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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】温度制御装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20220104BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20220104BHJP
   H01L 27/11582 20170101ALI20220104BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220104BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20220104BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20220104BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
F25B1/00 399Y
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L21/68 N
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017143038
(22)【出願日】2017-07-24
(65)【公開番号】P2019024055
(43)【公開日】2019-02-14
【審査請求日】2020-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】594185097
【氏名又は名称】伸和コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(72)【発明者】
【氏名】関 篤史
【審査官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-063972(JP,A)
【文献】特開2017-063088(JP,A)
【文献】特開平06-174388(JP,A)
【文献】特許第6104443(JP,B1)
【文献】特開昭50-049736(JP,A)
【文献】特開平07-190217(JP,A)
【文献】特開2011-187758(JP,A)
【文献】米国特許第03749357(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
C23F 1/00-4/04
F16K 11/00-11/24
F25B 1/00-7/00
H01L 21/205
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/312-21/32
H01L 21/365
H01L 21/461
H01L 21/469-21/475
H01L 21/67-21/683
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温側の予め定められた第1の温度に調整された低温側流体を供給する第1の供給手段と、
高温側の予め定められた第2の温度に調整された高温側流体を供給する第2の供給手段と、
前記第1の供給手段から供給される前記低温側流体と前記第2の供給手段から供給される前記高温側流体のみの流量を制御しつつ混合し温度制御用流体として温度制御対象に供給する第1の流量制御用三方弁と、
前記温度制御対象を流通した前記温度制御用流体を前記第1の供給手段と前記第2の供給手段のみに流量を制御しつつ分配する第2の流量制御用三方弁と、
前記温度制御対象を流通して前記第2の流量制御用三方弁により前記第1の供給手段へ分配される前記温度制御用流体と前記第1の供給手段から前記第1の流量制御用三方弁へ供給されず前記第1の供給手段に還流する前記低温側流体の双方の流量を制御する第3の流量制御用三方弁と、
前記温度制御対象を流通して前記第2の流量制御用三方弁により前記第2の供給手段へ分配される前記温度制御用流体と前記第2の供給手段から前記第1の流量制御用三方弁へ供給されず前記第2の供給手段に還流する高温側流体の双方の流量を制御する第4の流量制御用三方弁と、
を備える温度制御装置。
【請求項2】
前記第1の供給手段は、
前記第1の供給手段へと還流する前記温度制御用流体を冷却する第1の冷却手段と、
前記第1の冷却手段によって冷却された前記温度制御用流体を補助的に加熱して前記低温側流体として供給する第1の加熱手段と、
前記第1の加熱手段により補助加熱された前記低温側流体を貯蔵する第1の貯蔵タンクと、
を備える請求項1に記載の温度制御装置。
【請求項3】
前記第2の供給手段は、
前記第2の供給手段へと還流する前記温度制御用流体を冷却する第2の冷却手段と、
前記第2の冷却手段によって冷却された前記温度制御用流体を補助的に加熱して前記高温側流体として供給する第2の加熱手段と、
前記第2の加熱手段により補助加熱された前記高温側流体を貯蔵する第2の貯蔵タンクと、
を備える請求項1又は2に記載の温度制御装置。
【請求項4】
前記第3及び第4の流量制御用三方弁は、前記第1の流量制御用三方弁の混合比に応じて、前記第1及び第2の供給手段から当該第1及び第2の供給手段へと帰還させる前記低温側流体及び前記高温側流体の割合を増加させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の温度制御装置。
【請求項5】
前記第1乃至第4の流量制御用三方弁は、
前記温度制御対象を流通した温度制御用流体が流入する流入口と前記温度制御用流体のうち前記第1の供給手段に分配する前記温度制御用流体が流出する断面矩形状の第1の弁口と前記温度制御用流体のうち前記第2の供給手段に分配する前記温度制御用流体が流出する断面矩形状の第2の弁口が形成された円柱形状の空所からなる弁座を有する弁本体と、
前記第1の弁口を閉状態から開状態に切り替えると同時に前記第2の弁口を開状態から閉状態に切り替えるよう前記弁本体の弁座内に回転自在に配置され、予め定められた中心角を有する半円筒形状に形成され且つ周方向に沿った両端面が曲面形状又は平面形状に形成された弁体と、
前記弁体を回転駆動する駆動手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の温度制御装置。
【請求項6】
前記第1乃至第4の流量制御用三方弁は、
流体が流出する断面矩形状の第1の弁口と前記流体が流出する断面矩形状の第2の弁口が形成された円柱形状の空所からなる弁座を有する弁本体と、
前記弁本体に装着されて前記第1及び第2の弁口をそれぞれ形成する第1及び第2の弁口形成部材と、
前記弁本体の弁座内に回転自在に配置され、前記第1の弁口を閉状態から開状態に切り替えると同時に前記第2の弁口を開状態から閉状態に切り替える開口部が形成された円筒形状の弁体と、
前記弁体と前記弁座の間隙から漏れた前記流体の圧力を前記第1及び第2の弁口形成部材に作用させ、前記弁体が前記第1及び第2の弁口を開閉する際に前記弁体の位置が変動するのを抑制する圧力作用部と、
前記弁体を回転駆動する駆動手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の温度制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度制御装置に関する技術としては、例えば、特許文献1等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、冷却や加熱のために消耗する電力を最小化することができるようにした半導体製造設備のための温度制御システムを提供することを主目的として、半導体製造設備の負荷から回収される熱媒体(Coolant)を冷温制御し、目標温度で供給する温度制御システムであって、低温熱媒体と高温熱媒体を混合し、負荷に供給する混合器と;低温熱媒体を貯蔵する第1の熱媒体タンクと;第1の熱媒体タンクの熱媒体を冷却させて提供する第1の熱電素子ブロックと;回収熱媒体を冷却させて、前記第1の熱媒体タンクに提供する第2の熱電素子ブロックと;前記第1の熱電素子ブロックを通じて提供される冷却した第1の熱媒体タンクの熱媒体を第1比率で前記混合器に提供し、その他の熱媒体を前記第2の熱電素子ブロックにバイパスさせて、第1の熱媒体タンクが回収するようにする第1の3方向スイッチング弁と;高温熱媒体を貯蔵する第2の熱媒体タンクと;第2の熱媒体タンクの熱媒体を加熱する第1のヒーターと;回収熱媒体を加熱し、前記第2の熱媒体タンクに提供する第2のヒーターと;前記第1のヒーターを通じて加熱した第2の熱媒体タンクの熱媒体を第2比率で前記混合器に提供し、その他の熱媒体を前記第2のヒーターにバイパスさせて、第2の熱媒体タンクが回収するようにする第2の3方向スイッチング弁と;負荷から回収される熱媒体を前記第1比率で前記第2の熱電素子ブロックに提供し、前記第2比率で前記第2のヒーターに提供する第3の3方向スイッチング弁と;を含むように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-79930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、第1の供給手段から供給する低温側流体及び第2の供給手段から供給する高温側流体の混合比と、第1の供給手段に還流する低温側流体及び第2の供給手段に還流する高温側流体の分配比を独立して制御し得ない構成に比較して、低温側流体と高温側流体の混合比を高い精度で制御することができ、温度制御対象の制御温度を複数段階にわたり制御することが可能な温度制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、低温側の予め定められた第1の温度に調整された低温側流体を供給する第1の供給手段と、
高温側の予め定められた第2の温度に調整された高温側流体を供給する第2の供給手段と、
前記第1の供給手段から供給される前記低温側流体と前記第2の供給手段から供給される前記高温側流体のみの流量を制御しつつ混合し温度制御用流体として温度制御対象に供給する第1の流量制御用三方弁と、
前記温度制御対象を流通した前記温度制御用流体を前記第1の供給手段と前記第2の供給手段のみに流量を制御しつつ分配する第2の流量制御用三方弁と、
前記温度制御対象を流通して前記第2の流量制御用三方弁により前記第1の供給手段へ分配される前記温度制御用流体と前記第1の供給手段から前記第1の流量制御用三方弁へ供給されず前記第1の供給手段に還流する前記低温側流体の双方の流量を制御する第3の流量制御用三方弁と、
前記温度制御対象を流通して前記第2の流量制御用三方弁により前記第2の供給手段へ分配される前記温度制御用流体と前記第2の供給手段から前記第1の流量制御用三方弁へ供給されず前記第2の供給手段に還流する高温側流体の双方の流量を制御する第4の流量制御用三方弁と、
を備える温度制御装置である。
【0007】
請求項2に記載された発明は、前記第1の供給手段は、
前記第1の供給手段へと還流する前記温度制御用流体を冷却する第1の冷却手段と、
前記第1の冷却手段によって冷却された前記温度制御用流体を補助的に加熱して前記低温側流体として供給する第1の加熱手段と、
前記第1の加熱手段により補助加熱された前記低温側流体を貯蔵する第1の貯蔵タンクと、
を備える請求項1に記載の温度制御装置である。
【0008】
請求項3に記載された発明は、前記第2の供給手段は、
前記第2の供給手段へと還流する前記温度制御用流体を冷却する第2の冷却手段と、
前記第2の冷却手段によって冷却された前記温度制御用流体を補助的に加熱して前記高温側流体として供給する第2の加熱手段と、
前記第2の加熱手段により補助加熱された前記高温側流体を貯蔵する第2の貯蔵タンクと、
を備える請求項1又は2に記載の温度制御装置である。
【0009】
請求項4に記載された発明は、前記第3及び第4の流量制御用三方弁は、前記第1の流量制御用三方弁の混合比に応じて、前記第1及び第2の供給手段から当該第1及び第2の供給手段へと帰還させる前記低温側流体及び前記高温側流体の割合を増加させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の温度制御装置である。
【0010】
請求項5に記載された発明は、前記第1乃至第4の流量制御用三方弁は、
前記温度制御対象を流通した温度制御用流体が流入する流入口と前記温度制御用流体のうち前記第1の供給手段に分配する前記温度制御用流体が流出する断面矩形状の第1の弁口と前記温度制御用流体のうち前記第2の供給手段に分配する前記温度制御用流体が流出する断面矩形状の第2の弁口が形成された円柱形状の空所からなる弁座を有する弁本体と、
