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特許6989917携帯撮影リング、及び撮影画像管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】携帯撮影リング、及び撮影画像管理システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20220104BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20220104BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
H04N5/225 100
H04N5/232 300
H04N5/232 410
H04N7/18 E
H04N7/18 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020117964
(22)【出願日】2020-07-08
【審査請求日】2021-03-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501379247
【氏名又は名称】日本ソフトウェアマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奈須 永典
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-056511(JP,A)
【文献】特開2020-030329(JP,A)
【文献】特開2018-146918(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0109992(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225
H04N 5/232
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の一部に装着する環状の装着具と、
前記装着具に保持される複数のカメラと、
前記装着具の環状に沿って配置され、前記カメラの撮影時に点灯するよう制御される複数のライトと
め定められた条件に基づいて、前記カメラによる撮影を継続するか否かを判定する条件判定部を有し、
前記条件判定部は、前記装着具が前記身体の一部に装着されている間、撮影を継続するよう指示する信号を前記カメラに送信することを特徴とする、携帯撮影リング。
【請求項2】
身体の一部に装着する装着具と、
前記装着具に保持される複数のカメラと、
前記装着具の環状に沿って配置され、前記カメラの撮影時に点灯するよう制御される複数のライトと、
予め定められた条件に基づいて、前記カメラによる撮影を継続するか否かを判定する条件判定部とを有し、
前記装着具は、筋状と環状とに変更可能であり、
前記条件判定部は、前記装着具が環状である場合に、前記条件を満たすものとして、撮影を継続するよう前記カメラに指示することを特徴とする、携帯撮影リング。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の携帯撮影リングであって、
前記装着具は、筋状の部材を留め具で留めることにより環状に形成され、
前記条件判定部は、前記装着具が環状である場合に、撮影を継続するよう前記カメラに指示することを特徴とする、携帯撮影リング。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の携帯撮影リングであって、
無線通信ネットワークを介して通信可能に接続された他の装置に、前記カメラにより撮影された画像を送信する画像送信部を有することを特徴とする、携帯撮影リング。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の携帯撮影リングであって、
前記カメラは、前記装着具において、環状の中心点に対して対称の位置である2点近傍に各々保持されることを特徴とする、携帯撮影リング。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の携帯撮影リングであって、
前記装着具に保持されるセンサであって、前記装着具が装着されていることを検知する前記センサを有し、
前記条件判定部は、前記センサにより前記装着具の装着が検知されている間、撮影を継続するよう前記カメラに指示することを特徴とする、携帯撮影リング。
【請求項7】
請求項から6のいずれか一項に記載の携帯撮影リングであって、
前記条件判定部は、前記装着具の状態が所定の中断条件を満たす場合に、撮影の継続を中断することを特徴とする、携帯撮影リング。
