IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ブルーエナジーの特許一覧 ▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-蓄電装置 図1
  • 特許-蓄電装置 図2
  • 特許-蓄電装置 図3
  • 特許-蓄電装置 図4
  • 特許-蓄電装置 図5
  • 特許-蓄電装置 図6
  • 特許-蓄電装置 図7
  • 特許-蓄電装置 図8
  • 特許-蓄電装置 図9
  • 特許-蓄電装置 図10
  • 特許-蓄電装置 図11
  • 特許-蓄電装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/291 20210101AFI20220127BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20220127BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20220127BHJP
   H01M 50/238 20210101ALI20220127BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20220127BHJP
   H01G 11/10 20130101ALN20220127BHJP
   H01M 50/588 20210101ALN20220127BHJP
   H01M 50/593 20210101ALN20220127BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M50/209
H01M50/264
H01M50/238
H01M50/204 101
H01G11/10
H01M50/588
H01M50/593
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017153388
(22)【出願日】2017-08-08
(65)【公開番号】P2019032997
(43)【公開日】2019-02-28
【審査請求日】2020-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】316014102
【氏名又は名称】株式会社ブルーエナジー
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】垣村 宏明
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/017913(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
H01G11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子と、
第一方向において前記蓄電素子と隣り合う絶縁性の隣接部材と、
第一方向と直交する第二方向において前記蓄電素子及び前記隣接部材の双方と対向する導電性の対向部材と、
前記蓄電素子及び前記隣接部材の双方と前記対向部材との間に配置される絶縁部材と、
前記第二方向において前記絶縁部材を貫通し、前記隣接部材と前記対向部材とを締結する導電性の締結部材とを備え、
前記隣接部材及び前記絶縁部材の少なくとも何れか一方は、
前記隣接部材及び前記絶縁部材の少なくとも何れか他方に向けて突出し且つ締結部材の外周と対向する対向凸部と、
前記対向凸部を前記締結部材の外周方向で分断した分断部と、を備え、
前記対向凸部は、弾性変形可能であり、前記隣接部材及び前記絶縁部材の少なくとも何れか他方に当接する、
蓄電装置。
【請求項2】
前記隣接部材及び前記絶縁部材の少なくとも何れか一方は、前記第二方向と直交する方向において前記対向凸部よりも外側に位置し、且つ前記第二方向と直交する方向から見て少なくとも前記分断部及び前記対向凸部における前記分断部の両側の部分と重複する外側凸部を有する、
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記隣接部材及び前記絶縁部材の少なくとも何れか他方は、前記外側凸部が入り込む凹部を有する、
請求項に記載の蓄電装置。
【請求項4】
蓄電素子と、
第一方向において前記蓄電素子と隣り合う絶縁性の隣接部材と、
第一方向と直交する第二方向において前記蓄電素子及び前記隣接部材の双方と対向する導電性の対向部材と、
前記蓄電素子及び前記隣接部材の双方と前記対向部材との間に配置される絶縁部材と、
前記第二方向において前記絶縁部材を貫通し、前記隣接部材と前記対向部材とを締結する導電性の締結部材とを備え、
