(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】位置座標算出方法及び位置座標算出装置
(51)【国際特許分類】
G06T 7/70 20170101AFI20220104BHJP
G06T 3/00 20060101ALI20220104BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
G06T7/70 A
G06T3/00 720
H04N5/232 380
H04N5/232 930
(21)【出願番号】P 2019541525
(86)(22)【出願日】2017-09-12
(86)【国際出願番号】 JP2017032927
(87)【国際公開番号】W WO2019053790
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2020-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】516277761
【氏名又は名称】株式会社SPLYZA
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】土井 寛之
(72)【発明者】
【氏名】安東 清文
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-155168(JP,A)
【文献】特開2017-156880(JP,A)
【文献】特開2014-234085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/70
G06T 3/00
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項10】
前記合成画像は、前記所定のフィールドの模式図を更に含む、請求項9に記載の位置座標算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置座標算出方法及び位置座標算出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のカメラを用いて目標の位置座標を算出する種々の方法が考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の撮影カメラの中から目標の位置に適した二台の撮影カメラを選択し、ズーム機構で目標を追尾するとともに、撮影システムにより三角測量法の原理に基づいて目標の位置座標を算出する位置座標算出方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、配列した複数のカメラの撮影タイミングを同期させて、微少視差及び微少時差で撮影した画像を統合的に分析して、対象物体の3次元位置及び速度を同時に検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-285849号公報
【文献】特開2007-066274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の方法はいずれも、複数のカメラを所定の位置に設置すると共に、設置した複数のカメラそれぞれのズーム機構や撮影タイミング等を高度に制御することを要し、多大な労力及び設備費用が必要となる。
【0007】
そこで、本発明は、一台の単眼カメラを用いて目標の位置座標を算出することのできる位置座標算出方法及び位置座標算出装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る位置座標算出方法は、第1直線、第1直線に略平行な第2直線、第1直線に略平行でない第3直線、及び第3直線に略平行な第4直線を含むフィールド線によって規定される所定のフィールドが撮像されたフィールド画像に基づいて、フィールド画像に含まれる点の所定のフィールド上における位置座標を算出する位置座標算出方法であって、フィールド画像から、第1直線、第2直線、第3直線、及び第4直線のいずれかを示す候補として複数の直線を検出し、検出された各直線及びフィールド画像の光学中心を通る複数の平面を生成するステップと、複数の平面から、2つの平面から成る第1ペア及び他の2つの平面から成る第2ペアで構成される複数の組合せを生成するステップと、複数の組合せのそれぞれについて、第1ペアに含まれる各平面の法線ベクトル同士の外積を第1外積ベクトルとして算出し、第2ペアに含まれる各平面の法線ベクトル同士の外積を第2外積ベクトルとして算出し、第1外積ベクトル及び第2外積ベクトルの外積を第3外積ベクトルとして算出し、第3外積ベクトルを法線ベクトルとする平面を投影平面として算出するステップと、算出された複数の投影平面のそれぞれに複数の直線及び所定のフィールドを投影し、投影された複数の直線及び所定のフィールドを比較することにより、複数の投影平面のそれぞれについて評価値を算出するステップと、評価値に基づいて、複数の投影平面から所定のフィールドに平行なフィールド平面を決定するステップと、フィールド画像をフィールド平面に投影することにより、フィールド画像に含まれる点の所定のフィールド上における位置座標を算出するステップと、を備えることを特徴とする。
【0009】
