(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】リン酸化アルファ-シヌクレインを検出するための方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20220127BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20220127BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
G01N33/53 D
G01N33/543 575
G01N33/543 541A
C07K16/18 ZNA
(21)【出願番号】P 2018510519
(86)(22)【出願日】2016-08-25
(86)【国際出願番号】 IB2016055088
(87)【国際公開番号】W WO2017033152
(87)【国際公開日】2017-03-02
【審査請求日】2019-08-23
(32)【優先日】2015-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【微生物の受託番号】ATCC PTA-122711
【微生物の受託番号】ATCC PTA-8222
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513250798
【氏名又は名称】プロセナ バイオサイエンシーズ リミテッド
【住所又は居所原語表記】77 Sir John Rogerson’s Quay, Block C Grand Canal Docklands, Dublin 2, DO2 VK60, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】バーバー, ロビン
(72)【発明者】
【氏名】ジースク, リン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ハムレン, サラ
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/047860(WO,A2)
【文献】特表2008-509223(JP,A)
【文献】特表2014-521089(JP,A)
【文献】特表平08-502587(JP,A)
【文献】ANDERSON, J.P.,PHOSPHORYLATION OF SER-129 IS THE DOMINANT PATHOLOGICAL MODIFICATION OF ALPHA-SYNUCLEIN IN FAMILIAL AND SPORADIC LEWY BODY DISEASE,JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,米国,2006年10月06日,VOL:281/NO:40,PAGE(S):29739 - 29752,http://dx.doi.org/10.1074/jbc.M600933200
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セリン129でリン酸化されたアルファ-シヌクレイン(PS129アルファ-シヌクレイン)を検出する方法であって、
(a)サンプルを、PS129アルファ-シヌクレインに優先的に結合する捕捉抗体及びアルファ-シヌクレインの残基40-55内のエピトープに特異的に結合するレポーター抗体と接触させるステップであって;
前記レポーター抗体が23E8(ATCC受託番号PTA-122711)のKabat CDRを含み、前記サンプル中にPS129アルファ-シヌクレインが存在する場合、前記捕捉抗体及びレポーター抗体が前記PS129アルファ-シヌクレインに結合してサンドイッチ複合体を形成する、ステップ;及び
(b)ステップ(a)において前記PS129-アルファシヌクレインが存在する場合に前記PS129-アルファシヌクレインに結合する前記レポーター抗体を検出して、前記PS129アルファ-シヌクレインの存在又は非存在を示すステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記捕捉抗体が11A5
(ATCC受託番号PTA-8222)であり、前記レポーター抗体が23E8
(ATCC受託番号PTA-122711)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記捕捉抗体がリンカーを介して支持物に結合する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記レポーター抗体が蛍光標識され、単一分子計数によって検出される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記サンプルを前記捕捉抗体と接触させ、前記捕捉抗体がPS129アルファ-シヌクレインに結合し、PS129アルファ-シヌクレインに結合した前記捕捉抗体を前記サンプルの他の成分から分離して溶液中に再懸濁し、この溶液を前記レポーター抗体と接触させ、前記レポーター抗体が前記PS129アルファ-シヌクレインに結合して前記サンドイッチ複合体を形成し、前記サンドイッチ複合体を前記再懸濁溶液の他の成分から分離し、前記レポーター抗体を前記サンドイッチ複合体から溶出して検出する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
定量的に実施されて、前記PS129アルファ-シヌクレインの絶対量又は相対量を示す、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記サンプルが、0.1-1.0Mのグアニジンを含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記接触ステップの前に、前記捕捉抗体を固相に結合させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記捕捉抗体を磁気ビーズに結合させ、磁場を印加することによって、この磁気ビーズを前記サンプルの残り又は再懸濁溶液から分離する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプルが、0.1%のトリトンX-405を含むSingulex標準希釈剤で希釈される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記サンプルが、ヒト由来のサンプルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプルがヒトの脳脊髄液(CSF)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記CSFサンプルが、0.1%のトリトンX-405を含むSingulex標準希釈剤で1:4に希釈される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記CSFサンプルが、<500ng/mLのヘモグロビンを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
PS129アルファ-シヌクレインの存在を0.1pg/mLのレベルで検出する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
23E8(ATCC受託番号PTA-122711)のKabat CDRを含む、モノクローナル抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、米国仮出願第62/297,777号(2016年2月19日出願)、及び第62/209,800号(2015年8月25日出願)に関連し、これらは参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
<配列表の参照>
本出願は、参照により、2016年8月25日に作成され、1608バイトを含む、ファイル719PCT_SEQLST.txtとして、コンピュータで読み取り可能な形式で提出された、配列表を組み込む。
【背景技術】
【0003】
<背景>
アルファ-シヌクレイン脳病理は、シヌクレイノパチーと呼ばれるいくつかの神経変性疾患の顕著な特徴である。アルファ-シヌクレインは、レビー小体(LB)及びレビーニューライト(これらは神経細胞内封入体である)の主要な成分である。
【0004】
シヌクレイノパチーは、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)、アルツハイマー病のレビー小体変異型(LBVAD)、びまん性レビー小体病(DLBD)、多系統萎縮症(MSA)、及び脳鉄沈着を伴う神経変性症1型(NBIA-1)を含む。
【0005】
シヌクレイノパチーは、老年人口における運動障害及び認知低下の一般的な原因である(Galasko et al., Arch. Neurol. (1994) 51:888-95)。今日まで、これらの障害は、治癒可能でも予防可能でもなく、PDの原因及び病因を理解することは、新規の治療の開発に向けて重要である(Tanner et al., Curr. Opin. Neurol. (2000) 13:427-30)。PDの原因は論争中であり、様々な神経毒及び遺伝的感受性の要因を含む、複数の要因が、役割を果たすことが提案されている。
【0006】
