(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】電界センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 29/12 20060101AFI20220127BHJP
G01R 29/08 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
G01R29/12 F
G01R29/08 F
(21)【出願番号】P 2019008252
(22)【出願日】2019-01-22
【審査請求日】2020-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502340996
【氏名又は名称】学校法人法政大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】松本 憲典
(72)【発明者】
【氏名】品川 満
(72)【発明者】
【氏名】勝山 純
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-164555(JP,A)
【文献】特開平06-230052(JP,A)
【文献】特開平02-030046(JP,A)
【文献】特開平05-034378(JP,A)
【文献】特開昭63-144263(JP,A)
【文献】特開平07-055891(JP,A)
【文献】特開昭59-147272(JP,A)
【文献】特開2003-204103(JP,A)
【文献】特開昭59-147273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/12
G01R 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学効果を利用し
て、被対象物が発する電界を測定する電界センサであって、
光源と、
前記光源が出射した光に基づく所定の偏光状態の光が入射され、前記被対象物が発する電界
が印加される電気光学結晶と、
前記電気光学結晶から出射される光をP波とS波とに分離する分離手段と、
前記分離手段の前段で、光の位相を変化させる波長板と、
前記P波の光を受光し、受光した光を電気信号に変換する第1受光手段と、
前記S波の光を受光し、受光した光を電気信号に変換する第2受光手段と、
前記第1受光手段が変換した電気信号と、前記第2受光手段が変換した電気信号との差動信号を生成する差動増幅手段と、
前記光源から光が出射され
、前記電気光学結晶に電界
が印加
された状態
において、前記差動増幅手段
から出力される直流成分
が所定の値の範囲になるように、前記光源の波長を調整する制御部と、
を備える電界センサ。
【請求項2】
前記制御部は、前記光源から光が出射され
、前記電気光学結晶に電界
が印加
された状態
において、前記差動増幅手段
から出力される直流成分
が所定の値の範囲になるように、前記光源の温度を調整することで前記光源の波長を調整する、請求項1に記載の電界センサ。
【請求項3】
透明電極と、ミラーと、を備え、
前記電気光学結晶は、
対向する2つの面のうちの一方の面に前記透明電極
が配置され、他方の面に前記ミラーが配置され、
前記光源が出射した光に基づく所定の偏光状態の光が前記透明電極から入射され、前記透明電極から入射した光を前記ミラーによって反射し、反射した光を前記透明電極から出射し、前記透明電極から出射された光が前記分離手段に入射する、請求項1または請求項2に記載の電界センサ。
【請求項4】
前記第1受光手段の電気信号の利得を変更する第1利得可変手段と、
前記第2受光手段の電気信号の利得を変更する第2利得可変手段と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記光源から光が出射され
、前記電気光学結晶に電界が印加されていない状態
において、前記差動増幅手段
から出力される直流成分
が所定の値の範囲になるように、前記第1利得可変手段の利得と前記第2利得可変手段の利得を調整する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電界センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界センサに関する。
【背景技術】
【0002】
電界を測定する電界センサとしては、センサエレメントが一般的なダイポールアンテナのような金属製のものが一般的である。
これに対して、電気光学効果を用いた電界測定は、センサエレメントが金属製ではないため測定対象の電界を乱さずに測ることができ、さらに高空間分解の測定が可能である。このため、電気光学効果を用いた電界測定は、色々な用途で使われ始めている。なお、電気光学効果とは、電気光学結晶に電界が印加されると、電界強度に応じて電気光学結晶を透過する光の屈折率が変化する効果である。また、屈折率の変化は、光学結晶を通過する光波の位相変化を与える。電気光学効果を用いた電界測定では、位相の変化を測定することで、電気光学結晶に印加されている電界を測定することができる(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