前記第1の弁口を閉状態から開状態に切り替えると同時に前記第2の弁口を開状態から閉状態に切り替えるよう前記弁本体の弁座内に回転自在に配置され、予め定められた中心角を有する半円筒形状に形成され且つ周方向に沿った両端面が曲面形状又は平面形状に形成された弁体と、
前記弁体を回転駆動する駆動手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の温度制御装置である。
【0011】
請求項6に記載された発明は、前記第1乃至第4の流量制御用三方弁は、
流体が流出する断面矩形状の第1の弁口と前記流体が流出する断面矩形状の第2の弁口が形成された円柱形状の空所からなる弁座を有する弁本体と、
前記弁本体に装着されて前記第1及び第2の弁口をそれぞれ形成する第1及び第2の弁口形成部材と、
前記弁本体の弁座内に回転自在に配置され、前記第1の弁口を閉状態から開状態に切り替えると同時に前記第2の弁口を開状態から閉状態に切り替える開口部が形成された円筒形状の弁体と、
前記弁体と前記弁座の間隙から漏れた前記流体の圧力を前記第1及び第2の弁口形成部材に作用させ、前記弁体が前記第1及び第2の弁口を開閉する際に前記弁体の位置が変動するのを抑制する圧力作用部と、
前記弁体を回転駆動する駆動手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の温度制御装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1の供給手段から供給する低温側流体及び第2の供給手段から供給する高温側流体の混合比と、第1の供給手段に帰還する低温側流体及び第2の供給手段に帰還する高温側流体の分配比を独立して制御し得ない構成に比較して、低温側流体と高温側流体の混合比を高い精度で制御することができ、温度制御対象の制御温度を複数段階にわたり制御することが可能な温度制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1に係る温度制御装置としての恒温維持装置(チラー装置)を示す概略構成図である。
図2】プラズマ処理装置を示す断面構成図である。
図3】チラー装置の制御温度を示すグラフである。
図4】本発明の実施の形態1に係る温度制御装置としての恒温維持装置(チラー装置)の動作を示す概略構成図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る温度制御装置としての恒温維持装置(チラー装置)の動作を示す概略構成図である。
図6】3次元NAND型のフラッシュメモリを示す概略構成図である。
図7】半導体ウエハのエッチング工程を示す模式図である。
図8】本発明の実施の形態1に係る温度制御装置としての恒温維持装置(チラー装置)を示す配管構成図である。
図9】本発明の実施の形態1に係る流量制御用三方弁の一例としての三方弁型モータバルブを示す外観斜視図である。
図10】本発明の実施の形態1に係る流量制御用三方弁の一例としての三方弁型モータバルブを示す正面図、同右側面図、アクチュエータ部の底面図及び要部左側面図である。
図11】本発明の実施の形態1に係る流量制御用三方弁の一例としての三方弁型モータバルブを示す図10(a)のA-A線断面図である。
図12】本発明の実施の形態1に係る流量制御用三方弁の一例としての三方弁型モータバルブを示す図10(b)のB-B線断面図である。
図13】バルブ本体の縦断面図である。
図14】バルブ本体を示す断面構成図である。
図15】本発明の実施の形態1に係る流量制御用三方弁の一例としての三方弁型モータバルブを示す要部の断面斜視図である。
図16】本発明の実施の形態1に係る流量制御用三方弁の一例としての三方弁型モータバルブを示す要部の分解斜視図である。
図17】バルブシートを示す構成図である。
図18】バルブシートと弁軸との関係を示す構成図である。
図19】ウェーブワッシャーを示す構成図である。
図20】調整リングを示す斜視構成図である。
図21】弁軸の動作を示す構成図である。
図22】弁軸を示す構成図である。
図23】弁軸を示す構成図である。
図24】弁軸を示す構成図である。
図25】本発明の実施の形態1に係る流量制御用三方弁の一例としての三方弁型モータバルブの動作を示す断面構成図である。
図26】本発明の実施の形態1に係る流量制御用三方弁の一例としての三方弁型モータバルブの動作特性を示すグラフである。
図27】本発明の実施の形態1に係る温度制御装置としての恒温維持装置(チラー装置)の動作を示す配管構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
[実施の形態1]
<チラー装置の概略構成>
図1は本発明の実施の形態1に係る温度制御装置の一例としての複数段階の温度制御を可能とする恒温維持装置(チラー装置)を示す概略構成図である。
【0016】
このチラー装置100は、例えば、後述するようにプラズマエッチング処理などを伴う半導体製造装置に使用され、温度制御対象(ワーク)Wの一例としての半導体ウエハ等の温度を複数段階にわたり一定温度に維持するように制御するものである。
【0017】
チラー装置100は、図1に示すように、低温側の予め定められた一定の温度に調整された低温側流体を供給する第1の供給手段の一例としての低温側流体供給部101と、高温側の予め定められた一定の温度に調整された高温側流体を供給する第2の供給手段の一例としての高温側流体供給部102とを備える。低温側流体供給部101から供給される低温側流体と、高温側流体供給部102から供給される高温側流体は、第1の流量制御用三方弁103を介して混合比が調整された状態で混合され、供給配管104によって温度制御用流体として温度制御対象(ワーク)Wを保持する静電チャック(ESC : Electro Static Chuck)等からなる温度制御手段の一例としての温調対象装置105に送られる。
【0018】
温調対象装置105は、低温側流体と高温側流体が所要の混合比で混合されて所要の温度に調整された温度制御用流体が流れる温度制御用流路106(図2参照)を内部に有している。温度制御用流路106の流出側には、温度制御用流路106を流通した温度制御用流体を還流配管107を介して低温側流体供給部101と高温側流体供給部102とに所要の比率(分配比)で分配する第2の流量制御用三方弁108を備えている。
【0019】
低温側流体供給部101は、当該低温側流体供給部101から低温側の混合配管109を介して第1の流量制御用三方弁103へ供給される低温側流体のうち、第1の流量制御用三方弁103へ供給されない低温側流体を低温側流体供給部101に還流する第1のバイパス配管110を備えている。低温側流体供給部101の還流側には、温度制御用流路106を流通して第2の流量制御用三方弁108により低温側の分配配管111を介して低温側流体供給部101へ分配される温度制御用流体と、低温側流体供給部101から第1の流量制御用三方弁103へ供給されず第1のバイパス配管110を介して低温側流体供給部101に還流する低温側流体との流量を制御する第3の流量制御用三方弁112が設けられている。
【0020】
一方、高温側流体供給部102は、当該高温側流体供給部102から高温側の混合配管113を介して第1の流量制御用三方弁103へ供給される低温側流体のうち、第1の流量制御用三方弁103へ供給されない高温側流体を高温側流体供給部102に還流する第2のバイパス配管114を備えている。高温側流体供給部102の還流側には、温度制御用流路106を流通して第2の流量制御用三方弁108により高温側の分配配管115を介して高温側流体供給部102へ分配される温度制御用流体と、高温側流体供給部102から第1の流量制御用三方弁103へ供給されず第2のバイパス配管114を介して高温側流体供給部102に還流する高温側流体との流量を制御する第4の流量制御用三方弁116が設けられている。なお、低温側流体及び高温側流体としては、同一の熱媒体(以下、「ブライン」という。)が用いられる。
【0021】
低温側流体供給部101は、図1に示すように、ブラインを低温側の予め定められた一定の温度に調整する冷却側のブライン温調回路117を備えている。冷却側のブライン温調回路117には、低温側の循環配管118を介して蒸発器119の二次側が接続されている。蒸発器119の一次側には、当該蒸発器119の二次側を流れるブラインを所要の温度に冷却する冷凍機回路120が接続されている。冷凍機回路120は、凝縮器121によって凝縮された熱媒体を膨張させて蒸発器119の一次側に送ることで蒸発器119の二次側を流れるブラインを所要の温度に冷却する。また、冷凍機回路120を流れるブラインは、凝縮器121によって凝縮される。凝縮器121には、冷却水配管122を介して外部冷却水123が供給される。
【0022】
また、高温側流体供給部102は、ブラインを高温側の予め定められた一定の温度に調整する加温側のブライン温調回路124を備えている。加温側のブライン温調回路124には、高温側の循環配管125を介して熱交換器126が接続されている。加温側のブライン温調回路124と熱交換器126との間には、加温側のブライン温調回路124から熱交換器126へと流れる熱媒体を加温側のブライン温調回路124へとバイパスさせる第3のバイパス配管127が接続されている。また、第3のバイパス配管127の流入側には、熱交換器126に供給する温度制御用流体の流量と、熱交換器126をバイパスして加温側のブライン温調回路124に還流させる温度制御用流体の流量とを制御する第5の流量制御用三方弁128が介在されている。熱交換器126には、冷却水配管122を介して外部冷却水123が供給される。熱交換器126は、ブラインを冷却する。第5の流量制御用三方弁128は、例えば、高温側の循環配管125を流れる高温側流体の温度が予め定められた閾値以下の場合に、当該高温側の循環配管125を流れる高温側流体の一部又は全部を加温側のブライン温調回路124に直接還流させるように開度を調節する。
【0023】
<チラー装置の基本的な動作>
チラー装置100は、基本的に次のように動作する。
【0024】
チラー装置100は、図3に示すように、例えば、温調対象装置105に供給する温度制御用流体の温度を20℃、30℃、40℃、80℃というように複数段階にわたりステップ状に変化するよう制御する。ここで、低温側流体供給部101が供給する低温側流体の温度は、例えば、複数段階の制御温度のうち最も温度が低い約20℃に等しい温度に設定される。また、高温側流体供給部102が供給する高温側流体の温度は、例えば、複数段階の制御温度のうち最も温度が高い約80℃に等しい温度に設定される。但し、本実施の形態では、低温側流体及び高温側流体の温度が複数段階の制御温度のうち最も低い温度及び最も高い温度に限定されるものではなく、複数段階の制御温度のうち最も低い温度及び最も高い温度より低い温度など、任意の温度に設定しても良いことは勿論である。
【0025】
チラー装置100は、図4に示すように、複数段階の制御温度のうち最も低い温度である20℃に制御する場合、第1の流量制御用三方弁103に高温側の混合配管113を介して流入する高温側流体を遮断して高温側流体の流量をゼロにするとともに、第1の流量制御用三方弁103に低温側の混合配管109を介して流入する低温側流体を開放して低温側流体の流量を100%とする。また、チラー装置100は、第2の流量制御用三方弁108から高温側流体供給部102へ高温側の分配配管115を介して分配する高温側流体を遮断して高温側流体への分配量をゼロにするとともに、第2の流量制御用三方弁108から低温側流体供給部101へ低温側の分配配管111を介して分配する低温側流体を開放して低温側流体の分配量を100%とする。これに伴い、チラー装置100は、第4の流量制御用三方弁116によって高温側流体供給部102へ第2のバイパス配管114を介して還流する高温側流体を開放して高温側流体供給部102から供給される高温側流体のすべてを高温側流体供給部102へ還流させる。また、チラー装置100は、第3の流量制御用三方弁112によって低温側流体供給部101へ第1のバイパス配管110を介して還流する低温側流体を遮断して低温側流体供給部101から供給される低温側流体のすべてを第1の流量制御用三方弁103へ供給する。
【0026】
その結果、温調対象装置105の温度制御用流路106には、低温側流体供給部101から温度20℃に調整された温度制御用流体が供給され、温調対象装置105の温度は、低温側流体のみからなる温度制御用流体の温度である20℃に制御される。
