(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-14
(54)【発明の名称】廃棄物分解装置の破砕滅菌装置
(51)【国際特許分類】
B09B 3/30 20220101AFI20220104BHJP
A61L 2/04 20060101ALI20220104BHJP
B09B 3/60 20220101ALI20220104BHJP
A61L 11/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
B09B3/00 Z
A61L2/04
B09B3/00 A
A61L11/00
(21)【出願番号】P 2021146682
(22)【出願日】2021-09-09
【審査請求日】2021-09-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512038665
【氏名又は名称】三好 壽幸
(74)【代理人】
【識別番号】100083172
【氏名又は名称】福井 豊明
(72)【発明者】
【氏名】三好 壽幸
(72)【発明者】
【氏名】高畑 信男
【審査官】越本 秀幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-068682(JP,A)
【文献】特開平10-213324(JP,A)
【文献】国際公開第2015/186599(WO,A1)
【文献】特開平02-046854(JP,A)
【文献】特開2006-272038(JP,A)
【文献】特開2006-007111(JP,A)
【文献】特開2008-127213(JP,A)
【文献】特開2006-281131(JP,A)
【文献】特開2006-061873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
A61L 2/00-2/28
A61L 9/00-9/22
A61L 11/00
B29B 17/00-17/04
C08J 11/00-11/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を微生物処理によって分解槽で分解する廃棄物分解装置に適用する破砕滅菌装置において、
投入された廃棄物を収容する破砕・滅菌室と、
前記破砕・滅菌室の底部に設置された破砕機と、
前記破砕・滅菌室から通気管を介して、一旦当該破砕・滅菌室の空気を外部に取り出して再び破砕・滅菌室に返す循環路と、
前記循環路に備えた送風器と、
前記循環路の前記送風器の下流側で空気を加熱するヒーターと、
前記循環路の前記送風器の上流側に設けた、外気取入口と、
前記外気取入口に接続されたブロワーと、
前記循環路の前記外気取入口より更に上流に設けた排出口と、
前記ヒーターと破砕機がONのときは前記外気取入口を閉じ、ヒーターと破砕機がOFFになったときに前記外気取入口を開にするバルブと、
前記ヒーターと破砕機がONのとき、前記循環路側を開、前記排出口側を閉とし、ヒーターと破砕機がOFFになったときに前記循環路側を閉、前記排出口側を開とする3方バルブと、
を備えたことを特徴とする廃棄物分解装置の破砕滅菌装置。
【請求項2】
前記、ヒーターのON,OFF、バルブの開閉、および3方バルブの切り替えを制御する温度管理手段と、
前記破砕機のON,OFFを制御する破砕制御手段と
を備えた請求項1に記載の廃棄物分解装置の破砕滅菌装置。
【請求項3】
前記ヒーターが、
軸方向に複数の小孔を有したセラミックであり、前記通気管の軸と自身の軸を合わせて配置した円柱ボディと、
前記複数の孔の一部もしくは全部に対して、張り渡された熱線と、
を備えた
請求項1又は2に記載の廃棄物分解装置の破砕滅菌装置。
【請求項4】
前記ヒーターの下流側に消臭触媒を配置した
請求項1又は2に記載の廃棄物分解装置の破砕滅菌装置。
【請求項5】
前記消臭触媒が、炭素繊維の網体である
