(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】スクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法
(51)【国際特許分類】
B41F 15/42 20060101AFI20220104BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20220104BHJP
B41F 15/38 20060101ALI20220104BHJP
B41M 1/12 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
B41F15/42
B41F15/08 303Z
B41F15/38 Z
B41M1/12
(21)【出願番号】P 2017099303
(22)【出願日】2017-05-18
【審査請求日】2020-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2016115965
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593039856
【氏名又は名称】マイクロ・テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】溝井国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】田上 洋一
(72)【発明者】
【氏名】小島 一夫
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-284713(JP,A)
【文献】特開2010-284874(JP,A)
【文献】特開2011-121195(JP,A)
【文献】特表2008-528323(JP,A)
【文献】特表2003-535735(JP,A)
【文献】特開2008-162130(JP,A)
【文献】実開平04-102843(JP,U)
【文献】特開平01-171944(JP,A)
【文献】実開平04-137840(JP,U)
【文献】国際公開第00/078520(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/42
B41F 15/08
B41F 15/38
B41M 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面を有するワークに対してスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置において、
スキージを保持する保持部と、
前記スキージの先端を中心にして前記保持部が回転するように、前記保持部の回転方向を規制して前記保持部を取り付けた規制部と、
前記規制部に取り付けられた前記保持部を回転させる回転制御部と
を備え、
前記保持部は、弧状のガイドレールを有し、
前記規制部は、前記ガイドレールを回転可能に取り付けた挟持部を有し、
前記挟持部は、
前記ガイドレールを上下から挟んだガイドローラとガイドカムフォロアとを有し、
前記ガイドローラにより前記保持部に印圧を加えるスクリーン印刷装置。
【請求項2】
曲面を有するワークに対してスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置において、
スキージを保持する保持部と、
前記スキージの先端を中心にして前記保持部が回転するように、前記保持部の回転方向を規制して前記保持部を取り付けた規制部と、
前記規制部に取り付けられた前記保持部を回転させる回転制御部とを備え、
前記保持部は、スライドカムフォロアを有し、
前記回転制御部は、前記スライドカムフォロアを前後に移動させるスクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記回転制御部は、前記スライドカムフォロアをガイドするスライド溝が形成された溝ブロックと、
前記溝ブロックを前後方向に移動させるボールネジと
を有する請求項
2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
印刷位置により前記溝ブロックの直線移動速度を変更する制御部を有する請求項
3に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項5】
曲面を有するワークに対してスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置において、
スキージを保持する保持部と、
前記スキージの先端を中心にして前記保持部が回転するように、前記保持部の回転方向を規制して前記保持部を取り付けた規制部と、
前記規制部に取り付けられた前記保持部を回転させる回転制御部と
を備え、
前記保持部と前記規制部と前記回転制御部とを有する印刷部と、
印刷位置により前記印刷部の直線移動速度を変更する制御部と
を有するスクリーン印刷装置。
【請求項6】
曲面を有するワークに対してスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置において、
スキージを保持する保持部と、
前記スキージの先端を中心にして前記保持部が回転するように、前記保持部の回転方向を規制して前記保持部を取り付けた規制部と、
前記規制部に取り付けられた前記保持部を回転させる回転制御部と
を備え、
前記規制部は、弧状のガイドレールを有し、
前記保持部は、前記ガイドレールに対して回転可能に取り付けられた挟持部を有するスクリーン印刷装置。
【請求項7】
前記挟持部は、
前記ガイドレールを上下から挟んだガイドローラとガイドカムフォロアとを有し、
前記ガイドレールにより前記保持部に下方への圧力を加える請求項
6に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項8】
前記規制部は、前記保持部を上下させる上下シリンダを有し、
前記保持部は、前記スキージを上下させる印圧シリンダを有する請求項
6又は
7に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項9】
曲面を有するワークに対してスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置において、
スキージを保持する保持部と、
前記スキージの先端を中心にして前記保持部が回転するように、前記保持部の回転方向を規制して前記保持部を取り付けた規制部と、
前記規制部に取り付けられた前記保持部を回転させる回転制御部と
を備え、
前記スクリーン印刷装置は、ワークを載せる曲面治具を有し、
前記回転制御部は、
前記保持部の前後に固定された足部を有し、
前記足部は、前記曲面治具の曲面の表面を移動するスクリーン印刷装置。
【請求項10】
曲面を有するワークに対してスクリーン印刷をするスクリーン印刷方法において、
保持部にスキージを保持し、
スクリーン印刷中に、前記スキージの先端部を中心にして前記保持部を回転させながらスクリーン印刷をするスクリーン印刷方法
であって、
前記保持部は、弧状のガイドレールを有し、
前記ガイドレールをガイドローラとガイドカムフォロアとの間に配置した挟持部により前記ガイドレールを挟持して、前記ガイドレールの移動方向を規制しながらスクリーン印刷をするスクリーン印刷方法。
【請求項11】
曲面を有するワークに対してスクリーン印刷をするスクリーン印刷方法において、
保持部にスキージを保持し、
スクリーン印刷中に、前記スキージの先端部を中心にして前記保持部を回転させながらスクリーン印刷をするスクリーン印刷方法
であって、
前記保持部は、弧状のガイドレールをガイドローラとガイドカムフォロアとの間に配置した挟持部を有し、
前記挟持部により前記ガイドレールを挟持して、前記挟持部の移動方向を規制しながらスクリーン印刷をするスクリーン印刷方法。
【請求項12】
曲面を有するワークに対して前記スキージのアタック角度を一定の角度θにしてスクリーン印刷をする請求項
10又は11に記載のスクリーン印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、曲面を有するワークにスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、曲面を有するワークに印刷をする装置が考えられている。
曲面印刷において、スキージのアタック角度を一定にする場合、スキージを装着したスキージ装着部を印刷位置により回転させる。
しかし、スキージ装着部を印刷位置に応じて回転させると、スキージがスクリーンに接触するスキージの先端部(印刷点)の位置がスキージ装着部の回転角度と共に変化する。
例えば、スキージを90度(垂直)から後方に1度回転すると、スキージの先端部(印刷点)は90度(垂直)で印刷している場合に比べて上昇するので、上昇する分だけスキージの先端部(印刷点)を下降させる制御をしなければならない。
