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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/80 20060101AFI20220104BHJP
   G06F 3/03 20060101ALI20220104BHJP
   G06F 3/04883 20220101ALI20220104BHJP
   G06T 17/10 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
G06T11/80 A
G06F3/03 400A
G06F3/0488 130
G06T17/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017140523
(22)【出願日】2017-07-20
(65)【公開番号】P2018101396
(43)【公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】15/383,798
(32)【優先日】2016-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 勇夫
【審査官】片岡 利延
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-296696(JP,A)
【文献】特開2004-295441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/80
G06F 3/03
G06F 3/0488
G06T 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示体のセンサ上における指示位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部で検出された指示位置毎に前記指示位置を内部の所定位置とした所定の立体形状の3次元データを生成する3次元データ生成部と、
前記3次元データ生成部で生成された前記3次元データにレンダリングを施すレンダリング処理部と、
を備え、
前記レンダリング処理部は、前記位置検出部で検出された前記指示体による指示位置に基づいて2次元面を設定し、前記所定の立体形状の前記3次元データのうち、設定された前記2次元面の一方の面側に対応する前記3次元データにレンダリングを施すとともに、前記2次元面の他方の面側に対応する前記3次元データにはレンダリングを施さない
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記3次元データ生成部は、前記指示位置毎に生成する前記3次元データの前記所定の立体形状が、他の前記指示位置について生成した前記3次元データの前記所定の立体形状と重なる場合には、前記重なる部分は、時間的に後で検出された前記指示位置について生成された前記3次元データを残し、
前記レンダリング処理部は、前記残された前記3次元データにレンダリングを施す
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、前記位置検出部で検出された前記指示体による指示位置に基づいて設定された前記2次元面上に配置できるように、前記3次元データを修正可能に構成されており、
前記レンダリング処理部は、記修正された3次元データを、前記2次元面の一方の面側に配置して、前記2次元面の前記一方の面側に存在する前記修正された前記3次元データに対してレンダリングを施す
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記レンダリング処理部は、前記2次元面に対応した面で、前記3次元データ生成部で生成された前記3次元データを切断し、その切断面が前記2次元面に配置されるようにする
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記3次元データ生成部は、前記位置検出部で前記指示位置が複数回検出された場合には、前記指示位置のそれぞれについて前記立体形状の前記3次元データを生成し、かつ、生成した前記指示位置のそれぞれ前記3次元データを合成することで、前記指示位置に対応する3次元データを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記位置検出部は、前記指示体に印加される筆圧を検出する機能を有し、
前記3次元データ生成部は、前記指示位置毎の前記所定の立体形状の大きさを、検出された前記筆圧に応じたものとして前記3次元データを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記2次元面の設定位置は、変更可能とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記2次元面は、前記位置検出部のセンサ平面に対応している
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記指示体に対応する筆種を選択する選択部を備え、
前記筆種及び前記筆圧に応じて、前記3次元データが生される
ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記指示体に対応する筆種を選択する選択部を備え、
前記筆種に応じて前記3次元データが生成される
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記所定の立体形状を複数個の異なる立体形状の中から選択する選択部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
指示体のセンサ上における指示位置を検出する位置検出部を備える画像処理装置が備えるコンピュータを、
前記位置検出部で検出された指示位置毎に前記指示位置を内部の所定位置とした所定の立体形状の3次元データを生成する3次元データ生成部、
