(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/14 20060101AFI20220127BHJP
F24F 13/10 20060101ALI20220127BHJP
F24F 7/00 20210101ALI20220127BHJP
F24F 7/04 20060101ALI20220127BHJP
E06B 7/06 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
F24F13/14 G
F24F13/10 E
F24F13/14 D
F24F7/00 Z
F24F7/04 B
E06B7/06
(21)【出願番号】P 2018013950
(22)【出願日】2018-01-30
【審査請求日】2020-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】504254770
【氏名又は名称】株式会社佐原
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】本地 徹平
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-021161(JP,A)
【文献】特開2011-082124(JP,A)
【文献】特開平08-246760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/08 - 13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気口が形成された主壁を有する細長い装置本体と、
上記装置本体の長手方向に延び、上記通気口を閉じる閉位置と上記通気口を開く開位置との間で移動可能に、上記装置本体に支持された作動板と、
上記作動板を開閉操作する操作機構と、
を備え、上記操作機構は、
ア.上記装置本体に固定され、室内に臨む壁に窓を形成してなる保持部材と、
イ.上記保持部材の上記壁に、上記装置本体の長手方向と直交する方向に延びて上記窓を横切る回動軸線を中心に、第1回動位置と第2回動位置との間で回動可能に支持された操作部材と、
ウ.上記装置本体内に収容され、上記操作部材の回動に伴い上記装置本体の長手方向にスライドするようにして上記操作部材に連携されるとともに、上記作動板に直接または間接的に連携された連携部材と、
を有し、
上記操作部材は、上記窓に臨み上記回動軸線を挟んで上記装置本体の長手方向両側に配置された閉じ操作部と開き操作部とを有し、上記第1回動位置において上記開き操作部が室内に向かって突出し上記閉じ操作部が後退し、上記第2回動位置において上記閉じ操作部が室内に向かって突出し上記開き操作部が後退し、
上記操作部材が上記第1回動位置にあるときに上記開き操作部が押されると、上記操作部材が上記第2回動位置まで回動し、上記連携部材を介して上記作動板が上記開位置まで移動し、
上記操作部材が上記第2回動位置にあるときに上記閉じ操作部が押されると、上記操作部材が上記第1回動位置まで回動し、上記連携部材を介して上記作動板が上記閉位置まで移動し、
上記保持部材と上記操作部材の一方が他方に向かって突出する嵌合凸部を有し、当該他方が当該一方に向かって開放された嵌合凹部を有し、これら嵌合凸部と嵌合凹部の嵌合により、上記操作部材が上記保持部材に上記回動軸線を中心に回動可能に支持され、
上記連携部材が上記装置本体の長手方向および上記回動軸線と平行な受面を有し、上記操作部材が室外に向かって突出する突出部を有し、この突出部の先端に、上記回動軸線を中心とする円弧面をなす当接面が形成され、この当接面が上記連携部材の上記受面に当接することを特徴とする換気装置。
【請求項2】
上記操作部材の室外側の縁には鍔が形成され、上記操作部材が上記第1回動位置および上記第2回動位置にある時、上記鍔が上記保持部材の上記壁の裏面に当たることを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
上記操作部材の室外側の先端部には、上記回動軸線と平行をなす係合軸部が形成されており、上記連携部材には、室内側に向かって開放された係合溝が形成されており、上記係合軸部が上記係合溝に係合されることにより、上記操作部材と上記連携部材が連携されていることを特徴とする請求項
1または2に記載の換気装置。
【請求項4】
上記保持部材の上記室内側の壁の少なくとも一部を構成する壁部分が、上記装置本体の室内側の面から室外側に後退しており、当該壁部分に上記操作部材が回動可能に支持されていることを特徴とする請求項
