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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】陳列商品のこぼれ止め装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20220104BHJP
   A47B 96/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
A47F5/00 F
A47B96/00 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021099959
(22)【出願日】2021-06-16
【審査請求日】2021-06-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】松田 徹
(72)【発明者】
【氏名】河井 秀介
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-068290(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0302593(US,A1)
【文献】特開2020-078476(JP,A)
【文献】実開昭59-034649(JP,U)
【文献】特開2019-213850(JP,A)
【文献】登録実用新案第3125485(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
A47B 96/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品陳列ケースの商品陳列棚の後方部に配置される左右一対のフェンスホルダと、
長手方向の両端部を前記フェンスホルダに保持されるフェンスと、を有し、
前記フェンスホルダにスリットが設けられ、
前記フェンスホルダは、前記商品陳列棚の後方縁部に設けられて上方向きに立ち上がった既存の立ち上がり部に前記スリットを嵌合させることにより前記商品陳列棚に着脱可能に取付けられ、
前記フェンスは、先端部を上方に向けることにより前記商品陳列棚上の商品が後方に移動して前記フェンスに当たった場合にその商品がそれ以上後方に移動することを阻止する位置と、先端部を後方に回動させて前記商品陳列棚上への後方からの商品の補充作業の妨げとならない位置とに回動可能に設けられていることを特徴とする陳列商品のこぼれ止め装置。
【請求項2】
前記フェンスホルダは、前記フェンスを保持する保持部を備えたホルダ本体と、
前記ホルダ本体の上部側面から下向きに延出した脚部と、
前記ホルダ本体と前記脚部との間に位置する前記スリットと、を有し、
前記ホルダ本体における前記スリット側の下部側面に前記脚部側に向けて突出する突起が形成され、この突起は前記立ち上がり部に前記スリットを嵌合させた場合に前記立ち上がり部に弾性的に当接することを特徴とする請求項1記載の陳列商品のこぼれ止め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォークインケースやショーケース等の各種の商品陳列ケースの商品陳列棚に陳列されている商品が、商品陳列棚の背面側にこぼれ落ちることを防止する陳列商品のこぼれ止め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商品陳列ケースの一例であるウォークインケースにおいては、商品陳列棚に陳列されている商品を買い物客が一旦取出し、その後にその商品を商品陳列棚に戻した場合、商品陳列棚に陳列されている他の商品が戻した商品に押されて後方へ移動し、商品陳列棚の背面側に設けられているストッカースペースに落下して破損するという事態を生ずる。また、ショーケース等の各種の商品陳列ケースにおいては、商品が商品陳列棚の正面側にこぼれ落ちることを防止するため、商品陳列棚の正面側にフェンスが設けられている。
【0003】
ここで、商品陳列棚に陳列されている商品が正面側にこぼれ落ちることを防止する装置の一例としては、下記特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1に記載されている装置は、水平方向に延出する落下防止バーを有し、この落下防止バーの取付位置が上下方向に調節可能とされ、さらに、取付位置を前後方向に変更するために落下防止カバーの一部が前後方向に伸縮スライド可能とされている。この装置によれば、商品陳列棚に載置されている商品の高さサイズや前後方向のサイズに応じて落下防止バーの取付位置を上下方向や前後方向に変更することができ、しかも、その変更作業を容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3191826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている装置の落下防止バーは、商品陳列棚に陳列されている商品が正面側にこぼれ落ちことを防止するためには有効であるが、商品陳列棚の正面側から商品陳列棚上に商品を補充する作業を行う場合には、落下防止バーが補充作業の妨げとなっている。