この態様によれば、まず、単眼カメラ等を用いて撮影されたフィールド画像に基づいて、第1直線、第1直線に略平行な第2直線、第1直線に略平行でない第3直線、及び第3直線に略平行な第4直線それぞれと光学中心とを通る各平面を算出することができる。そして、各平面の法線ベクトルからフィールドに平行なフィールド平面を算出することができる。そして、フィールド画像をフィールド平面に投影することにより、フィールド画像に含まれる点のフィールド上における位置座標を算出することができる。したがって、単眼カメラを用いて目標の位置座標を算出することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る他の位置座標算出方法は、第1直線、第1直線に略平行な第2直線、及び第1直線に略垂直な第3直線を含むフィールド線によって規定される所定のフィールドが撮像されたフィールド画像に基づいて、フィールド画像に含まれる点の所定のフィールド上における位置座標を算出する位置座標算出方法であって、フィールド画像から、第1直線、第2直線、及び第3直線のいずれかを示す候補として複数の直線を検出し、検出された各直線及びフィールド画像の光学中心を通る複数の平面を生成するステップと、複数の平面から3つの平面で構成される複数の組合せを生成するステップと、複数の組合せのそれぞれについて、3つの平面のうちの第1平面の法線ベクトル及び3つの平面のうちの第2平面の法線ベクトルの外積を第1外積ベクトルとして算出し、3つの平面のうちの第3平面の法線ベクトル及び第1外積ベクトルの外積を第2外積ベクトルとして算出し、第1外積ベクトル及び第2外積ベクトルの外積を第3外積ベクトルとして算出し、第3外積ベクトルを法線ベクトルとする平面を投影平面として算出するステップと、算出された複数の投影平面のそれぞれに複数の直線及び所定のフィールドを投影し、投影された複数の直線及び所定のフィールドを比較することにより、複数の投影平面のそれぞれについて評価値を算出するステップと、評価値に基づいて、複数の投影平面から所定のフィールドに平行なフィールド平面を決定するステップと、フィールド画像をフィールド平面に投影することにより、フィールド画像に含まれる点の所定のフィールド上における位置座標を算出するステップと、を備えることを特徴とする。
【0011】
この態様によれば、まず、単眼カメラ等を用いて撮影されたフィールド画像に基づいて、第1直線、第1直線に略平行な第2直線、及び第1直線に略垂直な第3直線それぞれと光学中心とを通る各平面を算出することができる。そして、各平面の法線ベクトルからフィールドに平行なフィールド平面を算出することができる。そして、フィールド画像をフィールド平面に投影することにより、フィールド画像に含まれる点のフィールド上における位置座標を算出することができる。したがって、単眼カメラを用いて目標の位置座標を算出することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、単眼カメラを用いて目標の位置座標を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】画像処理装置1の機能上の構成を示すブロック図である。
【
図2】位置座標算出処理の動作フローの一例を示す図である。
【
図3】球面パノラマ画像生成処理の動作フローの一例を示す図である。
【
図4】特徴線候補平面生成処理の動作フローの一例を示す図である。
【
図5】フィールド平面決定処理の動作フローの一例を示す図である。
【
図6】位置座標算出処理の動作フローの一例を示す図である。
【
図8】特徴点のマッチングを説明するための図である。
【
図9A】画像フレームの仮想球面上への投影を説明するための図である。
【
図10】直線の抽出処理を説明するための図である。
【
図11】球面パノラマ画像上への直線の投影を説明するための図である。
【
図12A】特徴線候補平面の生成を説明するための図である。
【
図12B】特徴線候補平面の生成を説明するための図である。
【
図13】4つの特徴線候補平面の組合せの一例を示す図である。
【
図14】外積ベクトルの算出を説明するための図である。
【
図15】投影平面の幾何学的意味を説明するための図である。
【
図16A】投影平面の評価を説明するための図である。
【
図16B】投影平面の評価を説明するための図である。
【
図17A】球面パノラマ画像のフィールド平面上への投影を説明するための図である。
【
図18】画像フレーム上の点とフィールド画像上の点の対応づけを説明するための図である。
【
図19】位置座標算出処理を用いて生成された画面を説明するための図である。
【
図20】第2実施形態に係るフィールド平面決定処理の動作フローの一例を示す図である。
【
図21】3つの特徴線候補平面の組合せの一例を示す図である。
【
図22】投影平面の幾何学的意味を説明するための図である。
【発明の詳細な説明】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
以下では、単眼カメラを用いて、所定のフィールド上で行われるスポーツ競技(例えば、サッカー)の様子を撮影した場合を例として説明を行う。ここで、フィールドとは、スポーツ競技等に関して定められた地面その他の面に配置される所定のフィールド線(直線、曲線、その他の任意の線をいう)によって規定された領域をいう。
【0016】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る位置座標算出方法は、所定のフィールドが撮像されたフィールド画像に基づいて、フィールド画像に含まれる点のフィールド上における位置座標を算出する方法である。ここで、第1実施形態に係る位置座標算出方法における所定のフィールドは、例えば、第1直線と、第1直線に略平行な第2直線と、第1直線に略平行でない第3直線と、第3直線に略平行な第4直線とを含むフィールド線によって規定される。例えば、サッカーのフィールドの場合、第1直線及び第2直線は2本のエンドライン、第3直線及び第4直線は2本のサイドラインである。