1~3のいずれかに記載の換気装置。
【請求項5】
上記保持部材の上記室内側の壁に凹部が形成されており、この凹部の底壁が、上記操作部材を回動可能に支持する壁部分として提供され、上記操作部材が上記凹部に収容されていることを特徴とする請求項
4に記載の換気装置。
【請求項6】
上記主壁には、上記装置本体の長手方向に等間隔をおいて上記通気口が複数形成されており、
上記作動板は、上記主壁に接した状態で上記装置本体の長手方向にスライド可能に支持されるとともに、上記装置本体の長手方向に上記通気口と同じ間隔で形成された複数の制御口を有し、
上記作動板は上記連携部材と一緒にスライドし、上記作動板が閉位置にあるとき、上記制御口が上記通気口と一致せず、上記作動板が開位置にあるとき、上記制御口が上記通気口と一致することを特徴とする請求項
1~5のいずれかに記載の換気装置。
【請求項7】
上記装置本体にはカム部材が収容固定されており、
上記作動板が上記装置本体の長手方向にスライド可能かつ回動可能に支持されるとともに、上記カム部材と係合するカムフォロア部を有しており、
上記作動板は上記連携部材に連結されて一緒にスライドし、このスライドの過程で、上記カムフォロア部と上記カム部材のカム作用により回動し、上記作動板が閉位置にあるとき、上記作動板が上記主壁に接近して上記通気口を閉じ、上記作動板が開位置にあるとき、上記作動板が上記主壁から離間して上記通気口を開くことを特徴とする請求項
1~5のいずれかに記載の換気装置。
【請求項8】
上記装置本体にはカム部材が上記装置本体の長手方向にスライド可能に収容されており、
上記作動板が上記装置本体に回動可能に支持されるとともに、上記カム部材と係合するカムフォロア部を有しており、
上記カム部材は上記連携部材に連結されて一緒にスライドし、このカム部材のスライドの過程で、上記カムフォロア部と上記カム部材のカム作用により上記作動板が回動し、上記作動板が閉位置にあるとき、上記作動板が上記主壁に接近して上記通気口を閉じ、上記作動板が開位置にあるとき、上記作動板が上記主壁から離れて上記通気口を開くことを特徴とする請求項
1~5のいずれかに記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の窓サッシ等に設けられて、室内と室外の空気を換気する換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の
図6に開示された換気装置は、垂直の主壁を有する細長い装置本体と、装置本体の主壁に接した状態で装置本体の長手方向にスライド可能な作動板と、この作動板を操作する操作機構とを備えている。上記主壁には装置本体の長手方向に等間隔をおいて複数の通気口が形成されており、作動板には通気口と同じ間隔で複数の制御口が形成されている。操作機構は、装置本体に固定されるとともに窓を有する保持部材と、この保持部材にスライド可能に支持されて室内側に突出する操作部材とを備えている。
【0003】
上記作動板は操作部材に連結されており、操作部材のスライド操作に伴って閉位置と開位置との間でスライドする。作動板が閉位置にあるとき、その制御口が主壁の通気口と一致せず、通気口は閉じられている。作動板が開位置にあるとき、その制御口が通気口と一致し、通気口が開かれる。
【0004】
特許文献1の
図1には、作動板が装置本体にスライドおよび回動可能に支持された換気装置も開示されている。この換気装置では、操作部材のスライド操作に伴って作動板がスライドするとともに、装置本体に固定されたカム部材とのカム作用により閉位置と開位置との間で回動するようになっている。閉位置では作動板が主壁に接近して通気口を閉じ、開位置では作動板が主壁から離間して通気口を開く。
【0005】
上述した特許文献1の換気装置では、操作部材のスライド操作により作動板を開閉するため、障害等がある人にとっては操作しづらい。
【0006】
そこで、特許文献2の換気装置が開発されている。この換気装置の操作機構は、保持部材と、作動板に連結された連携部材と、押しボタン式の2つの操作部材とを備えている。連携部材は一対の傾斜した第1、第2のカム面を有して山形をなしている。一方の操作部材は閉じ操作用であり、第1カム面に係合する傾斜面を有している。他方の操作部材は開き操作用であり、第2カム面に係合する傾斜面を有している。
【0007】
