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特許6989977光照射装置、およびこれを備える露光装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】光照射装置、およびこれを備える露光装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20220104BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
G02F1/1337
G03F7/20
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020053452
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021152617
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2020-09-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510138741
【氏名又は名称】フェニックス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】井上 智彦
(72)【発明者】
【氏名】山下 健一
(72)【発明者】
【氏名】松本 弘
(72)【発明者】
【氏名】池田 富彦
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209014871(CN,U)
【文献】特開2016-153920(JP,A)
【文献】特開2006-323060(JP,A)
【文献】特開2005-010408(JP,A)
【文献】特表2001-512850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDを有する光源と、
前記光源からの光を受け、透過させた前記光をワークに照射する偏光素子と
前記光源と前記偏光素子との間において前記ワークと平行に配設されている透光板とを備えており、
前記各LEDの光軸は、前記ワークに対して第1の角度を有しており、
前記各LEDから放射される前記光の配光角の半分である第2の角度は、前記第1の角度よりも小さいことを特徴とする
光照射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光照射装置を備える露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に液晶パネルを製造する際の露光用に用いられる光照射装置、およびこれを備える露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶をTN方式の表示パネルとして使用する際、2枚のガラス基板の間に液晶を封入してこれらガラス板の内面に形成された透明電極に電圧を印加しただけでは正常も動作しない。これは液晶分子がバラバラの状態にあるからである。
【0003】
液晶に正常なTN方式の動作をさせるためには、液晶分子を一定方向に配向させるとともに、液晶分子の立ち上がり方向を一定にする必要がある。具体的には、ガラス基板に対して3°程度傾く方向に液晶分子を配向させており、この傾きの角度はプレチルト角と呼ばれている。
【0004】
そして、液晶の配向性能をもつ一対のガラス基板のうち、一方のガラス基板をX方向に配向するように配置し、対面する他方のガラス基板をX方向と直交するY方向に配置する。(TN方式)
【0005】
このように、液晶パネルの製造には液晶配向処理が必要であり、従前より、ガラス基板の表面を物理的に擦るラビング処理が行われてきた(例えば、特許文献1)。このラビング処理とは、ガラス基板上に形成された有機高分子膜を毛足の長い布等で所定の方向に擦ることにより、液晶分子を一定方向に配向させることのできる膜を形成する処理方法である。
【0006】
ラビング処理が普及して、応答速度が速いTN方式が一般的になったことにより、液晶パネルが安定した性能で安価に量産できるようになってパソコン等のOA機器用の表示モニターやゲーム機用のモニターとして液晶モニターが普及した経緯がある。
【0007】
しかし、ラビング方式には、均一性に乏しいこと、TFTの静電破壊が生じる可能性があること、さらに、ラビング時に生じる粉末ごみが付着するといった信頼性に係わる問題があった。
【0008】
加えて、ラビング方式で達成できるプレチルト角は、上述のように水平配向液晶モードを代表するTN方式においては3°程度であり、低電圧駆動で、高速応答に対応した液晶モードの表示パネルを構成するためには難があった。
【0009】
このようなラビング方式の問題に対応するため、現在では、光配向処理を実施できる露光機が提案されており、この露光機には、光源としてロングアークの水銀灯での使用が試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2007-17475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ロングアークの水銀灯を用いた露光機にも問題があると考えられる。一般に、露光材料には特定の波長帯域の光に反応するように感光特性が設定されているところ、水銀灯からの光の分光特性を見ると、当該光は多くの水銀線の輝線で構成されていることがわかる。
【0012】
