(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】仏事用礼拝シンボルのホルダー
(51)【国際特許分類】
A47G 33/00 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
A47G33/00 Z
(21)【出願番号】P 2017121417
(22)【出願日】2017-06-21
【審査請求日】2020-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】500338274
【氏名又は名称】株式会社イマヨシ
(73)【特許権者】
【識別番号】305049078
【氏名又は名称】株式会社こもりコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今川 昇
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-117332(JP,A)
【文献】中国実用新案第206044169(CN,U)
【文献】特開2016-188928(JP,A)
【文献】実開昭57-105660(JP,U)
【文献】登録実用新案第3027789(JP,U)
【文献】特開平11-030212(JP,A)
【文献】実開昭55-038942(JP,U)
【文献】特開平11-076013(JP,A)
【文献】特開2002-369738(JP,A)
【文献】実開昭47-024095(JP,U)
【文献】実開昭51-091197(JP,U)
【文献】登録実用新案第3060845(JP,U)
【文献】登録実用新案第3199330(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/00
A47G 1/00-1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仏事に関する所定の表示を表面に有するシート状の仏事用礼拝シンボルを保持する仏事用礼拝シンボルのホルダーであって、
前記仏事用礼拝シンボルの前記表面を覆う透明板からなる面材、および、当該面材と一体化された状態で前記仏事用礼拝シンボルの裏面に当たることで、前記面材との間に前記仏事用礼拝シンボルを挟み込む裏板を有する挟持部と、
上下方向に延びた支え部分を有し、当該支え部分によって前記挟持部を支える支持部と、
前記裏板において前記面材とは反対側となる裏側から突出された突出体と、
前記支え部分に、前記突出体を差し込んで当該突出体を上下方向に動かすことが可能なサイズに開口された穴と、
前記穴に差し込まれた状態の前記突出体を前記穴に対して係止された状態にする係止手段と、
を備え、
前記係止手段が、前記支え部分から前記穴内に突出した状態に配設されることで前記突出体を前記穴に対して係止された状態にするだぼを備え、
前記穴は、前記支え部分において前側となる部分に上下方向に延びた状態に開口されたほぞ穴であり、
前記突出体は、前記ほぞ穴に対して前記前側から差し込むことが可能とされたほぞであり、
前記係止手段が、前記ほぞに設けられて、前記ほぞ穴に前記前側から差し込まれた前記ほぞを前記だぼに対して上側からひっかかった状態に係止させることを可能とする切り欠きであるあたりかけを備え、
前記あたりかけは、前記だぼに対して前記ほぞを上側からひっかけて係止させることを可能とする構成であ
り、
前記裏板が、前記透明板の上縁を下方に折り返してなる第1の裏板と、前記透明板の下縁を上方に折り返してなる第2の裏板とを有してなり、
前記ほぞは、当該ほぞを取っ手として前記第1の裏板の折り返しを開き、この状態で当該第1の裏板と前記面材との間に前記仏事用礼拝シンボルを挿入し、さらに前記面材と前記第2の裏板との間に前記仏事用礼拝シンボルを滑り落とすようにさしはさむことを可能とする構成である、
仏事用礼拝シンボルのホルダー。
【請求項2】
請求項1に記載された仏事用礼拝シンボルのホルダーであって、
前記第1の裏板と前記第2の裏板とが、当該第2の裏板の上縁と前記第1の裏板の下縁との間に隙間が設定された状態に配設されている、
仏事用礼拝シンボルのホルダー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された仏事用礼拝シンボルのホルダーであって、
前記第2の裏板の折り返しの幅が、前記第1の裏板の折り返しの幅よりも狭い、