ここで、電気光学効果を利用した電界センサの構成例と動作例を説明する。
図7は、従来技術に係る電気光学効果を利用した電界センサ900の構成例と動作例を示す図である。
図7に示すように、電界センサ900は、レーザ光源901と、検光子902と、λ/4波長板903と、電界発生源904と、電気光学結晶905と、λ/2波長板906と、偏光ビームスプリッタ907と、フォトディテクタ908と、フォトディテクタ909と、差動増幅器910を有している。
【0004】
レーザ光源901は、例えば半導体レーザである。検光子902は、レーザ光源901から入射した光線のうち直線偏光を出射する。λ/4波長板903は、検光子902から入射した光線を円偏光に偏光して出射する。
【0005】
電界発生源904は、電気光学結晶905に対して電界を発生させる。電気光学結晶905は、電界発生源904によって印加される電界強度に応じた複屈折の変化により偏光状態を変化させる。電気光学結晶905は、楕円軸の方位が45度に傾いた楕円偏光の光線を出射する。なお、楕円偏光の楕円率は、電界の強度によって変化する。λ/2波長板906は、電気光学結晶905が出射した光線を楕円偏光の楕円率を保ったまま、楕円偏光の方位が0度となる楕円偏光に変える。
【0006】
偏光ビームスプリッタ907は、λ/2波長板906が出射した楕円偏光の方位が0度である楕円偏光の光線をP波とS波に分離する。フォトディテクタ908は、偏光ビームスプリッタ907から入射したP波を電気信号に変換し、変換したP波成分の電気信号を差動増幅器910の一方の入力端に出力する。フォトディテクタ909は、偏光ビームスプリッタ907から入射したS波を電気信号に変換し、変換したS波成分電気信号を差動増幅器910の他方の入力端に出力する。
【0007】
差動増幅器910は、P波成分とS波成分の電気信号の差動成分を増幅して、増幅した電気信号を不図示の信号処理装置に出力する。なお、P波とS波の強度の時間変化は逆位相となるため、電界強度信号は、差動増幅器910によって2倍となる。
【0008】
ここで、検光子902を透過後の光強度をIOとし、P波の光強度をIPとし、S波の光強度をISとすると、P波の透過率TPは位相差Γを用いて次式(1)で表され、S波の透過率TSは位相差Γを用いて次式(2)で表される。
【0009】
【0010】
【0011】
ここで、電気光学結晶905に印加される電圧が正弦波であり、位相差(Γ(t)=a・sin(2πft))が時間的に変動する場合、P波の透過率TP(t)は次式(3)のように表され、S波の透過率TS(t)は次式(4)のように表される。
【0012】
【0013】
【0014】
ここで、T
P(t)とT
S(t)の差動バランスがあっている場合は、P波の平均光パワーT
POとS波の平均光パワーT
SOが等しいため、
図8のように動作する。
図8は、T
P(t)とT
S(t)の差動バランスがあっている場合の動作を説明するための図である。
図8の符号g921が示すグラフにおいて、横軸は位相差Γであり、縦軸は透過率Tである。また、符号g922はP波による変化を表し、符号g923はS波による変化を表している。符号g924のグラフは、平均位相差0におけるP波とS波の光強度の変化を表している。符号g925は、平均位相差0における位相差の変化を表している。
【0015】
これに対して、レーザ光に強度揺らぎ(雑音)がある場合、理想的にはT
P(t)とT
S(t)の波形に同相で重畳するため、その雑音の大きさはP波の平均光パワーT
POとS波の平均光パワーP
SOに比例する。差動バランスがあっている場合は、T
PO=T
SOとなるため、差動増幅器910によって雑音成分をキャンセルすることができる。
しかしながら、現実的には電気光学結晶905を含む光学部品の旋光性や偏差や波長板の角度偏差等により、
図9のように位相がずれてくる。
図9は、T
P(t)とT
S(t)の差動バランスがずれている場合の動作を説明するための図である。
図9の符号g931が示すグラフにおいて、横軸は位相差Γであり、縦軸は透過率Tである。また、符号g932はP波による変化を表し、符号g933はS波による変化を表している。符号g934のグラフは、位相差にオフセットΓ
0が加わったP波とS波の光強度の変化を表している。符号g935は、位相差にオフセットΓ
0が加わった位相差の変化を表している。
【0016】
差動バランスがずれている場合は、次式(5)と次式(6)のように、位相差にオフセットΓ0が生じ、差動バランスがずれる。
【0017】
【0018】
【0019】
レーザ光に強度揺らぎ(雑音)がある場合、T
P(t)とT
S(t)の波形に同相で重畳するため、上述したように雑音の大きさは平均パワーT
POとT
SOに比例する。ここで、差動バランスがずれている場合は、T
POとT
SOが等しくならず、雑音の大きさが異なる。このため、差動増幅器910によってキャンセルできない。また、
図9の符号g934のグラフに示したように、バランス点からずれると変調効率が小さい点にバイアスされるので、信号成分が減少する。このように、P波とS波のバランスが崩れた場合は、S/Nが劣化する。
【0020】
このため、従来、組み立て調整で、