閉じ操作用の操作部材を押すと、その傾斜面と第1カム面とのカム作用により連携部材が装置本体の長手方向にスライドし、作動板が閉位置へと移動する。開き操作用の操作部材を押すと、その傾斜面と第2カム面とのカム作用により連携部材が反対方向にスライドし、作動板が開位置へと移動する。このように、2つの操作部材を押し操作するだけで作動板を開閉できるので、障害がある人でも開閉操作が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平9-243121号公報
【文献】特開2014-149136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2の操作機構では、2つの操作部材を必要とするため、部品点数が多い。また、操作部材を押すときに、操作部材の傾斜面と連携部材のカム面との間に摩擦が生じるため、障害がある人にとって負担を感じる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、換気装置において、通気口が形成された主壁を有する細長い装置本体と、上記装置本体の長手方向に延び、上記通気口を閉じる閉位置と上記通気口を開く開位置との間で移動可能に、上記装置本体に支持された作動板と、上記作動板を開閉操作する操作機構と、を備え、上記操作機構は、
ア.上記装置本体に固定され、室内に臨む壁に窓を形成してなる保持部材と、
イ.上記保持部材の上記壁に、上記装置本体の長手方向と直交する方向に延びて上記窓を横切る回動軸線を中心に、第1回動位置と第2回動位置との間で回動可能に支持された操作部材と、
ウ.上記装置本体内に収容され、上記操作部材の回動に伴い上記装置本体の長手方向にスライドするようにして上記操作部材に連携されるとともに、上記作動板に直接または間接的に連携された連携部材と、
を有し、
上記操作部材は、上記窓に臨み上記回動軸線を挟んで上記装置本体の長手方向両側に配置された閉じ操作部と開き操作部とを有し、上記第1回動位置において上記開き操作部が室内に向かって突出し上記閉じ操作部が後退し、上記第2回動位置において上記閉じ操作部が室内に向かって突出し上記開き操作部が後退し、上記操作部材が上記第1回動位置にあるときに上記開き操作部が押されると、上記操作部材が上記第2回動位置まで回動し、上記連携部材を介して上記作動板が上記開位置まで移動し、上記操作部材が上記第2回動位置にあるときに上記閉じ操作部が押されると、上記操作部材が上記第1回動位置まで回動し、上記連携部材を介して上記作動板が上記閉位置まで移動することを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、室内に突出している閉じ操作部と開き操作部を指で押すだけで、操作部材を回動し、作動板を開閉できるので、障害を有する人でも簡単に開閉操作を行うことができる。しかも、操作部材の回動を連携部材の回動に変換する際に、大きな摩擦が生じず、より一層開閉操作を楽に行うことができる。また、操作部材は1つで済むので部品点数を少なくすることができる。
【0012】
好ましくは、上記保持部材と上記操作部材の一方が他方に向かって突出する嵌合凸部を有し、当該他方が当該一方に向かって開放された嵌合凹部を有し、これら嵌合凸部と嵌合凹部の嵌合により、上記操作部材が上記保持部材に回動可能に支持されている。
上記構成によれば、操作部材と保持部材を近づけて、嵌合凸部と嵌合凹部を嵌め合わせることにより、操作部材と保持部材を簡単に組み付けることができる。
【0013】
好ましくは、上記連携部材が上記装置本体の長手方向および上記回動軸線と平行な受面を有し、上記操作部材が室外に向かって突出する突出部を有し、この突出部の先端に、上記回動軸線を中心とする円弧面をなす当接面が形成され、この当接面が上記連携部材の上記受面に当接する。
上記構成によれば、操作部材の回動操作の際、突出部の当接面が連携部材の受面に当接することにより、嵌合凹部と嵌合凸部の嵌合による操作部材の不完全な保持状態を補うことができ、操作部材を安定して回動させることができる。また、当接面は操作部材の回動軸線を中心とする円弧面により構成されているので、操作部材が回動する際に受面と転がり接触するだけで、摩擦が生じないので、良好な操作性を担保できる。
【0014】
好ましくは、上記操作部材の室外側の先端部には、上記回動軸線と平行をなす係合軸部が形成されており、上記連携部材には、室内側に向かって開放された係合溝が形成されており、上記係合軸部が上記係合溝に係合されることにより、上記操作部材と上記連携部材が連携されている。
上記構成によれば、連携部材の係合溝に操作部材40の係合軸を挿入するだけで、連携部材と操作部材が連携されるので、組立作業を簡略化できる。
【0015】
好ましくは、上記保持部材の上記室内側の壁の少なくとも一部を構成する壁部分が、上記装置本体の室内側の面から室外側に後退しており、当該壁部分に上記操作部材が回動可能に支持されている。