また、このような装置は、商品陳列棚上の商品が正面側に落下することを防止するためのものであり、ウォークインケースにおいては商品陳列棚上の商品が背面側に落下することを防止するための装置は提案されていない。なお、特許文献1に記載された装置をウォークインケースの商品陳列棚の背面側に設けることが考えられるが、その場合にはその装置の存在は商品陳列棚の背面側から行う商品の補充作業の妨げとなる。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は、商品陳列棚に陳列されている商品が商品陳列棚の背面側にこぼれ落ちることを防止することができ、しかも、商品陳列棚上に商品を補充する作業時にはその補充作業を妨げることがない陳列商品のこぼれ止め装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る陳列商品のこぼれ止め装置は、商品陳列ケースの商品陳列棚の後方部に配置される左右一対のフェンスホルダと、長手方向の両端部を前記フェンスホルダに保持されるフェンスと、を有し、前記フェンスホルダにスリットが設けられ、前記フェンスホルダは、前記商品陳列棚の後方縁部に設けられて上方向きに立ち上がった既存の立ち上がり部に前記スリットを嵌合させることにより前記商品陳列棚に着脱可能に取付けられ、前記フェンスは、先端部を上方に向けることにより前記商品陳列棚上の商品が後方に移動して前記フェンスに当たった場合にその商品がそれ以上後方に移動することを阻止する位置と、先端部を後方に回動させて前記商品陳列棚上への後方からの商品の補充作業の妨げとならない位置とに回動可能に設けられている。
【0012】
また、前述の陳列商品のこぼれ止め装置において、前記フェンスホルダは、前記フェンスを保持する保持部を備えたホルダ本体と、前記ホルダ本体の上部側面から下向きに延出した脚部と、前記ホルダ本体と前記脚部との間に位置する前記スリットと、を有し、前記ホルダ本体における前記スリット側の下部側面に前記脚部側に向けて突出する突起が形成され、この突起は前記立ち上がり部に前記スリットを嵌合させた場合に前記立ち上がり部に弾性的に当接すること部側に向けて突出する突起が形成され、この突起は前記立ち上がり部に前記スリットを嵌合させた場合に前記立ち上がり部に弾性的に当接することが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る陳列商品のこぼれ止め装置は、商品陳列ケースの商品陳列棚の後方部に左右一対のフェンスホルダが配置され、これらのフェンスホルダによりフェンスが保持され、フェンスは、先端部を上方に向けることにより、商品陳列棚上の商品が後方に移動した場合にフェンスに当たってその商品が後方方にこぼれ落ちることを阻止する位置と、先端部を後方に回動させて商品陳列棚上への商品の補充作業を妨げない位置とに回動可能に設けられている。このため、フェンスの先端部を上方に向けることにより、方に移動した商品がフェンスに当たった場合にはその商品がそれ以上後方方へ移動することを阻止することができ、商品が商品陳列棚から後方にこぼれ落ちることを防止できる。また、フェンスを後方に回動させることにより、フェンスは商品陳列棚上への後方からの商品の補充作業の妨げとならない位置に位置することになり、商品陳列棚上への商品の補充作業をフェンスが妨げとなることなく容易に行うことができる。また、フェンスホルダにはスリットが設けられ、このスリットを商品陳列棚の後方縁部に設けられて上方向きに立ち上がった立ち上がり部に嵌合させることにより商品陳列棚に着脱可能に設けられているため、この立ち上がり部にスリットを嵌合させることにより商品陳列棚への陳列商品のこぼれ止め装置の取付けを容易に行うことができる。しかも、立ち上がり部は、商品陳列棚に設けられている既存の部材であるため、既存の商品陳列ケースに対してもこの陳列商品のこぼれ止め装置を後付けすることができる。
【0018】
また、フェンスホルダは、フェンスを保持する保持部を備えたホルダ本体と、ホルダ本体の上部側面から下向きに延出した脚部と、ホルダ本体と脚部との間に位置するスリットとを有し、ホルダ本体におけるスリット側の下部側面に脚部側に向けて突出する突起が形成され、この突起は立ち上がり部にスリットを嵌合させた場合に立ち上がり部に弾性的に当接することにより、スリットに嵌合された立ち上がり部を突起と脚部とにより強固に挟持することができ、商品陳列棚への陳列商品のこぼれ止め装置の取付状態を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第一の実施形態において、商品陳列ケースであるウォークインケースに陳列商品のこぼれ止め装置が取付けられている状態を示す断面側面図である。