同様に、スキージを90度(垂直)から後方に1度回転すると、スキージの先端部(印刷点)は90度(垂直)で印刷している場合に比べて後方にずれるので、後方にずれる分だけスキージの先端部(印刷点)を前方に移動させる制御をしなければならない。
このように、曲面印刷において、スキージのアタック角度を一定にする場合、印刷点の位置を調整する制御をしなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-31895号公報
【文献】特開平11-320820号公報
【文献】特開2005-088577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来と異なる構成で、曲面を有するワークにスクリーン印刷をする装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のスクリーン印刷装置は、
曲面を有するワークに対してスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置において、
スキージを保持する保持部と、
前記スキージの先端を中心にして前記保持部が回転するように、前記保持部の回転方向を規制して前記保持部を取り付けた規制部と、
前記規制部に取り付けられた前記保持部を回転させる回転制御部と
を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、印刷点の位置を調整することなくスキージのアタック角度が一定になり、曲面を有するワークに正確なスクリーン印刷をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の側面構成図。
【
図2】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の正面構成図。
【
図3】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の平面構成図。
【
図5】実施の形態1における保持部40と規制部70と回転制御部80との構成図。
【
図6】実施の形態1におけるスクリーン印刷方法の説明図。
【
図7】実施の形態1におけるスクリーン印刷方法のフロー図。
【
図8】実施の形態1における制御部110の制御方法の説明図。
【
図9】実施の形態1における印刷部90の他の構成図。
【
図10】実施の形態1における印刷部90の他の動作構成図。
【
図11】実施の形態1における曲面治具47の構成図。
【
図12】実施の形態2におけるスクリーン印刷装置100の側面構成図。
【
図13】実施の形態2におけるスクリーン印刷装置100の正面構成図。
【
図14】実施の形態2におけるスクリーン印刷装置100の平面構成図。
【
図15】実施の形態2における印刷部90の構成図。
【
図16】実施の形態2におけるスクリーン印刷方法の説明図。
【
図17】実施の形態2における印刷部90の他の構成図。
【
図18】実施の形態3におけるスクリーン印刷装置100の側面構成図。
【
図19】実施の形態3におけるスクリーン印刷装置100の側面構成図。
【
図20】実施の形態4におけるスクリーン印刷装置100の側面構成図。
【
図21】実施の形態4におけるスクリーン印刷装置100の正面構成図。
【
図22】実施の形態4におけるスクリーン印刷装置100の平面構成図。
【
図23】実施の形態4におけるスクリーン印刷装置100の印刷部90の側面透視構成図。
【
図24】実施の形態4におけるスクリーン印刷装置100の印刷部90の正面透視構成図。
【
図25】実施の形態4におけるスクリーン印刷装置100の印刷部90の平面透視構成図。
【
図26】実施の形態4における保持部40と規制部70と回転制御部80との構成図。
【
図27】実施の形態4におけるスクリーン印刷方法のフロー図。
【
図28】実施の形態4におけるスクリーン印刷方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1、
図2、
図3のスクリーン印刷装置100は、曲面を有するワーク49を曲面治具47で操作してスクリーン製版によりスクリーン印刷する装置である。
図1、
図2、
図3において、曲面治具47とワーク49とを印刷位置に搬出入する方向を前後横方向という。印刷方向は前横方向である。
また、高さ方向を上下方向という。また、
図2に示すように、曲面治具47とワーク49の両サイド方向を左右方向という。
図1において、説明の都合で搬出入機構60を2箇所に図示しているが、実際には、1箇所しか存在しない。
【0009】
<<ワーク49>>
ワーク49は、曲面を有する。ワーク49は、平面視では矩形であるが、側面視では、厚さが一定の弧状の薄板である。ワーク49の材質の具体例は、ガラス、樹脂、プラスチック、紙、布、金属である。
【0010】
<<曲面治具47>>
曲面治具47は、ワーク49を曲面で保持する治具である。
曲面治具47は、平面視では矩形であるが、側面視では、厚さが一定の弧状の金属薄板である。曲面治具47は、ワーク49と同じ曲面あるいは湾曲面を有している。曲面治具47の材質の具体例は、アルミニウム、鉄、ステンレスである。
図3に示すように、曲面治具47の前後長は、ワーク49の前後長より大きく、曲面治具47の左右幅は、ワーク49の左右幅より大きい。
【0011】
<<制御部110>>
スクリーン印刷装置100は、制御部110を有している。
制御部110は、装置全体を制御するものである。制御部110は、中央処理装置、プログラム、メモリ、及び、その他の電子回路部品により実現できる。制御部110からの信号は、信号線111により以下に述べる各部に伝達される。以下に述べる動作は、制御部110が信号線111により命令を伝達することにより実現できる。
【0012】
<<筺体50>>
スクリーン印刷装置100は、筺体50を有している。
筺体50は、箱状の基台51と、柱フレーム53と、梁フレーム54と有している。
基台51には、制御部110と信号線111が収納され、さらに、図示していない電源装置、ポンプ装置、ロボシリンダ、リニアガイド、吸引器などの駆動装置が収納されている。
基台51の上面には、4本の柱フレーム53が立っている。前後2本の柱フレーム53の上には、梁フレーム54が横たわっている。梁フレーム54には、印刷部90を前後横移動させるロボシリンダ97が駆動装置として収納されている。
また、基台51には、支持シリンダ55が収納されている。支持シリンダ55は、スクリーン枠96の中央真下に2個存在し、支持ピン56を上下させることにより、テーブル61を昇降させる。
【0013】
<<搬出入機構60>>
スクリーン印刷装置100は、曲面治具47とワーク49とを印刷位置に搬出入する搬出入機構60を有している。
搬出入機構60は、基台51を前後横方向に移動可能なテーブル61を有している。テーブル61は、基台51に収納されたロボシリンダ64によりスライドして前後横方向に移動する。
テーブル61の上面には、曲面治具47のコーナーを支える4本の支持柱62が立っており、4本の支持柱62は曲面治具47の角端部を下から保持し、曲面治具47を固定している。
【0014】
<<印刷部90>>
スクリーン印刷装置100は、印刷部90を有している。
印刷部90は、スライド部91と上下シリンダ93と上下ベース板94とを有する。
スライド部91は、
図2、
図3に示すように、2本の梁フレーム54の間に配置されている。
スライド部91は、梁フレーム54に収納されたロボシリンダ97より前後にスライドする。すなわち、印刷部90は、梁フレーム54に対して前後横方向に直線移動可能に取り付けられている。
【0015】
上下ベース板94は、上下シリンダ93を介してスライド部91に取り付けられている。
上下シリンダ93は、スライド部91に対して上下ベース板94を上下移動させるとともに、スクリーン印刷時に下方に向けて印圧を発生させる。
印刷部90の中央下部には、スキージ92が取り付けられている。
ワーク49の印刷位置は、スキージ92の先端部Cである。
スキージ92の先端部Cが移動することにより、ワーク49の印刷位置が移動する。
【0016】
<<スクリーン製版>>
スキージ92の下には、スクリーン製版がある。
スクリーン製版は、スクリーン95とスクリーン枠96とを有する。
スクリーン枠96は、図示していない取付機構により、柱フレーム53に着脱可能に取り付けられている。
スクリーン95はスクリーン枠96に紗張りされており、印刷パターンが形成されている。
スクリーン95の具体例は、メッシュスクリーン、又は、メタルマスクスクリーンである。
スクリーン95とスクリーン枠96は、曲面を有する。
スクリーン95とスクリーン枠96は、それぞれ平面視では矩形であるが、側面視では、弧状である。
スクリーン95とスクリーン枠96は、ワーク49の表面と同じ半径の曲面あるいは湾曲面を有している。
【0017】
<<印刷部90の特徴的構成>>
図2と
図4とに、印刷部90の詳細構成を示す。
印刷部90は、保持部40と規制部70と回転制御部80とを有する。