上記構成によれば、操作部材の閉じ操作部と開き操作部が、突出位置において装置本体の室内側の面から室内に突出しないかその突出量を小さくすることができる。そのため、室内における他の部材との干渉を回避できる。例えば引戸式のサッシ戸に組み込んだ場合でも、サッシ戸の開閉の支障にならない。
【0016】
より好ましくは、上記保持部材の上記室内側の壁に凹部が形成されており、この凹部の底壁が、上記操作部材を回動可能に支持する壁部分として提供され、上記操作部材が上記凹部に収容されている。
【0017】
本発明の具体的態様では、上記主壁には、上記装置本体の長手方向に等間隔をおいて上記通気口が複数形成されており、上記作動板は、上記主壁に接した状態で上記装置本体の長手方向にスライド可能に支持されるとともに、上記装置本体の長手方向に上記通気口と同じ間隔で形成された複数の制御口を有し、上記作動板は上記連携部材と一緒にスライドし、上記作動板が閉位置にあるとき、上記制御口が上記通気口と一致せず、上記作動板が開位置にあるとき、上記制御口が上記通気口と一致する。
【0018】
他の具体的態様では、上記装置本体にはカム部材が収容固定されており、上記作動板が上記装置本体の長手方向にスライド可能かつ回動可能に支持されるとともに、上記カム部材と係合するカムフォロア部を有しており、上記作動板は上記連携部材に連結されて一緒にスライドし、このスライドの過程で、上記カムフォロア部と上記カム部材のカム作用により回動し、上記作動板が閉位置にあるとき、上記作動板が上記主壁に接近して上記通気口を閉じ、上記作動板が開位置にあるとき、上記作動板が上記主壁から離間して上記通気口を開く。
【0019】
さらに他の具体的態様では、上記装置本体にはカム部材が上記装置本体の長手方向にスライド可能に収容されており、上記作動板が上記装置本体に回動可能に支持されるとともに、上記カム部材と係合するカムフォロア部を有しており、上記カム部材は上記連携部材に連結されて一緒にスライドし、このカム部材のスライドの過程で、上記カムフォロア部と上記カム部材のカム作用により上記作動板が回動し、上記作動板が閉位置にあるとき、上記作動板が上記主壁に接近して上記通気口を閉じ、上記作動板が開位置にあるとき、上記作動板が上記主壁から離れて上記通気口を開く。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、操作機構の部品点数が少なく、障害等がある人でも楽に作動板を開閉操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る換気装置の正面図である。
【
図2】同換気装置の操作機構を拡大して示す斜視図であり、(A)は操作部材が第1回動位置にあり作動板が閉位置にある状態、(B)は操作部材が第2回動位置にあり作動板が開位置にある状態を示す。
【
図3】(A)は
図1のA-A矢視断面図、(B)はB-B矢視断面図、(C)はC-C矢視断面図であり、それぞれ操作部材が第1回動位置にあり作動板が閉位置にある状態を示す。
【
図4】(A)は
図1のA-A矢視断面図、(B)はB-B矢視断面図、(C)はC-C矢視断面図であり、それぞれ操作部材が第2回動位置にあり作動板が開位置にある状態を示す。
【
図5】同換気装置の操作機構の保持部材を室外側から見た斜視図である。
【
図6】同操作機構の操作部材を示し、(A)は室内側から見た斜視図、(B)は平面図、(C)は室外側から見た背面図である。
【
図7】同操作機構の連携部材を示し、(A)は室内側から見た斜視図、(B)は室内側から見た正面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る換気装置の横断面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る換気装置の横断面図である。
【
図10】本
発明の第4実施形態に係る換気装置の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1実施形態を
図1~
図7を参照しながら説明する。本実施形態の換気装置は、サッシ窓に組み込まれるものであり、
図1に示すように、左右に水平に延びる細長い装置本体1を備えている。装置本体1は複数の押出型材を組み付けることにより構成されている。
【0023】
図3に示すように、装置本体1の内部空間が通気路11として提供されている。装置本体1の垂直をなす室外側の壁12(主壁)には、長手方向に等間隔をおいて通気口12aが複数形成されている。