前記隣接部材及び前記絶縁部材の少なくとも何れか一方は、前記隣接部材及び前記絶縁部材の少なくとも何れか他方に向けて突出し且つ締結部材の外周と対向する対向凸部を備え、
前記対向凸部は、前記隣接部材及び前記絶縁部材の少なくとも何れか他方に当接し、当該対向凸部の突出方向における先端側ほど薄肉である
蓄電装置。
【請求項5】
蓄電素子と、
第一方向において前記蓄電素子と隣り合う絶縁性の隣接部材と、
第一方向と直交する第二方向において前記蓄電素子及び前記隣接部材の双方と対向する導電性の対向部材と、
前記蓄電素子及び前記隣接部材の双方と前記対向部材との間に配置される絶縁部材と、
前記第二方向において前記絶縁部材を貫通し、前記隣接部材と前記対向部材とを締結する導電性の締結部材とを備え、
記絶縁部材は、前記隣接部材に向けて突出し且つ締結部材の外周と対向する対向凸部を備え、
前記対向凸部は、前記隣接部材に当接する、
蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子と、該蓄電素子を位置決めする隣接部材とを備えた蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の扁平形二次電池を備えたバッテリシステムには、耐振動性や耐衝撃性を考慮したものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかるバッテリシステムは、複数の扁平形二次電池が厚さ方向に積層された電池積層体と、該電池積層体の積層方向の両端面に配置される一対のエンドプレートと、一対のエンドプレートに連結され、扁平形二次電池を積層方向に加圧して固定するバインドバーと、電池積層体を構成している扁平形二次電池の間に配置され、バインドバーに固定された中間補強プレートとを備える。
【0004】
バインドバーは、導電性を有する金属製の部品であり、中間部に中間補強プレートに連結する固定部を有する。バインドバーの固定部には、固定ネジを挿通する貫通孔が設けられている。これにより、上記バッテリシステムでは、固定部の貫通孔に挿通された固定ネジによって、中間補強プレートとバインドバーとが締結される。
【0005】
このバッテリシステムでは、エンドプレート及び中間補強プレートが積層された扁平形二次電池を加圧状態で固定する。すなわち、電池積層体(扁平形二次電池)は、中間補強プレートを基準に位置決めされる。
【0006】
ところで、このバッテリシステムでは、中間補強プレートがバインドバーに固定ネジによって締結されるため、バインドバーの固定部の貫通孔に挿通された金属製の固定ネジが、中間補強プレートとバインドバーとの間に存在する。
【0007】
そのため、結露等によってバッテリシステムに付着した水滴が中間補強プレートとバインドバーとの間に侵入し、固定ネジに到達すると、液絡(短絡)する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2014-44884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本実施形態は、水滴の付着に伴う液絡の発生を抑制できる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態の蓄電装置は、
蓄電素子と、
第一方向において前記蓄電素子と隣り合う絶縁性の隣接部材と、
第一方向と直交する第二方向において前記蓄電素子及び前記隣接部材の双方と対向する導電性の対向部材と、
前記蓄電素子及び前記隣接部材の双方と前記対向部材との間に配置される絶縁部材と、
前記第二方向において前記絶縁部材を貫通し、前記隣接部材と前記対向部材とを締結する導電性の締結部材とを備え、
前記隣接部材及び前記絶縁部材の少なくとも何れか一方は、前記隣接部材及び前記絶縁部材の少なくとも何れか他方に向けて突出し且つ締結部材の外周と対向する対向凸部を備え、
前記対向凸部は、前記隣接部材及び前記絶縁部材の少なくとも何れか他方に当接する。
【0011】
かかる構成によれば、絶縁部材が蓄電素子と対向部材との間に配置されるため、絶縁部材が対向部材を蓄電素子から絶縁する。対向凸部は、隣接部材と絶縁部材との間で導電性の締結部材の外周と対向する(締結部材までの経路に介在する)ため、水滴が絶縁部材と隣接部材との間に侵入しても締結部材にまで到達できない。すなわち、対向凸部が、水滴の進行を阻止する。そして、隣接部材及び絶縁部材のそれぞれが絶縁性であるため、これらの少なくとも何れか一方が有する対向凸部も絶縁性であり、進行の阻止に伴って対向凸部に水滴が付着しても、対向凸部と締結部材とが導通することがない。従って、水滴の付着に伴う液絡(短絡)の発生が抑制される。