【請求項8】
携帯撮影リングと、画像蓄積装置と、を有する撮影画像管理システムであって、
前記携帯撮影リングは、
身体の一部に装着する環状の装着具と、
前記装着具に保持される複数のカメラと、
前記装着具の環状に沿って配置され、前記カメラの撮影時に点灯するよう制御される複数のライトと、
予め定められた条件に基づいて、前記カメラによる撮影を継続するか否かを判定する条件判定部と、
前記カメラにより撮影された画像を、通信可能に接続された前記画像蓄積装置に送信する画像送信部と、を有し、
前記画像蓄積装置は、
前記画像送信部により送信された画像を受信すると、前記携帯撮影リングの識別情報と前記画像とを関連付けて記憶する記憶部を有し、
前記携帯撮影リングの前記条件判定部は、前記装着具が前記身体の一部に装着されている間、撮影を継続するよう指示する信号を前記カメラに送信することを特徴とする、撮影画像管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯撮影リング、及び撮影画像管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
防犯のために身体に装着する携帯型防犯カメラに関する技術がある。
【0003】
特許文献1には、携帯型防犯カメラに関する技術が開示されている。段落[0010]には、「この携帯型防犯カメラは、胸ポケット、ベルト、ヘルメット、ハンドバッグなどに装着されて(以下、「身体に装着」という。)使用されるものであって、基本的にはこの移動局から警備室などの固定局に情報が送信されて、監視用、保存用に供される。」と記載されている。また、段落[0011]には、「信号入力器1は、マイコン6制御により、一定の時間間隔、例えば2秒置きなどの静止画像、或いは連続して変化する動画像を画像信号として取り込む。」と記載されている。なお、段落[0014]には、「非常事態検出手段7により、アラーム音声を発して、犯人を威嚇することもできる。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-86582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯型のカメラを、防犯等のリスクヘッジに使用する場合、撮影した画像を蓄積し、好ましくない事柄(=リスク)が発生した後に、撮影された画像を検証する。当該カメラにおいて、撮影範囲が狭いと、検証に必要な画像が撮影されない可能性がある。また、携帯型カメラにおいて、リスクが発生した後に使用する画像を撮影するだけでなく、リスクの発生そのものを防ぐ機能を有することが望ましい。
【0006】
特許文献1に開示された携帯型防犯カメラは、胸ポケット等に装着して使用するため、例えば背側から迫る犯罪者など、異なる方向の対象物を撮影することができない。また、非常事態の発生そのものを防ぐものではない。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、リスクの発生を効率的に抑止する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下の通りである。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る携帯撮影リングは、身体の一部に装着する環状の装着具と、前記装着具に保持される複数のカメラと、前記装着具の環状に沿って配置され、前記カメラの撮影時に点灯するよう制御される複数のライトと、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の前記携帯撮影リングは、無線通信ネットワークを介して通信可能に接続された他の装置に、前記カメラにより撮影された画像を送信する画像送信部を有することを特徴としてもよい。
【0011】
本発明の前記カメラは、前記装着具において、環状の中心点に対して対称の位置である2点近傍に各々保持されることを特徴としてもよい。
【0012】
本発明の前記携帯撮影リングは、予め定められた条件に基づいて、前記カメラによる撮影を継続するか否かを判定する条件判定部を有し、前記条件判定部は、前記装着具が前記身体の一部に装着されている間、撮影を継続するよう指示する信号を前記カメラに送信することを特徴としてもよい。
【0013】
本発明の前記装着具は、筋状の部材を留め具で留めることにより環状に形成され、前記条件判定部は、前記装着具が環状である場合に、撮影を継続するよう前記カメラに指示することを特徴としてもよい。
【0014】
本発明の前記携帯撮影リングは、前記装着具に保持されるセンサであって、前記装着具が装着されていることを検知する前記センサを有し、前記条件判定部は、前記センサにより前記装着具の装着が検知されている間、撮影を継続するよう前記カメラに指示することを特徴としてもよい。