【0027】
また、チラー装置100は、図5に示すように、複数段階の制御温度のうち最も高い温度である80℃に制御する場合、第1の流量制御用三方弁103に高温側の混合配管113を介して流入する高温側流体を開放して高温側流体の流量を100%にするとともに、第1の流量制御用三方弁103に低温側の混合配管109を介して流入する低温側流体を遮断して低温側流体の流量をゼロとする。また、チラー装置100は、第2の流量制御用三方弁108から高温側流体供給部102へ高温側の分配配管115を介して分配する高温側流体を開放して高温側流体への分配量を100%にするとともに、第2の流量制御用三方弁108から低温側流体供給部101へ低温側の分配配管111を介して分配する低温側流体を遮断して低温側流体への分配量をゼロとする。これに伴い、チラー装置100は、第4の流量制御用三方弁116によって高温側流体供給部102へ第2のバイパス配管114を介して還流する高温側流体を遮断して高温側流体供給部102から供給される高温側流体のすべてを第1の流量制御用三方弁103へ供給する。また、チラー装置100は、第3の流量制御用三方弁112によって低温側流体供給部101へ第1のバイパス配管110を介して還流する低温側流体を開放して低温側流体供給部101から供給される低温側流体のすべてを低温側流体供給部101へと還流させる。
【0028】
その結果、温調対象装置105の温度制御用流路106には、高温側流体供給部102から温度80℃に調整された温度制御用流体が供給され、温調対象装置105の温度は、高温側流体のみからなる温度制御用流体の温度である80℃に制御される。
【0029】
さらに、チラー装置100は、図1に示すように、複数段階の制御温度のうち中間温度である30℃又は40℃に制御する場合、温調対象装置105の目標とする中間温度に応じて第1の流量制御用三方弁103の開度を調節し、低温側流体供給部101から低温側の混合配管109を介して供給される低温側流体と高温側流体供給部102から高温側の混合配管113を介して供給される高温側流体との混合比を所要の値に制御する。チラー装置100からは、第1の流量制御用三方弁103の開度に応じて混合された低温側流体及び高温側流体からなる温度制御用流体が温調対象装置105の温度制御用流路106に供給される。また、チラー装置100は、第2の流量制御用三方弁108の開度を調節し、第1の流量制御用三方弁103で混合される低温側流体と高温側流体との混合比に応じて、低温側流体供給部101と高温側流体供給部102に分配する低温側流体と高温側流体との分配比を制御する。
【0030】
第2の流量制御用三方弁108は、例えば、第1の流量制御用三方弁103における低温側流体と高温側流体との混合比が4:6である場合、低温側流体と高温側流体との分配比が同じ4:6となるように開度を制御して温度制御用流体を低温側流体供給部101と高温側流体供給部102に分配する。
【0031】
これに伴い、チラー装置100は、第4の流量制御用三方弁116によって高温側流体供給部102へ第2のバイパス配管114を介して還流する高温側流体の流量を制御して高温側流体供給部102から第1の流量制御用三方弁103へ供給する高温側流体の残りを高温側流体供給部102へ還流させる。同様に、チラー装置100は、第3の流量制御用三方弁112によって低温側流体供給部101へ第1のバイパス配管110を介して還流する低温側流体の流量を制御して低温側流体供給部101から第1の流量制御用三方弁103へ供給する低温側流体の残りを低温側流体供給部101へと還流させる。
【0032】
上記の例では、第4の流量制御用三方弁116は、例えば、第1の流量制御用三方弁103における低温側流体と高温側流体との混合比が4:6である場合、高温側流体供給部102へ第2のバイパス配管114を介して還流する高温側流体と、第2の流量制御用三方弁108によって高温側流体供給部102へ分配される温度制御用流体の割合(流量比)を4:6に制御する。
【0033】
同様に、上記の例では、第3の流量制御用三方弁112は、例えば、第1の流量制御用三方弁103における低温側流体と高温側流体との混合比が4:6である場合、低温側流体供給部101へ第1のバイパス配管110を介して還流する低温側流体と、第2の流量制御用三方弁108によって低温側流体供給部101へ分配される温度制御用流体の割合(流量比)を6:4に制御する。
【0034】
その結果、温調対象装置105の温度制御用流路106には、低温側流体供給部101から供給される低温側流体と、高温側流体供給部102から供給される高温側流体が第1の流量制御用三方弁103の開度に応じて混合された温度制御用流体が供給され、温調対象装置105は、低温側流体と高温側流体の混合比に応じて決定される温度制御用流体の温度と等しい温度に制御される。
【0035】
このように、チラー装置100は、低温側流体供給部101から供給される低温側流体と高温側流体供給部102から供給される高温側流体との混合比を第1の流量制御用三方弁103によって制御することで混合流体である温度制御用流体の温度を調整し、当該温度制御用流体が流れる温度制御用流路106を備えた温調対象装置105の温度を、温調対象装置105に流れる温度制御用流体の温度である所要の温度範囲(例えば、+20℃~+80℃)にわたり制御することができる。なお、温調対象装置105の温度は、+20℃~+80℃に限定されるものではなく、所要の温度範囲(例えば、-20℃~+120℃)にわたり制御するように構成しても良い。
【0036】
低温側流体供給部101は、例えば、-20℃に設定された低温側流体を流量30L/min及び圧力0.8MPaで供給するように構成される。また、高温側流体供給部102は、例えば、+120℃に設定された高温側流体を流量30L/min及び圧力0.8MPaで供給するように構成される。低温側流体及び高温側流体は、上述したように同一の流体である。低温側流体及び高温側流体として使用される熱媒体(ブライン)としては、例えば、-30~+120℃程度の温度範囲において使用可能なフロリナート(スリーエム社:登録商標)などのフッ素系不活性液体、エチレングリコール等の流体が挙げられる。ただし、温度範囲が+20~+80℃程度であれば、低温側流体としては、0~1MPaの圧力において0~30℃程度の温度に調整された水(純水など)、及び高温側流体としては、50~80℃程度の温度に調整された水(純水)なども好適に使用することができる。
【0037】
<プラズマ処理装置の構成>
チラー装置100が適用される半導体製造装置としては、プラズマ処理を伴うプラズマ処理装置200を挙げることができる。
【0038】
プラズマ処理装置200は、図2に示すように、真空容器(チャンバ)201を備えている。真空容器(チャンバ)201の内部には、温度制御対象である半導体ウエハWを静電的に吸着した状態で保持する温度制御手段の一例としての静電チャック129(ESC : Electro Static Chuck)を備えている。静電チャック129の内部には、チラー装置100からの温度制御用流体が流れる温度制御用流路106が設けられている。また、プラズマ処理装置200は、静電チャック129と兼用され、蓋部に結合された下部電極(カソード電極)202と、当該下部電極202に対向して配置されると共に、蓋部を一体的に有する上部電極(アノード電極)203とを備えている。
【0039】
また、真空容器201には、エッチング用の活性ガス(反応性ガス)を導入するためのガス吸入口201aが開口されている。上部電極203は、外方に延びた蓋部を介して接地電位(GND)に接続されている。また、下部電極202は、外方に延びた蓋部を介して高周波(RF)発振器204及びブロッキングコンデンサ205に接続されている。高周波(RF)発振器204の一端は、接地電位(GND)に接続されている。さらに、真空容器201には、ガス吸入口201aと対向する壁に設けられた窓部の外側に、エッチング用のプラズマを生成させてプラズマ処理によるエッチングが行われるときの発光状態を監視する発光検出器206が設けられている。
【0040】
因みに、プラズマ処理により活性ガスが電離された状態では、活性ガスのプラスイオンがカソード電極としての下部電極202側に位置する温度制御対象Wへ引き寄せられてエッチングに供される。プラズマ処理により活性ガスが電離されて発生する電子は、多様な振る舞いをする。電子は、温度制御対象Wへ向かうものの他、上部電極203を通して接地電位へ流れるものや、相当部分が下部電極202を通してブロッキングコンデンサ205に蓄えられる。
【0041】
チラー装置100によって温度が制御される温度制御対象Wとしては、例えば、半導体素子やフラットパネルデイスプレイ(FPD)、あるいは太陽電池などが挙げられる。本実施の形態では、温度制御対象Wとして3次元NAND型のフラッシュメモリに用いられる半導体ウエハが挙げられる。3次元NAND型のフラッシュメモリ300は、図6に示すように、Si基板301上に交互に複数積層されたSiO層302とPoly-Si層303を有している。SiO層302とPoly-Si層303の積層数は、例えば、24層に設定されるが、これより多くても少なくても良いことは勿論である。平板状のPoly-Si層303はNV-MOSのコントロール電極となり、SiO層302はその間に位置する絶縁層となる。複数積層されたSiO層302とPoly-Si層303の積層膜には、最上層から最下層までにわたり貫通するホール(Hole =孔)304がエッチング処理により形成される。ホール304の開口寸法は、例えば、直径50nm程度或いはそれ以下に設定される。ホール304の開口寸法と深さとの比(アスペクト比)は、50~100程度、あるいはそれ以上の値となる。ホール304の内部には、図6(b)に示すように、SONOS構造305が形成される。SONOS構造305は、外周から同心円状に配置されたSiO層306とSiN層307とSiO層308とPoly-Si層309と中心に位置するSiO層310とから構成されている。SONOS構造305を構成するSiN層307は、当該SONOS構造305の電荷をトラップする層となる。SiO 層306は、トンネル効果による電流が流れるように10nm以下の薄膜や、コントロール・ゲートからの電界を強めるため極めて薄い膜で構成される。図の縦方向のPoly-Si層309が、MOSのチャンネルになる部分で、通常の平面MOSとは異なりホール304の中で縦方向に配置されており、V-Channel(縦チャンネル)と呼ばれる。また、コントロール電極からの導通を上面に取り出すため、チップ端に階段状にエッチング処理が施されて電極が取り出される。
【0042】
ホール304を形成するエッチング処理は、SiO層302とPoly-Si層303の積層数が24層である場合、ホール304の深さが2400nm程度であり、ホール304の直径を50nmとすると、アスペクト比は48(=2400/50)となる。このように、ホール304を形成するエッチング処理は、SiO層302とPoly-Si層303を積層した物質のエッチング処理となる。直径300mm程度の半導体ウエハWの全面にわたってエッチングガス(プラズマの荷電粒子)を垂直に入射させる必要がある。
【0043】
しかしながら、ホール304を形成するエッチング処理は、図7に示すように、表面に所定形状の開口部を有するマスク(レジスト部)320を形成して行われる。その際、エッチングを行うイオンがマスク(レジスト部)320の開口部の側面で反射され、深さ方向ではなくホール304の側面をエッチングすることにより、ホール304の開口幅が樽状に広がる「ボーイング」321と呼ばれる障害などが発生することが知られている。
【0044】
このような「ボーイング」321と呼ばれるエッチング障害を防止乃至抑制するためには、エッチング処理の進行に応じて半導体ウエハWの温度を上昇させることで、マスク(レジスト部)320の開口部側面における炭素(C)の付着率を低減することが有効とされている。そのため、プラズマ処理装置200では、半導体ウエハWの温度を制御することが重要となる。
【0045】
なお、図6中、符号311はストリング選択線、312はビット線、313はコンタクト線、314はインターコネクト線をそれぞれ示している。
【0046】
そこで、アスペクト比が高いホール304を均一にエッチングし、3次元NAND型のフラッシュメモリ300を製造する上で歩留まりを向上させるためには、図3に示すように、到達したエッチング工程に応じてプラズマ処理装置200の温度制御対象Wの温度を例えば20℃、30℃、40℃、80℃というように複数段階にわたりステップ状に制御する必要性が生じる。
【0047】