図2】フェンスを起立位置に位置させた状態を示す斜視図である。
図3】フェンスをその上端部が低くなる位置に回動させた状態を示す斜視図である。
図4】フェンスホルダを示す斜視図である。
図5】フェンスを示す斜視図である。
図6】(a)~(c)は、フェンスホルダに保持されたフェンスの位置を変更した状態を示す断面側面図である。
図7】本発明の第二の実施形態において、商品陳列ケースであるショーケースに陳列商品のこぼれ止め装置が取付けられている状態を示す断面側面図である。
図8】フェンスを起立位置に位置させた状態を示す斜視図である。
図9】フェンスをその上端部が低くなる位置に回動させた状態を示す斜視図である。
図10】本発明の第三の実施形態において、商品陳列ケースであるウォークインケースに陳列商品のこぼれ止め装置が取付けられている状態を示す断面側面図である。
図11】陳列商品のこぼれ止め装置が取付状態を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第一の施形態の陳列商品のこぼれ止め装置1を、図1ないし図6に基いて説明する。この実施形態の陳列商品のこぼれ止め装置1は、商品陳列ケースの一例であるウォークインケース2に取付けられている。
【0021】
まず、ウォークインケース2について説明する。ウォークインケース2は、正面に開閉可能なドア3を備えた本体ケース4を有し、本体ケース4内におけるドア3の後側に複数本の支柱5が立設されている。これらの支柱5により、上下方向に配列された複数段の商品陳列棚6が支持されている。さらに、本体ケース4内には、商品陳列棚6上に陳列する商品を収納する商品ストッカー7が配置されている。商品ストッカー7と商品陳列棚6との間には、商品陳列棚6上に商品を陳列する作業を行う作業スペース8が設けられている。商品陳列棚6は、正面側(ドア3側)が下方となるように僅かに傾斜させて配列されている。さらに、商品陳列棚6上には複数のローラを有するスライダー(図示せず)が配置され、商品はスライダー上に載置されている。このため、買物客がドア3を開放して商品陳列棚6上の手前側の商品を取り出すと、後ろに並んでいる商品が正面側へスムーズに滑り下りるようになっている。
【0022】
つぎに、陳列商品のこぼれ止め装置1について説明する。陳列商品のこぼれ止め装置1は、図2に示すように各商品陳列棚6の後方縁部に取付けられており、一対のフェンスホルダ9と一つのフェンス10とにより構成されている。
【0023】
フェンスホルダ9は、樹脂により形成され、図4に示すように、フェンス10を保持する保持部11を備えたホルダ本体12と、ホルダ本体12の上部側面から下向きに延出した脚部13と、ホルダ本体12と脚部13との間に位置するスリット14とを有している。このフェンスホルダ9は、図2及び図3に示すように、商品陳列棚6の後方縁部に位置して上方向きに立ち上がって形成された立ち上がり部15にスリット14を嵌合させることにより商品陳列棚6に着脱可能に取付けられている。なお、このフェンスホルダ9は、金属により形成してもよい。
【0024】
ホルダ本体12におけるスリット14側の下部側面には、脚部13に向けて突出する突起16が形成されている。この突起16は、立ち上がり部15にスリット14を嵌合させた場合に、立ち上がり部15に弾性的に当接するようになっている。
【0025】
フェンス10は、図5に示すように、ワイヤー等の丸棒状の鋼材を横長のU字形状に折り曲げることにより形成され、両側に位置する一対の脚部10aとその間に位置する水平部10bとを有している。このフェンス10は図2及び図3に示すように、両端部をホルダ本体12の保持部11に挿入することによりフェンスホルダ9に保持されている。脚部10aの先端部には、このフェンス10が保持部11から脱落することを防止する抜止突起10cが形成されている。
【0026】
フェンスホルダ9の保持部11は、上下方向に長い長孔状に形成されている。両端の脚部10aが保持部11に挿入されたフェンス10は、図2図6(a)に示すように下方に移動した位置と、図3図6(b)、図6(c)に示すように上方に移動した位置との間で、上下方向に移動可能とされている。
【0027】
ホルダ本体12における保持部11を形成する背面側の壁部の一部には、切欠部17が形成されている。この切欠部17は、フェンス10を図6(b)に示すように上方位置に移動させた場合に、その位置からフェンス10が図3図6(c)に示すように後方向きに回動することを許容している。後方向きに回動したフェンス10は、先端部が水平位置より下方となる位置まで回動し、その回動位置で脚部10aの外周面の一部が切欠部17の上端面に当接することにより、それ以上後方に回動することが規制されている。なお、フェンス10を後方位置に回動させた場合、抜止突起10cが保持部11内に位置しているので、フェンス10がフェンスホルダ9から脱落することが防止されている。
