、クランク43,連結部41b、及び回転軸53,54,55が用いられているが、ここに示した変換機構21は、あくまでも一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。油圧アクチュエータの移動量を車輪14a,14bと切削ドラム11との間の上下方向の移動量に変換することができる機構であれば、変換機構は、ここで例示した機構に限られるものではない。たとえば、上下用アクチュエータの上下の移動量を、直接、車輪14a,14bの上下の移動量に変換する機構を用いてもよい。すなわち、本発明では、あくまでも、油圧アクチュエータの移動量を、車輪14a,14bと切削ドラム11との間の上下方向の移動量に変換する変換機構を用いればよいものとする。
【0048】
また、ここでは、車輪14a,14bを上下させているが、切削ドラム11を上下させて、切削深さを制御するようにしてもよい。また、車輪14a,14bと切削ドラム11の両方を上下させて、切削深さを制御するようにしてもよい。
【0049】
図1及び図2に示すように、路面切削機1は、切削ドラム11を覆うドラムカバー61を備えている。
【0050】
ドラムカバー61は、下方に開放された形状を有している。切削ドラム11は、ドラムカバー61内において、回転可能となるように、ドラムカバー61に回転軸(不図示)を介して連結されている。切削ドラム11は、車幅方向に延びる円柱形状を有しており、ドラムカバー61の下方において、横方向および上方向(すなわち、下方を除く方向)をドラムカバー61に取り囲まれた状態で配置されている。これにより、切削ドラム11により路面5が切削された際に生じる破砕物が周囲に飛び散ることが抑制される。
【0051】
ドラムカバー61及び切削ドラム11を車幅方向に左右にスライドさせるための機構としては、種々考えられるが、たとえば、ドラムカバー61の左右方向に摺動部材(たとえば、円筒にシャフトを通した部材など)を取り付けておき、油圧シリンダ等を用いて、ドラムカバー61を当該摺動部材に沿って移動させることで、切削ドラム11を左右にスライドさせることが可能となっている。
【0052】
切削ドラム11は、運転者の指示に基づいて、所定の駆動力により、図1における時計周り(切削ドラム11の円周面72が路面5に接触する位置おいて路面切削機1の進行方向に移動する向き)に回転する。言い換えるならば、後輪14a,14bが前方に移動する場合、後輪14a,14bは、反時計回りに回転することとなるが、その際、切削ドラム11は、後輪14a,14bの回転方向とは逆の時計回りに回転することで、路面5を切削していく。切削ドラム11の駆動力は、油圧式でも、電気式でも、エンジンの駆動力を用いた機械式でもよい。
【0053】
ドラムカバー61には、吸引部64が設けられている。吸引部64は、前後に2つの開口を有する筒状であるが、特に限定されない。吸引部64は、切削ドラム11の後方の下部に配置されている。吸引部64における前側の開口である吸引口65は、前方に向けて開口されている。吸引口65は、車幅方向に広がった形状を有している。吸引部64における後ろ側の開口である接続口66は、後方に向けて開口されている。接続口66は、吸引ホース3(図1参照)を接続するためのフランジ部である。
【0054】
図8は、切削ドラム11の円周面72におけるビット71の配置を示す図である。なお、図8では、ビット71を示す参照符号は代表的にしか付していないが、図上、同一の形状を有する部分は、ビット71を示している。
【0055】
切削ドラム11の円周面72には、複数のビット71が配置されている。ビット71は、円周面72に設けられた突起である。ビット71の形状は特に問われない。1本の二点鎖線で示す複数のビット71のまとまりは、その突起の先端部の中央の位置が円周面72の回転方向(図8の紙面における左右方向)において互いに異なる位置に配置されるように、その位置をずらしながら配置されている。そのため、複数のビット71は、円周面72において、らせん状に設けられていることとなる。
【0056】
