(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】熱交換器内の液滴の存在を除去するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F28F 17/00 20060101AFI20220104BHJP
F28F 27/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
F28F17/00 501D
F28F27/00 511Z
(21)【出願番号】P 2019568389
(86)(22)【出願日】2018-06-13
(86)【国際出願番号】 SE2018050612
(87)【国際公開番号】W WO2018231132
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-11
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518253185
【氏名又は名称】クリメオン エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アールボム,エスコ
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/167912(WO,A1)
【文献】特表2015-520355(JP,A)
【文献】特表2017-502238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 17/00,27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器(1)において第2の媒体によって加熱されるように配設された第1の媒体内の液滴の存在を除去するためのシステムであって、前記熱交換器(1)は、(i)前記第1の媒体のための入口ポート(2)および出口ポート(3)と、(ii)前記第2の媒体のための入口ポート(6)および出口ポート(7)とを有し、前記第2の媒体は前記第1の媒体に熱を伝達し、
前記システムは、
a)前記熱交換器(1)を出ていく前記第1の媒体の温度を測定するように構成されている第1の温度センサアレイ(10)であって、前記第1の温度センサアレイ(10)は少なくとも1つの温度センサを含む、第1の温度センサアレイ(10)と、
b)少なくとも、前記熱交換器および前記第1の温度センサアレイ(10)への前記第1の媒体のフローを調整するためのデバイス(40、41)に接続されたコントローラ(50)と
を含むシステムであって、
前記システムは、前記コントローラ(50)に接続され、前記熱交換器(1)に入る前記第2の媒体の温度を測定するように構成された、第2の温度センサアレイ(15)をさらに含み、前記第2の温度センサアレイ(15)は少なくとも1つの温度センサを含み、
前記コントローラ(50)は、前記熱交換器(1)への前記第1の媒体のフローを調整するための前記デバイス(40、41)を、前記第1の温度センサアレイ(10)および前記第2の温度センサアレイ(15)から受信したデータに基づいて制御するように構成され、
前記コントローラ(50)は、前記第2の温度センサアレイ(15)と前記第1の温度センサアレイ(10)との間の測定された温度差が設定温度(T
set)より高い場合には、前記第1の媒体のフローを調整するための前記デバイス(40、41)を、前記熱交換器(1)への前記第1の媒体の前記フローを削減するように制御するように構成され、
前記設定温度よりも高い温度差は、第1の媒体の前記出口ポートを通過する液滴の存在を示し、
前記コントローラ(50)は、前記第2の温度センサアレイ(15)と前記第1の温度センサアレイ(10)との間の測定された温度差が前記設定温度(T
set)以下となるまで、前記第1の媒体のフローを調整するための前記デバイス(40、41)を、前記熱交換器への前記第1の媒体の前記フローを削減するように制御するように構成される、
ことを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記第1の温度センサアレイ(10)は、第1の温度センサA(10A)および第1の温度センサB(10B)である少なくとも2つの温度センサを含み、前記コントローラ(50)は、前記第2の温度センサアレイ(15)と、前記第1の温度センサA(10A)および前記第1の温度センサB(10B)のいずれかとの間の測定された温度差が前記設定温度(T
set)よりも高い場合には、前記第1の媒体のフローを調整するための前記デバイス(40、41)を、前記熱交換器(1)への前記第1の媒体の前記フローを削減するように制御するように構成され、前記コントローラ(50)は、前記第2の温度センサアレイ(15)と、前記第1の温度センサA(10A)および前記第1の温度センサB(10B)のいずれかとの間の測定された温度差が、前記設定温度(T
set)以下となるまで、前記第1の媒体のフローを調整するための前記デバイス(40、41)を、前記熱交換器への前記第1の媒体の前記フローを削減するように制御するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の温度センサアレイ(10)は、前記第1の媒体の熱交換器出口ポート(3)において、(i)前記第1の媒体の前記熱交換器出口ポート(3)の前、(ii)前記第1の媒体の前記熱交換器出口ポート(3)、および/または(iii)前記第1の媒体の前記熱交換器出口ポート(3)の後
の位置に配設される、請求項
2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の温度センサA(10A)および前記第1の温度センサB(10B)は、(i)前記第1の媒体の熱交換器出口ポート(3)からほぼ等しい距離に、または(ii)前記第1の媒体の熱交換器出口ポート(3)から等しくない距離に配置される、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の温度センサA(10A)および前記第1の温度センサB(10B)は、(i)前記第1の媒体の熱交換器出口ポート(3)の前に、(ii)前記第1の媒体の熱交換器出口ポート(3)に、および/または(iii)前記第1の媒体の熱交換器出口ポート(3)の後に、周方向位置0~360°に配置され
る、請求項2から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記設定温度(T
set)は前記システムのプロセス条件に依存し
、前記プロセス条件は以下のこと、すなわち、第1の媒体として使用される媒体の種類、第2の媒体として使用される媒体の種類、前記システム内の圧力およびフロー、周囲温度、選択された過熱温度(ΔT
overheat)、前記熱交換器の入口ポート6と出口ポート7との間の前記第2の媒体の温度差、のうちの少なくとも1つである、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記設定温度は
、10℃
である、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、比例積分微分(PID)コントローラ、またはプログラマブルロジックコントローラ(PLC)内のPIDコントローラである、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1および第2の温度センサアレイ(10、15)の前記温度センサのうちの前記少なくとも1つは抵抗温度検出器