仏事用礼拝シンボルのホルダー。
【請求項4】
請求項1ないし
請求項3のうちのいずれか1項に記載された仏事用礼拝シンボルのホルダーであって、
前記裏板が、前記透明板の上縁を下方に折り返してなる第1の裏板と、前記透明板の下縁を上方に折り返してなる第2の裏板とを有してなり、
前記ほぞは、前記第1の裏板における上下方向の中心よりも下方に位置され、
前記あたりかけは、ヒトがその手の指先を引っかけることが可能なサイズの切り欠きである、
仏事用礼拝シンボルのホルダー。
【請求項5】
請求項1ないし
請求項4のうちのいずれか1項に記載された仏事用礼拝シンボルのホルダーであって、
前記支え部分は、当該支え部分の外表面において上下方向の位置が異なる複数箇所からそれぞれ前記穴に向かって貫通された貫通孔を備え、
前記だぼは、複数の前記貫通孔のいずれかに対して抜き差し可能に挿通されることで、前記穴内に突出した状態に配設される、
仏事用礼拝シンボルのホルダー。
【請求項6】
請求項1ないし
請求項5のうちのいずれか1項に記載された仏事用礼拝シンボルのホルダーであって、
前記裏板の前記裏側に、前記穴の縁部に対する上下方向の摺動が可能な面が設けられている、
仏事用礼拝シンボルのホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仏事に関する所定の表示を有する仏事用礼拝シンボルを保持する仏事用礼拝シンボルのホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、仏事においては、その宗派により異なる所定の礼拝シンボルに向かって拝む動作を行う礼拝が行われる。例えば、浄土真宗の礼拝においては、阿弥陀如来の仏画もしくは仏像、または名号と呼ばれる漢文が書かれた紙を礼拝シンボルとし、この礼拝シンボルを仏壇にセットして、この礼拝シンボルに向かって拝む動作を行う。なお、浄土真宗の礼拝においては、仏画、仏像、または名号とは別の礼拝シンボルとして、故人の法名が書かれた紙を追加で仏壇にセットすることがある。
【0003】
このような礼拝においては、礼拝シンボルをホルダーに保持させた状態で仏壇等にセットすることがある。このようなホルダーに関しては、例えば下記の特許文献1に開示のある技術が知られている。この技術では、仏事用礼拝シンボルを2つ折りにした透明板で挟み込んで保持し、この透明板の下端を支持部材で支持することで、仏事用礼拝シンボルを立てた状態にセットすることを可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記技術には、仏壇等にセットされる仏事用礼拝シンボルの上下方向の位置を調整することが難しいという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、仏事用礼拝シンボルを挟み込んだ状態に保持するタイプの仏事用礼拝シンボルのホルダーにおいて、仏事用礼拝シンボルの上下方向の位置調整を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における1つの特徴によると、仏事に関する所定の表示を表面に有するシート状の仏事用礼拝シンボルを保持する仏事用礼拝シンボルのホルダーが提供される。この仏事用礼拝シンボルのホルダーは、仏事用礼拝シンボルの表面を覆う透明板からなる面材、および、この面材と一体化された状態で仏事用礼拝シンボルの裏面に当たることで、面材との間に仏事用礼拝シンボルを挟み込む裏板を有する挟持部を備えている。また、上記仏事用礼拝シンボルのホルダーは、上下方向に延びた支え部分を有し、この支え部分によって挟持部を支える支持部を備えている。また、上記仏事用礼拝シンボルのホルダーは、裏板において面材とは反対側となる裏側から突出された突出体を備えている。また、上記仏事用礼拝シンボルのホルダーは、上記支え部分に、上記突出体を差し込んでこの突出体を上下方向に動かすことが可能なサイズに開口された穴を備えている。また、上記仏事用礼拝シンボルのホルダーは、上記穴に差し込まれた状態の突出体を上記穴に対して係止された状態にする係止手段を備えている。
【0008】
上記構成によれば、仏事用礼拝シンボルを挟んだ挟持部から突出された突出体を支え部分の穴に差し込み、挟持部を上下に動かして位置調整をし、さらに突出体を穴に係止させることができる。これにより、仏事用礼拝シンボルの上下方向の位置調整を容易にすることができる。