【0024】
装置本体1の室内側の開口はフィルタ15で覆われている。このフィルタ15は、装置本体1に着脱可能に取り付けられた細長いフィルタ押さえ16により支持されている。フィルタ押さえ16には長手方向に間隔をおいて通気口16aが形成されている。
【0025】
上記通気路11は、室外側の壁12の通気口12aを介して室外空間に連なり、フィルタ15とフィルタ押さえ16の通気口16aを介して室内空間と連なっている。
図1に示すように、装置本体1の一端(本実施形態では左側の端)にはキャップ17が取り付けられており、通気路11の左端開口が塞がれている。
【0026】
図3、
図4に示すように、装置本体1の通気路11には作動板2が収容されている。作動板2は、細長い板形状をなして装置本体1の長手方向に延び、室外側の壁12に接するようにして装置本体1に支持されている。
作動板2には、通気口12aと同形状をなす複数の制御口21が、装置本体1の長手方向に上記通気口12aと等しい間隔で形成されている。
【0027】
作動板2は、
図3に示す閉位置と
図4に示す開位置との間で、装置本体1の長手方向にスライド可能である。
図3に示すように、作動板2が閉位置にあるとき、制御口21が通気口12aと一致せず、通気口12aが作動板2により閉じられており、通気路11を介しての換気が禁じられる。
図4に示すように、作動板2が開位置にあるとき、制御口21が通気口12aと一致し、通気口12aが開かれており、通気路11を介しての換気が行なわれる。
【0028】
図1~
図4に示すように、上記作動板2を開閉操作する操作機構3は、例えば装置本体1の右端部に配置されており、樹脂成形品からなる3つの構成要素、すなわち保持部材30と操作部材40と連携部材50とを備えている。
【0029】
保持部材30は、装置本体1の右端に固定されており、通気路11の右端開口を塞いでいる。
図1、
図2、
図5に示すように、保持部材30の室内側の垂直をなす壁31には装置本体1の長手方向に細長い長方形の窓31aが形成されている。
図3(B)、
図5に示すように、窓31aの上下の縁部の中央には、室外に向かって突出する嵌合凸部32が形成されている。この嵌合凸部32の先端面は円弧面(後述する回動軸線Lを中心とする円弧面)をなしている。
【0030】
図3(A)、
図5に示すように、室内側の壁31には、上記一対の嵌合凸部32にそれぞれ隣接する一対の規制凸部33が形成されている。上側の規制凸部33の下面および下側の規制凸部33の上面は、後述の作用をなす規制面33aとして提供される。
【0031】
図2に示すように、上記保持部材30にはシーソー式の操作部材40が回動可能に支持されている。
図6に示すように、操作部材40は室内側構成部40aと室外側構成部40bとを備えている。室内側構成部40aは室内側に向かって突出する中空のふた山形状をなし、右側の閉じ操作部41と左側の開き操作部42とを有している。これら閉じ操作部41,開き操作部42の操作面41a,42aはV字を描くように交差している。
閉じ操作部41の室外側の縁には、コ字形をなす目隠し用の鍔43が形成され、開き操作部42の室外側の縁にも、コ字形をなす目隠し用の鍔44が形成されている。これら鍔43、44は、操作面41a、42aと逆向きのV字をなして交差している。
【0032】
操作部材40は、上記鍔43,44の交差部に形成された上下一対の嵌合凹部45を有している。嵌合凹部45は室内側に開口しており、その内周は円弧面(後述する回動軸線Lを中心とする円弧面)をなしている。
図3(B)に示すように、これら一対の嵌合凹部45に上記保持部材30の一対の嵌合凸部32をそれぞれ嵌合させることにより、操作部材40は保持部材30に回動可能に支持されている。その回動軸線L(
図3(B)、
図6参照)は窓31aの長手方向中央を横切り、装置本体1の長手方向と直交して垂直に延びている。上記閉じ操作部41と開き操作部42は、この回動軸線Lを挟んで左右に配置され、窓31aに臨んでいる。
操作部材40は、保持部材30の上下の規制面33aにより、上下方向の変位を禁じられている。
【0033】
操作部材40の室外側構成部40bは、その上下方向中央部において、室外に向かって突出する水平な板形状の突出部46を有しており、その先端面が当接面46aとして提供される。この当接面46aは、上記回動軸線Lを中心とする円弧面をなしている。
上記室外側構成部40bの先端部は、突出部46の上下に断面円形の一対の係合軸47を有している。係合軸47は垂直に(すなわち回動軸線Lと平行に)延びている。
【0034】