いくつかの研究は、アルファ-シヌクレインがPDの病因に中心的役割を果たしていることを示している。なぜなら、(1)このタンパク質が、LBに蓄積し(Spillantini et al., Nature (1997) 388:839-40;Takeda et al., J. Pathol. (1998) 152:367-72;Wakabayashi et al., Neurosci. Lett. (1997) 239:45-8)、(2)アルファ-シヌクレイン遺伝子の突然変異が、まれな家族性型のパーキンソン病と共分離し(Kruger et al., Nature Gen. (1998) 18:106-8;Polymeropoulos et al., Science (1997) 276:2045-7)、(3)トランスジェニックマウス(Masliah et al., Science (2000) 287:1265-9)及びショウジョウバエ(Feany et al., Nature (2000) 404:394-8)におけるその過剰発現が、PDのいくつかの病理学的態様を模倣するためである。したがって、脳におけるアルファ-シヌクレインの蓄積が、ヒト、マウス、及びハエのように多様な種において同様の形態学的及び神経学的変化に関連しているという事実は、この分子がPDの発症に寄与していることを示唆している。
【0007】
残基セリン129でリン酸化されたシヌクレイン(PS129)は、PDにおける、及びレビー小体型認知症及び多系統萎縮症などの他のシヌクレイノパチーにおける、レビー小体及びレビーニューライトに見られる、アルファ-シヌクレインの病理学的修飾として報告されている(Anderson et al. J. Biol. Chem. 281:29739-29752 (2006))。シクヌレイノパチー疾患において、脳脊髄液中の全アルファ-シヌクレインレベルが減少することが報告されているが、疾患を有する被験体のレベルと疾患を有しない被験体のレベルとの間で実質的な重複がある(Kang et. AL JAMA Neurol. 70(10): 1277-1287 (2013))。PS129のCSFレベル及びPS129と全アルファ-シヌクレインとの比率が、対照と比較してパーキンソン病の患者において、増加することが報告されている(Wang et al Sci Transl Med. 2012 Feb 15; 4(121): 121)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
<特許請求の範囲に係る発明の概要>
本発明は、セリン129でリン酸化されたアルファ-シヌクレイン(PS129アルファ-シヌクレイン)を検出する方法を提供し、この方法は、サンプルを、PS129アルファ-シヌクレインに優先的に結合する捕捉抗体及びアルファ-シヌクレインの残基40-55内のエピトープに特異的に結合するレポーター抗体と接触させるステップであって;サンプル中にPS129アルファ-シヌクレインが存在する場合、捕捉抗体及びレポーター抗体がPS129アルファ-シヌクレインに結合してサンドイッチ複合体を形成する、ステップ;及びステップ(a)においてPS129-アルファシヌクレインが存在する場合にPS129-アルファシヌクレインに結合するレポーター抗体を検出して、PS129アルファ-シヌクレインの存在又は非存在を示すステップを含む。
【0009】
任意選択的に、捕捉抗体が11A5であり、レポーター抗体が23E8である。任意選択的に、捕捉抗体がリンカーを介して支持物に結合する。任意選択的に、本方法は、レポーター抗体を検出する前に、サンドイッチ複合体からレポーター抗体を溶出するステップをさらに含む。任意選択的に、レポーター抗体が蛍光標識され、単一分子計数によって検出される。任意選択的に、サンプルを捕捉抗体と接触させ、捕捉抗体がPS129アルファ-シヌクレインに結合し、PS129アルファ-シヌクレインに結合した捕捉抗体をサンプルの他の成分から分離して溶液中に再懸濁し、この溶液をレポーター抗体と接触させ、レポーター抗体がPS129アルファ-シヌクレインに結合してサンドイッチ複合体を形成し、サンドイッチ複合体を再懸濁溶液の他の成分から分離し、レポーター抗体をサンドイッチ複合体から溶出して検出する。任意選択的に、本方法は定性的に実施される。任意選択的に、本方法は定量的に実施されて、PS129アルファ-シヌクレインの絶対量又は相対量を示す。任意選択的に、サンプルが、0.1-1.0Mのグアニジンを含有する。任意選択的に、サンプルが、0.5Mのグアニジンを含有する。任意選択的に、接触ステップの前に、捕捉抗体を固相に結合させる。任意選択的に、固相が磁気ビーズである。任意選択的に、捕捉抗体を磁気ビーズに結合させ、磁場を印加することによって、この磁気ビーズをサンプルの残り又は再懸濁溶液から分離する。
【0010】
任意選択的に、本方法は、レポーター抗体からのシグナルを、既知の量のPS129アルファ-シヌクレインを含有する対照サンプル中のレポーター抗体からのシグナルと比較して、サンプル中のPS129アルファ-シヌクレインの量を決定するステップをさらに含む。任意選択的に、本方法は、レポーター抗体からのシグナルを、PS129アルファ-シヌクレインの量に対するシグナルの検量線と比較して、サンプル中のPS129アルファ-シヌクレインの量を決定するステップをさらに含む。任意選択的に、レポーター抗体からのシグナルが、サンプル中のPS129アルファ-シヌクレインの量に比例する。任意選択的に、本方法は、レポーター抗体を標識された抗体と接触させて、レポーター抗体の存在及びこれによりサンプル中のPS129アルファ-シヌクレインの存在を示すシグナルを生じるステップをさらに含む。任意選択的に、本方法は、サンプル中の全アルファ-シヌクレイン又は非リン酸化アルファ-シヌクレインのレベルを決定し、リン酸化アルファ-シヌクレインのレベルと全アルファ-シヌクレイン又は非リン酸化アルファ-シヌクレインのレベルとの比率を計算するステップをさらに含む。
【0011】
任意選択的に、サンプルが、0.1%のトリトンX-405を含むSingulex標準希釈剤で希釈される。任意選択的に、サンプルが、ヒト由来のサンプルである。任意選択的に、サンプルが、ヒトアルファ-シヌクレインを発現する導入遺伝子を有するトランスジェニックマウス由来である。任意選択的に、サンプルが体液である。任意選択的に、サンプルがヒトの脳脊髄液(CSF)である。任意選択的に、CSFサンプルが、0.1%のトリトンX-405を含むSingulex標準希釈剤で1:4に希釈される。任意選択的に、500pg/mLまでで、シヌクレインモノマーとの交差反応性が存在しない。任意選択的に、CSFサンプルが、<500ng/mLのヘモグロビンを含む。任意選択的に、CSFサンプルが、200ng/mL~500ng/mLのヘモグロビンを含む。任意選択的に、CSFサンプルが、<200ng/mLのヘモグロビンを含む。
【0012】
任意選択的に、サンプルが、ヒト又はトランスジェニック動物の脳ホモジネートである。任意選択的に、サンプルが、細胞を培養するのに使用される培地である。任意選択的に、細胞が組換えヒトアルファ-シヌクレインを発現する。任意選択的に、本方法は、PS129アルファ-シヌクレインの存在を0.1pg/mLのレベルで検出する。任意選択的に、本方法は、PS129アルファ-シヌクレインの存在を少なくとも0.4pg/mLのレベルで検出する。任意選択的に、PS129-アルファ-シヌクレインの存在が、サンプルが得られた被験体を、レビー小体疾患と診断するために使用される。
【0013】
いくつかの方法が、レビー小体疾患を有する被験体に対して複数回実施され、PS129アルファ-シヌクレインの量が時間とともに減少し、これはレビー小体疾患の重症度の低下を示す。任意選択的に、本方法が、レビー小体疾患を有する被験体に対して複数回実施され、PS129アルファ-シヌクレインの量が時間とともに増加し、これはレビー小体疾患の重症度の増加を示す。任意選択的に、被験体は、レビー小体疾患の免疫療法を受けているところである。
【0014】
任意選択的に、本方法は被験体の集団に対して実施され、PS129-アルファシヌクレインが存在しない被験体よりも、大きい割合で、PS129アルファ-シヌクレインが存在する被験体が、その後、レビー小体疾患の治療を受ける。任意選択的に、本方法は被験体の集団に対して実施され、PS129アルファ-シヌクレインのレベルが閾値未満である被験体よりも、大きい割合で、PS129アルファ-シヌクレインのレベルが閾値以上である被験体が、レビー小体疾患の治療を受ける。
【0015】
本発明は、23E8(ATCC受託番号PTA-122711)のKabat CDRを含むモノクローナル抗体をさらに提供する。任意選択的に、モノクローナル抗体は、キメラ、ベニア化又はヒト化である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、ウェル中に異なる量の捕捉抗体を含むときの、捕捉抗体としての11A5及びレポーター抗体としての23E8の検出感度を示す。
【0017】
図2A-Cは、Singulex標準希釈剤を使用するアッセイにおける、シグナルとPS129アルファ-シヌクレイン濃度の関係を示す検量線の決定を示す。
【
図2A】
図2Aは、12点PS129アルファ-シヌクレイン標準曲線である。
【
図2B】
図2Bは、実際の値(平均検出事象)をプロットする下端部分である。
【0018】
図3A-Cは、0.1%のトリトンX-405を含むSingulex標準希釈剤を使用するアッセイにおける、シグナルとPS129アルファ-シヌクレイン濃度の関係を示す検量線の決定を示す。
【
図3A】
図3Aは、12点PS129アルファ-シヌクレイン標準曲線である。
【
図3B】
図3Bは、実際の値(平均検出事象)をプロットする下端部分である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<定義>
抗体が標的に「特異的に結合する」というフレーズは、他の生物製剤の異種集団の存在下で抗体の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定されたイムノアッセイ条件下で、特定の分子は特定の標的に優先的に結合し、サンプル中に存在する他の生物製剤には、顕著な量では結合しない。そのような条件下での標的への抗体の特異的結合には、抗体が標的に対するその特異性について選択されることが必要とされる。2つの実体間の特異的結合とは、少なくとも106、107、108、109又は1010M-1の親和性を意味する。108M-1より大きい親和性が好ましい。特異的結合が欠如していることは、無関係の対照抗体と区別できない標的への結合及び/又は106M-1未満の親和性を意味する。