【0028】
このような構成において、商品陳列棚6への陳列商品のこぼれ止め装置1の取付は、以下の手順で行われる。まず、フェンス10の脚部10aと抜止突起10cとをフェンスホルダ9の保持部11に挿入して回転させることによりフェンス10をフェンスホルダ9に嵌合させ、脚部10a及び抜止突起10cが保持部11内で上下方向に移動可能となるように調整する。そして、商品陳列棚6の立ち上がり部15にスリット14を嵌合させる。これにより、図2に示すように、商品陳列棚6の後方縁部への陳列商品のこぼれ止め装置1の取付けが終了する。
【0029】
商品陳列棚6に取付けられた陳列商品のこぼれ止め装置1においては、フェンス10を図2及び図6(a)に示すように下方に移動させ、抜止突起10cを保持部11の下端側に位置させる。これにより、フェンス10は上端部が上向きに立ち上がった起立位置に位置することになる。フェンス10が起立位置に位置する場合、脚部10aの外周面の前後方向の部分が保持部11の前後の壁面に当接し、フェンス10は前後方向に回動することなく起立位置に安定して維持される。このため、買物客が商品陳列棚6上から一旦取り出した商品を商品陳列棚6上に戻すことにより、商品陳列棚6上に陳列されている商品が後方に押されてフェンス10の水平部10bに当たった場合でも、それ以上商品が後方へ移動することを阻止することができ、後方へ押された商品が商品陳列棚6上から作業スペース8へ落下することを防止することができる。
【0030】
つぎに、作業スペース8内に位置する作業員が商品陳列棚6上に商品を補充する作業を行う場合について説明する。この補充作業を行う場合には、まず、図6(b)に示すようにフェンス10を持ち上げて上方へ移動させる。フェンス10を図6(b)に示す位置まで移動させることにより、脚部10aの下端部が切欠部17の位置まで移動し、図6(c)又は図3に示すように、フェンス10を後方向きに回動させることが可能となる。フェンス10を後方向きに回動させると、回動したフェンス10は略水平向きとなる位置まで回動し、フェンス10の上端部の位置が低くなる。そして、その回動位置で脚部10aの外周面の一部が切欠部17の上端面に当接することにより、それ以上後方に回動することが規制される。このようにしてフェンス10を後方向きに回動させてフェンス10の上端部の位置を低くすることにより、フェンス10が商品陳列棚6上への商品の補充作業の妨げとなることを防止することができ、商品の補充作業を容易に行うことができるようになる。
【0031】
本発明の第二の実施形態の陳列商品のこぼれ止め装置1Aを、図7ないし図9に基いて説明する。なお、第一の実施形態において説明した構成と同じ構成については、同じ符号で示し説明は省略する(以下の実施形態においても同様)。この実施形態の陳列商品のこぼれ止め装置1Aは、商品陳列ケースの一例であるショーケース18に取付けられている。
【0032】
ショーケース18は、正面に開口19を備えた本体ケース20を有しており、本体ケース20の奥側には上下方向に配列された複数段の商品陳列棚21が設けられている。商品陳列棚21の前方縁部には陳列商品のこぼれ止め装置1Aが取付けられている。この陳列商品のこぼれ止め装置1Aは、第一の実施形態で説明した陳列商品のこぼれ止め装置1と略同じ構成であり、一対のフェンスホルダ9と一つのフェンス10とにより構成されている。商品陳列棚21の前方縁部には上方向きに立ち上がった立ち上がり部22が形成されている。この陳列商品のこぼれ止め装置1Aは、立ち上がり部22にスリット14を嵌合させることにより商品陳列棚21に着脱可能に取付けられている。なお、フェンス10の水平部10bには、陳列されている商品の値札を差し込んで保持するスイングライナー24が取付けられている。
【0033】
図8はフェンス10が起立位置に位置している状態を示す斜視図、図9はフェンス10を前方向きに回動させてフェンス10の上端部を低くした状態を示す斜視図である。なお、フェンス10を前方向きに回動させた場合には、第一実施形態の図3に示した場合と異なり、フェンス10は水平向きとなる位置よりさらに下向きとなる位置まで回動している。フェンス10の回動角度の違いは、切欠部17の高さ位置や、切欠部17の上端面の傾きを変えることにより調整されている。
【0034】
このような構成において、フェンス10を図8に示すように起立位置に回動させておくことにより、商品陳列棚21上の商品が手前側に落下することを防止することができる。また、図9に示すように、フェンス10を手前側に回動させてその上端部の位置を低くすることにより、商品陳列棚21上への商品の補充を手前側から行う場合にフェンス10が補充作業の妨げとなることがなく、商品の補充作業を容易に行うことができる。
