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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】コネクタ用エンクロージャ組立体
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20220104BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
H05K9/00 E
G02B6/42
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017117323
(22)【出願日】2017-06-15
(65)【公開番号】P2017228776
(43)【公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】16175265.4
(32)【優先日】2016-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503168201
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ネーデルランド ビーヴイ
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Nederland BV
【住所又は居所原語表記】Rietveldenweg 32,NL-5222 AR’s-Hertogenbosch,The NETHERLANDS,
(73)【特許権者】
【識別番号】517211137
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス スベンスカ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】カンプスフレール,ドルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュヴィン,ホーカン
(72)【発明者】
【氏名】ダーメン,ロナルト ニコ アドリアーン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ヘット ボルシェル,ハン
(72)【発明者】
【氏名】モーネン,ヴィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ドレイフハウト,テッケ
【審査官】柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-266642(JP,A)
【文献】特開2010-008596(JP,A)
【文献】特開2013-080705(JP,A)
【文献】特開2014-149414(JP,A)
【文献】特開2012-129287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
G02B 6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ、特に光ファイバトランシーバおよび光ファイバケーブルコネクタの保護物として使用するための電磁シールド構造であって、
リング状の構成で配置された少なくとも3つのコンタクトばねを備える管状中空本体を備え、
ばね保護内側ハウジングが前記コンタクトばね内に事前に組み立てられ、前記コンタクトばねを保護しており、
前記ばね保護内側ハウジングは、円形形状を有するとともに、前記コンタクトばねの自由端を保護する周縁リップを有することを特徴とする電磁シールド構造。
【請求項2】
前記管状中空本体は一体型の本体であり、かつ金属製であることを特徴とする、
請求項1に記載の電磁シールド構造。
【請求項3】
前記コンタクトばねは、前記電磁シールド構造の少なくとも一方の端部に分配されることを特徴とする、
請求項1に記載の電磁シールド構造。
【請求項4】
前記コンタクトばねは、半径方向に撓み可能な構成で配置されることを特徴とする、
請求項1に記載の電磁シールド構造。
【請求項5】
前記ばね保護内側ハウジングは、プラスチックまたは金属製であることを特徴とする、
請求項1に記載の電磁シールド構造。
【請求項6】
前記ばね保護内側ハウジングは、円形形状を有するとともに、電磁シールド管内に嵌まり前記コンタクトばねの移動を限定するような形状の断面を有することを特徴とする、