【0020】
用語「抗体」は、インタクトな抗体及びその結合フラグメントを含む。典型的には、フラグメントは、別個の重鎖、軽鎖の、Fab、Fab'、F(ab')2、Fabc、及びFvを含む抗原フラグメントへの特異的結合について、それらが由来したインタクトな抗体と競合する。フラグメントは、組換えDNA技術によって、又はインタクトな免疫グロブリンの酵素的又は化学的分離によって生成される。用語「抗体」はまた、他のタンパク質を含む融合タンパク質に化学的にコンジュゲートされている、又は他のタンパク質を含む融合タンパク質として発現されている、1又は複数の免疫グロブリン鎖を含む。用語「抗体」はまた、二重特異性抗体を含む。二重特異性又は二機能性抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖対及び2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合又はFab'フラグメントの連結を含む様々な方法によって生成することができる。例えば、Songsivilai & Lachmann, Clin. Exp. Immunol. 79:315-321 (1990);Kostelny et al., J. Immunol. 148, 1547-1553 (1992)を参照されたい。
【0021】
本発明の抗体は、典型的には、望ましくない夾雑物から実質的に純粋である。このことは、薬剤が、典型的には、少なくとも約50%w/w(質量/質量)純度であり、且つ干渉タンパク質及び夾雑物を実質的に含まないことを意味する。時折、抗体は、少なくとも約80%w/w及び、より好ましくは少なくとも90又は約95%w/w純度である。しかしながら、従来のタンパク質精製技術を使用して、少なくとも99%w/wの均一な抗体を得ることができる。
【0022】
用語「エピトープ」又は「抗原決定基」は、抗原上の部位であって、B及び/又はT細胞がそれに対して応答する部位を指す。B細胞エピトープは、連続アミノ酸又はタンパク質の3次折り畳みによって並置された非連続アミノ酸の両方から形成されることができる。連続アミノ酸又は翻訳後に修飾されたアミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒に暴露しても保持されるが、3次折り畳みによって形成されるエピトープは、典型的には、変性溶媒で処理すると失われる。エピトープは、典型的には、少なくとも3、しかし一般的に言えば5-10のアミノ酸を、独特の空間的コンフォメーションで含む。エピトープの空間的コンフォメーションを決定する方法は、例えば、X線結晶学及び2次元核磁気共鳴を含む。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, Glenn E. Morris, Ed. (1996)を参照されたい。標的抗原への別の抗体の結合をブロックする1つの抗体の能力を示す、単純なイムノアッセイで、同じエピトープを認識する抗体を同定することができる。
【0023】
用語「体液」は、測定可能な量のアルファ-シヌクレイン又はそのフラグメントを含むと疑われる哺乳動物宿主の流体を指し、具体的には、血液、脳脊髄液(CSF)、尿、及び腹腔液を含む。用語「血液」は、全血、並びに血漿及び血清を指す。
【0024】
シクヌレイノパチー疾患は、レビー小体、レビーニューライト又はアルファ-シヌクレインの他の堆積物によって特徴付けられる疾患を意味する。
【0025】
定性的アッセイは、分析物の存在又は非存在を検出する。定量的アッセイは、分析物の存在又は非存在を検出するだけでなく、存在する場合、分析物の絶対量又は相対量を提供する。
【0026】
アルファ-シヌクレインに対する免疫療法とは、免疫原性アルファ-シヌクレインペプチドを投与してアルファ-シヌクレインに対する抗体を誘導する、又はアルファ-シヌクレインに対する抗体を投与するなどによって、アルファ-シヌクレインに対する能動又は受動免疫応答を誘導することを意味する。
【0027】
1又は複数の列挙された要素を「含む(comprising)」組成物又は方法は、具体的に列挙されていない他の要素を含み得る。例えば、アルファ-シヌクレインペプチドを含む組成物は、単離されたアルファ-シヌクレインペプチドと、より大きいポリペプチド配列の成分としてのアルファ-シヌクレインペプチドの両方を包含する。
【0028】
<詳細な説明>
本発明は、サンプル中のPS129アルファ-シヌクレインを検出するための方法を提供する。PS129アルファ-シヌクレインが、典型的には、このようなサンプル中の全アルファ-シヌクレインのほんのわずかな部分しか構成しないため、ピコモル未満の高い検出感度が有利である。
【0029】
I. 検出に使用される抗体
本発明は、捕捉抗体及びレポーター抗体を使用してアルファ-シヌクレインを検出する方法を提供する。捕捉抗体は、非リン酸化完全長アルファ-シヌクレインよりも、残基129でリン酸化された完全長アルファ-シヌクレイン(PS129アルファ-シヌクレイン)に優先的に結合する。優先的結合とは、PS129アルファ-シヌクレインについての結合定数が、非リン酸化アルファ-シヌクレインについての結合定数よりも少なくとも5倍高いことを意味する。任意選択的に、PS129アルファ-シヌクレインについての結合定数は、非リン酸化アルファ-シヌクレインについての結合定数よりも少なくとも10倍高い。任意選択的に、抗体は、非リン酸化アルファ-シヌクレインへの特異的結合を欠く。11A5抗体は、適切な捕捉抗体の一例である。
【0030】
レポーター抗体は、アルファ-シヌクレインの残基40-55内のエピトープに結合する。23E8抗体は、このような抗体の一例である。実施例において、様々な他の抗体を対照として使用している。
【0031】
ATCC受託番号PTA-8222を有する、抗体11A5を生成する、JH22.11A5.6.29.70.54.16.14に指定された細胞株は、2007年2月26日にATCCに寄託されている。ATCC受託番号PTA-122711を有する、抗体23E8を生成する、JH19.23E8.2.32.22に指定された細胞株は、2015年12月9日にATCCに寄託されている。本発明は、ヒト化された及びキメラ形態のマウスモノクローナル、特に上述のものを、さらに提供する。
【0032】
アルファ-シヌクレイン40-55などの特定の残基内のエピトープに、抗体が結合すると言われる場合、意味されるのは、例えば、特定の残基(すなわち、この例においてはアルファ-シヌクレイン40-55)から成るポリペプチドに抗体が特異的に結合することである。このような抗体は、アルファ-シヌクレイン40-55内の全ての残基に必ずしも接触しない。また、アルファ-シヌクレイン40-55内の全ての単一のアミノ酸置換又は欠失も、結合親和性に必ずしも顕著に影響を及ぼさない。抗体のエピトープ特異性は、例えば、アルファ-シヌクレインの配列にわたり且つ少ない数のアミノ酸(例えば、3アミノ酸)の単位で異なる、約15アミノ酸の重複ペプチドのコレクションを試験することによって、決定することができる。ペプチドは、マイクロタイターディッシュのウェル内に固定化される。固定化は、ペプチドの1つの末端をビオチン化することによって行うことができる。任意選択的に、同じペプチドの異なるサンプルを、N末端及びC末端でビオチン化し、比較の目的のために別個のウェルに固定化することができる。これは、末端特異的抗体を同定するのに特に有用である。抗体は、様々なペプチドのそれぞれへの特異的結合についてスクリーニングされる。エピトープは、全てのペプチドに共通するアミノ酸のセグメントであって、抗体がそれに対して特異的結合を示すセグメント内に存在するものとして定義される。
【0033】
i. 免疫グロブリンの一般的特性
基本的な抗体構造単位は、サブユニットのテトラマーを含むことが知られている。各テトラマーは、同一の2対のポリペプチド鎖から構成され、各対は、1つの「軽」鎖(約25kDa)及び1つの「重」鎖(約50-70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識に主として関与している約100~110又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に主として関与している定常領域を規定する。
【0034】
軽鎖は、カッパ又はラムダのいずれかに分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はイプシロンとして分類され、それぞれIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEとして、抗体のアイソタイプを規定する。軽鎖及び重鎖内で、可変領域及び定常領域は、約12以上のアミノ酸の「J」領域によって接合されており、重鎖はまた、約10以上のアミノ酸の「D」領域を含む。(Fundamental Immunology, Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y., 1989, Ch. 7(参照によりその全体が全ての目的のために組み込まれる)を一般的に参照されたい。)
【0035】
各軽鎖/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。したがって、インタクトな抗体は2つの結合部位を有する。二機能性又は二重特異性抗体を除き、この2つの結合部位は同じである。鎖は全て、3つの超可変領域(相補性決定領域又はCDRとも呼ばれる)によって接合された、比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般的構造を示す。各対の2つの鎖由来のCDRは、フレームワーク領域によって整列され、特異的なエピトープへの結合を可能にする。N末端からC末端まで、軽鎖及び重鎖の両方は、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割当は、Kabat, Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987 and 1991);Chothia & Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987);又はChothia et al., Nature 342:878-883 (1989)の定義に従う。