【0017】
図1は、画像処理装置1の機能上の構成を示すブロック図である。
【0018】
画像処理装置1は、位置座標算出装置の一例である。画像処理装置1は、記憶部10と、処理部20と、表示部30と、操作部40とを備える。
【0019】
記憶部10は、更新記録可能なフラッシュメモリ等のROMやRAMといった各種ICメモリ、内蔵若しくはデータ通信端子で接続されたハードディスク、又は、CD-ROM等の情報記録媒体及びその読取装置等によって実現される。記録部10は、不図示の画像取得部によって取得された動画データ及び画像データの他、画像処理装置1を動作させると共に、種々の機能を画像処理装置1に実行させるためのプログラムや、このプログラムの実行中に使用されるデータ等を格納する。
【0020】
処理部20は、CPU等のハードウェアによって実現され、記録部10に記録された各種プログラムを読み込むことにより、記憶部10に記憶された動画データ及び画像データや操作部40から入力される操作信号等に従って、画像処理装置1を構成する各部への指示やデータの転送等を行い、画像処理装置1全体の動作を統括的に制御する。
【0021】
処理部20は、後述する位置座標算出処理を行う。このために、処理部20は、球面パノラマ画像生成処理部21と、特徴線候補平面生成処理部22と、フィールド平面決定処理部23と、位置座標算出処理部24とを有する。
【0022】
球面パノラマ画像生成処理部21は、単眼カメラ動画に基づいて、球面パノラマ画像を生成する。このために、球面パノラマ画像生成処理部21は、特徴点抽出部211と、特徴点マッチング部212と、カメラパラメータ計算部213と、仮想球面投影部214とを有する。
【0023】
特徴線候補平面生成処理部22は、球面パノラマ画像から、第1直線、第2直線、第3直線、及び第4直線のいずれかと光学中心とを通る平面(特徴線平面)の候補となる特徴線候補平面を生成する。このために、特徴線候補平面生成処理部22は、直線処理部221と、特徴線候補平面生成部222とを有する。
【0024】
フィールド平面決定処理部23は、特徴線候補平面から、フィールド平面を決定する。このために、フィールド平面決定処理部23は、投影平面算出部231と、フィールド平面決定部232とを有する。
【0025】
位置座標算出処理部24は、フィールド平面に基づいて、単眼カメラ動画を構成する各画像フレーム上の点についてフィールド上における位置座標を算出する。このために、位置座標算出処理部24は、フィールド平面投影部241と、位置座標算出部242とを有する。
【0026】
表示部30は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示部である。表示部30は、処理部20の制御の下で、各種動画及び画像等を表示する。
【0027】
操作部40は、画像処理装置1の操作が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネル、キーボタン等である。ユーザは、操作部40を用いて、文字、数字、記号等を入力することができる。操作部40は、プレイヤにより操作された場合、その操作に対応する信号を処理部20に供給する。
【0028】
図2は、処理部20による位置座標算出処理の動作フローの一例を示す図である。
【0029】
位置座標算出処理は、所定のフィールドが撮像された単眼カメラ動画(時系列に沿って配列された複数の画像フレームから構成される動画データ)に基づいて、単眼カメラ動画を構成する各画像フレーム上の点のフィールド上における位置座標を算出する処理である。なお、単眼カメラ動画の撮影においては、単眼カメラを回転させてもよく、ズーム機能を使用してもよいが、単眼カメラの移動(パン)はさせないものとする。
【0030】
位置座標算出処理は、球面パノラマ画像生成処理と、特徴線候補平面生成処理と、フィールド平面決定処理と、位置座標算出処理とを含む。
【0031】
(ステップS100)
まず、球面パノラマ画像生成処理部21は、球面パノラマ画像生成処理として、単眼カメラ動画に基づいて、球面パノラマ画像を生成する。球面パノラマ画像生成処理の詳細は後述する。
【0032】
(ステップS200)
次に、特徴線候補平面生成処理部22は、特徴線候補平面生成処理として、ステップS100で得られた球面パノラマ画像から、第1直線、第2直線、第3直線、及び第4直線のいずれかと光学中心とを通る平面(特徴線平面)の候補となる特徴線候補平面を生成する。特徴線候補平面生成処理の詳細は後述する。
【0033】
(ステップS300)
次に、フィールド平面決定処理部23は、フィールド平面決定処理として、ステップS200で得られた特徴線候補平面から、フィールド平面を決定する。ここで、フィールド平面とは、実際のフィールドが規定された平面に平行な仮想的な平面のことをいう。フィールド平面決定処理の詳細は後述する。
【0034】
(ステップS400)
次に、位置座標算出処理部24は、位置座標算出処理として、ステップS300で得られたフィールド平面に基づいて、単眼カメラ動画を構成する各画像フレーム上の点についてフィールド上における位置座標を算出する。位置座標算出処理の詳細は後述する。
【0035】
図3は、球面パノラマ画像生成処理の動作フローの一例を示す図である。
【0036】
