IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本色材工業研究所の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20220104BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20220104BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20220104BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20220104BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220104BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/06
A61K8/19
A61K8/39
A61K8/44
A61Q1/00
A61Q17/04
A61Q19/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017083671
(22)【出願日】2017-04-20
(65)【公開番号】P2018177736
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-03-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔発行者名〕 The International Federation of Societies of Cosmetic Chemists 〔刊行物名〕 29th International Federation of Societies of Cosmetic Chemists(IFSCC)Congress ORLANDO FLORIDA 2016 ORIGINAL PROGRAM 〔発行年月日〕 平成28年10月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041036
【氏名又は名称】株式会社日本色材工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 功
(72)【発明者】
【氏名】根村 和宏
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-222587(JP,A)
【文献】特開2008-297238(JP,A)
【文献】特開2014-129296(JP,A)
【文献】特開2016-199482(JP,A)
【文献】特開2012-121835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分:
(a)N-アシルアミノ酸またはその塩により表面処理された粉体であって、かつ、シリコーン油により表面処理されていない粉体、および
(b)オレイン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ポリグリセリル-2およびオレイン酸ソルビタンからなる群から選択される界面活性剤
を含んでなり、シリコーン油により表面処理されたいかなる粉体も含まず、かつ、シリコーン界面活性剤も含まない、油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
前記N-アシルアミノ酸が、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルグルタミン酸、ラウロイルリシンおよびラウロイルアスパラギン酸からなる群から選択される、請求項1に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
前記油中水型乳化化粧料において、前記成分(a)の含有量が1~40質量%であり、前記成分(b)の含有量が0.1~15質量%である、請求項1または2に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
(1)前記成分(a)および(b)ならびに油相成分を混合し、前記成分(b)を分散剤として前記成分(a)を前記油相成分に分散させるステップと、
(2)次いで、(1)で得られた油相成分に乳化剤を混合するステップと、
(3)次いで、(2)で得られた油相成分に水相成分を徐添して乳化させるステップと
を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の油中水型乳化化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日焼け止めなどの油中水型乳化化粧料では、高い化粧持ち効果や耐汗性が求められるため、シリコーン油により表面処理された粉体が多く使用されている。しかし、シリコーン油により表面処理された粉体を配合した油中水型乳化化粧料は、その高い化粧持ち効果ゆえに、石鹸などによる通常の水性洗浄では洗い落とすことが困難であり、専用のオイルクレンジング剤を使用することが必要であった。
【0003】