また、図8の紙面における上下方向に示した破線に示すように、切削ドラム11の車幅方向において、一つのビット71の突起の先端部のみが配置されるように複数のビット71は配列されている。したがって、切削ドラム11の回転の際に、一時に路面と接触しているのは、ただ一つのビット71ということとなる。なお、図8上、上下方向の破線は3本しか図示していないが、上下方向に配置している全てのビット71について、一時に路面と接触しているのは、ただ一つとなるように配置されている。
【0057】
このように、切削ドラム11では、複数のビット71をドラム上でらせん状に配置しながらも、一時に路面と接触するビット71が一つとなるように配置している。らせん状にビット71を配置することで、路面の左右方向全体を切削することが可能となる。そして、一時に路面と接触するビット71が一つとなるように配置することで、複数のビットが同時に路面に接触する場合と比較して、切削時の抵抗を下げることが可能となる。そのため、切削ドラム11の回転速度を、従来と比較して、高速化することが可能となり、結果、切削の施工スピードを向上させることが可能である。なお、本発明は、このようなビット配置に限定されるものでないことは、後ほど述べる。
【0058】
例えば、本発明者らが試作した路面切削機においては、切削ドラム11の回転速度を1分間あたり173回転とすることができ、1分間あたりの移動速度を5~6m程度にすることができた。従来の本願出願人の製品では、切削ドラム11の回転速度が1分間あたり100回転であり、移動速度が1分間あたり2m程度である。このように、従来品と本発明とを比較した場合、切削ドラム11の回転速度の高速化及び施工スピードの向上が図られていることが分かる。なお、切削ドラム11の回転速度は、さらに速くすることができ、たとえば、1分間あたり300回転以上にすることも可能である。回転数を上げることにより、ビットが切削面に当たる回数が増すため、施工スピードの向上に加えて、精度良く表面が仕上がることとなる。
【0059】
図9は、路面切削機1の機能的構成を示すブロック図である。
【0060】
路面切削機1は、コントローラ81、操作パネル(不図示)、右側センサ82、左側センサ83、右側高速反応上昇用電磁弁84、右側高速反応下降用電磁弁85、左側高速反応上昇用電磁弁86、および左側高速反応下降用電磁弁87を備えている。
【0061】
運転車は、操作パネルを用いて、右側切削深さ設定値、および左側切削深さ設定値を設定することができる。設定された右側切削深さ設定値および左側切削深さ設定値はメモリに記憶される。
【0062】
また、右側センサ82は、上下方向における車体12の右側の位置(右高さ情報)を取得してコントローラ81に入力する。左側センサ83は、上下方向における車体12の左側の位置(左高さ情報)を取得してコントローラ81に入力する。また、メモリ(不図示)には、右高さ情報と右側切削深さの関係を示す情報および左高さ情報と左側切削深さの関係を示す情報が予め記憶されている。右側センサ82及び左側センサ83としては、ポテンショメータ等を利用できるが、特に限定されない。
【0063】
コントローラ81は、操作パネルから、右側切削深さ設定値88および左側切削深さ設定値89の設定を受け付けると、右側センサ82から入力された右高さ情報に対応する右側切削深さ(右側切削深さ現在値)と、左側センサ83から入力された左高さ情報に対応する左側切削深さ(左側切削深さ現在値)とをメモリから取得する。そして、メモリから右側切削深さ設定値88と左側切削深さ設定値89とを読み出して、それぞれ右側切削深さ現在値および左側切削深さ現在値と比較する。
【0064】
コントローラ81は、右側切削深さ現在値が右側切削深さ設定値より小さいときは、右側高速反応下降用電磁弁85を開く。これにより、車体12の右側が下降し、右側の路面5の切削が深くなる。
【0065】
逆に、コントローラ81は、右側切削深さ現在値が右側切削深さ設定値より大きいときは、右側高速反応上降用電磁弁84を開く。これにより、車体12の右側が上昇し、右側の路面5の切削が浅くなる。
【0066】