球面パノラマ画像生成処理は、単眼カメラ動画を構成する各画像フレームを仮想球面上に投影することにより、球面パノラマ画像を生成する処理である。
【0037】
(ステップS101)
特徴点抽出部211は、単眼カメラ動画を構成する各画像フレームにおいて、特徴点を抽出する。特徴点を抽出する方法としては、SIFT(Scale-Invariant Feature Transform)やSURF(Speeded Up Robust Features)等の公知の特徴点位置合わせ方法に含まれる特徴点の抽出方法を用いることができる。
【0038】
ここで、SIFTとは、特徴点において画像の回転およびスケール変化に対して不変な特徴量を記述し、記述した特徴量に基づいて、複数の画像の位置合わせを行う手法である。SURFとは、SIFTにおいて行われる処理を近似処理に置き換えることにより、より高速に位置合わせを行う手法である。なお、本実施形態において行われる特徴点の抽出処理は、SIFTまたはSURFに限定されるものではなく、任意の特徴点抽出方法を用いることができる。
【0039】
図7は、特徴点の抽出を説明するための図である。
図7において点線丸印で示した箇所は、当該画像フレームにおいて抽出された特徴点である。
【0040】
(ステップS102)
次に、特徴点マッチング部212は、ステップS101で抽出された特徴点同士を、画像フレーム間でマッチングする。マッチングの方法は、ステップS101に準じて、SIFTやSURF等の公知の特徴点位置合わせ方法であってよい。なお、特徴点のマッチングは、動画データに含まれる複数の画像フレームの全ての組合せ間で行ってもよい。或いは、計算量を削減するために、特徴点のマッチングは、時系列的に所定の近さ関係にある画像フレーム間のみで行ってもよい。
【0041】
図8は、特徴点のマッチングを説明するための図である。
図8において示された各点線は、2つの画像フレームの各々においてマッチングされる特徴点同士を結ぶ線分である。
【0042】
(ステップS103)
次に、カメラパラメータ計算部213は、カメラパラメータを計算する。
【0043】
ここで、所定の特徴点のカメラ座標系における位置座標を(x,y,1)、当該特徴点が表す点の3次元座標系における位置座標を(X,Y,Z)、カメラパラメータをK、Rとすると、次が成り立つ。
【0044】
【0045】
ただし、fはカメラの焦点距離を、(kx,ky)は画素の有効サイズを、(ox,oy)は画像中心を、rij(i=1~3,j=1~3)は回転行列成分を、それぞれ表すものとする。
【0046】
いま、画像フレームA及び画像フレームBが与えられ、画像フレームA上の特徴点pA及び画像フレームB上の特徴点pAがマッチングされたものとする。また、画像フレームAのパラメータをKA及びRAとし、画像フレームBのパラメータをKB及びRBとする。このとき、画像フレームA上の特徴点pAが表す点(qとする)の3次元座標系における位置座標qAは、qA=RAKA
-1pAと表され、画像フレームB上の特徴点pBが表す点(q)の3次元座標系における位置座標qBは、qB=RBKB
-1pBと表される。
【0047】
ここで、点qについての画像フレームA及び画像フレームB間のずれを、Dq=|qA/|qA|-qB/|qB||2と表すものとする。そして、カメラパラメータ計算部213は、全ての特徴点が表す点についてのずれDを足し合わせた値が最小となるようなパラメータを求める。これにより、各画像フレーム間のずれが最小となる。
【0048】
(ステップS104)
次に、仮想球面投影部214は、ステップS113で求めたカメラパラメータを用いて、画像フレームを仮想球面上に投影し、球面パノラマ画像を生成する。
【0049】
図9Aは、画像フレームの仮想球面上への投影を説明するための図である。
【0050】
図9Aに示すとおり、仮想球面は、光学中心O
Gを中心とする半径Rの球面状の仮想的な曲面である。仮想球面上に画像フレームが投影されることにより、球面パノラマ画像が生成される。
図9Bに、球面パノラマ画像の一例を示す。
【0051】
以上より、球面パノラマ画像が生成される。
【0052】
図4は、特徴線候補平面生成処理の動作フローの一例を示す図である。
【0053】
特徴線候補平面生成処理は、球面パノラマ画像から、第1直線、第2直線、第3直線、及び第4直線のいずれかと光学中心とを通る平面(特徴線平面)の候補となる特徴線候補平面を生成する処理である。ここで、特徴線平面とは、例えばサッカーのフィールドの場合、光学中心と一のサイドラインとを通る平面や、光学中心と一のエンドラインとを通る平面である。
【0054】
(ステップS201)
まず、直線処理部221は、単眼カメラ動画を構成する各画像フレームにおいて、直線を抽出する。直線を抽出する方法としては、ハフ変換やLSD(Line Segment Detector)等の公知の方法を用いることができる。ここで、ハフ変換とは、直線などの方程式で表される図形を検出するための手法であり、二値画像におけるx-y直交座標系の各点をρ-θ極座標系に変換し、ρ-θ極座標系での曲線が最も重なり合うところを画像上の線分として検出するものである。LSDとは、グレースケールに変換した画像フレームからエッジを検出した後、評価を行うことにより直線を検出する方法であり、区分的な直線を求めることができる。
【0055】
図10は、直線の抽出処理を説明するための図である。
図10の左側には直線が検出される前の画像フレームが示されており、
図10の右側には当該画像フレームにおいて直線(
図10では白線で示されている)が検出されたことが示されている。