請求項1に記載の電磁シールド構造。
【請求項7】
少なくとも1つのコネクタ用のエンクロージャ組立体であって、
エンクロージャの内側本体内に位置するコネクタ容積であって、前記コネクタを移動可能に収容するように適合され、前記内側本体は前端部および後端部に開口部を有する、コネクタ容積と、
前記内側本体の上で摺動するように適合された外側本体と、
前記エンクロージャの前記内側本体と前記エンクロージャの前記コネクタ容積との間に位置する、請求項1からのいずれか1項に記載の電磁シールド構造と、を備える、
エンクロージャ組立体。
【請求項8】
前記コンタクトばねは、その前端部に位置することを特徴とする、
請求項に記載のエンクロージャ組立体。
【請求項9】
電気的接触が前記コネクタ容積の前端部で行われ、前記電気的接触は前記コンタクトばねと適用エンクロージャ孔の内側層との間で行われることを特徴とする、
請求項に記載のエンクロージャ組立体。
【請求項10】
金属製の前記電磁シールド構造の本体が、少なくとも2つの保持機構を有することを特徴とする、
請求項に記載のエンクロージャ組立体。
【請求項11】
金属製の前記電磁シールド構造は、前記2つの保持機構によって前記内側本体に接続されることを特徴とする、
請求項10に記載のエンクロージャ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁ノイズ減衰器、電磁シールド抑制デバイス、または高周波ノイズ減衰器として使用するための、電磁シールド構造に関する。構造は、リング状の構成で配置された少なくとも3つのコンタクトばねを備える管状中空本体を備え、ばね保護内側ハウジング(springs protection inner housing)がコンタクトばね内に事前に組み立てられコンタクトばねを保護していることを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
以下では、方向「前方(forward)」は、エンクロージャ組立体に関して、エンクロージャ組立体から見た場合の、任意選択の相手側エンクロージャ、またはケーブルの端部の方向に面するものとして定義される。方向「後方(rearward)」は、反対の方向、すなわち任意選択の相手側エンクロージャから離れる方向に面する方向を指定する。エンクロージャ組立体がケーブル上に装着済みまたは装着中である場合、これら前方向および後方向は、ケーブルと平行に延びる。
【0003】
エンクロージャ組立体は、好ましくは規格化されたコネクタの周囲に、保護シェルを形成する。これらのコネクタはとりわけ、スモールフォームファクタプラガブル(SFP:small form factor pluggable)、高速IO(マイクロSFP)(HSIO)、マルチファイバプッシュオン(MPO:multi fiber push on)、マストランスファープッシュオン(MTP:mass transfer push on)、高解像度マルチメディアインタフェース(HDMI(登録商標):high definition multimedia interface)、光学トランシーバ、RJ45、または任意の他の規格化されたコネクタであってよい。コネクタ容積は、エンクロージャ組立体の内側本体および/または外側本体を変える必要なく、マルチコネクタのための様々なサイズのコネクタを並べた配置で収容することができるほど十分に大きい。したがって、異なるコネクタに対して同じエンクロージャ組立体を用いることができる。
【0004】
コネクタ容積は、移動可能な収容を可能とするのに十分なサイズである。すなわち、コネクタはコネクタ容積内で自由に移動する。このため、コネクタ容積内でのコネクタの位置を変えることができ、公差を補償することができる。コネクタを、これらのそれぞれの対応物(respective counterparts)と安全に嵌合することができる。
【0005】
そのようなエンクロージャ組立体はたとえば、欧州特許出願EP2302431から知られている。この開示は、ケーブルに封止的に係合するように適合されたケーブルシールと、コネクタを受容するように適合されたコネクタ容積を備える内側本体と、内側本体上を前方位置へと摺動するように適合された外側本体と、を含む、ケーブル上のコネクタ用の封止エンクロージャ組立体に関する。封止エンクロージャおよび相手側エンクロージャは、ロック要素により、前方位置において軸方向に関して固定される。ロック要素は、バヨネット型のものであってよい。そのようなエンクロージャは組立ておよび側部での装着が容易であり、野外用途などの過酷な環境条件からコネクタを保護し、確実に封止する。バヨネット型は有利であるが、その理由は、これが、エンクロージャの後端部における封止部材によるコネクタ容積の封止をもたらす前方への動きを、軸方向のロックのための限定的な回転によるロックの動きと組み合わせているからである。バヨネット型スタイルのロック要素では、回転の動きが限定されているので、封止部材に導入されるねじれが限定される。
