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特許6990054レンズ駆動機構およびこれを備える電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】レンズ駆動機構およびこれを備える電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20220104BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20220104BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20220104BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/02 Z
G03B30/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017136110
(22)【出願日】2017-07-12
(65)【公開番号】P2018013782
(43)【公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-01-29
(31)【優先権主張番号】62/363,450
(32)【優先日】2016-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】201710096738.6
(32)【優先日】2017-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505259022
【氏名又は名称】台湾東電化股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】徐 尚▲ゆ▼
(72)【発明者】
【氏名】劉 守宸
(72)【発明者】
【氏名】許 家彬
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-032778(JP,A)
【文献】特開2016-014701(JP,A)
【文献】特開2016-095514(JP,A)
【文献】特開2010-217576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
G02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズユニットを光軸に沿って移動させるのに用いられるレンズ駆動機構であって、
プラスチックを含み、かつ開口を有するフレームと、
前記フレームに固定されると共に前記フレームに一部が接触しており、前記フレームとの間にスペースが形成される、ベースと、
前記スペース内に移動可能に配置されて前記レンズユニットを保持しており、外光が前記開口から前記スペースに入り前記レンズユニットに達する、レンズホルダーと、
前記スペース中に配置されると共に前記レンズホルダーおよび前記フレームと接続して、前記レンズユニットを前記光軸に沿って移動させる駆動アセンブリと、を含み、
前記フレームが四角形の形状を形成し、かつプラスチックの本体および金属プレートを備え、前記開口は前記本体に形成され、前記金属プレートは前記本体の一側に配置され、
前記金属プレートには複数の孔が形成され、かつ前記本体には、前記孔に係合する複数の凸部が形成されているレンズ駆動機構。
【請求項2】
前記フレームが、突出部、上面、および前記上面の縁端から前記ベースの方へ延伸する側面をさらに有し、前記突出部は、前記フレームの内面から突出し、かつ前記上面と前記側面との間の隣接部に対応して配されて、前記フレームの構造強度を高める、請求項1に記載のレンズ駆動機構。
【請求項3】
前記上面が四角形の形状を有する、請求項に記載のレンズ駆動機構。
【請求項4】
前記フレームが金属を含む、請求項1に記載のレンズ駆動機構。
【請求項5】
成形回路部品(Molded Interconnect Device, MID)技術により前記フレームの上または中に直接形成される導電線をさらに含む請求項1に記載のレンズ駆動機構。
【請求項6】
前記駆動アセンブリが、前記フレームおよび前記レンズホルダーにそれぞれ配置された第1の磁気素子および第2の磁気素子を含み、前記レンズホルダーが、前記第1の磁気素子および前記第2の磁気素子により生じた磁力により、前記フレームおよび前記ベースに対して移動する、請求項1に記載のレンズ駆動機構。
【請求項7】
前記フレームが、前記フレームの内面から突出し、前記内面上の所定の位置内に前記第1の磁気素子を保持する保持部をさらに有する、請求項に記載のレンズ駆動機構。
【請求項8】
前記保持部が、前記第1の磁気素子をその中に収容するU字形構造を形成する、請求項に記載のレンズ駆動機構。