このため、水銀灯を露光用の光源とした場合、露光材料の感光特性から外れた波長の光が多くなることから、当該感光波長帯域を外れた波長の光によって露光材料を過露光させてしまうおそれがあると考えられる。
【0013】
もちろん、感光特性から外れた波長の光線(短波側および長波側)を選択波長反射膜によってカットすることも可能であるが、狭帯域のカットフィルター(バンドパスフィルタ)が必要となり、かつ、高い精度が要求されることから、結果として装置のコストアップにつながってしまう。
【0014】
また、ロングアークの水銀灯から放射される光は広範囲に拡散するので、光配向処理を実施するために重要な水銀灯からの光の照射角の制御が難しく、例えばルーバー等で余分な光を遮る手法も検討されているが、この場合、水銀灯から放射される光の利用効率が低下するという別の問題がある。
【0015】
さらに、コリメートされた(平行化された)光をガラス基板に対して斜めに照射する方法もあるが、この手法は光学系が複雑になることから装置が大型で高価になるという問題があると考えられる。
【0016】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡便な構成で光配向処理を実施できる露光装置用の光照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一局面によれば、
複数のLEDを有する光源と、
前記光源からの光を受け、透過させた前記光をワークに照射する偏光素子と
前記光源と前記偏光素子との間において前記ワークと平行に配設されている透光板とを備えており、
前記各LEDの光軸は、前記ワークに対して第1の角度を有しており、
前記各LEDから放射される前記光の配光角の半分である第2の角度は、前記第1の角度よりも小さいことを特徴とする
光照射装置が提供される。
【0021】
本発明の他の局面によれば、
上述した光照射装置を備える露光装置が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る光照射装置によれば、複数のLEDの光軸をワークに対して第1の角度だけ傾け、各LEDから放射される光の配向角の半分に相当する第2の角度をこの第1の角度よりも小さく設定することにより、各LEDから放射された光のすべてがLEDからワークに向かう垂線よりもLEDの光軸側に向かう。
【0023】
これにより、簡便な構成で実効的な照射角を有する光の量が多い光配向処理を実施できる露光装置用の光照射装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明が適用された第1実施形態に係る光照射装置10を示す図である。
図2】本発明が適用された第2実施形態に係る光照射装置10を示す図である。
図3】本発明が適用された第3実施形態に係る光照射装置10を示す図である。
図4】光学フィルター30の光透過特性を説明するためのグラフである。
図5】本発明が適用された第4実施形態に係る光照射装置10を示す図である。
図6】変形例1に係る光照射装置10を示す図である。
図7】変形例1に係る光照射装置10を示す図である。
図8】変形例2に係る光源12を示す図である。
図9】変形例2に係る光源12を示す図である。
図10】変形例2に係る光源12を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態に係る光照射装置10の構成)
本発明が適用された第1実施形態に係る光照射装置10について以下に説明する。光照射装置10は、主に液晶パネルを製造する際の露光の為に露光装置に組み込まれて用いられる。この光照射装置10は、図1に示すように、大略、光源12と、偏光素子14とを備えている。
【0026】
光源12は、ワーク(露光対象物)Xが載置される露光面Aに向けて露光用光Lを照射する部材であり、第1実施形態では複数のLED16が使用されている。これらLED16は露光面A上を一定方向に移動していくワークXに対して走査するように露光用光Lを照射していくので、当該光源12はワークXの移動方向に直交する方向に複数のLED16を略直列に配置することによって形成されている。
【0027】
また、光源12を構成する各LED16は、これらLED16の光軸CLがワークXに対して第1の角度θ1(つまり、入射角θ1)を有するように、ワークXに対して(つまり、露光面Aに対して)傾けて配置されている。角度成分のバラツキが少ない光を斜めから照射して作成した配向膜を液晶パネルに使用することにより、安定したプレチルト角と配向状態とを出現させることが可能となり、任意の配向モードの液晶パネルが実現できる。
【0028】
さらに、各LED16から放射される光Lの配光角の半分である第2の角度θ2は、上述した第1の角度θ1よりも小さくなるように設定されている。
【0029】
偏光素子14は、光源12から照射された光のうち一方向に振動する光成分のみを透過して偏光する素子であり、第1実施形態では、ワイヤーグリッド偏光素子が使用されている。ワイヤーグリッド偏光素子は、透明基板(ガラス基板)の一方の表面にワイヤーグリッドを形成したものである。この第1実施形態では、ワイヤーグリッドの形成面18は、偏光素子14における光源12側の面であってもよいし、光源12とは反対側の面であってもよい。また、偏光素子14はワークX(露光面A)に対して平行となるように配設されるのが好適である。
【0030】
(第1実施形態に係る光照射装置10の効果)
第1実施形態に係る光照射装置10によれば、複数のLED16の光軸CLをワークXに対して第1の角度θ1だけ傾け、各LED16から放射される光Lの配向角の半分に相当する第2の角度θ2をこの第1の角度θ1よりも小さく設定することにより、各LED16から放射された光LのすべてがLED16からワークXに向かう垂線よりもLED16の光軸CL側に向かうようになる。