である、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1および第2の温度センサアレイ(10、15)の前記温度センサのうちの前記少なくとも1つは、少なくとも1つの温度測定ワイヤ(10A)であ
る、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
熱交換器(1)において第2の媒体によって加熱されるように配設された第1の媒体内の液滴の存在を除去するための方法であって、前記方法は、
a.第2の媒体および第1の媒体を、前記第2の媒体から前記第1に媒体に熱を伝達するために熱交換器(1)を通して誘導するステップであって、前記熱交換器(1)は、
i.前記第1の媒体のための入口ポート(2)および出口ポート(3)であって、前記第1の媒体は、それに対して熱が伝達される媒体である、入口ポート(2)および出口ポート(3)と、
ii.前記第1の媒体に熱を伝達する第2の媒体のための入口ポート(6)および出口ポート(7)と
を含む、ステップと、
b.前記熱交換器(1)への前記第1の媒体
のフローを、前記フローを調整するためのデバイス(40、41)を使用して調整するステップと、
c.前記熱交換器(1)を出ていく前記第1の媒体の温度を、第1の温度センサアレイ(10)を使用して測定するステップであって、前記第1の温度センサアレイ(10)は、少なくとも1つの温度センサを含む、ステップと
を含み、
d.前記熱交換器(1)に入る前記第2の媒体の温度を、第2の温度センサアレイ(15)を使用して測定するステップであって、前記第2の温度センサアレイ(15)は、少なくとも1つの温度センサを含む、ステップと、
e.前記熱交換器(1)への前記第1の媒体のフローを調整するための前記デバイス(40、41)を、前記第1の温度センサアレイ(10)および第2の温度センサアレイ(15)から受信したデータに基づいて、少なくとも、(i)前記熱交換器(1)への前記第1の媒体の前記フローを調整するための前記デバイス(40、41)、(ii)第1の温度センサアレイ(10)、および(iii)第2の温度センサアレイ(15)、に接続されたコントローラ(50)を使用して制御するステップと、
f.前記第1の温度センサアレイ(10)および第2の温度センサアレイ(15)から受信したデータを比較するステップと、
g.前記第2の温度センサアレイ(15)と前記第1の温度センサアレイ(10)との間の測定された温度差が設定温度(T
set)よりも高い場合には、前記熱交換器への前記第1の媒体の前記フローを削減するステップであって、前記設定温度よりも高い温度差は、前記第1の媒体の前記熱交換器
の前記出口ポート(3)を通過する液滴の存在を示し、前記コントローラ(50)は、前記第2の温度センサアレイ(15)と前記第1の温度センサアレイ(10)との間の測定された温度差が、前記設定温度(T
set)以下となるまで、前記フローを調整するための前記デバイス(40、41)を、前記熱交換器(1)への前記第1の媒体の前記フローを削減するように制御するように構成される、ステップと
を特徴とする、方法。
【請求項12】
前記第1の温度センサアレイ(10)は、第1の温度センサA(10A)および第1の温度センサB(10B)である2つの温度センサを含み、前記コントローラ(50)は、前記第2の温度センサアレイ(15)と、前記第1の温度センサA(10A)および前記第1の温度センサB(10B)のいずれかとの間の測定された温度差が前記設定温度(T
set)よりも高い場合には、前記フローを調整するための前記デバイス(40、41)を、前記熱交換器(1)への前記第1の媒体の前記フローを削減するように制御するように構成され、前記コントローラ(50)は、前記第2の温度センサアレイ(15)と、前記第1の温度センサA(10A)および前記第1の温度センサB(10B)のいずれかとの間の測定された温度差が、前記設定温度(T
set)以下となるまで、前記フローを調整するための前記デバイス(40、41)を、前記熱交換器(1)への前記第1の媒体の前記フローを削減するように制御するように構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記設定温度(T
set)の値を設定するステップであって、前記設定温度(T
set)の値は
、システムのプロセス条件に依存して設定され
、前記プロセス条件は以下のこと、すなわち、第1の媒体として使用される媒体の種類、第2の媒体として使用される媒体の種類、前記システム内の圧力およびフロー、周囲温度、選択された過熱温度ΔT
overheat、前記熱交換器の入口ポート6と出口ポート7との間の前記第2の媒体の温度差、のうちの少なくとも1つである、ステップを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記設定温度の値は、10℃
に設定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
発電プラントにおける請求項1から10のいずれか一項に記載の前記システムまたは請求項11から14のいずれか一項に記載の方法の使用であって
、前記発電プラントは、ランキンサイクル、カリーナサイクル、炭素担体サイクルおよびカルノーサイクルからなる群から選択された熱力学的サイクルを採用し
、前記発電プラントは、循環する第1の媒体と、前記第1の媒体が第2の媒体によって加熱されるように配設される熱交換器(1)であって、前記熱交換器は気体を生成する前記第1の媒体を沸騰または蒸発させるように構成される、熱交換器と、前記気体を膨張させつつ電力を生成するように構成された発電デバイス(25)に連結されたタービン(20)と、前記発電デバイスを通過してしまった前記気体を凝縮するように構成された凝縮器装置(30)と、前記熱交換器(1)への前記凝縮された第1の媒体のフローを調整するためのデバイス(40、41)とを含む、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器内の液滴の存在を除去するためのシステムおよび方法に関し、すなわち、本発明は、液滴センサを含むシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンは、ランキンサイクル、カリーナサイクル、炭素担体サイクル、カルノーサイクルなどの熱力学的パワーサイクルによって運転される発電プラントなどの発電プラントで使用される必須要素である。発電プラントでは、液体は乾燥気体に変換されるまで加熱され、次いで、乾燥した気体は仕事をするためにタービンに入る。液体は通常、熱交換器内で加熱され、生成された乾燥気体は、加熱されるために媒体の出口ポートから出ていく。
【0003】
発電プラントでしばしば発生する問題は、気体が完全に乾燥していないこと、すなわち、気体中に液滴が存在することである。熱交換器から出ていく高速で動く液滴の勢いは、タービン翼を損傷し、タービンの寿命を縮める。通常、タービンは発電プラントの最も高価な部品であり、したがって、損傷したタービン翼を有するタービンを修理または交換するコストを削減する必要がある。同様の問題は、熱交換器に連結されたコンプレッサでも発生し、すなわち、水滴がコンプレッサを損傷する。したがって、コンプレッサの修理または交換するコストを削減する必要もある。
【0004】