【0006】
他のエンクロージャが、米国特許第7338214号から知られている。この参照文献では、内側本体をプラグ本体として、および外側本体をシェルとして構成して示しており、この外側本体は、バヨネットスタイルのロック部を有する。プラグ本体および相手側エンクロージャにおいて、エンクロージャ内の所定の位置に、規格化されたコネクタが固定的に装着される。
【0007】
類似のエンクロージャ組立体が、EP2354825にも開示されている。ここでは、後端部におけるコネクタ容積の封止を容易にして確実にするために、内側本体に、後方向に開いていてよいクランプ部を設けることができる。この結果、封止部材は、緊張解放要素に沿ってクランプ内へと摺動できる。クランプ部は、封止部材を受容するために後方向に開いているリテーナを有してよい。外側本体の前方位置では、クランプ部を、封止部材上へと半径方向に圧縮することができ、次いでこの封止部材は、緊張解放要素の固止部分(fastening portion)および封止部材上へと、半径方向に押圧される。このことにより、エンクロージャ組立体が、ねじれ歪みにも耐えるのにより好適なものとなる。
【0008】
参照文献であるEP2579396は、内側本体内に位置する電磁シールド構造を設けられた封止エンクロージャを開示している。シールド構造により、上記のような過酷な環境条件および機械的な危険からだけでなく、電磁場、電磁ノイズ、および落雷からの保護も行われるので、コネクタの信号品位(signal integrity)はさらに改善される。コネクタ容積内に位置するコネクタは、ほとんどの場合、それぞれの規格の仕様に応じて、既にシールドが設けられている。エンクロージャ組立体は、コネクタ容積内でのコネクタの可動性を限定することなく、追加の保護を付加する。電磁シールド構造を内側本体内に位置付けることにより、たとえば、EP2302431、およびEP2354825から知られるように、内側本体および外側本体の相互作用は不変のままである。電磁シールド構造は、外側本体および内側本体が機能しなかったときの、機械的衝撃に対する追加の障壁を構成する。前述した参照文献の電磁シールド構造は、1つまたは複数の本質的に管状の丈夫な壁要素から作成される。
【0009】
電磁シールド構造は、可動シールド下位構造(moveable shielding substructure)および固定シールド下位構造(fixed shielding substructure)を備えてよい。可動シールド下位構造は、ケーブルの上で摺動するように、ならびに、内側本体によって少なくとも前方位置および/または前方向に向かう内側本体の移動に関して保持されるように、適合される。内側本体および可動シールド下位構造は、ユニットとして取り扱われる。可動シールド下位構造を、内側本体と一緒に移動させることができる。内側本体が前方向に摺動される前に、可動シールド下位構造を、内側本体と事前に組み立てることができる。
【0010】
固定シールド下位構造は、ケーブル上に固定され、その上を電磁シールド構造の可動下位構造が前方向に摺動するように適合される。この構成では、電磁シールド構造は、ケーブル上に装着されることになる部分およびケーブルに沿って移動されることになる部分を提供することによって、エンクロージャ組立体の構造を本質的に模倣する。
【0011】
可動下位構造および固定下位構造は、動作位置における移動などの前方向への内側本体の移動中に、導電的に互いに自動的に接続される。この接続は内側本体がその動作位置に向かって前方に移動されると確立するので、操作者は、現場において可動シールド下位構造および固定シールド下位構造の接続に配慮する必要がない。固定シールド下位構造および可動シールド下位構造の接続部は、取り外し部に、および/またはコネクタ容積の端部に、好ましくはコネクタ容積の外側に、位置することができる。
【0012】
