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特許6990025ソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器及びセット並びにソフトクリーム状冷菓の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】ソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器及びセット並びにソフトクリーム状冷菓の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23G 9/00 20060101AFI20220104BHJP
   A23G 9/24 20060101ALI20220104BHJP
   A23G 9/04 20060101ALI20220104BHJP
   A23G 9/20 20060101ALI20220104BHJP
   A23G 9/44 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
A23G9/00 101
A23G9/24
A23G9/04
A23G9/20
A23G9/44
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017016493
(22)【出願日】2017-02-01
(65)【公開番号】P2018121575
(43)【公開日】2018-08-09
【審査請求日】2019-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000228
【氏名又は名称】江崎グリコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三井 清路
【審査官】飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-144415(JP,A)
【文献】特開2016-202104(JP,A)
【文献】「FAMI CAFE」のフラッペシリーズに初の秋冬向け新商品「リッチフラッペキャラメル」登場!~今までにない”濃厚な味わい”と”なめらかな食感”を実現~[online],[2020年8月24日検索],2016年09月30日,インターネット,http://www.family.co.jp/company/news_release/2016/20160930_01.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 9/00
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径2~8mmの粒状アイスをカップ型容器に充填してなる粒状アイス入り容器であって、前記粒状アイスは、乳固形分3~30質量%、糖類5~40質量%を含み、前記容器に液体飲料を注いだ後1分以内に-2℃~-8℃の均一な状態のソフトクリーム状冷菓を製造するための粒状アイス入り容器。
【請求項2】
前記カップ型容器に体積比で15~60%の粒状アイスを充填してなる、請求項1に記載の粒状アイス入り容器。
【請求項3】
前記粒状アイスが、水、乳固形分、糖類とともにタンパク質、油脂類、乳化剤、安定剤、機能性原料及び香料からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を含む、請求項1又は2に記載の粒状アイス入り容器。
【請求項4】
前記粒状アイスの平均粒径が4~6mmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の粒状アイス入り容器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の粒状アイス入り容器に液体飲料を注いでかき混ぜて、液体飲料を注いだ後1分以内に-2℃~-8℃の均一な状態のソフトクリーム状冷菓を製造することを特徴とする、カップ型容器入りソフトクリーム状冷菓の製造方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載のソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器と容器入り液体飲料を含み、前記液体飲料と前記粒状アイス入り容器を混合してかき混ぜることで液体飲料を注いだ後1分以内に-2℃~-8℃の均一な状態のソフトクリーム状冷菓を製造することができる、ソフトクリーム状冷菓製造用セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器及びセット並びにソフトクリーム状冷菓の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトクリームは、UHT殺菌されたソフトクリームミックスをソフトクリームの製造装置にてフリージングを行い製造されていた。しかしながら、この方法では、ソフトクリーム提供業者は毎日ソフトクリーム製造装置を洗浄殺菌する必要があり、大きな負担を強いられていた。