請求項4に記載の廃棄物分解装置の破砕滅菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃棄物分解装置に関し、特に廃棄物分解装置に投入する被処理物の破砕滅菌装置と、消臭装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、特許6887707号公報で土壌菌を多孔質セラミックに担持させて廃棄物を分解する方法と装置を提案している。ここで分解できる廃棄物はプラスチックを含めた自然有機物および人工有機物である。
【0003】
廃棄物にはいわゆる産業廃棄物や家庭廃棄物があるが、医療廃棄物は排泄物を含んだ紙おむつ、手術で使用したゴム手袋、注射シリンダー、注射針等、種々雑多な物が含まれている。医療廃棄物を扱う場合には、消毒・殺菌が必要であるが、単に消毒・殺菌するだけでなく、芽胞菌まで完全に消滅させる、いわゆる滅菌処理が必要である。
【0004】
芽胞菌は通常の細菌と比べて極めて高温に強く、100℃での煮沸によっても完全に不活化することが出来ない。芽胞菌を高温で完全に不活化するには、オートクレーブ処理(約2気圧の飽和水蒸気中で121℃、15分以上)、乾熱処理(180℃で30分あるいは160℃で1時間以上)などの処理が必要となる。
【0005】
一般に廃棄物処理をする方法として、先行特許文献1、2に開示するように亜臨界あるいは超臨界域で処理対象物を加水分解する方法がある。この場合は、亜臨界あるいは超臨界域の高温高圧のタンク内で、対象物を分解するのであるから、廃棄物が医療廃棄物であっても、前記滅菌処理も分解処理とともにできることが容易に推測できる(例えば特許文献1段落0019)。
【0006】
一方、被処理物を分解して構成要素ごとに分別して再利用もしくは廃棄する処理方法がある。この場合は、前記要素ごとへの分解前、あるいは後に、前記滅菌処理が必要となる。
【0007】
特許文献3では、破砕装置で被処理物を破砕して、滅菌乾燥処理槽で滅菌してから乾燥し、再利用あるいは廃棄に供している。
【0008】
また、特許文献4では、被処理物を破砕装置で破砕して、その下側に設けた処理槽で受け、当該処理槽で乾熱を用いて滅菌をする構成を開示している。
【0009】
一方、この種分解装置では、処理中に悪臭を伴うことがある。特許文献2ではカセイソーダ等のアルカリ剤あるいはそれに次亜塩素酸を加えて消臭処理をしている(段落0027)。
【0010】
また特許文献4では、白金触媒を用いて消臭処理をしている(段落0093)。
更に、特許文献5ではオゾンを用いることがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2017-225938号公報
【文献】特開2017-131841号公報
【文献】特開2020-10978号公報
【文献】特許2007-98199号公報
【文献】特開平04-16248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願出願人が特許6887707号公報で提示している、微生物による廃棄物処理装置は、処理対象物を、分解処理の前段階として、被処理物を破砕、滅菌乾燥しておく必要がある。すなわち、微生物による分解は、水蒸気の発生を伴い、水分の増加を招くので、処理前の被処理物に多大の水分を含むことは、菌の活性を損ない、また発生する水分の処理が問題となる。また、微生物による分解処理は35℃前後の温度の下で実施されるのであるから、殺菌や滅菌はできない。分解処理期間中、あるいは分解処理後に、外部に有毒な細菌や芽胞菌を排出しないためには、分解処理前に被処理物の殺菌、滅菌をしておく必要がある。
【0013】
引用文献3に開示の装置では、破砕と滅菌・乾燥が異なる装置によって処理され、装置自体がはなはだ嵩高くなることが予測される。更に、滅菌と乾燥は同じ槽で行われているが、滅菌をするについては加熱殺菌部で高温の飽和水蒸気を供給された状態で、圧縮ポンプで高圧にすることによって、前記滅菌の条件である「2気圧の飽和水蒸気中で121℃15分以上」が形成され(段落0023)ている。次いで、乾燥をするについては、前記滅菌の時の水蒸気を供給する経路とは別の経路で送り込まれる「水蒸気による熱」を利用して実施される。
【0014】