そこで、近年では、N-アシルアミノ酸により表面処理された粉体を用いることにより洗浄性を改善することが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-121835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、N-アシルアミノ酸により表面処理された粉体を用いた油中水型乳化化粧料の洗浄性について、パネラーの官能により評価し、洗浄性が改善されたことを確認している。しかし、実際には目には見えない洗浄残りがあり、その洗浄性は依然として不十分であった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の諸問題を解消するためになされたものであり、化粧持ち効果を維持しつつ、洗浄性を向上させた油中水型乳化化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究の結果、N-アシルアミノ酸により表面処理された粉体を、シリコーン系界面活性剤以外の界面活性剤により予め分散して配合することにより、化粧持ち効果を維持しつつ、洗浄性を向上できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の成分:(a)N-アシルアミノ酸またはその塩により表面処理された粉体、および(b)オレイン酸またはステアリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される界面活性剤を含んでなる油中水型乳化化粧料を提供するものである。
【0009】
前記N-アシルアミノ酸は、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルグルタミン酸、ラウロイルリシンおよびラウロイルアスパラギン酸からなる群から選択されることが好ましい。
【0010】
前記成分(b)は、オレイン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ポリグリセリル-2およびオレイン酸ソルビタンからなる群から選択されることが好ましい。
【0011】
前記油中水型乳化化粧料において、前記成分(a)の含有量が1~40質量%であり、前記成分(b)の含有量が0.1~15質量%であることが好ましい。
【0012】
前記油中水型乳化化粧料は、前記成分(a)および(b)を予め混合した後、油相成分に分散させ、さらにこれを水相成分に徐添して乳化させて製造されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る油中水型乳化化粧料は、化粧持ち効果を維持しつつ、洗浄性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。
【0015】
本発明は、下記の成分:(a)N-アシルアミノ酸またはその塩により表面処理された粉体、および(b)オレイン酸またはステアリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される界面活性剤を含んでなる油中水型乳化化粧料である。
【0016】
本発明におけるN-アシルアミノ酸またはその塩により表面処理された粉体(a)を調製するために使用できる粉体は、化粧料に通常使用される無機粉体であれば特に限定されるものではない。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラおよび黄酸化鉄などの酸化鉄、タルク、マイカ、セリサイト、合成金雲母、硫酸バリウムなどの無機顔料や、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛などの紫外線散乱剤が挙げられる。粉体の比表面積、粒子径、形状は、特に限定されず、化粧品に使用することができる粉体であれば使用することができる。本発明における粉体は、上記の一種または二種以上を任意に選択して用いることができる。本発明におけるN-アシルアミノ酸またはその塩により表面処理された粉体(a)は、紫外線散乱剤または着色顔料として機能する。
【0017】
本発明におけるN-アシルアミノ酸またはその塩により表面処理された粉体(a)を調製するために使用できるN-アシルアミノ酸は、炭素数12~20の飽和脂肪酸とアスパラギン酸、グルタミン酸、リシンなどのアミノ酸との縮合化合物であり、好ましくは、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルグルタミン酸、ラウロイルリシンまたはラウロイルアスパラギン酸である。また、上記N-アシルアミノ酸の塩を使用して表面処理を行うこともできる。
【0018】
本発明におけるN-アシルアミノ酸またはその塩により表面処理された粉体(a)は、常法により、粉体表面にN-アシルアミノ酸またはその塩を吸着させることにより調製することができる。
【0019】
本発明における(a)N-アシルアミノ酸またはその塩により表面処理された粉体としては、市販品を使用することもできる。好ましい市販品としては、例えば、NAI-T-300、NAI-Z-300、NAI-PFC407、NAI-レッドR516PS 、NAI-イエローLL-100P、NAI-ブラックBL-100P、NAI-タルクJA-46RなどのNAI処理粉体(三好化成製)、ASL-1 TiO MT-500SA、ASL-1 MZ-500、ASL-レッドR516PS 、ASL-イエローLL-100P、ASL-ブラックBL-100P、などのASL処理粉体、ASI TiO MT-500SA、ASI MZ-500、ASI-レッドR516PS 、ASI-イエローLL-100P、ASI-ブラックBL-100P、ASI-タルクJA46RなどのASI処理粉体、LL-TiO MT-500SA、LL-MZ-500、LL-レッドR516PS 、LL-イエローLL-100P、LL-ブラックBL-100P、LL-タルクJA46RなどのLL処理粉体(大東化成工業製)などが挙げられる。
【0020】
本発明の油中水型乳化化粧料における、N-アシルアミノ酸またはその塩により表面処理された粉体(a)の含有量は、油中水型乳化化粧料総質量を100%としたときに、好ましくは、1~40質量%であり、特に好ましくは、5~30質量%である。上記の範囲であれば、良好な化粧効果を得ることができ、また、日焼け止め化粧料においては、良好な紫外線散乱効果を得ることができる。
