(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】レール用仮ボンド装置
(51)【国際特許分類】
H01R 4/64 20060101AFI20220104BHJP
B61L 1/18 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
H01R4/64 G
B61L1/18 F
(21)【出願番号】P 2017206062
(22)【出願日】2017-10-25
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000190172
【氏名又は名称】信号器材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】松崎 勇人
(72)【発明者】
【氏名】坂本 佑矢
(72)【発明者】
【氏名】北田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】高野 将洋
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-108262(JP,A)
【文献】特開2004-273404(JP,A)
【文献】特表平1-501957(JP,A)
【文献】特開2001-115404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールの底部下面に沿って、レールを横断するようにして装着され、一端部に前記レールの一方の底部上面に係止するフック部を備えたボンド本体部と、
前記ボンド本体部の他端部に取り付けられ、前記レールの他方の底部上面に係止する係止金具と、
前記フック部に対して着脱可能に取り付けられると共に、前記フック部とレールとの間に介在されて、レールとボンド本体部との間の電気的接続を果たす弾性を有する接点金具と
が備えられ、
前記接点金具は導電性部材と、前記導電性部材の一方の面に対してそれぞれ起立するように前記導電性部材に取り付けられた複数の接点部材とにより構成され、
前記導電性部材に対する前記各接点部材の起立作用により、前記接点金具の厚さ方向に弾性を持たせたことを特徴とするレール用仮ボンド装置。
【請求項2】
前記接点金具がホルダーに対して接点金具の両面が露出するように取り付けられ、前記ホルダーに形成されたクリップ部材によって、前記接点金具を前記フック部に対して着脱可能に取り付けたことを特徴とする
請求項1に記載のレール用仮ボンド装置。
【請求項3】
レールの底部下面に沿って、レールを横断するようにして装着され、一端部に前記レールの一方の底部上面に係止するフック部を備えたボンド本体部と、
前記ボンド本体部の他端部に取り付けられ、前記レールの他方の底部上面に係止する係止金具と、
前記フック部に対して着脱可能に取り付けられると共に、前記フック部とレールとの間に介在されて、レールとボンド本体部との間の電気的接続を果たす弾性を有する接点金具と
が備えられ、
前記接点金具は導電性の板体を用いて構成され、前記板体に対して少なくとも前記レールの底部上面に向かう切り起こし片を形成することで、前記接点金具の厚さ方向に弾性を持たせたことを特徴とするレール用仮ボンド装置。
【請求項4】
前記接点金具を構成する板体の中央部に前記切り起こし片が形成されると共に、前記板体の両端部に前記フック部の外形形状に沿った折り曲げ部が形成され、前記折り曲げ部によって接点金具を前記フック部に対して着脱可能に取り付けたことを特徴とする
請求項3に記載のレール用仮ボンド装置。
【請求項5】
前記係止金具は、第1ボルトにより前記ボンド本体部の他端部に取り付けられると共に、係止金具に螺合する第2ボルトによって、前記接点金具を前記フック部とレールとの間に圧着させる付勢力を与えることを特徴とする
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のレール用仮ボンド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レールの継ぎ目部分を電気的に接続するレール用仮ボンド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道レールの継ぎ目部分は、レールボンド(導線)によって、レール同士が電気的に接続される。この場合、継ぎ目を介した各レール間は、一般にレールボンドの各端部が溶接によって強固に取り付けられることで、電気的に接続されている。
しかし、電車が通過することなどで生ずる度重なる振動等を受けて、レールボンドがレールから脱落する場合がある。
【0003】