【0015】
本発明の前記条件判定部は、前記装着具の状態が所定の中断条件を満たす場合に、撮影の継続を中断することを特徴としてもよい。
【0016】
また、上記課題を解決するため、本発明の他の態様に係る撮影画像管理システムは、携帯撮影リングと、画像蓄積装置と、を有する撮影画像管理システムであって、前記携帯撮影リングは、身体の一部に装着する環状の装着具と、前記装着具に保持される複数のカメラと、前記装着具の環状に沿って配置され、前記カメラの撮影時に点灯するよう制御される複数のライトと、前記カメラにより撮影された画像を、通信可能に接続された前記画像蓄積装置に送信する画像送信部と、を有し、前記画像蓄積装置は、前記画像送信部により送信された画像を受信すると、前記携帯撮影リングの識別情報と前記画像とを関連付けて記憶する記憶部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、リスクの発生を効率的に抑止する技術を提供することができる。
【0018】
上記した以外の課題、構成、及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】携帯撮影リングの外観の一例を示す図である。
図2】撮影画像管理システムの例を示す模式図である。
図3】携帯撮影リングの装着例を示す図(その1)である。
図4】携帯撮影リングの装着例を示す図(その2)である。
図5】携帯撮影リングの装着例を示す図(その3)である。
図6】変形例における携帯撮影リングの外観の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は、携帯撮影リング10の外観の一例を示す図である。携帯撮影リング10は、制御装置11と、装着具12と、複数のカメラ13と、複数のライト14と、を有する。制御装置11は、カメラ13による撮影と、ライト14の点灯とを制御する。制御装置11は、装着具12の任意の位置に保持される。制御装置11については後に詳述する。
【0022】
装着具12は、筋状の部材を環状に形成したものであり、使用者の身体の一部に装着される。装着具12は、例えば環状の状態で流通し、装着部分の太さに合わせて伸縮自在な素材で形成される。又例えば、装着具12は、両端が開放された筋状の状態で流通し、使用者が任意の太さになるよう図示しない留め具を留めることにより、環状に形成されるものであってもよい。
【0023】
カメラ13は、画像を撮影する撮影装置であって、装着具12に保持される。カメラ13は、CCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサを用いた撮像装置であって、静止画又は動画として画像を撮影する。本実施形態において、カメラ13は動画又は連続して撮影された静止画と共に音声信号を取得してもよい。即ち、カメラ13により取得された画像には、音声が含まれていてもよい。
【0024】
複数のカメラ13は、装着具12に対し、各々異なる方向が撮影される位置に保持され、基本的に同時に撮影を実行する。例えば複数のカメラ13は、環状の装着具12の中心点に対して対称の位置である2点近傍に各々保持される。この場合、複数のカメラ13により、使用者の前方及び後方が撮影される。
【0025】
なお、複数のカメラ13は、各々装着具12に対して移動しないよう係止されるが、装着具12に対して移動可能に保持されていてもよい。
【0026】
ライト14は、各々装着具12の環状に沿って配置され、カメラ13の撮影時に点灯するよう制御される。ライト14は、例えばLED(Light Emitting Diode)であるが、LEDに限定されるものではない。ライト14は、カメラ13により画像が撮影されていることを、第三者に認識させる目的で設置されるものであるから、装着具12において様々な方向を照らすよう配置されることが望ましい。例えばライト14は、装着具12に対し、少なくとも4つ設置されることが望ましい。
【0027】
なお、ライト14は、例えば暗部において、カメラ13による画像の撮影を補助する機能も期待できる。即ち、撮影された画像の視認性を高める効果をも有する。
【0028】
図2は、撮影画像管理システム1の例を示す模式図である。撮影画像管理システム1は、携帯撮影リング10と、画像蓄積装置20とを有し、携帯撮影リング10と画像蓄積装置20とは通信可能に接続される。例えば携帯撮影リング10と画像蓄積装置20とは、無線通信ネットワークを介して接続される。
【0029】