特許文献1は、被蒸発流体内の液体内容物の存在を検出するためのセンサ装置を含むプレート式熱交換器に関する。センサ装置は、温度(Tm)センサと圧力(Pm)センサとを含んでおり、したがって圧力の測定に依存する。さらに、センサ装置は、熱交換器が蒸発器として使用されるシステムに配置される。したがって、センサ装置は、ボイラとして使用される熱交換器での使用に適合されていないように見える。さらに、特許文献1のシステムはコンプレッサを含んでおり、すなわち、蒸発した液体はコンプレッサへ導かれる。したがって、あたかもセンサ装置は、発電用のタービンを含むシステムで使用されるように適合されていないように見える。さらに、特許文献1に記載されているシステムでは、第2の媒体(すなわち、蒸発させられるべき第1の媒体に熱を伝達する媒体)の温度は測定されず、第1の媒体の出口ポートでの液滴の検出精度および/または正確さの低下につながる。
【0005】
さらに、いくつかの従来技術のシステムでは、タービンへ導かれる気体から液滴を分離するためのデバイスが存在する。こうした液滴分離器は、第1の媒体(すなわち作動媒体)の出口とタービンとの間に配置される。ただし、液滴分離器はシステム内でスペースをとり、さらには、システムをより高価にする追加コストになる。そのため、スペース高率およびコスト高率の両方がよいシステムの必要性がある。
【0006】
したがって、上記に鑑み、圧力の測定に依存しない、熱交換器内の液滴の存在を除去するためのシステムおよび方法の必要性がある。さらに、タービンと一緒に使用されるように適合された、熱交換器内の液滴の存在を除去するためのシステムおよび方法の必要性がある。さらに、ボイラである熱交換器と一緒に使用されるように適合された、熱交換器内の液滴の存在を除去するためのシステムおよび方法の必要性がある。加えて、第1の媒体の出口ポートにおける液滴のより精度のよいおよび/または正確な検出の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の目的は、熱交換器内の液滴の存在を除去するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、圧力の測定に依存しない、熱交換器内の液滴の存在を除去するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、タービンと一緒に使用されるように適合された、熱交換器内の液滴の存在を除去するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、ボイラとして構成された、熱交換器内の液滴の存在を除去するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、蒸発器として構成された、熱交換器内の液滴の存在を除去するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、液滴の検出において精度のよいおよび/または正確な、熱交換器内の液滴の存在を除去するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、タービンの修理および交換のコストを削減することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、コンプレッサの修理および交換のコストを削減することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、費用効果の高い、熱交換器内の液滴の存在を除去するためのシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、本発明の第1および第2の態様によって達成される。さらに重要なことには、従来技術に関連する複雑な一連の問題および欠点が、本発明の第1および第2の態様によって解決される。
【0017】
本発明の第1の態様では、熱交換器において第2の媒体によって加熱されるように配設された第1の媒体内の液滴の存在を除去するためのシステムであって、熱交換器は、(i)第1の媒体のための入口ポートおよび出口ポートと、(ii)第2の媒体のための入口ポートおよび出口ポートとを有し、第2の媒体は第1の媒体に熱を伝達し、
システムは、
a)熱交換器を出ていく第1の媒体の温度を測定するように構成されている第1の温度センサアレイであって、第1の温度センサアレイは少なくとも1つの温度センサを含む、第1の温度センサアレイと、
b)少なくとも、熱交換器および第1の温度センサアレイへの第1の媒体のフローを調整するためのデバイス、に接続されたコントローラと
を含むシステムであって、
システムは、コントローラに接続され、熱交換器に入る第2の媒体の温度を測定するように構成された、第2の温度センサアレイをさらに含み、第2の温度センサアレイは少なくとも1つの温度センサを含み、
コントローラは、熱交換器への第1の媒体のフローを調整するためのデバイスを、第1の温度センサアレイおよび第2温度センサアレイから受信したデータに基づいて制御するように構成され、
コントローラは、第2の温度センサアレイと第1の温度センサアレイとの間の測定された温度差が設定温度より高い場合には、第1の媒体のフローを調整するためのデバイスを、熱交換器への第1の媒体のフローを削減するように制御するように構成され、
設定温度よりも高い温度差は、第1の媒体の出口ポートを通過する液滴の存在を示し、
コントローラは、第2の温度センサアレイと第1の温度センサアレイとの間の測定された温度差が設定温度以下となるまで、第1の媒体のフローを調整するためのデバイスを、熱交換器への第1の媒体のフローを削減するように制御するように構成される、
ことを特徴とする、システムが提供される。
【0018】
一実施形態では、第1の温度センサアレイは、第1の温度センサAおよび第1の温度センサBである2つの温度センサを含み、コントローラは、第2の温度センサアレイと、第1の温度センサAおよび第1の温度センサBのいずれかとの間の測定された温度差が設定温度よりも高い場合には、第1の媒体のフローを調整するためのデバイスを、熱交換器への第1の媒体のフローを削減するように制御するように構成され、コントローラは、第2の温度センサアレイと、第1の温度センサAおよび第1の温度センサBのいずれかとの間の測定された温度差が、設定温度以下となるまで、第1の媒体のフローを調整するためのデバイスを、熱交換器への第1の媒体のフローを削減するように制御するように構成される。
【0019】
一実施形態では、第2の温度センサアレイは、第2の温度センサCおよび第2の温度センサDである2つの温度センサを含む。
【0020】
一実施形態では、第1の媒体は、熱交換器において第2の媒体によって、沸騰または蒸発させられ、選択された過熱温度まで過熱される、ように配設される。一実施形態では、したがって、熱交換器は、例えば、プレート式熱交換器、プレート&シェル熱交換器、プレートフィン熱交換器、およびシェルアンドチューブ熱交換器からなる群から選択される、ボイラまたは蒸発器として構成される。
【0021】
一実施形態では、第1の温度センサアレイは、第1の媒体の熱交換器出口ポート(3)内の、(i)第1の媒体の熱交換器出口ポートの前、(ii)第1の媒体の熱交換器出口ポート、および/または(iii)第1の媒体の熱交換器出口ポートの後、の位置で、好ましくは第1の媒体を熱交換器から遠くへ誘導するチューブ(すなわちパイプ)内に、配設される。
【0022】
一実施形態では、第1の温度センサAおよび第1の温度センサBは、(i)第1の媒体の熱交換器出口ポートからほぼ等しい距離に、または(ii)第1の媒体の熱交換器出口ポートから等しくない距離に、配置される。
【0023】
