(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】粉体排出装置
(51)【国際特許分類】
B65D 90/54 20060101AFI20220104BHJP
B65G 65/40 20060101ALI20220104BHJP
F16K 1/00 20060101ALI20220104BHJP
F16K 1/38 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
B65D90/54 Z
B65G65/40 B
F16K1/00 E
F16K1/38 A
(21)【出願番号】P 2018009847
(22)【出願日】2018-01-24
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】591147786
【氏名又は名称】赤武エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】村越 正宏
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 忍
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-131914(JP,A)
【文献】特開2003-247658(JP,A)
【文献】特開2000-329240(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01468917(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/54
B65G 65/40
F16K 1/00
F16K 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器から粉体を排出するための粉体排出装置であって、
容器の排出口に接続される円筒状の入口部材が上部に設けられたケーシングと、前記入口部材の下端を閉塞する上昇位置と前記入口部材の下端を開放する下降位置との間を昇降自在に前記ケーシング内に配置された円錐状の弁体と、前記ケーシング内において前記弁体の下方に配置され、前記上昇位置と前記下降位置との間において前記弁体を昇降させると共に任意の位置で停止させる駆動装置とを備え
、
前記ケーシングの内部には前記駆動装置を覆う有底円筒状のシリンダカバーが固定され、前記弁体の下端と前記シリンダカバーの上端との間には円筒状のフレキシブルカバーが設けられている粉体排出装置。
【請求項2】
容器から粉体を排出するための粉体排出装置であって、
容器の排出口に接続される円筒状の入口部材が上部に設けられたケーシングと、前記入口部材の下端を閉塞する上昇位置と前記入口部材の下端を開放する下降位置との間を昇降自在に前記ケーシング内に配置された円錐状の弁体と、前記ケーシング内において前記弁体の下方に配置され、前記上昇位置と前記下降位置との間において前記弁体を昇降させると共に任意の位置で停止させる駆動装置とを備え、
前記ケーシングは、前記入口部材と、前記入口部材の外周に配置された環状板と、前記環状板の外周縁から下方に延びる円筒状の上側シュートと、前記上側シュートの下端から下方に延びる円筒状の下側シュートとを含み、
前記入口部材の外周面には環状のフランジが付設されていて前記フランジと前記環状板とが着脱自在に接続され、
前記環状板の外周縁と前記上側シュートの上端とが着脱自在に接続され、
前記上側シュートの下端と前記下側シュートの上端とが着脱自在に接続されている粉体排出装置。
【請求項3】
前記弁体と前記駆動装置とはフローティングジョイントを介して接続されている、請求項1
または2記載の粉体排出装置。
【請求項4】
前記弁体は、前記上昇位置において前記入口部材の下端と接触する弾性シール部材を含む、請求項1
から3までのいずれかに記載の粉体排出装置。
【請求項5】
前記弾性シール部材はゴム製である、請求項
4記載の粉体排出装置。
【請求項6】
前記シリンダカバーは前記ケーシングを貫通する中空の支持部材によって支持され、前記駆動装置のケーブルは前記支持部材の内部を通って前記ケーシングの外部へと延びている、請求項