固定シールド下位構造および可動シールド下位構造は、半径方向に撓み可能なコンタクトばねを介して互いに接続される。コンタクトばねは、可動シールド下位構造の端部上に装着される、リング状の追加要素の一部であってよい。
【0013】
EP2579396は、一方が後端部にあり一方が前端部にある、2つのコンタクトばねを開示している。後端部にあるコンタクトばねは、固定シールド下位構造に接触する役割を果たす。前端部にあるコンタクトばねは、キャビネット上の隔壁であってよい相手側エンクロージャに接触する役割を果たす。コンタクトばねは、周縁方向に沿って並んで配置された複数のコンタクトばねを備える、リング状の構造とすることができる。ばねフィンガは半径方向に撓み可能である。
【0014】
後端部において、コンタクトばねは、半径方向内向きに突出し、固定下位構造と接触していてよい。前端部において、コンタクトばねは、固定シールド要素の外側表面上に配置されてよい。複数のコンタクトばねの舌部を、シールド要素に弾性的に押し付けることができる。内側本体およびエンクロージャ組立体の上で摺動した外側本体は、相手側エンクロージャに結合される。
【0015】
最後の組立てステップ中、ばねフィンガまたはコンタクトばねは、前端部において外部応力にさらされる場合があり、容易に損傷する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、機械的挙動に信頼性のある、耐久性があり安定したコンタクトばねを有する電磁シールド構造を提供することが、本発明の目的である。この目的は、独立請求項1の主題によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1によれば、本発明は、コネクタ、特に光ファイバトランシーバおよび光ファイバケーブルコネクタの保護物として使用するための電磁シールド構造を提供する。この電磁シールド構造は、リング状の構成で配置された少なくとも3つのコンタクトばねを備える管状中空本体を備え、ばね保護内側ハウジングがコンタクトばね内に事前に組み立てられコンタクトばねを保護していることを特徴とする。
【0018】
保護内側ハウジングは、シールド構造の端部に予め組み込まれた保護フードであり、これはコンタクトばねを保持および保護し、取り扱い中にこれらが損傷するのを防ぐ。リング状の構成により、利用可能なコネクタ封止エンクロージャおよび相手側対応物内に、シールド構造が対称に嵌まることが可能となる。
【0019】
さらなる発展形態によれば、管状中空本体は一体型の本体であり、金属製であり、この本体の端部にはコンタクトばねフィンガが形成される。このことは、そのような構造を得るための製造工程ステップが減らされ、管を深絞り成形工程またはモールディングもしくは形成工程(forming process)を用いて製造できる、という利点を有する。また、全体的な構造が非常に安定しており、現場での組立てステップが最低限となり、操作者による取り扱いの誤りの可能性が低減される。金属の構造により、導電性の接触の確立が可能となる。
【0020】
さらなる改善形態では、コンタクトばねは、構造の少なくとも一方の端部上に分配された複数のコンタクトばねである。
【0021】
加えて、コンタクトばねは半径方向に撓み可能な構成で配置され、このことにより、動作中の可撓性が保証される。
【0022】
コンタクトばねは、銅合金、亜鉛合金、ステンレス鋼などの材料から作製されてよい。
【0023】
本発明は、容易に加工できるように、ばね保護内側ハウジングがプラスチックまたは金属製であることも開示している。
【0024】
さらなる実施形態によれば、ばね保護内側ハウジングは、円形形状、および電磁シールド管内に嵌まりコンタクトばねの移動を限定するような形状の断面を有する。内側ハウジングの1つの部分は、コンタクトばねの外形に従う。特に、ばねの最も長い側は、全長の全体にわたって内側ハウジングと接触またはほぼ接触しており、この結果、ばねが移動する選択肢が狭められる。
【0025】
さらなる発展形態では、ばね保護内側ハウジングは円形形状を有するとともに、移送中に配線などとの絡まりが起こり得ないようにコンタクトばねの自由端を保護する、周縁リップを有する。
【0026】
さらなる実施形態によれば、本発明は、少なくとも1つのコネクタ用のエンクロージャ組立体にも関する。このエンクロージャ組立体は、エンクロージャの内側本体内に位置するコネクタ容積であって、コネクタを移動可能に収容するように適合され、内側本体は前端部および後端部に開口部を有する、コネクタ容積と、内側本体の上で摺動するように適合された外側本体と、内側本体とエンクロージャのコネクタ容積との間に位置する電磁シールド構造と、を備える。本発明によるエンクロージャ組立体は、光ファイバコネクタおよび光ファイバトランシーバに特に適している。