図10に示すように、波長板を回転させることでバランスを調整することが行われている。
図10は、波長板を回転させて差動バランスを調整する構成例を示す図である。
図10において、
図7と同じ機能の部品には同じ符号を用いて説明を省略する。
【0021】
図10に示したように、電界センサ900aは、レーザ光源901と、検光子902と、λ/4波長板903aと、電界発生源904と、電気光学結晶905と、λ/2波長板906aと、偏光ビームスプリッタ907と、フォトディテクタ908と、フォトディテクタ909と、差動増幅器910を有している。
電気光学結晶905に電界が印加されていないときにおいても、光学的なバランス点のずれにより、フォトディテクタ908とフォトディテクタ909の両方の出力に差が生じて、差動増幅器910の出力が0にならない。このため、電界センサ900aでは、λ/4波長板903aとλ/2波長板906aを回転させてP波とS波のバランスを光学的に調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【文献】特開2002-122622号公報
【文献】特開2007-101384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、
図10に示したようにλ/4波長板903aとλ/2波長板906aを回転させてP波とS波のバランスを光学的に調整した場合は、レーザ光の揺らぎを除去できるが、構成が複雑になり装置も大型になるという課題がある。
【0024】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、電気光学効果を利用した電界センサにおいて、従来より構成を簡素化してレーザ光の揺らぎを除去することができる電界センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る電界センサ(100,100A,100B,100C)は、電気光学効果を利用した被対象物が発する電界を測定する電界センサであって、光源(半導体レーザ102)と、前記光源が出射した光に基づく所定の偏光状態の光が入射され、前記被対象物が発する電界を受ける電気光学結晶(107)と、前記電気光学結晶から出射される光をP波とS波とに分離する分離手段(偏光ビームスプリッタ109)と、前記分離手段の前段で、光の位相を変化させる波長板(λ/4波長板105、λ/2波長板108)と、前記P波の光を受光し、受光した光を電気信号に変換する第1受光手段(受光回路110)と、前記S波の光を受光し、受光した光を電気信号に変換する第2受光手段(受光回路111)と、前記第1受光手段が変換した電気信号と、前記第2受光手段が変換した電気信号との差動信号を生成する差動増幅手段(差動増幅器112)と、前記光源から光が出射され前記電気光学結晶に電界を印加した状態の前記差動増幅手段の直流成分の出力値を所定の値の範囲になるように、前記光源の波長を調整する制御部(DCレベル測定部113、温度制御部114、温度調整器103)と、を備える。
【0026】
上記の構成により、電界センサは、差動増幅手段の出力が所定の範囲になるように光源の温度を調整することでレーザの波長を変更する。これにより、上記構成によれば、レーザにより光強度の揺らぎ(雑音)をキャンセルすることができる。この結果、バランスずれが減少し、バランス点が適切な位置となるため、上記構成によれば、バランスがずれている場合と比較して信号強度が上がり、S/Nの劣化が少なく安定した電界測定を行うことができる。また、上記構成では、波長板を回転させないため、装置を従来より簡素化でき小型化することができる。これにより、上記構成によれば、測定安定度を損なうことなく、従来より構成を簡素化してレーザ光の揺らぎを除去することができる。
【0027】
また、本発明の一態様に係る測定装置において、前記制御部は、前記光源から光が出射され前記電気光学結晶に電界を印加した状態の前記差動増幅手段の直流成分の出力値を所定の値の範囲になるように、前記光源の温度を調整することで前記光源の波長を調整するようにしてもよい。
【0028】
上記の構成により、電界センサは、電気光学結晶に電界が印加されている状態の光学部品によるばらつきを制御部で調整するようにした。これにより、上記構成によれば、レーザにより光強度の揺らぎ(雑音)をよりキャンセルすることができる。この結果、バランスずれが減少し、バランス点が適切な位置となるため、上記構成によれば、バランスがずれている場合と比較して信号強度が上がり、S/Nの劣化が少なく安定した電界測定を行うことができる。
【0029】
また、本発明の一態様に係る測定装置は、透明電極(ITO116)と、ミラー(117)と、を備え、前記電気光学結晶は、一方の面に前記透明電極が対向して配置され、他方の面に前記ミラーが配置され、前記光源が出射した光に基づく所定の偏光状態の光が前記透明電極から入射され、前記透明電極から入射した光を前記ミラーによって反射し、反射した光を前記透明電極から出射し、前記透明電極から出射された光が前記分離手段に入射するようにしてもよい。
【0030】