【0009】
上記仏事用礼拝シンボルのホルダーにおける好ましい実施形態の1つにおいては、上記裏板が、透明板の上縁を下方に折り返してなる第1の裏板と、透明板の下縁を上方に折り返してなる第2の裏板とを有してなる。この構成によれば、1枚の透明板を折り加工することで挟持部を生産することができる。
【0010】
より好ましくは、第1の裏板と第2の裏板とが、この第2の裏板の上縁と第1の裏板の下縁との間に隙間が設定された状態に配設されている。この構成によれば、透明板の板厚等により生じる加工誤差を上記隙間にて吸収することができる。これにより、上記挟持部の生産に際して成形不良が生じる可能性を小さくすることができる。
【0011】
さらに好ましいのは、第2の裏板の折り返しの幅が、第1の裏板の折り返しの幅よりも狭いものである。この構成によれば、面材と第2の裏板との間にシート状の仏事用礼拝シンボルを滑り落とすようにさしはさむ場合に、この仏事用礼拝シンボルのすれを減らすことができる。
【0012】
上記実施形態とは別の、好ましい実施形態の1つにおいては、上記係止手段が、上記支え部分から上記穴内に突出した状態に配設されることで突出体を上記穴に対して係止された状態にするだぼを備えている。この構成によれば、突出体を穴の中に深く差し込まなくても、この穴の中に配設されるだぼにより突出体を係止できるため、この係止の作業を容易にすることができる。
【0013】
より好ましくは、上記穴は、上記支え部分において前側となる部分に上下方向に延びた状態に開口されたほぞ穴であり、上記突出体は、ほぞ穴に対して前側から差し込むことが可能とされたほぞである。さらに、上記係止手段が、上記ほぞに設けられて、ほぞ穴に前側から差し込まれたほぞをだぼに対して上側からひっかかった状態に係止させることを可能とする切り欠きであるあたりかけを備えている。この構成によれば、ほぞ穴にほぞを前側から差し込み、挟持部を上下に動かすことでこの挟持部を支持部に取り付けることができる。これにより、仏事用礼拝シンボルを挟み込む挟持部を支持部に取り付ける作業を容易にすることができる。
【0014】
さらに好ましくは、上記裏板が、透明板の上縁を下方に折り返してなる第1の裏板と、透明板の下縁を上方に折り返してなる第2の裏板とを有してなる。また、上記ほぞは、第1の裏板における上下方向の中心よりも下方に位置され、上記あたりかけは、ヒトがその手の指先を引っかけることが可能なサイズの切り欠きである。この構成によれば、ほぞを第1の裏板の折り返しを開く際の取っ手として用いることができる。この場合、挟持部の裏板を開いてこの裏板と面材との間に仏事用礼拝シンボルをさしはさむ作業の作業性が向上する。
【0015】
上記各実施形態においては、上記支え部分は、この支え部分の外表面において上下方向の位置が異なる複数箇所からそれぞれ上記穴に向かって貫通された貫通孔を備えるものが好ましい。ここで、上記だぼは、複数の貫通孔のいずれかに対して抜き差し可能に挿通されることで、上記穴内に突出した状態に配設される。この構成によれば、だぼの抜き差しにより、突出体が穴に係止される上下方向の位置を変更することができる。これにより、仏事用礼拝シンボルの上下方向の位置調整を容易にすることができる。
【0016】
上記各実施形態とは別の、好ましい実施形態の1つにおいては、上記裏板の裏側に、上記穴の縁部に対する上下方向の摺動が可能な面が設けられている。この構成によれば、突出体を支え部分の穴に差し込み、挟持部の上下の位置調整をする作業に際して、この挟持部を支え部分に押し当てた状態で上下にずり動かすことができる。これにより、上記挟持部の上下の位置調整をする作業を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、仏事用礼拝シンボルを挟み込んだ状態に保持するタイプの仏事用礼拝シンボルのホルダーにおいて、仏事用礼拝シンボルの上下方向の位置調整を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる仏事用礼拝シンボルのホルダー1の正面図である。
【
図2】
図1の仏事用礼拝シンボルのホルダー1の背面図である。
【
図3】
図1の仏事用礼拝シンボルのホルダー1の右側面図である。
【
図4】
図1の仏事用礼拝シンボルのホルダー1の左側面図である。
【
図7】
図1の仏事用礼拝シンボルのホルダー1の分解斜視図である。