【請求項9】
前記第1の磁気素子がマグネットを含み、前記第2の磁気素子が、電流が印加されるコイルを含む、請求項に記載のレンズ駆動機構。
【請求項10】
前記第1の磁気素子が多極(multipolar)マグネットを含む、請求項に記載のレンズ駆動機構。
【請求項11】
前記レンズホルダーが、突出したスライダーを有し、前記フレームが、その中に前記スライダーを収容して、前記スライダーの移動を規制する規制構造をさらに備える、請求項1に記載のレンズ駆動機構。
【請求項12】
前記規制構造が、前記フレームの内面から突出する2つの規制部を有し、凹部が前記2つの規制部の間に形成されると共に、前記光軸に沿って延伸しており、このうち前記凹部の幅は前記スライダーの幅より大きい、請求項11に記載のレンズ駆動機構。
【請求項13】
前記レンズ駆動機構は、実質的に多角形の構造を有し、かつその2つの対向する側に配置されて前記レンズユニットを前記光軸に沿って移動させる2つの前記駆動アセンブリをさらに含んでおり、前記スライダーおよび前記規制構造が、前記駆動アセンブリが配置された前記2つの対向する側とは異なる、前記レンズ駆動機構の一側に位置する、請求項11に記載のレンズ駆動機構。
【請求項14】
請求項1に記載の前記レンズ駆動機構と、
筐体と、
無線通信素子と、
を含む電子機器であって、
前記レンズ駆動機構は実質的に多角形の構造を有しており、前記レンズ駆動機構および前記無線通信素子は前記筐体内に配置され、このうち前記駆動アセンブリは、前記レンズ駆動機構の第1の側に隣接して配され、前記無線通信素子は、前記第1の側とは異なる前記レンズ駆動機構の第2の側に隣接して配される、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年7月18日に出願された米国仮特許出願第62/363450号および2017年2月22に出願された中国特許出願第201710096738.6号の優先権を主張し、その全体が参照することにより本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、レンズ駆動機構に関し、より詳細にはプラスチック材料を含むフレームを備えたレンズ駆動機構に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の携帯電話またはタブレットコンピュータは通常、レンズユニットおよびレンズ駆動機構、例えばボイスコイルモーター(VCM)を含むカメラレンズモジュールを備えている。レンズ駆動機構内のレンズユニットをその光軸に沿って移動させるために、マグネットおよびコイルを含む駆動アセンブリが設けられており、これによりカメラのオートフォーカスが容易になる。
【0004】
図1Aは、透明板Gおよび回路基板Pに接続された従来のボイスコイルモーター10を示しており、図1Bは、図1Aにおける線A-Aに沿った断面図である。図1Aおよび1Bを参照にすると、ボイスコイルモーター10のフレーム11がベース13に取り付けられ、レンズホルダー12が、フレーム11とベース13とによって形成されたスペース101中に配置される。上側スプリングシートS1はフレーム11とレンズホルダー12とを接続し、下側スプリングシートS2はベース13とレンズホルダー12とを接続し、これによりレンズホルダー12とこの中に収容されるレンズユニット(図示せず)とが、ボイスコイルモーター10により、その光軸に沿ってフレーム11およびベース13に対し移動できるようになる。具体的には、透明板Gがフレーム11の上面111に貼合されており、これによりボイスコイルモーター10中に収容されるレンズユニットおよび他の構成要素が保護されると共に、光を透明板Gからボイスコイルモーター10に入射させることができる。
【0005】
しかし、ボイスコイルモーター10のフレーム11は通常、導磁材料(magnetically conductive material)を含み得る金属プレートをスタンピングすることにより形成されており、かつ携帯型電子機器は小型化が進む傾向にあるため、電子機器中の通信素子(例えばアンテナまたは無線通信チップ)が金属フレーム11による悪影響を受けて、電子機器の性能が低下してしまう可能性がある。加えて、上側スプリングシートS1は平らで薄い部品であるため、金属フレーム11には通常4つの凹陥構造112(図1Aおよび1B)が形成され、これによって上側スプリングシートS1がレンズホルダー12の上面および凹陥構造112とより容易に接続できるようになっている(図1B)。この構成では、上面111と透明板Gとの貼合の面積が小さくなってしまい、組立後の機構の構造強度も低くなり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-299103