制御装置11は、制御部111と、電池114と、電源スイッチ115と、スイッチボタン116とを有する。制御部111は、携帯撮影リング10において、カメラ13とライト14の動作を制御する。制御部111による処理は、図示しないCPUによりその機能が実現される。なお、制御装置11は、図示しないメモリを備え、当該メモリに記録されたプログラムに従って動作するCPUにより、処理が行われる。制御部111は、CPUがプログラムを実行することにより各々の機能を実現する。
【0030】
電池114は、制御装置11、カメラ13、及びライト14に電力を供給する。電源スイッチ115は、制御部111、カメラ13、及びライト14に電力を供給するか切断するかの切り替えを行う。なお、カメラ13やライト14において、電源スイッチ115により電力を供給されている場合であっても、制御部111の制御により動作が制御される場合がある。スイッチボタン116は、ハードウェアスイッチであって、電源スイッチ115の切り替えに関する入力操作を受け付ける。
【0031】
制御部111は、画像送信部112と、条件判定部113とを有する。画像送信部112は、カメラ13により撮影された画像を画像蓄積装置20に送信する。画像送信部112は、撮影日時と、携帯撮影リング10又はカメラ13の識別情報とを撮影した画像データに含めて画像蓄積装置20に送信する。なお、制御部111は、GPS(Global Positioning System)等の図示しない位置取得部を有し、携帯撮影リング10の位置情報を取得してもよい。その場合、画像送信部112は、画像データに撮影の際の位置情報を含めて画像蓄積装置20に送信することができる。
【0032】
送信は任意のタイミングで行われ、例えば撮影しながら画像データを送信してもよいし、画像の撮影が中断又は停止した際に送信してもよい。なお、撮影直後(即ち、制御装置11がカメラ13からの画像データを取得した後遅滞なく)に画像データを画像蓄積装置20に送信すれば、持ち主に異変があった場合の画像データの逸失を防ぐことができる。
【0033】
条件判定部113は、予め定められた条件に基づいて、カメラ13による撮影を継続するか否かを判定する。条件判定部113は、例えば装着具12が身体の一部に装着されている間、撮影を継続する条件を満たすものとして、撮影を継続するよう指示する信号をカメラ13に送信する。例えば、制御部111は図示しないセンサと接続されており、条件判定部113はセンサにより装着具12の装着が検知される場合に、カメラ13に対して撮影の継続を指示する信号を出力する。
【0034】
センサは、装着具12に保持され、装着具12が装着されていることを検知する。センサは、例えば赤外線センサ等の光センサであって、身体と対向するよう設けられた受光部への投光部からの光が遮られると、装着具12の装着を検知したものと取り扱う。また例えば、センサは温度センサであって、常温を超えた温度を検知すると、装着具12の装着を検知したものと取り扱う。また例えば、センサは振動センサ又は加速度センサであって、所定値以上の振動レベルを検知すると、装着具12の装着を検知したものと取り扱う。また例えば、センサは圧力センサであって、加圧を検知すると、装着具12の装着を検知したものと取り扱う。
【0035】
なお、一例として、条件判定部113は、先述のスイッチボタン116の操作により、制御装置11に電力が供給されている場合において、撮影を継続する条件を満たすものと判定する場合に、撮影を継続するようカメラ13に指示する。また、条件判定部113は、装着具12の状態が撮影を中断する中断条件を満たす場合には、制御装置11に電力が供給されている場合であっても、撮影の継続を中断するよう指示する信号をカメラ13に送信する。
【0036】
撮影を継続する条件や中断条件は、センサにより取得される、携帯撮影リング10の状況のほか、例えば時間帯や、地域の位置情報等に基づいて定められる。例えば条件判定部113は、使用者からの入力操作に基づいて、撮影を中断する所定の時間帯を中断条件とするよう設定することができる。条件判定部113は、図示しない時計により当該時間帯に含まれる時刻が計測されている間、中断条件を満たすものとして、撮影を中断するようカメラ13に指示する。また、条件判定部113は、図示しない位置取得部により、撮影の継続を中断する地域内に存在することを示す位置情報が取得されると、カメラ13に対し、撮影を中断するよう指示する。
【0037】
なお、条件判定部113が判定に用いる条件は、携帯撮影リング10の流通時において予め定められたものであってもよいし、例えばスマートフォン等の外部装置からの入力操作に基づいて、条件判定部113が読取可能な携帯撮影リング10内の図示しない記憶装置に記憶されていてもよい。
【0038】