前記3次元データ生成部で生成された前記3次元データにレンダリングを施すレンダリング処理部、
として機能させるためのプログラムであって、
前記レンダリング処理部は、前記位置検出部で検出された前記指示体による指示位置に基づいて2次元面を設定し、前記所定の立体形状の前記3次元データのうち、設定された前記2次元面の一方の面側に対応する前記3次元データにレンダリングを施すとともに、前記2次元面の他方の面側に対応する前記3次元データにはレンダリングを施さない
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、指や電子ペンなどの指示体により指示された位置の検出出力である座標データから、3D(立体)画像を、表示画面に表示することができるようにする画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元(3D)の立体画像を生成して表示画面に表示するようにする技術がある。例えば、特許文献1(特表2002-513480号公報)には、写真の2Dピクチャから、3Dモデル化オブジェクトに変換できると共に、3Dモデル化オブジェクトから、元の2Dピクチャに戻す変換ができるようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2002-513480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
指や電子ペンなどの指示体により指示された位置の検出出力である座標データによる表示画面での表示画像としては、例えばユーザが電子ペンにより線を描くように指示入力した場合には、その描かれた線を表示画面に表示するのが一般的である。従来から、電子ペンを絵画用のブラシなどに対応付けることができるようにされたタブレットも知られているが、その場合にも、ユーザが電子ペンにより線を描くように指示入力した場合には、対応付けられたブラシの先端の幅に応じた線が、表示画面に表示されるようにされている。
【0005】
ところで、ブラシでキャンバスに絵の具で描いたときには、キャンパス上の絵の具には厚みが存在する。電子ペンや指などの指示体により、位置検出部のセンサ上で描画軌跡(ストローク)を描いたときのデジタルインクには厚みが存在しておらず、陰影を施して擬似的に厚みがあるかのような表現は可能だが、実際の絵の具のような質感を表すことは難しい。
【0006】
この発明は、以上の問題点に鑑み、比較的簡単な処理で、指示体による指示入力を、例えば油絵の具で描いたように厚み表すことが可能となる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、
指示体のセンサ上における指示位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部で検出された指示位置毎に前記指示位置を内部の所定位置とした所定の立体形状の3次元データを生成する3次元データ生成部と、
前記3次元データ生成部で生成された前記3次元データにレンダリングを施すレンダリング処理部と、
を備え、
前記レンダリング処理部は、前記位置検出部で検出された前記指示体による指示位置に基づいて2次元面を設定し、前記所定の立体形状の前記3次元データのうち、設定された前記2次元面の一方の面側に対応する前記3次元データにレンダリングを施すとともに、前記2次元面の他方の面側に対応する前記3次元データにはレンダリングを施さない
ことを特徴とする画像処理装置を提供する。
【0008】
上述の構成の画像処理装置においては、3次元データ生成部は、指示体のセンサ上における指示位置を検出する位置検出部で検出された指示位置を、その内部の所定位置とした所定の立体形状の3次元データを生成する。例えば、立体形状を球形状として、位置検出部で検出された指示位置を、当該球形状の中心位置として、当該球形状の3次元データを生成する。
【0009】
そして、レンダリング処理部は、位置検出部で検出された指示体による指示位置に基づいて、2次元面を設定する。そして、レンダリング処理部は、その2次元面の一方の面側に対応する3次元データについてレンダリングを施す。

【0010】
この画像情報による表示画面上での表示画像は、2次元画面上に、3Dの立体図形を表示したようなものとなる。したがって、上述の構成の請求項1の発明による画像処理装置によれば、簡単な処理で、指示体による指示入力を、例えば油絵の具で描いたように盛り上げて表示することが可能となる画像情報を生成することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、位置検出部で検出された指示体による指示入力を、例えば油絵の具で描いたように厚みを表すことが可能となる画像情報を生成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明による画像処理装置の実施形態の全体の概要を示す図である。
図2】この発明による画像処理装置の実施形態に用いる位置検出部の構成例を説明するための図である。
図3】この発明による画像処理装置の実施形態に用いる位置検出部の処理例を説明するための図である。
図4】この発明による画像処理装置の実施形態における画像処理装置本体のハードウェア構成例を示す図である。
図5】この発明による画像処理装置の実施形態の要部を説明するための図である。
図6】この発明による画像処理装置の実施形態における画像処理装置本体の処理動作例を説明するためのフローチャートを示す図である。
図7】この発明による画像処理装置の実施形態の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明による画像処理装置の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、この実施形態の画像処理装置の構成例を示す図で、この例では、画像処理装置本体100と、表示機能付のタブレット端末200とを備える。画像処理装置本体100は、例えばコンピュータで構成される。そして、この例では、タブレット端末200は、画像処理装置本体100に対してケーブル300を通じて接続されている。