上記の構成により、電界センサは、構造が縦型であっても、レーザにより光強度の揺らぎ(雑音)をよりキャンセルすることができる。この結果、バランスずれが減少し、バランス点が適切な位置となるため、上記構成によれば、バランスがずれている場合と比較して信号強度が上がり、S/Nの劣化が少なく安定した電界測定を行うことができる。
【0031】
また、本発明の一態様に係る測定装置は、前記第1受光手段の電気信号の利得を変更する第1利得可変手段(利得可変増幅器121)と、前記第2受光手段の電気信号の利得を変更する第2利得可変手段(利得可変増幅器122)と、をさらに備え、前記制御部は、前記光源から光が出射され前記電気光学結晶に電界が印加されていない状態の前記差動増幅手段の直流成分の出力値を所定の値の範囲になるように、前記第1利得可変手段の利得と前記第2利得可変手段の利得を調整するようにしてもよい。
【0032】
上記の構成により、電界センサは、電気光学結晶に電界が印加されていない状態の光学部品によるばらつきを第1利得可変手段と第2利得可変手段で調整し、電気光学結晶に電界が印加されている状態の光学部品によるばらつきを制御部で調整するようにした。これにより、上記構成によれば、レーザにより光強度の揺らぎ(雑音)をよりキャンセルすることができる。この結果、バランスずれが減少し、バランス点が適切な位置となるため、上記構成によれば、バランスがずれている場合と比較して信号強度が上がり、S/Nの劣化が少なく安定した電界測定を行うことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、従来より構成を簡素化してレーザ光の揺らぎを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】第1実施形態に係る電界センサの構成例を示す図である。
【
図2】レーザの周囲温度と発振波長の関係を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係るレーザ光源の構成例を示す図である。
【
図4】第2実施形態に係る電界センサの構成例を示す図である。
【
図5】第3実施形態に係る電界センサの構成例を示す図である。
【
図6】第4実施形態に係る電界センサの構成例を示す図である。
【
図7】従来技術に係る電気光学効果を利用した電界センサの構成例と動作例を示す図である。
【
図8】T
P(t)とT
S(t)の差動バランスがあっている場合の動作を説明するための図である。
【
図9】T
P(t)とT
S(t)の差動バランスがずれている場合の動作を説明するための図である。
【
図10】波長板を回転させて差動バランスを調整する構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0036】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る電界センサ100の構成例を示す図である。
図1に示すように、電界センサ100は、レーザ光源101(光源)と、検光子104と、λ/4波長板105(波長板)と、電界発生源106と、電気光学結晶107と、λ/2波長板108と、偏光ビームスプリッタ109(分離手段)と、受光回路110(第1受光手段)と、受光回路111(第2受光手段)と、差動増幅器112(差動増幅手段)と、DCレベル測定器113(制御部)と、温度制御部114(制御部)を備えている。また、レーザ光源101は、半導体レーザ102(光源)と、温度調整器103(制御部)を備えている。なお、符号g111に示すように、
図1において、レーザ光源101から出射された光は進行方向に振動成分を持たない横波であり、進行方向に対し磁界振動方向をx軸とし、電界振動方向をy軸とする。
【0037】
まず、電界センサ100の光学的な構成要素の配置を説明する。
検光子104は、レーザ光源101とλ/4波長板105との間に配置される。λ/4波長板105は、検光子104と電気光学結晶107との間に配置される。電気光学結晶107は、λ/4波長板105とλ/2波長板108との間に配置される。λ/2波長板108は、電気光学結晶107と偏光ビームスプリッタ109との間に配置される。偏光ビームスプリッタ109は、λ/2波長板108と受光回路110との間、かつλ/2波長板108と受光回路111との間に配置される。
【0038】
次に、電界センサ100の電気的な構成要素の接続関係を説明する。
受光回路110の出力端は、差動増幅器112の第1入力端子に接続されている。受光回路111の出力端は、差動増幅器112の第2入力端子に接続されている。差動増幅器112の出力端は、不図示の信号処理装置に処理した信号を出力する。
【0039】
次に、電界センサ100の動作について説明する。
電界センサ100は、センサ内に実装している電気光学結晶107に印加される電界強度に誘起される位相変化量を光学的手段で得ている。なお、電界センサ100は、被測定対象が発生する電界を電気光学結晶107に与えることで、差動増幅器112の出力値を不図示の信号処理装置によって測定することで、被測定対象が発生する電界の大きさを測定する。
【0040】
半導体レーザ102は、例えば半導体レーザである。半導体レーザ102は、不図示のレーザ駆動部によって駆動され発光する。