保持部40は、スキージ92を保持する。
規制部70は、保持部40を回転可能に取り付けている。
回転制御部80は、規制部70に取り付けられた保持部40を回転させる。
【0018】
<<保持部40の構成>>
図5に示すように、保持部40は、スキージ装着部41とガイドレール42とブラケット43とスライドカムフォロア44を有する。
スキージ装着部41は、左右方向に存在する矩形板であり、図示していない装着機構により、スキージ92を取り換え可能に装着する。
【0019】
保持部40は、弧状のガイドレール42を有する。
ガイドレール42は、スキージ装着部41の左右両サイドに固定された円弧状レールである。
ガイドレール42は、全体が円弧形状をしており、円弧の中心はスキージ92の先端部Cであり、中心角は90度である。
ガイドレール42は、上面に山状の突出部45を有し、下面に、湾曲面を有する。
ガイドレール42の半径方向の断面は、ホームベース形状をした五角形である。
【0020】
ブラケット43は、正面視で凹形状をしており、ブラケット43の底面はスキージ装着部41の中央上面に固定されている。
ブラケット43の両サイドは2本の腕が上方に延びており、両サイドの腕の先端の内側に、スライドカムフォロア44が回転可能に取り付けられている。
【0021】
<<規制部70の構成>>
図5に示すように、規制部70は、ガイドレール42を回転可能に取り付けた挟持部77を有し、スキージ92の先端部Cを中心にして保持部40が回転するように、保持部40の回転方向を規制する。
【0022】
図4、
図5に示すように、規制部70は、側板71とガイドローラ72とガイドカムフォロア73とを有する。
側板71は、上下ベース板94の両サイドに固定されている。
側板71は、側面視で、矩形形状あるいは台形形状をしている。
【0023】
図4に示すように、挟持部77は、3個のガイドローラ72と、3個のガイドカムフォロア73を有する。
図4に示すように、ガイドローラ72は、スキージ92の先端部Cを中心にして半径R1の円周上に配置されている。
図2に示すように、ガイドローラ72は、全周にV字状の窪み部74を有する。窪み部74には、ガイドレール42の突出部45がはまり込み、ガイドレール42が左右にずれない構成になっている。
【0024】
図4に示すように、ガイドカムフォロア73は、スキージ92の先端部Cを中心にして半径R2の円周上に配置されている。
図2に示すように、ガイドカムフォロア73は、円筒形である。
図4に示すように、3個のガイドローラ72と3個のガイドカムフォロア73との回転軸は、それぞれスキージ92の先端部Cを中心にした3本の半径の上に配置されている。3本の半径の隣り合う半径の中心角は30度である。
【0025】
挟持部77は、ガイドレール42を上下から挟むガイドローラ72とカムフォロアガイドカムフォロア73とを有しており、ガイドローラ72とガイドカムフォロア73の間に、ガイドレール42が挟み込まれる。また、ガイドローラ72とガイドカムフォロア73とガイドレール42との中心は先端部Cであるから、ガイドレール42は、スキージ92の先端部Cを中心にして回転することができるとともに、ガイドレール42は、先端部Cを中心にして回転する動きのみが可能である。
【0026】
<<回転制御部80の構成>>
回転制御部80は、溝ブロック85を直線移動させるものであり、溝ブロック85の直線移動により、スキージ92の回転を制御するものである。
図4、
図5に示すように、回転制御部80は、駆動モータ87と固定板88とを有する。
駆動モータ87は、固定板88に固定されている。
駆動モータ87の具体例は、サーボモータ又はステッピングモータである。
固定板88は、上下ベース板94に固定されている。
【0027】
図4、
図5に示すように、回転制御部80は、リニアガイド81と移動ブロック82とナット83とボールネジ84とを有する。
リニアガイド81は、スライド部91の下面に固定されており、前後方向水平に固定されている。
移動ブロック82は、リニアガイド81に対して前後方向に移動可能に取り付けられている。
ナット83は、移動ブロック82に固定されている。
ボールネジ84は、駆動モータ87の回転軸に固定されており、駆動モータ87の回転により回転する。
駆動モータ87が回転すると、ナット83がリニアガイド81と移動ブロック82とによりガイドされながら前後方向に移動する。
【0028】
図2、
図4、
図5に示すように、回転制御部80は、溝ブロック85を有する。
溝ブロック85は、矩形版であり、中央にボールネジ84を通す孔があり、ナット83に固定されている。
溝ブロック85は、ナット83の固定されており、ナット83により前後方向に移動する。
溝ブロック85は、左右両サイドに、スライドカムフォロア44をガイドするスライド溝86を有する。
スライド溝86は、上下方向に形成されて溝である。
スライド溝86は、スライドカムフォロア44を嵌め込んでガイドする凹溝である。
スライドカムフォロア44は、スライド溝86に挿入された状態で上下に移動可能である。
【0029】
***動作の説明***
図6を用いてスクリーン印刷装置100の概略印刷方法について説明する。
図6は、曲面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をするスクリーン印刷方法を示している。
【0030】
図6の(a)に示すように、制御部110は、ワーク49の印刷を開始する場合、ガイドレール42を時計回り方向に回転させて、スキージ92とワーク49とがなすアタック角度が角度θになるようにする。
制御部110は、ワーク49の後端から中央へ印刷する場合、ガイドレール42を徐々に反時計回り方向に回転させる。ガイドレール42を徐々に反時計回り方向に回転させるので、アタック角度は、角度θを保つことができる。
制御部110は、ワーク49の中央から前端へ印刷する場合、ガイドレール42を徐々に反時計回り方向に回転させる。ガイドレール42を徐々に反時計回り方向に回転させるので、アタック角度は、角度θを保つことができる。
【0031】
このように、スクリーン印刷装置100は、保持部40にスキージ92を保持し、スキージ92の先端部Cを中心にして保持部40を回転させながらスクリーン印刷をする。
保持部40は、弧状のガイドレール42を有し、ガイドレール42を挟持して、ガイドレール42の移動方向を規制しながらスクリーン印刷をする。
挟持部77は、ガイドレール42をガイドローラ72とガイドカムフォロア73との間で移動させる。
このようにして、スクリーン印刷装置100は、曲面を有するワーク49に対してスキージ92のアタック角度を一定の角度θにしてスクリーン印刷をする。
【0032】
以下、
図7を用いて、スクリーン印刷装置100の印刷方法の詳細動作について説明する。
以下の動作は、スクリーン印刷装置100に設けられた制御部110により実行される。
【0033】
ステップS11:ワークセット工程
図1の支持柱62に曲面治具47が載せられた状態で、曲面治具47にワーク49を載せる。
曲面治具47とワーク49との曲面は、半径が一致しており、ワーク49は、曲面治具47に隙間なく配置される。
【0034】
ステップS12:テーブル移動工程
制御部110は、テーブル61を前横方向に移動させ、テーブル61を印刷部90の真下の位置で移動を止める。
【0035】
ステップS13:曲面治具上昇工程
テーブル61が曲面治具47を運んでくると、制御部110は、支持シリンダ55の支持ピン56を上昇させ、テーブル61を持ち上げ、曲面治具47を上昇させる。制御部110は、ワーク49とスクリーン枠96とが所定のクリアランスになるまで曲面治具47を上昇させる。
スクリーン枠96とワーク49との曲面は、半径が一致しており、ワーク49の全表面がスクリーン枠96に対して所定のクリアランスで配置される。
【0036】
ステップS14:印刷部セット工程
制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90をワーク49の後端に移動させる。
制御部110は、上下シリンダ93を用いてスキージ92をスクリーン枠96まで下降させる。
この時、制御部110は、駆動モータ87を回転させて、ナット83を前方向に移動させる。
ナット83が、前方向に移動すると、溝ブロック85も前方向に移動する。
溝ブロック85が、前方向に移動すると、スライド溝86に嵌め込まれているスライドカムフォロア44もスライド溝86を下降しながら前方向に移動する。
スライドカムフォロア44が、前方向に移動すると、ブラケット43がスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に傾く。
ブラケット43がスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に傾くと、スキージ装着部41もスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に傾く。