【0015】
タブレット端末200は、この例では、例えばLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)パネルからなる表示部201を備えると共に、表示部201の裏側に、この例では、静電容量方式の位置検出部202を備えている。タブレット端末200に対しては、指示体の一例としての電子ペン203が付随している。
【0016】
この例の電子ペン203は、信号発信回路を備え、位置検出用信号を、位置検出部202に送信するようにする。また、この例では、電子ペン203は、そのペン先に印加される筆圧を検出する筆圧検出部を備え、その筆圧検出部で検出した筆圧値の情報を、タブレット端末200の位置検出部202に送信するように構成されている。
【0017】
位置検出部202は、この例では、表示部201の表示画面201Dとほぼ同じ大きさの位置検出センサを備え、この位置検出センサ上における電子ペン203による指示位置を、位置検出用信号を検出することで、2次元のXY座標値として検出する。また、タブレット端末200の位置検出部202は、電子ペン203からの筆圧値の情報を受信して、その受信した情報から筆圧値を検出するようにする。そして、タブレット端末200は、この位置検出部202で検出した電子ペン203の指示位置のそれぞれ座標データと当該指示位置における筆圧値とを対の情報として画像処理装置本体100に送信する。
【0018】
タブレット端末200の表示画面201Dには、画像表示欄201Pxの他、画像表示欄201Pxの周囲の枠エリアに、画像生成のためのパラメータをユーザが選択設定するための制御指示メニューが表示されている。画像処理装置本体100は、画像表示欄201Pxの周囲の枠エリアの制御指示メニューの表示情報を生成して、それをタブレット端末200に送り、表示画面201Dに表示させるようにする。
【0019】
ユーザは、画像表示欄201Pxの周囲の枠エリアの制御指示メニューの内から、希望するパラメータや、制御指示項目を、電子ペン203により指示することにより選択する。画像処理装置本体100は、画像表示欄201Pxの周囲の枠エリアの制御指示メニューに表示されているパラメータや、制御指示項目ついては、その表示位置を認識しているので、電子ペン203による指示位置の座標情報から、いずれのパラメータや制御指示項目がユーザにより選択されたか否かを検知するようにする。
【0020】
図1の例では、画像表示欄201Pxの上部の枠エリアには、画像表示欄201Pxに、電子ペン203により2D画像を描画するのか、3D画像を描画するのかの選択を行うための2D/3D切替ボタン201SWが表示されている。図1の枠エリアの表示例は、この2D/3D切替ボタン201SWが、3D画像を表示するように切替選択されている場合の例を示している。この例では、画像表示欄201Pxの上部の枠エリアには、複数の表示色からなるカラーパレット201CPが表示され、その複数の表示色の中から、ユーザは任意の表示色を選択することで、電子ペン203により指示した座標位置の画像の表示色が選択可能となる。
【0021】
そして、この例では、画像表示欄201Pxの左横には、指示体に対応する筆種を選択する筆種選択部201BPが表示され、その複数種のブラシやペンの中から、ユーザは任意の筆種を選択することで、電子ペン203により指示した座標位置において、その選択した筆種で画像を描画するようにすることが可能となる。
【0022】
また、この例では、画像表示欄201Pxの右横には、光源変更部201LEと、明るさ調整部201BRTと、カラー調整部201CCと、3D基準形状選択部201PSとが表示されている。ユーザは、光源変更部201LEを通じて、3D画像を生成するためのレンダリングの際の光源の位置及び種類の少なくとも一方を変更することができる。レンダリング処理部110は、光源変更部201LEで変更された光源の位置及び種類の少なくとも一方に応じてレンダリング処理をリアルタイムで行うように調整されることができる。また、光源変更部201LEは、3D画像を生成するためのレンダリングの際の光源の位置及び種類の少なくとも一方を自動的に変更してもよい。例えば、季節や時刻に対応した光源の位置と種類を予め設定し、光源の位置及び種類の少なくとも一方を自動的に変更しても良い。この場合も同様に、レンダリング処理部110は、光源変更部201LEで変更された光源の位置及び種類の少なくとも一方に応じてレンダリング処理をリアルタイムで行うように調整されることができる。
【0023】
また、ユーザは、明るさ調整部201BRTを通じて、表示画面の3D画像の明るさを調整することができる。さらには、カラー調整部201CCを通じて、表示画面の3D画像の色度調整をすることができる。
【0024】
3D基準形状選択部201PSは、電子ペン203の指示位置の座標入力から3Dのボリュームデータを生成する際に3D基準形状を選択するために用いられる。図1の例では、この3D基準形状選択部201PSにおいては、異なる形状が選択可能とされている。例えば、球形状、円錐台形状、円錐形状などが表示され、そのいずれかを選択可能とされている。なお、3D基準形状選択部201PSで選択可能な3D基準形状は、これらの形状に限られるものではなく、円柱形状や、断面が4角形、5角形、6角形等の柱状体でもよく、更には、任意の断面形状の柱状体などであってもよい。
【0025】
画像処理装置本体100は、タブレット端末200の位置検出部202からの、電子ペン203による指示位置の座標データ及び筆圧情報を取得し、その取得した座標データ及び筆圧情報から、選択されたパラメータや制御指示を検出すると共に、その検出したパラメータや制御指示に従って、表示画像データを生成して、タブレット端末200に送る。タブレット端末200は、画像処理装置本体100から受信した画像情報を表示部201の表示画面の画像表示欄201Pに表示する。
【0026】
[タブレット端末200の位置検出部の構成例]