【
図8】
図1の仏事用礼拝シンボルのホルダー1の斜視図である。
【
図9】
図1の仏事用礼拝シンボルのホルダー1の斜視図である。
【
図10】
図1の仏事用礼拝シンボルのホルダー1の斜視図である。
【
図11】
図1の仏事用礼拝シンボルのホルダー1の斜視図である。
【
図12】
図7の挟持部10に仏事用礼拝シンボル90をさしはさむ作業を表した斜視図である。
【
図13】
図7の挟持部10の変形例を表した斜視図である。
【
図14】
図7の挟持部10の変形例を表した斜視図である。
【
図15】
図5のあたりかけ31Aの変形例を表した要部断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0020】
始めに、本発明の一実施形態にかかる仏事用礼拝シンボルのホルダー1の構成について説明する。この仏事用礼拝シンボルのホルダー1は、
図1および
図9に示すように、シート状の仏事用礼拝シンボル90を、この仏事用礼拝シンボル90の表面90Aを覆う透明板からなる面材10Bを通して視認できる状態で保持することができるホルダーである。ここで、仏事用礼拝シンボル90は、真言宗の仏事において本尊の表示となる大日如来坐像91Aが表面90A側に描かれた紙片である本紙91に、大日如来坐像91Aを縁取るフィルム状の飾りである表装92を貼り付けた構成となっている。なお、本実施形態において、上記透明板は無色透明のアクリルガラスからなる。
【0021】
仏事用礼拝シンボルのホルダー1は、
図3および
図4に示すように、仏事用礼拝シンボル90を挟み込んだ状態に保持する挟持部10と、台座20Aから柱状の支え部分21を立設させた構造の支持部20とを備えている。挟持部10は、面材10Bと、この面材10Bと一体化された状態で仏事用礼拝シンボル90の裏面90Bに当たる裏板11とで構成されて、この裏板11と面材10Bとの間に仏事用礼拝シンボル90を挟み込むようになっている。
【0022】
ここで、挟持部10の裏板11は、上記透明板の上縁を裏側下方(
図3では右側下方)に折り返してなる第1の裏板11Aと、上記透明板の下縁を裏側上方(
図3では右側上方)に折り返してなる第2の裏板11Cとを有してなる。この構成によれば、挟持部10は、1枚の透明板を折り加工することで生産することができる。
【0023】
ここで、第1の裏板11Aと第2の裏板11Cとは、この第2の裏板11Cの上縁と第1の裏板11Aの下縁との間に隙間10Aが設定された状態に配設されている。この隙間10Aは、透明板の折り加工に際してこの透明板の板厚等により生じる加工誤差を吸収して、挟持部10の生産に際して成形不良が生じる可能性を小さくする機能を発揮する。この構成によれば、1枚の透明板を開き観音折りに折り加工することで挟持部10を効率的に生産することができる。
【0024】
また、支持部20の台座20Aは、
図1ないし
図9に示すように、仏壇(図示せず)等に安定的に置くことができるブロックとして形成されて、支え部分21をこの支え部分21が上下方向(
図2で見て上下方向)に延びた姿勢をとるように支えるようになっている。そして、仏事用礼拝シンボルのホルダー1は、仏事用礼拝シンボル90を保持した状態の挟持部10を立てた状態にして支持部20の支え部分21に取り付ける(
図7参照)ことで、仏事用礼拝シンボル90を立てた状態にセットすることを可能とする(
図8参照)。なお、本実施形態において、台座20Aは黒色不透明のアクリル樹脂からなる。
【0025】
また、支持部20の支え部分21は、
図5に示すように、長尺の柱状に形成されて、その一方側の小口面が台座20Aの上面後縁部に溶着されている。この溶着においては、酢酸を溶着剤として用いることができる。また、支え部分21は、その前側(
図5では左側)となる部分に上下方向に延びた状態に開口されたほぞ穴21Aを有している。このほぞ穴21Aは、本実施形態では支え部分21を貫通してこの支え部分21の前後に開口された穴である通しほぞ穴となっているが、ほぞ穴21Aは支え部分21の前側にのみ開口された穴である止めほぞ穴であってもよい。
【0026】
また、支え部分21は、
図2に示すように、無色透明のアクリルガラスからなる板を複数枚(例えば3枚)積層接着させることで無色透明の長尺の柱状に形成され、その各板のこば面が前後に向いた状態となるように台座20Aに接着される。この構成によれば、積層接着される板の形状の設定により、支え部分21に穴をうがつ作業を行うことなくこの支え部分21にほぞ穴21Aを設けることができる。なお、上記積層接着においては、酢酸を溶着剤とした溶着の手法を用いることができる。