温度調整器103は、半導体レーザ102に取り付けられている。温度調整器103は、例えばペルチェ素子である。温度調整器103は、温度制御部114の制御に応じて半導体レーザ102の温度を調整する。
【0041】
検光子104は、レーザ光源101から入射した光線のうち直線偏光(符号g101、g111)を出射する。
λ/4波長板105は、光軸の方位をx軸に対して45度傾けて配置されている。λ/4波長板105は、検光子104から入射した光線を円偏光(符号g102、g112)に偏光して出射する。換言すると、λ/4波長板105は、電気光学結晶107に入射する光に対して光学的にバイアスをかけている。
【0042】
電界発生源106は、電気光学結晶107に対して電界を発生させる。
電気光学結晶107は、電界発生源106によって印加される電界強度に応じた複屈折の変化により偏光状態を変化させる。電気光学結晶107は、楕円軸の方位が45度に傾いた楕円偏光(符号g103、g113)の光線を出射する。なお、楕円偏光の楕円率は、電界の強度によって変化する。電気光学結晶107は、例えばLiNbO3、LiTaO3、Bi12SiO20(BSO)、Bi12GeO20(BGO)、ADP、KDP等である。
【0043】
λ/2波長板108は、光軸の方位をx軸に対して22.5度傾けて配置されている。λ/2波長板108は、電気光学結晶107が出射した光線を楕円偏光の楕円率を保ったまま、楕円偏光の方位が0度となる楕円偏光(符号g104、g114)に変える。
【0044】
偏光ビームスプリッタ109は、λ/2波長板108が出射した楕円偏光の方位が0度である楕円偏光の光線をP波(符号g105、g115)とS波(符号g106、g116)に分離する。
【0045】
受光回路110は、フォトディテクタを有する。受光回路110は、偏光ビームスプリッタ109から入射したP波を電気信号に変換し、変換したP波成分の電気信号を差動増幅器112の第1入力端子に出力する。
【0046】
受光回路111は、フォトディテクタを有する。受光回路111は、偏光ビームスプリッタ109から入射したS波を電気信号に変換し、変換したS波成分電気信号を差動増幅器112の第2入力端に出力する。
【0047】
差動増幅器112は、P波成分とS波成分の電気信号の差動成分を増幅して、増幅した電気信号を信号処理装置に出力する。
【0048】
DCレベル測定器113は、差動増幅器112が出力するDC(直流)のレベルを測定し、測定したDCレベルを示す値または情報を温度制御部114に出力する。
温度制御部114は、DCレベル測定器113が出力するDCレベルを示す値または情報を取得する。温度制御部114は、DCレベルを示す値が0Vを含む所定の値の範囲に入るように温度調整器103を制御する。
【0049】
本実施形態では、差動増幅器112の出力からDCレベル測定器113によって直流成分を取り出し、取り出した直流成分が0Vを含む所定の範囲に入るように半導体レーザ102の温度を温度制御部114と温度調整器103によって制御する。なお、調整はリアルタイムで行う。
【0050】
ここで、レーザの周囲温度と発振波長の関係を説明する。
図2は、レーザの周囲温度と発振波長の関係を示す図である。横軸は温度(度)であり、縦軸は発振波長(μm)である。
図2に示したように、レーザの周囲温度が変化すると、発振波長も変化する。例えば、レーザの周囲温度が上昇すると、発振波長が上昇前より大きくなる。
【0051】
次に、レーザ光源101の構成例を説明する。
図3は、本実施形態に係るレーザ光源101の構成例を示す図である。
図3に示すレーザ光源101は、サーミスタ102aと、PD(フォトディテクタ)102bと、LD(レーザ)チップ102cと、レンズ102dと、ペルチェ素子103aを含んで構成されている。
【0052】
サーミスタ102aは、例えばPD102bとLDチップ102cが取り付けられている基板の温度を測定する。
PD102bは、LDチップ102cによって発光された光強度を測定し、測定した測定値を不図示のレーザ駆動部に出力する。レーザ駆動部は、PD102bが出力する測定値に基づいてLDチップ102cが出射する光強度を所定値に制御する。
【0053】
LDチップ102cは、レーザ駆動部の制御に応じて発光する。
レンズ102dは、LDチップ102cが出射した光線を集光する。レンズ102dは、集光された光線を光ファイバ120に入射する。
【0054】
図3に示す構造では、ペルチェ素子103a上にLDチップ102cが設けられている。この構成により、LDチップ102cの温度を調整することで、半導体レーザ102の波長を調整することができる。
【0055】
ここで、レーザの波長を変更することで、複屈折を有する電気光学結晶中を伝搬する光の位相差を変更することができる原理について説明する。
複屈折を持つ電気光学結晶の通過後の光学的位相差Γ(λ)は、次式(7)のように表される。
【0056】
【0057】
式(7)において、φfはfast軸の位相であり、φsはslow軸の位相である。また、λfはfast軸の波長であり、λsはslow軸の波長である。cは真空中の光速であり、cfはfast軸の位相速度であり、csはslow軸の位相速度である。λは真空中での波長であり、fは真空中での周波数である。dは電気光学結晶の厚さである。Δnはfast軸とslow軸の屈折率差である。なお、fast軸とは複屈折を有する結晶中を光が速く伝搬する振動方向であり、slow軸とは複屈折を有する結晶中を光が遅く伝搬する振動方向である。