【0036】
ii. 非ヒト抗体の生成
マウス又は他の非ヒト抗体は、従来のハイブリドーマ技術によって生成することができる。所望の結合特異性は、免疫原及び/又はスクリーニングアプローチの選択によって付与することができる。残基40と55との間のエピトープ特異性を備える抗体を作り出すために、これらの残基(すなわち、40-55)から成るアルファ-シヌクレインのフラグメント又はこれらの残基を完全長アルファ-シヌクレインまで含むより長いフラグメントを、免疫原として使用することができる。抗体は、上述のように重複ペプチドに結合することによって、スクリーニングすることができる。PS129アルファ-シヌクレインに優先的に結合する抗体を生成するために、完全長PS129アルファシヌクレイン又は残基129及びエピトープを構成するために十分な両側の残基(例えば、残基129を含む3-15の連続残基)を含むそのフラグメントを、免疫原として使用することができる。抗体は、非リン酸化アルファ-シヌクレインに対しての、PS129アルファ-シヌクレインへの優先的結合についてスクリーニングされる。
【0037】
キメラ及びヒト化抗体は、キメラ又はヒト化抗体の構築のための出発物を提供するマウス又は他の非ヒト抗体と同じ又は類似の結合特異性及び親和性を有する。キメラ抗体は、その軽鎖及び重鎖遺伝子が、典型的には遺伝子工学によって、異なる種に属する免疫グロブリン遺伝子セグメントから構築されている抗体である。例えば、マウス抗体の可変ドメインをコードするDNAを配列決定し、ヒト定常(C)セグメントに接合された可変ドメインをコードするDNA構築物、例えばIgG1及びIgG4、を構築することができる。次いでこの構築物を発現させて、抗体を生成する。ヒトアイソタイプIgG1が好ましい。いくつかの方法において、抗体のアイソタイプはヒトIgG1である。IgM抗体もまた、いくつかの方法において使用することができる。したがって、典型的なキメラ抗体は、マウス抗体由来のV又は抗原結合ドメイン及びヒト抗体由来のC又はエフェクタードメインから成るハイブリッドタンパク質である。
【0038】
ヒト化抗体は、ヒト抗体又はヒト抗体のコンセンサス(アクセプター抗体と呼ばれる)に実質的に由来する、可変領域フレームワーク残基、及びマウス抗体(ドナー免疫グロブリンと呼ばれる)に実質的に又は完全に由来する、いくつかの、通常は6つ全ての相補性決定領域を有する。Queen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:10029-10033 (1989)、WO90/07861、米国特許第5,693,762号、米国特許第5,693,761号、米国特許第5,585,089号、米国特許第5,530,101号、及びWinterの米国特許第5,225,539号(これらのそれぞれは、参照によりその全体が全ての目的のために組み込まれる)を参照されたい。定常領域はまた、存在する場合、ヒト免疫グロブリンに実質的に又は完全に由来する。ヒト可変ドメインは、ヒト抗体であって、そのフレームワーク配列が、CDRが由来したマウス可変領域ドメインと高度の配列同一性を示すヒト抗体から、通常選択される。重鎖及び軽鎖可変領域フレームワーク残基は、同じ又は異なるヒト抗体配列に由来することができる。ヒト抗体配列は、天然に存在するヒト抗体の配列であることができ、又はいくつかのヒト抗体のコンセンサス配列であることができる。CarterらのWO92/22653を参照されたい。ヒト可変領域フレームワーク残基に由来するある特定のアミノ酸は、CDRコンフォメーション及び/又は抗原への結合に対するそれらの影響の可能性に基いて、置換のために選択される。このような影響の可能性の調査は、モデリング、特定の位置のアミノ酸の特性の検討、又は特定のアミノ酸の置換又は変異誘発の効果の経験的見解によるものである。
【0039】
例えば、マウス可変領域フレームワーク残基と選択されたヒト可変領域フレームワーク残基との間でアミノ酸が異なる場合、(1)アミノ酸が抗原に直接的に非共有結合する、(2)アミノ酸がCDR領域に隣接する、(3)アミノ酸が他のやり方でCDR領域と相互作用する(例えば、CDR領域の約6A以内にある)、又は(4)アミノ酸がVL-VHインターフェイスに参加することが、合理的に予想される場合に、ヒトフレームワークアミノ酸は、通常、マウス抗体由来の等価なフレームワークアミノ酸によって置換されるべきである。
【0040】
置換のための他の候補は、アクセプターヒトフレームワークアミノ酸であり、これは、その位置のヒト免疫グロブリンにとっては珍しい。これらのアミノ酸は、マウスドナー抗体の等価な位置に由来する、又はより典型的なヒト免疫グロブリンの等価な位置に由来するアミノ酸で、置換することができる。置換のための他の候補は、アクセプターヒトフレームワークアミノ酸であり、これは、その位置のヒト免疫グロブリンにとっては珍しい。ヒト化免疫グロブリンの可変領域フレームワークは通常、ヒト可変領域フレームワーク配列又はそのような配列のコンセンサスと、少なくとも85%の配列同一性を示す。
【0041】
iii. ヒト抗体
アルファ-シヌクレインに対するヒト抗体は、以下に説明される様々な技術によって提供される。ヒト抗体はまた、アルファ-シヌクレインのフラグメントのみを免疫原として使用することによって、及び/又はアルファ-シヌクレインの欠失変異体のコレクションに対する抗体をスクリーニングすることによって、特定のエピトープ特異性についてスクリーニングすることができる。ヒト抗体は好ましくは、アイソタイプ特異性ヒトIgG1を有する。トリオーマ法、Oestberg et al., Hybridoma 2:361-367 (1983);Oestbergの米国特許第4,634,664号;及びEnglemanらの米国特許第4,634,666号(これらのそれぞれは、参照によりその全体が全ての目的のために組み込まれる);例えば、Lonberg らのWO93/1222、米国特許第5,877,397号、米国特許第5,874,299号、米国特許第5,814,318号、米国特許第5,789,650号、米国特許第5,770,429号、米国特許第5,661,016号、米国特許第5,633,425号、米国特許第5,625,126号、米国特許第5,569,825号、米国特許第5,545,806号、Nature 148, 1547-1553 (1994)、Nature Biotechnology 14, 826 (1996)、KucherlapatiのWO91/10741(これらのそれぞれは、参照によりその全体が全ての目的のために組み込まれる)によって詳細に説明される、トランスジェニック非ヒト哺乳動物;及びファージディスプレイ法(例えば、DowerらのWO91/17271及びMcCaffertyらのWO92/01047、米国特許第5,877,218号、米国特許第5,871,907号、米国特許第5,858,657号、米国特許第5,837,242号、米国特許第5,733,743号及び米国特許第5,565,332号(これらのそれぞれは、参照によりその全体が全ての目的のために組み込まれる)を参照されたい)を含む、ヒト抗体を生成するためのいくつかの方法が利用可能である。
【0042】
iv. 定常領域の選択
キメラ、ヒト化、又はヒト抗体の重鎖及び軽鎖可変領域は、ヒト定常領域の少なくとも一部に連結することができる。定常領域の選択は、部分的に、抗体依存性補体及び/又は細胞介在性毒性が望ましいかどうかに依存する。例えば、アイソタイプIgG1及びIgG3は補体活性を有し、アイソタイプIgG2及びIgG4は有さない。アイソタイプの選択はまた、抗体の脳内への通過にも影響を及ぼす可能性がある。ヒトアイソタイプIgG1が好ましい。軽鎖定常領域はラムダ又はカッパである可能性がある。抗体は、2つの軽鎖及び2つの重鎖を含むテトラマーとして、別個の重鎖、軽鎖として、Fab、Fab'、F(ab')2、及びFvとして、又は重鎖及び軽鎖可変ドメインがスペーサを介して連結されている単一鎖抗体として、発現させることができる。
【0043】
v. 組換え抗体の発現
キメラ抗体、ヒト化抗体及びヒト抗体は典型的には、組換え発現によって生成される。組換えポリヌクレオチド構築物は典型的には、天然に関連する又は異種のプロモーター領域を含む、抗体鎖のコード配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む。好ましくは、発現制御配列は、真核宿主細胞を形質転換又は遺伝子導入することができるベクター中の真核プロモーターシステムである。ベクターが適切な宿主に組み込まれると、宿主は、ヌクレオチド配列の高レベル発現、及び交差反応する抗体の回収及び精製に適切な条件下で維持される。
【0044】
これらの発現ベクターは典型的には、エピソームとして、又は宿主染色体DNAの不可欠な部分として、宿主生物中で複製可能である。一般に、発現ベクターは、所望のDNA配列で形質転換された細胞の検出を可能にするために、選択マーカー、例えば、アンピシリン抵抗性又はハイグロマイシン抵抗性を含む。
【0045】
E. coliは、本発明のDNA配列のクローニングに特に有用な1つの原核宿主である。酵母などの微生物もまた発現に有用である。サッカロマイセスは好ましい酵母宿主であり、所望の発現制御配列、複製起点、終止配列などを有する適切なベクターを備える。典型的なプロモーターは、3-ホスホグリセレートキナーゼ及び他の解糖酵素を含む。誘導性酵母プロモーターは、とりわけ、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソチトクロームC、及びマルトースとガラクトースの利用に関与している酵素由来のプロモーターを含む。
【0046】