コントローラ81は、左側切削深さ現在値が左側切削深さ設定値より小さいときは、左側高速反応下降用電磁弁87を開く。これにより、車体12の左側が下降し、左側の路面5の切削が深くなる。
【0067】
逆に、コントローラ81は、左側切削深さ現在値が左側切削深さ設定値より大きいときは、左側高速反応上降用電磁弁86を開く。これにより、車体12の左側が上昇し、左側の路面5の切削が浅くなる。
【0068】
このような電磁弁の開閉に応じて、上下シリンダ51a,51bが前後することとなるが、右側センサ82及び左側センサ83による現在の深さ位置の検出がコントローラ81にフィードバックされることで、フィードバック制御の安定後は、右側切削深さ現在値と右側切削深さ設定値とが同じとなり、左側切削深さ現在値と左側切削深さ設定値とが同じとなる。
【0069】
コントローラ81は、右側切削深さ現在値と右側切削深さ設定値とが同じときは、右側高速反応上降用電磁弁84及び右側高速反応下降用電磁弁85を閉じる。コントローラ81は、左側切削深さ現在値と左側切削深さ設定値とが同じときは、左側高速反応上降用電磁弁86及び左側高速反応下降用電磁弁87を閉じる。これによって、操作者が設定した右側切削深さ設定値及び左側切削深さ設定値で、上下シリンダ51a,51bが停止することとなる。
【0070】
路面状態によっては、上下高さが変化していく可能性があるので、深さが設定値に安定したとしても、コントローラ81へのフィードバックを常に働かせておき、高速反応電磁弁84ないし87の開閉をコントローラ81が常時制御するようにしておくとよい。
【0071】
なお、高速反応電磁弁は、高速応答電磁弁と称されることもある。
【0072】
本発明の特徴は、高速反応電磁弁を用いて、上下シリンダ51a,51bを制御することである。本発明者らが試作した結果では、高速反応電磁弁を用いて、上下シリンダ51a,51bを制御することにより、切削ドラム11の上下の移動距離を微細に調整することができることが分かった。具体的には、1mm~2mmの範囲で、上下の移動距離を制御することが可能となった。従来の路面切削機では、1cm単位での上下の移動距離しか制御できなかったことと比較すると、上下の移動制御は、5倍から10倍程度に向上したと言える。
【0073】
従来の路面切削機では、方向切替弁として、油圧用の電磁比例弁を用いて、上下用アクチュエータの動作を制御していたため、1cm単位の上下の移動距離しか制御できなかったが、本発明のように、高速反応電磁弁を用いることで、1mm~2mmの範囲で、上下の移動距離を制御することが可能となった点において、本発明は、優れた効果を発揮している。
【0074】
高速反応電磁弁の構造としては種々考えられ、本発明を限定するものではないが、たとえば、電磁ソレノイドを内蔵しておき、電磁ソレノイドに対して、電気パルス信号を入力し、入力された電気パルス信号のオンオフに応じて、電磁ソレノイドが駆動して、油圧システムのオンオフを制御するような構造が例としてあげられる。本発明者らの試作においては、株式会社不二越の高速応答電磁弁を用いた。
【0075】
高速にオンオフを制御することができるか否かで、高速反応電磁弁と称されるか否かが決まることとなる。本発明者らが実験した結果では、1分間あたり、最大で1,200回程度オンオフを切り替えることができるような高速反応電磁弁を用いた場合、1mm~2mmの範囲で、上下の移動距離を制御することができた。なお、ここで、オンオフの切り替え回数については、電気パルスの立ち上がりで1回をカウントし、電子パルスの立ち下がりで1回をカウントしている。
【0076】
1分間あたりの最大切替頻度が1,200回であるという条件を、ステップ応答で言い換えるとする。ここでは、ステップ応答の定義としては、電子パルスの立ち上がりに対して、電磁弁が開く若しくは閉じるまでに要する時間とする。60,000msec(1分)に対して、1,200回の立ち上がり若しくは立ち下がりが可能ということになるわけであるから、ここで定義したステップ応答を用いる場合は、ステップ応答は、60,000÷1,200=50msecということになる。
【0077】