【0031】
これにより、簡便な構成で実効的な照射角を有する光の量が多い光配向処理を実施できる露光装置用の光照射装置10を提供することができる。
【0032】
(第2実施形態に係る光照射装置10の構成)
第2実施形態に係る光照射装置10は、図2に示すように、上述した第1実施形態に係る光照射装置10に透光板20が加えられたものである。
【0033】
透光板20は、光源12からの光Lを透過する例えばガラス製の板材であり、光源12と偏光素子14との間において、ワークXと平行に配設されている。なお、透光板20の表面(両面とも)には、反射防止膜等の反射防止処理をしないようにするのが好適である。
【0034】
(第2実施形態に係る光照射装置10の効果)
第2実施形態に係る光照射装置10によれば、光源12から放射された光Lのうち透光板20に対する入射角θ3が大きい光Lは当該透光板20の表面で反射するので偏光素子14やワークXには届かなくなる。
【0035】
これにより、ワークXまで届く光Lの当該ワークXに対する入射角を所定の値以下に制限することができるので、より安定したプレチルト角の光配向処理を実現することができる。
【0036】
(第3実施形態に係る光照射装置10の構成)
第3実施形態に係る光照射装置10は、図3に示すように、大略、光源12と、偏光素子14と、光学フィルター30とを備えている。
【0037】
光源12は、第1,第2実施形態と同様に、ワークXが載置される露光面Aに向けて露光用光Lを照射する部材であり、複数のLED16が使用されている。これらLED16は露光面A上を一定方向に移動していくワークXに対して走査するように露光用光Lを照射していくので、当該光源12はワークXの移動方向に直交する方向に複数のLED16を略直列に配置することによって形成されている。
【0038】
なお、第3実施形態に係る光照射装置10では、第1,第2実施形態と同様に第1の角度θ1および第2の角度θ2を規定する必要はなく、第1の角度θ1および第2の角度θ2は任意である。もちろん、第1,第2実施形態と同様に第1の角度θ1および第2の角度θ2を規定してもよい。
【0039】
偏光素子14は、光源12から照射された光のうち一方向に振動する光成分のみを透過して偏光する素子であり、第1,2実施形態と同様、ワイヤーグリッド偏光素子が使用されている。
【0040】
なお、ワイヤーグリッドの形成面18は、偏光素子14における光源12側の面であってもよいし、光源12とは反対側の面であってもよい。また、偏光素子14はワークX(露光面A)に対して平行となるように配設されるのが好適である。
【0041】
光学フィルター30は、光源12と偏光素子14との間に配設されており、光源12から放射された光Lのうち所定の波長以上の光Lを選択的に透過する部材であって、表面に波長選択膜が形成されている。また、光学フィルター30は、偏光素子14と同様、ワークX(露光面A)に対して平行となるように配設されるのが好適である。なお、光学フィルター30としては、以下に説明する条件を満たすものであれば、所定の波長以上の光を透過するロングパスフィルタや、所定の波長範囲の光を透過し、それよりも長波長および短波長の光を遮断するバンドパスフィルタを使用することができる。さらに、光学フィルター30は、偏光素子14の光源12側とは反対側に配設してもよい。
【0042】
ここで、光学フィルター30は、角度依存性を有しており、当該光学フィルター30に入る光の入射角θ1が大きくなるとともに、この光学フィルター30を透過する光の波長の領域が低波長側に広がっていく。このことの一例を図4に示す。例えば325nmの光について考えたとき、光学フィルター30に対する光の入射角θ1が0°の場合(つまり、光学フィルター30に対して垂直に入射する場合)、325nmの光の透過率は約5%である。
【0043】
そして、光学フィルター30に対する325nmの光の入射角を15°,30°,45°と大きくしていくと、この325nmの光の透過率は15%,70%,95%と高くなっていく。
【0044】
このような光学フィルター30の性質を利用して、光学フィルター30を当該光学フィルター30に対する所定の波長以上の光Lの入射角θ1が大きくなるに連れて、所定の波長以上の光Lの透過率を高めるように設定することで、所望のプレチルト角に対応する光学フィルター30への入射角(第1の角度θ1)の時に所望の波長以上の光Lを十分に透過することができる。
【0045】
(第3実施形態に係る光照射装置10の効果)
第3実施形態に係る光照射装置10によれば、光源12から放射される光Lのうち光学フィルター30への入射角θ1が小さい光L(光学フィルター30に対して略垂直に入射する光)は当該光学フィルター30を透過し難くなり、ワークXに対する所望の入射角θ1に近い光Lを中心として露光を行うことができるので、より安定したプレチルト角を得ることができる。
【0046】
(第4実施形態に係る光照射装置10の構成)
第4実施形態に係る光照射装置10は、図5に示すように、大略、光源12と、偏光素子14と、カバー部材40とを備えている。
【0047】
光源12は、上述した実施形態と同様に、ワークXが載置される露光面Aに向けて露光用光Lを照射する部材であり、複数のLED16が使用されている。これらLED16は露光面A上を一定方向に移動していくワークXに対して走査するように露光用光Lを照射していくので、当該光源12はワークXの移動方向に直交する方向に複数のLED16を略直列に配置することによって形成されている。