この実施形態の位置検出部202は、図2に示すように、センサ204と、このセンサ204に接続されるペン指示検出回路205とで構成されている。センサ204は、タブレット端末200の表示画面201Dの大きさに対応した大きさのセンサ面(指示入力面)を備えており、光透過性を有する、第1の導体群211と第2の導体群212とによって形成されている。
【0027】
第1の導体群211は、例えば、横方向(X軸方向)に延在した複数の第1の導体211Y、211Y、…、211Y(mは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、Y軸方向に配置したものである。また、第2の導体群212は、第1の導体211Y、211Y、…、211Yの延在方向に対して交差する方向、この例では直交する縦方向(Y軸方向)に延在した複数の第2の導体212X、212X、…、212X(nは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、X軸方向に配置したものである。
【0028】
以下の説明において、第1の導体211Y~211Y及び第2の導体212X~212Xについて、それぞれの導体を区別する必要がないときには、その導体を、第1の導体211Y及び第2の導体212Xと称することとする。
【0029】
ペン指示検出回路205は、センサ204との入出力インターフェースとされる選択回路221と、増幅回路222と、バンドパスフィルタ223と、検波回路224と、サンプルホールド回路225と、AD(Analog to Digital)変換回路226と、制御回路220とを備える。
【0030】
選択回路221は、制御回路220からの制御信号に基づいて、第1の導体群211および第2の導体群212の中からそれぞれ1本の導体を選択する。選択回路221により選択された導体は増幅回路222に接続され、電子ペン203からの信号が、選択された導体により検出されて増幅回路222により増幅される。この増幅回路222の出力はバンドパスフィルタ223に供給されて、電子ペン203から送信される信号の周波数の成分のみが抽出される。
【0031】
バンドパスフィルタ223の出力信号は検波回路224によって検波される。この検波回路224の出力信号はサンプルホールド回路225に供給されて、制御回路220からのサンプリング信号により、所定のタイミングでサンプルホールドされた後、AD変換回路226によってデジタル値に変換される。AD変換回路226からのデジタルデータは制御回路220によって読み取られ、処理される。
【0032】
制御回路220は、内部のROMに格納されたプログラムによって、サンプルホールド回路225、AD変換回路226、および選択回路221に、それぞれ制御信号を送出するように動作する。また、制御回路220は、AD変換回路226からのデジタルデータから、電子ペン203によって指示されたセンサ204上の位置座標を算出し、その位置座標のデータを、タブレット端末200内の他の処理プロセッサ等に出力する。
【0033】
図3は、この位置検出部202のセンサ204で受信される、この実施形態の電子ペン203からの所定のパターンの信号を説明するためのタイミングチャートである。この実施形態の電子ペン203は、信号発信回路203S及び制御回路203CTLを備えており、制御回路203CTLからの制御信号により、信号発信回路203Sは、所定のパターンの信号を繰り返し出力するようにする。
【0034】
図3(A)は、電子ペン203の信号発信回路203Sを制御する制御回路203CTLからの制御信号の例を示すもので、ハイレベルを維持する一定期間は、図3(B)に示すように、電子ペン203は、信号発信回路203Sからの発信信号(所定周波数の交流信号)をバースト信号として連続送信する(図3(C)の連続送信期間)。
【0035】
この連続送信期間の長さは、位置検出部202のペン指示検出回路205において、電子ペン203によるセンサ204上の指示位置を検出することが可能な時間長とされ、例えば第1の導体211Y及び第2の導体212Xの全てを1回以上、好ましくは複数回以上スキャンすることができる時間長とされる。
【0036】
この連続送信期間中に、電子ペン203の制御回路203CTLは、ペン先側に印加される筆圧を検出し、その検出結果から、筆圧を例えば複数ビットの値(2進コード)として求める。筆圧検出部は、図示は省略するが、例えば特許文献:特開平5-275283号公報に記載されている周知の構成の筆圧検出手段や特開2011-186803号公報に記載されている周知の構成の筆圧検出手段を用いることできる。また、例えば、特開2013-161307号公報に開示されているような筆圧に応じて静電容量を可変とする半導体素子を用いた構成とすることもできる。
【0037】
そして、電子ペン203の制御回路203CTLは、図3(A)に示すように、連続送信期間が終了すると、スタート信号を挟んで、送信データ期間とする。この送信データ期間においては、制御回路203CTLは、制御信号(図3(A)参照)を所定の周期(Td)でハイレベルまたはローレベルに制御することにより、信号発信回路203Sからの発信信号をASK変調する。ASK変調に代えて信号発信回路203Sからの発信信号をOOK(On Off Keying)信号に変調するようにしてもよい。
【0038】
このとき、連続送信期間の後の所定の周期(Td)の初回は必ずハイレベルとし、それを図3(C)に示すようにスタート信号とする。このスタート信号は、以降のデータ送出タイミングを位置検出部202側で正確に判定することができるようにするためのタイミング信号である。なお、このスタート信号に代えて、連続送信期間のバースト信号をタイミング信号として利用することもできる。
【0039】
電子ペン203は、送信データ期間において、スタート信号に続いて、所定ビット数の送信データ(デジタルデータ)として筆圧データを順次送信する。この場合に、送信データ(2進コード)が「0」のときは制御信号をローレベルとして発信信号の送出はせず、送信データ(2進コード)が「1」のときは制御信号をハイレベルとして発信信号の送出するように制御する。電子ペン203は、以上のような連続送信期間及び送信データ期間からなるパターンの信号を、制御回路203CTLからの制御に基づいた周期で繰り返し送信するようにする。