【0003】
特許文献1は、氷入りコールド液体食品を提案しているが、ソフトクリーム状冷菓についての開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-154764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、専用のソフトクリーム製造装置を使用せずに、風味の良いソフトクリームを簡便に調製する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器及びセット並びにソフトクリーム状冷菓の製造方法を提供するものである。
項1. 平均粒径8mm以下の粒状アイスをカップ型容器に充填してなるソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器。
項2. 前記カップ型容器に体積比で15~60%の粒状アイスを充填してなる、項1に記載のソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器。
項3. 前記粒状アイスが、水とともに糖類、乳固形分、タンパク質、油脂類、乳化剤、安定剤、機能性原料及び香料からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分を含む、項1又は2に記載のソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器。
項4. 前記粒状アイスの平均粒径が2~8mmである、項1~3のいずれか1項に記載のソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器。
項5. 項1~4のいずれか1項に記載のソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器に液体飲料を注いでかき混ぜることを特徴とする、カップ型容器入りソフトクリーム状冷菓の製造方法。
項6. 項1~4のいずれか1項に記載のソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器と容器入り液体飲料を含み、前記液体飲料と前記粒状アイス入り容器を混合してかき混ぜることでソフトクリーム状冷菓を製造することができる、ソフトクリーム状冷菓製造用セット。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特定の製造装置を必要としないでソフトクリーム状冷菓が提供できる。また、UHT殺菌する必要がないので風味が良好なソフトクリーム状冷菓が提供できる。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、淹れたてのコーヒーを瞬時にソフトクリームに加工できるので風味の良好なソフトクリーム状冷菓が提供できる。
【0009】
また、特定の製造装置を必要としないのでソフトクリーム提供業者にとっては装置洗浄・メンテナンス等の手間が不要になり、店舗の負担を軽減できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器は、カップ型容器に平均粒径8mm以下の粒状アイスを充填してなり、好ましくはカップ型容器の開口部に蓋を備え、内部の粒状アイスが容器内にとどまるようにしてある。蓋は、着脱可能なものであってもよく、密封可能なフィルム製の蓋を開口部に形成してもよい。ソフトクリームを製造するときに蓋を取り外し、液体飲料を容器内に注ぎ入れてかき混ぜることで、ソフトクリーム状冷菓が容器内で形成される。
【0011】
ソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器に注ぎ入れる液体飲料としては、コーヒー、ココア、牛乳、豆乳、液状ヨーグルト、抹茶、緑茶、ほうじ茶、ウーロン茶、紅茶、果汁(オレンジ、レモン、リンゴ、ブドウ、カボス、梅、イチゴ、マンゴー、ブルーベリー、ミカン、イチジク、アセロラ、パイナップル、グレープフルーツ、梨、モモ、メロンなど)、野菜ジュース(ニンジン、トマト、タマネギ、キャベツ、ケール、ユズ、しょうが、シソ、ホウレン草、小松菜、セロリ、モロヘイヤ、ダイコン、ナス、ピーマン、ブロッコリー、トウモロコシなどの少なくとも1種の野菜を含むジュース)、リキュール類(ワイン、日本酒、焼酎、ビール、梅酒など)等が挙げられる。液体飲料の温度は、特に限定されないが、好ましくは0~80℃程度、より好ましくは2~70℃程度、さらに好ましくは3~65℃程度であり、冷蔵された飲料(牛乳、豆乳、果汁、野菜ジュース、リキュール類など)、常温の飲料、ホット飲料のいずれであってもよい。コーヒー、紅茶、ココア、抹茶、緑茶、ほうじ茶などは淹れたてのホット飲料を使用することでより風味の優れたソフトクリーム状冷菓を得ることができる。上記の液体飲料は、1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせることもできる。