また、チラー装置100は、複数段階にわたり半導体ウエハWの温度を精度良く制御することが可能であるのみならず、目標温度に達するまでの遷移時間も各エッチング工程におけるステップ時間を満たすことが望ましい。各エッチング工程におけるステップ時間は、エッチング工程の内容やプラズマ処理装置200の処理能力にも依存するが、1ステップあたり200~300秒、望ましくは20℃と80℃との間を複数のステップにわたり1ステップあたり100秒(0.6℃/秒)程度の遷移時間で移行することが望ましい。
【0048】
<チラー装置の具体的な構成>
図8は本実施の形態1に係る恒温維持装置(チラー装置)を具体的に示す配管構成図である。
【0049】
このチラー装置100は、上述したように、例えばプラズマ処理装置200(図2参照)の静電チャック129に保持される温度制御対象(ワーク)Wを所要の温度に制御するために使用される。チラー装置100は、図8に示すように、冷却側のブライン温調回路117として、蒸発器119の二次側を低温側の循環配管118を介して流れるブラインを所要の温度に加熱する第1の加熱手段としての第1のヒータ130を備えている。低温側流体供給部101の蒸発器119では、当該低温側流体供給部101に還流された温度制御用流体が、本来の低温側流体の設定温度(例えば、+20℃)より低い温度(例えば、+10~15℃程度)に冷却される。第1のヒータ130としては、例えば、電気ヒータ等の加熱手段により蒸発器119で本来の低温側流体の設定温度(例えば、+20℃)より低い温度に冷却された温度制御用流体を、本来の低温側流体の設定温度に加熱するものが用いられる。第1のヒータ130は、冷却側のブライン温調回路117及び加温側のブライン温調回路124に共通に設けられた共通タンク131に接続されている。共通タンク131からは、必要に応じて第1のヒータ130にブラインが供給される。
【0050】
第1のヒータ130のブラインの流通方向における下流側には、低温側流体を温調対象装置105へと供給する第1のポンプ132が接続されている。第1のポンプ132は、図示しない制御装置によって第1の流量センサ133で検出された低温側流体の流量に基づいて図示しないインバータ回路により低温側流体の吐出量を制御する。第1のポンプ132は、例えば、低温側流体の吐出量が一定となるように制御される。また、第1の流量センサ133で検出された低温側流体の流量に基づいて、必要に応じて図示しない制御装置により第3の流量制御用三方弁112の開度が制御される。
【0051】
第1のポンプ132のブラインの流通方向における下流側には、第1の流量計133を介して第1の貯蔵手段の一例としての第1の貯蔵タンク134が接続されている。第1の貯蔵タンク134は、温調対象装置105へと供給する所要の温度に調整された低温側流体を一定量貯蔵する。第1の貯蔵タンク134の下流側には、第1のバイパス配管110の供給側の分岐部に第1の流量制御用三方弁103に供給する低温側流体の温度を検出する第1の温度検出手段の一例としての第1の温度センサ135が接続されている。また、低温側流体供給部101の還流側の入口には、第3の流量制御用三方弁112を介して低温側流体供給部101に還流する温度制御用流体の温度を検出する第1の温度検出手段の一例としての第2の温度センサ136が接続されている。第2の温度センサ136の検出値に基づいて第1のヒータ130による低温側流体の加熱量などが図示しない制御装置によって制御される。
【0052】
チラー装置100は、加温側のブライン温調回路124として、第2の冷却手段の一例としての蒸発器126の二次側により冷却されたブラインを所要の温度に補助的に加熱する第2の加熱手段としての第2のヒータ137を備えている。高温側流体供給部102の蒸発器126は、高温側流体供給部102に還流された温度制御用流体の温度を、本来の設定温度(例えば、+80℃)より低い温度(例えば、+70℃程度)に冷却して調整する。第2のヒータ137としては、例えば、電気ヒータ等の加熱手段により温度制御用流体を所要の高温側流体の温度に補助的に加熱するものが用いられる。第2のヒータ137は、共通タンク131に接続されている。共通タンク131からは、必要に応じて第2のヒータ137にブラインが供給される。
【0053】
第2のヒータ137のブラインの流通方向における下流側には、高温側流体を温調対象装置105へと供給する第2のポンプ138が接続されている。第2のポンプ138は、図示しない制御装置によって第2の流量センサ139で検出された高温側流体の流量に基づいて図示しないインバータ回路により高温側流体の吐出量を制御する。第2のポンプ139は、例えば、高温側流体の吐出量が一定となるように制御される。また、第2の流量センサ139で検出された高温側流体の流量に基づいて、図示しない制御装置によって第4の流量制御用三方弁116の開度が制御される。
【0054】
第2のポンプ138のブラインの流通方向における下流側には、第2の流量計139を介して第2の貯蔵手段の一例である第2の貯蔵タンク140が接続されている。第2の貯蔵タンク140は、温調対象装置105へと供給する所要の温度に調整された高温側流体を一定量貯蔵する。第2の貯蔵タンク140のブラインの流通方向における下流側には、第2のバイパス配管114の供給側の分岐部に高温側流体の温度を検出する第3の温度検出手段の一例である第3の温度センサ141が接続されている。また、高温側流体供給部102の還流側の入口には、第4の流量制御用三方弁116を介して還流する温度制御用流体の温度を検出する第4の温度検出手段の一例である第4の温度センサ142が接続されている。第4の温度センサ142の検出値に基づいて第2のヒータ137による高温側流体の加熱量などが図示しない制御装置によって制御される。
【0055】
<第1乃至第5の流量制御用三方弁の構成>
チラー装置100は、上述したように、第1乃至第5の流量制御用三方弁103,108,112,116,128を備えている。第1乃至第5の流量制御用三方弁103,108,112,116,128は、配置に応じて流入口と流出口の関係が逆の関係になるなど異なる以外、基本的に同様に構成されている。ここでは、混合手段としての第1の流量制御用三方弁103として用いられる三方弁型モータバルブについて代表して説明する。
【0056】
図9は第1の流量制御用三方弁の一例としての三方弁型モータバルブを示す外観斜視図、図10(a)(b)(c)(d)は正面図、同右側面図、アクチュエータ部の底面図及びバルブ部の正面図、図11図10(a)のA-A線断面図、図12図10(a)のB-B線断面図、図13はバルブ部の縦断面図、図14は三方弁型モータバルブのバルブ本体を示す断面図、図15は三方弁型モータバルブの要部を示す断面斜視図、図16は三方弁型モータバルブの要部を示す分解斜視図である。
【0057】
三方弁型モータバルブ1は、回転型3方向弁として構成されている。三方弁型モータバルブ1は、図9に示すように、大別して、下部に配置されたバルブ部2と、上部に配置されたアクチュエータ部3と、バルブ部2とアクチュエータ部3の間に配置されたシール部4及びカップリング部5とから構成されている。
【0058】
バルブ部2は、図10乃至図16に示すように、SUS等の金属により略直方体状に形成されたバルブ本体6を備えている。バルブ本体6には、図11及び図12に示すように、その一方の側面(図示例では、左側面)に低温側流体などを構成する流体が流入する第1の流入口7と、円柱形状の空所からなる弁座8に連通した断面矩形状の第1の弁口9がそれぞれ設けられている。
【0059】
本実施の形態では、第1の流入口7及び第1の弁口9をバルブ本体6に直接設けるのではなく、第1の弁口9を形成した第1の弁口形成部材の一例である第1のバルブシート70と、第1の流入口7を形成する第1の流路形成部材15とをバルブ本体6に装着することにより、第1の流入口7及び第1の弁口9を設けている。
【0060】
第1のバルブシート70は、図17に示すように、バルブ本体6の内側に配置される角筒形状に形成された角筒部71と、バルブ本体6の外側に配置される円筒形状に形成された円筒部72と、角筒部71と円筒部72の間に円筒部82側へ向けて外径が大きくなるように配置されたテーパー部73とを一体的に備えている。第1のバルブシート70の角筒部71の内部には、矩形状(本実施の形態では、正方形状)の断面を有する角柱形状の第1の弁口9が形成されている。また、第1のバルブシート70の円筒部72の内部には、第1の流入口7を形成する第1の流路形成部材15の一端部が密封された状態で挿入されるように構成されている。第1のバルブシート70の円筒部72と第1の流路形成部材15との間は、図12に示すように、Oリング15aによって密封されている。第1のバルブシート70の円筒部72の内周面には、図17に示すように、Oリング15aを収容する凹溝75が設けられている。
【0061】
第1のバルブシート70の材料としては、例えば、所謂"スーパーエンジニアリングプラスチック"が用いられる。スーパーエンジニアリングプラスチックは、通常のエンジニアリングプラスチックを上回る耐熱性や高温時の機械的強度を有するものである。スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、あるいはこれらの複合材料などが挙げられる。なお、第1のバルブシート70の材料としては、例えば、エンズィンガージャパン株式会社製の切削加工用PEEK樹脂素材である「TECAPEEK」(登録商標)、特に10%PTFEを配合して摺動性に優れた「TECAPEEK TF 10 blue」(商品名)などが好適に使用される。
【0062】
バルブ本体6には、図14及び図15に示されるように、第1のバルブシート70の外形状に対応し当該バルブシート70と相似形状の凹所76が切削加工等により形成されている。凹所76は、第1のバルブシート70の角筒部71に対応した角筒部76aと、円筒部72に対応した円筒部76bと、テーパー部73に対応したテーパー部76cとを備えている。バルブ本体6の円筒部76bは、第1のバルブシート70の円筒部72より長さが長く設定されている。バルブ本体6の円筒部76bは、後述するように、第1の圧力作用部94を形成している。第1のバルブシート70は、バルブ本体6の凹所76に対して弁体としての弁軸34に接離する方向に微小な距離ではあるが移動自在に装着される。
【0063】
第1のバルブシート70は、バルブ本体6の凹所76に装着された状態で、第1のバルブシート70の外周面とバルブ本体6の凹所76の内周面との間には、微小な間隙が形成されている。弁座8の内部に流入した流体は、第1のバルブシート70の外周の領域に微小な間隙を介して漏れて流入可能となっている。また、第1のバルブシート70の外周の領域へと漏れた流体は、当該第1のバルブシート70の円筒部72の外側に位置する空間からなる第1の圧力作用部94へと導入される。この第1の圧力作用部94は、流体の圧力を第1のバルブシート70の弁軸34と反対側の面70aに作用させるものである。弁座8の内部に流入する流体は、第1の弁口9を介して流入する流体の他、後述するように、第2の弁口18を介して流入する流体である。第1の圧力作用部94は、第1の流入口7との間が第1の流路形成部材15によって密封された状態で区画されている。
【0064】
弁座8の内部に配置された弁軸34に作用する流体の圧力は、弁軸34の開閉度による流体の流量に依存する。弁座8の内部に流入する流体は、第1の弁口9と第2の弁口18を介して弁座8と弁軸34の外周面との間に形成される微小な間隙にも流れ込む(漏れ入る)。したがって、第1のバルブシート70に対応した第1の圧力作用部94には、第1の弁口9から流入する流体以外に、弁座8と弁軸34の外周面との間に形成される微小な間隙に流れ込んだ第2の弁口18から流入する流体も流れ込む(漏れ入る)。
【0065】
また、第1のバルブシート70のテーパー部73と凹所76のテーパー部76cとの間には、図11図12及び図15に示すように、微小な間隙が形成されている。その結果、バルブ本体6の凹所76は、第1のバルブシート70を装着した状態で、テーパー部73と凹所76のテーパー部76cとの間の微小な間隙に対応した距離だけ、当該バルブシート70がバルブ本体6の内外方向に沿って数100μm~数mm程度にわたり移動(変位)自在であり、バルブシート70の装着位置が調整可能となっている。
【0066】