このように、滅菌と乾燥で異なる機構を用いているので、装置自体が非常に複雑になり、嵩高くなる欠点がある。
【0015】
特許文献4には、破砕部で被処理物を破砕した後、その下側に設けた処理部で乾熱滅菌処理を行う構成になっている。この装置での破砕部と処理部は上下で別個の装置であり、被処理物を破砕してから乾燥・滅菌するという順で作業が進められる。従って、処理に時間がかかることになり、また、装置全体の嵩が大きくなる。
【0016】
尚、上記特許文献3では、上記滅菌、乾燥処理が終わった廃棄物は、素材毎に分別して、再利用に供し(段落0048)、また、引用文献4では乾熱処理が終わった後の被処理物を産業廃棄物としているが、本願では後に説明するように微生物による分解処理に供することになる。
【0017】
また、特許文献2に開示するように、発生する臭い成分を、アルカリ剤等を用いて処理することは消臭用の特別な槽を必要とし、装置体積を大きくすることになる、また、特許文献5に開示するように、オゾンを使用することは、オゾン発生器を必要とし、この場合も装置体積を大きくする。また、未反応のオゾンがでたとき、それを処理しておかないと、周囲につよい悪臭を放つことになる。
【0018】
また、特許文献4に開示するように白金触媒を用いることは、コストデメリットが大きいことになる。
【0019】
本発明は上記従来の事情に鑑みて提案されたものであって、廃棄物、特に医療廃棄物を微生物処理するについて、構造が簡単で従来に比べて小型となる破砕滅菌装置を提供することを目的とする。また、前記滅菌効果を発揮する構造を利用して消臭効果をも発揮する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、廃棄物を微生物処理によって分解する廃棄物分解装置に適用する破砕滅菌装置であって、以下の破砕・滅菌室、破砕機、循環路、ヒーターを備える。
【0021】
前記破砕・滅菌室の底部に破砕機を備えて、当該破砕・滅菌室に投入された廃棄物を破砕する。前記破砕・滅菌室から通気管を介して、一旦当該破砕・滅菌室の空気を外部に取り出して再び破砕・滅菌室に返す循環路が設けられ、当該循環路の途中に送風器が備えられる。前記循環路の前記送風器の下流側にヒーターが設けられ、加熱された空気を破砕・滅菌室に送り込むようになっている。
【0022】
また、前記循環路の前記送風器の上流側には外気取入口が設けられ、当該外気取入口には、ブロワーが接続される。更にその上流側には排気口が設けられる。
【0023】
前記外気取入口には、前記ヒーターと破砕機がONのときは前記外気取入口を閉じ、ヒーターと破砕機がOFFになったときに前記外気取入口を開にするバルブが配設される。
【0024】
また、前記排出口には、ヒーターと破砕機がONのとき、前記循環路側を開、当該排出口側を閉とし、ヒーターと破砕機がOFFになったときに前記循環路側を閉、当該排出口側を開とする3方バルブが備えられる。
【0025】
前記ヒーターのON,OFF、バルブによる外気取入口の開閉、3方バルブによる排気口の開閉と循環路の開閉の切り替えは温度管理手段によってなされる。
【0026】
また、前記破砕機のON, OFFは破砕制御手段によってなされる。
【0027】
前記ヒーターは、セラミックの円柱ボディを有し、当該円柱ボディの軸方向に複数の小孔をそなえ、前記複数の孔の一部もしくは全部に対して、熱戦が張り渡された構成とする。
【0028】
前記ヒーターの下流側に消臭触媒を配置することによって、消臭効果を生むことができる。
【発明の効果】
【0029】
上記の構成により、被処理物に対して、次段の微生物処理に必要な、破砕、滅菌、乾燥を同時に行うことができ、装置の部品点数や嵩を大幅に減らすことができる。加えて消臭触媒を備えることによって、前記破砕・滅菌室から発生する臭い成分を分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図5】外気取入口と、排出口のバルブを示す図である。
【
図8】分解槽に対して消臭装置を適用した場合の図である
【
図9】循環路を共通にする場合のバルブ構造を示す図である。
【