【0048】
なお、第4実施形態に係る光照射装置10でも、第1,第2実施形態と同様に第1の角度θ1および第2の角度θ2を規定する必要はなく、第1の角度θ1および第2の角度θ2は任意である。もちろん、第1,第2実施形態と同様に第1の角度θ1および第2の角度θ2を規定してもよい。
【0049】
偏光素子14は、光源12から照射された光のうち一方向に振動する光成分のみを透過して偏光する素子であり、第1,2実施形態と同様、ワイヤーグリッド偏光素子が使用されている。
【0050】
なお、ワイヤーグリッドの形成面18は、偏光素子14における光源12側の面であってもよいし、光源12とは反対側の面であってもよい。また、偏光素子14はワークX(露光面A)に対して平行となるように配設されるのが好適である。
【0051】
カバー部材40は、光源12からの光Lを透過する例えばガラス製の板材であり、偏光素子14におけるワイヤーグリッドの形成面18に対向する位置において、ワークXと略平行に配設されている。つまり、図示するように偏光素子14におけるワイヤーグリッドの形成面18が光源12側とは反対側に形成されている場合、カバー部材40も偏光素子14における光源12側とは反対側に配設される。逆に、偏光素子14におけるワイヤーグリッドの形成面18が光源12側に形成されている場合(図示せず)、カバー部材40も偏光素子14における光源12側に配設される。
【0052】
なお、カバー部材40の表面(両面とも)には、反射防止膜等の反射防止処理をしなくてもよいが、一方または両方の表面に反射防止膜等の反射防止処理を行うのが好適である。
【0053】
また、カバー部材40と偏光素子14におけるワイヤーグリッドの形成面18との間の空間Sは密閉するのが好適である。例えば、カバー部材40および偏光素子14の周縁を保持する保持枠42を設け、当該保持枠42でカバー部材40と偏光素子14におけるワイヤーグリッドの形成面18との間の空間Sを密閉することが考えられる。
【0054】
なお、上述した「密閉」とは、当該空間Sにシロキサン化合物等の微小固形物が侵入しない程度の意味であり、完全な意味での「密閉」は必要ない。
【0055】
また、偏光素子14にはいわゆる「反射タイプ」のワイヤーグリッドを用いるのが好適である。「反射タイプ」であれば、光源12からの光Lによってワイヤーグリッドが加熱され、密閉された空間の温度が不所望に上昇することによってワイヤーグリッドの形成面18等を損傷させる可能性が低いからである。
【0056】
さらに、密閉された空間Sを冷却することを目的として、カバー部材40、偏光素子14、あるいは保持枠42といった当該空間Sを構成する部材を強制空冷または水冷といった方法によって冷却してもよい。
【0057】
(第4実施形態に係る光照射装置10の構成)
第4実施形態に係る光照射装置10によれば、偏光素子14におけるワイヤーグリッドの形成面18に対向する位置にカバー部材40が配設されているので、例えば光照射装置10のメンテナンス等の際に誤ってワイヤーグリッドの形成面18を損傷させるのを回避できるとともに、ワイヤーグリッドの形成面18にシロキサン化合物等の微小固形物による汚れが付着するのを回避できる。
【0058】
(変形例1)
上述した第1から第4実施例に係る光照射装置10の構成は、互いに組み合わせることができる。例えば、第3実施例の光学フィルター30と第4実施例のカバー部材40とを組み合わせることにより、図6に示すように、光源12に近い側から順に、光学フィルター30、偏光素子14、カバー部材40が配置された光照射装置10を形成できる。
【0059】
もちろん、偏光素子14およびカバー部材40の位置を逆にして、光源12に近い側から順に、光学フィルター30、カバー部材40、偏光素子14が配置された光照射装置10を形成してもよい。
【0060】
さらに言えば、図7に示すように、光学フィルター30をワークに最も近い位置に配置して、光源12に近い側から順に、カバー部材40、偏光素子14、光学フィルター30が配置された光照射装置10を形成してもよい。
【0061】
(変形例2)
また、上述した第1から第4実施例に係る光照射装置10で使用されている光源12に対し、図8に示すように、LED16からの光Lの配光角を制御するためのレンズ50をさらに設けてもよい。このレンズ50の数は、図示するように1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
【0062】
さらに、上述した第1から第4実施例に係る光照射装置10で使用されている光源12に対し、図9に示すように、LED16からの光Lの配光角を制御するためのリフレクター52をさらに設けてもよい。
【0063】
また、図10に示すように、レンズ50とリフレクター52とを組み合わせてLED16からの光Lの配光角を制御してもよい。
【0064】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
10…光照射装置、12…光源、14…偏光素子、16…LED、18…ワイヤーグリッドの形成面
20…透光板
30…光学フィルター
40…カバー部材、42…保持枠
50…レンズ、52…リフレクター
X…ワーク(露光対象物)、A…露光面、L…露光用光、CL…(LED16の)光軸、θ1…第1の角度、θ2…第2の角度、θ3…(透光板20への)入射角、S…(カバー部材40とワイヤーグリッドの形成面18との間の)空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10