【0040】
位置検出部202のペン指示検出回路205においては、制御回路220は、例えばまず第2の導体212X~212Xを順次に選択する選択信号を選択回路221に供給し、第2の導体212X~212Xのそれぞれの選択時に、AD変換回路226から出力されるデータを信号レベルとして読み取る。そして、第2の導体212X~212Xの全ての信号レベルが所定値に達していなければ、制御回路220は、電子ペン203はセンサ204上に無いものと判断し、第2の導体212X~212Xを順次に選択する制御を繰り返す。
【0041】
第2の導体212X~212Xのいずれかから所定値以上のレベルの信号が検出された場合には、制御回路220は、最も高い信号レベルが検出された第2の導体212Xの番号とその周辺の複数個の第2の導体212Xを記憶する。そして、制御回路220は、選択回路221を制御して、第1の導体211Y~211Yを順次選択して、AD変換回路226からの信号レベルを読み取る。このとき制御回路220は、最も大きい信号レベルが検出された第1の導体211Yとその周辺の複数個の第1の導体211Yの番号を記憶する。
【0042】
そして、制御回路220は、以上のようにして記憶した、最も大きい信号レベルが検出された第2の導体212Xの番号及び第1の導体211Yの番号とその周辺の複数個の複数個の第2の導体212X及び第1の導体211Yから、電子ペン203により指示されたセンサ204上の位置を検出する。
【0043】
制御回路220は、選択回路221で最後の第1の導体211Yを選択して信号レベルの検出を終了したら、電子ペン203からの連続送信期間の終了を待ち、連続送信期間の終了後のスタート信号を検出したら、筆圧データなどの送信データを読み取る動作を行い、読み取った筆圧などの送信データを、前述したように、ASK信号やOOK(On Off Keying)信号として受信するようにする。そして、制御回路220は、少なくとも、検出した電子ペン203の指示位置の座標データと、筆圧情報とをペアとして、画像処理装置本体100に送るようにする。
【0044】
[画像処理装置本体100の構成例]
図4は、画像処理装置本体100の構成例を示すブロック図である。前述もしたように、この例の画像処理装置本体100はコンピュータにより構成されるものであり、CPU(Central Processing Unit)で構成される制御部101に対して、システムバス102を介して、位置検出部インターフェース(インターフェースは、図ではI/Fと記す)103、表示コントローラ104、座標データ等解析部105、制御指示検出保持部106、2D画像データ生成部107、ボリュームデータ生成部108、表示画像情報生成部109、レンダリング処理部110、のそれぞれが接続されて構成されている。
【0045】
位置検出部インターフェース103には、タブレット端末200の位置検出部202が接続されている。位置検出部インターフェース103は、位置検出部202からの座標データ及び筆圧情報を受信すると、その受信した座標データ及び筆圧情報を、座標データ等解析部105に送る。
【0046】
また、表示コントローラ104には、タブレット端末200の表示部の表示部201が接続されており、後述するようにして表示画像情報生成部109で生成された表示画像情報が、この表示コントローラ104を通じてタブレット端末200の表示部201に供給されて、その表示画面201Dに表示される。
【0047】
座標データ等解析部105は、受け取った座標データの座標値がタブレット端末200の表示部201の画像表示欄201Px内のものであるか、その周囲の枠エリアの座標値であるかを検出する。そして、座標データ等解析部105は、画像表示欄201Pxの周囲の枠エリアの座標値は、制御指示検出保持部106に送る。
【0048】
制御指示検出保持部106は、座標データ等解析部105から受け取った座標データから、2D/3D切替ボタン201SW、カラーパレット201CP、筆種選択部201BP、光源変更部201LE、明るさ調整部201BRT、カラー調整部201CCまたは3D基準形状選択部201PSのいずれにおける制御指示あるいは選択指示かを判別し、その判別した結果を、制御指示データとして保持しておくようにする。
【0049】
また、座標データ等解析部105は、座標データの座標値が、画像表示欄201Px内の座標値であるときには、制御指示検出保持部106に保持されている2D/3D切替ボタン201SWの切替状況を参照し、2Dに切り替えられているときには、座標データを、2D画像データ生成部107に供給し、また、3Dに切り替えられているときには、座標データを、ボリュームデータ生成部108に送るようにする。なお、この場合に、座標データ等解析部105は、座標データと筆圧情報とをペアとして送るようにするのは、前述した通りである。
【0050】
2D画像データ生成部107は、電子ペン203により指示された位置の連続としてのストロークに応じた線画の画像情報を生成する。この場合に、筆圧情報に応じて線の太さを変えるようにしている。また、筆種選択部201BPで例えば幅広のブラシの筆が選択されているときには、そのブラシの幅に応じた幅の線からなる画像情報が生成される。2D画像データ生成部107は、生成した画像情報を、表示画像情報生成部109に供給する。
【0051】
表示画像情報生成部109は、受け取った画像情報を、表示部201の表示画面に表示するための表示画像情報に変換し、その変換後の表示画像情報を、表示コントローラ104を通じて表示部201に供給する。したがって、2D/3D切替ボタン201SWが、2Dに切り替えられているときには、表示部201の表示画面には、電子ペン203により指示された位置の連続としてのストロークに応じた線画の画像が表示される。
【0052】