【0012】
粒状アイスの温度は、好ましくは-18~-30℃程度、より好ましくは-20~- 25℃程度である。
【0013】
想定される液体飲料の温度が高い場合には、粒状アイスをより多くカップ状容器に充填する。
【0014】
カップ型容積の容量は、通常200~500ml、好ましくは250~450mlである。
【0015】
カップ型容器には、体積比で好ましくは15~60%程度、より好ましくは20~50%程度の粒状アイスを充填する。粒状アイスが上端まで充填されると液体飲料を加えたときにかき混ぜることが難しくなり、粒状アイスが少なすぎるとソフトクリーム状冷菓が少量しか得られない。
【0016】
ソフトクリーム状冷菓を製造するための液体飲料と粒状アイスの質量比{(液体飲料の質量/(粒状アイスの質量))は、好ましくは0.05~1.5程度であり、より好ましくは0.1~1.3程度、さらに好ましくは0.15~1.1程度である。この質量比は液体飲料と粒状アイスの温度によっても異なり、例えば粒状アイス(-25℃)と液体飲料(65℃)の組み合わせ(両者の温度差が90℃)では、好ましい質量比は0.13~0.5程度がよく、0.14~0.46程度がより好ましい。また、粒状アイス(-25℃)と液体飲料(7℃)の組み合わせ(両者の温度差が32℃)では、好ましい質量比は0.42~1.08程度が好ましく、0.46~0.92程度がより好ましい。粒状アイスと液体飲料の温度差は、20~100℃程度であり、この温度差に応じて液体飲料と粒状アイスの好ましい質量比は変化するが、上記の記載を参考にして当業者であれば容易に質量比を決定できる。粒状アイスの比率が多すぎると温度が低くなりすぎてシャーベット状又はフラッペ状になり、滑らかなソフトクリーム状冷菓が得られない。
【0017】
本発明で製造されるソフトクリーム状冷菓は、専用のソフトクリーム製造装置を用い、ソフトクリームミックスをフリージングして製造したものと同様な柔らかくて滑らかな性状のものであり、温度は0~-10℃程度、好ましくは-2~-8℃程度、より好ましくは-2.5~-7℃程度である。
【0018】
本発明のソフトクリーム状冷菓は、粒状アイスと液体飲料を混合してスプーン、マドラー、へらなどの適当な撹拌材料でかき混ぜることにより得ることができる。撹拌材料は、得られたソフトクリーム状冷菓をすくい取ることができる形状のものが好ましく、金属性、プラスチック製、木製、紙製などの撹拌材料が使用可能である。
【0019】
粒状アイスと液体飲料をカップ状容器でかき混ぜる時間としては、120秒以下、好ましくは90秒以下、より好ましくは60秒以下であり、特に限定されないが通常は1秒以上、3秒以上又は5秒以上である。
【0020】
本発明で使用する粒状アイスは、液体飲料と混合したときに少なくとも一部または全部が速やかに溶解して液体飲料の温度を急速に冷却できるものが好ましい。このため、粒状アイスの平均粒径は8mm以下、好ましくは2~8mm程度、より好ましくは4~6mm程度である。粒状アイスが大きすぎると溶解するのに時間がかかり、滑らかなソフトクリーム状冷菓が得られない。
【0021】
粒状アイスは水が必須の構成要素として含まれ、さらに乳固形分、糖類、タンパク質、乳化剤、油脂類、安定剤、機能性原料等の少なくとも1種の添加剤が含まれていてもよい。液体飲料が牛乳又は豆乳の場合には乳固形分、油脂類は含まれていなくてもよいが、液体飲料がコーヒー、ココア、抹茶、緑茶、紅茶、果汁、野菜ジュース、リキュール類の場合には、乳固形分及び/又は油脂類、好ましくは乳固形分が含まれていることが好ましい。糖類は、液体飲料が十分に甘い場合には粒状アイスに含める必要はないが、糖類を粒状アイスに添加することが好ましい。乳化剤は、必須成分ではないが乳又は豆乳の脂肪、油脂類などが水中で安定に分散するために必要な場合には加えることが好ましい。タンパク質、安定剤、機能性原料などは任意成分として添加してもよい。
【0022】
乳固形分としては、牛乳、生クリーム、バター、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、加糖粉乳、脱脂粉乳が挙げられる。
【0023】
糖類としては、砂糖、グラニュー糖、上白糖、三温糖、ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、澱粉、異性化糖、水あめ、デキストリン、フルクトース、トレハロース、グルコース、乳糖、オリゴ糖、糖アルコール等が挙げられる。
【0024】
タンパク質としては、全卵、卵黄、卵白、大豆タンパク質等が挙げられる。
【0025】
乳化剤としては、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、オクテニルコハク酸化澱粉等が挙げられる。