1記載の粉体排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器から粉体を排出するための粉体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器から粉体を排出するための装置として、排出口にコーンバルブが装着された容器と、コーンバルブを上昇させることにより容器の排出口を開放して容器から粉体を排出させる排出ステーションとを備える粉体排出装置が知られている(たとえば特許文献1参照。)。排出ステーションは、容器の下端側部分が挿入される排出ホッパと、排出ホッパの上端側内周面に設けられ容器の下端側外周面に密着可能な伸縮式容器シールと、コーンバルブの下面に接触する円錐状の昇降体と、昇降体を昇降させる空気ばねと、昇降体の下端側外周面に設けられコーンバルブの下端側内周面に密着可能な伸縮式クランプシールと、昇降体の昇降ストロークを所定範囲内に制限する昇降ストローク制限ロッドとを含む。容器から排出ステーションの排出ホッパに粉体を排出する際は、排出ステーションの上部に容器を位置づけた上で、容器シールをエアで膨張させることにより容器の下端側外周面と排出ホッパの上端側内周面との間をシールすると共に、クランプシールをエアで膨張させることによりコーンバルブと昇降体とを結合させる。そして、空気ばねにエアを供給して昇降体と共にコーンバルブを上昇させて容器の排出口を開放する。これによって容器の排出口から排出ステーションの排出ホッパに粉体を排出することができる。また、上記粉体排出装置においては、昇降体の上昇量及び上昇時間を調整することによりコーンバルブの開放量及び開放時間を調整して、容器から排出ホッパへの粉体の排出量を制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記粉体排出装置においては、排出ステーションの構成(たとえば、空気ばね、クランプシール及びこれらのエア配管並びに昇降ストローク制限ロッド等)に起因して容器の排出口の小径化に限界があり、これに伴い排出量の精度を向上させるのが困難であった。
【0005】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、容器の排出口の小径化が可能であり、排出量の精度向上を図ることができる粉体排出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の第1側面が提供するのは以下の粉体排出装置である。すなわち、容器から粉体を排出するための粉体排出装置であって、容器の排出口に接続される円筒状の入口部材が上部に設けられたケーシングと、前記入口部材の下端を閉塞する上昇位置と前記入口部材の下端を開放する下降位置との間を昇降自在に前記ケーシング内に配置された円錐状の弁体と、前記ケーシング内において前記弁体の下方に配置され、前記上昇位置と前記下降位置との間において前記弁体を昇降させると共に任意の位置で停止させる駆動装置とを備え、前記ケーシングの内部には前記駆動装置を覆う有底円筒状のシリンダカバーが固定され、前記弁体の下端と前記シリンダカバーの上端との間には円筒状のフレキシブルカバーが設けられている粉体排出装置である。
また、上記課題を解決するために本発明の第2側面が提供するのは以下の粉体排出装置である。すなわち、容器から粉体を排出するための粉体排出装置であって、容器の排出口に接続される円筒状の入口部材が上部に設けられたケーシングと、前記入口部材の下端を閉塞する上昇位置と前記入口部材の下端を開放する下降位置との間を昇降自在に前記ケーシング内に配置された円錐状の弁体と、前記ケーシング内において前記弁体の下方に配置され、前記上昇位置と前記下降位置との間において前記弁体を昇降させると共に任意の位置で停止させる駆動装置とを備え、前記ケーシングは、前記入口部材と、前記入口部材の外周に配置された環状板と、前記環状板の外周縁から下方に延びる円筒状の上側シュートと、前記上側シュートの下端から下方に延びる円筒状の下側シュートとを含み、前記入口部材の外周面には環状のフランジが付設されていて前記フランジと前記環状板とが着脱自在に接続され、前記環状板の外周縁と前記上側シュートの上端とが着脱自在に接続され、前記上側シュートの下端と前記下側シュートの上端とが着脱自在に接続されている粉体排出装置である。
【0007】
好ましくは、前記弁体と前記駆動装置とはフローティングジョイントを介して接続されている。前記弁体は、前記上昇位置において前記入口部材の下端と接触する弾性シール部材を含むのが好適である。前記弾性シール部材はゴム製であるのが好都合である。