ボリュームデータ生成部108は、2D/3D切替ボタン201SWが、3D画像を表示するように切替選択されている場合に、座標データ等解析部105からの座標データと筆圧情報とを受けて、3次元データであるボリュームデータを生成する。この場合に、この実施形態では、ボリュームデータ生成部108は、3D基準形状選択部201PSで選択されている立体形状内のボリュームデータを生成する。その場合に、ボリュームデータ生成部108は、選択されている立体形状内の所定位置を、座標データ等解析部105からの座標データの位置に対応させると共に、筆圧情報の筆圧値に応じた大きさの立体形状としてボリュームデータを生成する。
【0053】
そして、この実施形態では、筆種選択部201BPで選択されている筆種を判別し、その判別した筆種に応じて、筆圧情報の筆圧値に応じた立体形状を異ならせるようにする。すなわち、例えば、細筆よりも、太筆の場合の方が、同じ筆圧値であっても立体形状の大きさを大きくするようにしてボリュームデータを生成するようにしてもよい。
【0054】
3D基準形状選択部201PSで選択されている立体形状が、例えば球形状である場合には、ボリュームデータ生成部108は、図5(D)に示すように、座標データ等解析部105から取得した座標値(Xi,Yi)を、球形状内の所定位置、例えば球形状の中心位置(重心位置)Osとし、筆圧情報の筆圧値に応じた半径rの球形状のボリュームデータを生成するようにする。この場合に、前述したように、半径rの大きさは、選択されている筆種に応じて異なる値とされている。なお、この半径rは、筆種によって全て異ならせる必要はなく、他と同じ半径rに設定されている筆種があってもよい。
【0055】
なお、ここで、電子ペン203のペン先が位置検出部202のセンサ204上の位置指示入力面(この例では、表示画面201Dの表面)に接触して、位置検出部202に対して位置指示入力がなされる状態では、X軸方向及びY軸方向に直交するZ軸方向の座標値Zは、例えば、Z=0とすればよい。そして、電子ペン203には、それぞれの座標位置に応じた筆圧値が印加される状態となっている。
【0056】
なお、3D基準形状選択部201PSで選択されている立体形状が、球形状以外の場合であっても、座標データ等解析部105から取得した座標値(Xi,Yi)を、それぞれの立体形状の中心位置(重心位置)とし、筆圧情報の筆圧値に応じ、かつ、選択されている筆種に応じた大きさのボリュームデータを生成するようにすることで、同様にしてボリュームデータの生成が可能である。
【0057】
なお、座標データ等解析部105から取得した座標値(Xi,Yi)を、それぞれの立体形状の中心位置(重心位置)とするのに限られず、立体形状内に設定した特定の位置に、座標データ等解析部105から取得した座標値(Xi,Yi)を対応付ければよい。
【0058】
このボリュームデータ生成部108で生成されたボリュームデータは、レンダリング処理部110に送られる。レンダリング処理部110は、座標データ等解析部105から取得した座標値に基づいて、2次元曲面(2次元平面を含む)を設定し、送られたボリュームデータの内、その設定した2次元曲面の一方の面側に存在しているボリュームデータにレンダリング処理を施す。設定される2次元曲面は、表示部201に配置されたセンサの表面(センサ平面)に位置する2次元表示画面201Dに対応する仮想面とすることができる。すなわち、設定された2次元曲面の一方の面側に存在しているボリュームデータは、表示画面201D上に盛られた部分に相当する。
【0059】
すなわち、この例では、レンダリング処理部110は、先ず、レンダリング対象データ生成部111で、座標データ等解析部105から取得した座標値(Xi,Yi,Z=0)に基づいて、センサ204の位置指示入力面である2次元曲面(この例ではX-Y平面)に平行で、Z=0である円形平面PLoを、図5Dに示すように、受け取ったボリュームデータ内に設定する。そして、レンダリング対象データ生成部111は、設定した平面PLoの一方の面側、この例では、表面側に存在するボリュームデータ部分(図5(D)において、斜線を付して示す)をレンダリング対象のボリュームデータ部分とする。なお、この例の場合、レンダリング時の光源の位置は、平面PLoの表面側に設置する場合を想定している。したがって、レンダリング対象のボリュームデータ部分は、ボリュームデータの内、光源により光が当たる平面PLoの表面側に存在する部分となる。
【0060】
次に、レンダリング処理部110のレンダリング実行部112は、レンダリング対象データ生成部111で生成されたレンダリング対象のボリュームデータ部分に、この例では、サーフェスレンダリングを施す。そして、レンダリング処理部110は、レンダリングを施したボリュームデータ部分を、表示画像情報生成部109に送る。このサーフェスレンダリングにおいては、光源変更部201LEで指定されている光源位置が参照されると共に、明るさ調整部201BRTでの調整値やカラー調整部201CCでの調整値が用いられて、厚みのあるデジタルインクとして質感が表現された画像が得られるように調整される。
【0061】
以上の説明は、電子ペン203により位置指示された1点(一つの座標値)についてのボリュームデータ生成及びレンダリング処理についての説明であるが、ユーザにより電子ペン203によりなされる実際上の位置指示入力は、電子ペン203により指示された位置の連続としてのストロークとなる。
【0062】
例えば使用者が、電子ペン203のペン先を位置検出部202のセンサ204上の位置指示入力面に接触させた状態で、X軸方向に直線を描くような電子ペン203のペン先を移動させた場合を一例として説明する。
【0063】
この場合に、そのX軸方向の電子ペン203のペン先の移動時における各座標位置での筆圧の値が、図5(A)に示すように変化したとする。すると、当該電子ペン203のペン先の移動時における各座標値と筆圧情報とが、座標データ等解析部105から、ボリュームデータ生成部108に供給される。
【0064】