【0026】
油脂類としては、卵黄油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、米油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油等が挙げられる。
【0027】
安定剤としては、寒天、ゼラチン、ペクチン、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、グアガム、セルロース、カラギーナン、カラヤガム、アラビアガム、サイリュームシードガム、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉等の澱粉、湿熱処理澱粉、加工澱粉等が挙げられる。
【0028】
機能性原料としては、難消化性デキストリン、結晶セルロースなどの食物繊維、食塩、醤油、味噌、動植物由来のエキス類、アミノ酸、グルタミン酸ナトリウム等の調味料、各種ペプチド、クエン酸、酢酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸等の有機酸又はその塩、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ナイアシン等のビタミン類、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、色素、香料などが挙げられる。
【0029】
粒状アイスに含まれる上記の添加剤は、各々1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
粒状アイスは、水を好ましくは40~90質量%程度、より好ましくは50~80質量%程度含む。
【0031】
粒状アイスは、水を除く固形分を好ましくは10~60質量%程度、より好ましくは20~50質量%程度含む。
【0032】
粒状アイスが乳固形分を含む場合、好ましくは0質量%より多く50質量%以下、より好ましくは3~30質量%程度含まれる。
【0033】
粒状アイスが糖類を含む場合、好ましくは0質量%より多く50質量%以下、より好ましくは5~40質量%程度含まれる。
【0034】
粒状アイスがタンパク質を含む場合、好ましくは0質量%より多く10質量%以下、より好ましくは0.5~5質量%程度含まれる。
【0035】
粒状アイスが乳化剤を含む場合、好ましくは0質量%より多く1質量%以下、より好ましくは0.05~0.3質量%程度含まれる。
【0036】
粒状アイスが油脂類を含む場合、好ましくは0質量%より多く20質量%以下、より好ましくは1~15質量%程度含まれる。
【0037】
粒状アイスが安定剤を含む場合、好ましくは0質量%より多く2質量%以下、より好ましくは0.05~0.2質量%程度含まれる。
【0038】
粒状アイスが機能性原料を含む場合、好ましくは0質量%より多く5質量%以下、より好ましくは0.05~1質量%程度含まれる。
【0039】
粒状アイスの形状は、特に限定されないが、球状、粒状状、回転楕円体状、柱状またはそれに近い形状であることが好ましい。粒状アイスは球状、粒状状であることがより好ましい。
【0040】
粒状アイスは以下のように製造できる。まず、粒状アイスの原料を混合し、十分に溶解又は分散させる。乳固形分、油脂類等の脂肪分を含有する原料を用いる場合には、必要に応じて乳化剤を加え、混合液中の脂肪球を微粒子化させ、原料成分を混合液中に均一に分散させるためにホモジナイザーを用いて均質化し、均質化後の混合液を任意の温度、時間において殺菌し、冷却する。冷却後の混合液において、原料成分の状態を安定化させるために、必要に応じて撹拌させながらエージングを行うことで、粒状アイスの製造原料となる液体が調製される。このように調製した液体を液体窒素等の極低温の冷媒に滴下して粒状に凍結させることで、粒状アイスを得ることができる。なお、粒状アイスを得ることができれば、上記に示した方法以外の凍結方法を用いてもよく、例えば、型に液体を流し入れて凍結させることにより得られた氷塊を、コミトロールプロセッサ(アーシェル社製)等を用いて破砕し、ふるいを用いて所望の大きさの粒状アイスを選別することにより、平均粒径が8mm以下の粒状アイスを得ることができる。
【0041】
本発明のソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器に含まれる粒状アイスの成分は、カップ状容器に加えられる液体飲料の種類によって異なる。例えば液体飲料がドリップコーヒー、抹茶、牛乳の場合の好ましい粒状アイスの組成を以下に示す。
(1)液体飲料がコーヒー、ココア、抹茶、緑茶、紅茶、果汁、野菜汁、リキュールなどの場合の粒状アイス組成
糖類(例えば、砂糖):好ましくは0~25質量%程度、より好ましくは5~20質量%程度、
乳固形分(例えば、脱脂粉乳):好ましくは1~25質量%程度、より好ましくは3~20質量%程度、