【0021】
本発明における界面活性剤(b)は、オレイン酸またはステアリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される界面活性剤であり、好ましくは、オレイン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ポリグリセリル-2およびオレイン酸ソルビタンである。本発明における界面活性剤(b)は、上記の一種または二種以上を任意に選択して用いることができる。本発明における界面活性剤(b)は、上記粉体成分(a)の分散剤として機能する。
【0022】
オレイン酸またはステアリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルは市販されているため、本発明では、こうした市販品を使用することもできる。例えば、NIKKOL DGMO-CV、NIKKOL DGMS、NIKKOL SO-10V(日本サーファクタント工業製)などが好ましい市販品として挙げられる。
【0023】
本発明の油中水型乳化化粧料における界面活性剤(b)の含有量は、上記成分(a)の粉体の比表面積、粒子径、形状に応じて適宜決定することができるが、油中水型乳化化粧料総質量を100%としたときに、好ましくは、0.1~15質量%であり、特に好ましくは、0.5~10質量%である。上記の範囲であれば、洗浄性をより向上した化粧料を得ることができる。
【0024】
本発明の油中水型乳化化粧料は、上記成分(a)および(b)の他に、化粧料、医薬部外品、医薬組成物などに通常用いられる他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。前記他の成分としては、例えば、油性成分、上記成分(b)以外の界面活性剤、保湿剤、多価アルコール、増粘剤、水溶性高分子、皮膜形成剤、非水溶性高分子、油ゲル化剤、染料、上記成分(a)以外の顔料、低級アルコール、糖類、紫外線吸収剤、アミノ酸類、ビタミン類、美白剤、皮膚賦活剤、血行促進剤、抗炎症剤等の薬剤、植物抽出物、有機酸、有機アミン、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、抗酸化剤、抗菌剤、防腐剤、収斂剤、清涼剤、香料などが挙げられる。
【0025】
本発明の油中水型乳化化粧料の製造方法は、特に限定されず、通常の油中水型乳化化粧料の混合、分散、粉砕に用いられる混合機や粉砕機を使用して製造することができる。本発明の油中水型乳化化粧料は、配合する全ての成分を一度に混合して製造することもできるが、好ましくは、成分(a)および(b)を予め混合した後、油相成分に分散させ、さらにこれを水相成分に徐添して乳化させて製造することにより、洗浄性が向上した油中水型乳化化粧料を得ることができる。油相成分は、油性成分、上記成分(a)以外の顔料、上記成分(b)以外の界面活性剤、抗酸化剤などを配合することにより調製することができる。また、水相成分は、水性成分、防腐剤、保湿剤などを配合することにより調製することができる。
【0026】
本発明の油中水型乳化化粧料の形状としては、液状、クリーム状、固形状のものが挙げられる。本発明の油中水型乳化化粧料の具体的な製品形態としては、特に限定されないが、例えば、日焼け止め、ファンデーション、化粧下地、コンシーラーなどが挙げられる。
【実施例
【0027】
以下に実施例を挙げ、本発明についてさらに説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0028】
<実施例1~3および5~14ならびに比較例1~4:日焼け止め化粧料>
下記表1~3に示す組成および以下に示す製造方法により、日焼け止め化粧料を調製し、「塗布時の透明性」、「塗布時の使用感」、「化粧持ち」、「洗浄性」の項目について、以下に示す評価方法および判定基準により評価し、その結果をあわせて表1~3に示した。表中の数値は質量%である。
【0029】
【表1】
【表2】
【表3】
【0030】
注1: KF-6028P(信越化学工業製)
注2: KF-6104(信越化学工業製)
注3: サラコス HS-6C(日清オイリオ製)
注4: NIKKOL DGMO-CV(日本サーファクタント工業製)
注5: NIKKOL DGMS(日本サーファクタント工業製)
注6: NIKKOL SO-10V(日本サーファクタント工業製)
注8: STR-100C-LP(堺化学工業製)
注9: FINEX-50-LPT(堺化学工業製)
注10: NAI-T-300(三好化成製)
注11: NAI-Z-300(三好化成製)
注12: KF-6017(信越化学工業製)
注13: KF-6038(信越化学工業製)
注14: ABIL EM90(TH. GOLDSCHMIDT AG製)
注15: KSG-210(信越化学製)
注16: FZ2233(東レ・ダウコーニング製)
注17: ASL-1 TiO2 MT-500SA(大東化成工業製)
注18: ASL-1 MZ-500(大東化成工業製)
注19: ASI TiO2 MT-500SA(大東化成工業製)
注20: ASI MZ-500(大東化成工業製)
【0031】
[製造方法]
油性成分、分散剤(本発明の成分(b)に該当)、紫外線散乱剤(本発明の成分(a)に該当)を予め混合し粉砕したのち、乳化剤と抗酸化剤を添加し均一に分散し油相成分とした。次いで、水性成分、保湿剤、防腐剤を均一混合した水相成分を前記の油相成分に徐添し、ホモミキサーで均一分散することにより、日焼け止め化粧料を得た。
【0032】
[評価方法および判定基準]
a.塗布時の透明性
(評価方法)
10名のパネルによる実使用性試験を行った。評価は、下記のスコアに基づいて採点され、そのスコア平均値を評価値として下記評価基準により評価した。
(スコア)
1点: 白い