このような試作による実験結果から考察した結果、オンオフの切り替えが1分間あたり、500回以上可能な高速反応電磁弁、ステップ応答で言い換えるならば、100msec以下のステップ応答を有するような高速反応電磁弁を用いれば、mm単位での上下用アクチュエータの制御が可能となり、mmで切削深さを制御することが可能となることが分かる。
【0078】
すなわち、高速反応電磁弁の最大切替回数は、1分間あたり500回以上であるとよく、好ましくは、1000回以上、さらに好ましくは、1200回以上であるとよい。
【0079】
また、高速反応電磁弁のステップ応答は、100msec以下であるとよく、好ましくは、50msec以下であるとよい。
【0080】
このような高速反応電磁弁を用いた場合、コントローラ81にフィードバックされる右側センサ82及び/又は左側センサ83が検出した現在値に基づいて、高速に、高速反応電磁弁84ないし87を開閉することで、上下シリンダ51a,51bの移動量を制御することができる。したがって、mm単位で、上下の高さを安定化させるフィードバック制御が可能となる。
【0081】
近年、プールや屋上などのウレタン防水塗装や競技場などのゴム塗装などを機械的に切削することが求められているが、ウレタン防水塗装であれば、1~2mm程度、ゴム塗装であれば1~5mm程度の制度で切削深さを制御することが必要である。本発明のように、mm単位で切削深さを制御することができる路面切削機を用いれば、ウレタン防水塗装やゴム塗装などの切削も可能となる。
【0082】
以上のように、路面切削機1は、走行用の前輪13および後輪14a,14bを備えた車体12と、円周面72(表面)に複数のビット71(突起)を有し、車体12に回転可能に支持され、回転駆動される切削ドラム11と、左側後輪上下シリンダ51a(上下用アクチュエータ)および右側後輪上下シリンダ51b(上下用アクチュエータ)と、左側後輪上下シリンダ51aまたは右側後輪上下シリンダ51bの移動量を、後輪14a,14bと切削ドラム11との間の上下方向における移動量に変換する変換機構21と、コントローラ81(制御部)と、コントローラ81から入力された電気パルスに追従して、左側後輪上下シリンダ51aまたは右側後輪上下シリンダ51bを動作させる右側高速反応上昇用電磁弁84、右側高速反応下降用電磁弁85、左側高速反応上昇用電磁弁86および左側高速反応下降用電磁弁87とを備える。
【0083】
右側高速反応上昇用電磁弁84、右側高速反応下降用電磁弁85、左側高速反応上昇用電磁弁86および左側高速反応下降用電磁弁87は、コントローラ81から入力された電気パルスに追従して動作する。そのため、右側高速反応上昇用電磁弁84、右側高速反応下降用電磁弁85、左側高速反応上昇用電磁弁86および左側高速反応下降用電磁弁87によって左側後輪上下シリンダ51aまたは右側後輪上下シリンダ51bの微小な量を高速に動作させることができる。また、クランク機構43によって、左側後輪上下シリンダ51aまたは右側後輪上下シリンダ51bの移動量が、後輪14a,14bと切削ドラム11との間の上下方向における移動量に変換される。そのため、左側後輪上下シリンダ51aまたは右側後輪上下シリンダ51bの動作を微小な上下移動に変換することより、精密な上下移動が可能となる。したがって、切削の深さをより迅速かつ精密にコントロールして路面5を切削することができる。
【0084】
また、路面切削システム4(路面切削機)は、切削ドラム11に向けて配置された吸引口65と、真空ポンプ33によって吸引口65から吸引することによって路面5の切削によって生じた破砕物を収集する吸引機構32とを有する吸引車2(吸引装置)を備えている。したがって、路面5の切削によって生じた破砕物を効率的に回収することができる。なお、吸引するために、ここでは、真空ポンプ33を使用しているが、ブロワーなどの他の吸引装置が用いられてもよいことは言うまでもなく、本発明を限定するものではない。
【0085】