【0056】
(ステップS202)
次に、直線処理部221は、ステップS201で抽出された各画像フレームにおける直線を、ステップS104で生成された球面パノラマ画像上に投影する。ここで、当該直線が投影されて成る球面パノラマ画像上の線を「投影線」と称する。
【0057】
図11は、球面パノラマ画像上への直線の投影を説明するための図である。
図11に示すとおり、球面パノラマ画像上には、各画像フレームにおける直線が投影されて成る投影線が生成される。
【0058】
(ステップS203)
次に、特徴線候補平面生成部222は、ステップS202において球面パノラマ画像上の投影線に基づいて、RANSAC(RANdam SAmple Consensus)により、特徴線候補平面を生成する。
【0059】
ここで、RANSACとは、全データから必要最小限の個数のデータをランダムに選択し、選択されたデータから拘束条件のパラメータを計算し、残りのデータからその値の妥当性を評価する、という操作を多数回行って最大の評価を得た値とそれを支持したデータを採用するパラメータ推定方法である。なお、本実施形態において行われる特徴線候補平面の抽出処理は、RANSACに限定されず、他の任意のパラメータ推定方法を用いて実行することができる。
【0060】
図12A及び
図12Bは、特徴線候補平面の生成を説明するための図である。まず、特徴線候補平面生成部222は、ステップS202で得られた球面パノラマ画像上の全ての投影線からランダムに一の投影線を選び、当該投影線及び光学中心O
Gを通る平面(
図12Aの扇形状の点線で張られる平面)を定義する。次に、特徴線候補平面生成部222は、定義された平面から所定の閾値以内に存在する他の投影線を抽出し、抽出された投影線の数を数える。
【0061】
次に、上述と同様にして、抽出された投影線から新しくランダムに一の投影線を選ぶと共に、当該投影線及び光学中心OGを通る平面を定義し、定義された平面から所定の閾値以内に存在する他の投影線を抽出し、抽出された投影線の数を数える。そして、当該操作を所定回数繰り返した後、抽出された他の投影線の数が最も多かったものを、特徴線候補平面としての解とする。
【0062】
図12Bには、上述の操作を複数回実行することにより抽出された複数の特徴線候補平面について、当該複数の特徴線候補平面が球面パノラマ画像を通過する線が、点線によって示されている。
【0063】
以上より、特徴線候補平面が得られる。
【0064】
図5は、フィールド平面決定処理の動作フローの一例を示す図である。
【0065】
フィールド平面決定処理は、複数の特徴線候補平面から、フィールド平面(実際のフィールドが規定された平面に平行な仮想的な平面)を決定する処理である。
【0066】
(ステップS301)
まず、投影平面算出部231は、ステップS203で生成された特徴線候補平面から4つの特徴線候補平面の組合せを任意に選択する。例えば、
図13に示すとおり、投影平面算出部231は、4つの特徴線候補平面A、B、C及びDの組合せを選択する。
【0067】
(ステップS302)
次に、投影平面算出部231は、ステップS301で選択された4つの特徴線候補平面から、2つの特徴線候補平面から成るペアを2組選択する。例えば、投影平面算出部231は、
図13に示した4つの特徴線候補平面A、B、C及びDから、特徴線候補平面A及びBから成る第1ペアと、特徴線候補平面C及びDから成る第2ペアとを選択する。
【0068】
(ステップS303)
次に、投影平面算出部231は、ステップS302で選択した2つのペアのそれぞれについて、ペアを構成する2つの特徴線候補平面の法線ベクトル同士の外積を取ることにより、2つの外積ベクトル(第1外積ベクトル及び第2外積ベクトル)を算出する。例えば、
図14に示すとおり、上述の第1ペアについて、特徴線候補平面Aの法線ベクトルn
Aと、特徴線候補平面Bの法線ベクトルn
Bとの外積を取ることにより、第1外積ベクトルとして外積ベクトルUを算出する。第2ペアについても同様に、特徴線候補平面Cの法線ベクトルn
Cと、特徴線候補平面Dの法線ベクトルn
Dとの外積を取ることにより、第2外積ベクトルとして外積ベクトルVを算出する。
【0069】
(ステップS304)
次に、投影平面算出部231は、ステップS303で算出された第1外積ベクトル及び第2外積ベクトルの外積を取ることにより、第3外積ベクトルを算出する。例えば、
図15に示すとおり、外積ベクトルU及びVの外積を取ることにより、第3外積ベクトルとして外積ベクトルNを算出する。
【0070】
(ステップS305)
次に、投影平面算出部231は、ステップS304で算出された第3外積ベクトルを法線ベクトルとする平面を算出する。ここで、第3外積ベクトルを法線ベクトルとする平面を投影平面と称する。
【0071】
図15を用いて、投影平面の幾何学的意味を説明する。特徴線候補平面Aが、第1直線を通る平面(特徴線平面)であり、特徴線候補平面Bが、第2直線を通る平面(特徴線平面)であると仮定する。更に、特徴線候補平面Cが、第3直線を通る平面(特徴線平面)であり、特徴線候補平面Dが、第4直線を通る平面(特徴線平面)であると仮定する。この仮定の下では、当該投影平面は、実際のフィールドが規定された平面に平行な仮想的な平面(フィールド平面)となる。以下、理由を説明する。
【0072】
例えば、特徴線候補平面Aが第1直線である一端のエンドラインを通る平面であり、特徴線候補平面Bが第2直線である他端のエンドラインを通る平面であるものとする。このとき、特徴線候補平面Aの法線ベクトルnAと、特徴線候補平面Bの法線ベクトルnBとの外積である外積ベクトルU(第1外積ベクトル)は、両方のエンドラインに平行な方向を向くベクトルである。