スキージ装着部41がスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に傾くと、ガイドレール42もスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に傾く。
制御部110は、スキージ92とワーク49とがなすアタック角度が角度θになるまで、駆動モータ87を回転させる。
【0037】
ステップS15:印刷工程
制御部110は、上下シリンダ93を制御して上下ベース板94に印圧を加える。
上下ベース板94に加わった印圧は、側板71に伝わり、さらに、3個のガイドローラ72に伝わる。
3個のガイドローラ72に加わった印圧は、ガイドレール42に伝わり、さらに、スキージ装着部41に伝わる。
スキージ装着部41に加わった印圧は、スキージ92に伝わり、スキージ92の先端部Cに伝わる。
こうして、スキージ92の先端部Cには、上下シリンダ93による印圧が伝わる。
このように、挟持部77はガイドローラ72により保持部40に印圧を加えている。
【0038】
この状態が、
図6の(a)に示す印刷開始状態である。
図6の(a)に示すように、ワーク49の印刷開始状態では、スライドカムフォロア44の回転軸は、スキージ92の先端部Cを通る垂直線Lの線よりも前にある。
【0039】
制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90を前方に移動させて印刷を開始する。
制御部110は、印刷部90の前方への移動に伴って、駆動モータ87を回転させて、ナット83を後方向に移動させる。
ナット83が、後方向に移動すると、溝ブロック85も後方向に移動する。
溝ブロック85が、後方向に移動すると、スライド溝86に嵌め込まれているスライドカムフォロア44もスライド溝86を上昇しながら後方向に移動する。
スライドカムフォロア44が、後方向に移動すると、ブラケット43がスキージ92の先端部Cを中心にして半時計回り方向に移動する。
ブラケット43がスキージ92の先端部Cを中心にして反時計回り方向に移動すると、スキージ装着部41もスキージ92の先端部Cを中心にして反時計回り方向に移動する。
スキージ装着部41がスキージ92の先端部Cを中心にして反時計回り方向に移動すると、ガイドレール42もスキージ92の先端部Cを中心にして反時計回り方向に移動する。
制御部110は、スキージ92とワーク49とがなすアタック角度が角度θになるように駆動モータ87の回転を制御する。
【0040】
ワーク49の印刷開始状態からワーク49の中央の印刷では、スライドカムフォロア44の回転軸は、スキージ92の先端部Cを通る垂直線Lの線よりも前にある。
図6の(b)に示すように、ワーク49の中央を印刷する場合は、スキージ92の先端部Cとスライドカムフォロア44の回転軸とは、垂直線Lの線上にある。
ワーク49の中央の印刷からワーク49の印刷終了状態までは、スライドカムフォロア44の回転軸は、スキージ92の先端部Cを通る垂直線Lの線よりも後にある。
【0041】
図6の(c)に示すように、ワーク49の印刷終了状態では、スライドカムフォロア44の回転軸は、スキージ92の先端部Cを通る垂直線Lの線よりも後にある。
【0042】
ガイドレール42は、挟持部77により挟持されているため、ガイドローラ72とガイドカムフォロア73の間を、揺り椅子あるいは揺り籠のようにスイングすることが可能であり、回転制御部80が、保持部40の上方先端にあるスライドカムフォロア44を前後に移動させることによりガイドレール42がスイングする。
【0043】
<スキージの前後方向への移動速度の制御>
図8の(a)は、制御部110のロボシリンダ97の制御方法を説明する概念図である。
制御部110がロボシリンダ97を動作させる場合、印刷部90の移動速度を均一にすると、ワーク49の表面は曲面なので印刷の長さは一定にならない。そこで、制御部110は、ロボシリンダ97による印刷部90の前方向へ移動する量を変更してワーク49に対する印刷速度を一定にすることが望ましい。
具体的には、制御部110は、以下のようにスキージ92の傾斜角度に応じてロボシリンダ97による印刷部90の前方向へ移動する量を変更する。
【0044】
図8の(a)の記号の意味は以下のとおりである。
Eは、ロボシリンダ97による印刷部90の前方向へ移動する軌跡。
Fは、ワーク49の曲面。
Kは、単位角度であり、例えば、π/180。
K0は、印刷開始時の水平方向に対するスキージ92の開始傾斜角度。
Mは、単位角度Kあたりのワーク49の曲面を直線で近似した場合の直線の長さ。
N1、N2、N3は、ロボシリンダ97による印刷部90の前方向へ移動量。
Hは、スキージ92の延在方向(半径方向)と単位角度Kあたりのワーク49の曲面Fを直線で近似した長さMの直線との角度
【0045】
単位角度Kを小さくすれば、角度Hは90度に近づくので、図では、角度Hは、90度としている。
単位角度Kを小さくすれば、単位角度Kあたりのワーク49の曲面の円弧長は、単位角度Kあたりのワーク49の曲面の円弧の両端を結んだ直線に近づくので、単位角度Kあたりのワーク49の曲面の円弧長を単位角度Kあたりのワーク49の曲面の円弧の両端を結んだ長さMの直線で近似している。
スキージ92の傾斜角度が単位角度Kだけ変化すれば、ワーク49の曲面において長さMだけ印刷することができる。
【0046】
印刷開始時の水平方向に対するスキージ92の開始傾斜角度K0から単位角度Kだけ変化する場合、長さMに対応するロボシリンダ97による印刷部90の前方向へ移動量N1は以下の計算式で求めることができる。
N1/M=cos(π/2-K0)
N1=M・cos(π/2-K0)
【0047】
スキージ92の傾斜角度K0+Kからさらに単位角度Kだけ変化する場合、長さMに対応するロボシリンダ97による印刷部90の前方向へ移動量N2は以下の計算式で求めることができる。
N2/M=cos(π/2-(K0+K))
N2=M・cos(π/2-(K0+K))
【0048】
スキージ92の傾斜角度K0+K+K=K0+2Kからさらに単位角度Kだけ変化する場合、長さMに対応するロボシリンダ97による印刷部90の前方向へ移動量N3は以下の計算式で求めることができる。
N3/M=cos(π/2-(K0+2K))
N3=M・cos(π/2-(K0+2K))
【0049】
制御部110は、開始傾斜角度K0から単位角度Kがn個増加した場合、
Nn=M・cos(π/2-(K0+nK))
で求められる長さNnだけロボシリンダ97により印刷部90を前方向へ移動するように制御する。
ワーク49の後端から印刷する印刷開始時には、nが小さいので、K0+nKが小さい値となり、cos(π/2-(K0+nK))は、小さな値となる。したがって、ワーク49の印刷を開始する場合、制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90を前方向へ短く移動するように制御する。
ワーク49の後端から中央へ印刷する場合、nが次第に大きくなり、K0+nKが次第に大きな値なり、cos(π/2-(K0+nK))は、徐々に大きな値となる。したがって、ワーク49の印刷を開始後、制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90を前方向へ徐々に長く移動するように制御する。
ワーク49の中央を印刷する場合は、K0+nKがπ/2となり、cos(π/2-(K0+nK))は、最大値1となる。したがって、ワーク49の中央を印刷する場合、制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90を前方向へ長さMだけ移動するように制御する。
ワーク49の中央から前端へ印刷する場合、nが次第に大きくなり、K0+nKが次第に大きな値なり、cos(π/2-(K0+nK))は、徐々に小さな値となる。したがって、ワーク49の中央から前端へ印刷する場合、制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90を前方向へ徐々に短く移動するように制御する。
以上のように、制御部110は、印刷位置により印刷部90の印刷方向への直線移動速度を変更する。
【0050】
<溝ブロックの前後方向への移動速度の制御>
図8の(b)は、制御部110の駆動モータ87の制御方法を説明する概念図である。
制御部110が駆動モータ87を動作させる場合、溝ブロック85の移動速度を均一にすると、スキージ92が先端部Cを中心に回転するのでスキージ92の回転速度は一定にならない。そこで、制御部110は、駆動モータ87による溝ブロック85の移動量を変更してスキージ92の回転角度を一定にすることが望ましい。
具体的には、制御部110は、以下のようにスキージ92の傾斜角度に応じて駆動モータ87による溝ブロック85の移動する量を変更してスキージ92の回転角度を一定にすることが望ましい。
量を変更する。
【0051】
図8の(b)の記号の意味は以下のとおりである。
Dは、溝ブロック85が後方向に移動する軌跡。