哺乳動物細胞は、免疫グロブリン又はそれらのフラグメントをコードするヌクレオチドセグメントを発現するための好ましい宿主である。Winnacker, From Genes to Clones, (VCH Publishers, NY, 1987)を参照されたい。インタクトな異種タンパク質を分泌することができる多数の適切な宿主細胞株が、本分野において開発されており、CHO細胞株、様々なCOS細胞株、HeLa細胞、L細胞、ヒト胎児由来腎臓細胞、及び骨髄腫細胞株を含む。好ましくは、細胞は非ヒトである。これらの細胞の発現ベクターは、複製起点、プロモーター、エンハンサーなどの発現制御配列(Queen et al., Immunol. Rev. 89:49 (1986))、及びリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、及び転写ターミネーター配列などの必要なプロセシング情報部位を含むことができる。好ましい発現制御配列は、内在性遺伝子、サイトメガロウイルス、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルスなどに由来するプロモーターである。Co et al., J. Immunol. 148:1149 (1992)を参照されたい。
【0047】
代替的に、抗体コード配列は、トランスジェニック動物のゲノムへの導入及びトランスジェニック動物のミルク中での後続の発現のための導入遺伝子に組み込むことができる(例えば、米国特許第5,741,957号、米国特許第5,304,489号、米国特許第5,849,992号参照)。適切な導入遺伝子は、カゼイン又はベータラクトグロブリンなどの乳腺特異的遺伝子由来のプロモーター及びエンハンサーに作動可能に連結した軽鎖及び/又は重鎖のコード配列を含む。
【0048】
関心の対象となるDNAセグメントを含むベクターは、細胞宿主のタイプに応じて、周知の方法によって宿主細胞に導入することができる。例えば、塩化カルシウム遺伝子導入は、原核細胞に一般に利用され、リン酸カルシウム処理、エレクトロポレーション、リポフェクション、微粒子銃又はウイルス系遺伝子導入は、他の細胞宿主に使用することができる。哺乳動物細胞を形質転換するために使用される他の方法は、ポリブレン、プロトプラスト融合、リポソーム、エレクトロポレーション、及びマイクロインジェクション(Sambrookらの上記を一般的に参照)の使用を含む。トランスジェニック動物の生成のために、導入遺伝子を、受精卵母細胞にマイクロインジェクションすることができ、又は胚性幹細胞のゲノムに組み込むことができ、そのような細胞の核は、除核卵母細胞に導入される。
【0049】
発現されると、抗体は、HPLC精製、カラムクロマトグラフィー、及びゲル電気泳動など(Scopes, Protein Purification (Springer-Verlag, NY, 1982)を一般的に参照)を含む、本技術分野の標準的な手順にしたがって精製することができる。
【0050】
II. アルファ-シヌクレイン
アルファ-シヌクレインはもともと、ADプラークの非ベータアミロイド成分(NAC)の前駆体タンパク質として、ヒト脳において同定された(Ueda et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90 (23):11282-11286 (1993))。アルファ-シヌクレインは、ADアミロイドの非Aβ成分の前駆体(NACP)とも呼ばれ、140アミノ酸のペプチドである。完全長アルファ-シヌクレインは、アミノ酸配列:
(配列番号:1)MDVFMKGLSKAKEGVVAAAEKTKQGVAEAAGKTKEGVLYVGSKTKEGVVH GVATVAEKTKEQVTNVGGAVVTGVTAVAQKTVEGAGSIAAATGFVKKDQL GKNEEGAPQEGILEDMPVDPDNEAYEMPSEEGYQDYEPEA(Ueda et al., Ibid.;GenBank受託番号:P37840)を有する。
【0051】
特に指示のない限り、アルファ-シヌクレインの参照は、上記の天然のヒトアミノ酸配列及びその天然の対立遺伝子の種変異型を意味し、分析されるサンプル中に見出される完全長形態及びそのフラグメント、並びにリン酸化などの翻訳後修飾を受けた形態を含む。アルファ-シヌクレインのフラグメント又は変異型は、整列された残基が同じ番号に割り当てられるように、例示された配列におけるように番号が付けられる。
【0052】
III. アルファシヌクレインを検出するためのアッセイ
アルファ-シヌクレインは、サンドイッチイムノアッセイによって検出することができる(米国特許第4,376,110号、第4,486,530号、第5,914,241号、及び第5,965,375号を参照されたい)。ここで、1つの抗体が固相に固定化され(捕捉抗体)、別の抗体が溶液中にある(レポーター抗体)。典型的には、レポーター抗体は、直接的に、又は抗イディオタイプ抗体などの二次標識化試薬を介して、標識される。捕捉抗体及びレポーター抗体は異なる結合特異性を有するため、両方がアルファ-シヌクレインに同時に結合することができる。捕捉抗体及びレポーター抗体は、順番に又は同時に、標的抗原と接触させることができる。捕捉抗体が最初に接触する場合、このアッセイは、フォワードアッセイであると呼ばれる。反対に、レポーター抗体が最初に接触する場合、このアッセイは、リバースアッセイであると呼ばれる。標的が両方の抗体に同時に接触する場合、このアッセイは、同時アッセイと呼ばれる。標的を抗体と接触させた後、サンプルを、ある期間(これは、約10分~約24時間の範囲で変わることが可能であるが、典型的には約1-2時間である)インキュベートする。洗浄ステップを実施して、固相に特異的に結合していないサンプルの成分を除去することができる。捕捉抗体及びレポーター抗体が別個のステップで結合される場合、いずれか又は両方の結合ステップの後に洗浄を実施することができる。洗浄後、レポーター抗体を検出する。レポーター抗体は、捕捉抗体、PS129アルファ-シヌクレインレポーター抗体のサンドイッチ複合体の一部である間に、又はこのようなサンドイッチ複合体からの溶出後に、検出することができる。レポーター抗体は、直接的に、又はレポーター抗体に結合する二次標識抗体を介して間接的に、標識することができる。通常、捕捉抗体及びレポーター抗体の所与の対について、既知の濃度の標的抗原を含有するサンプルから検量線を作成する。次いで、試験されているサンプル中の抗原の濃度を、検量線から補間によって読み取る。平衡時の標識されたレポーター抗体結合の量から、又は平衡に達する前の一連の時点で結合した標識された溶液抗体からの反応速度測定によって、分析物を測定することができる。このような曲線の傾きは、サンプル中の標的の濃度の尺度である。代替的に、サンプル中のアルファ-シヌクレインへの結合からのレポーター抗体のシグナルを、対照サンプル中の既知の量のアルファ-シヌクレインへの結合からのレポーター抗体のシグナルと比較することによって、サンプル中のアルファ-シヌクレインの量を決定することができる。
【0053】
上記の方法において使用するのに適切な検出可能な標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的、化学的、又は他の手段によって検出可能な任意の部分を含む。例えば、適切な標識は、標識されたストレプトアビジンコンジュゲートで染色するためのビオチン、蛍光色素(例えば、フルオレセイン、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質など)、放射標識(例えば、3H、125I、35S、14C、又は32P)、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ及びELISAにおいて一般に使用される他のもの)、及びコロイド金又は着色ガラス又はプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスビーズ)などの比色標識を含む。このような標識の使用を説明した特許は、米国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;第3,996,345号;第4,277,437号;第4,275,149号;及び第4,366,241号を含む。Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(6th Ed., Molecular Probes, Inc., Eugene, Oregon.)も参照されたい。放射標識は、写真フィルム又はシンチレーションカウンターを使用して検出することができ、蛍光マーカーは、放出光を検出する光検出器を使用して検出することができる。酵素標識は典型的には、酵素に基質を提供し、酵素の基質に対する作用によって生成される反応生成物を検出することによって検出され、比色標識は、着色標識を単純に視覚化することによって検出される。
【0054】
上記の方法において使用するための適切な支持物は、例えば、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、及び誘導体化されたナイロン膜を含み、また、粒子、例えばアガロースなど、デキストラン系ゲル、ディップスティック、微粒子、ミクロスフィア、磁性粒子、試験チューブ、マイクロタイターウェル、セファデックス(商標)(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway NJ)などを含む。固定化は、吸収によって、又は共有結合によって行うことができる。任意選択的に、抗体は、表面に結合するために、ビオチンなどのリンカー分子に接合することができる。
【0055】
アルファ-シヌクレインを組織サンプルから抽出するために使用される溶媒は、アッセイの感度を減少させる可能性がある(例えば、5Mグアニジン、尿素/チオ尿素/CHAPS、尿素/チオ尿素、1%SDS、1%SDS/8M、細胞溶解バッファー)。このような溶媒は、それらが、アッセイに使用されるバッファーの1%未満及び好ましくは0.1%未満を占めるように、除去又は希釈されることが推奨される。
【0056】