2点: やや白い
3点: 普通
4点: やや透明
5点: 透明
(評価基準)
◎: 3.5点以上
○: 3.0点以上~3.5点未満
△: 2.5点以上~3.0点未満
×: 2.5点未満
【0033】
b.塗布時の使用感
(評価方法)
10名のパネルによる実使用性試験を行った。評価は、下記のスコアに基づいて採点され、そのスコア平均値を評価値として下記評価基準により評価した。
(スコア)
1点: 伸びが悪い
2点: 伸びがやや悪い
3点: 普通
4点: 伸びがやや良い
5点: 伸びが良い
(評価基準)
◎: 3.5点以上
○: 3.0点以上~3.5点未満
△: 2.5点以上~3.0点未満
×: 2.5点未満
【0034】
c.化粧持ち
(評価方法)
10名のパネルによる実使用性試験を行った。評価は、下記のスコアに基づいて採点され、そのスコア平均値を評価値として下記評価基準により評価した。
(スコア)
1点: 悪い
2点: やや悪い
3点: 普通
4点: やや良い
5点: 良い
(評価基準)
◎: 3.5点以上
○: 3.0点以上~3.5点未満
△: 2.5点以上~3.0点未満
×: 2.5点未満
【0035】
d.洗浄性
(評価方法)
各試料を肌に塗布し、20分後、石鹸を用いて水洗洗浄を行った。洗浄後の肌について、UVGL-58 Handheld UV Lamp 365nm(UVP,Inc.製)またはマクベス標準光源装置(X-rite社製)のUV光源(F30T8 BLB 365nm)により紫外線を照射して反射光を確認することにより、洗い残しの有無を評価した。
(評価基準)
○: 完全に洗浄できた
△: 洗浄不足あり
×: 洗い落とせない
【0036】
[結果]
表1~3の結果から明らかなように、本発明の実施品である実施例1~3および5~14は、優れた洗浄性を有するため、石鹸などによる通常の水性洗浄によっても、洗い残しなく容易かつ十分に洗浄、除去することが可能であり、高い化粧持ち効果と高い洗浄性を両立した優れた日焼け止め化粧料であった。一方、オレイン酸またはステアリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステル以外の界面活性剤を分散剤として使用した比較例1~4は、洗浄性が低かった。
【0037】
<実施例15~20および比較例5~8:ベースメイク化粧料>
下記表4および5に示す組成および以下に示す製造方法により、ファンデーションおよび化粧下地を調製し、「化粧持ち」および「洗浄性」の項目について、上記と同様の評価方法および判定基準により評価し、その結果をあわせて表4および5に示した。表中の数値は質量%である。
【0038】
【表4】
【表5】
【0039】
注1: KF-6028P(信越化学工業製)
注2: KF-6104(信越化学工業製)
注3: サラコス HS-6C(日清オイリオ製)
注4: NIKKOL DGMO-CV(日本サーファクタント工業製)
注5: NIKKOL DGMS(日本サーファクタント工業製)
注6: NIKKOL SO-10V(日本サーファクタント工業製)
注8: STR-100C-LP(堺化学工業製)
注9: FINEX-50-LPT(堺化学工業製)
注10: NAI-T-300(三好化成製)
注11: NAI-Z-300(三好化成製)
注12: KF-6017(信越化学工業製)
注13: KF-6038(信越化学工業製)
注14: ABIL EM90(TH. GOLDSCHMIDT AG製)
注15: KSG-210(信越化学製)
注16: FZ2233(東レ・ダウコーニング製)
注17: ASL-1 TiO MT-500SA(大東化成工業製)
注18: ASL-1 MZ-500(大東化成工業製)
注19: ASI TiO MT-500SA(大東化成工業製)
注20: ASI MZ-500(大東化成工業製)
注21: NAI-PFC407(三好化成製)
【0040】
[製造方法]
(ファンデーション)
油性成分、分散剤(本発明の成分(b)に該当)、無機顔料(本発明の成分(a)に該当)、紫外線散乱剤(本発明の成分(a)に該当)を予め混合し粉砕したのち、乳化剤、抗酸化剤、弾性パウダーを添加し均一に分散し油相成分とした。次いで、水性成分、保湿剤、防腐剤を均一混合した水相成分を前記の油相成分に徐添し、ホモミキサーで均一分散することにより、ファンデーションを得た。
(化粧下地)
油性成分、分散剤(本発明の成分(b)に該当)、無機顔料(本発明の成分(a)に該当)、紫外線散乱剤(本発明の成分(a)に該当)を予め混合し粉砕したのち、乳化剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、ゲル状組成物、弾性パウダーを添加し均一に分散し油相成分とした。次いで、水性成分、保湿剤、防腐剤を均一混合した水相成分を前記の油相成分に徐添し、ホモミキサーで均一分散することにより、化粧下地を得た。
【0041】
[結果]
表4および5の結果から明らかなように、本発明の実施品である実施例17~22は、優れた洗浄性を有するため、石鹸などによる通常の水性洗浄によっても、洗い残しなく容易かつ十分に洗浄、除去することが可能であり、高い化粧持ち効果と高い洗浄性を両立した優れた日焼け止め化粧料であった。一方、粉体成分である着色顔料および紫外線散乱剤の表面処理をシリコーンにより行った比較例6~9は、洗浄性が低かった。
【0042】
このように、N-アシルアミノ酸またはその塩により表面処理された粉体と、オレイン酸またはステアリン酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される界面活性剤とを予め混合した後、油相成分に分散させ、さらにこれを水相成分に徐添して乳化させて製造することにより、化粧持ち効果を維持しつつ、洗浄性を向上させた油中水型乳化化粧料が得られることが明らかになった。