【0012】
前記対向凸部は、弾性変形可能であり、
前記隣接部材及び前記絶縁部材の少なくとも何れか一方は、前記対向凸部を前記締結部材の外周方向で分断した分断部を備える、ようにしてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、分断部の存在により、対向凸部の周方向における連続性が断たれる。これに伴い、対向凸部が隣接部材及び絶縁部材の少なくとも何れか他方と当接した状態において、対向凸部が弾性変形し易くなり、相手方に対する当接性(密接性)が高まる。
【0014】
前記対向凸部は、当該対向凸部の突出方向における先端側ほど薄肉である、ようにしてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、対向凸部が隣接部材及び絶縁部材の少なくとも何れか他方と当接した状態で該対向凸部の先端側が変形し易くなる。これにより、隣接部材及び絶縁部材の少なくとも何れか他方と対向凸部との当接性(密接性)がより高まる。
【0016】
前記隣接部材及び前記絶縁部材の少なくとも何れか一方は、前記第二方向と直交する方向において前記対向凸部よりも外側に位置し、且つ前記第二方向と直交する方向から見て少なくとも前記分断部及び前記対向凸部における前記分断部の両側の部分と重複する外側凸部を有する、ようにしてもよい。
【0017】
かかる構成によれば、水滴が分断部に向かって進んだとしても、外側凸部が水滴の進行を阻止する。従って、対向凸部の変形の容易性を高めるために分断部が設けられても、水滴が対向凸部を超えて締結部材にまで到達することが阻止される。
【0018】
前記隣接部材及び前記絶縁部材の少なくとも何れか他方は、前記外側凸部が入り込む凹部を有する、ようにしてもよい。
【0019】
このようにすれば、外側凸部が完全に分断部を覆った状態になる。従って、対向凸部の包囲する領域への水滴の進入がより確実に防止される。
【発明の効果】
【0020】
以上より、本実施形態によれば、水滴の付着に伴う液絡の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本実施形態に係る蓄電装置の斜視図である。
図2図2は、前記蓄電装置の一部を省略した状態の分解斜視図である。
図3図3は、前記蓄電装置が備える蓄電素子の斜視図である。
図4図4は、前記蓄電素子の分解斜視図である。
図5図5は、前記蓄電装置が備える第一隣接部材の斜視図である。
図6図6は、前記蓄電装置が備える第二隣接部材の斜視図である。
図7図7は、前記蓄電装置が備える第三隣接部材の斜視図である。
図8図8は、前記蓄電装置が備える一対の連結部材の斜視図である。
図9図9は、前記蓄電装置が備える一対のインシュレータの斜視図である。
図10図10は、図9のX部拡大図である。
図11図11は、図1のXI-XI断面図である。
図12図12は、図11のXII部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0023】
図1及び図2に示す如く、蓄電装置1は、外部端子20を有する蓄電素子2と、第一方向(本実施形態ではX軸方向という)において蓄電素子2と隣接する隣接部材3と、少なくともX軸方向と直交する第二方向(本実施形態ではY軸方向という)において蓄電素子2及び隣接部材3と対向する部位を有し、蓄電素子2及び隣接部材3を保持する保持部材4とを備える。本実施形態において、蓄電装置1は、X軸方向に並ぶ複数の蓄電素子2と、蓄電素子2に対応して配置される複数の隣接部材3と、該複数の蓄電素子2及び複数の隣接部材3を一括保持する保持部材4とを備える。また、蓄電装置1は、保持部材4と複数の蓄電素子2との間に配置されるインシュレータ(絶縁部材)5と、複数の隣接部材3のうちの特定の隣接部材3と保持部材4とを締結する締結部材6とを備える。さらに、蓄電装置1は、蓄電素子2の外部端子20に接続されるバスバ7を備える。
【0024】
蓄電素子2には、一次電池、二次電池、キャパシタ等がある。本実施形態の蓄電素子2は、充放電可能な非水電解質二次電池である。より詳しくは、本実施形態の蓄電素子2は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。
【0025】
蓄電素子2は、図3に示す如く、外部端子20を含む。具体的には、蓄電素子2は、図4に示す如く、電極体22と、電極体22を電解液と共に収容するケース21と、少なくとも一部がケース21の外側に露出する外部端子20と、電極体22と外部端子20とを接続する集電体23と、電極体22とケース21との間に配置されるケース内絶縁体24とを備える。