ボリュームデータ生成部108では、座標データ等解析部105から連続的に送られてくる各座標値のそれぞれに対して、図5(D)に示したように、この例では球形状の中心位置(重心位置)Osとし、筆圧情報の筆圧値に応じた半径rの球形状のボリュームデータを生成する。この場合に、図5(B)に示すように、各座標値のそれぞれに対して生成されたボリュームデータは、一部が重なる状態となるが、その重なり部分については、後で生成されたボリュームデータ部分を残すようにする。その結果、ボリュームデータ生成部108では、電子ペン203によるストローク入力に対して、図5(C)に示すような立体形状に対応するボリュームデータが生成され、レンダリング処理部110に供給される。
【0065】
そして、レンダリング処理部110のレンダリング対象データ生成部111では、座標データ等解析部105から取得した各座標値のそれぞれに基づいて、それら各座標値を含み、センサ204の位置指示入力面である2次元曲面(この例ではX-Y平面)に平行で、Z=0である平面PLcが、図5Cに示すように、ボリュームデータ内に設定される。そして、レンダリング対象データ生成部111は、設定した平面PLcの一方の面側、この例では、表面側に存在するボリュームデータ部分(図5(C)において、斜線を付して示す)をレンダリング対象のボリュームデータ部分とする。
【0066】
次に、レンダリング処理部110のレンダリング実行部112は、レンダリング対象データ生成部111で生成されたレンダリング対象のボリュームデータ部分に、この例では、サーフェスレンダリングする。そして、レンダリング処理部110は、レンダリングを施したボリュームデータ部分を、表示画像情報生成部109に送る。
【0067】
表示画像情報生成部109は、受け取った画像情報を、表示部201の表示画面に表示するための表示画像情報に変換し、その変換後の表示画像情報を、表示コントローラ104を通じて表示部201に供給する。したがって、2D/3D切替ボタン201SWが、3Dに切り替えられているときには、表示部201の表示画面には、電子ペン203により指示された位置の連続としてのストロークに応じた、立体的に盛り上がったような画像が表示されることになる。
【0068】
なお、以上説明した図4の画像処理装置本体100の構成において、表示コントローラ104、座標データ等解析部105、制御指示検出保持部106、2D画像データ生成部107、ボリュームデータ生成部108、表示画像情報生成部109、レンダリング処理部110、の各部は、制御部101が、記憶装置(不図示)上に記憶されたプログラムにより実行することができるソフトウェア機能部の構成とすることが可能である。
【0069】
[画像処理装置本体100の処理動作の流れの例]
以上のように構成されている画像処理装置本体100における処理動作の流れの例を、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0070】
なお、以下の説明においては、この図6のフローチャートの各ステップの処理は、制御部101が、記憶装置(不図示)上に記憶されたプログラムにより、表示コントローラ104、座標データ等解析部105、制御指示検出保持部106、2D画像データ生成部107、ボリュームデータ生成部108、表示画像情報生成部109、レンダリング処理部110、の各部をソフトウェア機能部として実行する場合として説明する。
【0071】
制御部101は、位置検出部202からのデータを受信したか否か判別し(ステップS101)、受信してはいないと判別したときには、その他の処理を実行し(ステップS102)、その後、処理をステップS101に戻す。
【0072】
ステップS101で、位置検出部202からのデータを受信したと判別したときには、制御部101は、受信した座標データを解析し(ステップS103)、当該座標データが画像表示欄201Pxにおける画像描画の指示入力か、あるいは、枠エリアの制御指示メニューの指示入力かを判別する(ステップS104)。
【0073】
ステップS104で、座標データが枠エリアの制御指示メニューの指示入力であると判別したときには、制御部101は、当該座標データから、制御指示メニューの、2D/3D切替ボタン201SW、カラーパレット201CP、筆種選択部201BP、光源変更部201LE、明るさ調整部201BRT、カラー調整部201CC、3D基準形状選択部201PS、のいずれの制御指示の選択指示であるかを判別し、その判別した制御指示を保持するようにする(ステップS105)。そして、このステップS105の次には、制御部101は、処理をステップS101に戻し、このステップS101以降の処理を繰り返す。
【0074】
また、ステップS104で、座標データが画像表示欄201Pxにおける画像描画の指示入力であると判別したときには、制御部101は、2D/3D切替ボタン201SWの切り替え設定状況を参照して、2D画像を描画する状態か、3D画像を描画する状態かを判別する(ステップS105)。
【0075】
ステップS105で、2D画像を描画する状態であると判別したときには、制御部101は、従前と同様にして、2D画像を描画するための処理を行い(ステップS107)、その後、処理をステップS101に戻し、このステップS101以降の処理を繰り返す。
【0076】
また、ステップS105で、3D画像を描画する状態であると判別したときには、制御部101は、前述したようにして、座標データに基づいて、ボリュームデータを生成する(ステップS108)。このステップS108では、ボリュームデータの生成に先立ち、筆種選択部201BPで選択されている筆種が認識され、また、3D基準形状選択部201PSで選択されている3D基準形状が認識される。そして、その認識された3D基準形状についてのボリュームデータが、筆圧値に応じた大きさであって、認識された筆種に応じた大きさで、生成される。
【0077】
このステップS108の次には、制御部101は、生成したボリュームデータで形成される立体形状の内部に、前述したようにして、2次元曲面PLoを設定し、その設定した2次元曲面PLoの一方の面側に位置するボリュームデータ部分を、レンダリング対象データとして生成する(ステップS109)。