乳化剤(例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル):好ましくは0~0.3質量%程度、より好ましくは0.05~0.2質量%程度、
安定剤(例えば、ローカストビーンガム):好ましくは0~0.3質量%程度、より好ましくは0.05~0.2質量%程度、
機能性原料(例えば香料):好ましくは0~0.5質量%程度、より好ましくは0.05~0.3質量%程度、
水(残量)
(2)液体飲料が牛乳又は豆乳の場合の粒状アイス組成
糖類(例えば、砂糖):好ましくは5~50質量%程度、より好ましくは10~40質量%程度、
安定剤(例えば、ローカストビーンガム):好ましくは0~0.3質量%程度、より好ましくは0.05~ 0.2質量%程度、
機能性原料(例えば、香料):好ましくは0~0.5質量%程度、より好ましくは0.05~0.2質量%程度、
水(残量)
を含み、前記液体飲料と前記粒状アイス入り容器を混合してかき混ぜることでソフトクリーム状冷菓を製造することができる、ソフトクリーム状冷菓製造用セット。
【0042】
本発明のソフトクリーム状冷菓製造用セットは、上記のソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器と容器入り液体飲料を含む。液体飲料を一定量ソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器に加えて撹拌すると、ソフトクリーム状冷菓がカップ容器内で得られる。ソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器と容器入り液体飲料は温度が異なるので、温度帯の異なる別々の場所に保管され、ソフトクリームの製造前にセットにされて販売等される。前記セットは粒状アイスと液体飲料の温度と量が適切であるので、混合して撹拌することで良好なソフトクリーム状冷菓を得ることができる。
【0043】
本発明のソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器は、コンビニエンスストアなどで販売することができ、例えばアイスコーヒー用の氷入り容器の代わりに本発明のソフトクリーム状冷菓製造用粒状アイス入り容器を使用し、この容器をコーヒーマシンにセットしてドリップコーヒー、牛乳などを加えてかき混ぜることで手軽にソフトクリームを製造することができる。また、コーヒー、牛乳の代わりに豆乳、果汁飲料、野菜ジュース、リキュール類などを加えることで、様々なソフトクリーム状冷菓を製造することができる。さらに、ソフトクリームの製造装置は不要なので、店舗においてソフトクリームを提供することも容易になる。
【実施例
【0044】
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されることはない。
実施例1
以下の表1に示す使用量及び温度の粒状アイス(平均粒径4mm、6mm、8mm、10mm、12mm)とドリップコーヒーをカップ状容器(容積350ml)に入れてマドラーで撹拌混合し、コーヒーソフトクリームを製造した。
【0045】
粒状アイス(ミルク)の組成(質量%)を表2に示し、各平均粒径の粒状アイスを用いた結果を表3に示す。
【0046】
また、表4に示す粒状アイス(ミルク)と牛乳の組み合わせ、表5に示す粒状アイス(抹茶)と牛乳の組み合わせで、上記と同様にしてミルクソフトクリーム、抹茶ソフトクリームを製造した。ミルクソフトクリームと抹茶ソフトクリームは、各々平均粒径6mmの粒状アイスを使用し、マドラーで45秒間撹拌することで滑らかなソフトクリームが得られた。粒状アイス(抹茶)の組成を表2に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
実施例2
粒状アイスに対するドリップコーヒーの重量を変化させて(表6)、実施例1と同様にしてコーヒーソフトクリームを製造した。結果を表6に示す。
【0053】
また、粒状アイスに対する牛乳の重量を変化させて(表7)、実施例1と同様にしてミルクソフトクリームを製造した。結果を表7に示す。
【0054】
表6,7のできあがりの状態の評価基準を以下に示す。
*できあがりの状態
「◎」:非常に滑らかで柔らかいソフトクリーム状である
「○」:滑らかで柔らかいソフトクリーム状である。
「△」:クリーム状ではあるが、滑らかさと柔らかさが両立しない
「×」:混合することができないほど硬いか、或いは、液体に近く、ソフトクリーム状ではない。
【0055】
【表6】
【0056】
【表7】
【0057】
試験例1
平均粒径6mm(または4mm)の粒状アイスを使用して実施例1で製造したミルクソフトクリーム、コーヒーソフトクリーム、抹茶ソフトクリームに対して風味の官能評価を行った(官能パネル4名)。

評価; 1:悪い、2:やや悪い、3:ふつう、4:やや良い、5:かなり良い

比較対象として市販のソフトクリーム(日世ソフトクリーム)を使用した。結果を表8に示す。
【0058】
【表8】