【0026】
ケース21は、開口を有するケース本体210と、外部端子20が配置され、ケース本体210の開口を塞ぐ(閉じる)蓋板211とを有する。本実施形態のケース本体210は、有底角筒状であり、ケース21は、直方体形状(六面形状)である。これに伴い、ケース21の外面は、図3に示す如く、外部端子20の配置される第一端面21A(蓋板211の外面)と、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する第三方向(本実施形態においてはZ軸方向という)において第一端面21Aに対して反対側を向く第二端面21Bと、X軸方向において相反する方向に向く一対の第三端面21Cと、Y軸方向において相反する方向に向く一対の第四端面21Dとを含む。
【0027】
本実施形態において、ケース21は、X軸方向に扁平である。これに伴い、一対の第三端面21Cのそれぞれは、第一端面21A、第二端面21B、及び一対の第四端面21Dのそれぞれよりも広い幅広な面である。本実施形態において、複数の蓄電素子2は、第三端面21C(幅広な面)を対向させた状態で、X軸方向に並んでいる(図2参照)。
【0028】
電極体22では、正極と負極とがセパレータを介して交互に積層されている。本実施形態の電極体22は、図4に示す如く、長尺な正極及び負極がセパレータを介して交互に積層された状態で巻回されている、いわゆる捲回型の電極体である。この電極体22においてリチウムイオンが正極と負極との間を移動することにより、蓄電素子2が充放電する。
【0029】
図2に戻り、隣接部材3は、X軸方向に並ぶ蓄電素子2の間、又は蓄電素子2と該蓄電素子2に対してX軸方向に並ぶ部材(本実施形態の例では、保持部材4の一部)との間に配置される。本実施形態の蓄電装置1は、複数種類の隣接部材3を含む。具体的には、蓄電装置1は、隣接部材3として、複数の蓄電素子2の並ぶ中央位置において隣り合う蓄電素子2の間に配置される第一隣接部材31と、中央位置以外の位置で隣り合う蓄電素子2の間に配置される第二隣接部材32と、X軸方向において最も端にある蓄電素子2の外側に配置される第三隣接部材33とを含む。
【0030】
第一隣接部材31は、絶縁性を有し、隣り合う蓄電素子2の間に配置されることで蓄電素子2間の間隔(沿面距離等)を確保する。具体的に、第一隣接部材31は、図5に示す如く、蓄電素子2(ケース本体210)と隣接する第一本体部310と、第一本体部310に対する蓄電素子2の移動を規制する第一規制部311とを有する。また、第一隣接部材31は、保持部材4に対して位置決めを行う位置決め部312を有する。
【0031】
第一本体部310は、Y-Z面(Y軸とZ軸とを含む面)方向に広がり、X軸方向に厚みを有する。これに伴い、第一隣接部材31において、第一本体部310は、X軸方向において蓄電素子2の第三端面21Cと対向する。本実施形態の第一本体部310は、隣接する蓄電素子2との間に温度調整用の流体(本実施形態の例では空気)が流通可能な流路を形成する。また、第一本体部310は、Y軸方向において、インシュレータ5とも対向する。
【0032】
より具体的に説明する。第一隣接部材31において、第一本体部310は、X軸方向において外側を向く一対の第一面310Aと、Z軸方向において外側を向く一対の第二面310Bと、Y軸方向において外側を向く一対の第三面310Cとを有する。
【0033】
第一本体部310の一対の第一面310Aのそれぞれには、流体を流通させる流路を形成するための複数の溝313がY軸方向に延びて形成されている。
【0034】
第一本体部310は、Z軸方向に貫通した肉抜き用の複数の孔314を有する。これに伴い、複数の孔314は、第一本体部310の一対の第二面310Bのそれぞれで開放している。
【0035】
第一本体部310は、第三面310Cで開放する凹部315を有する。本実施形態において、第一本体部310は、複数の凹部315を有する。複数の凹部315は、Z軸方向に間隔をあけて配置される。これに伴い、第一本体部310において、凹部315の間は中実(実体のある部分)である。
【0036】
第一規制部311は、第一本体部310からX軸方向に延び、第一本体部310と隣接する蓄電素子2(詳しくはケース21)とY-Z面方向の外側から当接することによって該蓄電素子2の第一本体部310に対するY-Z面方向への相対移動を規制する。
【0037】
第一隣接部材31の位置決め部312は、保持部材4に対して凹凸嵌合する。具体的には、位置決め部312は、第一本体部310に連結されたY軸方向に延びる軸であり、第一本体部310の第三面310Cから外方に突出している。第一本体部310の第三面310Cにおいて、複数の凹部315が開放しているため、位置決め部312は、特定の二つの凹部315の間に配置される。