一実施形態では、第1の温度センサAおよび第1の温度センサBは、(i)第1の媒体の熱交換器出口ポートの前に、(ii)第1の媒体の熱交換器出口ポートに、および/または(iii)第1の媒体の熱交換器出口ポートの後に、周方向位置0~360°に配置され、好ましくは、第1の温度センサAおよび第1の温度センサBは、(i)トップ位置に、および/または(ii)ボトム位置に、および/または(iii)周方向位置内で+/-45°の角度に、および/または(iv)出口ポート内のどこにでも、配置される。
【0024】
一実施形態では、設定温度はシステムのプロセス条件に依存し、好ましくは、プロセス条件は以下のこと、すなわち、第1の媒体として使用される媒体の種類、第2の媒体として使用される媒体の種類、システム内の圧力およびフロー、周囲温度、選択された過熱温度、熱交換器の入口ポートと出口ポートとの間の第2の媒体の温度差、のうちの少なくとも1つである。
【0025】
一実施形態では、設定温度は、好ましくは10℃、より好ましくは5℃、さらにより好ましくは3℃、最も好ましくは2℃である。
【0026】
一実施形態では、コントローラは、比例積分微分(PID)コントローラ、またはプログラマブルロジックコントローラ(PLC)内のPIDコントローラである。
【0027】
一実施形態では、第1および第2の温度センサアレイの温度センサのうちの少なくとも1つは、抵抗温度検出器である。
【0028】
一実施形態では、第1および第2の温度センサアレイの温度センサのうちの少なくとも1つは、白金抵抗温度計である。
【0029】
一実施形態では、第1および第2の温度センサアレイの温度センサのうちの少なくとも1つは、0℃における公称抵抗10から1000オームを有する白金抵抗温度計、好ましくは0℃における公称抵抗100オームを有する白金抵抗温度計である。
【0030】
一実施形態では、第1および第2の温度センサアレイの温度センサのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの温度測定ワイヤである。
【0031】
一実施形態では、第1および第2の温度センサアレイの温度センサのうちの少なくとも1つは、互いに交差していてもしていなくてもよい2つの温度測定ワイヤを含む。
【0032】
一実施形態では、第1および第2の温度センサアレイの温度センサのうちの少なくとも1つは、互いに対して平行に、垂直に、または任意の角度のいずれかで構成された2つの温度測定ワイヤを含む。
【0033】
一実施形態では、第1および第2の温度センサアレイの温度センサの少なくとも1つは、4つの温度測定ワイヤであって、ワイヤのうちの2つは互いに対して平行に構成され、一方他の2つのワイヤは互い平行に構成されると同時に、他の2つのワイヤに対して垂直に構成される、4つの温度測定ワイヤを含む。
【0034】
本発明の第2の態様では、熱交換器において第2の媒体によって加熱されるように配設された第1の媒体内の液滴の存在を除去するための方法であって、方法は、
a.第2の媒体および第1の媒体を、第2の媒体から第1に媒体に熱を伝達するために熱交換器を通して誘導するステップであって、熱交換器は、
i.第1の媒体のための入口ポートおよび出口ポートであって、第1の媒体は、それに対して熱が伝達される媒体である、入口ポートおよび出口ポートと、
ii.第1の媒体に熱を伝達する第2の媒体のための入口ポートおよび出口ポートと
を含む、ステップと、
b.熱交換器への第1の媒体のフローを、フローを調整するためのデバイスを使用して調整するステップと、
c.熱交換器を出ていく第1の媒体の温度を、第1の温度センサアレイを使用して測定するステップであって、第1の温度センサアレイは、少なくとも1つの温度センサを含む、ステップと
を含む、方法が提供される、
方法は、
d.熱交換器に入る第2の媒体の温度を、第2の温度センサアレイを使用して測定するステップであって、第2の温度センサアレイは、少なくとも1つの温度センサを含む、ステップと、
e.熱交換器への第1の媒体のフローを調整するためのデバイスを、第1の温度センサアレイおよび第2の温度センサアレイから受信したデータに基づいて、少なくとも、(i)熱交換器への第1の媒体のフローを調整するためのデバイス、(ii)第1の温度センサアレイ、および(iii)第2の温度センサアレイ、に接続されたコントローラを使用して制御するステップと、
f.第1の温度センサアレイおよび第2の温度センサアレイから受信したデータを比較するステップと、
g.第2の温度センサアレイと第1の温度センサアレイとの間の測定された温度差が設定温度よりも高い場合には、熱交換器への第1の媒体のフローを削減するステップであって、設定温度よりも高い温度差は、第1の媒体の熱交換器出口ポートを通過する液滴の存在を示し、コントローラは、第2の温度センサアレイと第1の温度センサアレイとの間の測定された温度差が、設定温度以下となるまで、フローを調整するためのデバイスを、熱交換器への第1の媒体のフローを削減するように制御するように構成される、ステップとを特徴とする。
【0035】
一実施形態では、第1の温度センサアレイは、第1の温度センサAおよび第1の温度センサBである2つの温度センサを含み、コントローラは、第2の温度センサアレイと、第1の温度センサAおよび第1の温度センサBのいずれかとの間の測定された温度差が設定温度よりも高い場合には、フローを調整するためのデバイスを、熱交換器への第1の媒体を削減するように制御するように構成され、コントローラは、第2の温度センサアレイと、第1の温度センサAおよび第1の温度センサBのいずれかとの間の測定された温度差が、設定温度以下となるまで、フローを調整するためのデバイスを、熱交換器への第1の媒体のフローを削減するように制御するように構成される。
【0036】
一実施形態では、方法は、第2の温度センサCおよび第2の温度センサDである2つの温度センサを含む第2の温度センサアレイによって第2の温度を測定するステップを含む。
【0037】
一実施形態では、熱交換器を通して第1および第2の媒体を、熱交換器において第2の媒体から第1の媒体に熱を伝達するために誘導するステップは、第1の媒体を沸騰または蒸発させ、第2の媒体からの熱伝達によって第1の媒体を理論上の沸騰温度よりも高い温度まで過熱する、ように構成される。
【0038】
一実施形態では、方法は、第1の温度センサアレイを、(i)第1の媒体の熱交換器出口ポートの前、(ii)第1の媒体の熱交換器出口ポート、および/または(iii)第1の媒体の熱交換器出口ポートの後で好ましくは第1の媒体を熱交換器から遠くへ誘導するチューブ内、の位置に、配設するステップを含む。
【0039】
一実施形態では、第1の温度センサAおよび第1の温度センサBを、(i)第1の媒体の出口ポートからほぼ等しい距離、または(ii)第1の媒体の出口ポートから等しくない距離の位置に、配設するステップを含む。
【0040】
一実施形態では、方法は、第1の温度センサAおよび第1の温度センサBを、(i)第1の媒体の出口ポートの前に、(ii)第1の媒体の出口ポートに、および/または(iii)第1の媒体の出口ポートの後に、周方向位置0~360°に配設するステップを含み、好ましくは、第1の温度センサAおよび第1の温度センサBは、(i)トップ位置に、および/または(ii)ボトム位置に、および/または(iii)周方向位置内で+/-45°の角度に、および/または(iv)周方向位置内で任意の角度に、配置される。
【0041】
一実施形態では、第2の温度センサアレイは、(i)第2の媒体の入口ポートの前、(ii)第2の媒体の入口ポート、および/または(iii)第2の媒体の入口ポートの後、の位置に配設される。
【0042】
一実施形態では、第2の温度センサアレイ、またはそのセンサは、(i)第2の媒体の入口ポートからほぼ等しい距離に、および/または(ii)第2の媒体の入口ポートから等しくない距離に、配置される。