Gは、スライドカムフォロア44の回転軸が移動する軌跡。スキージ92の先端部Cを中心とした円弧。
Kは、単位角度であり、例えば、π/180。
K0は、印刷開始時の水平方向に対するスキージ92の開始傾斜角度。
Iは、単位角度Kあたりのワーク49の曲面を直線で近似した場合の直線の長さ。
D1、D2、D3は、駆動モータ87による溝ブロック85の後方向へ移動量。
Hは、スキージ92の延在方向(半径方向)と単位角度Kあたりのスライドカムフォロア44の回転軸が移動する軌跡Gを直線で近似した場合の直線との角度。
【0052】
単位角度Kを小さくすれば、角度Hは90度に近づくので、図では、角度Hは、90度としている。
単位角度Kを小さくすれば、単位角度Kあたりのスライドカムフォロア44の回転軸が移動する軌跡Gの円弧長は、単位角度Kあたりのスライドカムフォロア44の回転軸が移動する軌跡Gの円弧の両端を結んだ直線に近づくので、単位角度Kあたりのスライドカムフォロア44の回転軸が移動する軌跡Gの円弧長を単位角度Kあたりのスライドカムフォロア44の回転軸が移動する軌跡Gの円弧の両端を結んだ長さIの直線で近似している。
【0053】
スキージ92の傾斜角度が単位角度Kだけ均等に変化せるためには、スライドカムフォロア44の回転軸が長さIだけ均等に移動すればよい。スライドカムフォロア44の回転軸が長さIだけ均等に移動するために、制御部110は、駆動モータ87による溝ブロック85の後方向へ移動量D1、D2、D3を以下のように計算する。
【0054】
印刷開始時の水平方向に対するスキージ92の開始傾斜角度K0から単位角度Kだけ変化する場合、長さIに対応する駆動モータ87による溝ブロック85の後方向へ移動量D1は以下の計算式で求めることができる。
D1/I=cos(π/2-K0)
D1=I・cos(π/2-K0)
【0055】
スキージ92の傾斜角度K0+Kからさらに単位角度Kだけ変化する場合、長さIに対応する駆動モータ87による溝ブロック85の後方向へ移動量D2は以下の計算式で求めることができる。
D2/I=cos(π/2-(K0+K))
D2=I・cos(π/2-(K0+K))
【0056】
スキージ92の傾斜角度K0+K+K=K0+2Kからさらに単位角度Kだけ変化する場合、長さIに対応する駆動モータ87による溝ブロック85の後方向へ移動量D3は以下の計算式で求めることができる。
D3/I=cos(π/2-(K0+2K))
D3=I・cos(π/2-(K0+2K))
【0057】
制御部110は、開始傾斜角度K0から単位角度Kがn個増加した場合、
Dn=I・cos(π/2-(K0+nK))
で求められる長さDnだけ駆動モータ87により溝ブロック85を後方向へ移動するように制御する。
ワーク49の後端から印刷する印刷開始時には、nが小さいので、K0+nKが小さい値となり、cos(π/2-(K0+nK))は、小さな値となる。したがって、ワーク49の印刷を開始する場合、制御部110は、駆動モータ87により溝ブロック85を後方向へ短く移動するように制御する。
ワーク49の後端から中央へ印刷する場合、nが次第に大きくなり、K0+nKが次第に大きな値なり、cos(π/2-(K0+nK))は、徐々に大きな値となる。したがって、ワーク49の印刷を開始後、制御部110は、駆動モータ87により溝ブロック85を後方向へ徐々に長く移動するように制御する。
ワーク49の中央を印刷する場合は、K0+nKがπ/2となり、cos(π/2-(K0+nK))は、最大値1となる。したがって、ワーク49の中央を印刷する場合、制御部110は、駆動モータ87により溝ブロック85を後方向へ長さIだけ移動するように制御する。
ワーク49の中央から前端へ印刷する場合、nが次第に大きくなり、K0+nKが次第に大きな値なり、cos(π/2-(K0+nK))は、徐々に小さな値となる。したがって、ワーク49の中央から前端へ印刷する場合、制御部110は、駆動モータ87により溝ブロック85を後方向へ徐々に短く移動するように制御する。
以上のように、制御部110は、回転制御部80を制御して印刷位置により溝ブロック85の後方向への直線移動速度を変更する。
【0058】
ステップS16:スキージ上昇工程
制御部110は、印刷が終了すると、上下シリンダ93によりスキージ92を上昇させる。
【0059】
ステップS17:曲面治具下降工程
制御部110は、支持ピン56を下降させて、曲面治具47を下降させる。
【0060】
ステップS18:テーブル復帰工程
制御部110は、テーブル61を後横方向に移動させ、曲面治具47とワーク49とを搬出する。
その後、ワーク49を交換して、新たな印刷を開始する。
【0061】
以上のように、この実施の形態の印刷方法は、ガイドレール42を使ってスキージ92の先端部C(印刷位置)を回転の中心として、スキージ92の傾斜角度を変更してアタック角度を一定の角度θに保つものである。スキージ92の先端部C(印刷位置)を回転の中心とした傾斜角度の変更制御は、制御部110により制御された回転制御部80が実行する。すなわち、スキージ92の回転は、駆動モータ87のボールネジ駆動で自動的に行われ、印刷位置の移動と連動してアタック角度を一定の角度θに保つようにスキージ92が回転する。
【0062】
回転制御部80は、リニアガイド81の移動ブロック82とナット83に溝ブロック85を固定し、溝ブロック85をナット83で前後に移動する。
スキージ装着部41に固定されたブラケット43の2本の腕の上端内側に取り付けられた2個のスライドカムフォロア44が、溝ブロック85の両サイドにスライド溝86に隙間なく入り込んでいる。
駆動モータ87の回転で、ボールネジ84が回転するとナット83が前後に移動する。ナット83の前後移動に伴い、溝ブロック85も前後に移動する。溝ブロック85の前後移動に伴い、スライドカムフォロア44が前後に移動して、スキージ装着部41が回転する。
【0063】
***実施の形態1の効果***
この実施の形態によれば、曲面のワークに対して、スクリーン印刷をすることができる。
この実施の形態によれば、曲面を有するワークに対してスキージのアタック角度を一定にできるので、曲面のワークであっても最適なアタック角度による印刷ができる。
【0064】
***その他の構成***
<回転制御部80の他の構成>
図9は、印刷部90の回転制御部80の他の構成を示す図である。
図9が、
図4と異なる点は、駆動モータ87が上下ベース板94の上面に固定されていることである。
駆動モータ87の回転は、プーリベルト機構89によりボールネジ84に伝達される。
プーリベルト機構89は、駆動モータ87の回転軸に固定されたプーリと、ボールネジ84に固定されたプーリと、2個のプーリに架けられたベルトがある。
図9の構成は、駆動モータ87が上下ベース板94の上面に固定されているので、
図4の構成と比較して、印刷部90の前後方向の長さを短くすることができる。
図示していないが、駆動モータ87の回転を、ギア、カップリング、その他の伝達機構を用いて、ボールネジ84に伝達してもよい。
【0065】
<凸曲面への印刷>
図10は、曲面治具47とワーク49とスクリーン枠96とが、凹曲面ではなく、凸曲面をしている場合を示している。制御部110の制御を変更することで、前述した印刷部90と同一構成の印刷部90で凸曲面のワーク49に印刷をすることができる。
すなわち、制御部110は、印刷開始状態で駆動モータ87を回転させガイドレール42を反時計回りに移動させておき、印刷開始状態から印刷終了状態になるまで、駆動モータ87を回転させてガイドレール42を時計回りに移動させる。こうして、アタック角度を角度θに保ちながら凸曲面のワーク49に印刷をすることができる。
【0066】
<曲面治具47の他の構成>
図11は、曲面治具47の側面の構成図である。
(a)の曲面治具47は、中央に平面があり、両端に曲面がある。
(b)の曲面治具47は、中央に曲面があり、両端に平面がある。
(c)の曲面治具47は、下に凸の曲面がある。
(d)の曲面治具47は、上に凸の曲面と下に凸の曲面がある。
(e)の曲面治具47は、中央に上に凸の曲面があり、両端に下に凸の曲面がある。
【0067】
曲面治具47の曲げ加工において凸加工又は凹加工又は折り曲げ加工を組み合わせることにより、
図11に示すような曲面治具47を形成することができ、凸面印刷又は凹面印刷などが可能である。
図11には図示していないが、ワーク49も曲面治具47と同じ側面形状を有する。
制御部110は、曲面治具47とワーク49の形状に合わせて、駆動モータ87を回転させガイドレール42を移動させる。こうして、アタック角度を角度θに保ちながら曲面と平面とが組み合わさったワーク49に印刷をすることができる。
【0068】
<昇降機構の他の構成>
支持シリンダ55と支持ピン56により搬出入機構60を昇降させて曲面治具47とワーク49とを昇降させなくてもよく、4本の支持柱62の頂部に4個のシリンダを設け、4個のシリンダにより曲面治具47とワーク49とを昇降させてもよい。
上下ベース板94は、上下シリンダ93によらず、サーボモータその他の昇降機構で昇降させてもよい。
【0069】
実施の形態2.