【0038】
第二隣接部材32は、絶縁性を有し、隣り合う蓄電素子2の間に配置されることで蓄電素子2間の間隔(沿面距離等)を確保する。具体的に、第二隣接部材32は、図6に示す如く、蓄電素子2(ケース本体210)と隣接する第二本体部320と、第二本体部320に対する蓄電素子2の移動を規制する第二規制部321とを有する。
【0039】
第二本体部320は、蓄電素子2の第三端面21Cと対向する部位であり、Y-Z面(Y軸とZ軸とを含む面)方向に広がる。本実施形態の第二本体部320は、隣接する蓄電素子2との間に温度調整用の流体(本実施形態の例では空気)が流通可能な流路を形成する。本実施形態において、第二本体部320は、薄肉であり、Y軸方向から見て矩形波型形状に形成される。これにより、X軸方向における第二本体部320の両面に対し、流体の流路を形成する複数の溝部322がY軸方向に延びて形成される。
【0040】
第二規制部321は、第二本体部320からX軸方向に延び、第二本体部320と隣接する蓄電素子2(詳しくはケース21)とY-Z面方向の外側から当接することによって該蓄電素子2の第二本体部320に対するY-Z面方向への相対移動を規制する。
【0041】
第三隣接部材33は、絶縁性を有し、X軸方向において蓄電素子2と保持部材4(終端部材40)との間に配置されることで蓄電素子2と保持部材4(終端部材40)との間隔(沿面距離等)を確保する。具体的に、第三隣接部材33は、図7に示す如く、蓄電素子2及び保持部材4との間において蓄電素子2と隣接する第三本体部330と、第三本体部330に対する蓄電素子2移動を規制する第三規制部331とを有する。
【0042】
第三本体部330は、蓄電素子2の第三端面21Cと対向する部位であり、Y-Z面方向に広がる。本実施形態の第三本体部330は、隣接する蓄電素子2との間に温度調整用の流体(本実施形態の例では空気)が流通可能な流路を形成する。本実施形態において、第三本体部330は、蓄電素子2と対向する面に流体の流路を形成する複数の溝部332がY軸方向に延びて形成される。
【0043】
第三規制部331は、第三本体部330からX軸方向に延び、第三本体部330と隣接する蓄電素子2(詳しくはケース21)とY-Z面方向の外側から当接することによって該蓄電素子2の第三本体部330に対するY-Z面方向への相対移動を規制する。
【0044】
図1及び図2に示す如く、保持部材4は、複数の蓄電素子2と複数の隣接部材3との周囲を囲むことで、複数の蓄電素子2及び複数の隣接部材3をひとまとめに保持する。この保持部材4は、金属等の導電性を有する部材によって構成される。具体的に、保持部材4は、X軸方向において蓄電素子2の両側に配置される一対の終端部材40と、一対の終端部材40を連結する連結部材41とを含む。
【0045】
一対の終端部材40のそれぞれは、X軸方向の端に配置された蓄電素子2との間に第三隣接部材33を挟み込むように配置される。この終端部材40は、Y-Z面方向に広がる。具体的に、終端部材40は、図2に示す如く、蓄電素子2と対応する輪郭(本実施形態では矩形状の輪郭)を有する本体400と、本体400から第三隣接部材33の第三本体部330に向けて突出し且つ該第三隣接部材33に当接して該第三隣接部材33を押圧する圧接部401とを有する。
【0046】
一対の連結部材41は、Y軸方向において複数の蓄電素子2の両側に配置される。一対の連結部材41のそれぞれは、図2及び図8に示す如く、Y軸方向において蓄電素子2と対向する本体部410と、本体部410から蓄電素子2の第一端面21Aに沿って延びる第一延設部411と、本体部410から蓄電素子2の第二端面21Bに沿って延びる第二延設部412と、本体部410から終端部材40に沿って延びる終端延設部413とを有する。
【0047】
本体部410は、X軸方向に並ぶ複数の蓄電素子2のそれぞれ(詳しくは、各第四端面21D)とY軸方向において対向する板状の部位である。本実施形態の本体部410は、X-Z面(X軸とZ軸とを含む面)に沿った板状で、且つX軸方向に長尺な矩形状である。本体部410は、X軸方向に延び且つZ軸方向に間隔をあけて配置される一対の梁部410aと、Z軸方向に延び且つ一対の梁部410aの端部同士を接続する一対の第一接続部410bと、Z軸方向に延び且つX軸方向の途中位置(本実施形態の例では、X軸方向に並ぶ複数の蓄電素子2のうちの途中位置に配置された蓄電素子2とY軸方向から見て重なる位置)において一対の梁部410a同士を接続する第二接続部410cと、Z軸方向に延び且つX軸方向の途中位置(本実施形態の例では、X軸方向の途中位置に配置された第一隣接部材31とY軸方向から見て重なる位置)において一対の梁部410a同士を接続する第三接続部410dとを有する。