図10】本発明が提供される微生物分解装置の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図10は本願発明が提供される微生物分解システムの全体図である。
【0032】
破砕・滅菌装置100で破砕・滅菌された被処理物は、コンベアー200で微生物分解装置300に搬送される。微生物分解装置300での分解処理には臭いの発生を伴うので、消臭装置400が設置されている。
【0033】
図1は本発明の破砕・滅菌装置の要部を示す図である。
【0034】
有蓋、有底の円筒形の軸を縦にした状態の破砕・滅菌室1の上部に、被処理物を投入するための投入口11が設けられ、前記破砕・滅菌室1に対して、気密に開閉できるようになっている。前記破砕・滅菌室1の底部には、回転板21が水平に配置され、当該回転板21は、底板の下に配置されたモータ23によって駆動される。
【0035】
前記回転板21上に切削刃22が放射状に複数垂直に立設される。前記切削刃22は、前記回転板21の中央から外周に向かって次第に高くなり、その高さ方向の先端には
図2に示すように、回転方向上流側から下流側に幅広になるテーパをなす刃22aが、当該切削刃22の全域(前記回転板21の中心部から外周部に至る全域)に渡って形成されている。これによって、回転板21を回転させると、切削刃22で、投入口11から投入された被処理物が破砕されるようになっている。
【0036】
前記、切削刃22の上側で破砕・滅菌室1の周壁には、径方向内側に突き出す覆い12が複数設けられる。
図1、
図3(
図1の平面図)に示すように、当該覆い12は、前記回転板21の回転上流側から下流側に向かって、次第に位置が高くなるように傾斜し、また径方向に次第に広くなる形状となっている。これによって、前記投入口11から投入された被処理物が、前記覆い12を伝って円板21まで滑り落ちるように、また、回転する切削刃22で切削され、飛び散った被処理物が、前記覆い12に阻止されて再び回転板1上の落下するようになっている。また、破砕された被処理物が、覆い12の上にまで飛び散ったとしても、前記覆い12の傾斜を伝って回転板21まで滑り落ちるようになっている。
前記破砕・滅菌室1の前記切削刃22の位置に対応した周壁の一部に、外部との気密が保たれた状態で閉じることができる開閉口13が設けられている。
【0037】
後に説明するように、当該開閉口13は、被処理物の破砕、滅菌が終了して、破砕・滅菌室1の温度が室温まで下がったときに、コントローラ55が作動して自動で開くようになっている。
【0038】
前記、破砕・滅菌室1の天蓋には、循環路30の上流端をなす通気管31aが連通しており、循環路30は下流端をなす通気管31bを介して破砕・滅菌室1に戻るようになっている。前記循環路30の途中には前段に送風器45を備えたヒーター40が配設され、当該送風器45とヒーター40で熱風が、破砕・滅菌室1に循環路30を介して循環するようになっている。
【0039】
ヒーター40は、
図4、
図7に示すように、セラミックの円柱ボディ41に軸方向の複数の小穴42を備え、当該小穴42に対して、1本の電熱線43を、往行、復行を繰り返して張り渡した構成となっている。
【0040】
図1、
図5に示すように、循環路30の前記送風器45の前段に外気取入口33が設けられ、当該外気取入口33にブロワー32が接続される。
【0041】
更に、ブロワー32の循環路30への接続口となる外気取入口33にはバルブ33vが設けられ、後述するように、破砕・滅菌室1での破砕滅菌処理が終わった後、破砕・滅菌室1を冷却するための外気を取り入れるときに開となる。また、前記循環路30の外気取入口33の前段には、循環路30側に開となるか排気口34に開となるかを切り替える三方バルブ34vが設けられる。当該三方バルブ34vは、後述するように、滅菌や消臭時には循環路30側に開となり、ブロワー32で外気を取り入れるときは排気口34に開となる。
【0042】
以上の構成で、破砕・滅菌室1で被処理物の破砕と同時に滅菌もするわけであるが、乾熱で滅菌をするについては前記したように、180℃で30分以上、あるいは160℃で1時間以上という条件が課される。そこで本発明は、200℃で40分という条件を以下に説明するコントローラ55の温度設定手段に設定しておく。