このようなレールボンドの脱落時においては、先ずは仮復旧を行ない、溶接機材などを用いて行なう本復旧は、後で改めて行なうなどの運用が図られる場合が多い。
そこで、レールボンドの脱落状態において仮復旧を行なう場合には、仮ボンド装置が用いられ、現場において前記仮ボンド装置をレールの継ぎ目部分に装着することで、レールを電気的に接続させる手段が採用される。
なお、この仮ボンド装置は、レールボンドの脱落時以外においても、レールボンドの交換時や、修繕する間の仮設用として、またレール損傷時の信号電流、帰線電流回路の応急バイパス用として利用される。
【0004】
レール用仮ボンド装置については、本出願人においても過去に幾つかの提案をしており、その一例が特許文献1に開示されている。
この特許文献1に開示の仮ボンド装置によると、例えば50Nレールおよび60Kレールの底部の形状に合わせた第1と第2の切欠部を備えたボンド本体部が備えられる。このボンド本体部は、レールの下底面を跨ぐフックボルトに対して、ナットによって螺着されることによりレールに取り付けられる。
そして、ボンド本体部はフックボルトに対する取り付け方向を選択することにより、レールの底部形状に対応した前記切欠部を選択することができ、これにより多種類のレールに対して、一組の仮ボンド装置を共用して装着することができるものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示された仮ボンド装置を含めて、従来のこの種の仮ボンド装置の多くは、ボンド本体部に形成した挿通孔に、前記したフックボルトを挿通させて、フックボルトに螺着されたナットを締め付けることで、仮ボンド装置がレールに取り付けられる。
すなわち、フックボルトに螺着された前記ナットの締め付けにより、フックボルトの先端に取り付けられたフック部と、前記ボンド本体部とが接近し、前記フック部とボンド本体部がレールの底部上面を両側から挟むようにしてレールに装着される。
【0007】
そして、前記ナットの締め付けにより、前記ボンド本体部がレールに圧着することで、両者の電気的な接続を果たし、ボンド本体部に接続された可撓性のより線による導体を介して、他のレールに取り付けられた同一構造の仮ボンド装置に接続される。これにより二本のレールの電気的な仮接続を行なうことができる。
【0008】
前記した仮ボンド装置を利用した二本のレールの電気的な仮接続は、硬質な金属素材により形成されたボンド本体部が、レールの底部上面に圧接されることによりなされる。
これによると、レールもしくはボンド本体部に生じた錆びなどが電気的な接続を不安定にさせるという問題を有しており、また、フックボルトに螺着された前記ナットの締め付けが僅かに緩む程度で、レールに対する電気的な仮接続を不安定にさせるという問題も有している。
【0009】
したがって、この発明が解決しようとする主要な課題は、レールに対する電気的な接続の信頼性を高めたレール用仮ボンド装置を提供しようとするものであり、レールに当接する接点金具を備えることにより、電気的な接続の安定性を確保すると共に、メンテナンスを容易にしたレール用仮ボンド装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した課題を解決するためになされたこの発明に係るレール用仮ボンド装置は、レールの底部下面に沿って、レールを横断するようにして装着され、一端部に前記レールの一方の底部上面に係止するフック部を備えたボンド本体部と、前記ボンド本体部の他端部に取り付けられ、前記レールの他方の底部上面に係止する係止金具と、前記フック部に対して着脱可能に取り付けられると共に、前記フック部とレールとの間に介在されて、レールとボンド本体部との間の電気的接続を果たす弾性を有する接点金具とが備えられ、前記接点金具は導電性部材と、前記導電性部材の一方の面に対してそれぞれ起立するように前記導電性部材に取り付けられた複数の接点部材とにより構成され、前記導電性部材に対する前記各接点部材の起立作用により、前記接点金具の厚さ方向に弾性を持たせたことを特徴とする。
【0011】
この場合、一つの好ましい形態においては、前記接点金具がホルダーに対して接点金具の両面が露出するように取り付けられ、前記ホルダーに形成されたクリップ部材によって、前記接点金具を前記フック部に対して着脱可能に取り付ける取り付け手段が採用される。
【0012】
また、他の好ましい形態においては、前記接点金具は導電性の板体を用いて構成され、前記板体に対して少なくとも前記レールの底部上面に向かう切り起こし片を形成することで、前記接点金具の厚さ方向に弾性を持たせた構成が採用される。