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の1つの目的は、レンズユニットを光軸に沿って移動させるのに用いられるレンズ駆動機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
レンズ駆動機構は、フレーム、ベース、レンズホルダー、および駆動アセンブリを含む。フレームはプラスチックを含み、かつ開口を有している。ベースはフレームに一部が接触していると共に固定されており、ベースとフレームとの間にスペースが形成される。レンズホルダーは、スペース内に移動可能に配置されて、レンズユニットを保持する。外光は、開口からスペースに入り、レンズユニットに至る。駆動アセンブリはスペース内に配置され、かつレンズホルダーおよびフレームに接続して、レンズユニットを光軸に沿って移動させる。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態によれば、フレームは、突出部、上面、および上面の縁端からベースの方へ延伸する側面をさらに有し、突出部はフレームの内面から突出し、かつ上面と側面との間の隣接部に対応して配されて、フレームの構造強度を高める。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態によれば、上面は四角形の形状を有する。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態によれば、フレームは金属を含む。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態によれば、レンズ駆動機構は、成形回路部品(Molded Interconnect Device, MID)技術によりフレーム上/中に直接形成される導電線をさらに含む。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態によれば、駆動アセンブリは、フレームおよびレンズホルダーにそれぞれ配置された第1の磁気素子および第2の磁気素子を含み、レンズホルダーは、第1の磁気素子と第2の磁気素子との間により生じた磁力により、フレームおよびベースに対して移動する。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態によれば、フレームは、フレームの内面から突出し、第1の磁気素子を内面上の所定の位置に規制する保持部をさらに有する。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態によれば、保持部は、第1の磁気素子がその中に配置されたU字形構造を形成している。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第1の磁気素子は多極(multipolar)マグネットを含む。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第1の磁気素子はマグネットを含み、第2の磁気素子は、電流が印加されるコイルを含む。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態によれば、レンズホルダーは突出したスライダーを有し、フレームは、その中にスライダーを収容して、スライダーの移動を規制する規制構造をさらに含む。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態によれば、規制構造は、フレームの内面から突出する2つの規制部を有し、凹部が2つの規制部の間に形成されると共に、光軸に沿って延伸しており、凹部の幅はスライダーの幅より大きい。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態によれば、レンズ駆動機構は実質的に多角形の構造を有し、かつその対向する側に配置されて、レンズユニットを光軸に沿って移動させる2つの駆動アセンブリをさらに含み、スライダーおよび規制構造は、駆動アセンブリとは異なるレンズ駆動機構の一側に位置する。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態によれば、フレームは四角形の形状を形成し、かつプラスチック本体および金属プレートをさらに備え、開口が本体に形成され、金属プレートは本体の一側に配置される。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態によれば、金属プレートには複数の孔が形成され、かつ本体には、孔に係合する複数の凸部が形成されている。
【0023】