【0043】
一実施形態では、第2の温度センサアレイは、(i)第2の媒体の入口ポートの前に、(ii)第2の媒体の入口ポートに、および/または(iii)第2の媒体の入口ポートの後に、周方向位置0~360°に配置され、好ましくは、第2の温度は、(i)トップ位置、および/または(ii)ボトム位置に配置される。
【0044】
一実施形態では、方法は、設定温度の値を設定するステップであって、設定温度の値は、システムのプロセス条件に依存して設定され、好ましくは、プロセス条件は以下のこと、すなわち、第1の媒体として使用される媒体の種類、第2の媒体として使用される媒体の種類、システム内の圧力およびフロー、周囲温度、選択された過熱温度ΔToverheat、熱交換器の入口ポート6と出口ポート7との間の第2の媒体の温度差、のうちの少なくとも1つである、ステップを含む。
【0045】
一実施形態では、設定温度は、好ましくは10℃、より好ましくは5℃、さらにより好ましくは3℃、最も好ましくは2℃である。
【0046】
一実施形態では、コントローラは、センサ内の抵抗に関するデータを受信するように配設され、すなわち、第1および第2の温度センサアレイは、抵抗温度検出器または温度測定ワイヤ、例えば白金抵抗温度計である。
【0047】
一実施形態では、第1および第2の温度センサアレイの温度センサのうちの少なくとも1つは、0℃における公称抵抗50から1000オームを有する白金抵抗温度計、好ましくは0℃における公称抵抗100オームを有する白金抵抗温度計である。
【0048】
本発明の別の態様は、発電プラントにおける、上述のことに係るシステムまたは方法の使用であって、好ましくは発電プラントは、ランキンサイクル、カリーナサイクル、炭素担体サイクルおよびカルノーサイクルからなる群から選択された熱力学的サイクルを採用し、より好ましくは発電プラントは、熱発電機であって、発電プラントは、循環する第1の媒体と、第1の媒体が第2の媒体によって加熱されるように配設された熱交換器であって、熱交換器は、気体を生成する第1の媒体を沸騰または蒸発させるように構成される、熱交換器と、気体を膨張させつつ電力を生成するように構成された発電デバイスに連結されたタービンと、発電デバイスを通過してしまった気体を凝縮するように構成された凝縮器装置と、熱交換器への凝縮された第1の媒体のフローを調整するためのデバイスとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明に係る、熱交換器内の液滴の存在を除去するためのシステムおよび方法と関連付けられるべき熱交換器を説明する。
【
図2b】
図1に係る熱交換器の側面図を示す。
図2aでは、第1の媒体のための入口ポート2および出口ポート3は省略されている。
【
図3a】
図1に係る熱交換器の第1の媒体の出口ポートの断面図であり、第1の温度センサアレイの異なる可能な位置を示す。
【
図3b】
図1に係る熱交換器の第1の媒体の出口ポートの断面図であり、第1の温度センサアレイの異なる可能な位置を示す。
【
図3c】
図1に係る熱交換器の第1の媒体の出口ポートの断面図であり、第1の温度センサアレイの異なる可能な位置を示す。
【
図3d】
図1に係る熱交換器の第1の媒体の出口ポートの断面図であり、第1の温度センサアレイの異なる可能な位置を示す。
【
図3e】
図1に係る熱交換器の第1の媒体の出口ポートの断面図であり、第1の温度センサアレイの異なる可能な位置を示す。
【
図4a】熱交換器の第1の媒体の出口ポートの断面図であり、温度測定ワイヤの異なる可能な位置を示す。
【
図4b】熱交換器の第1の媒体の出口ポートの断面図であり、温度測定ワイヤの異なる可能な位置を示す。
【
図4c】出口ポートを、ポートの開口部を介して覗き込んだ、第1の媒体の出口ポートの図であり、温度測定ワイヤの、異なる可能な構成を示す。
【
図4d】出口ポートを、ポートの開口部を介して覗き込んだ、第1の媒体の出口ポートの図であり、温度測定ワイヤの、異なる可能な構成を示す。
【
図4e】出口ポートを、ポートの開口部を介して覗き込んだ、第1の媒体の出口ポートの図であり、温度測定ワイヤの、異なる可能な構成を示す。
【
図4f】出口ポートを、ポートの開口部を介して覗き込んだ、第1の媒体の出口ポートの図であり、温度測定ワイヤの、異なる可能な構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明は、熱交換器の第1の媒体内の液滴の存在を除去するためのシステムおよび方法に関し、すなわち、本発明は、液滴センサに関する。熱交換器は、ボイラまたは蒸発器として構成され得、好ましくは、プレート式熱交換器、プレート&シェル熱交換器、プレートフィン熱交換器、シェルアンドチューブ熱交換器、またはそれらの変形から選択される。
【0051】
図1および
図2に示すように、本発明のシステムおよび方法が使用される熱交換器1は、第1の媒体のための入口ポート2および出口ポート3、ならびに第2の媒体のための入口ポート6および出口ポート7を有する。
図1の矢印4および5は、熱交換器に入って出ていく第1の媒体の方向を示し、矢印8および9は、熱交換器に入って出ていく第2の媒体の方向を示している。本発明では、第1の媒体は、加熱されるべき媒体と称され、第2の媒体は、第1の媒体に熱を伝達する媒体と称される。第1の媒体は、作動媒体とも称され得る。
【0052】
第1の媒体および第2の媒体は、水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールおよび/またはブタノールなど)、ケトン(アセトンおよび/またはメチルエチルケトンなど)、アミン、パラフィン(ペンタンおよびヘキサンなど)および/またはアンモニア、を含む媒体または溶液の種類から選択される。ただし、第1の媒体と第2の媒体とは同じ溶媒ではないことが好ましい。さらに、第1の媒体の沸点は、第2の媒体の沸点よりも低いことが好ましい。
【0053】
システムおよび方法は、第1の媒体の入口ポート2を通る熱交換器1への第1の媒体のフローを調整するように構成された少なくとも1つのデバイス40、41をさらに含む。デバイスは、バルブ41、ポンプ40および/またはインジェクタ、またはデバイスの組合せであり得る。そのため、コントローラ50が、フローを調整するためのデバイス40、41に信号を与えたとき、デバイスは(i)第1の媒体の入口ポート領域2を減少させるかまたは広げる、(ii)ポンプまたはインジェクタの回転速度を減少させるかまたは増加させる、または(iii)(i)と(ii)の両方、のいずれかである。
【0054】
システムおよび方法は、第1の温度センサアレイ10および第2の温度センサアレイ15をさらに含む。第1の温度センサ10アレイは、第1の媒体の出口ポート3を通って熱交換器1を出ていく第1の媒体の温度を測定し、第2温度センサは、第2の媒体の入口ポート6を通って熱交換器1に入る第2の媒体の温度を測定する。第1および第2の温度センサアレイ10、15はそれぞれ、1または複数の温度センサ10A、10B、および15A、15Bを含み得、それぞれ
図3a~
図3eおよび
図2a~
図2eを参照されたい。第1および第2の温度センサアレイ10、15の温度センサ10A、10B、および15A、15Bは、例えば、白金抵抗温度計などの抵抗温度検出器、例えば0℃における公称抵抗10から1000オームを有する白金抵抗温度計であり得る。
【0055】
ただし、他の種類の温度センサの使用も適用可能である。したがって、本発明の代替的な例では、第1および第2の温度センサアレイの温度センサは、
図4c~
図4dに示されるような1または複数の温度測定ワイヤであり得る。こうした一実施形態では、