【0073】
同様に、例えば、特徴線候補平面Cが第3直線である一端のサイドラインを通る平面であり、特徴線候補平面Dが第4直線である他端のサイドラインを通る平面であるものとする。このとき、特徴線候補平面Cの法線ベクトルnCと、特徴線候補平面Dの法線ベクトルnDとの外積である外積ベクトルV(第2外積ベクトル)は、両方のサイドラインに平行な方向を向くベクトルである。
【0074】
したがって、外積ベクトルUと外積ベクトルVとの外積である外積ベクトルN(第3外積ベクトル)は、外積ベクトルU及び外積ベクトルVで張る平面に垂直な方向を向くベクトルである。以上より、外積ベクトルN(第3外積ベクトル)を法線ベクトルとする投影平面は、実際のフィールドが規定された平面と平行な仮想的な平面(フィールド平面)となる。
【0075】
(ステップS306)
次に、フィールド平面決定部232は、設計上のフィールド線を用いて、ステップS305で得られた投影平面の評価を行う。
【0076】
図16A及び
図16Bは、投影平面の評価を説明するための図である。まず、
図16Aに示すとおり、投影平面上にフィールドの設計図を配置する。ここで、フィールドの設計図とは、撮像されたフィールドに係る実際の設計図である。次に、
図16Bに示すとおり、
図11に示した投影線(単眼カメラ動画を構成する各画像フレームにおいて検出された直線を仮想球面上に投影した線)を、投影平面上に投影する。そして、フィールドの設計図の線と、投影された各線との距離を算出し、これに基づいて当該投影平面に対する評価値を算出する。ここで、評価値は、フィールドの設計図の線と投影された各線との距離が小さいほど大きな値を有するものとする。
【0077】
(ステップS307)
次に、フィールド平面決定部232は、ステップS302で選択された全ての2組のペアについて、ステップS306の評価値を算出したか否かを判定する。当該判定が否定される場合(ステップS307;No)、ステップS302に戻る。当該判定が肯定される場合(ステップS307;Yes)、ステップS308に進む。
【0078】
(ステップS308)
次に、フィールド平面決定部232は、ステップS301で選択された全ての4つの組合せについて、ステップS306の評価値を算出したか否かを判定する。当該判定が否定される場合(ステップS308;No)、ステップS301に戻る。当該判定が肯定される場合(ステップS308;Yes)、ステップS309に進む。
【0079】
(ステップS309)
次に、フィールド平面決定部232は、ステップS306で算出した複数の評価値から最大の評価値を選択することにより、フィールド平面を決定する。すなわち、当該最大の評価値を有する特徴線候補平面の4つの組合せ及び2組のペアについて、ステップS305で算出された投影平面を所望のフィールド平面(実際のフィールドが規定された平面に平行な仮想的な平面)であると決定する。
【0080】
以上より、フィールド平面が決定される。
【0081】
図6は、位置座標算出処理の動作フローの一例を示す図である。
【0082】
位置座標算出処理は、フィールド平面決定処理により決定されたフィールド平面に基づいて、単眼カメラ動画を構成する各画像フレーム上の点についてフィールド上における位置座標を算出する処理である。
【0083】
(ステップS401)
まず、フィールド平面投影部241は、フィールド平面上に、球面パノラマ画像を投影する。
【0084】
図17Aは、球面パノラマ画像のフィールド平面上への投影を説明するための図である。
【0085】
図17Aに示すとおり、フィールド平面上に球面パノラマ画像が投影されることにより、フィールド画像が生成される。
図17Bに、フィールド画像の一例を示す。
【0086】
(ステップS402)
次に、位置座標算出部241は、単眼カメラ動画を構成する画像フレーム及び球面パノラマ画像の対応関係と、球面パノラマ画像及びフィールド画像の対応関係とに基づいて、各画像フレーム上の点についてフィールド上における位置座標を算出する。
【0087】
図18は、画像フレーム上の点についてのフィールド上における位置座標の算出を説明するための図である。
図18に示すとおり、画像フレーム上の点P
Cは、球面パノラマ画像上の点P
Pに対応しており、球面パノラマ画像上の点P
Pは、フィールド画像上の点P
Fに対応している。当該関係を用いることにより、画像フレーム上の点P
Cに対して、フィールド画像上の点P
Fの位置座標を対応づける。
【0088】
以上より、画像フレーム上の点のフィールド上における位置座標が算出される。
【0089】
図19は、位置座標算出処理を用いて生成された画面を説明するための図である。
【0090】
画面100は、例えば、処理部20の制御により表示部30に表示される画面である。画像100は、単眼カメラ動画表示領域110と、フィールド表示領域120と、位置座標表示領域130とを含む。
【0091】
単眼カメラ動画表示領域110は、単眼カメラ動画が表示される領域である。
図19に示すとおり、単眼カメラ動画表示領域110において、特定のプレイヤ(
図19ではプレイヤA)を点線枠等で強調表示してもよい。
【0092】
フィールド表示領域120は、フィールド線が模式的に表示される領域である。
図19に示すとおり、フィールド線に重ねて、単眼カメラ動画表示領域110に表示されている画像フレームに対応する位置を、斜線により強調表示してもよい。