【0058】
式(7)に示したように、真空中で波長がλであり周波数がfである光が、厚さdの複屈折を持つ電気光学結晶中を伝搬するとき、fast軸の振動方向の光とslow軸の振動方向の光との位相差Γ(λ)は、波長λに対して反比例の関係である。
ここで、屈折率nは、次式(8)である。
【0059】
【0060】
式(8)において、c’は電気光学結晶中の光速であり、εは真空中の誘電率であり、ε0は電気光学結晶中の誘電率であり、μは真空中の透磁率であり、μ0は電気光学結晶中の透磁率である。
【0061】
式(7)より、fast軸とslow軸の屈折率差Δnは、次式(9)のようになる。
【0062】
【0063】
式(9)
に示したように、レーザの波長を変更することで、複屈折を有する電気光学結晶中を伝搬するfast軸の振動方向の光とslow軸の振動方向の光の位相差を変更することができる。これは、
図10を用いて説明した従来技術における波長板を回転させて光学的なバランスを調整することと同等の効果を得ることができる。
【0064】
上述したように、光学的なバランス点のずれによって、受光回路110と受光回路111の両出力に差が生じて差動増幅器112の出力に偏差電圧が生じる。本実施形態では、このような場合であっても、差動増幅器112の出力が0Vを含む所定の範囲になるように半導体レーザ102の温度を調整することでレーザの波長を変更する。これにより、本実施形態によれば、レーザにより光強度の揺らぎ(雑音)をキャンセルすることができる。この結果、バランスずれが減少し、バランス点が適切な位置となるため、
図8、
図9を用いて説明したように、本実施形態によれば、バランスがずれている場合と比較して信号強度が上がり、S/Nの劣化が少なく安定した電界測定を行うことができる。また、本実施形態では、波長板を回転させないため、装置を従来より簡素化でき小型化することができる。これにより、本実施形態によれば、測定安定度を損なうことなく、従来より構成を簡素化してレーザ光の揺らぎを除去することができる。
【0065】
なお、レーザの波長を変更する手段は、上述した手段に限らない。温度制御部114は、
図3に示したサーミスタ102aが出力する情報も用いて、半導体レーザ102の波長を変更してもよい。または、外部共振型レーザを用いてもよい。この場合は、差動増幅器112から取り出した直流成分が所定の範囲になるように、外部共振型レーザの波長と光路長を変更するように制御するようにしてもよい。
【0066】
<第2実施形態>
本実施形態では、電界センサが縦型構造の例を説明する。
図4は、本実施形態に係る電界センサ100Aの構成例を示す図である。
図4に示すように、電界センサ100Aは、レーザ光源101と、電界発生源106と、電気光学結晶107と、偏光ビームスプリッタ109と、受光回路110と、受光回路111と、差動増幅器112と、DCレベル測定器113と、温度制御部114と、偏光ビームスプリッタ115と、ITO(Indium Tin Oxide)116と、ミラー117と、λ/4波長板118を備えている。また、レーザ光源101は、半導体レーザ102と、温度調整器103を備えている。なお、第1実施形態の電界センサ100と同様の機能を有する構成要素には、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0067】
まず、電界センサ100Aの光学的な構成要素の配置を説明する。
偏光ビームスプリッタ115は、レーザ光源101とITO116の第1面との間に配置される。λ/4波長板118は、偏光ビームスプリッタ115と偏光ビームスプリッタ109との間に配置される。電気光学結晶107は、ITO116の第2面と、ミラー117の第1面に接して構成されている。偏光ビームスプリッタ109は、λ/4波長板118と受光回路110との間、かつλ/4波長板118と受光回路111との間に配置される。
【0068】
次に、電界センサ100Aの動作について説明する。
電界センサ100Aは、センサ内に実装している電気光学結晶107に印加される電界強度に誘起される位相変化量を光学的手段で得ている。なお、電界センサ100Aは、被測定対象が発生する電界を、ミラー117側から電気光学結晶107に与えることで、差動増幅器112の出力値を不図示の信号処理装置によって測定することで、被測定対象が発生する電界の大きさを測定する。
【0069】
レーザ光源101が出射した光線は、偏光ビームスプリッタ115を通過して直線偏光でITO116に入射した後、電気光学結晶107を透過してミラー117によって反射する。反射した光線は、電気光学結晶107とITO116を透過して測定電界により楕円偏光となった光線は、再び偏光ビームスプリッタ115入射する。入射した光線は偏光ビームスプリッタ115で反射され、λ/4波長板118へ入射され、光学的にバイアスがかかり、偏光ビームスプリッタ109に入射される。偏光ビームスプリッタ109は、楕円偏光の光線をP波とS波に分離する。
【0070】