【0027】
取り扱い可能なデータの量を増やすため、アンテナの周波数はより高くなってきており、システムは、より影響を受け易くなってきているとともに、より大きな電気的、磁気的干渉を生み出している。電磁シールド管は、アンテナシステム、特にファイバからアンテナへのシステムにおいて使用可能な、付加的なシールドである。特に、電磁シールド管は、ワイヤレス通信用途の一部である、ファイバからアンテナへの技術において用いられる。光ファイバケーブルコネクタは、遠隔無線ユニット中のトランシーバに接続され、上記のような封止エンクロージャ組立体によって保護される。遠隔無線ユニットにおいては、光学的な高周波信号が、電磁シールド管にとって感受性の高い電気的な高周波信号に移される。電磁シールド管は、遠隔無線ユニットの開口部の深さを大きくし、このことにより、周波ノイズがキャビネットに出入りし高周波データ伝送を妨げるのを防止する。この結果、既存のワイヤレス通信システム技術を、光ファイバトランシーバにおいて、4GHzから10GHzに、および5Gbpsから10Gbpsに、高めることができる。
【0028】
電磁シールド構造は、一方の端部にコンタクトばねフィンガを有する金属のパイプまたは中空の管からなる。
【0029】
コンタクトばねフィンガは電磁シールド管の誤った装着により容易に損傷し得るので、ばね保護内側ハウジングはシステム内に事前に組み立てられる。フードもまた、リップを押すことにより、エンクロージャ組立体の内側ハウジングまたは本体内で電磁シールド構造が押圧される可能性をもたらす。
【0030】
本発明のさらなる実施形態によれば、コンタクトばねは、金属キャビネットの内側開口部との電気的接触を確立できるように、その前端部に位置する。電気的接触は、コネクタ容積の前端部において、コンタクトばねと適用エンクロージャ孔の内側層または遠隔ユニット隔壁との間で行われる。
【0031】
前端部におけるコンタクトばねは外を向いていてよく、このためこれらは、コネクタ容積内へと突出しない。コネクタ容積内では、これらは自由に移動可能なコネクタと干渉する場合がある。
【0032】
これらの電磁シールド構造は、様々な外側ハウジングに挿入されこれらと組み合わされるのに好適である。
【0033】
これらの電磁シールド構造は、上記のように、1個片の金属部品である。このことは、金属コンタクトばねおよびシールドの組立体を本質とするシステムに関して代わりに生じ得る、受動的な相互変調歪みを防止する、という利点を有する。
【0034】
さらなる発展形態では、金属製の電磁シールド構造の本体は、エンクロージャ組立体の内側本体内に管を固定するための、少なくとも2つのエンボス加工された保持機構を有する。
【0035】
電磁シールド構造を、ワイヤレス通信の一部である、ファイバからアンテナへのシステムの技術において用いることができる。
【0036】
さらなる特徴および利点は、添付の図面において例示されるような本発明の以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明による電磁シールド構造を示す図である。
図2】いずれも、様々な幾何学形状を有する内側ハウジング内に挿入された電磁シールド構造の概略図である。
図3】本発明によるエンクロージャ組立体の概略図である。
図4図3に示したエンクロージャ組立体についての1つの組立てステップの概略斜視図である。
図5】内側本体の断面図であり、内側本体内に位置する電磁シールド構造が遠隔無線ユニットの隔壁内に装着され遠隔無線ユニットの内側孔に接触している状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
ここで本発明について、本発明の例示の実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下でより十分に述べる。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書に明記する実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0039】