本発明のもう1つの目的は、電子機器を提供することにある。該電子機器は、上記レンズ駆動機構と、筐体と、無線通信素子と、を含む。レンズ駆動機構は実質的に多角形の構造を有し、レンズ駆動機構および無線通信素子は筐体内に配置される。駆動アセンブリは、レンズ駆動機構の第1の側に隣接し、かつ無線通信素子は、第1の側とは異なるレンズ駆動機構の第2の側に隣接している。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、レンズ駆動機構およびそれを備える電子機器を提供する。レンズ駆動機構のフレームはプラスチック材料を含むため、一体成形することができ、これによりレンズ駆動機構の寸法およびその製造コストが大幅に縮小されることとなる。また、電子機器中の通信素子(例えばアンテナまたは無線通信チップ )がレンズ駆動機構の近くに位置する場合であっても、レンズ駆動機構のプラスチック材料が通信素子に対する影響を低減することができるため、電子機器の小型化が促進されると共に、通信素子の高パフォーマンスが確保される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
実施形態およびその利点がより完全に理解されるよう、添付の図面と共に以下の説明を参照にする。
図1A図1Aは、透明板Gおよび回路基板Pに接続された従来のボイスコイルモーターを示している。
図1B図1Bは、図1Aの線A-Aに沿った断面図である。
図2】本発明の実施形態によるレンズ駆動機構20の分解図である。
図3A図3Aは、透明板および回路基板が接続された図2におけるレンズ駆動機構の透視図である。
図3B図3Bは、図3Aの線B-Bに沿った断面図である。
図4A図4Aは、図3Aにおけるフレームの透視図である。
図4B図4Bは、図4Aにおけるフレームの上面図である。
図5A図5Aは、互いに組み立てられた時のフレーム、レンズホルダー、および第1の磁気素子の透視図である。
図5B図5Bは、図5Aにおけるフレーム、レンズホルダー、および第1の磁気素子の上面図である。
図6】本発明の別の実施形態によるレンズ駆動機構の透視図である。
図7】本発明の別の実施形態によるレンズ駆動機構の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を各種態様に関連して記載しているが、本発明はさらなる変更が可能であるという点が理解されるべきである。本出願は、通常は本発明の原理にしたがう本発明の任意の変形、使用または適用をカバーするよう意図されており、これらには、本発明に関連する分野において既知の、および慣習的な実施の範囲内に入るような本開示からのかかる逸脱が含まれる。
【0027】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明において、添付の図面を図面を参照する。これら図面においては、本発明を実施することができる特定の実施形態が例として示されている。その際、方向を示す用語、例えば"上(top)"、"下(bottom)"、"前(front)"、"後ろ(back)"などは、 説明されている図の方向(orientation)に関して用いられる。本発明の構成要素は、多数の異なる方向で配置され得る。よって、方向を示す用語は説明の目的で用いられるのであって、決して限定をするものではない。
【0028】
図2は、本発明の実施形態によるレンズ駆動機構20の分解図である。図2に示されるように、レンズユニット(図示せず)を保持するためのレンズ駆動機構20が提供される。マグネットおよびコイルを備える駆動アセンブリがレンズ駆動機構20内に配置されて、レンズユニットの光軸Lに沿ってレンズユニットを移動させ、これによりカメラのオートフォーカスが実現する。
【0029】
レンズ駆動機構20は主に、フレーム21、レンズホルダー22、ベース23、上側スプリングシートS1、下側スプリングシートS2、少なくとも1つの第1の磁気素子M、および少なくとも1つの第2の磁気素子Cを含む。フレーム21は実質的に四角形の構造を有し、かつ開口210が形成されている。4つの側面212が、フレーム21の上面211からベース23の方へ延伸している。ベース23はフレーム21に固定されると共に接触しており、レンズホルダー22はベース23とフレーム21との間に移動可能に配置されている。レンズホルダー22は、レンズユニット(図示せず)を収容し保持するための貫通孔220を有する。外光がフレーム21の開口210からレンズ駆動機構20に入り、引き続いてレンズホルダー22の中央に位置するレンズユニットおよびベース23を伝搬し、最後にイメージセンサ(例えばCCD)に達して、画像が生成され得る、という点に留意されたい。
【0030】