【0027】
ところで、挟持部10においては、
図2ないし
図5に示すように、第1の裏板11Aの折り返しの幅が第2の裏板11Cの折り返しの幅よりも広くされている。また、第1の裏板11Aにおける上下方向の中心よりも下方(すなわち折り返しの先端寄りの部分)には、裏板11において面材10Bとは反対側となる裏側(
図3では右側)から突出された突出体であるほぞ31が設けられている。このほぞ31は、ほぞ穴21Aに前側(
図3では左側)から差し込んで上下方向に動かすことが可能な形状およびサイズに形成されて、係止手段30によりほぞ穴21Aに対して係止させることができるようになっている。なお、本実施形態において、ほぞ31は黒色不透明のアクリル樹脂からなり、第1の裏板11Aにおける裏側(
図3では右側)の面である胴付け面11Bに、酢酸を溶着剤とした溶着の手法によって接着されている。
【0028】
上記各構成によれば、仏事用礼拝シンボル90を挟んだ挟持部10から突出されたほぞ31を支え部分21のほぞ穴21Aに差し込み、挟持部10を上下に動かして位置調整をし、さらにほぞ31をほぞ穴21Aに係止させることができる。これにより、仏事用礼拝シンボル90の上下方向の位置調整を容易にすることができる。
【0029】
ところで、支え部分21は、
図2に示すように、その上下方向の長さが、挟持部10の上下方向の長さよりも短く、かつ、その左右方向の幅が、挟持部10の左右方向の幅よりも狭くなるように形成されている。このため、仏事用礼拝シンボルのホルダー1は、
図1に示すように、正面から見たときに、仏事用礼拝シンボル90を視認可能に覆う面材10Bと、台座20Aと、この台座20Aと面材10Bとをつなぐ支え部分21とのみが見える構成となる。また、ほぞ穴21Aは、無色透明の支え部分21を前後に貫通した通しほぞ穴とされて、その下縁が台座20Aの上面と面一となるように形成されている。このため、仏事用礼拝シンボルのホルダー1を正面視したときの支え部分21は、台座20Aと面材10Bとをつなぐ、2本の無色透明の柱であるかのように見える。
【0030】
さて、係止手段30は、
図5および
図6に示すように、支え部分21からほぞ穴21A内に突出した状態に配設されるだぼ30Aにほぞ31を引っかけることで、このほぞ31をほぞ穴21Aに対して係止された状態にする構成となっている。この構成によれば、ほぞ31をほぞ穴21Aの中に深く差し込まなくても、このほぞ穴21Aの中に配設されるだぼ30Aによりほぞ31を係止できるため、この係止の作業を容易にすることができる。
【0031】
ここで、ほぞ31は、
図5に示すように、このほぞ31における第2の裏板11C側(
図5で見て下側)の縁部に、だぼ30Aと係合することが可能なサイズの切り欠きであるあたりかけ31Aを備えている。このあたりかけ31Aは、ほぞ穴21Aに前側(
図5では左側)から差し込まれたほぞ31の下側にだぼ30Aが位置されているときに、このだぼ30Aに対してほぞ31を上側からひっかけて係止させることを可能とするように形成されている。この構成によれば、ほぞ穴21Aにほぞ31を前側から差し込み、挟持部10を上下に動かすことでこの挟持部10を支持部20に取り付けることができる。これにより、仏事用礼拝シンボル90を挟み込んだ状態の挟持部10を支持部20に取り付ける作業を容易にすることができる。ここで、支持部20の支え部分21を透明とし、ほぞ穴21Aに差し込まれるほぞ31を不透明とする構成によれば、
図4に示すように、このほぞ31を支え部分21越しに視認してほぞ31の位置を把握することができる。これにより、ほぞ31をだぼ30Aに対して上側からひっかけて係止させる作業を容易にすることができる。
【0032】
ところで、あたりかけ31Aは、
図12に示すように、ヒトがその手の指先93を引っかけることが可能なサイズに形成されている。この構成によれば、ほぞ31を取っ手として第1の裏板11Aの折り返しを開いた状態で、この第1の裏板11Aと面材10Bとの間に仏事用礼拝シンボル90を挿入することができる。さらに、面材10Bと第2の裏板11Cとの間に仏事用礼拝シンボル90を滑り落とすようにさしはさむことができる。これにより、挟持部10の裏板11を開いてこの裏板11と面材10Bとの間に仏事用礼拝シンボル90をさしはさむ作業の作業性を向上させることができる。