図7に示すように、連携部材50は正面形状が略長方形をなしており、保持部材30の壁31に対向して配置されている。
連携部材50は、その上縁に沿って形成され左右に分離された一対のリブ51,51と、その下縁に沿って形成され左右に分離された一対のリブ51,51を有している。各対のリブ41,41間には、室内側に開口する係合溝52が形成されている。
【0035】
図3(A)に示すように、連携部材50の上下一対の係合溝52に、操作部材40の上下一対の係合軸47が係合されることにより、連結部材40と操作部材40が、相対回動可能にして連結されている。操作部材40が回動軸線Lを中心に回動すると、係合軸47が左右方向(装置本体1の長手方向)に移動し、これにより、係合軸47と係合溝52の係合を介して、連携部材50が左右方向にスライドするようになっている。
【0036】
連携部材50の上下方向中央部には、垂直をなして(すなわち、装置本体1の長手方向および上記回動軸線と平行をなして)左右方向に延びる平坦な受面53が形成されている。
図3(C)に示すように、この受面53に操作部材40の当接面46aが当接している。
【0037】
連携部材50はさらに、室外側に突出する左右一対の連結部55を有している。
図3に示すように、これら連結部55が作動板2の右端部の2つの制御口21に挿入され、その側縁に係止されることにより、連携部材50と作動板2が直接連結されている。
【0038】
上記構成をなす換気装置を説明する。
図2(B)、
図4に示すように操作部材40が第2回動位置にあり、作動板2が開位置にあるときには、操作部材40の閉じ操作部41が室内に向かって突出している。この閉じ操作部41の操作面41aを押すと、
図2(A)、
図3に示すように、操作部材40が回動して第1回動位置に至る。この過程で、連携部材50が図中左方向にスライドし、この連携部材50と一緒に作動板2もスライドし、閉位置に至る。この閉じ状態では、閉じ操作部41が突出位置から後退し、その操作面41aが保持部材30の室内側の壁31と略面一をなし、その代わりに開き操作部42が壁31から室内に向かって突出している。
【0039】
図2(A)、
図3に示すように操作部材40が第1回動位置にあり、作動板2が閉位置にあるときには、操作部材40の開き操作部42が室内に向かって突出している。この開き操作部42の操作面42aを押すと、操作部材40が逆方向に回動して
図2(B)、
図4に示す第2回動位置に至る。この過程で、連携部材50が逆方向(図中右方向)にスライドし、この連携部材50と一緒に作動板2もスライドし、開位置に至る。この開き状態では、開き操作部42が突出位置から後退し、その操作面42aが保持部材30の室内側の壁31と略面一をなし、その代わりに閉じ操作部41が壁31から室内に向かって突出している。
【0040】
なお、保持部材30に形成された一対のストッパ部(図示しない)が連携部材50のスライド領域を規制することにより、操作部材40の回動範囲は上記第1回動位置と第2回動位置との間で規制されている。
【0041】
上述したように、室内に突出している操作部41,42の操作面41a,42aを指で押すだけで、操作部材40を回動操作できるので、障害を有する人でも簡単に作動板2の開閉操作をすることができる。
操作部材40と連携部材50との間では殆ど摩擦が生じないから、小さな操作力で開閉操作を行うことができる。
【0042】
操作機構3は、操作部材40の嵌合凹部45を、保持部材30の嵌合凸部32に嵌め、連携部材50の係合溝52に操作部材40の係合軸47を挿入するだけで、簡単に組み立てることができる。
【0043】
上記操作部材40の回動操作の際、操作部材40の当接面46aが連携部材50の受面53に当たることにより、上記嵌合凹部45と嵌合凸部32の不完全な係合を補うことができ、操作部材40を安定して回動させることができる。当接面46aは操作部材40の回動軸線Lを中心とする円弧面により構成されているので、操作部材40が回動する際に受面53と転がり接触するだけで摩擦が生じず、良好な操作性を担保できる。
【0044】
次に、本発明の他の実施形態について図を参照しながら説明する。これら図において先行する実施形態に対応する構成部には同番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0045】
図8に示す本発明の第2実施形態に係る換気装置では、装置本体1Aは、室内側の壁12A’と、室外側の壁12A”と、その中間の壁12A(主壁)とを有しており、それぞれに装置本体1Aの長手方向に間隔をおいて複数の通気口12a’、12a”、12aが形成されている。中間の壁12Aには、通気口12aの上方において軸受部18が形成されている。