【0093】
位置座標表示領域130は、特定のプレイヤに係るフィールド上の位置座標が表示される領域である。
図19に示すとおり、例えばプレイヤAのフィールドの左側上部の点を原点とする位置座標が表示される。
【0094】
以上説明したとおり、第1実施形態に係る位置座標算出方法により、まず、単眼カメラ等を用いて撮影されたフィールド画像に基づいて、第1直線、第1直線に略平行な第2直線、第1直線に略平行でない第3直線、及び第3直線に略平行な第4直線それぞれと、光学中心とを通る各平面を算出することができる。そして、各平面の法線ベクトルからフィールドに平行なフィールド平面を算出することができる。そして、フィールド画像をフィールド平面に投影することにより、フィールド画像に含まれる点のフィールド上における位置座標を算出することができる。したがって、第1実施形態に係る位置座標算出方法により、単眼カメラを用いて目標の位置座標を算出することが可能となる。
【0095】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る位置座標算出方法は、所定のフィールドが撮像されたフィールド画像に基づいて、フィールド画像に含まれる点のフィールド上における位置座標を算出する方法である。ここで、第2実施形態に係る位置座標算出方法における所定のフィールドは、例えば、第1直線と、第1直線に略平行な第2直線と、第1直線に略垂直な第3直線とを含むフィールド線によって規定される。例えば、サッカーのフィールドの場合、第1直線及び第2直線は2本のサイドライン、第3直線は1本のエンドラインである。
【0096】
第2実施形態に係る位置座標算出方法では、第1実施形態に係るフィールド平面決定処理の代わりに、他のフィールド平面決定処理によってフィールド平面が決定される。以下では、第2実施形態に係る当該フィールド平面決定処理について説明し、第2実施形態に係る位置座標算出方法のうち第1実施形態に係る位置座標算出方法と同一の構成については、説明を省略する。
【0097】
図20は、第2実施形態に係るフィールド平面決定処理の動作フローの一例を示す図である。
【0098】
第2実施形態に係るフィールド平面決定処理は、例えば
図4を用いて説明した特徴線候補平面処理により生成された複数の特徴線候補平面から、フィールド平面(実際のフィールドが規定された平面に平行な仮想的な平面)を決定する処理である。第2実施形態に係るフィールド平面決定処理は、例えば、画像処理装置1によって実行される。
【0099】
(ステップS501)
まず、投影平面算出部231は、ステップS203で生成された特徴線候補平面から3つの特徴線候補平面の組合せを任意に選択する。例えば、
図21に示すとおり、投影平面算出部231は、3つの特徴線候補平面A、B及びCの組合せを選択する。
【0100】
(ステップS502)
次に、投影平面算出部231は、ステップS501で選択された3つの特徴線候補平面から、第1平面、第2平面及び第3平面を任意に選択する。例えば、投影平面算出部231は、
図21に示した3つの特徴線候補平面A、B及びCから、第1平面として特徴線候補平面Aを、第2平面として特徴線候補平面Bを、第3平面として特徴線候補平面Cを選択する。
【0101】
(ステップS503)
次に、投影平面算出部231は、ステップS502で選択した第1平面(特徴線候補平面)の法線ベクトルと、第2平面(特徴線候補平面)の法線ベクトルとの外積を取ることにより、第1外積ベクトルを算出する。例えば、第1平面としての特徴線候補平面Aの法線ベクトルnAと、第2平面としての特徴線候補平面Bの法線ベクトルnBとの外積を取ることにより、第1外積ベクトルUを算出する。
【0102】
(ステップS504)
次に、投影平面算出部231は、ステップS502で選択した第3平面(特徴線候補平面)の法線ベクトルと、ステップS503で算出した第1外積ベクトルとの外積を取ることにより、第2外積ベクトルを算出する。例えば、第3平面としての特徴線候補平面Cの法線ベクトルnCと、上述の第1外積ベクトルUとの外積を取ることにより、第2外積ベクトルVを算出する。
【0103】
(ステップS505)
次に、投影平面算出部231は、ステップS503で算出された第1外積ベクトルと、ステップS504で算出された第2外積ベクトルとの外積を取ることにより、第3外積ベクトルを算出する。例えば、上述の外積ベクトルU及び外積ベクトルVの外積を取ることにより、第3外積ベクトルとして外積ベクトルNを算出する。
【0104】
(ステップS506)
次に、投影平面算出部231は、ステップS505で算出された第3外積ベクトルを法線ベクトルとする平面を算出する。ここで、第3外積ベクトルを法線ベクトルとする平面を投影平面と称する。
【0105】
図22を用いて、投影平面の幾何学的意味を説明する。特徴線候補平面Aが、第1直線を通る平面(特徴線平面)であり、特徴線候補平面Bが、第2直線を通る平面(特徴線平面)であり、特徴線候補平面Cが、第3直線を通る平面(特徴線平面)であると仮定する。この仮定の下では、当該投影平面は、実際のフィールドが規定された平面に平行な仮想的な平面(フィールド平面)となる。以下、理由を説明する。
【0106】
例えば、特徴線候補平面Aが第1直線である一端のサイドラインを通る平面であり、特徴線候補平面Bが第2直線である他端のサイドラインを通る平面であるものとする。このとき、特徴線候補平面Aの法線ベクトルnAと、特徴線候補平面Bの法線ベクトルnBとの外積である外積ベクトルU(第1外積ベクトル)は、両方のサイドラインに平行な方向を向くベクトルとなる。