ITO116は、透明電極であり接地されている。
ミラー117は、第1面が鏡面である。
【0071】
図4に示した構成を縦型構造の電界センサという。このような縦型構造の電界センサにおいても、レーザにより光強度の揺らぎ(雑音)がある場合、その雑音の大きさは光の平均パワーに比例する。このため、構成している光学部品の偏差や波長板の角度偏差などによって位相がずれた場合、差動バランスがずれてS/Nが劣化する。
【0072】
本実施形態では、第1実施形態と同様に差動増幅器112の出力を0Vを含む所定の範囲になるように制御することで、差動バランスをリアルタイムで合わせる。これにより、本実施形態においても、レーザによる光強度の揺らぎ(雑音)をキャンセルすることができ、信号強度が雑音がある場合より大きくなり、雑音がある場合と比較してS/Nの劣化を低減することができる。
【0073】
なお、レーザの波長を変更する手段は、上述した手段に限らない。本実施形態においても、温度制御部114は、
図3に示したサーミスタ102aが出力する情報も用いて、半導体レーザ102の波長を変更してもよい。または、外部共振型レーザを用いてもよい。この場合は、差動増幅器112から取り出した直流成分が所定の範囲になるように、外部共振型レーザの波長と光路長を変更するように制御するようにしてもよい。
【0074】
<第3実施形態>
偏光ビームスプリッタで分離されるP波の成分とS波の成分それぞれの光は、受光回路が有するフォトディテクタで電気信号に変換されるが、偏光ビームスプリッタの分岐比のばらつきや、2個の受光回路それぞれが有するフォトディテクタの受光感度にもばらつきがある場合がある。このような場合も、P波による雑音成分の大きさとS波による雑音成分の大きさが異なるため、差動増幅器112によって雑音をキャンセルできない。
【0075】
このような雑音に対して、本実施形態では、光学バイアスを波長板で調整した状態で、受光回路の後段に設けた利得可変増幅器を用いて差動バランスを電気的に0Vを含む第2の所定の範囲に調整した後、さらにレーザの波長を変化させることでリアルタイムに差動バランスを調整する。
【0076】
図5は、本実施形態に係る電界センサ100Bの構成例を示す図である。
図5に示すように、電界センサ100Bは、レーザ光源101と、検光子104と、λ/4波長板105と、電界発生源106と、電気光学結晶107と、λ/2波長板108と、偏光ビームスプリッタ109と、受光回路110と、受光回路111と、差動増幅器112と、DCレベル測定器113と、温度制御部114Bと、利得可変増幅器121と、利得可変増幅器122を備えている。また、レーザ光源101は、半導体レーザ102と、温度調整器103を備えている。なお、第1実施形態の電界センサ100と同様の機能を有する構成要素には、同じ符号を用いて説明を省略する。
この構成においても、第1実施形態と同様にλ/4波長板105は、電気光学結晶107に入射する光に対して光学的にバイアスをかけている。
【0077】
電界センサ100Bの光学的な構成要素の配置は、電界センサ100と同じである。電界センサ100Bは、電界センサ100と同様に、被測定対象が発生する電界を電気光学結晶107に与えることで、差動増幅器112の出力値を不図示の信号処理装置によって測定することで、被測定対象が発生する電界の大きさを測定する。
【0078】
次に、電界センサ100Bの電気的な構成要素の接続関係を説明する。
受光回路110の出力端は、利得可変増幅器121の入力端子に接続されている。利得可変増幅器121の出力端子は、差動増幅器112の第1入力端子に接続されている。利得可変増幅器121の制御端子は、温度制御部114Bに接続されている。
受光回路111の出力端は、利得可変増幅器122の入力端子に接続されている。利得可変増幅器122の出力端子は、差動増幅器112の第2入力端子に接続されている。利得可変増幅器122の制御端子は、温度制御部114Bに接続されている。
差動増幅器112の出力端は、不図示の信号処理装置に処理した信号を出力する。
【0079】
温度制御部114Bは、レーザ光源101を発光させ電界発生源106によって電界を発生させていない状態で、差動増幅器112の出力が0Vを含む第2の所定の範囲になるように、利得可変増幅器121と利得可変増幅器122それぞれの利得を調整することで電気的に調整する。その後、温度制御部114Bは、第1実施形態等と同様に、レーザ光源101を発光させ電界発生源106によって電界を発生させた状態で、差動増幅器112の出力が0Vを含む所定の範囲になるように、温度調整器103を制御することで光学的に調整する。
【0080】
以上のように、本実施形態によれば、2個の受光回路それぞれが有するフォトディテクタの受光感度にもばらつきがあっても差動バランスを調整することができる。これにより、本実施形態によれば、レーザによる光強度の揺らぎ(雑音)をキャンセルすることができ、信号強度が雑音がある場合より大きくなり、雑音がある場合と比較してS/Nの劣化を低減することができる。
【0081】
なお、受光回路で生じる差動バランスの調整は、上述した利得可変増幅器に限らない。偏光ビームスプリッタ109と受光回路110の間に第1の光アッテネータ(不図示)を設け、偏光ビームスプリッタ109と受光回路111の間に第2の光アッテネータ(不図示)を設けるようにしてもよい。