前記シリンダカバーは前記ケーシングを貫通する中空の支持部材によって支持され、前記駆動装置のケーブルは前記支持部材の内部を通って前記ケーシングの外部へと延びているのが好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明が提供する粉体排出装置においては、容器の排出口に接続される円筒状の入口部材が上部に設けられたケーシングと、前記入口部材の下端を閉塞する上昇位置と前記入口部材の下端を開放する下降位置との間を昇降自在に前記ケーシング内に配置された円錐状の弁体と、前記ケーシング内において前記弁体の下方に配置され、前記上昇位置と前記下降位置との間において前記弁体を昇降させると共に任意の位置で停止させる駆動装置とを備えることから、空気ばね、クランプシール及びこれらのエア配管並びに昇降ストローク制限ロッドを備える従来の粉体排出装置と比較して、容器から粉体を排出するための機構が簡易に構成され得るので、容器の排出口の小径化が可能であり、排出量の精度向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に従って構成された粉体排出装置の断面図。
【
図2】
図1に示す弁体が下降位置に位置する状態の粉体排出装置の断面図。
【
図3】
図1におけるA方向からみた粉体排出装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に従って構成された粉体排出装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1において全体を符号2で示す粉体排出装置は、ケーシング4と、昇降自在にケーシング4内に配置された円錐状の弁体6と、ケーシング4内において弁体6の下方に配置され、弁体6を昇降させると共に任意の位置で停止させる駆動装置とを備える。図示の実施形態では駆動装置として電動シリンダ8を例に挙げて説明する。
【0012】
ステンレス鋼等の適宜の金属材料から形成され得るケーシング4は、図示の実施形態では
図1に示すとおり、上下方向に延びる円筒状の入口部材10と、入口部材10の外周に配置された環状板12と、環状板12の外周縁から下方に延びる円筒状の上側シュート14と、上側シュート14の下端から下方に延びる円筒状の下側シュート16とを含む。入口部材10はケーシング4の上部に設けられており、入口部材10の上端はヘルールクランプ18を介して容器20の排出口に着脱自在に接続される。入口部材10の下端は、環状板12の下面よりも下方に突出しており、実質上水平に延在している。また、入口部材10の外周面には環状のフランジ22が付設され、環状板12の内周縁側の上面に固定された複数の雄ねじ24と複数の蝶ナット26とのねじ結合により、入口部材10のフランジ22と環状板12の内周縁部とが着脱自在に接続されている。環状板12の外周縁と上側シュート14の上端とはヘルールクランプ28を介して着脱自在に接続されている。上側シュート14の外周面には、上側シュート14の径方向において互いに対面する位置に一対の点検窓30が設けられている。
図3に示すとおり、円形の窓ガラス32はヘルールクランプ34を介して上側シュート14の外周面に着脱自在に装着されている。また、上側シュート14の下端と下側シュート16の上端とはヘルールクランプ36を介して着脱自在に接続されている。なお、ケーシング4の各部材同士の接続や、入口部材10と容器20との接続については、ヘルールクランプに代えて、たとえばボルト・ナットを用いてもよい。
【0013】
図1ないし
図4を参照することによって理解されるとおり、下側シュート16には、下側シュート16の周方向に等間隔をおいて下側シュート16を貫通して下側シュート16の径方向に延びる3個の中空の支持部材38が固定されている。これら3個の支持部材38によって、下側シュート16の内部に配置され上下方向に延びる有底円筒状のシリンダカバー40が支持されている。このシリンダカバー40の上端には、環状のシリンダブラケット42がボルト44により固定されている。シリンダブラケット42の内周縁側の下面には電動シリンダ8のハウジング46がボルト(図示していない。)により固定されており、電動シリンダ8はシリンダカバー40によって覆われている。電動シリンダ8は、ボールねじ(図示していない。)によりモータ48の回転運動を直線運動に変換してロッド50を進退させると共に任意の位置で停止させる公知の構成でよい。図示の実施形態では、電動シリンダ8のロッド50はシリンダブラケット42の開口42aを通って上下方向に進退するようになっている。また、シリンダカバー40の内部と支持部材38の内部とは連通しており、電動シリンダ8のケーブル(図示していない。)は、支持部材38の内部を通ってケーシング4の外部へと延びている。なお、支持部材38の外側端部には、電動シリンダ8のケーブルを保護及び保持するための円筒状のケーブルクランプ51が装着されている。
【0014】
図1及び