画像蓄積装置20は、1又は複数の携帯撮影リング10と接続され、各々の携帯撮影リング10により撮影された画像を記録する。画像蓄積装置20は、サーバーコンピューター、又はPC(Personal Computer)等の情報処理装置であって、例えば撮影画像管理システム1を用いた画像管理サービスの事業者が運用している。一例として、当該事業者は、無線通信ネットワークを介してアクセス可能なクラウドサーバーとして画像蓄積装置20を位置づけ、画像管理サービスをクラウドサービスとして展開している。
【0039】
画像蓄積装置20は、記憶部21を有する。記憶部21は、携帯撮影リング10の画像送信部112から送信された画像を記録する。記憶部21は、画像送信部112から送信された画像を受信すると、携帯撮影リング10又はカメラ13の識別情報と、撮影日時とを関連付けて記憶する。記憶部21は、携帯撮影リング10の位置情報を関連付けて記憶してもよい。なお、画像蓄積装置20は、図示しないモニタと接続され、撮影された画像を表示してもよい。
【0040】
図3は、携帯撮影リング10の装着例を示す図(その1)である。図3に示すように、携帯撮影リング10は、使用者の首に装着することができる。図3に示す例では、装着具12は2台のカメラ13を保持する。例えば使用者は、2台のカメラ13のうち1台を使用者の前方、1台を後方に配置する。
【0041】
使用者は任意のタイミングでスイッチボタン116を操作し、制御装置11に電力を供給する。条件判定部113の有するセンサにより、携帯撮影リング10の身体への装着が検知されると、条件判定部113はカメラ13に対して画像の撮影を指示する。指示に応じ、各々のカメラ13は撮影を開始する。画像送信部112は、2台のカメラ13の各々が撮影した画像に、携帯撮影リング10の識別情報と撮影日時とを付加し、画像蓄積装置20に送信する。画像には、携帯撮影リング10の位置情報が含まれていてもよい。
【0042】
また、条件判定部113は、カメラ13による撮影が開始されると、ライト14を点灯する。これにより、使用者の周囲に存在する者は、使用者の身体の前後に位置するカメラ13が撮影を行っていることを認識することができる。
【0043】
先述したように、条件判定部113は、中断条件を満たすと判定する場合に、カメラ13による撮影を中断する。例えば、使用者が学校に滞在している時間帯が、中断条件の1つとして登録されているものとする。条件判定部113は、当該時間帯に到達すると、カメラ13による撮影を中断する。また、条件判定部113は、中断条件を満たさないと判定する場合に、中断していた撮影を再開する。例えば条件判定部113は、下校時間になると、中断条件を満たさないものと判定し、カメラ13による撮影を再開する。
【0044】
なお、条件判定部113は、カメラ13による撮影を中断する際には、ライト14の点灯を中断し、撮影を再開する際には、ライト14の点灯を再開する。
【0045】
画像送信部112により送信された画像は、画像蓄積装置20に記録される。蓄積された画像は、任意のタイミングで読み出すことができる。従って、携帯撮影リング10に破損等の異変があった場合であっても、画像を確認することができる。
【0046】
図4は、携帯撮影リング10の装着例を示す図(その2)である。図4に示すように、携帯撮影リング10は、使用者の胸周りに装着することができる。図4に示す例では、携帯撮影リング10は、使用者の身体とランドセルとを囲むように装着されている。携帯撮影リング10の有するカメラ13は、図3に示す例と同様に、使用者の前方と後方とに1台ずつ配置される。
【0047】
首元に携帯撮影リング10を装着する場合において、ランドセルの上端が首元より上方向に位置する場合、後方の撮影に支障が生じる可能性がある。図4に示すように、ランドセルと身体とを囲うように携帯撮影リング10を装着すれば、ランドセルを背負った場合でも使用者の後方を撮影することができ、後方から襲われる等のリスクの発生を抑止することができる。
【0048】
図5は、携帯撮影リング10の装着例を示す図(その3)である。図5に示すように、携帯撮影リング10は、使用者の腰周りに装着することができる。携帯撮影リング10の有するカメラ13は、図3図4に示す場合と同様に、使用者の前方と後方とに1台ずつ配置される。
【0049】
本図に示す装着方法は、使用者の腰回り前方又は後方にカバン等の装着品がない場合に有用である。例えば髪の長い使用者が携帯撮影リング10を装着する場合に、使用者の首元に装着すると、特に後方のカメラ13が髪に隠れる可能性がある。図5に示すように、腰元に携帯撮影リング10を装着することで、使用者の髪がカメラ13を遮ることを抑止しうる。また、使用者の腰回りを重点的に撮影し、腰回りに生じるリスクの発生を抑止することができる。
【0050】