第1のバルブシート70の角筒部71の先端には、図17(b)に示すように、バルブ本体6に形成された円柱形状の弁座8に対応した円柱形状の曲面の一部を成す平面円弧形状の間隙縮小部の一例としての凹部74が設けられている。凹部74の曲率半径Rは、弁座8の曲率半径又は弁軸34の曲率半径と略等しい値に設定される。バルブ本体6の弁座8は、後述するように、当該弁座8の内部で回転する弁軸34の齧りを防止するため、弁軸34の外周面との間に僅かな間隙を形成している。第1のバルブシート70の凹部74は、図18に示すように、当該第1のバルブシート70をバルブ本体6に装着した状態でバルブ本体6の弁座8の内周面より弁軸34側に突出するように装着されるか、又は弁軸34の外周面に接触するように装着される。その結果、弁軸34と当該弁軸34と対向する部材としてのバルブ本体6の弁座8の内周面との間隙Gは、第1のバルブシート70の凹部74が突出した分だけ弁座8の他の部分に比較して部分的に縮小された値に設定される。このように、第1のバルブシート70の凹部74と弁軸34との間隙G1は、弁軸34と弁座8の内周面との間隙G2より狭い(小さい)所要の値(G1<G2)に設定されている。なお、第1のバルブシート70の凹部74と弁軸34との間隙G1は、バルブシート70の凹部74が弁軸34に接触した状態、つまり間隙無しの状態(間隙G1=0)であっても良い。
【0067】
ただし、第1のバルブシート70の凹部74が弁軸34に接触する場合には、弁軸34を回転駆動する際に凹部74の接触抵抗によって弁軸34の駆動トルクが上昇する虞れがある。そのため、第1のバルブシート70の凹部74が弁軸34に接触する程度は、弁軸34の回転トルクを考慮して調整される。すなわち、弁軸34の駆動トルクが増加しないか、増加してもその増加量が小さく、弁軸34の回転に支障がない程度に調整される。
【0068】
第1の流路形成部材15は、図16に示すように、SUS等の金属によって比較的薄肉の円筒形状に形成されている。第1の流路形成部材15は、第1のバルブシート70の位置変動にかかわらず、第1の弁口9に連通した第1の流入口7を内部に形成している。
【0069】
第1のバルブシート70の円筒部72の軸方向に沿った外側には、当該第1のバルブシート70が弁軸34に対して接離する方向に変位するのを許容しつつ、当該第1のバルブシート70を弁軸34に対して接離する方向に移動するのを許容する弾性部材の一例としての第1のウェーブワッシャー(波状ワッシャー)16が設けられている。第1のウェーブワッシャー16は、図19に示すように、ステンレスや鉄、あるいは燐青銅などからなり、正面に投影した形状が所要の幅を有する円環状に形成されている。また、第1のウェーブワッシャー16は、側面形状がウェーブ状(波状)に形成されており、その厚さ方向に沿って弾性変形が可能となっている。第1のウェーブワッシャー16の弾性率は、厚さや材質、あるいは波の数等によって決定される。第1のウェーブワッシャー16は、第1の圧力作用部94に収容されている。
【0070】
さらに、第1のウェーブワッシャー16の外側には、当該第1のウェーブワッシャー16を介して弁軸34と第1のバルブシート70の凹部74との間隙G1を調整する調整部材の一例としての第1の調整リング77が配置される。第1の調整リング77は、図20に示すように、耐熱性を有する合成樹脂又は金属によって外周面に雄ネジ77aが形成された相対的に長さが短く設定された円筒形状の部材からなる。第1の調整リング77の外側の端面には、当該第1の調整リング77をバルブ本体6に設けられた雌ネジ部78に締め付けて装着する際に、締付量を調整するための図示しない治具を係止して当該第1の調整リング77を回転させるための凹溝77bが180度対向する位置にそれぞれ設けられている。
【0071】
バルブ本体6には、図14に示すように、第1の調整リング77を装着するための第1の雌ネジ部78が設けられている。バルブ本体6の開口端部には、外周に向けて直径が拡大するようにテーパー部79が設けられている。テーパー部79には、Oリング79aが介在される。
【0072】
第1の調整リング77は、バルブ本体6の雌ネジ部78に対する締め込み量を調整することにより、当該第1の調整リング77が第1のウェーブワッシャー16を介して第1のバルブシート70を内側に向けて押動する量(距離)を調整するものである。第1の調整リング70の締め込み量を増加させると、第1のバルブシート70は、図18に示すように、第1の調整リング77によって第1のウェーブワッシャー16を介して押され、凹部74が弁座8の内周面から突出して弁軸34に近接する方向に変位し、当該凹部74と弁軸34との間隙G1が減少する。また、第1の調整リング77の締め込み量を予め少ない量に設定すると、第1のバルブシート70は、第1の調整リング77によって押動される距離が減少し、弁軸34から離間した位置に配置され、第1のバルブシート70の凹部74と弁軸34との間隙G1が相対的に増大する。第1の調整リング77の雄ネジ77a及びバルブ本体6の雌ネジ部78は、そのピッチが小さく設定されており、第1のバルブシート70の突出量を微調整可能に構成されている。
【0073】
また、バルブ本体6の一側面には、図11及び図12に示すように、流体を流入させる図示しない配管等を接続するため接続部材の一例としての第1のフランジ部材10が4本の六角穴付きボルト11により取り付けられている。図16中、符号11aは、六角穴付きボルト11が締結されるネジ孔を示している。第1のフランジ部材10は、バルブ本体6と同様にSUS等の金属により形成される。第1のフランジ部材10は、バルブ本体6の側面形状と略同一の側面矩形状に形成されたフランジ部12と、フランジ部12の内側面に円筒形状に突設された挿入部13(図11参照)と、フランジ部12の外側面に厚肉の略円筒形状に突設され、図示しない配管が接続される配管接続部14とを有している。第1のフランジ部材10の挿入部13と第1の流路形成部材15との間は、図12に示すように、Oリング13aによって密封されている。第1のフランジ部材10の挿入部13の内周面には、Oリング13aを収容する凹溝13bが設けられている。配管接続部14の内周は、例えば、その口径が直径約21mmのテーパー付き雌ネジであるRc1/2や直径約0.58インチの雌ネジに設定されている。なお、配管接続部14の形状は、テーパー付き雌ネジ或いは雌ネジに限定されるものではなく、チューブを装着するチューブフィッティングなどでもよく、第1の流入口7から流体を流入可能なものであれば良い。
【0074】
バルブ本体6には、図11及び図12に示すように、その他方の側面(図中、右側面)に流体が流入する第2の流入口17と、円柱形状の空所からなる弁座8に連通した断面矩形状の第2の弁口18がそれぞれ設けられている。
【0075】
本実施の形態では、第2の流入口17及び第2の弁口18をバルブ本体6に直接設けるのではなく、第2の弁口18を形成した弁口形成部材の一例としての第2のバルブシート80と、第2の流入口17を形成した第2の流路形成部材25とをバルブ本体6に装着することにより、第2の流入口17及び第2の弁口18を設けている。
【0076】
第2のバルブシート80は、図17に符号を括弧付きで示すように、第1のバルブシート70と同様に構成されている。すなわち、第2のバルブシート80は、バルブ本体6の内側に配置される角筒形状に形成された角筒部81と、バルブ本体6の外側に配置される円筒形状に形成された円筒部82と、角筒部81と円筒部82の間に円筒部82側へ向けて外径が大きくなるよう配置されたテーパー部83とを一体的に備えている。第2のバルブシート80の角筒部81の内部には、矩形状(本実施の形態では、正方形状)の断面を有する角柱形状の第2の弁口18が形成されている。また、第2のバルブシート80の円筒部82の内部には、第2の流入口17を形成する第2の流路形成部材25の一端部が密封された状態で挿入されるように配置されている。第2のバルブシート80の円筒部82と第2の流路形成部材25との間は、図12に示すように、Oリング25aによって密封されている。第2のバルブシート80の円筒部82の内周面には、図17に示すように、Oリング25aを収容する凹溝85が設けられている。
【0077】
バルブ本体6には、図14及び図15に示されるように、第2のバルブシート80の外形状に対応し当該バルブシート80と相似形状の凹所86が切削加工等により形成されている。凹所86は、第2のバルブシート80の角筒部81に対応した角筒部86aと、円筒部82に対応した円筒部86bと、テーパー部83に対応したテーパー部86cとを備えている。バルブ本体6の円筒部86bは、第2のバルブシート80の円筒部82より長さが長く設定されている。バルブ本体6の円筒部86bは、後述するように、第2の圧力作用部96を形成している。第2のバルブシート80は、バルブ本体6の凹所86に対して弁体としての弁軸34に接離する方向に微小な距離ではあるが移動自在に装着される。
【0078】
第2のバルブシート80は、バルブ本体6の凹所86に装着された状態で、バルブシート80の角筒部81とバルブ本体6の角筒部86aとの間には、微小な間隙が形成されている。弁座8の内部に流入した流体は、微小な間隙を介して第2のバルブシート80の外周の領域に流入可能となっている。また、第2のバルブシート80の外周の領域へと流入した流体は、当該第2のバルブシート80の円筒部82の外側に位置する空間からなる第2の圧力作用部96へと導入される。この第2の圧力作用部96は、流体の圧力を第2のバルブシート80の弁軸34と反対側の面80aに作用させるものである。弁座8の内部に流入する流体は、第2の弁口18を介して流出する流体の他、第1の弁口9を介して流出する流体がある。第2の圧力作用部98は、第2の流入口17との間が第2の流路形成部材25によって密封された状態で区画されている。
【0079】
弁座8の内部に配置された弁軸34に作用する流体の圧力は、弁軸34の開閉度による流体の流量に依存する。弁座8の内部に流入する流体は、第1の弁口9と第2の弁口18を介して弁座8と弁軸34の外周面との間に形成される微小な間隙にも流れ込む(漏れ入る)。したがって、第2のバルブシート80に対応した第2の圧力作用部96には、第2の弁口18から流入する流体以外に、弁座8と弁軸34の外周面との間に形成される微小な間隙に流れ込んだ第1の弁口9から流入する流体も流入する。
【0080】
また、第2のバルブシート80のテーパー部83と凹所86のテーパー部86cとの間には、図11及び図12に示すように、微小な間隙が形成されている。その結果、バルブ本体6の凹所86は、第2のバルブシート80を装着した状態で、テーパー部83と凹所86のテーパー部86cとの間の微小な間隙に対応した距離だけ、当該バルブシート80がバルブ本体6の内外方向に沿って数100μm~数mm程度にわたり移動自在であり、バルブシート80の装着位置が調整可能となっている。なお、第2のバルブシート80は、第1のバルブシート70と同じ材料により形成されている。
【0081】
第2のバルブシート80の角筒部81の先端には、図17(b)に示すように、バルブ本体6に形成された円柱形状の弁座8に対応した円柱形状の曲面の一部を成す平面円弧形状の間隙縮小部の一例としての凹部84が設けられている。凹部84の曲率半径Rは、弁座8の曲率半径又は弁軸34の曲率半径と略等しい値に設定される。バルブ本体6の弁座8は、後述するように、当該弁座8の内部で回転する弁軸34の齧りを防止するため、弁軸34の外周面との間に僅かな間隙を形成している。第2のバルブシート80の凹部84は、当該第2のバルブシート70をバルブ本体6に装着した状態でバルブ本体6の弁座8より弁軸34側に突出するように装着されるか、又は弁軸34の外周面に接触するように装着される。その結果、弁軸34と当該弁軸34と対向する部材としてのバルブ本体6の弁座8の内面との間隙Gは、第2のバルブシート80の凹部84が突出した分だけ弁座8の他の部分に比較して部分的に縮小された値に設定される。このように、第2のバルブシート80の凹部84と弁軸34との間隙G3は、弁軸34と弁座8の内面との間隙G2より狭い(小さい)所要の値(G3<G2)に設定されている。なお、第2のバルブシート80の凹部84と弁軸34との間隙G3は、バルブシート80の凹部84が弁軸34に接触した状態、つまり間隙無しの状態(間隙G3=0)であっても良い。
【0082】
ただし、第2のバルブシート80の凹部84が弁軸34に接触する場合には、弁軸34を回転駆動する際に凹部84の接触抵抗によって弁軸34の駆動トルクが上昇する虞れがある。そのため、第2のバルブシート70の凹部84が弁軸34に接触する程度は、初期的に、弁軸34の回転トルクを考慮して調整される。すなわち、弁軸34の駆動トルクが増加しないか、増加してもその増加量が小さく、弁軸34の回転に支障がない程度に調整される。
【0083】