図2に示されているように、第1の磁気素子Mはフレーム21の内面に配置され、第2の磁気素子Cはレンズホルダー22の外面に配置され、第1の磁気素子Mに対応している。この実施形態では、第1の磁気素子Mは二極(bi-polar)または多極(multipolar)マグネットを含んでいてよく、第2の磁気素子Cはコイルを含み得る。レンズユニットを光軸Lに沿って移動させるために、第2の磁気素子Cに電流を印加することができ、第2の磁気素子Cにより生じた磁場が第1の磁気素子Mの磁場と相互に作用して、磁力が生じ得る。よって、レンズユニットがその磁力により制御されて、光軸Lに沿って移動できるようになり、迅速なフォーカシングおよびOIS(光学手ぶれ補正(Optical Image Stabilization))が達成されることとなる。いくつかの実施形態においては、第1の磁気素子Mがコイルであってよく、第2の磁気素子Cがコイルに対応する二極または多極マグネットであってよく、これにより、レンズユニットは同様に磁力により制御され、光軸Lに沿って移動できるようになる。
【0031】
図2、3A、および3Bを参照されたい。図3Aは、透明板Gおよび回路基板Pが取り付けられた図2におけるレンズ駆動機構20の透視図であり、図3Bは、図3Aにおける線B-Bに沿った断面図である。図3Aに示されるように、透明板G(例えばプラスチックまたはガラス板)がレンズ駆動機構20に取り付けられる。ここで、透明板Gはフレーム21の平坦な上面211に貼合され、これによりレンズ駆動機構20内のレンズユニットおよび他の構成要素が保護され、かつ光が透明板Gからレンズ駆動機構20に入射できるようになる。故に、イメージセンサ(例えばCCD)が、光を受けて、電子信号に変換することができるようになる。レンズ駆動機構20は回路基板Pを介して外部電源に電気的に接続され得る。また、レンズ駆動機構20は回路基板Pを介して電子信号をレンズ駆動機構20外部の処理機に送りデータ処理を行わせることができる。
【0032】
図2および3Bにおいて、レンズホルダー22ならびに上側および下側スプリングシートS1およびS2はいずれも、フレーム21とベース23との間に形成されたスペース201内に配置される。上側スプリングシートS1はフレーム21とレンズホルダー22とを接続し、下側スプリングシートS2はベース23とレンズホルダー22とを接続する。この実施形態では、フレーム21はプラスチック(純粋なプラスチックまたは金属ドーププラスチック材料)を含むため、射出成形またはインサート成形により一体成形することができる。具体的には、フレーム21の内面に少なくとも1つの突出部213が直接形成され(図3B)、これは上面211と側面212との間の隣接部(角)に対応している。よって、フレーム21の上面211に大きくて平坦な貼合領域が備わって、フレーム21と透明板G間の接続が強化され得る。加えて、突出部213は上面211と側面212との間の隣接部に対応して配置されるため、フレーム21の構造強度も向上し得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、フレーム21は、金属粒子がドープされたプラスチック材料を含み得るため、純粋なプラスチック材料と比べると、レンズ駆動機構20内の磁場の強度が高まり、かつその構造強度も、従来のスタンピング法により形成されている金属プレートに比べると、改善され得る。また、フレーム21はプラスチック材料を含むため、一体成形することができ、成形回路部品(Molded Interconnect Device ,MID)またはレーザーダイレクトストラクチャリング(Laser Direct Structuring, LDS)技術によってフレーム21上またはフレーム21中に電気回路を直接形成することができる。よって、外部回路との電気接続のためのさらなる電子素子(例えば図3Aにおける回路基板P)を省くことができ、これによりレンズ駆動機構20の寸法および製造コストを減らすことができる。
【0034】
図4Aは、図3Aにおけるフレーム21のイメージセンサ側からの透視図であり、図4Bは、図4Aにおけるフレーム21のイメージセンサ側からの上面図であり、図5Aは、互いに組み立てられた時のフレーム21、レンズホルダー22、および第1の磁気素子Mのイメージセンサ側からの透視図であり、図5Bは、図5Aにおけるフレーム21、レンズホルダー22、および第1の磁気素子Mのイメージセンサ側からの上面図である。図2、および図4A図5Bに示されるように、少なくとも1つの突出したスライダー221がレンズホルダー22の外面に形成されており、少なくとも1つの規制構造R1が、スライダー221に対応するように、フレーム21の内面に形成されている。各規制構造R1は、フレーム21の内面から突出している2つの規制部R11を備えており、光軸Lに沿って延伸する縦凹部R12が、2つの規制部R11の間に形成されており、凹部R12の幅はスライダー221の幅より大きい。この実施形態では、スライダー221は、規制構造R1内に収容されるため、水平方向の移動が規制され、これによりレンズ駆動機構20内の他の構成要素との衝突が回避され得る。