以上、本実施形態による携帯撮影リング10を使用することで、複数の異なる方向を撮影することができ、使用者の周辺に発生するリスクを効率的に抑止することができる。また、撮影中にライト14が点灯し、周りの者は撮影が継続されていることを認識するため、使用者への加害を抑止する等の心理的な効果が期待できる。
【0051】
また、撮影された画像は画像蓄積装置20に記録されるため、携帯撮影リング10に異変があった場合であっても、撮影された画像を確認することができる。
【0052】
なお、携帯撮影リング10は、ライト14の他に、警戒音を発声する音声発生装置を有していてもよい。また、携帯撮影リング10は、上述の撮影の継続判定に用いる条件や中断条件の他、状況に応じた様々な動作条件を設定することができる。設定された条件に応じて、条件判定部113はカメラ13、ライト14、及び音声発生装置の動作を制御する。
【0053】
例えば使用者が、自宅から駅まで歩き、駅から電車に乗り、他の駅に到達して学校に登校する場合、自宅から学校まで撮影を継続する。その一方で、電車に乗っている間はライト14の点灯を抑制し、隣り合う者のみ聴取可能な小さい音の警戒音を出力する等の条件を設定することができる。その場合、例えば条件判定部113は、携帯撮影リング10の装着が検知されると撮影を開始するとともに、例えば加速度センサが所定の速度以下の移動を検知した場合に、徒歩で移動しているものとして、ライト14を点灯させる。
【0054】
その後、条件判定部113が、所定の速度を超える速度を検知すると、電車に乗ったものとして、ライト14の点灯を抑制し、警戒音を出力する。その後使用者が電車から降りると、条件判定部113は警戒音の発声を抑止し、ライト14の点灯を開始する。学校に到着すると、条件判定部113は時間帯又は位置情報により定まる中断条件の充足を検知し、撮影を中断する。なお、電車に乗っているか否かの判定を検知するセンサは、加速度センサに限られない。
【0055】
また例えば、条件判定部113は、身体への装着が検知されている間撮影を継続する場合において、時間帯や位置情報により学校等の所定の場所にいると考えられる場合に、ライト14の点灯のみを中断するよう制御してもよい。また、所定の条件を満たす場合に、ライト14の点灯具合を調整し、光量を抑制して点灯させてもよい。
【0056】
本実施形態により、任意の条件に応じて撮影やライト14の点灯、及び音の発声を制御することができ、使用者の状況に応じて携帯撮影リング10の機能を有効に活用することができる。
【0057】
付言すれば、本実施形態の携帯撮影リング10は、登下校時の他、部活動時に装着したり、やむを得ず夜間に外出する際に装着したり、外遊びの際に装着したりすることが想定される。本実施形態の携帯撮影リング10は、それぞれの場合に応じた条件の設定が可能である。
【0058】
なお、制御部111は、図示しない適正状況判定部を有していてもよい。適正状況判定部は、複数のカメラ13の各々が適正な状況にあるか否かを判定する。例えば、適正状況判定部は、装着具12にねじれがあるか否かを判定する。装着具12にねじれがある場合、装着具12に対するカメラの保持状況によっては、カメラ13が裏返るなど、適正位置にない可能性がある。適正状況判定部が、装着具12にねじれがないと判定する場合、カメラ13が適正位置にあるものと取り扱われる。
【0059】
適正状況判定部は、装着具12の所定の位置に配置されたセンサを用いて、装着具にねじれがあるか否かを判定する。センサは例えば装着具12に設けられた複数の圧電センサや、光センサ等である。
【0060】
また、装着具12に対して2つのカメラ13が移動可能に保持されている場合、適正状況判定部は、各々のカメラ13が反対の方向を撮影しているか否かを判定してもよい。適正状況判定部は、例えば各々のカメラ13近傍に備え付けられたセンサを用いて、2つのカメラ13が反対の方向を撮影しているか否かを判定する。2つのカメラ13が反対の方向を撮影していると判定される場合、カメラ13は適正位置にあるものとして取り扱われる。センサは、例えば地磁気センサである。
【0061】
適正状況判定部は、複数のカメラ13の各々が適正な状況にないと判定する場合、音声発生装置から警戒音を出力することにより、使用者に通知してもよい。これにより、より確実にリスク発生の防止のための画像を撮影することができる。適正状況判定部によるカメラ13の適正位置の判定は、特に、カメラ13の位置を自ら確認することが困難な子ども等が携帯撮影リング10を用いる場合に有用である。
【0062】
<変形例>