第2のバルブシート80の円筒部82の外側には、当該第2のバルブシート80が弁軸34に対して接離する方向に変位するのを許容しつつ、当該第2のバルブシート80を弁軸34に対して接触する方向に押動する弾性部材の一例としての第2のウェーブワッシャー(波形ワッシャー)26が設けられている。第2のウェーブワッシャー26は、図19に示すように、ステンレスや鉄、あるいは燐青銅などからなり、正面に投影した形状が所要の幅を有する円環状に形成されている。また、第2のウェーブワッシャー26は、側面形状がウェーブ状(波状)に形成されており、その厚さ方向に沿って弾性変形が可能となっている。第2のウェーブワッシャー26の弾性率は、厚さや材質、あるいは波の数等によって決定される。第2のウェーブワッシャー26としては、第1のウェーブワッシャー16と同一のものが使用される。
【0084】
さらに、第2のウェーブワッシャー26の外側には、当該第2のウェーブワッシャー26を介して弁軸34と第2のバルブシート80の凹部84との間隙G3を調整する調整部材の一例としての第2の調整リング87が配置される。第2の調整リング87は、図20に示すように、耐熱性を有する合成樹脂又は金属によって外周面に雄ネジ87aが形成された相対的に長さが短く設定された円筒形状の部材からなる。第2の調整リング87の外側の端面には、当該第2の調整リング87をバルブ本体6に設けられた雌ネジ部88に締め付けて装着する際に、締付量を調整するための図示しない治具を係止して当該第2の調整リング87を回転させるための凹溝87bが180度対向する位置にそれぞれ設けられている。
【0085】
バルブ本体6には、図14及び図15に示すように、第2の調整リング87を装着するための第2の雌ネジ部88が設けられている。バルブ本体6の開口端部には、外周に向けて直径が拡大するようにテーパー部89が設けられている。テーパー部89には、Oリング89aが介在される。
【0086】
第2の調整リング87は、バルブ本体6の雌ネジ部88に対する締め込み量を調整することにより、当該第2の調整リング877が第2のウェーブワッシャー26を介して第2のバルブシート80を内側に向けて押動する量(距離)を調整するものである。第2の調整リング87の締め込み量を増加させると、第2のバルブシート80は、図18に示すように、第2の調整リング87によって第2のウェーブワッシャー26を介して押され、凹部84が弁座8の内周面から突出して弁軸34に近接する方向に変位し、当該凹部84と弁軸34との間隙G3が減少する。また、第2の調整リング87の締め込み量を予め少ない量に設定すると、第2のバルブシート80は、第2の調整リング87によって押動される距離が減少し、弁軸34から離間した位置に配置され、第2のバルブシート80の凹部84と弁軸34との間隙G3が相対的に増大する。第2の調整リング87の雄ネジ87a及びバルブ本体6の雌ネジ部88は、そのピッチが小さく設定されており、第2のバルブシート80の突出量を微調整可能に構成されている。
【0087】
バルブ本体6の他方の側面には、図11及び図12に示すように、流体を流入させる図示しない配管を接続するため接続部材の一例としての第2のフランジ部材19が4本の六角穴付きボルト20により取り付けられている。第2のフランジ部材19は、第1のフランジ部材10と同様にSUS等の金属により形成される。第2のフランジ部材19は、バルブ本体6の側面形状と同一の側面矩形状に形成されたフランジ部21と、フランジ部21の内側面に円筒形状に突設された挿入部22と、フランジ部21の外側面に厚肉の略円筒形状に突設され、図示しない配管が接続される配管接続部23とを有している。第2のフランジ部材19の挿入部22と第2の流路形成部材25との間は、図12に示すように、Oリング22aによって密封されている。第2のフランジ部材19の挿入部22の内周面には、Oリング22aを収容する凹溝22bが設けられている。配管接続部23の内周は、例えば、その口径が直径約21mmのテーパー付き雌ネジであるRc1/2や、直径約0.58インチの雌ネジに設定されている。なお、配管接続部23の形状は、配管接続部14と同様、テーパー付き雌ネジ或いは雌ネジに限定されるものではなく、チューブを装着するチューブフィッティングなどでもよく、第2の流入口17から流体を流入可能なものであれば良い。
【0088】
尚、図11及び図12に示す実施の形態では、第1及び第2の流路形成部材15,25を第1及び第2のフランジ部材10,19にわたり長尺に設けた場合について図示したが、第1及び第2の流路形成部材15,25は、これよりも短くとも良い。すなわち、第1及び第2の流路形成部材15,25は、図15に示すように、第1及び第2の調整リング77,87の内側にそれぞれ配置される第1及び第2の密封部材97,98までに達する相対的に短い長さに設定しても良い。第1及び第2の調整リング77,87は、第1及び第2のウェーブワッシャー16,26と同様に、第1及び第2の圧力作用部96の内部に配置される。第1及び第2の調整リング77,87の内周面及び外周面には、第1及び第2の流路形成部材15,25との間を密封する図示しないOリングを収容する凹溝97a,98aが形成されている。また、第1及び第2のフランジ部材10,19は、バルブ本体6に設けられたテーパー部89に介在されるOリング89aによって密封されるのではなく、図15に示すように、第1及び第2のフランジ部材10,19のフランジ部12,21の内面に設けられた凹溝12a,21aに装着されるOリング79a,89aによって密封されるように構成しても良い。
【0089】
ここで、流体としては、例えば、圧力が0~1MPa、0~80℃程度の温度に調整された水(純水など)などが好適に使用される。また、流体としては、例えば、-20~+120℃程度の温度範囲において、-20℃程度の温度においても凍結せず、+120℃程度においても沸騰しないフロリナート(登録商標)などのフッ素系不活性液体、エチレングリコール等の流体が使用される。
【0090】
また、バルブ本体6には、図11に示すように、その下端面に流体が流出する第3の弁口として断面円形状の流出口26が開口されている。バルブ本体6の下端面には、流体を流出させる図示しない配管を接続するため接続部材の一例としての第3のフランジ部材27が4本の六角穴付きボルト28により取り付けられている。流出口26の下端部には、第3のフランジ部材27を装着するためテーパー状に拡径したテーパー部26aを介して円筒部26bが開口されている。なお、流出口26の下端部には、図15に示すように、テーパー部26aを設けずに円筒部26bのみを設けるように構成しても良い。第3のフランジ部材27は、第1及び第2のフランジ部材10,19と同様にSUS等の金属により形成される。第3のフランジ部材27は、バルブ本体6の下端面形状より小さい平面矩形状に形成されたフランジ部29と、フランジ部29の上端面に円筒形状に突設された挿入部30と、フランジ部29の下端面に厚肉の略円筒形状に突設され、図示しない配管が接続される配管接続部31とを有している。配管接続部31の内周は、例えば、その口径が直径約21mmのテーパー付き雌ネジであるRc1/2や直径約0.58インチの雌ネジに設定されている。バルブ本体6の流出口26の下端内周端には、第3のフランジ部材27のフランジ部29との間にOリング32を装着するための面取り33が施されている。なお、配管接続部31の形状は、テーパー付き雌ネジ或いは雌ネジに限定されるものではなく、チューブを装着するチューブフィッティングなどでもよく、流出口26から流体を流出可能なものであれば良い。なお、第3のフランジ部材27のフランジ部29の密封構造は、図15に示すように、第1及び第2のフランジ部材10,19と同様に、フランジ部29の内面に設けられた図示しない凹溝に装着されるOリングによって密封されるように構成しても良い。
【0091】
バルブ本体6の中央には、第1及び第2のバルブシート70,80を装着することによって断面矩形状の第1の弁口9及び断面矩形状の第2の弁口18が設けられる弁座8を備えている。弁座8は、後述する弁体の外形状に対応した円柱形状に形成された空所からなる。また、弁座8の一部は、第1及び第2のバルブシート70,80によって形成されている。円柱形状に形成された弁座8は、バルブ本体6の上端面に貫通した状態で設けられる。バルブ本体6に設けられる第1の弁口9及び第2の弁口18は、図21に示すように、円柱形状に形成された弁座8の中心軸(回転軸)Cに対して軸対称に配置されている。更に説明すると、第1の弁口9及び第2の弁口18は、円柱形状に形成された弁座8に対して直交するように配置されており、第1の弁口9の一方の端縁は、中心軸Cを介して第2の弁口18の他方の端縁と対向する位置(180度異なる位置)に開口されている。また、第1の弁口9の他方の端縁は、中心軸Cを介して第2の弁口18の一方の端縁と対向する位置(180度異なる位置)に開口されている。なお、図21では、便宜上、弁座8と弁軸34との間隙は図示が省略されている。
【0092】
また、第1の弁口9及び第2の弁口18は、図11及び図12に示すように、上記のごとく、バルブ本体6に第1及び第2のバルブシート70,80を装着することによって形成される断面正方形状等の断面矩形状に形成された開口部からなる。第1の弁口9及び第2の弁口18は、その一辺の長さが第1の流入口7及び第2の流入口17の直径より小さく設定されており、当該第1の流入口7及び第2の流入口17に内接する断面矩形状に形成されている。
【0093】
弁体の一例としての弁軸34は、図22に示すように、SUS等の金属により外形が略円柱形状に形成されている。弁軸34は、大別して、弁体として機能する弁体部35と、当該弁体部35の上下にそれぞれ設けられて弁軸34を回転自在に支持する上下の軸支部36,37と、上軸支部36の上部に設けられたシール部38と、シール部38の上部にテーパー部39を介して設けられたカップリング部40とを一体的に備えている。
【0094】
上下の軸支部36,37は、弁体部35より外径が小さく同一又は異なる直径を有するように設定された円筒形状にそれぞれ形成されている。下軸支部37の軸方向に沿った長さは、上軸支部36より若干長く設定されている。下軸支部37は、図11に示すように、バルブ本体6に設けられた弁座8の下端部にベアリング41を介して回転自在に支持されている。弁座8の下部には、ベアリング41を支持する環状の支持部42が内周へ向けて突出するように設けられている。ベアリング41、支持部42及び第3の弁口26は、同一の内径に設定されており、弁体部35の内部へと温度制御用流体が抵抗を殆ど生じることなく流入するよう構成されている。一方、上軸支部36には、スラストワッシャー43が装着されており、弁軸34が後述するシール筐体53に押圧されることで発生する負荷を低減させている。
【0095】
また、弁体部35は、図11及び図22(b)に示すように、第1及び第2の弁口9,18の開口高H1より高さが低い開口高H2を有する略半円筒形状の開口部44が設けられた円筒形状に形成されている。弁体部35の開口部44が設けられた弁動作部45は、予め定められた中心角α(例えば、約190度)を有する半円筒形状(円筒形状の部分のうち、開口部44を除いた略半円筒形状)に形成されている。弁動作部45は、開口部44の上下に位置する弁体部35を含めて第1の弁口9を閉状態から開状態に切り替えると同時に、第2の弁口18を逆方向の開状態から閉状態に切り替えるよう弁座8内に且つ弁座8の内周面に金属同士の齧りを防止するため微小な間隙を介して非接触状態となるよう回転自在に配置されている。弁動作部45の上下に配置された上下の弁軸部46,47は、図22に示すように、弁動作部45と同一の外径を有する円筒形状に形成されており、弁座8の内周面に微小な間隙を介して非接触状態にて回転自在となっている。弁動作部45及び上下の弁軸部46,47、更にはシール部38にわたる内部には、円柱形状の空所48が下端部に向けて貫通した状態で設けられている。
【0096】
また、弁動作部45は、周方向(回転方向)に沿った両端面45a,45bがその中心軸Cと交差する(直交する)方向に沿った断面形状が曲面形状に形成されている。更に説明すると、弁動作部45は、図22に示すように、周方向に沿った両端部45a,45bの回転軸Cと交差する断面形状が開口部44に向けて凸形状を成す円弧形状に形成されている。両端部45a,45bの曲率半径は、例えば、弁動作部45の厚さTの1/2に設定される。その結果、両端部45a,45bの断面形状は、半円形状となる。
【0097】
弁動作部45は、周方向に沿った両端部45a,45bの回転軸Cと交差する断面形状が円弧形状に限定されるものではなく、周方向(回転方向)に沿った両端面45a,45bが曲面形状に形成されても良い。弁動作部45としては、図23(b)に示すように、周方向に沿った両端部45a,45bの回転軸Cと交差する断面形状が外周面側に位置する第1の曲線部50と、内周面側に位置して第1の曲線部50より曲率半径が小さい第2の曲線部51を滑らかに接続した曲線状に形成することも可能である。