サンドイッチアッセイにおいて使用するのに好ましいモノクローナル抗体の対は、捕捉抗体としてのPS129アルファ-シヌクレインに特異的な抗体、及びレポーター抗体としてのアルファ-シヌクレインの残基40-55内のエピトープに結合する抗体である。このような抗体は、セリン129でリン酸化されたアルファ-シヌクレインを検出する。このような抗体はまた、PS129-アルファ-シヌクレイン特異的抗体のエピトープを完成する、残基40-55及び129並びに任意の追加の残基を含む、アルファ-シヌクレインのフラグメントを検出する。例えば、捕捉抗体が127-131のエピトープに結合する場合、アルファ-シヌクレインの少なくとも残基40~残基131を含むフラグメントが検出されるであろう。
【0057】
レポーターアッセイからのシグナルは通常、上述したように、サンプル中に存在する、完全長PS-129アルファ-シヌクレイン及びそのフラグメントに起因する。したがって、アッセイが、PS129アルファ-シヌクレインの存在又は量を検出すると言われる場合、PS129アルファ-シヌクレインは、完全長又はフラグメント又はそれらの両方であり得る。典型的には、シグナルは、完全長PS-129アルファ-シヌクレインとそのフラグメントとの間を分割しないが、それらのそれぞれの寄与は、サンドイッチ複合体から溶出し、例えば質量分析法又はゲル電気泳動又は他の抗体でのマッピングによるさらなる分析に供することによって、分割することができる。
【0058】
本方法の好ましい実施形態は、任意選択的にビオチンなどのリンカーを介して、磁性粒子に固定化された、捕捉抗体、好ましくは11A5を有する。サンプルは最初に捕捉抗体と接触する。この捕捉抗体は、サンプル中のPS129アルファ-シヌクレインに結合する(存在する場合)。(PS129アルファ-シヌクレインが存在する場合)形成された複合体は、次いで、磁場を印加することによって、結合していないタンパク質及び他の夾雑物を含むサンプルの残りから分離することができる。分離及び任意選択的に洗浄の後、ビーズに連結された捕捉抗体-PS129アルファ-シヌクレイン複合体を、新鮮な溶液に再懸濁する。次いで、レポーター抗体、好ましくは23E8を供給する。レポーター抗体は好ましくは、蛍光標識を有する。レポーター抗体は、捕捉抗体-PS129アルファ-シヌクレインの複合体に結合し(サンプル中にPS129アルファ-シヌクレインが存在する場合)、捕捉抗体PS129アルファ-シヌクレイン及びレポーター抗体のサンドイッチを完成する。サンドイッチ複合体は次いで、磁場を再び印加することによって、懸濁液から取り出される。複合体は、任意選択的に洗浄して、任意の結合していない標識されたレポーターを除去することができる。レポーター抗体は、サンドイッチ複合体から溶出されて検出される。好ましくは、検出は、毛細管流路において蛍光分子がレーザービームを横切り、個々の蛍光シグナルが記録されるもの(J Clin Invest. 2015; 125(5):1979-1986. doi:10.1172/JCI80743)などの、単一分子計数技術によって行われる。この技術の好ましいフォーマットは、Erenna(登録商標)イムノアッセイシステム(EMD Millipore, Billerica, MA)である。
【0059】
いくつかの方法において、標準PS129アルファ-シヌクレイン及びサンプルを、リン酸緩衝食塩水及び0.1% ウシ血清アルブミン(BSA)を含むSingulex標準希釈剤で希釈する。いくつかの方法において、標準PS129アルファ-シヌクレイン及びサンプルを、リン酸緩衝食塩水、0.1% ウシ血清アルブミン(BSA)、及び0.1% トリトンX-405を含む改変されたSingulex標準希釈剤で希釈する。いくつかの方法において、SMCブロッカーカクテル、0.3% トリトンX-100、及び150mM NaClを含むSingulexアッセイバッファーを、抗体及び磁性粒子の希釈のために使用する。例示的なバッファーは、米国特許第7,572,640号に開示されている。
【0060】
いくつかの方法はまた、全アルファ-シヌクレイン又は非リン酸化アルファ-シヌクレインを決定して、リン酸化アルファ-シヌクレインと、全アルファ-シヌクレイン又は非リン酸化アルファ-シヌクレインとの比率を計算する。全アルファ-シヌクレインは、リン酸化状態に関係なく、アルファ-シヌクレインを指す。PS129アルファ-シヌクレインは通常、全アルファ-シヌクレインレベルの10質量%又はモル%未満に寄与するため、全アルファ-シヌクレインと非リン酸化アルファ-シヌクレインとは、通常著しく異なるものではない。全アルファ-シヌクレインは、US7,674,599によって開示される方法を含む任意の方法によって検出することができる。任意選択的に、検出は、PS129アルファ-シヌクレインを検出するために使用される抗体と同じ又は類似のエピトープ特異性を有する抗体の対を用いて実施される。同じ特異性のレポーター抗体を使用することができる(すなわち、アルファ-シヌクレインの残基40-55内のエピトープへの結合)。捕捉抗体はまた、PS129アルファ-シヌクレインを検出するために使用される捕捉抗体と同じ又は類似のエピトープ(例えば、残基129にわたる、隣接する、又は近接する直鎖エピトープ)に結合することができるが、非リン酸化アルファ-シヌクレインよりも優先的にPS129アルファ-シヌクレインに結合しないだろう。抗体は、PS129アルファ-シヌクレインよりも優先的に非リン酸化アルファ-シヌクレインに結合してもしなくてもよい。抗体のこのような組み合わせは、完全長非リン酸化アルファ-シヌクレイン、並びにレポーター抗体結合部位及び捕捉抗体結合部位の両方を含むその任意のフラグメントを検出する。捕捉抗体が、PS129アルファ-シヌクレイン及び非リン酸化アルファ-シヌクレインの両方に結合する場合、抗体のこのような組み合わせはまた、完全長リン酸化アルファ-シヌクレイン、並びにレポーター抗体結合部位及び捕捉抗体結合部位の両方を含むその任意のフラグメントを検出する。
【0061】
いくつかの方法において、シヌクレインモノマーとの交差反応性は観察されない。いくつかの方法において、シヌクレインモノマーとの交差反応性は、500pg/mLまでで観察されない。
【0062】
IV. 適用
A. 体液
患者サンプル中のPS129アルファ-シヌクレインのインビボ検出は、レビー小体又はアルファ-シヌクレインの他の堆積物によって特徴付けられる疾患の診断及びモニタリングのために使用することができる。シクヌレイノパチー疾患は、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)、アルツハイマー病のレビー小体変異型(LBVAD)、多系統萎縮症(MSA)、脳鉄沈着を伴う神経変性症1型(NBIA-1)、びまん性レビー小体病(DLBD)、及びPDとアルツハイマー病(AD)を組み合わせたものを含む。適切な患者サンプルは、体液、例えば、血液、CSF、尿、及び腹腔液などを含む。シクヌレイノパチー疾患の存在は一般に、正常個体、すなわち、シクヌレイノパチー疾患を患っていない個体における平均値と比較して、(典型的には増加した)流体中の有意に変化したレベルのPS129アルファ-シヌクレインに関連する。レベルは、それが正常個体の集団における平均レベルから、少なくとも1標準偏差、及び好ましくは少なくとも2標準偏差だけ逸脱する場合、有意に変化している。いくつかの方法において、全アルファ-シヌクレイン又は非リン酸化アルファ-シヌクレインのレベルもまた決定され、任意選択的に、リン酸化アルファ-シヌクレインのレベルと、全アルファ-シヌクレイン又は非リン酸化アルファ-シヌクレインのレベルとの間で、比率が計算される。このような比率は一般に、PS129アルファ-シヌクレインと同じ方向に変化する(すなわち、比率の増加は疾患の存在又はそれ以上の重症度を示す)。
【0063】
いくつかの方法において、血液由来のシヌクレインではなく神経シヌクレインの測定を保証するために、赤血球汚染の尺度として、CSFサンプル中のヘモグロビンレベルを決定する(Kang, J.H., et al., JAMA Neurol. 2013; 70 1277-1287、Hong, Z. et al., Brain 2010, 133:713-726;Barbour, R., et al..Neurodegener Dis, 2008. 5:55-59)。いくつかの方法において、CSFサンプル中のヘモグロビンレベルは、ヒトヘモグロビンELISAアッセイ、例えば、ヒトヘモグロビンELISA定量キット(Bethyl Lab Inc., Montgomery, TX)で決定される。いくつかの方法において、CSFサンプル中のヘモグロビンレベルは500ng/mL未満である。いくつかの方法において、CSFサンプル中のヘモグロビンレベルは200ng/mL~500ng/mLである。いくつかの方法において、CSFサンプル中のヘモグロビンレベルは200ng/mL未満である。
【0064】
いくつかの方法において、CSFサンプルは、リン酸緩衝食塩水、0.1% ウシ血清アルブミン(BSA)、及び0.1% トリトンX-405を含む改変されたSingulex標準希釈剤で、1:4に希釈される。
【0065】
任意選択的に疾患の他の徴候又は症候と組み合わせた、シクヌレイノパチー疾患の初期診断に加えて、PS129アルファ-シヌクレイン又は上で論じた比率は、治療前及び治療中などの複数の時点でPS129アルファ-シヌクレインを測定することによって、モニタリングして疾患の進行を追跡し、これによりアルファ-シヌクレインに対する免疫療法などの治療の有効性を追跡することができる。正常個体の集団における平均値に向かって戻るPS129アルファ-シヌクレインのレベルは、治療法が有効であることを示すものであり、PS129アルファ-シヌクレインのレベルの増加は、治療が有効でないことを示すものである。
【0066】