図6は、変形例における携帯撮影リング10の外観の一例を示す図である。本変形例における携帯撮影リング10は、留め具15を有する。本変形例における装着具12は、両端が開放された筋状であって、留め具15で留めることにより環状になる。留め具15は、例えばスイッチであって、留め具15内の2つの電極が接触し、通電が開始されると、装着具12が環状であるものと取り扱われる。なお、留め具15は、内部に備え付けられた図示しないセンサにより、筋状の部材を留めたか否か、即ち装着具12が環状であるか否かを判定してもよい。
【0063】
条件判定部113は、留め具15による判定結果を取得する。条件判定部113は、装着具12が環状である場合に、撮影を継続するようカメラ13に指示する。
【0064】
本変形例の携帯撮影リング10によれば、伸縮度合いの低い素材を装着具12に用いる場合であっても、任意の位置に携帯撮影リング10を装着することができ、利便性が向上する。
【0065】
なお、本変形例において、カメラ13が移動可能である場合、上述の実施形態と同様に、適正状況判定部がカメラ13の位置が適正であるか否かを判定してもよい。本変形例では、使用者によって、装着具12に対する留め具15による係止位置が異なる可能性がある。本変形例において、カメラ13を移動可能に装着具12に保持し、適正位置判定部によりカメラ13が適正位置にあるか否かを判定することにより、より確実に使用者の前後を撮影し、リスクの発生を抑止することができる。
【0066】
以上、本発明に係る各実施形態の説明を行ってきたが、本発明は、上記した実施形態の一例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態の一例は、本発明を分かり易くするために詳細に説明したものであり、本発明は、ここで説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の一例の構成の一部を他の一例の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の一例の構成に他の一例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の一例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることもできる。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、図中の制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、全てを示しているとは限らない。ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0067】
また、上記の携帯撮影リング10の機能構成は、理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分類したものである。構成要素の分類の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。上述の通り、携帯撮影リング10の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0068】
例えば、本実施形態において、装着具12には、1つの制御装置11、複数のカメラ13、及び複数のライト14が保持された例を用いて説明したが、各々の数はこれに限定されない。例えば、装着具12に保持される複数のカメラ13毎に、制御装置11が保持され、各々の制御装置11は直接接続される1つのカメラ13の動作を制御するものであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1:撮影画像管理システム、10:携帯撮影リング、11:制御装置、12:装着具、13:カメラ、14:ライト、15:留め具、20:画像蓄積装置、21:記憶部、111:制御部、112:画像送信部、113:条件判定部、114:電池、115:電源スイッチ、116:スイッチボタン
【要約】      (修正有)
【課題】リスクの発生を効率的に抑止する携帯撮影リング及び撮影画像管理システムを提供する。
【解決手段】携帯撮影リングと、画像蓄積装置と、を有する撮影画像管理システムであって、携帯撮影リングは、身体の一部に装着する環状の装着具と、装着具に保持される複数のカメラと、装着具の環状に沿って配置され、カメラの撮影時に点灯するよう制御される複数のライトと、カメラにより撮影された画像を、通信可能に接続された画像蓄積装置に送信する画像送信部と、を有する。画像蓄積装置は、画像送信部により送信された画像を受信すると、携帯撮影リングの識別情報と画像とを関連付けて記憶する記憶部を有する。
【選択図】図2
図1
図2
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図5
図6