この実施の形態では、実施の形態1と異なる点について説明する。
【0070】
***構成の説明***
図12、
図13、
図14のスクリーン印刷装置100は、曲面を有するワーク49を曲面治具47で操作してスクリーン製版によりスクリーン印刷する装置である。
図15に示すように、回転制御部80は、保持部40の前後に固定された2本の足部801を有する。2本の足部801の中心角は90度である。
足部801は、弧状のガイドレール42の両端面から直線状に延びた足である。ガイドレール42と足部801との側面視の形状は、丸い山型形状である。
足部801は、先端に、曲面治具47の曲面の表面を移動する足カムフォロア802を有する。
図13に示すように、回転制御部80は、左右にあり、回転制御部80の左右幅は、曲面治具47の左右幅よりも小さい。
【0071】
***動作の説明***
ステップS11のワークセット工程と、ステップS12のテーブル移動工程とステップS13の曲面治具上昇工程は、実施の形態1と同じである。
【0072】
ステップS14:印刷部セット工程
制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90をワーク49の後端に移動させる。
制御部110は、上下シリンダ93を用いてスキージ92をスクリーン枠96まで下降させる。
スキージ92が下降すると、後の足カムフォロア802が曲面治具47の表面に接触して、後の足カムフォロア802が下降できなくなる。制御部110がスキージ92をさらに下降させると、ガイドレール42はスキージ92の先端部Cを中心にして時計回りに移動し始め、前の足カムフォロア802が下がり始める。
前の足カムフォロア802が下がると、前の足カムフォロア802が曲面治具47の表面に接触して、前の足カムフォロア802が下降できなくなる。
後の足カムフォロア802と前の足カムフォロア802とが曲面治具47の表面に接触すると、スキージ92の下降は止まる。
この状態は、
図16の(a)に示す印刷開始状態であり、スキージ92の先端部Cに適切な印圧が加わり、アタック角度が角度θとなっている状態である。
【0073】
ステップS15:印刷工程
制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90を前方に移動させて印刷を開始する。
制御部110は、印刷中、上下シリンダ93を制御して上下ベース板94に印圧を加える。
【0074】
印刷部90が前方に移動すると、足カムフォロア802は曲面治具47の表面を転がりながら前方に移動する。
足カムフォロア802が曲面治具47の表面を転がりながら後方から中央に移動すると、2個の足カムフォロア802を結ぶ直線が前下がりから水平に近づくので、ガイドレール42がスキージ92の先端部Cを中心にして反時計回り方向に移動する。
また、足カムフォロア802が曲面治具47の表面を転がりながら中央から前方に移動すると、2個の足カムフォロア802を結ぶ直線が水平から前上がりになるので、ガイドレール42がスキージ92の先端部Cを中心にして反時計回り方向に移動する。
このように、回転制御部80は、スキージ92とワーク49とがなすアタック角度が角度θになるようにガイドレール42の回転を制御する。
【0075】
ステップS16のスキージ上昇工程とステップS17の曲面治具下降工程とステップS18のテーブル復帰工程とは、実施の形態1と同じである。
【0076】
***実施の形態2の効果***
この実施の形態によれば、2本の足部801からなる回転制御部80という簡単な構成で、曲面のワークに対して、スクリーン印刷をすることができる。
この実施の形態によれば、曲面を有する曲面治具47に対して2本の足部801を突き当てることでスキージのアタック角度を一定にできる。
また、ガイドレール42と2本の足部801とを一部品で製造することができる。
【0077】
***その他の構成***
<足部801の構成>
図17に示すように、足部801は棒状でなくてもよく、L字状に左右に屈曲していてもよい。
図17では、足部801が2度直角に屈曲している。
足部801がL字状に左右に屈曲している場合でも、曲面治具47と足カムフォロア802との左右幅は同じ幅を有している。
足部801がL字状に左右に屈曲している場合は、印刷部90の下方の空間を広くすることができる。
【0078】
実施の形態3.
この実施の形態では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
【0079】
***構成の説明***
図18に示すように、印刷部90全体を弧状に移動させてもよい。
図18では、スキージ92を保持した印刷部90を弧状に移動させる移動機構99を有している。
移動機構99は、ロボシリンダ97と湾曲したレール112とを有する。印刷部90のスライド部91は、湾曲したレール112にスライド可能に取り付けられている。ロボシリンダ97の駆動力により印刷部90のスライド部91が湾曲したレール112に沿って弧状に移動する。
レール112の円弧とワーク49の円弧とスクリーン枠96の円弧の中心は同一中心点にある。
印刷部90に装着されたスキージ92の先端部Cは、レール112の円弧の中心点を中心とする円弧を移動する。
したがって、印刷部90の移動中、アタック角度θが一定になる。
【0080】
***効果の説明***
図18の構成によれば、簡単な構成で、曲面を有するワーク49に対して、一定のアタック角度θで印刷をすることができる。また、制御部110がロボシリンダ97により印刷部90を等速で移動させることで、曲面を有するワーク49に対して、等速で印刷をすることができる。
【0081】
***その他の構成***
移動機構99は、他の構成でもよい。
図19に示すように、印刷部90を振り子のように移動させる移動機構99でもよい。移動機構99は、腕98と駆動モータ87を有し、駆動モータ87が回転することにより、腕98が、駆動モータ87の回転軸を中心にして回転する。腕98が回転すると、腕98の下端に固定された印刷部90も回転する。駆動モータ87の回転軸は、ワーク49の円弧とスクリーン枠96の円弧の中心に位置している。
このように、移動機構99は、印刷部90に装着されたスキージ92の先端部Cがワーク49の円弧とスクリーン枠96の円弧の中心点を中心とする円弧を移動するように、印刷部90を回転させるものであればよい。
移動機構99は、モータ、スライダ、レール、シリンダ、ベルト、ネジ、変換機構などの既存の部品の組み合わせで実現することができる。
あるいは、
図4に示した回転制御部80の構成をロボシリンダ97に適用し、
図4に示した規制部70の構成を梁フレーム54に適用し、さらに、保持部40の構成を印刷部90のスライド部91に適用して、印刷部90全体をスキージ92の先端部Cを中心にして回転させるようにしてもよい。
【0082】
実施の形態4.