PS129アルファ-シヌクレインの存在又はレベル又は上で論じた関連する比率はまた、将来の治療を決定する要因として使用することができる。PS129アルファ-シヌクレインが存在するか又は閾値を満たす若しくは超えるレベルにある被験体は、(例えば、免疫療法による)レビー小体疾患の治療又は予防に適切であると示される一方で、PS129アルファ-シヌクレインが存在しないか又は閾値未満である被験体は、適切でないと示される。PS129アルファ-シヌクレインの存在又はレベルは、治療決定に影響を及ぼす、レビー小体疾患のいくつかの徴候又は症候のうちの1つにすぎないかもしれないが、PS129アルファ-シヌクレインが存在するか又は閾値以上である被験体は、PS129アルファ-シヌクレインが存在しないか又は閾値未満である被験体よりも、レビー小体疾患のための治療を受ける可能性が統計的に高い。
【0067】
B. 細胞培養
PS129アルファ-シヌクレインのプロセシング、リン酸化及び分泌、並びにそれに対する潜在的薬剤の効果を分析するために、適切な細胞培養からの条件培地におけるPS129アルファ-シヌクレインのインビトロモニタリングを使用することができる。アルファ-シヌクレインのリン酸化のモニタリングは、それに関与しているホスホリラーゼを同定するための手段を提供する。PS129アルファ-シヌクレインのプロセシング及び/又は分泌を阻害する薬剤は、シクヌレイノパチー疾患の予防に潜在的に有用な薬理的活性を有する。典型的には、阻害活性は、試験薬剤で処理された細胞からの培地中のPS129アルファ-シヌクレインのレベルを、薬剤で処理していない同等の対照細胞と比較することによって決定する。
【0068】
適切な細胞は、アルファ-シヌクレイン、好ましくは、ヒトアルファ-シヌクレインをコードする核酸を遺伝子導入した細胞、及びアルファ-シヌクレイン、また好ましくはヒトアルファ-シヌクレインを天然に発現する細胞を含む。遺伝子導入された細胞中のアルファ-シヌクレインは、S129A、S129D、A53T及びA20Pなどの突然変異を有する可能性がある。細胞は、PeakS細胞、SY5Y細胞、ヒト皮質細胞、ヒト神経膠腫細胞株、ヒトHeLa細胞、初代ヒト内皮細胞(例えばHUVEC細胞)、初代ヒト線維芽細胞又はリンパ芽球、初代ヒト混合脳細胞(ニューロン、星状細胞、及び神経膠細胞を含む)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などを含む。SY5Y細胞は、レチノイン酸/BDNF(脳由来神経栄養因子)での処理によって分化誘導することのできる神経細胞である。正常ヒト細胞よりも高いレベルでPS129アルファ-シヌクレインを発現する遺伝子導入された細胞が好ましい。
【0069】
ペプチド又は他の化合物のランダムライブラリーもまた、適合性についてスクリーニングすることができる。コンビナトリアルライブラリーは、段階的に合成することのできる多くのタイプの化合物について作製することができる。このような化合物は、ポリペプチド、ベータターン模倣物、多糖、リン脂質、ホルモン、プロスタグランジン、ステロイド、芳香族化合物、複素環式化合物、ベンゾジアゼピン、オリゴマーのN-置換グリシン及びオリゴカルバメートを含む。化合物の大きいコンビナトリアルライブラリーは、AffymaxのWO95/12608、AffymaxのWO93/06121、コロンビア大学のWO94/08051、PharmacopeiaのWO95/35503及びScrippsのWO95/30642(これらのそれぞれは、参照により全ての目的のために本明細書に組み込まれる)において説明されるコード化合成ライブラリー(ESL)法によって構築することができる。ペプチドライブラリーはまた、ファージディスプレイ法によっても作製することができる。例えば、DevlinのWO91/18980を参照されたい。試験化合物は典型的には、約1nM~1mM、通常約10μM~1mMの範囲の濃度で培地に投与される。アルファ-シヌクレインの形成、プロセシング又は分泌を阻害することのできる試験化合物は、トランスジェニック動物及び最終的にはヒト臨床治験におけるさらなる決定のための候補である。
【0070】
C. トランスジェニック動物
本発明の抗体及びそれらを検出するためのアッセイは、疾患のトランスジェニック動物モデルにおいて、PS129アルファ-シヌクレインの生成、リン酸化及びプロセシングをモニタリングするために使用することもできる。レビー小体疾患のトランスジェニック動物モデルは、Masliah, et al. Science 287:1265-1269 (2000);Masliah et al., PNAS USA 98:12245-12250 (2001)によって説明されている。アルファシヌクレインは、ヒトサンプルについて上述したような体液において、又は動物から直接採取した組織サンプルにおいて、分析することができる(参照により組み込まれる同時係属中の60/423,012号(2002年11月1日出願)を参照されたい)。組織サンプルは、レビー小体、微粒子画分及び可溶性画分として分類することができる。PS129アルファ-シヌクレインの形成を阻害する能力について薬剤をスクリーニングするために、単純なアッセイを細胞培養に関して実施することができる。典型的には、特に、薬剤で処理されたトランスジェニック動物の組織サンプル由来の体液又は画分中のPS129アルファ-シヌクレインのレベルを、薬剤で処理されていない対照トランスジェニック動物の同じ体液又は画分中のPS129アルファ-シヌクレインのレベルと比較することによって、阻害活性が決定される。阻害活性は、対照と比較した、処理された動物における、そのPS129アルファ-シヌクレインのレベルの減少によって示される。
【0071】
ヒト患者の脳由来の組織サンプルを同様の分析に供することができる。しかしながら、患者の脳からサンプルを得ることは望ましくない侵襲的な手順であるため、このような分析は通常、死体に限定される。
【0072】
V. キット
本発明は、本発明の1又は複数の捕捉抗体及びレポーター抗体の対を含むキットをさらに提供する。いくつかのキットにおいて、捕捉抗体は、マイクロタイターディッシュなどの固相に予め固定化される。任意選択的に、抗イディオタイプ抗体などの標識化試薬もキットに含まれる。標識化はまた、測定された標識のレベルをアルファ-シヌクレインに対する抗体のレベルに相関させる、チャート又は他の対応規則を含み得る。用語ラベリング(labeling)は、キットの製造、輸送、販売又は使用中にいつでもキットに添付されている、又は他の方法でキットに付随する、任意の書面にされた又は記録された資料を指す。例えば、用語ラベリングは、広告チラシ及びパンフレット、包装材料、説明書、オーディオカセット又はビデオカセット、コンピュータディスク、及びキットに直接刻印された書面を包含する。キットは、例えば、研究試薬又は診断試薬として販売することができる。
【0073】
本発明は、理解を明確にする目的で詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲の範囲内で、ある特定の変更を実施することができることは明らかであろう。本出願で引用されている全ての刊行物及び特許文献は、それぞれが個々に示されていたかのように、全ての目的のためにそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。文脈から明らかではない限り、任意の実施形態、態様、特徴又はステップを任意の他のものと組み合わせて使用することができる。引用又は受託番号などに関連する内容が時間とともに変化すべき場合、本出願の有効な出願日に存在するバージョンが意図され、有効な出願日とは、実際の出願日又は引用又は受託番号を開示している優先権出願の先の出願日である。
【実施例】
【0074】
実施例では以下の抗体を使用する。
11A5(JH22-11A5)エピトープAYEMP(ホスホ)SEEGYQ(Syn124-134)
4B12(panアルファ-syn)市販エピトープNEEGAP(Syn103-108)
MJFR1(panアルファ-syn)市販エピトープVDPDNE(Syn118-123)
23E8(JH19-23E8)エピトープVGSKTKEGVVHGVATV-GGC(Syn40-55)
【0075】
例1:組換えPS129アルファ-シヌクレイン標準の調製
【0076】
組換えPS129アルファ-シヌクレインは、以下の方法を使用して調製した。
【0077】
PLK2でのリン酸化(Salvi, M., Trashi, E., Cozza, G., Negro, A., Hanson, P.I., Pinna, L.A. (2012). Biotechniques. Doi: 10.2144/000113866出典の条件)
【0078】
材料:
1)PLK2(Carna Biosciences, Cat#05-158)
2)沸騰/アニオン交換法又は加熱なしで調製されるNiNTA/アニオン交換法を使用して調製された、組換え精製アルファ-シヌクレインE. coli発現タンパク質
3)10x PLK2反応バッファー(新鮮に調製された)
200mM トリス pH7.5
100mM MgCl2
10mM DTT
4)ATPストック(非常に限定された凍結解凍歴を有する)、10mM(New England BiolabsからのATP)
【0079】
反応:
1)アルファ-シヌクレインを調製する。(1.25mg アルファ-シヌクレイン、<3.5mg/mLの濃度に調製された。)最終反応体積は0.5mLであった。
2)濃縮されたアルファ-シヌクレインをddH2Oにバッファー交換する。
3)反応を組み立てる。標準の0.5ml反応のための最終反応混合物:
1x PLK2バッファー
25μM ATP
1.25mg アルファ-シヌクレイン
5μg PLK2(1:250 キナーゼ:基質比率)
ddH2Oを0.5mLまで
4)一晩30℃でインキュベートする。
5)任意選択:翌朝、サンプルを沸騰させてキナーゼを沈殿させる(クロマトグラフィーステップが続く場合は不要。PLK2はホスホ-シヌクレインから分割される。)。
【0080】
リン酸化シヌクレインのクロマトグラフ分離
リン酸化シヌクレインをキナーゼ反応混合物から分割するために、以下の条件を使用した:1mL Q HP HiTrapカラム(GE Lifesciences)で遅い塩勾配、AKTA Purifier使用。以下の条件を使用して、タンパク質性の非リン酸化ピーク及びリン酸化ピーク、及びPLK2、並びに非タンパク質性のATP及びADPを分割した。