図2に示すとおり、電動シリンダ8のロッド50の先端には、実質上水平に延在する昇降板52が固定されている。この昇降板52には、ロッド50の両側において上下方向に延びる円柱状の一対のガイド棒54が接続されている。ガイド棒54の上端側外周面には雄ねじ54aが形成され、ガイド棒54の雄ねじ54aとナット56とのねじ結合により、昇降板52とガイド棒54とが接続されている。ガイド棒54の下端側は、シリンダブラケット42に装着されたリニアブッシュ58に摺動自在に嵌合している。そして、電動シリンダ8のロッド50が上下方向に進退する際は、ガイド棒54とリニアブッシュ58との協働によってロッド50がガイドされ、ロッド50の進行方向のブレが防止される。
【0015】
図示の実施形態では
図1及び
図2に示すとおり、昇降板52の上面にはフローティングジョイント60が固定され、フローティングジョイント60の上端には弁体6の下端が接続されている。すなわち、弁体6と電動シリンダ8とはフローティングジョイント60を介して接続されており、弁体6は昇降板52に対して任意の方向に傾くことができるようになっている。図示の実施形態における弁体6は、中空円錐状の主部62と、主部62の下端に配置された環状の弾性シール部材64と、弾性シール部材64の下端に配置された環状の受け板66と、受け板66の下方かつ径方向内方に配置された円形状の押え板68とを含む。弁体6の主部62の径方向中心は入口部材10の径方向中心に整合するように位置づけられている。弾性シール部材64は円錐台形状に形成され、弾性シール部材64の外周面は主部62の外面に連なっている。弾性シール部材64はゴム製であるのが好都合であり、特にシリコンゴム製であるのがより好都合である。主部62、受け板66及び押え板68はステンレス鋼等の金属材料から形成され得る。
図1及び
図2に示すとおり、主部62と弾性シール部材64と受け板66と押え板68とは複数のボルト70によって固定されており、弾性シール部材64は主部62の下面と受け板66の上面とで挟み込まれている。受け板66の外周縁には下方に延びるスカート部66aが形成されている。押え板68には、後述のバイブレータ76に接続されるエア配管(図示していない。)が通る貫通孔68aが形成されていると共に、周面下端から径方向外方に突出する環状の押え部68bが形成されている。また、押え板68の下面にフローティングジョイント60の上端が接続されている。そして、フローティングジョイント60を介して電動シリンダ8に接続された弁体6は、入口部材10の下端に接触して入口部材10の下端を閉塞する上昇位置(
図1に示す位置)と、入口部材10の下端から下方に離間して入口部材10の下端を開放する下降位置(
図2に示す位置)との間において電動シリンダ8によって昇降されると共に任意の位置で停止される。また、弁体6が上昇位置に位置づけられると、
図1に示すとおり、入口部材10の下端と弾性シール部材64の外周面とが接触するようになっている。
【0016】
図1及び
図2に示すとおり、弁体6の下端とシリンダカバー40の上端との間には円筒状のフレキシブルカバー72が設けられている。弁体6の下降量に応じて適宜の形状に変形可能なフレキシブルカバー72は、耐久性の観点から、汎用のシリコンゴムより引裂強さの優れた高引裂きシリコンゴムから形成されているのが好適である。フレキシブルカバー72の上端は、受け板66のスカート部66aの内面と、押え板68の押え部68bの先端部とで挟み込まれて支持されている。一方、フレキシブルカバー72の下端は、シリンダブラケット42の上面から上方に突出する環状の受け壁42bの外面と、シリンダブラケット42の外周縁側の上面にボルト44で固定された環状の押え部材74の内面とで挟み込まれて支持されている。このようにフレキシブルカバー72が弁体6の下端とシリンダカバー40の上端との間に設けられていることにより、弁体6の内部やシリンダカバー40の内部への粉体の侵入が防止されると共に、弁体6を下降位置に位置づけた状態で入口部材10の上方からケーシング4の内部に洗浄液を供給し、ケーシング4の内面、弁体6の外面、フレキシブルカバー72の外面及びシリンダカバー40の外面を洗浄する際(すなわち、粉体排出装置2を分解せずに洗浄する際)に、弁体6の内部やシリンダカバー40の内部への洗浄液の侵入が防止される。また、図示の実施形態では
図1及び
図2に示すとおり、弁体6の主部62の内面にはエア駆動式のバイブレータ76が装着されている。図示していないが、バイブレータ76のエア配管は、バイブレータ76から押え板68の貫通孔68aを通って下方に延び、そして支持部材38の内部を通って外部へと延びている。
【0017】
上述したとおりの粉体排出装置2により容器20から粉体を排出する際は、電動シリンダ8で