図4cに示すように単一の温度測定ワイヤ10Aが存在する。また、互いに交差していてもしていなくてもよい、互いに距離をおいて配設された2つの温度測定ワイヤ10Aおよび10Bが存在してもよい。2つの温度測定ワイヤを含む2つのこうした実施形態では、2つの温度測定ワイヤ10Aおよび10Bが存在し、それらは、(i)互いに対して平行に構成される(
図4d)か、または(ii)互いに対して垂直に構成される(
図4e)か、のいずれかである。互いに垂直な2つのワイヤを含む実施形態では、ワイヤは、第1の媒体の出口ポート3においての任意の周方向位置0~360°に構成され得る。このことは、垂直のワイヤが第1の媒体の出口ポート3において2つの異なる周方向位置に構成されている
図4eに示されており、1つの構成では、ワイヤが破線で示され、他の構成では、ワイヤが非破線で示されている。
図4fに示すさらなる実施形態では、少なくとも4つのワイヤ10A、10B、10Cおよび10Dが存在し得、ワイヤのうちの2つ、10Aおよび10Bは、互いに対して平行に構成され、他の2つのワイヤ10Cおよび10Dは、互いに平行に構成されると同時に他の2つのワイヤ10Aおよび10Bに対して垂直または他の任意の角度で構成される。
【0056】
システムおよび方法は、熱交換器1への第1の媒体のフローを調整するためのデバイス40、41、第1の温度センサアレイ10および第2の温度センサアレイ15、に接続されたコントローラ50、例えばPIDコントローラをさらに含む。コントローラ50は、熱交換器への第1の媒体のフローを調整するためのデバイス40、41を、第1の温度センサアレイ10および第2の温度センサアレイ15から受信したデータに基づいて制御する。
【0057】
コントローラ50は、第2の温度センサアレイ15によって測定された温度T2と第1の温度センサアレイ10によって測定された温度T1との間の測定された温度差ΔTが設定温度Tsetよりも高い場合には、熱交換器1への第1の媒体のフローを削減するために、第1の媒体のフローを調整するためのデバイス40、41に信号を与える。
ΔT=T2-T1 ΔT>Tset
【0058】
設定温度Tsetよりも高い温度差は、第1の媒体内の液滴の存在を示す。
【0059】
コントローラ50は、第2の温度センサアレイ15によって測定された温度T2と第1の温度センサアレイ10によって測定された温度T1との間の測定された温度差が設定温度Tset以下になるまで、第1の媒体の入口ポート2を通る熱交換器1への第1の媒体のフローを削減するために、デバイス40、41に信号を与える。設定温度Tsetは、第1の媒体および第2の媒体として使用される媒体または溶媒の種類、および入口ポート6と出口ポート7との間の第2の媒体の温度差に依存する。設定温度Tsetは、10℃、好ましくは5℃、より好ましくは3℃、最も好ましくは2℃であり得る。
【0060】
本発明は過熱気体によって機能し、気体温度は、熱交換器の気体の出口(すなわち第1の媒体の出口ポート3)の実際の圧力Pにおける第1の媒体(すなわち作動媒体)についての理論上の沸点よりも高い所定の摂氏度数ΔToverheatとなるように制御される。好ましくは、理論上の沸点の決定については、よく知られているアントワンの式が使用される。過熱温度として定義される摂氏度数ΔToverheatは、どのような種類の大規模なシステムまたはプロセスにおいて液滴を除去するためのシステムが使用されるように適合されるかに応じて設定される。
【0061】
第1媒体の過熱は、熱交換器1を通して第2の媒体および第1の媒体を誘導することによって、第2の媒体から第1の媒体に熱を伝達することによって可能である。好ましくは、第2の媒体のすべての熱エンタルピが第1の媒体に伝達され、すなわち、蒸発させられた、気体の第1の媒体の温度T1は、入ってくる、熱を伝達する第2の媒体の温度T2に近い。そのため、プロセスを最適化し、液滴を含まない理想的な蒸発における、入ってくる、熱を伝達する第2の媒体の温度T2と、過熱および蒸発させられた、気体の第1の媒体の温度T1との間の温度差に基づいて、熱交換器1を通る第1の媒体のフローを制御する必要があり、この差が上記の設定温度Tsetである。設定温度Tsetの値は、システムのプロセス条件に依存して設定される。好ましくは、プロセス条件は、以下のもの、すなわち、第1の媒体として使用される媒体の種類、第2の媒体として使用される媒体の種類、システム内の圧力およびフロー、周囲温度、選択された過熱温度ΔToverheat、熱交換器の入口ポート6と出口ポート7との間の第2の媒体の温度差、のうちの少なくとも1つである。
【0062】
気体が過熱されたとき、熱交換器の第1の媒体内の液体および液滴は、第1の媒体内の気体よりも低い温度を有している。そのため、液滴が第1の温度センサアレイ10に接触したとき、液滴は第1の温度センサアレイ10を即座に冷却することになる。そのため、第2の温度センサアレイによって測定された温度T2と第1の温度センサアレイによって測定された温度T1との間の測定された温度差が設定温度Tsetよりも高い場合には、作動媒体内に液滴が存在しており、コントローラ50は、熱交換器への第1の媒体のフロー(すなわち作動媒体のフロー)を、第1の媒体のフローを調整するためのデバイス40、41を制御することによって調整するように設定される。
【0063】
したがって、本発明のシステムおよび方法は、単純なPIDレギュレータ、もしくはPLC内のPIDレギュレータ、または他の制御システム、などのコントローラによって、熱交換器のポート(すなわち、第1の媒体の出口ポート)から液滴を取り出すことなく、できるだけ多くの第1の媒体を沸騰させるように、熱交換器を最適化することができる。これは、熱交換器に接続された分離器なしでボイラとして熱交換器(プレート式熱交換器など)の使用を最適化する最も安価な方法である。
【0064】
図3a~
図3eは、
図1に係る熱交換器の第1の媒体の出口ポート3の断面図であり、第1の温度センサアレイの異なる可能な位置を示しているが、他の位置ももちろん可能である。第1のセンサアレイ10または第1の温度センサ10A、10Bの異なる位置は、測定の精度をさらに高め得る。温度センサ10A、10Bは、例えば、第1の媒体の好ましくは円形の熱交換器出口ポート3内の周方向位置0~360°に配設され得る。第1のセンサアレイ10の温度測定ユニット、または第1の温度センサ10A、10Bは、好ましくは、出口ポート3の壁から距離を置いて配設される。周囲の温度が、測定された温度に影響を与えないことになるため、その結果、センサはより正確な温度を測定することになる。
図3a~
図3eでは、出口ポート3が円錐形状を有することが示されているが、出口ポート3は、円柱形状などの別の形状を有してもよい。
図3aでは、第1の温度センサアレイ10は、1つの温度センサ10Aのみを含み、トップ位置、すなわち0°に配置される。トップ位置は、重力場ベクトルと反対の方向に最も離れた位置としても参照され得る。
【0065】
図3bでは、第1の温度センサアレイは、第1の温度センサA 10Aおよび第1の温度センサB 10Bである2つの温度センサを含み、これらのセンサは、周方向位置0と180°にトップとボトム位置で互いの反対に配置される。もちろん、第1の温度センサA 10Aおよび第1の温度センサB 10Bを、周方向位置内で+/-45°の角度で、および/または周方向位置内で任意の角度で配置することも可能である。角度は、第1の媒体の出口ポート3を通るフローに依存して選択され、そのため、潜在的乱流によってそこに液滴が集められる。
【0066】