バッファーA:20mM トリス pH7.5
バッファーB:1M NaClを含む20mM トリス pH7.5
サンプル:ローディングバッファーで2:1に希釈された(すなわち、サンプルに2倍のサンプル体積が添加された)
流量:1ml/min
3CV バッファーAで洗浄
20% Bにステップし、3CVで洗浄
勾配:35CVにわたり、20-55% B
最初の実行では、より低い、より遅い勾配を実行して、分割が成功していることを確認してよい。
導電率による溶出ピーク:
ADP:16mS/cm
ATP:18.3mS/cm
非リン酸化シヌクレイン:25.7mS/cm
ホスホ-シヌクレイン:28.4mS/cm
【0081】
ホスホ-シヌクレインピークを回収し、凍結前にPBS中で透析した。非リン酸化対照を実行して溶出ピークを確認した。この方法は、電荷によってリン酸化シヌクレインを非リン酸化シヌクレインから分割するが、リン酸化部位には依存しない。精製された材料の質量分析は、ほとんどのリン酸化がpS129にあり、少ない副次的なリン酸化がT33及びT81にあることを示した。
【0082】
例2 PS129アルファ-シヌクレインを検出するためのアッセイ
【0083】
例1でのように調製された組換えPS129アルファ-シヌクレインを、検出の標的として使用した。
【0084】
続いて、実現可能性プロトコルを行い、異なる抗体の組み合わせによって決定されるPS129アルファ-シヌクレインの範囲を決定した。簡単に言うと、このプロトコルは、抗体の6つの順列について6点10倍希釈標準曲線を含み、各対の可能性について試験し、後続の実験において使用されるべき分析物濃度を推定した。Singulex標準希釈剤(リン酸緩衝食塩水及び0.1% ウシ血清アルブミン(BSA)を含む)で希釈された、100μLの標準PS129アルファ-シヌクレインサンプルを、捕捉抗体でコーティングされた磁性粒子を含有する、100μLのSingulexアッセイバッファー(SMCブロッカーカクテル、0.3% トリトンX-100、及び150mM NaClを含む)と混合し、120分25℃でインキュベートした。ビオチンリンカーを介して11A5抗体を磁性粒子に結合させた。次いで、磁気分離を利用して、結合した分析物を洗浄し、洗浄手順の間、MPを単離された状態に維持して、ビーズの損失を確実に防止した。洗浄し、過剰のバッファーを除去した後、Singulexアッセイバッファー中の20μLの検出抗体を添加し、60分25℃でインキュベートした。結果として得られた複合体を、上述のように、磁気分離を使用して、4回洗浄した。Singulex溶出バッファー(溶出バッファーB、カタログ番号02-0297-00、EMD Millipore、Billerica、MA)を添加し、5-10分25℃でインキュベートした。溶出液を、Singulex中和バッファー(バッファーD、カタログ番号02-0368-00、EMD Millipore、Billerica、MA)を含有する384ウェルプレートに移した。次いで、384ウェルプレートを、単一分子計数(SMC(商標))技術を利用するErenna(登録商標)イムノアッセイシステムを使用して読み取った。
【0085】
表1及び2は、捕捉抗体及びレポーター抗体の様々な組み合わせの検出感度を示す。捕捉抗体としての11A5及びレポーター抗体としての23E8の組み合わせは、約0.1pg/mL(~7fM)の定量下限(LLOQ)を有し、いかなる他の組み合わせよりも、約10倍高い感度を示した。
【0086】
【0087】
【0088】
スクリーニングアッセイは、捕捉抗体としての11A5及びレポーター抗体としての23E8を使用する以下のプロトコルを示唆した。
o100μLの標準PS129アルファ-シヌクレイン+抗体11A5でコーティングされた100μLの磁性粒子(MP)を添加する
o120分25℃でインキュベートする
o磁気分離を使用して1回洗浄する
o20μLの検出抗体23E8を添加し、60分25℃でインキュベートする
o磁気分離を使用して4回洗浄する
o溶出バッファーを添加し、5-10分25℃でインキュベートする
o溶出液を、中和バッファーを含有する384ウェルプレートに移す
oErennaで384ウェルプレートを読み取る
【0089】
図1及び表3は、ウェル中に異なる量の捕捉抗体を含むときの、捕捉抗体としての11A5及びレポーター抗体としての23E8の検出感度を示す。捕捉抗体の1ウェルあたり、捕捉抗体でコーティングされたMPが5μgであることが好ましい。なぜなら、PS-129アルファ-シヌクレイン濃度に対するシグナルの、結果として得られた傾きが、高感度範囲において広範な直線部分を有するためである。
【0090】
【0091】
PS129:まとめと結論
【0092】
磁性粒子1mgあたり12.5μgのIgGでコーティングされた、1ウェルあたり5μgの磁性粒子の11A5、及び2,000ng/mLの23E8で、1mLあたり0.1pgのリン酸化アルファ-シヌクレインのLLOQが検出された。
図2A-Cに示されるように、抗体の好ましい組み合わせをそれらの好ましい量で使用して、シグナルとPS129アルファ-シヌクレイン濃度の関係を示す検量線を決定した。この標準曲線は、25pg/mL~0.02pg/mLの検出範囲を有する。
【0093】
図2Aの12点曲線を使用して、サンプルのPS129アルファ-シヌクレインレベルを補間する。これは連続希釈である(この場合、11点について2倍、アンカーがゼロ)。ハイライトされた部分は、アッセイの下端(low end)感度と決定されたものであり、定量下限(LLOQ)は、≦20%CV及び予想値の80-120%の回収率(及びバックグラウンドシグナル(例えば0点での値)の1.5倍を超えるシグナル)の最も低い点として定義され、ここでは、0.1pg/mLとして示される。下端曲線(2B)は、直線セグメントのDEシグナルのみに注目する高感度エリアの単なる拡張されたエリア(例えば<1000DE)であり、ここで、DEシグナルが濃度の決定に事実上100%寄与する。
図2Cは、最も低い濃度にわたって直線性を示す高感度エリアのグラフ表示(右上データのプロット)である。
【0094】
次いで、PS129アルファ-シヌクレインのレベルを、PS129アルファ-シヌクレインでスパイクした及びスパイクしていないCSFの神経学的対照サンプルにおいて測定した(表4)。
【0095】
【0096】
例3:CSF中のPS129アルファ-シヌクレインを検出するための最適化アッセイ
【0097】
CSFサンプル中のPS129アルファ-シヌクレインを検出するための最適化アッセイは、例2のアッセイの改変されたSingulex標準希釈剤(リン酸緩衝食塩水、0.1% ウシ血清アルブミン(BSA)、及び0.1% トリトンX-405を含む)を使用する。最適化アッセイにおけるCSFサンプルは、使用前に、改変されたSingulex標準希釈剤で1:4に希釈される。
【0098】
図3A-Cに示されるように、シグナルとPS129アルファ-シヌクレイン濃度の関係を示す検量線を決定した。標準曲線は、50pg/mL~0.05pg/mLの検出範囲を有する。
図3Aの12点曲線を使用して、サンプルのPS129アルファ-シヌクレインレベルを補間する。これは、改変されたSingulex標準希釈剤で希釈された参照PS129アルファ-シヌクレインの連続希釈である(この場合、11点について2倍、アンカーがゼロ)。ハイライトされた部分は、定量下限(LLOQ)と決定されたものであり、この定量下限(LLOQ)は、≦20%CV及び予想値の80-120%の回収率(及びバックグラウンドシグナル(例えば0点での値)の1.5倍を超えるシグナル)の最も低い点として定義される。下端曲線(3B)は、直線セグメントのDEシグナルのみに注目する高感度エリアの単なる拡張されたエリア(例えば<1000DE)であり、ここで、DEシグナルが濃度の決定に事実上100%寄与する。
図3Cは、最も低い濃度にわたって直線性を示す高感度エリアのグラフ表示(右上データのプロット)である。
【0099】
この最適化アッセイでは、1mLあたり0.05pgのPS129アルファ-シヌクレインの検出下限(LOD)、及び1mLあたり0.1pgのPS129アルファ-シヌクレインの定量下限(LLOQ)が検出された。
【0100】
正常CSFサンプルを最適化アッセイで試験した。改変されたSingulex標準希釈剤で希釈する前に、CSFサンプル中のヘモグロビン濃度を決定した。
【0101】
PS129アルファ-シヌクレインアッセイの前に、CSFサンプルを、改変されたSingulex標準希釈剤で少なくとも1:4に希釈した。CSFの1:4希釈を用いたこの最適化アッセイで、0.4pg/mLのPS129アルファ-シヌクレインのLLOQ(希釈されていないCSF中)が検出された。
【0102】
このアッセイは、いくつかのCSFサンプルを用いて実施され、アッセイ内変動性、アッセイ間変動性、スパイク及び回収率及び交差反応性、直線性及び平行性の業界標準に合格した。
【0103】
希釈されていないCSFサンプルをモノシヌクレインで500pg/mLまででスパイクすることにより、最適化アッセイにおけるPS129アルファ-シヌクレインの検出に干渉がないことが示された。(500pg/mLまでで)モノシヌクレインシグナルはLLOQ未満であった。Meso Scale Diagnosticsシヌクレインアッセイ(Meso Scale Diagnosticsヒトα-シヌクレインキット(Cat. # K151TGD-2、Meso Scale Diagnostics、Rockville、MD))を使用することにより、顕著な量のシヌクレインを含有することが知られている赤血球からの汚染がなかったという条件で(Barbour、2008)、シヌクレインレベルが10-500pg/mLの範囲にあることが見出された。それ故に、シヌクレインの予想されるレベルでは、交差反応性はない。抗体11A5を用いたBIAcore実験もまた、μMレベルまででモノシヌクレインとの交差反応性がないことを示した。
【配列表】