そして、前記接点金具を構成する板体の中央部に前記切り起こし片が形成されると共に、前記板体の両端部に前記フック部の外形形状に沿った折り曲げ部が形成され、前記折り曲げ部によって接点金具を前記フック部に対して着脱可能に取り付ける取り付け手段が採用される。
【0013】
さらに、前記係止金具は、第1ボルトにより前記ボンド本体部の他端部に取り付けられると共に、係止金具に螺合する第2ボルトによって、前記接点金具を前記フック部とレールとの間に圧着させる付勢力を与えるように構成することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
前記したレール用仮ボンド装置は、ボンド本体部に形成されたフック部とレールとの間に、弾性を有する接点金具を備えて構成されるので、前記接点金具を介してレールとボンド本体部との間における電気的な接続の信頼性を高めた仮ボンド装置を提供することができる。
また、前記接点金具は前記フック部に対して着脱可能に取り付ける構成が採用されているので、経時変化に伴い接点金具の電気的な信頼性が低下した場合には、接点金具を容易に交換することが可能であり、これにより常に電気的な接続の安定性を確保することができると共に、メンテナンスを容易にしたレール用仮ボンド装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明に係る仮ボンド装置の全体構成を示した上面図である。
【
図2】第1形態の仮ボンド装置をレールに装着した状態で示す正面図である。
【
図3】同じくレールから外した状態の仮ボンド装置の上面図である。
【
図4】同じく係止金具側から見た仮ボンド装置の側面図である。
【
図5】第1形態の仮ボンド装置に装着されるホルダーおよび接点金具の正面図である。
【
図6】同じくホルダーおよび接点金具の底面図である。
【
図7】同じくホルダーおよび接点金具の側面図である。
【
図10】第2形態の仮ボンド装置をレールに装着した状態で示す正面図である。
【
図11】同じくレールから外した状態の仮ボンド装置の上面図である。
【
図12】第2形態の仮ボンド装置に装着される接点金具の正面図である。
【
図15】
図12のA-A線より矢印方向に見た接点金具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明に係るレール用仮ボンド装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。この発明に係る仮ボンド装置は、
図1に示すように金属素材により形成された一対のボンド本体部2が、可撓性のボンド導線21を介して電気的に接続される。
そして、各ボンド本体部2にはフック部3が備えられており、さらに係止金具4などが、ボンド本体部2に取り付けられて、同一構成の仮ボンド装置1が構成される。
この仮ボンド装置1がそれぞれのレールの端部に装着されることで、二本のレールの電気的な仮接続を行なうことができる。
したがって、以下においては、一方の仮ボンド装置についてその構成を説明し、他方の仮ボンド装置は、その説明を省略する。
【0017】
なお、
図2および
図10には、この発明に係る第1形態および第2形態の仮ボンド装置が装着されるレール30が示されている。このレール30は、周知のとおりレール頭部30aと、この頭部30aを支えるレール腹部30b、この腹部30bに直交するように成形されたレール底部30cより構成される。
そして、第1形態および第2形態の各仮ボンド装置1は、前記レール30のレール底部30cにおける下面30dと、左右の上面30eを利用して、レール30に対して装着される。
【0018】
先ず、第1形態の仮ボンド装置1を示す
図2~
図4において、符号2はボンド本体部を示している。このボンド本体部2は若干厚みのある直方体形状を構成し、
図2に示すようにレール30の底部下面30dに沿って、レール30を横断するようにして装着される。
そして、ボンド本体部2の一端部には、ボンド本体部2と一体に折り返し部が形成されて、これがフック部3を構成している。このフック部3は、前記レール30の一方の底部上面30eに係止すると共に、レール30との間で後述する接点金具を挟持するように作用する。
なお、ボンド本体部2とフック部3との間には、
図1に示した可撓性のボンド導線21を接続するためのボンド端子の接続開口2aが形成されている。
【0019】
一方、前記ボンド本体部2の他端部、すなわち前記フック部3の反対側には、係止金具4がボンド本体部2の端部上面に載置されるようにして搭載されている。この係止金具4はその内側に向って、前記したレール底部の上面30eに沿った形状になされており、係止金具4の幅方向の2か所において、この係止金具4は第1ボルト5によって、ボンド本体部2の端部に取り付けられている。