【0078】
次に、制御部101は、光源変更部201LEで指定されている光源位置を認識すると共に、明るさ調整部201BRTでの調整値やカラー調整部201CCでの調整値を認識し、それらの認識結果を用いながら、ステップS109で生成されたレンダリング対象のボリュームデータに対して、この例では、サーフェスレンダリングを施す(ステップS110)。そして、制御部101は、レンダリングを施した3D画像を、表示部201に送って、その表示画面に表示させるようにする(ステップS111)。
【0079】
[実施形態の効果]
以上説明したようにして、この実施形態の画像処理装置によれば、座標データに基づいて、所定の3D基準形状のボリュームデータを生成するようにするだけで、電子ペン203によるストローク状の指示入力を、油絵の具で描いたように厚みを表示することが可能となる。しかも、上述の実施形態では、電子ペン203に印加されている筆圧値に応じて、ボリュームデータを生成する基準となる3D基準形状の大きさを変更するので、使用者は、筆圧により、油絵の具の厚みを変化させるようにすることができ、使用者の実際の筆致に応じた絵画の描画表現をすることが可能である。
【0080】
そして、上述の実施形態では、電子ペン203に印加されている筆圧値だけでなく、使用者が選択する筆種に応じて、ボリュームデータを生成する基準となる3D基準形状の大きさを変更することができ、その点でも、使用者が所望する絵画の描画表現が可能となる。
【0081】
そして、上述の実施形態によれば、3D基準形状を使用者が選択することができるので、使用者は、油絵の具の厚みを選択することも可能となるという効果もある。
【0082】
なお、レンダリング処理部110におけるレンダリング対象データ生成部111の処理は、上述のような処理に限られるものではない。例えば、電子ペン203により指示された位置の座標データに基づいて、2次元曲面を設定し、その2次元曲面上に、ボリュームデータ生成部で生成したボリュームデータを配置することができるように、当該ボリュームデータを修正する。すなわち、典型的には、電子ペン203により指示された位置の座標データを含む2次元曲面で、ボリュームデータに基づいて生成される画像を分断し、その分断面を2次元曲面に置くようにして、レンダリング対象のボリュームデータを生成する。
【0083】
また、上述の実施形態では、電子ペン203により指示された位置の座標データに基づく2次元曲面として、当該座標データを含み、センサのX軸方向及びY軸方向に平行で、Z=0の2次元曲面に固定した。しかし、電子ペン203により指示された位置の座標データに基づく2次元曲面は、固定ではなく、使用者が変更設定可能とするようにしてもよい。例えば、図7(A)に示すように、2次元曲面は、その法線方向(例えば、-Z軸方向)に変更設定可能とするようにしてもよい。図7(A)の例は、図5(D)に示した2次元曲面(一点鎖線301)を、法線方向(例えば、-Z軸方向)にΔZだけ下方に変更した2次元曲面(実線302)の場合の例である。この場合、2次元平面の下方に存在するレンダリング処理を施されていないボリュームデータが存在するため、そのボリュームデータを含めた2次元曲面の上方側のボリュームデータに再度レンダリング処理を行う。
【0084】
また、図7(B)に示すように、2次元曲面は、所定の傾き角θだけ傾けて変更設定することが可能としてもよい。図7(B)の例は、図5(D)に示した2次元曲面(一点鎖線301)を、電子ペン203により指示された位置の座標データ(Xi,Yi)を含むY軸方向に沿う直線位置を回転中心線として角度θだけ回転させた2次元曲面(実線303)の場合の例である。なお、2次元曲面を傾ける場合には、法線方向(Z軸方向)への変更を伴ってもよい。また、2次元曲面を傾ける方向は、いずれの方向であってもよいことは言うまでもない。この場合も上述のように、2次元平面の下方に存在するレンダリング処理を施されていないボリュームデータが存在するため、そのボリュームデータを含めた2次元曲面の上方側のボリュームデータに再度レンダリング処理を行う。いずれの場合も、レンダリング処理部110は、変更設定された2次元曲面に対してリアルタイムでレンダリング処理を行うように調整されることができる。
【0085】
また、2D/3D切替ボタン201SWの切り替えにより、3D画像と2D画像を混在させて、表示部201の表示画面に電子ペン203に描画するようにしてもよい。
【0086】
また、上述の実施形態では、レンダリング処理部110のレンダリング実行部112では、レンダリング対象のボリュームデータにサーフェスレンダリングを施すようにしたが、ボリュームレンダリングを施すようにしてもよい。
【0087】
また、上述の実施形態では、筆種と、3D基準形状とは、それぞれ独立して選択可能としたが、筆種のそれぞれに応じて、異なる3D基準形状を予め対応付けておくようにしてもよい。
【0088】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、指示体は、電子ペンとしたが、指であってもよい。また、電子ペンにペンは、静電容量方式のものとしたが、電子ペンは、電磁誘導方式や、その他の方式のものでよく、その方式は問わない。
【0089】
画像処理装置は、画像処理装置本体100とタブレット端末200とからなる構成としたが、これに限られるものではなく、画像処理装置本体100とタブレット端末200とを一体化した装置の構成であっても勿論よい。すなわち、この発明の画像処理装置は、要は、画像処理装置本体100の機能を備えると共に、タブレット端末200の位置検出部202の機能を備える構成であれば、どのような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0090】
100…画像処理装置本体、200…タブレット端末、201…表示部、202…位置検出部、203…電子ペン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7