【0033】
この場合、第1の裏板11Aの折り返しの幅を比較的広くする構成は、ほぞ31を取っ手として用いて第1の裏板11Aの折り返しを開く際に必要な力を小さくする機能を発揮する。また、第1の裏板11Aにおける折り返しの先端寄りの部分にほぞ31を設ける構成は、ほぞ31を取っ手として用いて第1の裏板11Aの折り返しを開く際に必要な力を小さくする機能を発揮する。また、第2の裏板11Cの折り返しの幅を比較的狭くした構成は、面材10Bと第2の裏板11Cとの間に仏事用礼拝シンボル90を滑り落とすようにさしはさむ際に、この仏事用礼拝シンボル90のすれを減らす機能を発揮する。
【0034】
なお、上述したほぞ31とだぼ30Aとの係止状態においては、
図5に示すように、あたりかけ31Aがだぼ30Aを前後(
図5で見て左右)両側から挟み込むことで、ほぞ31の前後方向の位置決めがなされるようになっている。本実施形態においては、ほぞ31は、このほぞ31が接着される第1の裏板11Aの胴付け面11Bがほぞ穴21Aの縁部に当接するように位置決めされる。この構成によれば、挟持部10を支え部分21に取り付けた状態においてほぞ穴21Aの縁部と挟持部10の胴付け面11Bとを当接させて、取り付けられた挟持部10がぐらつくことを抑えることができる。
【0035】
ここで、第1の裏板11Aの胴付け面11Bは、ほぞ穴21Aの縁部に対して上下方向に摺動できる滑らかな面とされている。また、第2の裏板11Cは、その裏側の面11Dが、ほぞ穴21Aの縁部に当接してこの縁部に対して上下方向に摺動することができる滑らかな面とされている。この構成によれば、ほぞ31を支え部分21のほぞ穴21Aに差し込み、挟持部10の上下の位置調整をする作業に際して、この挟持部10を支え部分21に押し当てた状態で上下にずり動かすことができる。これにより、挟持部10の上下の位置調整をする作業を容易にすることができる。
【0036】
ところで、支持部20の支え部分21は、
図6および
図7に示すように、支え部分21の外表面において上下方向の位置が異なる複数箇所からそれぞれほぞ穴21Aに向かって垂直に貫通された貫通孔21Bを備えている。また、だぼ30Aは、複数の貫通孔21Bのいずれかに対して抜き差し可能に挿通されることで、ほぞ穴21A内に突出した状態に配設されるようになっている。なお、本実施形態においては、だぼ30Aはその一端(
図6では左側の端部)が大径のつまみとされた差し込みだぼであるが、だぼ30Aは全体がほぼ同径の柱体として形成されたこみせんであってもよい。
【0037】
上記構成によれば、だぼ30Aを抜き差ししてこのだぼ30Aを挿通させる貫通孔21Bを切り替えることで、ほぞ31がほぞ穴21Aに係止される上下方向の位置を変更することができる。これにより、仏事用礼拝シンボル90の上下方向の位置調整を容易にすることができる。具体的には、支え部分21には、
図7に示すように、それぞれが支え部分21を貫通する6つの貫通孔21Bが、上下方向に延びる列をなすように設けられている。これらの貫通孔21Bのうち一番上の貫通孔21Bにだぼ30Aを挿通させた場合、
図10に示すように、ほぞ31を支え部分21の上端に近い高い位置に係止させ、仏事用礼拝シンボル90が保持される位置を高く設定することができる。また、上記各貫通孔21Bのうち一番下の貫通孔21Bにだぼ30Aを挿通させた場合、
図11に示すように、ほぞ31の係止位置を低くして、仏事用礼拝シンボル90が保持される位置を低く設定することができる。ここで、
図11に示す状態においては、挟持部10の下縁と台座20Aの上面とが当接されている。
【0038】
上述した各構成によれば、仏事用礼拝シンボル90を挟み込んだ状態に保持するタイプの仏事用礼拝シンボルのホルダー1において、仏事用礼拝シンボル90の上下方向の位置調整を容易にすることができる。
【0039】
本発明は、上述した一実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、以下のような各種の形態を実施することができる。
【0040】