【0048】
一対の梁部410aのうちの一方は、各蓄電素子2の第四端面21Dにおける第一端面21A側の端部に沿ってX軸方向に延びる。また、一対の梁部410aのうちの他方は、各蓄電素子2の第四端面21Dにおける第二端面21B側の端部に沿ってX軸方向に延びる。また、本実施形態の第二接続部410cは、X軸方向に間隔を空けて複数配置される。
【0049】
第一延設部411は、本体部410(詳しくは、梁部410a)から各蓄電素子2の第一端面21Aに沿って延び且つ一方の終端部材40から他方の終端部材40まで延びる板状の部位である。本実施形態の第一延設部411は、蓄電素子2の第一端面21A側にある本体部410の端部からY軸方向に延び、且つ一方の終端部材40から他方の終端部材40までX軸方向に連続して延びている。
【0050】
第二延設部412は、本体部410(詳しくは、梁部410a)から各蓄電素子2の第二端面21Bに沿って延び且つ一方の終端部材40から他方の終端部材40まで延びる板状の部位である。本実施形態の第二延設部412は、蓄電素子2の第二端面21B側にある本体部410の端部からY軸方向に延び、且つ一方の終端部材40から他方の終端部材40までX軸方向に連続して延びている。Y軸方向において、第二延設部412の寸法は、第一延設部411の寸法より大きい。
【0051】
終端延設部413は、本体部410(詳しくは、第一接続部410b)から終端部材40に沿って延びる板状の部位である。本実施形態において、終端延設部413は、本体部410のX軸方向の端部からY軸方向に延びる。終端延設部413は、連結部材41における終端部材40に固定される部位であり、該固定によって終端部材40と連結部材41とが連結される。本実施形態の終端延設部413は、ビスBによって終端部材40に締結される。
【0052】
第一接続部410b及び第二接続部410cは、X軸方向において交互に並ぶ蓄電素子2及び隣接部材3(第二隣接部材32、第三隣接部材33)のうち、蓄電素子2のみに重なるように配置される。すなわち、第一接続部410b及び第二接続部410cは、隣接部材3(第二隣接部材32、第三隣接部材33)によって形成される流体の流路の入口及び出口になる領域を躱して配置される。本実施形態において、第二接続部410cは、第一接続部410bと第三接続部410dとの間に複数配置される。
【0053】
第三接続部410dは、Y軸方向で第一隣接部材31と重なる位置に配置される。具体的には、第三接続部410dは、第一隣接部材31の第一本体部310(第三面310C)のZ軸方向に延びる中心線に対し、Z軸方向に延びる自身の中心線をY軸方向から見て一致又は略一致させて配置される。これを前提に、第三接続部410dの幅は、第一隣接部材31の第一本体部310の厚み(X軸方向の外寸)より小さく設定される。すなわち、第三接続部410dは、第一隣接部材31によって形成される流体の流路の入口及び出口になる領域を躱して配置される。
【0054】
第三接続部410dは、図8に示す如く、Y軸方向に貫通した貫通孔420,421を有する。具体的には、第三接続部410dは、第一隣接部材31の位置決め部312と対応する位置に配置された貫通孔(以下、第一貫通孔という)420を有する。第一貫通孔420は、第一隣接部材31の位置決め部312が挿入可能に形成される。本実施形態において、第一隣接部材31の第一本体部310の単一の第三面310Cに対し、二つの位置決め部312がZ軸方向に間隔をあけて設けられている。これに伴い、第一貫通孔420は、二つあり、該二つの第一貫通孔420は、二つの位置決め部312の配置に合わせて設けられている。
【0055】
また、第三接続部410dは、第一隣接部材31に対する締結位置に対応して設けられた貫通孔(以下、第二貫通孔という)421を有する。本実施形態において、保持部材4(連結部材41)の第一隣接部材31に対する締結位置は、第一隣接部材31における第一本体部310の第三面310Cの中実部分(凹部315間)に設定される。これに伴い、保持部材4(連結部材41)において、第二貫通孔421は、第一隣接部材31における第一本体部310の第三面310Cの中実部分(凹部315間)と対応する位置に配置される。
【0056】
本実施形態において、保持部材4(連結部材41)の第一隣接部材31に対する締結位置は、Z軸方向に間隔をあけた複数個所(三か所)に設定される。これに伴い、第二貫通孔421は、Z軸方向に間隔をあけて複数(三つ)設けられる。なお、第一貫通孔420が二つ設けられるとともに、第二貫通孔421が三つ設けられるに伴い、本実施形態において、第一貫通孔420と第二貫通孔421とがZ軸方向において交互に配置される。