【0107】
次に、例えば、特徴線候補平面Cが第3直線であるエンドラインを通る平面であるものとする。このとき、特徴線候補平面Cの法線ベクトルnCは、エンドラインに垂直な方向を向くベクトルとなる。また、上述のとおり、外積ベクトルU(第1外積ベクトル)はサイドラインに平行な方向を向くところ、サイドラインとエンドラインとは互いに略垂直であるため、外積ベクトルU(第1外積ベクトル)はエンドラインに垂直な方向を向くベクトルとなる。よって、特徴線候補平面Cの法線ベクトルnCと、上述の外積ベクトルU(第1外積ベクトル)との外積である外積ベクトルV(第2外積ベクトル)は、エンドラインに平行な方向を向くベクトルとなる。
【0108】
そして、外積ベクトルUと外積ベクトルVとの外積である外積ベクトルN(第3外積ベクトル)は、外積ベクトルU及び外積ベクトルVで張る平面に垂直な方向を向くベクトルとなる。以上より、外積ベクトルN(第3外積ベクトル)を法線ベクトルとする投影平面は、実際のフィールドが規定された平面と平行な仮想的な平面(フィールド平面)となる。
【0109】
(ステップS507)
次に、フィールド平面決定部232は、設計上のフィールド線を用いて、上述のステップS306と同様に、ステップS506で得られた投影平面の評価を行う。
【0110】
(ステップS508)
次に、フィールド平面決定部232は、ステップS502で選択された全ての第1~第3平面について、ステップS507の評価値を算出したか否かを判定する。当該判定が否定される場合(ステップS508;No)、ステップS502に戻る。当該判定が肯定される場合(ステップS508;Yes)、ステップS509に進む。
【0111】
(ステップS509)
次に、フィールド平面決定部232は、ステップS501で選択された全ての3つの組合せについて、ステップS506の評価値を算出したか否かを判定する。当該判定が否定される場合(ステップS509;No)、ステップS501に戻る。当該判定が肯定される場合(ステップS509;Yes)、ステップS510に進む。
【0112】
(ステップS510)
次に、フィールド平面決定部232は、ステップS506で算出した複数の評価値から最大の評価値を選択することにより、フィールド平面を決定する。すなわち、当該最大の評価値を有する特徴線候補平面の3つの組合せ及び第1~第3平面について、ステップS506で算出された投影平面を所望のフィールド平面(実際のフィールドが規定された平面に平行な仮想的な平面)であると決定する。
【0113】
以上より、フィールド平面が決定される。
【0114】
フィールド平面が決定した後は、上述の位置座標算出処理(ステップS400)を実行することにより、単眼カメラ動画を構成する各画像フレーム上の点についてフィールド上における位置座標を算出することができる。
【0115】
以上説明したとおり、第2実施形態に係る位置座標算出方法により、まず、単眼カメラ等を用いて撮影されたフィールド画像に基づいて、第1直線、第1直線に略平行な第2直線、及び第1直線に略垂直な第3直線それぞれと光学中心とを通る各平面を算出することができる。そして、各平面の法線ベクトルからフィールドに平行なフィールド平面を算出することができる。そして、フィールド画像をフィールド平面に投影することにより、フィールド画像に含まれる点のフィールド上における位置座標を算出することができる。したがって、第2実施形態に係る位置座標算出方法により、単眼カメラを用いて目標の位置座標を算出することが可能となる。
【0116】
なお、上述の第2実施形態の説明では、2本のサイドラインを第1直線及び第2直線とし、1本のエンドラインを第3直線とした。しかしながら、各直線の選び方はこれに限られず、例えば、2本のサイドラインを第1直線及び第2直線とし、1本のセンターラインを第3直線としてもよい。
【0117】
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、スポーツ競技としてサッカーを例に説明を行った。しかしながら、サッカーに限らず、所定のフィールド線によって規定されるフィールドに係るものであれば、野球、バスケットボール、バレーボール、卓球、テニス等の任意のスポーツ競技にも本実施形態を適用できる。ここで、所定のフィールド線は、第1直線と、第1直線に略平行な第2直線と、第1直線に略平行でない第3直線と、第3直線に略平行な第4直線とを含んでもよい。或いは、所定のフィールド線は、第1直線と、第1直線に略平行な第2直線と、第1直線に略垂直な第3直線とを含んでもよい。また、スポーツ競技に限らず、所定のフィールド線が配置された任意の平面についても、本実施形態を適用することにより、当該平面上の目標の位置座標を算出することができる。
【0118】
上述の実施形態では、特徴線候補平面生成処理、フィールド平面決定処理及び位置座標算出処理に入力するための画像として、球面パノラマ画像生成処理で生成された球面パノラマ画像を用いた。しかしながら、上述した所定のフィールド線を含む画像であれば、単眼カメラ画像や、単眼カメラ動画を構成する画像フレーム等の、一枚の静止画データを特徴線候補平面生成処理、フィールド平面決定処理及び位置座標算出処理の入力に用いてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1…画像処理装置、10…記憶部、20…処理部、30…表示部、40…操作部、21球面パノラマ画像生成処理部、22…特徴線候補平面生成処理部、23…フィールド平面決定処理部、24…位置座標算出処理部