図3cは、第1の温度センサA 10Aおよび第1の温度センサB 10Bである2つの温度センサを含む第1の温度センサアレイを有する出口3を示しており、これらのセンサはボトム位置に配置される。
【0067】
図3dは、第1の温度センサA 10Aおよび第1の温度センサB 10Bである2つの温度センサを含む第1の温度センサアレイを有する出口3も示しており、ただし、センサはトップ位置に配置される。
【0068】
図3eでは、第1の温度センサアレイは1つの温度センサ10のみを含み、ボトム位置、すなわち180°に配置される。トップ位置は、重力場に最も近い位置としても参照され得る。
【0069】
図5は、本発明が利用され得る廃熱発電機を示している。廃熱発電機は、循環する第1の媒体と、第1の媒体が第2の媒体によって加熱されるように配設される熱交換器(1)であって熱交換器は、気体を生成する第1の媒体を沸騰または蒸発させるように構成される、熱交換器と、気体を膨張させつつ電力を生成するように構成された発電デバイス(25)に連結されたタービン(20)と、発電デバイスを通過してしまった気体を凝縮するように構成された凝縮器装置(30)と、熱交換器(1)への凝縮された第1の媒体のフローを調整するためのデバイス(40、41)とを含む。凝縮器装置は、第1の媒体を冷却および凝縮する熱交換器30aのみ、または第1の媒体を冷却するように配設された熱交換器と第1の媒体を凝縮する別個の凝縮タンク30bを含み得る。第1の温度センサアレイ10と共に第2の温度センサアレイ15も示されている。
【0070】
本発明に係るシステムおよび方法は、任意の熱交換器で使用され得る。本発明の好ましい実施形態では、システムおよび方法は、発電プラントで使用される熱交換器と共に使用される。さらに好ましい実施形態では、システムおよび方法は、ランキンサイクル、カリーナサイクル、炭素担体サイクル、および/またはカルノーサイクルなどの熱力学的サイクルを採用する発電プラントで使用される熱交換器と共に使用される。本発明が使用され得る発電プラントの例は、国際公開第2012128715号、国際公開第2014042580号、国際公開第2015034418号、国際公開第2015112075号、国際公開第2015152796号、国際公開第2016076779号および国際出願PCT/SE2016/050996号明細書に記載されている(しかし、これらに限定されない)。さらに好ましい実施形態では、システムおよび方法は、タービンおよび/またはコンプレッサに連結された熱交換器と共に使用される。タービンを含むシステムの例は、国際公開第2015112075号に記載されている(しかし、これらに限定されない)。コンプレッサを含むシステムの例は、国際公開番号第2015034418号に記載されている(しかし、これらに限定されない)。
【0071】
(実施例1)
図5に記載される本発明の実施形態は、ボイラとして構成されたプレート式熱交換器1(すなわち、プレート型熱交換器)において第1の媒体の出口ポート内(または代替的に、出口ポートの前または後ろ)の液滴の存在を除去するためのシステムおよび方法に関する。プレート式熱交換器1は、タービンまたはコンプレッサ20のいずれかに接続され得る。
【0072】
プレート式熱交換器1は、第1の媒体および第2の媒体の両方のために、入口ポート2、6および出口ポート3、7を有する。第1の媒体はアセトンを含み、水を含む第2の媒体によって加熱される。第1の媒体、すなわちアセトンの、プレート式熱交換器へのフローを調整するデバイス40、41はポンプである。ただし、代替的な実施形態では、デバイスは、(i)ポンプとバルブとの組合せ、または(ii)ポンプとインジェクタとの組合せであり得る。さらなる代替案は、デバイスがポンプとバルブとインジェクタとの組合せであり得ることである。
【0073】
システムおよび方法は、熱交換器を出ていくアセトンの温度を測定する第1の温度センサアレイ10をさらに含む。第2の温度センサアレイ15は、熱交換器に入る水の温度を測定する。第1の温度センサアレイは、第1の温度センサ10Aおよび第1の温度センサ10Bを含み、各センサは、白金抵抗温度計などの抵抗温度検出器である。0℃における公称抵抗10から1000オームを有する白金抵抗温度計が温度センサとして使用され得る。実施例1の好ましい実施形態では、温度センサは、0℃における公称抵抗100オームを有する白金抵抗温度計である。実施例1のいくつかの実施形態では、第1の温度センサアレイは単一の温度センサのみを含み得る。
【0074】
システムおよび方法は、ポンプ、第2の温度センサアレイ、第1の温度センサAおよび第1の温度センサB、に接続されたPIDコントローラをさらに含む。PIDコントローラは、熱交換器へのアセトンのフローを調整するためのポンプ(または、そのようなデバイスが熱交換器に存在する場合には代替的に、ポンプ、バルブおよび/またはインジェクタ)を、第2の温度センサアレイ、第1の温度センサAおよび第1の温度センサBから受信したデータに基づいて制御する。システムおよび方法が、デバイスとしてポンプ、バルブおよび/またはインジェクタを含む、実施例1の実施形態では、PIDコントローラは、ポンプ、バルブおよび/またはインジェクタのそれぞれに接続される。さらに重要なことには、PIDコントローラは、ポンプ、バルブおよび/またはインジェクタのそれぞれを制御する。実施例1のいくつかの実施形態では、PIDコントローラはPLCの一部である。
【0075】
第1の温度センサアレイ10は、第1の媒体の出口ポート3の位置(または代替的に、出口ポートの前または後)に配設される。第1の温度センサ10Aおよび第1の温度センサ10Bは、(i)第1の媒体の出口ポートからほぼ等しい距離に、または(ii)第1の媒体の出口ポートから等しくない距離に、配置され得る。さらに、第1の温度センサAおよび第1の温度センサBは、第1の媒体の出口ポートに(または代替的に、出口ポートの前または後に)周方向位置0~360°に配置され得る。好ましい実施形態では、第1の温度センサ10Aおよび第1の温度センサ10Bのうちの一つはトップ位置に配置され、もう一つはボトム位置に配置される。第2の温度センサアレイ15は、第2の媒体の入口ポート6に(または代替的に、入口ポートの前または後に)配設され、第2の媒体の入口ポート6に周方向位置0~360°に配置される。好ましくは、第2の温度センサアレイ15は、(i)トップ位置に、および/または(ii)ボトム位置に、配置される。
【0076】
第1の媒体の出口ポート3における第1の温度センサアレイ10の位置のいくつかが
図3に示されている。
図3aでは、第1の温度センサアレイ10は、1つの温度センサのみを含んでおり、トップ位置、すなわち0°に配置される。トップ位置は、重力場から最も離れた位置としても参照され得る。
図3bでは、第1の温度センサアレイは、第1の温度センサA 10Aおよび第1の温度センサB 10Bである2つの温度センサを含み、これらのセンサは、トップとボトム位置で互いの反対に配置される。
図3cは、第1の温度センサA 10Aおよび第1の温度センサB 10Bである2つの温度センサを含む第1の温度センサアレイを有する出口を示しており、これらのセンサはボトム位置に配置される。
図3dは、第1の温度センサA 10Aおよび第1の温度センサB 10Bである2つの温度センサを含む第1の温度センサアレイを有する出口も示しており、ただし、センサはトップ位置に配置される。
図3eでは、第1の温度センサアレイは1つの温度センサ10のみを含み、ボトム位置、すなわち180°に配置される。ボトム位置は、重力場に最も近い位置としても参照され得る。第2の温度アレイは、第2の媒体の入口に同様の方法で配置され得る。トップおよびボトム位置は、温度アレイおよびそのセンサが配置され得る多くの位置のうちの2つにすぎず、すなわち、温度アレイおよびセンサは、入口および出口ポートに周方向位置0~360°に配置され得ることに留意するべきである。