【0057】
インシュレータ5は、絶縁性を有する。本実施形態において、インシュレータ5は、樹脂成型品である。インシュレータ5は、図2に示す如く、複数の蓄電素子2と連結部材41との間に配置される。インシュレータ5は、少なくとも連結部材41における蓄電素子2と対向する面(領域)を覆う。これにより、インシュレータ5は、保持部材4と、複数の蓄電素子2との間を絶縁する。具体的に、インシュレータ5は、図9に示す如く、本体部410を覆う本体被覆部50と、第一延設部411を覆う第一被覆部51と、第二延設部412を覆う第二被覆部52とを有する。
【0058】
本体被覆部50は、本体部410における蓄電素子2側を向く面(以下、対向面という)を覆う。本体被覆部50は、本体部410と対応する形状を有する。即ち、本体被覆部50は、梁部410aにおける蓄電素子2との対向面を覆う一対の梁部被覆部500と、第一接続部410bにおける蓄電素子2との対向面を覆う一対の第一接続被覆部501と、第二接続部410cにおける蓄電素子2との対向面を覆う複数の第二接続被覆部502と、第三接続部410dにおける第一隣接部材31との対向面を覆う第三接続被覆部503とを有する。
【0059】
一対の梁部被覆部500は、梁部410aと同様に、それぞれX軸方向に延び、Z軸方向に間隔をあけて配置される。
【0060】
第一接続被覆部501は、第一接続部410bと対応して配置され、第二接続被覆部502は、第二接続部410cと対応して配置される。具体的には、第一接続被覆部501及び第二接続被覆部502は、X軸方向において交互に並ぶ蓄電素子2及び隣接部材3(第二隣接部材32、第三隣接部材33)のうち、蓄電素子2のみに重なるように配置される。すなわち、第一接続被覆部501及び第二接続被覆部502は、隣接部材3(第二隣接部材32、第三隣接部材33)によって形成される流体の流路の入口及び出口になる領域を躱して配置される。本実施形態において、第二接続被覆部502は、第一接続被覆部501と第三接続被覆部503との間に複数配置される。
【0061】
第三接続被覆部503は、Y軸方向で第一隣接部材31と重なる位置に配置される。具体的には、第三接続被覆部503は、第一隣接部材31の第一本体部310(第三面310C)のZ軸方向に延びる中心線に対し、Z軸方向に延びる自身の中心線をY軸方向から見て一致又は略一致させて配置される。これを前提に、第三接続被覆部503の幅は、第一隣接部材31の第一本体部310の厚み(X軸方向の寸法)より小さく設定される。すなわち、第三接続被覆部503は、第一隣接部材31によって形成される流体の流路の入口及び出口になる領域を躱して配置される。
【0062】
第三接続被覆部503は、Y軸方向に貫通した貫通孔520,521を有する。具体的には、第三接続被覆部503は、第一隣接部材31の位置決め部312と対応する位置に配置された貫通孔(以下、第一貫通孔という)520を有する。第一貫通孔520は、第一隣接部材31の位置決め部312を挿入可能に形成される。本実施形態において、第一隣接部材31の第一本体部310の単一の第三面310Cに対し、二つの位置決め部312がZ軸方向に間隔をあけて設けられている。これに伴い、第一貫通孔520は、二つあり、該二つの第一貫通孔520は、二つの位置決め部312の配置に合わせて設けられている。
【0063】
また、第三接続被覆部503は、第一隣接部材31に対する締結位置に対応して設けられた貫通孔(以下、第二貫通孔という)521を有する。本実施形態において、保持部材4(連結部材41)の第一隣接部材31に対する締結位置は、第一隣接部材31における第一本体部310の第三面310Cの中実部分(凹部315間)に設定される。これに伴い、第二貫通孔521は、第一隣接部材31における第一本体部310の第三面310Cの中実部分(凹部315間)と対応する位置に配置される。
【0064】
本実施形態において、保持部材4(連結部材41)の第一隣接部材31に対する締結位置は、Z軸方向に間隔をあけた複数個所(三か所)に設定される。これに伴い、インシュレータ5の第二貫通孔521は、Z軸方向に間隔をあけて複数(三つ)設けられる。なお、インシュレータ5において、第一貫通孔520が二つ設けられるとともに、第二貫通孔521が三つ設けられるに伴い、本実施形態においては、第一貫通孔520と第二貫通孔521とがZ軸方向において交互に配置される。
【0065】