【0020】
すなわち、2つの第1ボルト5は、前記係止金具4に上部から貫通して装着され、第1ボルト5のそれぞれの先端部が、ボンド本体部2の他端部に螺合されることで、ボンド本体部2に対して係止金具4が締結されている。
なお、前記係止金具4の幅方向の両外側には、前記2つの第1ボルト5の締結状態を保持するロックねじ6がそれぞれ捩じ込まれて取り付けられている。
【0021】
また、前記係止金具4にはロックナット8を備えた第2ボルト7が、水平方向に螺合されている。この第2ボルト7の先端部は、レール30における底部30cの外縁部に当接して、仮ボンド装置1をレールに対して強固に装着させるように作用する。
また、前記第2ボルト7は、仮ボンド装置1をレール30に対して装着させると共に、前記したフック部3とレール30との間に介在される後述する接点金具を、前記フック部2とレール30との間で圧着させるための一定の付勢力を与えるように作用する。
【0022】
なお、
図2~
図9に示す仮ボンド装置1の第1形態においては、前記接点金具はホルダー11に取り付けられ、このホルダー11に形成された一対のクリップ部材11aによって、前記接点金具は前記フック部3に対して着脱可能に取り付けられる。
したがって、
図3に示すように前記フック部3には、その上面に沿って前記クリップ部材11aが装着される一対の溝状の凹み3aが、平行に形成されている。
【0023】
図5~
図9は、前記ホルダー11と、このホルダー11に支持された接点金具12の構成を示している。
ホルダー11は樹脂素材により形成されており、額縁状に形成されたホルダー11の両辺に沿って、一対のクリップ部材11aが、同方向に向かって、ホルダー11に一体成形されている。
【0024】
接点金具12は、額縁状に形成されたホルダー11の中央部に、額縁内に収まるようにして取り付けられており、接点金具12の両面はホルダー11に対して、その表面および裏面がそれぞれ露出するようにしてホルダー11に取り付けられている。
したがって、前記ホルダー11の一対のクリップ部材11aを、
図3に示したフック部3の溝状の凹み3aに沿って装着することで、フック部3とレール30の底部上面30eとの間に、前記接点金具12を装着することができる。
【0025】
図8および
図9は、接点金具12を表面および裏面から見た状態で示している。この接点金具12は、
図8に示すように表面側に導電性部材13が位置し、
図9に示すように裏面側に複数の接点部材14が、前記導電性部材13にそれぞれ取り付けられた状態で配置されている。
表面側の導電性部材13は、全体が金属素材により形成されて、中央に横断するようにして支持桟13aが形成され、この支持桟13aに直交して、複数本の櫛歯部材13bが、支持桟13aに対してそれぞれ左右対象となるように形成されている。
そして、前記支持桟13aを中央にして対向する櫛歯部材13bの先端部付近にそれぞれ連結されるようにして、く字状に成形された金属製の接点部材14がそれぞれ取り付けられている。
【0026】
すなわち、く字状に成形された接点部材14の各端部には、一対の折曲げ片14aが形成されており、この一対の折曲げ片14aが、前記櫛歯部材13bを巻回するように、かしめ加工(折曲げ加工)されることで、各接点部材14は櫛歯部材13bに取り付けられている。
この場合、前記した各櫛歯部材13bには、支持桟13aから外側に向ってそれぞれ同方向に若干のねじれ加工が施されており、したがってく字状になされた各接点部材14の中央部14bは、前記導電性部材13に対して、それぞれ若干起立するようにして取り付けられている。
【0027】
したがって、前記導電性部材13に対する前記各接点部材14の起立作用により、前記接点金具12は、その厚さ方向に弾性を持たせた構成になされ、
図6および
図7にも示されているように、接点部材14の中央部14bは、ホルダー11の背面に向って若干突出している。
なお、
図8および
図9に示す接点金具12は、各櫛歯部材13bの先端部が、
図5~
図7に示すホルダー11に形成された図示せぬ係止溝内に挿入されることで、ホルダー11に取り付けられている。
【0028】
前記した構成の接点金具12は、ホルダー11に取り付けられて、
図1に示すように仮ボンド装置1のフック部3とレール30との間に介在される。
この場合、前記した係止金具3に螺合する第2ボルト7によって、前記接点金具12を前記フック部3とレールの底部上面30eとの間に圧着させる付勢力を与えることができる。そして、接点金具12は前記したとおり、厚さ方向に弾性を有しており、接点金具12における接点部材14の中央部14bが、レール30の底部上面30eに当接し、また接点部材14の折曲げ片14aが、フック部3の内面に当接して、レール30と仮ボンド装置1との間の電気的な接続が果たされる。