図2に示す下降位置に弁体6を位置づけ、入口部材10の下端を開放する。そうすると、容器20に収容されていた粉体は、入口部材10の下端と弁体6の上面との間を通って容器20から排出され、そして、フレキシブルカバー72の外面及びシリンダカバー40の外面と、上側シュート14の内面及び下側シュート16の内面との間に規定された環状の粉体通路を通って、下側シュート16の下端から排出される。また、粉体排出装置2においては、電動シリンダ8により弁体6の下降量、下降時間(上昇位置から下降して再び上昇位置に戻るまでの時間)、昇降速度及び加速度を適宜調整することにより入口部材10の下端の開放量及び開放時間を調整して、容器20からの粉体の排出量を制御することができる。さらに、粉体排出装置2においては、適宜バイブレータ76を作動させて容器20内の粉体に振動を付与することにより、いわゆるブリッジやラットホールの形成を防止して容器20内の粉体の排出を促進することができる。
【0018】
以上のとおり図示の実施形態では、容器20の排出口に接続される円筒状の入口部材10が上部に設けられたケーシング4と、入口部材10の下端を閉塞する上昇位置と入口部材10の下端を開放する下降位置との間を昇降自在にケーシング4内に配置された円錐状の弁体6と、ケーシング4内において弁体6の下方に配置され、上昇位置と下降位置との間において弁体6を昇降させると共に任意の位置で停止させる電動シリンダ8とを備えることから、空気ばね、クランプシール及びこれらのエア配管並びに昇降ストローク制限ロッドを備える従来の粉体排出装置と比較して、容器20から粉体を排出するための機構が簡易に構成され得るので、容器20の排出口の小径化が可能であり、排出量の精度向上を図ることができる。
【0019】
図示の実施形態では、弁体6と電動シリンダ8とはフローティングジョイント60を介して接続されており、弁体6は昇降板52に対して任意の方向に傾くことができるようになっているため、入口部材10の下端が昇降板52に対して平行でない場合や、入口部材10の径方向中心と弁体6の径方向中心とが整合していない場合でも、弁体6が上昇位置に位置づけられた際に、入口部材10の下端に可能な限り密着するように弁体6が傾き、入口部材10の下端と弁体6の上面との間に実質的に隙間が生じることがない。したがって粉体排出装置2においては、弁体6が上昇位置に位置づけられた際、入口部材10の下端から粉体が漏れることがなく良好なシール性が実現される。また、図示の実施形態における弁体6は、上昇位置において入口部材10の下端と接触する弾性シール部材64を含むので、入口部材10の下端と接触する部分が金属製である場合(メタルタッチの場合)と比較してシール性の向上を図ることができる。さらに、弾性シール部材64がシリコンゴム製である場合には、入口部材10と弾性シール部材64との間に生じる摩擦力が比較的小さいので、入口部材10の下端が昇降板52に対して平行でないときや、入口部材10の径方向中心と弁体6の径方向中心とが整合していないときにおいて、弁体6が上昇位置に位置づけられた際に、入口部材10の下端に可能な限り密着するように弁体6が傾きやすく、入口部材10の下端と弁体6の上面との間の隙間がより生じにくくなる。
【0020】
図示の実施形態におけるケーシング4は、入口部材10と、入口部材10の外周に配置された環状板12と、環状板12の外周縁から下方に延びる上側シュート14と、上側シュート14の下端から下方に延びる下側シュート16とを含み、入口部材10のフランジ22と環状板12とが着脱自在に接続され、環状板12の外周縁と上側シュート14の上端とが着脱自在に接続され、上側シュート14の下端と下側シュート16の上端とが着脱自在に接続されているから、これらの接続を解除することによりケーシング4を容易に分解することができ、ケーシング4の内面、弁体6の外面、フレキシブルカバー72の外面及びシリンダカバー40の外面を容易に洗浄することができる。さらに、ケーシング4を分解した上で、シリンダカバー40とシリンダブラケット42と押え部材74とを固定しているボルト44を緩めることにより、これらの部材を容易に分解することができ、弁体6、フレキシブルカバー72及びシリンダカバー40の内部の洗浄だけでなく、これらの部品の修理や交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0021】
2:粉体排出装置
4:ケーシング
6:弁体
8:電動シリンダ
10:入口部材
12:環状板
14:上側シュート
16:下側シュート
20:容器
22:フランジ
38:支持部材
40:シリンダカバー
60:フローティングジョイント
64:弾性シール部材
72:フレキシブルカバー