この実施の形態では、前述した実施の形態と異なる点について説明する。
【0083】
***構成の説明***
図20、
図21、
図22のスクリーン印刷装置100は、曲面を有するワーク49を曲面治具47で操作してスクリーン製版によりスクリーン印刷する装置である。
図23、
図24、
図25は、スクリーン印刷装置100に用いられる印刷部90を示す詳細透視図である。
図23、
図24、
図25において、印刷部90は、スクレッパー機構として、スクレッパー310と、スクレッパー310を上下させるスクレッパーシリンダ320とを有している。
図20、
図21、
図22において、説明を簡単にするために、スクレッパー機構は図示していない。
【0084】
<<印刷部90>>
スクリーン印刷装置100は、印刷部90を有している。
印刷部90は、スライド部91を有する。
スライド部91は、
図21、
図22に示すように、2本の梁フレーム54の間に配置されている。
スライド部91は、梁フレーム54に収納されたロボシリンダ97より前後にスライドする。
印刷部90は、梁フレーム54に対して前後横方向に直線移動可能に取り付けられている。
印刷部90の中央下部には、スキージ92が取り付けられている。
ワーク49の印刷位置は、スキージ92の先端部Cである。
スキージ92の先端部Cが移動することにより、ワーク49の印刷位置が移動する。
【0085】
<<印刷部90の構成>>
印刷部90は、保持部40と規制部70と回転制御部80とを有する。
保持部40は、スキージ92を保持する。
規制部70は、保持部40を回転可能に取り付けている。
回転制御部80は、規制部70に取り付けられた保持部40を回転させる。
【0086】
<<保持部40の構成>>
図21に示すように、保持部40は、背板210と横板211とを有する。
【0087】
<背板210>
背板210は、スライド部91と平行な平面板である。
背板210の中央に、印圧シリンダ221が固定されている。
印圧シリンダ221の下には、スキージ装着部41が固定されている。
スキージ装着部41は、スキージ92を固定している。
印圧シリンダ221は、スキージ92を上下させるシリンダである。
印圧シリンダ221は、スクリーン印刷時にスキージ92に対して印圧を加えるシリンダである。
【0088】
<横板211>
横板211は、背板210の両端に固定された平面板である。
横板211は、側面視で、矩形形状あるいは台形形状をしている。
横板211は、背板210と直交している。
【0089】
<挟持部77>
図26の(a)に示すように、横板211には、挟持部77がある。
挟持部77は、2個のガイドローラ72と、2個のガイドカムフォロア73を有する。
ガイドローラ72は、スキージ92の先端部Cを中心にした円周上に配置されている。
ガイドカムフォロア73は、スキージ92の先端部Cを中心にした円周上に配置されている。
2個のガイドローラ72の回転軸と2個のガイドカムフォロア73との回転軸は、それぞれスキージ92の先端部Cを中心にした2本の半径の上に配置されている。
2本の半径の中心角αは、30度以上50度以下が好ましく、40度が好適である。
【0090】
<ピン212>
図26の(a)に示すように、横板211には、ピン212がある。
ピン212は、横板211から突き出た円柱棒である。
ピン212は、スキージ92の先端部Cの真上に配置されており、スキージ92の先端部Cを通る垂直線Lに配置されている。
【0091】
<<回転制御部80の構成>>
図21に示すように、回転制御部80は、左右にある。
1対の回転制御部80の左右幅は、曲面治具47の左右幅よりも小さい。
回転制御部80は、保持部40の下端に固定された足部801を有する。
足部801は、曲面治具47の曲面の表面を移動する足カムフォロア802を有する。
足部801は、足カムフォロア802を回転可能に取り付けている。
【0092】
図26の(a)に示すように、足部801は、横板211の下端の前後にある。
2個の足カムフォロア802の中心を結ぶ線は、スキージ92の先端部Cを通る垂直線Lと直交している。
2個の足カムフォロア802の半径は同じである。
2個の足カムフォロア802の中心とスキージ92の先端部Cを通る垂直線Lとの距離は同じである。
【0093】
<<規制部70の構成>>
図26の(c)に示すように、規制部70は、上下シリンダ93と上下板290とを有する。
上下シリンダ93と上下板290とは、それぞれ1対あり、スライド部91の左右に存在する。
上下シリンダ93は、スライド部91に対して固定されている。
上下シリンダ93は、上下板290を上下移動させるとともに、スクリーン印刷時に下方に向けて圧力を発生させる。
上下板290は、前後方向に平行な平面板である。
上下板290は、スライド部91と直交している。
上下板290は、側面視で、矩形形状あるいは台形形状をしている。
上下板290は、横板211と平行に配置されている。
上下板290の前後横幅は、横板211の前後横幅と同じ、又は、ほぼ同じである。
【0094】
<ガイドレール42>
図26の(c)に示すように、横板211の下端には、弧状のガイドレール42がある。
ガイドレール42は、全体が円弧形状をしており、円弧の中心はスキージ92の先端部Cであり、中心角は90度である。
ガイドレール42は、上面に山状の突出部45を有し、下面に、湾曲面を有する。
ガイドレール42の半径方向の断面は、ホームベース形状をした五角形である。
図21に示すように、ガイドレール42と挟持部77とは、上下板290と横板211との間に配置されている。
図26の(b)に示すように、ガイドレール42は、挟持部77をスキージ92の先端部Cを中心にして回転可能に取り付けている。
ガイドレール42は、スキージ92の先端部Cを中心にして保持部40が回転するように、保持部40の回転方向を規制する。
【0095】
挟持部77は、ガイドレール42を挟持しているため、挟持部77のガイドローラ72とガイドカムフォロア73は揺り椅子あるいは揺り籠のようにスイングすることが可能である。
【0096】
<規制穴291>
図26の(c)に示すように、横板211は弧状の規制穴291を有する。
規制穴291の中心は、スキージ92の先端部Cである。
規制穴291の中心角の好適な値は30度である。
図26の(b)に示すように、規制穴291は、ピン212を挿入して、ピン212を弧状にスライドさせる穴である。
規制穴291は、規制穴291の中心角の範囲内に、ピン212の回転を規制するものである。
【0097】
<バネ213>
図21に示すように、規制部70は1対のバネ213を有する。
バネ213は、スライド部91と横板211とに接続されている引っ張りバネである。
バネ213は、スキージ92の真上にあり、スキージ92の先端部Cを通る垂直線Lに配置されている。
【0098】
***動作の説明***
図27を用いて、スクリーン印刷装置100の印刷方法の詳細動作について説明する。
図28は、印刷動作を示す透視図である。
図28では、スクリーン95とスクリーン枠96とは図示していない。
以下の動作は、スクリーン印刷装置100に設けられた制御部110により実行される。
この実施の形態では、前横方向から後横方向に向かって印刷する場合を説明する。
【0099】
ステップS11:ワークセット工程
図20の支持柱62に曲面治具47が載せられた状態で、曲面治具47にワーク49を載せる。
曲面治具47とワーク49との曲面は、半径が一致しており、ワーク49は、曲面治具47に隙間なく配置される。
【0100】
ステップS12:テーブル移動工程
制御部110は、テーブル61を前横方向に移動させ、テーブル61を印刷部90の真下の位置で移動を止める。
【0101】
ステップS13:曲面治具上昇工程
テーブル61が曲面治具47を運んでくると、制御部110は、支持シリンダ55の支持ピン56を上昇させ、テーブル61を持ち上げ、曲面治具47を上昇させる。制御部110は、ワーク49とスクリーン枠96とが所定のクリアランスになるまで曲面治具47を上昇させる。
スクリーン枠96とワーク49との曲面は、半径が一致しており、ワーク49の全表面がスクリーン枠96に対して所定のクリアランスで配置される。
【0102】
ステップS24:印刷部セット工程
制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90をワーク49の前端に移動させる。
図26の(b)に示すように、保持部40と規制部70とは、バネ213により上下方向に整列しており、保持部40は規制部70に対して回転していない。
【0103】
<上下シリンダ93の下降>
制御部110は、上下シリンダ93を用いて規制部70の上下板290を下降させる。
上下シリンダ93により、上下板290に加わった圧力は、ガイドレール42に伝わる。ガイドレール42に伝わった圧力は、2個のガイドカムフォロア73に伝わり、さらに、横板211に伝わる。
横板211への下方への圧力は、保持部40全体を下降させることになる。
保持部40が下降すれば、バネ213が伸び始める。
また、保持部40が下降すれば、回転制御部80も下降する。
回転制御部80が下降すると、前の足カムフォロア802が曲面治具47の表面に接触して、前の足カムフォロア802が下降できなくなる。
制御部110が上下シリンダ93を用いて規制部70をさらに下降させると、バネ213が伸び、挟持部77はスキージ92の先端部Cを中心にして反時計回りにガイドレール42に沿って移動し始め、後の足カムフォロア802が下がり始める。