図1は、本発明による電磁シールド構造101を示す。構造は、後端部および前端部における直径が同じである、一体型の円筒状または管状の中空本体102からなる。代替として、後端部における直径は、前端部における直径よりも小さくてよい。少なくとも一方の端部、好ましくは前端部において、構造は、コンタクトばね要素103を組み込むように修正された幾何学形状を有する。コンタクトばねは、構造内に構築された管状本体自体の延長部である。コンタクトばねは、周縁方向に沿って配置されるばねアームまたは要素からなる。ばねアームまたは要素は、リング状の構成で、好ましくは半径方向に撓み可能な構成で、好ましくは配置される。代替として、ばね要素は、管状本体に着脱可能なリング状の構造内に配置される。コンタクトばねの各アームは、3つの部分からなる。部分104は半径方向外向きに突出し、部分105において曲がり、内向きに突出する舌部分106になる。
【0040】
シールド構造の管状本体は、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、亜鉛合金などの金属材料製であってよい。一方、コンタクトばねは、管状本体と同じ金属材料製であり、好ましくはニッケルめっき、スズめっき、銀めっき、金めっき、パラジウム-ニッケルめっき、または適用ハウジング(application housing)の内側孔との接触に好適な他の種類のめっきを用いて処理される。
【0041】
ばねアームは好ましくは、半径方向に撓み可能である。システムを動作させることによって、ばねアームは、破砕、および破断さえ引き起こす場合のある、外部応力を受けることになる。機械的挙動に信頼性のある耐久性があり安定したコンタクトばねを有する電磁シールド構造を提供するとともに、取り扱い中のストリングアームの損傷を防止するために、ばね保護内側ハウジング107は、コンタクトばね内に事前に組み立てられる。保護内側ハウジングは、シールド構造の端部に予め組み込まれた保護フードであり、これはコンタクトばねを保持する。保護フードはコンタクトばねの幾何学形状に適合する幾何学形状を有し、円形形状、および電磁シールド管内に嵌まりコンタクトばねの移動を限定するような形状の断面を特に有する。保護フードは、EMI管の内側に挿入され保持機構の内側の中にロックされる管として設計される。保護フードの断面は、EMI管内に嵌まり、コンタクトばねを支持し、ブラインドで(見ないで)嵌合されたときに損傷に関してコンタクトばねを保護するような形状とされる。たとえば、保護フードは、外を向く部分108、コンタクトばねの把持を容易にするような形状とされた中心部分109、および、移送中に配線などとの絡まりが起こり得ないようにコンタクトばねの自由端を保護する、円盤の形状を有する端部前方部分または周縁リップ110を有する。中心部分109は、舌部106を弾性的に押し付けることのできる、U字形状の断面を有する。図1でわかるように、シールド管は、管状本体の表面上の前端部の近くに位置する保持機構111によっても特徴付けられる。保持機構は、2個、好ましくは2個から12個、最も好ましくは2個から6個、最も好ましくは2個から4個であり得る。保持機構は、これが他の本体、たとえば以下でより詳細に述べる封止エンクロージャの内側本体内に置かれるとき、シールド構造を固定する機能を有する。
【0042】
図2は、2つの異なるタイプの内側ハウジング212および内側ハウジング213内に挿入された電磁シールド管を示す。シールド管は、保持機構111によって内側ハウジング内に固定される。
【0043】
正面の円盤形状の部分110は、隔壁にブラインドで(見ないで)嵌合され適用されたときに、ばねフィンガを損傷から保護する、という主要な機能を有する。加えて、この正面部分は、前方へのばねアームの滑りを回避するのを助け、プラスチック性の内側ハウジング内の管を押圧するためにさらに使用可能である。
【0044】
内側ハウジングはたとえば、図3のエンクロージャ組立体の内側本体とすることができる。エンクロージャ組立体は、その構造を何ら修正することなく、光ファイバケーブルなどの様々な種類のケーブルを収容するように適合される。さらに、エンクロージャは、とりわけ、スモールフォームファクタプラガブル(SFP)、高速IO(マイクロSFP)(HSIO)、マルチファイバプッシュオン(MPO)、マストランスファープッシュオン(MTP)、高解像度マルチメディアインタフェース(HDMI(登録商標))、光学トランシーバ、RJ45、または電力および/もしくはデータ伝送用の任意の他のタイプのコネクタなどの、ケーブルの端部上に装着されるコネクタを、封止的に取り囲むように適合される。