図8において、室内側の通気口12a’を覆うフィルタアッセンブリ15Aは概略的に示されている。
【0046】
作動板2Aはその上端部に断面円形の軸部28を有しており、この軸部28が上記軸受部18に挿入されることにより、作動板2Aは装置本体1Aの長手方向にスライド可能かつ回動可能に支持されている。作動板2Aが壁12Aに接近した閉位置にある時、通気口12aが閉じられ、作動板2が壁12Aから離間した開位置にある時、通気口12aが開かれる。
【0047】
装置本体1Aにはカム部材60が収容固定されている。カム部材60の上面には壁12Aに対して傾斜したカム溝61が形成されており、このカム溝61には、作動板2Aの下縁に形成された突起からなるカムフォロア部29が係合されている。
【0048】
本実施形態の操作機構3は、第1実施形態と同様に保持部材30と操作部材40と連携部材50を備えている。ただし、連携部材50は、第1実施形態の一対の連結部55の代わりに室外に向かって大きく突出する連結部56を有している。この連結部56は、作動板2の右端部に形成された係合穴(図示しない)に挿入されており、これにより、作動板2Aの回動を許容した状態で作動板2Aと連携部材50が連結されている。
【0049】
第1実施形態と同様に操作部材40が回動操作されると、連携部材50が装置本体1Aの長手方向にスライドし、連携部材50と一緒に上記作動板2Aがスライドする。作動板2Aは、このスライドの過程で、カム部材60のカム作用により回動し、上記閉位置と開位置との間で回動する。
【0050】
図9に示す第3実施形態では、作動板20は装置本体1Aの長手方向にスライドせず、回動するだけである。カム部材60は装置本体1Aに固定されておらず、スライダ70に固定されている。このスライダ70は、装置本体1Aにその長手方向にスライド可能に支持されている。
操作機構3の連携部材50は、室外側に大きく突出する連結部57を有し、この連結部57の先端部は、中間連結部材71を介して上記スライダ70に連結されている。
【0051】
第3実施形態では、操作部材40の回動により連携部材50が装置本体1Aの長手方向にスライドすると、スライダ70およびカム部材60が一緒にスライドし、このカム部材60のスライドの過程で、カム部材60のカム作用により作動板2Aが閉位置と開位置との間で回動する。
【0052】
図10に示す第4実施形態では、保持部材30の室内側の壁31に左右方向(装置本体1の長手方向)に延びる凹部31xが形成されており、この凹部31xの底壁31y(装置本体1の室内側の面1aから室外側に後退した垂直をなす壁部分)に、左右方向に延びる窓31aが形成されている。この底壁31yに操作部材40が回動可能に支持されている。他の構成は第1実施形態と同様である。
上記構成では、操作部材40の閉じ操作部41、開き操作部42が、突出位置において上記凹部31x内に配置され、装置本体1aの室内側の面1aから室内に突出しないかその突出量を小さくすることができる。そのため、引戸式のサッシ戸に組み込んでも、サッシ戸の開閉の支障にならず、また室内における他の部材と干渉することもない。
【0053】
上記第4実施形態において、保持部材30の室内側の壁31に凹部31xを設けずに壁31全体を装置本体1の室内側の面1aより室外側に後退させ、この壁31に操作部材40を回動可能に支持してもよい。
【0054】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨に反しない限りにおいて種々の改変をなすことができる。
例えば、保持部材に嵌合凹部を設け、操作部材に嵌合凸部を設け、これら嵌合凹部と嵌合凸部により操作部材を回動可能に支持してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、室内を換気するための換気装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1、1A 装置本体
1a 装置本体の室内側の面
2、2A 作動板
3 操作機構
11 通気路
12 室外側の壁(主壁)
12A 中間の壁(主壁)
12a 通気口
21 制御口
29 カムフォロア部
30 保持部材
31 室内側の壁
31x 凹部
31y 底壁(装置本体の室内側の面から室外側に後退した壁部分)
31a 窓
32 嵌合凸部
40 操作部材
41 閉じ操作部
42 開き操作部
45 嵌合凹部
46 突出部
46a 当接面
47 係合軸
50 連携部材
52 係合溝
53 受面
60 カム部材