後の足カムフォロア802が下がると、後の足カムフォロア802が曲面治具47の表面に接触して、後の足カムフォロア802が下降できなくなる。
前の足カムフォロア802と後の足カムフォロア802とが曲面治具47の表面に接触すると、保持部40の下降が止まるり、上下シリンダ93を用いた規制部70の下降は止まる。
以上のように、保持部40が下降すると、回転制御部80が曲面治具47の表面に当たり、保持部40がスキージ92の先端部Cを中心にして回転する。こうして、スキージ92のアタック角度が角度θとなる。
【0104】
<印圧シリンダ221の下降>
制御部110は、印圧シリンダ221を用いてスキージ92を下降させ、スキージ92に印圧を加える。
ガイドレール42から2個のガイドカムフォロア73に加わった圧力は、回転制御部80が受けており、ガイドレール42から2個のガイドカムフォロア73に加わった圧力は、スキージ92に直接伝わらない。
印圧シリンダ221はスキージ92に対して印刷圧力を直接かけるために設けられている。
印圧シリンダ221からスキージ装着部41に加わった印圧は、スキージ92に伝わり、スキージ92の先端部Cに伝わる。
こうして、スキージ92の先端部Cには、印圧シリンダ221による印圧が伝わる。
図27の(a)に、印刷開始状態を示す。
【0105】
ステップS25:印刷工程
制御部110は、ロボシリンダ97により印刷部90を後方に移動させて印刷を開始する。
図28の下向きの矢印で示すように、制御部110は、印刷中、上下シリンダ93と印圧シリンダ221との両方に対して下方への圧力をかけたまま、印刷部90を後方に移動させて印刷する。
【0106】
印刷部90が後方に移動すると、足カムフォロア802は曲面治具47の表面を転がりながら後方に移動する。
足カムフォロア802が曲面治具47の表面を転がりながら前方から中央に移動すると、2個の足カムフォロア802を結ぶ直線が後下がりから水平に近づくので、挟持部77がスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に移動する。
図28の(b)に、ワーク49の中間時点の状態を示す。
【0107】
足カムフォロア802が曲面治具47の表面を転がりながら中央から後方に移動すると、2個の足カムフォロア802を結ぶ直線が水平から後上がりになるので、挟持部77がスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に移動する。
このように、回転制御部80は、スキージ92とワーク49とがなすアタック角度が角度θになるようにガイドレール42の回転を制御する。
【0108】
回転制御部80がスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に移動すると、挟持部77もスキージ92の先端部Cを中心にして時計回り方向に移動する。
印刷中は、スキージ92とワーク49とがなすアタック角度が角度θに保たれる。
図28の(c)に、ワーク49の印刷終了状態を示す。
【0109】
ステップS26:スキージ上昇工程
制御部110は、印刷が終了すると、上下シリンダ93により規制部70を上昇させ、印圧シリンダ221によりスキージ92を上昇させる。
規制部70が上昇すると、バネ213により保持部40がスキージ92の先端部Cを中心にして回転する。こうして、保持部40と規制部70とは、バネ213により上下方向に整列した状態に復帰し、保持部40は規制部70に対して回転していない状態となる。
制御部110は、スクレッパー310をスクレッパーシリンダ320により下降させる。
制御部110は、スクレッパー310でインクを戻しながら、ロボシリンダ97により印刷部90をワーク49の前端に移動させる。
【0110】
ステップS17:曲面治具下降工程
制御部110は、支持ピン56を下降させて、曲面治具47を下降させる。
【0111】
ステップS18:テーブル復帰工程
制御部110は、テーブル61を後横方向に移動させ、曲面治具47とワーク49とを搬出する。
その後、ワーク49を交換して、新たな印刷を開始する。
【0112】
このように、スクリーン印刷装置100は、保持部40にスキージ92を保持し、スキージ92の先端部Cを中心にして保持部40を回転させながらスクリーン印刷をする。
保持部40は、挟持部77を有し、挟持部77によりガイドレール42を挟持して、挟持部77の移動方向を規制しながらスクリーン印刷をする。
規制部70は、ガイドレール42を有し、ガイドローラ72とガイドカムフォロア73をガイドレール42に沿って移動させる。
このようにして、スクリーン印刷装置100は、曲面を有するワーク49に対してスキージ92のアタック角度を一定の角度θにしてスクリーン印刷をする。
【0113】
<実施の形態4の特徴>
実施の形態4では、曲面を有するワーク49に対してスクリーン印刷をするスクリーン印刷装置100を説明した。
スクリーン印刷装置100は、保持部40と規制部70と回転制御部80とを有する。
保持部40は、スキージ92を保持する。
規制部70は、スキージ92の先端を中心にして保持部40が回転するように、保持部40の回転方向を規制して保持部40を取り付けている。
回転制御部80は、規制部70に取り付けられた保持部40を回転させる。
【0114】
規制部70は、弧状のガイドレール42を有する。
保持部40は、ガイドレール42に対して回転可能に取り付けられた挟持部77を有する。
【0115】
挟持部77は、ガイドレール42を上下から挟んだガイドローラ72とガイドカムフォロア73とを有する。
ガイドレール42は、保持部40に下方への圧力を加える。
保持部40は、挟持部77により弧状のガイドレール42を挟持して、挟持部77の移動方向を規制しながらスクリーン印刷をする。
【0116】
規制部70は、保持部40を上下させる上下シリンダ93を有する。
保持部40は、スキージ92を上下させる印圧シリンダ221を有する。
【0117】
スクリーン印刷装置100は、ワーク49を載せる曲面治具47を使用する。
回転制御部80は、保持部40の前後に固定された足部801を有する。
足部801は、曲面治具47の曲面の表面を移動する。
【0118】
***実施の形態4の効果***
この実施の形態によれば、曲面のワークに対して、スクリーン印刷をすることができる。
この実施の形態によれば、回転制御部80により曲面を有するワークに対してスキージのアタック角度を一定にできる。
この実施の形態によれば、印圧シリンダ221が単独でスキージ92に対して所望の印圧をかけることができる。
この実施の形態によれば、規制穴291がピン212の移動範囲を制限するので、保持部40の規制部70に対する回転角度を規制することができる。
【0119】
***その他の構成***
保持部40にガイドレール42を設け、規制部70に挟持部77を設けてもよい。
ガイドローラ72とガイドカムフォロア73の数は、2個以上あればよい。
バネ213は、印刷部90の前方移動中に保持部40のふらつきを防止し保持部40を垂直に保つための機構であり、保持部40が規制部70に対してふらつかないのであれば、バネ213はなくてもよい。
規制部70は、左右になくてもよく、中央1箇所だけにあってもよい。
足部801は、足カムフォロア802を回転可能に保持した部分であり、足カムフォロア802を回転可能に保持していれば足部801の形状はどのようなものでもよい。
【0120】
***実施の形態の補足***
制御部110の機能は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実現してもよい。つまり、制御部110の一部をソフトウェアで実現し、制御部110の残りをハードウェアで実現してもよい。
【0121】
実施の形態は、好ましい形態の例示であり、本発明の技術的範囲を制限することを意図するものではない。実施の形態は、部分的に実施してもよいし、他の形態と組み合わせて実施してもよい。また、前述した実施の形態を組み合わせてもよい。
フローチャート等を用いて説明した手順は、本発明に係る方法またはプログラムの手順の一例である。
【符号の説明】
【0122】
40 保持部、41 スキージ装着部、42 ガイドレール、43 ブラケット、44 スライドカムフォロア、45 突出部、47 曲面治具、49 ワーク、50 筺体、51 基台、53 柱フレーム、54 梁フレーム、55 支持シリンダ、56 支持ピン、60 搬出入機構、61 テーブル、62 支持柱、64 ロボシリンダ、70 規制部、71 側板、72 ガイドローラ、73 ガイドカムフォロア、77 挟持部、80 回転制御部、81 リニアガイド、82 移動ブロック、83 ナット、84 ボールネジ、85 溝ブロック、86 スライド溝、87 駆動モータ、88 固定板、89 プーリベルト機構、90 印刷部、91 スライド部、92 スキージ、93 上下シリンダ、94 上下ベース板、95 スクリーン、96 スクリーン枠、97 ロボシリンダ、98 腕、99 移動機構、100 スクリーン印刷装置、110 制御部、111 信号線、112 レール、C 先端部、L 垂直線、210 背板、211 横板、212 ピン、213 バネ、221 印圧シリンダ、290 上下板、291 規制穴、310 スクレッパー、320 スクレッパーシリンダ、801 足部、802 足カムフォロア。