【0029】
したがって、
図2~
図9に示した第1形態の仮ボンド装置1によると、接点金具12を介してレール30とボンド本体部2との間における電気的な接続の信頼性を高めた仮ボンド装置を提供することができる。
また経時変化に伴う接点金具12の電気的な信頼性の低下を、ホルダー11と共に交換することで、容易に復元させることができるなど、メンテナンス性にも優れた仮ボンド装置を提供することができる。
【0030】
図10~
図15は、この発明に係る第2形態の仮ボンド装置を示している。なお第2形態の仮ボンド装置の基本構成は、接点金具とこの接点金具のボンド本体部への取り付け部分の構成を除くと、前記した第1形態の仮ボンド装置とほぼ同一構成である。
したがって、以下においては第1形態の仮ボンド装置の各部に相当する部分を同一符号で示し、第2形態の仮ボンド装置に用いられる接点金具の特徴点について主に説明する。
【0031】
なお、第2形態の仮ボンド装置1として示した
図10および
図11は、すでに説明した第1形態の仮ボンド装置を示す
図2および
図3にそれぞれ対応するものである。また第2形態の仮ボンド装置における係止金具側から見た側面図は、すでに説明した
図4と同一であるため、図示を省略している。
【0032】
第2形態の仮ボンド装置に用いられる接点金具16は、
図12~
図15に示すように、一枚のりん青銅などによる導電性板体を用いて構成されている。
接点金具16を構成する導電性板体は、若干横長の四辺形を形成した素材が用いられている。そして、導電性板体の長手方向の両端部には、
図13に示されているように第1と第2の折り曲げ部16a,16bが、順次直角方向に折り曲げられて形成されている。
【0033】
この折り曲げ部16a,16bは、
図10および
図11に示すボンド本体部2におけるフック部3の外形形状に沿うように形成されており、
図11に示すフック部3の両側に形成された一対の矩形状の凹み3bは、前記折り曲げ部16bが装着されるガイド部として機能するものとなる。
すなわち、前記フック部3の一対の矩形状の凹み3bを利用して、接点金具16を前記フック部に対して着脱可能に取り付けられるように構成されている。
【0034】
一方、接点金具16の平面状になされた中央部16cには、導電性板体の両面に向かって、それぞれ切り起こし片16d,16eが形成されている。
すなわち、この実施の形態においては、平面状の中央部16cには、四条の切り起こし片16d,16eが形成されており、
図15にも示されているとおり、そのうちの中央部寄りの二状の切り起こし片16dは、接点金具16の内側に向って切り起こされている。そして、切り起こし片16dの長手方向に沿って、それぞれ等間隔にスリットが形成されている。
【0035】
また、外側の二状の切り起こし片16eは、接点金具16の外側に向って切り起こされており、この切り起こし片16eの長手方向に沿って、それぞれ等間隔にスリットが形成されている。
なおこの例においては、接点金具16の内側に向かう切り起こし片16dの切り起こし角度θ1は、約15度に設定されており、接点金具16の外側に向かう切り起こし片16eの切り起こし角度θ2は、約30度に設定されている。
【0036】
したがって、この接点金具16においても、切り起こし片16d,16eにより厚さ方向に弾性を有している。そして接点金具16を、
図10に示すようにボンド本体部2のフック部3に装着することで、前記した外側への切り起こし片16eが、レール30の底部上面30eに当接し、内側への切り起こし片16dが、フック部3の内面に当接して、レール30と仮ボンド装置1との間の電気的な接続が果たされる。
【0037】
これにより、
図10~
図15に示した第2形態の仮ボンド装置においても、
図2~
図9に示した第1形態の仮ボンド装置と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 仮ボンド装置
2 ボンド本体部
2a ボンド端子接続開口
3 フック部
3a 溝状の凹み
3b 矩形状の凹み
4 係止金具
5 第1ボルト
6 ロックねじ
7 第2ボルト
8 ロックナット
11 ホルダー
11a クリップ部材
12 接点金具(第1形態)
13 導電性部材
13a 支持桟
13b 櫛歯部材
14 接点部材
14a 折曲げ片
14b 接点部材中央部
16 接点金具(第2形態)
16a 第1折り曲げ部
16b 第2折り曲げ部
16c 平面状中央部
16d 内側切り起こし片
16e 外側切り起こし片
21 ボンド導線
30 レール
30a 頭部
30b 腹部
30c 底部
30d 底部下面
30e 底部上面