切削ドラム11の複数のビット71は、ビット71の先端部の位置が切削ドラム11の回転方向において互いに異なる位置に配置されている。したがって、一時に一つのビット71が路面5に当接する。そのため、一時に複数のビット71が路面5に当接する場合と比較して、切削ドラム11の回転時の抵抗を小さくすることができる。これにより、容易に切削を行うことができ、切削ドラム11の回転がスムースになる。そのため、切削ドラム11の上下移動量をmm単位で制御したとしても、切削ドラム11をスムースに回転させることができるので、路面5をmm単位で切削することが可能となる。
【0086】
ここで、高速反応電磁弁とビットの配置とによる相乗効果について説明しておく。高速反応電磁弁によって、切削ドラムの移動量を微細に調整できるようにしたとしても、路面と突起との抵抗が大きいと、路面切削時の切削ドラムの上下変動が大きくなってしまい、その結果、切削ドラムの上下移動量が安定化しにくくなる。しかし、切削ドラムの回転時の抵抗を小さくすることで、路面切削時の切削ドラムの上下変動を小さくすることができるため、その結果、切削ドラムの上下移動量が安定しやすくなる。そのため、高速反応電磁弁による切削ドラムの移動量の微細な制御が有効に作用して、切削ドラムを所望の切削深さとなるように、微細に制御することが可能となる。
【0087】
なお、ビット71の配置について、上記実施形態では、路面と一時に接触するのがただ一つであると限定的に説明したが、切削ドラムと路面との接触抵抗が少なくなれば、切削ドラムのスムースな回転と、高速反応電磁弁との組み合わせによる切削深さの微細な制御とが実現される。そのため、路面と一時に接触するビットの数をただ一つとしたのは、あくまでも例示に過ぎない。たとえば、路面と接触するビットの数が二つであってもよいし、三つであってもよく、また、ビットの形状を工夫することで、切削ドラムと路面との接触抵抗を下げることができる。よって、あくまでも、切削ドラムと路面との接触抵抗が低くなっていればよい。
【0088】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0089】
例えば、上記の実施形態において、路面切削機1と吸引車2とは独立に車体を有し、路面切削システム4を形成していたが、路面切削機1と吸引機構32とが1つの車体に備えられていてもよい。
【0090】
また、例えば、上記の実施形態において、前輪13は、車幅方向の中央に1つだけ備えられていたが、左右に1つずつ備えられていてもよい。
【0091】
切削ドラム11に用いられるビットの形状や材質は、特に限定されない。
【0092】
なお、高速反応電磁弁を用いずに、ドラムカバーのみを用いる発明や、切削ドラムと路面との抵抗を下げるための構成のみが用いる発明としても、それぞれ単独で成立するものとする。
【0093】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本明細書に開示されている発明の構成要件は、それぞれ独立に単独した発明として成立するものとする。各構成要件をあらゆる組み合わせ方法で組み合わせた発明も、本発明に含まれることとする。
【符号の説明】
【0094】
1 路面切削機
2 吸引車(吸引装置)
3 吸引ホース
4 路面切削システム(路面切削機)
5 路面
11 切削ドラム
12 車体
13 前輪(車輪)
14a 左後輪(車輪)
14b 右後輪(車輪)
15 ハンドル
21 変換機構
31 荷台
32 吸引機構
33 真空ポンプ
34 第1タンク
35 第2タンク
41 前後スライド部
41b 連結部
42 前後用アクチュエータ
43 クランク
52,53,54,55 回動軸
51a 上下シリンダ(上下用アクチュエータ)
51b 上下シリンダ(上下用アクチュエータ)
61 ドラムカバー
64 吸引部
65 吸引口
66 接続口
71 ビット(突起)
72 円周面(表面)
81 コントローラ(制御部)
82 右側センサ
83 左側センサ
84 右側高速反応上昇用電磁弁(電磁弁)
85 右側高速反応下降用電磁弁(電磁弁)
86 左側高速反応上昇用電磁弁(電磁弁)
87 左側高速反応下降用電磁弁(電磁弁)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9