(1)本発明は、主に真言宗の仏事において本尊の表示となる仏事用礼拝シンボルのホルダーに限定されない。すなわち、本発明にかかる仏事用礼拝シンボルのホルダーは、この仏事用礼拝シンボルのホルダーに保持される仏事用礼拝シンボルを適宜に変更することで、真言宗以外の宗徒の礼拝に供することができるものである。ここで、仏事用礼拝シンボルのホルダーに保持される仏事用礼拝シンボルは、本紙に表装を貼り付けた構成のものである必要はなく、例えば仏画、仏像、または名号などの書画を単体で仏事用礼拝シンボルとしたものであってもよい。
【0041】
(2)支持部における台座および支え部分の形状およびサイズは、適宜に変更することができる。ここで、支え部分が仏壇等に安定的に置くことができるほど太い場合には、支持部から台座を省略することができる。また、支え部分は、その外表面において上下方向に並ぶ貫通孔の列の代わりに、上下方向に長尺に延びるスリット状の貫通孔を備えたものとすることができる。この場合、上記スリット状の貫通孔において上下方向の位置が異なる複数箇所にだぼを係止する凹凸部を備えさせることで、ほぞをほぞ穴に係止させるだぼの上下方向の位置を変更することができる。
【0042】
(3)
図5に示すほぞ31のあたりかけ31Aは、ほぞ31における第2の裏板11C側(
図5で見て下側)の縁部に設けられたものである。しかしながら、ほぞ31のあたりかけ31Aは、
図15に示すように、例えば裏板11から突出されるほぞ31における先端側(
図15で見て右側)の縁部から第1の裏板11Aの上縁側(
図15で見て上側)に曲がって延びるように設けられたものであってもよい。この場合、ほぞ31のあたりかけ31Aをほぞ穴21A内に配設されるだぼ30Aに合わせた状態でほぞ31をほぞ穴21Aの奥側(
図15で見て右側)に差し込むことで、そのあたりかけ31Aとだぼ30Aとを係合させることができる。また、あたりかけ31Aのサイズはヒトがその手の指先93(
図12参照)を引っかけることが可能なサイズに限定されず、だぼ30Aのサイズに合わせて適宜に変更することができる。
【0043】
(4)
図7に示す挟持部10においては、第1の裏板11Aの折り返しの幅が比較的広く、第2の裏板11Cの折り返しの幅が比較的狭く設定されている。しかしながら、挟持部10は、
図13に示すように、第1の裏板11Aの折り返しの幅と第2の裏板11Cの折り返しの幅とが等しくなるように形成されたものであってもよい。また、挟持部10は、
図14に示すように、第1の裏板11Aの折り返しの幅が比較的狭く、第2の裏板11Cの折り返しの幅が比較的広く設定されたものであってもよい。また、挟持部10から第1の裏板11Aまたは第2の裏板11Cのいずれかを省略してもよい。
【0044】
(5)第1の裏板の胴付け面および第2の裏板の裏側の面は、それぞれ、ほぞ穴の縁部に対して摺動することができないあらい面であってもよい。
【0045】
(6)ほぞとほぞ穴とを係止させる構成は、支え部分に抜き差し可能に挿通されただぼにほぞのあたりかけを上側からひっかけて係止させる構成に限定されない。例えば、支え部分に接着されてこの支え部分から抜けないようにされただぼにほぞのあたりかけを上側からひっかけて係止させる構成を採用することができる。また、ほぞからあたりかけを省略し、ほぞ穴に差し込まれたほぞおよび支え部分にだぼを貫通させることで、ほぞとほぞ穴とを係止させる構成を採用することができる。また、ほぞを上側からひっかけることが可能な凹みであるこしかけをほぞ穴に備えさせて、ほぞとほぞ穴のこしかけとを係止させる構成を採用することができる。
【0046】
(7)第2の裏板の上縁と第1の裏板の下縁との間に設定される隙間を省略することができる。
【0047】
(8)係止手段はほぞとほぞ穴とを係止させる構成に限定されない。すなわち、例えば渡りあごを有する任意形状の物体を裏板の裏側に突出された状態に設けて突出体とし、この突出体の渡りあごを支え部分に設けられた任意形状の穴の縁部に係止させる構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 仏事用礼拝シンボルのホルダー
10 挟持部
10A 隙間
10B 面材
11 裏板
11A 第1の裏板
11B 胴付け面(面)
11C 第2の裏板
11D 面
20 支持部
20A 台座
21 支え部分
21A ほぞ穴(穴)
21B 貫通孔
30 係止手段
30A だぼ
31 ほぞ(突出体)
31A あたりかけ
90 仏事用礼拝シンボル
90A 表面
90B 裏面
91 本紙
91A 大日如来坐像
92 表装
93 指先