【0098】
弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bは、図23に示すように、弁軸34が回転駆動されて第1及び第2の弁口9,18を開閉する際に、流体の流れの中において、第1及び第2の弁口9,18の周方向に沿った端部から突出する又は退避するように移動(回転)することで第1及び第2の弁口9,18を開状態から閉状態あるいは閉状態から開状態へと移行させる。このとき、弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bは、弁軸34の回転角度に対する第1及び第2の弁口9,18の開口面積をより一層リニア(直線状)に変化させるため、断面形状が曲面形状に形成されていることが望ましい。
【0099】
また、弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bは、これに限定されず、図24に示すように、半径方向に沿った平面形状に形成しても良い。弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bを平面形状に形成した場合でも、弁軸34の回転角度に対する第1及び第2の弁口9,18の開口面積を略リニア(直線状)に変化させることができる。
【0100】
シール部4は、図11に示すように、弁軸34を液密状態に密封するものである。シール部4は、SUS等の金属によって弁軸34を挿通する挿通孔52を有する円筒形状に形成されたシール筐体53を有している。シール筐体53は、図14に示すように、バルブ本体6の上端面に設けられた円柱形状の凹部54に配置されている。シール筐体53は、環状のシール部材55,56を介して弁軸34との位置関係が決まり、位置決めピン58(図13参照)を介して後述するスペーサ部材59に対して回り止め状態に固定される構造となっている。シール筐体53の内周面には、弁軸34を密封するOリング等からなる2つの環状のシール部材55,56が上下に配置されている。シール部材55,56としては、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM)製のOリングが用いられる。上方に位置するシール部材56は、押さえ部材56aにより押さえられている。また、シール筐体53は、Oリング等からなる環状のシール部材57によりバルブ本体6に対して密封されている。
【0101】
カップリング部5は、シール部4が内蔵されたバルブ本体6とアクチュエータ部3との間に配置されている。カップリング部5は、弁軸34と当該弁軸34を一体に回転させる図示しない回転軸とを連結するためのものである。カップリング部5は、シール部4とアクチュエータ部3の間に配置されたスペーサ部材59と、スペーサ部材59の上部に固定されたアダプタプレート60と、スペーサ部材59及びアダプタプレート60の内部に貫通状態で形成された円柱形状の空間61に収容され、弁軸34と図示しない回転軸とを連結するカップリング部材62とから構成されている。スペーサ部材59は、SUS等の金属によりバルブ本体6と略同一の平面形状を有する比較的高さが低い角筒状に形成されている。スペーサ部材59は、ネジ止め等の手段によってバルブ本体6及びアダプタプレート60の双方に固定される。また、アダプタプレート60は、図10(c)に示すように、SUS等の金属により略平面多角形の板状に形成されている。アダプタプレート60は、六角孔付きボルト63によりアクチュエータ部3の基盤64に固定した状態で取り付けられる。
【0102】
カップリング部材62は、図11に示すように、金属や耐熱性を有する合成樹脂、或いはセラミクス等により円柱形状に形成されたものである。弁軸34の上端には、水平方向に沿って貫通するように凹溝65が設けられている。そして、弁軸34は、カップリング部材62に設けられた凸部66を凹溝65に嵌合することによりカップリング部材62に連結固定されている。一方、カップリング部材62の上端には、水平方向に沿って貫通するように凹溝67が設けられている。図示しない回転軸は、カップリング部材62に設けられた凹溝67に図示しない凸部を嵌合することによりカップリング部材62に連結固定される。スペーサ部材59は、シール部材55,56から液体が漏洩した際、挿通孔52を通じて漏洩した液体を検知するための開口部68を側面に有している。開口部68は、例えば、その口径が直径約8mmのテーパー付き雌ネジであるRc1/16に設定されている。
【0103】
アクチュエータ部3は、図10に示すように、平面矩形状に形成された基盤64を備えている。基盤64の上部には、ステッピングモータやエンコーダ等からなる駆動手段を内蔵した直方体形状の箱体として構成されたケーシング90がビス91止めにより装着されている。アクチュエータ部3の駆動手段は、制御信号に基づいて図示しない回転軸を所望の方向に所定の精度で回転可能なものであれば良く、その構成は限定されない。駆動手段は、ステッピングモータ及び当該ステッピングモータの回転駆動力をギア等の駆動力伝達手段を介して回転軸に伝達する駆動力伝達機構、並びに回転軸の回転角度を検出するエンコーダ等の角度センサにより構成される。
【0104】
なお、図10中、符号92はステッピングモータ側ケーブルを、93は角度センサ側ケーブルをそれぞれ示している。これらステッピングモータ側ケーブル92及び角度センサ側ケーブル93は、三方弁型モータバルブ1を制御する図示しない制御装置にそれぞれ接続される。
【0105】
<三方弁型モータバルブの動作>
本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1では、次のようにして流体の流量が制御される。
【0106】
三方弁型モータバルブ1は、図16に示すように、組立時又は使用する際の調整時に、第1及び第2のフランジ部材10,19がバルブ本体6から一旦取り外され、調整リング77,87が外部に露出した状態とされる。この状態で、図示しない治具を用いて調整リング77,87のバルブ本体6に対する締付量を調整することにより、図18に示すように、第1及び第2のバルブシート70,80におけるバルブ本体6の弁座8に対する突出量を変化させる。調整リング77,87のバルブ本体6に対する締付量を増加させた場合には、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84がバルブ本体6の弁座8の内周面から突出し、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84と弁軸34の外周面との間隙G1が減少して、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84と弁軸34の外周面とが接触するに至る。一方、調整リング77,87のバルブ本体6に対する締付量を減少させた場合には、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84がバルブ本体6の弁座8の内周面から突出する長さが減少し、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84と弁軸34の外周面との間隙G1が増加する。
【0107】
本実施の形態では、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84と弁軸34の外周面との間隙G1が10μm未満に設定される。ただし、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84と弁軸34の外周面との間隙G1は、この値に限定されるものではなく、当該値より小さい値、例えば間隙G1=0μm(接触状態)であっても良く、10μm以上に設定しても良い。
【0108】
三方弁型モータバルブ1は、図11に示すように、第1及び第2のフランジ部材10,19を介して流体が図示しない配管を介して流入し、第3のフランジ部材27を介して流体が図示しない配管を介して流出する。また、三方弁型モータバルブ1は、図21(a)に示すように、例えば、動作を開始する前の初期状態において、弁軸34の弁動作部45が第1の弁口9を閉塞(全閉)すると同時に第2の弁口18を開放(全開)した状態とされる。
【0109】
三方弁型モータバルブ1は、図11に示すように、アクチュエータ部3に設けられた図示しないステッピングモータを所定量だけ回転駆動させると、ステッピングモータの回転量に応じて図示しない回転軸が回転駆動される。三方弁型モータバルブ1は、回転軸が回転駆動されると、当該回転軸に連結固定された弁軸34が回転軸の回転量(回転角)と同一の角度だけ回転する。弁軸34の回転に伴って弁動作部45が弁座8の内部において回転し、図23(a)に示すように、弁動作部45の周方向に沿った一端部45aが第1の弁口9を徐々に開放して、第1のハウジング部材10から第1の流入口7を介して弁座8の内部に流入するとともに、流出口26から流出する。
【0110】
このとき、弁動作部45の周方向に沿った他端部45bは、図23(a)に示すように、第2の弁口18を開放しているため、第1及び第2の流入口7、18から流入した流体が弁座8の内部に流入して弁軸34の回転量に応じて分配されるととともに、第3のハウジング部材31から流出口26を介して外部に流出する。
【0111】
三方弁型モータバルブ1は、図23(a)に示すように、弁軸34が回転駆動されて弁動作部45の周方向に沿った一端部45aが第1の弁口9を徐々に開放すると、弁座8並びに弁軸34の内部を通って流体が流出口26を介して外部に供給される。
【0112】
また、三方弁型モータバルブ1は、弁動作部45の周方向に沿った両端部45a,45bが断面曲面形状又は断面平面形状に形成されているため、弁軸34の回転角度に対して第1及び第2の弁口9,18の開口面積をリニア(直線状)に変化させることが可能となる。また、弁動作部45の両端部45a,45bによって流量が規制される流体が層流に近い状態で流動すると考えられ、第1の弁口9及び第2の弁口18の開口面積に応じて流体の混合比(流量)を精度良く制御することができる。
【0113】
本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1では、上述したように、初期的に、弁軸34の弁動作部45が第1の弁口9を閉塞(全閉)すると同時に第2の弁口18を開放(全開)した状態とされる。
【0114】
このとき、三方弁型モータバルブ1は、弁軸34の弁動作部45が第1の弁口9を閉塞(全閉)すると、理想的には、流体の流量がゼロとなる筈である。
【0115】
しかしながら、三方弁型モータバルブ1は、図18に示すように、弁軸34が弁座8の内周面に対して金属同士の齧りを防止するために、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間に微小な間隙を介して非接触状態となるよう回転自在に配置されている。その結果、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間には、微小な間隙G2が形成されている。そのため、三方弁型モータバルブ1は、弁軸34の弁動作部45が第1の弁口9を閉塞(全閉)した場合であっても、流体の流量がゼロとならず、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間に存在する微小な間隙G2を介して流体が少量ながら第2の弁口18側へ流れ込もうとする。
【0116】
ところで、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1では、図18に示すように、第1及び第2のバルブシート70,80に凹部74,84が設けられており、当該凹部74,84が弁座8の内周面から弁軸34側に突出して、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間の間隙G1を部分的に縮小している。
【0117】
したがって、三方弁型モータバルブ1は、弁軸34が弁座8の内周面に対して金属同士の齧りを防止するため、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間に微小な間隙を介して非接触状態となるよう回転自在に配置されていても、流体が第1の弁口9から弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間に存在する微小な間隙G2へ流れ込むことが、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間隙が部分的に縮小された領域である間隙G1により大幅に制限されて抑制される。