【0035】
本発明の第三の実施形態の陳列商品のこぼれ止め装置1Bを図10及び図11に基いて説明する。この実施形態の陳列商品のこぼれ止め装置1Bは、商品陳列ケースの一例であるウォークインケース2に取付けられている。
【0036】
ウォークインショーケース2内には、支柱5により上下方向に複数の商品陳列棚6が支持されており、最下段の商品陳列棚6を除く他の商品陳列棚6には、陳列商品のこぼれ止め装置1Bが取付けられている。陳列商品のこぼれ止め装置1Bは、一対のフェンスホルダ25と、そのフェンスホルダ25により保持されるフェンス26とにより構成されている。
【0037】
フェンスホルダ25の基本的な構成は第一の実施形態で説明したフェンスホルダ9と同じであり、樹脂により形成されてフェンス26を保持する保持部27を備えたホルダ本体28と、ホルダ本体28の上部側面から下向きに延出した脚部29と、ホルダ本体28と脚部29との間に位置するスリット30とを有している。このフェンスホルダ25は、図11に示すように、商品陳列棚6の後方縁部に位置して上方向きに立ち上がって形成された立ち上がり部15にスリット30を嵌合させることにより商品陳列棚6に着脱可能に取付けられている。
【0038】
フェンス26は、第一の実施形態で説明したフェンス10と同様に、ワイヤー等の丸棒状の鋼材を逆U字形に折り曲げることにより形成され、両側に位置する一対の脚部26aとその間に位置する水平部26bとを有している。脚部26aの先端部には、フェンス26が保持部27から脱落することを防止する抜止突起26cが形成されている。
【0039】
ここで、陳列商品のこぼれ止め装置1Bが商品陳列棚6に取付けられた場合、フェンス26は図11の実線で示すように先端部が下方を向いた垂下位置に位置し、フェンス26の脚部26aがホルダ本体28に設けられてフェンス26が後方に回動することを規制するストッパ部(図示せず)に当接することにより、図11に示す位置から後方位置への回動が規制されている。また、フェンス26は、図11において実線で示す状態から前方へ押された場合、仮想線で示すように前方への回動が許容されるようになっている。
このような構成において、フェンス26が図11において実線で示すように垂下位置に位置している場合には、このフェンス26の下方に位置する商品陳列棚6上の商品が押されて後方に移動した場合、移動した商品がフェンス26に当たることにより商品がそれ以上後方に移動することが阻止され、商品陳列棚6上の商品が後方の作業スペース8へ落下することが防止される。
【0040】
つぎに、作業スペース8内に位置する作業員が商品陳列棚6上に商品を補充する作業を行う場合について説明する。この補充作業を行う場合には、補充する商品がフェンス26に当たると、フェンス26は当たった商品に押されて図11において仮想線で示す位置に回動する。これにより、フェンス26が商品陳列棚6上への商品の補充作業の妨げとなることなく、商品の補充作業を容易に行うことができる。
【0041】
なお、第一、第二、第三の各実施形態において、フェンス10、26として丸棒状の鋼材を折り曲げて形成したもの例に挙げて説明したが、このフェンス10、26をこのような形状のものに限定する必要はなく、商品の落下を阻止する位置と商品の補充作業の妨げとならない位置とに回動可能であればよく、例えば、長尺状の樹脂製の板状部材の長手方向の両端に脚部を取付けたものであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1A、1B 陳列商品のこぼれ止め装置
2 ウォークインケース(商品陳列ケース)
3 ドア
4 本体ケース
5 支柱
6 商品陳列棚
7 商品ストッカー
8 作業スペース
9 フェンスホルダ
10 フェンス
10a 脚部
10b 水平部
10c 抜止突起
11 保持部
12 ホルダ本体
13 脚部
14 スリット
15 立ち上がり部
16 突起
17 切欠部
18 ショーケース(商品陳列ケース)
19 開口
20 本体ケース
21 商品陳列棚
22 立ち上がり部
23 スイングライナー
25 フェンスホルダ
26 フェンス
26a 脚部
26b 水平部
26c 抜止突起
27 保持部
28 ホルダ本体
29 脚部
30 スリット
【要約】
【課題】商品陳列棚から商品が後方側又は前方側にこぼれ落ちることを防止し、さらに、商品陳列棚上への商品の補充作業を容易に行えるようにする。
【解決手段】商品陳列ケースの商品陳列棚6の後方縁部又は前方縁部に取付けられる左右一対のフェンスホルダ9と、長手方向の両端部をフェンスホルダ9に保持されるフェンス10とを有し、フェンス10は、上端部が上向きに立ち上がった起立位置と、後方向き又は前方向きに回動して上端部が低くなる位置とに回動切替可能に設けられている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11