【0043】
図6は本発明のコントローラ55による制御例を示すフローチャートである。先ず、被処理物を前記投入口11から投入し、それとともにコントローラ55の温度管理手段56と破砕制御手段57を起動させる。尚、このときバルブ33vは閉、バルブ34vは循環路30に開となっている。
【0044】
前記温度管理手段56はヒーター40と送風器45をONにし、温度センサー1sによる破砕・滅菌室1内の温度が200℃になる制御を実行する。それとともに、当該破砕制御手段57は回転板21を駆動するモータ23の電源をONして、被処理物の破砕を実行する。このとき、前記温度が200℃になるまでは回転板21を低速で回転し、200℃になってから高速で回転するように制御する(
図6、S1→S2(S2a、S2b))。
【0045】
前記温度管理手段56は、回転板21が回転している状態で、前記破砕・滅菌室1内の温度が200℃を検知した状態を40分間維持する(
図6、S3)。
【0046】
前記40分が経過すると、ヒーター40と送風器45の電源を切るとともに、その旨(200℃を40分間維持したこと)を破砕制御手段57に通知する。当該通知を受けた破砕制御手段57は、回転板21の回転を一旦止める(S4)。
【0047】
次に、冷却工程に移行する。
【0048】
すなわち、温度管理手段56は、ブロワー32の外気取入口33のバルブ33vを開、前記ブロワー32の上流側の3方弁34vを排気口34側に開(循環路30側を閉)にする(S5)。この状態で、ブロワー32をONにすると、外気取入口33より取り入れられた外気は破砕・滅菌室1に送り込まれ、三方弁34vを介して排気口34より排出される(S6→S7)。これによって、破砕・滅菌室1は冷却されることになる。
【0049】
温度管理手段56が前記破砕・滅菌室1の温度が常温になったことを検知した時点で、その旨を前記破砕制御手段57に通知すると、当該破砕制御手段57は、前記取出口13を開くとともに、モータ23をONにして回転板21を回転させる。
【0050】
これによって破砕、滅菌、乾燥された被処理物は破砕刃22によって、取出口13から排出されることになる(S8)。このように被処理物が排出された後は、各バルブ33v、34vを初期状態に戻しておく(S9)。
【0051】
前記開閉口13の被処理物の排出を受けるように、コンベアー200(
図10)が備えられており、当該コンベアー200で被処理物は微生物処理装置300の分解槽310に搬送される。
【0052】
ところで、前記破砕・滅菌室1に投入される物質には、汚物等、破砕、乾燥過程で臭いの発生する物質も多い。上記した構成でヒーター温度を600℃にすると、臭い成分を分解することができるが、それでは消臭にともなうエネルギーロスが多くなる。そこで、
図7を用いて後に説明する消臭触媒50を用いることによってヒーター温度が350℃で、臭い成分を焼失させることができる。
【0053】
<消臭>
前記滅菌・破砕室1は気密状態になっており、比較的発生する臭いは少ないが、それでも消臭の必要性を伴う場合が発生する。
【0054】
そこで、滅菌・破砕室1から発生する臭いが強い場合は、消臭触媒が用いられる。
【0055】
前記消触媒は、
図7に示すように、方形の枠51の対向する辺に炭素繊維52を複数条張り渡して網体となし、単位の消臭板を形成し、当該単位の消臭板を単体あるいは複数枚(図面上は2枚)、前記ヒーター40の吹き出し側に配置する構成になっている。この構成で、前記ヒーター40の吹き出し温度を350℃以上にすると、空気に含まれる臭い成分を分解できることができる。
【0056】
当該消臭のメカニズムについては明瞭ではないが、仮に、前記消臭触媒50を配置しない場合は、600℃の温度にしない限り、消臭効果がないところから、炭素繊維52が何等かの触媒的な作用をしているものと考えられる。
【0057】
また、前記分解処理槽装置300は、気密構造にはなっていないので、その分解槽310での分解処理中に臭いが発生する。