この場合、温度制御部114Bは、レーザ光源101を発光させ電界発生源106によって電界を発生させていない状態で、差動増幅器112の出力が0Vを含む第2の所定の範囲になるように、第1の光アッテネータと第2の光アッテネータそれぞれの減衰率を調整することで光学的に調整するようにしてもよい。
【0082】
なお、レーザの波長を変更する手段は、上述した手段に限らない。本実施形態においても、温度制御部114Bは、
図3に示したサーミスタ102aが出力する情報も用いて、半導体レーザ102の波長を変更してもよい。または、外部共振型レーザを用いてもよい。この場合は、差動増幅器112から取り出した直流成分が所定の範囲になるように、外部共振型レーザの波長と光路長を変更するように制御するようにしてもよい。
【0083】
<第4実施形態>
第3実施形態で説明した利得可変増幅器を、第2実施形態で説明した縦型構造の電界センサに適用することもできる。
図6は、本実施形態に係る電界センサ100Cの構成例を示す図である。
図6に示すように、電界センサ100Cは、レーザ光源101と、電界発生源106と、電気光学結晶107と、偏光ビームスプリッタ109と、受光回路110と、受光回路111と、差動増幅器112と、DCレベル測定器113と、温度制御部114Bと、偏光ビームスプリッタ115と、ITO116と、ミラー117と、λ/4波長板118と、利得可変増幅器121と、利得可変増幅器122を備えている。また、レーザ光源101は、半導体レーザ102と、温度調整器103を備えている。なお、第1実施形態の電界センサ100、第2実施形態の電界センサ100A、および第3実施形態の電界センサ100Bと同様の機能を有する構成要素には、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0084】
本実施形態においても、第2実施形態と同様に、λ/4波長板118は、偏光ビームスプリッタ115に入射する光に対して光学的にバイアスをかけている。
なお、電界センサ100Cは、電界センサ100Aと同様に、被測定対象が発生する電界を、ミラー117側から電気光学結晶107に与えることで、差動増幅器112の出力値を不図示の信号処理装置によって測定することで、被測定対象が発生する電界の大きさを測定する。
【0085】
本実施形態においても、第3実施形態と同様に、温度制御部114Bは、レーザ光源101を発光させ電界発生源106によって電界を発生させていない状態で、差動増幅器112の出力が0Vを含む第2の所定の範囲になるように、利得可変増幅器121と利得可変増幅器122それぞれの利得を調整することで電気的に調整する。その後、温度制御部114Bは、レーザ光源101を発光させ電界発生源106によって電界を発生させた状態で、差動増幅器112の出力が0Vを含む所定の範囲になるように、温度調整器103を制御することで光学的に調整する。
【0086】
以上のように、本実施形態によれば、2個の受光回路それぞれが有するフォトディテクタの受光感度にもばらつきがあっても差動バランスを調整することができる。これにより、本実施形態によれば、レーザによる光強度の揺らぎ(雑音)をキャンセルすることができ、信号強度が雑音がある場合より大きくなり、雑音がある場合と比較してS/Nの劣化を低減することができる。
【0087】
なお、本実施形態においても、受光回路で生じる差動バランスの調整は、上述した利得可変増幅器に限らない。偏光ビームスプリッタ109と受光回路110の間に第1の光アッテネータ(不図示)を設け、偏光ビームスプリッタ109と受光回路111の間に第2の光アッテネータ(不図示)を設けるようにしてもよい。
この場合、温度制御部114Bは、レーザ光源101を発光させ電界発生源106によって電界を発生させていない状態で、差動増幅器112の出力が0Vを含む第2の所定の範囲になるように、第1の光アッテネータと第2の光アッテネータそれぞれの減衰率を調整することで光学的に調整するようにしてもよい。
【0088】
なお、レーザの波長を変更する手段は、上述した手段に限らない。本実施形態においても、温度制御部114Bは、
図3に示したサーミスタ102aが出力する情報も用いて、半導体レーザ102の波長を変更してもよい。または、外部共振型レーザを用いてもよい。この場合は、差動増幅器112から取り出した直流成分が所定の範囲になるように、外部共振型レーザの波長と光路長を変更するように制御するようにしてもよい。
【0089】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0090】
100,100A,100B,100C…電界センサ、101…レーザ光源、102…半導体レーザ、103…温度調整器、104…検光子、105…λ/4波長板、106…電界発生源、107…電気光学結晶、108…λ/2波長板、109…偏光ビームスプリッタ、110…受光回路、111…受光回路、112…差動増幅器、113…DCレベル測定器、114,114B…温度制御部、115…偏光ビームスプリッタ、116…ITO、117…ミラー、118…λ/4波長板、121…利得可変増幅器、122…利得可変増幅器