【0077】
PIDコントローラ50は、第2の温度センサアレイ15と、第1の温度センサ10Aおよび第1の温度センサ10Bのいずれかとの間の測定された温度差が設定温度2℃よりも高い場合には、プレート式熱交換器への第1の媒体のフローを削減する。プレート式熱交換器1へのアセトンのフローは、第2の温度センサアレイと、第1の温度センサ10Aおよび第1の温度センサ10Bのいずれかとの間の測定された温度差が設定温度2℃以下になるまで削減される。
【0078】
実施例1のさらなる実施形態では、アセトンおよび水は、第1の媒体および第2の媒体としてそれぞれ、水、アルコール(メタノール、エタノール、ブタノールおよび/またはイソプロパノールなど)、ケトン(アセトンおよび/またはメチルエチルケトンなど)、アミン、パラフィン(ペンタンおよびヘキサンなど)および/またはアンモニア、などの他の溶媒で置き換えられる。第1の媒体および/または第2の媒体が1または複数の溶媒と置き換えられるとき、新しい設定温度が決定され得る。ただし、ほとんどの場合、設定温度は同じままである。新しい設定温度は、1~10℃の間隔内であり得る。
【0079】
好ましい実施形態では、実施例1のシステムおよび方法は、ポリマーガスケットによって分離され、スチールフレームに固定された、多くの波状ステンレス鋼板からなるガスケットプレート式熱交換器で使用される。ガスケット内の入口ポータルおよびスロットは、高温流体および低温流体を、プレート間の交互のスペースに導く。波形にすることで、熱伝達を改善するための乱流を誘発し、各プレートは、波形の、異なるパターンまたは角度、を有する、隣接するプレートとの複数の接触によって支持される。プレート間のスペースは、波形の深さに等しい。両側の液体溶液、すなわち第1および第2の媒体としての液体溶液によって、プレート型熱交換器の全体的な熱伝係数は、シェルアンドチューブ交換器の通常値の数倍になる。さらに、プレート型熱交換器は、簡単に洗浄および消毒できる。
【0080】
(実施例2)
実施例2の実施形態は、システムおよび方法が、プレート式熱交換器をシェルアンドチューブ熱交換器技術と組み合わせるプレート&シェル熱交換器である熱交換器において適用される点において、実施例1の実施形態と異なる。
【0081】
(実施例3)
実施例3の実施形態は、システムおよび方法が、プレートフィン熱交換器である熱交換器、すなわち、第1の媒体と第2の媒体との間で熱を伝達するプレートおよびフィン付きチャンバを含む熱交換器、において適用される点において、実施例1の実施形態と異なる。プレートフィン熱交換器は、一連のフィン付きチャンバを生成する、平らな金属板によって分離された波状シートの層でできている。分離された高温流体と低温流体(すなわち、第2および第1の媒体)の流れが、熱交換器の交互に並ぶ層を通って流れ、サイドバーによって端で封止されている。熱は、1つの流れからフィンインタフェースを通って分離器プレートに伝達され、次の一式のフィンを通って隣接する流体/媒体に伝達される。フィンは、熱交換器の構造的完全性も高め、熱伝達のための拡張された表面積を提供しながら、高圧に耐えることができるようにすることにも役立つ。
【0082】
(実施例4)
実施例4の実施形態は、システムおよび方法が、シェルアンドチューブ熱交換器である熱交換器において適用されるという点で、実施例1の実施形態とは異なる。シェルアンドチューブ熱交換器は、内部にチューブの束(すなわち、パイプ)を有するシェル(すなわち、大きな圧力容器)を含む。2つの流体間(すなわち、第1の媒体と第2の媒体との間)で熱を伝達するために、1つの流体(たとえば、第1の媒体)がチューブを通って流れ、別の流体(たとえば、第2の媒体)がチューブを覆って(シェルを通って)流れる。一式のチューブはチューブバンドルと呼ばれ、いくつかの種類、すなわち、平たい、または長手方向にフィン付きの、チューブで構成され得る。好ましいシェルアンドチューブ熱交換器は、単流1-1熱交換器、マルチパス熱交換器(1-2熱交換器など)、1-2熱交換器、2-4熱交換器、クロスフロー熱交換器、またはその変形から選択され得る。
【0083】
(実施例5)
実施例5の実施形態は、
図5に示すものなどの廃熱発電機において適用される実施例1~4に記載されたシステムおよび方法に関する。
【0084】
廃熱発電機は、閉ループの熱力学的システム、好ましくはORCシステムであり、高温の、熱を伝達する第2の媒体を、第1の熱交換器を通して誘導することによって作動媒体を沸騰させおよび過熱することによって第1の熱交換器1内で生成される気体を、膨張させつつ電力を生成するように構成されている発電デバイス25、と連結されたタービン20を通って循環する作動媒体、すなわち、第1の媒体を含む。タービン20および発電デバイス25を通過してしまった気体は、凝縮器装置30内で、気体を冷却媒体で冷却することによって凝縮される。凝縮器装置30は、作動媒体の流れを冷却するように配設された第2の熱交換器30aと、作動媒体を凝縮する別個の凝縮タンク30bとを含む。第2の熱交換器30aは、冷却媒体のための入口36および出口37、ならびに作動媒体のための入口33および出口32、すなわち凝縮器に入る気体のための入口32および凝縮物のための出口33を有する。
【0085】
ポンプ40は、凝縮器で凝縮された作動媒体を第1の熱交換器1に運ぶ。作動媒体(すなわち第1の媒体)は、第1の媒体の入口ポート2を経由して第1の熱交換器1に入り、気体の形態で第1の媒体の出口ポート3を通って出ていく。第2の媒体は、第2の媒体の入口ポート6を経由して第1の熱交換器に入り、次いで第2の媒体の出口ポート7を経由して出ていく。
【0086】
第1の温度センサアレイ10は、第1の媒体の出口ポート3の位置に、または代替的に出口ポートの前または後に配設される。第2の温度センサアレイ15は、第2の媒体の入口ポート6に、または代替的に入口ポートの前または後に配設される。第1および第2の温度センサアレイはそれぞれ、1または複数の温度センサを含み得る。
【0087】
作動媒体気体が過熱される摂氏度数は、過熱温度ΔToverheatとして定義され、これは、例えば、タービンの種類およびタービンの特性に依存して設定され得る。
【0088】
(実施例6)
実施例6の実施形態は、第2の温度センサアレイと第1の温度センサアレイとの間の温度差の測定がないという点で、実施例1~5の実施形態とは異なる。
【0089】
代わりに、実施例6の実施形態では、第1の温度センサアレイの温度センサが期待されるよりも低い温度を示している場合には、コントローラが熱交換器への第1媒体のフロー(すなわち作動媒体のフロー)を調整する。したがって、実施例6の実施形態は、熱交換器のポート(すなわち、第1の媒体の出口ポート)から液滴を取り出すことなく、できるだけ多くの第1の媒体を沸騰させるように、熱交換器を最適化する。
【0090】
さらに、実施例6のさらなる実施形態では、熱交換器での沸騰を最適化するために、熱交換器への入ってくる液体媒体(すなわち第2の媒体)は、気体の出口(すなわち、第1の媒体の出口ポート)圧力における作動媒体(すなわち第1の媒体)について計算された沸点を使用して、さらに制御され得る。この沸点温度は、熱交換器から出ていく加熱する液体(すなわち、第2の媒体)の温度と比較される。コントローラでこの差分値を使用して、熱交換器における沸騰をさらに最適化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】