【0058】
そこで、
図8に示すように、滅菌・破砕室1の空気を加熱循環、消臭する構造を、分解槽310の空気を加熱循環、消臭する構成にそのまま適用することができる。但し、この場合分解槽310内は35℃と低温であるので、前記ブロアー32による冷却構造は不要である。
【0059】
また、前記ヒーター40と消臭触媒50により消臭された空気は、そのまま外部に放出してもよいが、ここでは、分解槽310に返される。分解槽310は常に35℃前後に保持される必要があるところから、前記消臭処理中にヒーター40で加熱された空気を利用するのが合理的である。
【0060】
但し、前記ヒーター40の熱量だけでは前記35℃に維持できないときには、分解槽310に予備加熱装置が必要となり、記ヒーター40の熱量で分解槽310内の温度が35℃より上がり過ときは、上記ヒーター40を間欠運転する必要がある。
【0061】
上記では、前記臭い源となる破砕・滅菌室1と分解槽310とのそれぞれに、ヒーター40と消臭触媒50を適用した例を示したが、ヒーター40、消臭触媒50を含む循環路30を破砕・滅菌室1と分解槽310で共通にしてもよい。すなわち、
図9に示すように、循環路30の始端側31aを3方バルブ60aで分岐し、分岐された一方を破砕・滅菌室1に接続し、他方を分解槽310に接続する。また、循環路30の終端側31bを3方バルブ60bで分岐し、分岐された一方を破砕・滅菌室1に接続し、他方を分解槽310に接続する。
【0062】
当然のことながら、破砕・滅菌室1での破砕滅菌処理とともに、消臭をする場合は前記2つの3方バルブ60a、60bを破砕・滅菌室1側に開にし、このとき、ヒーター40の消臭触媒50側の吹き出し温度は350℃であるが、前記したように破砕・滅菌室1は200℃に維持される制御がなされる。
【0063】
また、分解槽310の消臭をする場合は前記2つの3方バルブ60a、60bを分解槽310側に開にする。前記したように、前記ヒーター40の熱量が不足するときの、予備加熱装置、ヒーター40の熱量の熱量が過剰であるときの間欠運転はこの場合も同様である。
【0064】
上記において、送風器45とブロワー32を共通にする構成としてもよいが、送風器45はヒーター40による熱風を循環させることから故障が発生しやすく単独で取り換えができる構成としている。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明したように、本発明は、微生物を用いて廃棄物を分解する廃棄物分解装置において、被処理物の破砕、滅菌、乾燥が同一の装置ででき、加えて、廃棄物の破砕や分解の際に発生する臭いも同一の装置で消すことができるので、装置全体の体積を極めて小さくすることができ、廃棄物処理において、極めて有効である。
【符号の説明】
【0066】
100 破砕滅菌装置
200 コンンベアー
300 微生物分解装置
310 分解槽
400 消臭装置
1 破砕・滅菌室
11 投入口
12 覆い
13 開閉口
21 回転板
22 切削刃
22a 刃
23 モータ
30 循環路
31a、31b 通気管
32 ブロワー
33 外気取入口(33v バルブ)
34 排気口(34v バルブ)
40 ヒーター
42 小穴
43 電熱線
45 送風器
50 消臭触媒
55 コントローラ
56 温度管理手段
57 破砕制御手段
60a、60b バルブ
【要約】
【課題】 医療廃棄物を微生物処理するについて、構造が簡単で従来に比べて小型となる破砕滅菌装置を提供する。
【解決手段】 破砕・滅菌室の底部に破砕機を備えて、当該破砕・滅菌室に投入された廃棄物を破砕する。前記破砕・滅菌室から通気管を介して、一旦当該破砕・滅菌室の空気を外部に取り出して再び破砕・滅菌室に返す循環路が設けられ、当該循環路の途中に送風器が備えられる。前記循環路の前記送風器の下流側にヒーターが設けられ、加熱された空気を破砕・滅菌室に送り込むようになっている。前記循環路には外気取入口が設けられ、更にその上流側には排気口が設けられ、前記外気取入口には、ブロワーが接続されて、冷却用の空気を送り込む構成になっている。
【選択図】
図1