【0118】
そのため、三方弁型モータバルブ1では、弁軸34と当該弁軸34と対向する第1及び第2のバルブシート70,80との間隙を部分的に縮小するよう設けられた凹部74,84を備えない三方弁型モータバルブに比較して、当該三方弁型モータバルブ1の全閉時における流体の漏れを大幅に抑制することが可能となる。
【0119】
望ましくは、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1は、第1及び第2のバルブシート70,80の凹部74,84を弁軸34の外周面と接触させることにより、間隙G1,G2を大幅に縮小することができ、当該三方弁型モータバルブ1の全閉時における流体の漏れが大幅に抑制される。
【0120】
また同様に、三方弁型モータバルブ1は、弁軸34の弁動作部45が第2の弁口18を閉塞(全閉)とした場合にも、流体が第2の弁口18を介して、他方の第1の弁口9側に漏れて流出するのを大幅に抑制することができる。
【0121】
さらに、本実施の形態では、図11に示すように、第1及び第2のバルブシート70,80の弁軸34と反対側の面70a,80aに、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間に微小な間隙を介して流体の圧力を作用させる第1及び第2の圧力作用部94,96が設けられている。そのため、三方弁型モータバルブ1は、図21(a)に示すように、開度0%つまり第1の弁口9が全閉の付近、及び開度100%つまり第1の弁口9が全開の付近において、第1及び第2の弁口9,18が全閉に近づくと、当該第1及び第2の弁口9,18から流出する流体の量が大幅に減少する。これに伴って、三方弁型モータバルブ1は、全閉状態に近づく弁口では、流出する流体の圧力が低下する。そのため、例えば開度0%つまり第1の弁口9が全閉のとき、流入口26から圧力700KPa程度の流体が流入し、略700KPaのまま第2の弁口18から流出する。このとき、全閉に近い状態である第1の弁口9側は、出口側の圧力が例えば100KPa程度まで低下する。その結果、第2の弁口18と第1の弁口9との間に600KPa程度の圧力差が生じることになる。
【0122】
したがって、対策を講じない三方弁型モータバルブ1では、第2の弁口18と第1の弁口9との間の圧力差によって弁軸34が相対的に圧力の低い第1の弁口9側に移動(変位)し、弁軸34がベアリング41に片当たりした状態となる。そのため、弁軸34を閉じる方向に回転駆動する際の駆動トルクが増大して、動作不良を生じる虞れがある。
【0123】
これに対して、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1では、図25に示すように、第1及び第2のバルブシート70,80の弁軸34と反対側の面に、弁軸34の外周面と弁座8の内周面との間に微小な間隙を介して漏れる流体の圧力を第1及び第2のバルブシート70,80に作用させる第1及び第2の圧力作用部94,96が設けられている。そのため、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1では、第2の弁口18と第1の弁口9との間の圧力差が生じる場合であっても、相対的に圧力が高い側の流体の圧力が弁軸34の外周面と弁座8の内周面との微小な間隙を介して第1及び第2の圧力作用部94,96に作用する。その結果、相対的に100KPa程度と圧力が低い側の第1のバルブシート70は、当該第1の圧力作用部94に作用する相対的に圧力が100KPa程度と高い側の流体の圧力によって、弁軸34を適正な位置へと戻すように作用する。したがって、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1では、第2の弁口18と第1の弁口9との間の圧力差によって弁軸34が相対的に圧力の低い第1の弁口9側に移動(変位)するのを防止乃至抑制し、弁軸34がベアリング41によって滑らかに支持された状態を維持することができ、弁軸34を閉じる方向に回転駆動する際の駆動トルクが増大するのを防止乃至抑制することができる。
【0124】
また、本実施の形態に係る三方弁型モータバルブ1では、第1の弁口9が全開の付近、つまり第2の弁口18が全閉状態に近いときにも同様に動作し、弁軸34を回転駆動する際の駆動トルクが増大するのを防止乃至抑制することができる。
【0125】
図26は、三方弁型モータバルブ1の弁軸34の開度に対する第1及び第2の流入口から流入する流体、並びに流出口から流出する流体の流量係数の測定値を示すグラフである。同図(a)は、三方弁型モータバルブ1を混合用の第1の流量制御用三方弁103として使用した場合の特性を、同図(b)は、三方弁型モータバルブ1を分配用の第2の流量制御用三方弁108として使用した場合の特性をそれぞれ示している。また、三方弁型モータバルブ1を分配用の第2の流量制御用三方弁108として使用する場合は、流出口が流入口となし、第1及び第2の流入口が第1及び第2の流出口となる。なお、図26において、第1及び第2の流入口7,18から流入する流体の圧力は、等しい値に設定している。
【0126】
ところで、上記の如く構成される三方弁型モータバルブ1は、流量係数Cvの値が次の関係式により求められる。ここで、Vは流体の流量(l/min)、Gは流体の比重(水は1)、ΔPは差圧(kPa)をそれぞれ示している。
【0127】
【数1】
【0128】
三方弁型モータバルブ1を混合用の第1の流量制御用三方弁103として用いる場合、差圧ΔPは、第1の流入口7の圧力と流出口26の圧力との差、及び第2の流入口18の圧力と流出口26の圧力との差を示している。そのため、三方弁型モータバルブ1の流量係数Cvの値は、第1の流入口7及び第2の流入口18との間で圧力差がある場合とない場合とで異なる。
【0129】
三方弁型モータバルブ1は、第1の流入口7と第2の流入口18の流量が略等しい場合、第1の流入口7と第2の流入口18の圧力を略等しいと見なすことができる。しかしながら、三方弁型モータバルブ1の弁軸34の開度が50%からずれると、第1の流入口7と第2の流入口18の流量が異なり、第1の流入口7と第2の流入口18の圧力を略等しいと見なすことができなくなる。そのため、三方弁型モータバルブ1は、第1の流入口7と第2の流入口18に圧力差が生じて流量係数Cv値の特性が変化することになる。そのため、三方弁型モータバルブ1は、弁軸34の開度に応じて第1の流入口7と第2の流入口18の圧力が異なり、流量係数Cvの値が図26からずれることになる。よって、三方弁型モータバルブ1を例えば混合用の第1の流量制御用三方弁103として用いた場合には、弁軸34の開度に応じて第1の流入口7と第2の流入口18の圧力が異なり、低温側流体と高温側流体の混合比が図26に示す流量係数Cvの値と異なる。
【0130】
本発明者の研究によれば、三方弁型モータバルブ1を通過する流量は、上述したように、流量係数Cv値に依存するが、第1の流入口7と第2の流入口18の圧力が異なる場合には、流量係数Cv値が変化し、目標とする低温側流体と高温側流体の混合比を得られなくなることが明らかとなっている。
【0131】
そこで、この実施の形態では、図8に示すように、三方弁型モータバルブ1を混合用の第1の流量制御用三方弁103として用いる場合、当該第1の流量制御用三方弁103の弁軸34の開度に応じて第1の流入口7及び第2の流入口18から流入する低温側流体及び高温側流体の流量が異なり、第1の流入口7と第2の流入口18の圧力が異なる場合であっても、第1の流量制御用三方弁103によって混合される低温側流体と高温側流体との混合比を所望の値に近づけることが可能となるように構成されている。
【0132】
更に説明すると、この実施の形態では、図27に示すように、三方弁型モータバルブ1からなる第1の流量制御用三方弁103の弁軸34の開度に応じて、同じく三方弁型モータバルブ1からなる第3及び第4の流量制御用三方弁112,116の少なくとも一方の弁軸34の開度を独立して制御するように構成されている。
【0133】
すなわち、第4の流量制御用三方弁116は、図27に示すように、基本的に、例えば、第1の流量制御用三方弁103における低温側流体と高温側流体との混合比が4:6である場合、高温側流体供給部102へ第2のバイパス配管114を介して還流する高温側流体と、第2の流量制御用三方弁108によって高温側流体供給部102へ分配される温度制御用流体の割合(流量比)を4:6に制御する。
【0134】
これに対して、本実施の形態では、第4の流量制御用三方弁116は、第1の流量制御用三方弁103における高温側流体と低温側流体との混合比が6:4である場合であっても、高温側流体供給部102へ第2のバイパス配管114を介して還流する高温側流体と、第2の流量制御用三方弁108によって高温側流体供給部102へ分配される温度制御用流体の割合(流量比)を4:6に制御するのではなく、本線側である第2の流量制御用三方弁108によって高温側流体供給部102へ分配される温度制御用流体の割合(流量比)を減少させる方向に制御し、例えば5:5に制御するように構成している。
【0135】
同様に、本実施の形態では、第3の流量制御用三方弁112は、第1の流量制御用三方弁103における低温側流体と高温側流体との混合比が4:6である場合であっても、高温側流体供給部102へ第2のバイパス配管114を介して還流する高温側流体と、第2の流量制御用三方弁108によって高温側流体供給部102へ分配される温度制御用流体の割合(流量比)を6:4に制御するのではなく、本線側である第2の流量制御用三方弁108によって高温側流体供給部102へ分配される温度制御用流体の割合(流量比)を減少させる方向に制御し、例えば7:3に制御するように構成している。
【0136】
こうすることにより、本実施の形態では、三方弁型モータバルブ1を混合用の第1の流量制御用三方弁103として用いる場合に、当該第1の流量制御用三方弁103の弁体の開度に応じて第1の流入口7及び第2の流入口18から流入する低温側流体及び高温側流体の流量が異なり、第1の流入口7と第2の流入口18の圧力が異なる場合であっても、第4の流量制御用三方弁116の弁軸34の開度を本来の4:6ではなく、5:5となるように第4の流量制御用三方弁116のバイパス側に流れる流体の流量を相対的に増加させて第1の流量制御用三方弁103に供給する高温側流体の流量の割合を減少させることで、結果的に第1の流量制御用三方弁103に供給する高温側流体の圧力を増加させ、第1の流量制御用三方弁103に供給する高温側流体の流量を確保している。
【0137】
同様に、本実施の形態では、第3の流量制御用三方弁112は、第1の流量制御用三方弁103における低温側流体と高温側流体との混合比が4:6である場合であっても、低温側流体供給部101へ第1のバイパス配管110を介して還流する低温側流体と、第2の流量制御用三方弁108によって低温側流体供給部101へ分配される温度制御用流体の割合(流量比)を6:4に制御するのではなく、本線側である第2の流量制御用三方弁108によって低温側流体供給部101へ分配される温度制御用流体の割合(流量比)を減少させる方向に制御し、例えば7:3に制御することで、結果的に第1の流量制御用三方弁103に供給する低温側流体の圧力を増加させ、第1の流量制御用三方弁103に供給する低温側流体の流量を確保している。
【0138】
そのため、チラー装置100では、三方弁型モータバルブ1を混合用の第1の流量制御用三方弁103として用いる場合、当該第1の流量制御用三方弁103の弁体の開度に応じて第1の流入口7及び第2の流入口18から流入する低温側流体及び高温側流体の圧力が異なり、低温側流体及び高温側流体の流量が所定の流量係数Cv値から変化することがあっても、第3及び第4の流量制御用三方弁112,116の弁軸34の開度を本来の値から変化させることで、第1の流入口7及び第2の流入口18から流入する低温側流体及び高温側流体の圧力を確保し、所望の低温側流体及び高温側流体の混合比が得られ、温度制御対象の温度を精度良く制御することが可能となる。
【符号の説明】
【0139】
100…温度制御装置
101…低温側流体供給部
102…高温側流体供給部
103…第1の流量制御用三方弁
105…温調対象装置
108…第2の流量制御用三方弁
112…第3の流量制御用三方弁
116…第4の流量制御用三方弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27