【0035】
引き続き図2、および図4A~5Bを参照されたい。少なくとも1つの保持部R2がフレーム21の内面から突出し、かつU字形構造を形成している。第1の磁気素子Mは、保持部R2の中央に位置する凹溝R21内に収容されると共に保持され、これにより第1の磁気素子Mがフレーム21から離脱するのが回避されると共に、フレーム21の内面における所定の位置内に第1の磁気素子Mが確実に位置するようにする。この実施形態のフレーム21はプラスチック材料を含み、故に一体成形できるため、さらなる位置決め部品を使う代わりに、レンズホルダー22および第1の磁気素子Mをそれぞれ保持すべく規制構造R1および保持部R2をフレーム21の内面に直接形成することができ、よって材料および組み立てのコストが有効に低減される。
【0036】
さらに、図2、および図4A~5Bに示されるように、レンズ駆動機構20は実質的に四角形の構造を形成しており、かつ2組の駆動アセンブリを含む(各駆動アセンブリは第1の磁気素子Mおよび第2の磁気素子Cを有する)。それら駆動アセンブリは、レンズホルダー22の対向する側に配置されて、レンズホルダー22およびレンズユニットを光軸Lに沿って移動させる。具体的には、スライダー221および規制構造R1は、駆動アセンブリとは異なるレンズ駆動機構20の一側に配される。この実施形態では、スライダー221および規制構造R1はレンズホルダー22の左側および右側に配置され(図5B)、レンズホルダー22の上側および下側に配置されている駆動アセンブリ(第1の磁気素子M)とは異なる一対の側に配置されている。
【0037】
図6は、本発明の別の実施形態によるレンズ駆動機構20を示している。図6に示されるように、レンズ駆動機構20のフレーム21は、中空の四角形の本体21’および金属プレート24を備える。本体21’はプラスチック材料を含み、金属プレート24は、インサート成形により本体21’の一側に一体的に形成され得る。
【0038】
図7は、本発明の別の実施形態によるレンズ駆動機構20を示している。図7の実施形態は、金属プレート24にさらに複数の孔240が形成され、かつ本体21’にさらに、孔240にそれぞれ係合する複数の凸部が形成されている点で、図6の実施形態とは異なる。
【0039】
上述した実施形態によれば、本発明はさらに、上記実施形態のうちの任意の1つのレンズ駆動機構20を含む電子機器を提供する。このうち、レンズ駆動機構20は、実質的に多角形の構造を有していてよい。具体的には、レンズ駆動機構20および少なくとも1つの無線通信素子(例えばアンテナまたは無線通信チップ)が電子機器の筐体内に配置される。駆動アセンブリはレンズ駆動機構20の第1の側(例えば図5Bにおけるレンズホルダー22の上側または下側、または上下いずれかの側)に隣接して配され、無線通信素子はレンズ駆動機構20の第2の側(例えば図5Bにおけるフレーム21の左側または右側、または光軸直交方向に交差するいずれかの側)に隣接して配される。
【0040】
要約すると、本発明は、レンズ駆動機構およびそれを備える電子機器を提供する。レンズ駆動機構のフレームはプラスチック材料を含むため、一体成形することができ、これによりレンズ駆動機構の寸法およびその製造コストが大幅に縮小されることとなる。また、電子機器中の通信素子(例えばアンテナまたは無線通信チップ )がレンズ駆動機構の近くに位置する場合であっても、レンズ駆動機構のプラスチック材料が通信素子に対する影響を低減することができるため、電子機器の小型化が促進されると共に、通信素子の高パフォーマンスが確保される。
【0041】
本発明を実施例により、好ましい実施形態の観点から説明したが、本発明はこれらに限定されないということが理解されるべきである。むしろ、(当業者には明らかであろう)各種変更および類似のアレンジメントをカバーするよう意図されている。故に、かかる変更および類似のアレンジメントがすべて包含されるよう、添付の特許請求の範囲には最も広い解釈が与えられなければならない。
【符号の説明】
【0042】
10…ボイスコイルモーター
101…スペース
11…フレーム
111…上面
112…凹陥構造
12…レンズホルダー
13…ベース
20…レンズ駆動機構
201…スペース
21…フレーム
21′…本体
210…開口
211…上面
212…側面
213…突出部
22…レンズホルダー
S1…上側スプリングシート
S2…下側スプリングシート
220…貫通孔
221…スライダー
23…ベース
24…金属プレート
240…孔
M…第1の磁気素子
C…第2の磁気素子
G…透明板
L…光軸
P…回路基板
R1…規制構造
R11…規制部
R12…凹部
R2…保持部
R21…凹溝
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7