【0045】
エンクロージャ組立体は、外側本体301と、内側本体303と、シールド構造101と、リテーナまたはケーブルシール302と、前方シール306と、を備える。
【0046】
エンクロージャ組立体の外側本体301は、内側本体303の上で摺動による移動で前方向に摺動するように適合され、ロック要素により、回転移動後に相手側エンクロージャ306に前方位置において固定することができる。
【0047】
外側本体301はプラスチック製とすることができ、円筒状または円錐台形の中空シェルの形状を有する。外側本体の長手方向の長さは、内側本体303の長さとほぼ同じである。
【0048】
内側本体303は円筒形形状を有し、ケーブル上に装着されこのケーブルに沿って摺動するように適合される。内側本体は、後端部に位置するクランプ部分310、および前端部に位置するプラグ部分309を有する。内側本体の内壁は、コネクタ容積を画定する。コネクタ容積は、コネクタを前方向において緩く受容するような寸法とされる。コネクタ容積は、円筒状の、後方向にテーパした概ね円錐の形状を有する。前端部における封止は、Oリング305によって確立または補強される。内側本体の中心部分は、ケーブル上での内側本体の設置および摺動を支援する。
【0049】
波形ばねは、バヨネットロックのロックを保証するための、外側本体に対する戻しばねとして機能する。
【0050】
電磁シールド構造101は、内側本体とエンクロージャのコネクタ容積との間に位置付けられ、コンタクトばねは好ましくは前端部に位置する。
【0051】
コンタクトばねが配置されるところにおける直径は、コネクタ容積の内径と同じまたは少なくともほぼ同じであることが好ましい。
【0052】
電磁シールド構造101は、適用ハウジングの孔の内側との接続を確実にするために、前端部においてばねコンタクトが外から見えることになることを除いて、内側本体303によってほぼ完全に覆われる。そうでないと、接点が失われEMI管がハウジングの内側に詰まるリスクがあるであろう。ばねフィンガはコネクタ容積内に突出しないが、その理由は、突出すると、自由に移動可能なケーブルおよびコネクタとの干渉が生じる場合があるからである。
【0053】
ケーブルプラグのダストキャップ307は、移送中に保護物として働く。一方、Oリング前方シール306は、ダストキャップ内でほこりおよび水から保護する。ダストキャップはケーブル組立体に固着され、プラグキャップストラップまたはワイヤ308によって取り付けられてから、後で使用される。
【0054】
図4は、動作の最初の段階を斜視して表す。電磁シールド管は最初に、FullAXSプラグの内側本体303内に挿入される。エンクロージャ組立体の外側本体は次いで、内側本体およびシールド構造の上でケーブル上を前方へと摺動される。この段では、内側本体303の後端部は、外側本体301によって完全に覆われ、次いでロック要素によって適用エンクロージャハウジング501上に装着された隔壁401に嵌合される。
【0055】
図5は、電磁シールド管およびコンタクトばねが遠隔無線ユニットと結合された状態の、エンクロージャ組立体、特に内側本体の断面を示す。コンタクトばねの外側表面ならびに隔壁の内側表面および/または遠隔無線ユニットの内側孔の中で、電気的接触が確立される。他のタイプの適用製品を用いて、同じ種類の接触を確立することができる。
【0056】
EMI管はばねフィンガ103により適用ハウジング501の孔の内側に接続するので、EMI管は孔の内側のめっきと適合する材料でめっきされている。
【符号の説明】
【0057】
101 電磁シールド構造
102 管状中空本体
103 コンタクトばね
104 半径方向外向きに突出するコンタクトばね部分
105 コンタクトばね部分における曲がり
106 内向きに突出するコンタクトばね舌部分
107 ばね保護内側ハウジング
108 外を向くばね保護内側ハウジング部分
109 ばね保護内側ハウジング中心部分
110 ばね保護内側ハウジング周縁リップ部分
111 保持機構
212 内側ハウジング
213 異なる幾何学形状を有する内側ハウジング
301 外側本体
302 リテーナまたはケーブルシール
303 内側本体
304 波形ばね
305 Oリング
306 前方シール
307 ケーブルプラグ保護キャップ
308 プラグキャップストラップ
401 隔壁
501 適用エンクロージャハウジング
図1
図2
図3
図4
図5