本実施形態において、インシュレータ5は、図9及び図10に示す如く、保持部材4(連結部材41)との締結位置の外側に配置される対向凸部53を備える。すなわち、インシュレータ5は、保持部材4(連結部材41)の第一隣接部材31に対する締結位置に対応する第二貫通孔521の外周に沿った対向凸部53を備える。
【0066】
本実施形態において、インシュレータ5は、第三接続被覆部503に第二貫通孔521が三つ設けられているが、特定の第二貫通孔521のみ対応して設けられる。すなわち、対向凸部53は、結露等によって付着した水滴が下側に向けて垂れ落ちること(上下方向における下側に集まること)を考慮し、対向凸部53は、その水滴の影響を受けやすい位置にある第二貫通孔521に対応して設けられている。
【0067】
本実施形態において、蓄電装置1が蓄電素子2の外部端子20を上側にした姿勢で配置されることを想定し、対向凸部53は、Z軸方向に並ぶ三つの第二貫通孔521のうちの最も端にある第二貫通孔521であって、蓄電素子2の外部端子20の存在する側とは反対側にある第二貫通孔521のみに対応して配置されている。
【0068】
対向凸部53は、インシュレータ5の第一隣接部材31と対向する面に接続される。本実施形態において、第三接続被覆部503が第一隣接部材31の第三面310Cと対向するため、対向凸部53は、第三接続被覆部503の第一隣接部材31の第三面310Cと対向する面に接続される。これに伴い、対向凸部53は、第三接続被覆部503から第一隣接部材31に向けて(Y軸方向に)突出する。対向凸部53のY軸方向の突出量は、当該対向凸部53の先端が第一隣接部材31の第三面310Cに当接可能になるように設定される。本実施形態においては、対向凸部53のY軸方向の突出量は、当該対向凸部53の先端が第一隣接部材31の第三面310Cに圧接可能になるように設定される。
【0069】
対向凸部53は、弾性変形可能である。すなわち、本実施形態において、対向凸部53は、第一隣接部材31の第三面310Cに対する圧接に伴って弾性変形するように構成される。対向凸部53は、樹脂成型品であるインシュレータ5の一部と構成されるため、対向凸部53の径方向における厚みは、弾性変形可能な厚みに設定される。
【0070】
本実施形態において、対向凸部53の変形容易性を考慮し、図10に示す如く、対向凸部53は、第二貫通孔521の周囲(第二貫通孔521に挿通される締結部材6の周囲)の一部において分断されている。すなわち、インシュレータ5は、対向凸部53を第二貫通孔521(該第二貫通孔521に挿通される締結部材6)の外周方向で分断する分断部530を備える。
【0071】
具体的には、対向凸部53は、第二貫通孔521の外周に対して半周よりも長い範囲で沿っている。これにより、第二貫通孔521の周方向において、第二貫通孔521の半径よりも小さな範囲で開放した分断部530が形成される。すなわち、対向凸部53は、第二貫通孔521を取り囲んで有端環状に形成され、対向凸部53における周方向の両端が分断部530を画定する。これに伴い、分断部530は、対向凸部53の突出方向及び突出方向と直交する方向で開放している。本実施形態において分断部530は、対向凸部53を周方向で完全に分断している。
【0072】
本実施形態において、分断部530は、Z軸方向において蓄電素子2の外部端子20が存在する側に位置している。すなわち、蓄電装置1が蓄電素子2の外部端子20を上側に配置した状態において、分断部530が第二貫通孔521に対して上側に位置する。
【0073】
本実施形態において、対向凸部53は、自身の突出方向における先端側ほど薄肉である。すなわち、対向凸部53は、突出方向における先端側が基端側よりも容易に弾性変形するようになっている。
【0074】
インシュレータ5は、分断部530を備えるに伴い、対向凸部53の外側で分断部530と対向する外側凸部54を有する。
【0075】
外側凸部54は、インシュレータ5の第一隣接部材31と対向する面に接続される。本実施形態において、第三接続被覆部503が第一隣接部材31の第三面310Cと対向するため、外側凸部54は、第三接続被覆部503の第一隣接部材31の第三面310Cと対向する面に接続される。これに伴い、外側凸部54は、第三接続被覆部503から第一隣接部材31に向けて(Y軸方向に)突出している。外側凸部54のY軸方向の突出量は、対向凸部53よりも多く設定される。すなわち、外側凸部54は、第一隣接部材31の第三面310Cで開放する凹部315内に侵入するように形成される。
【0076】
外側凸部54の突出方向に対して直交する方向における外側凸部54の長さは、同方向における分断部530の開放寸法より大きい。本実施形態において、外側凸部54は、Y軸方向から見て円弧状に形成されており、この外側凸部54の両端を結ぶ直線寸法(弦の寸法)は、同方向における分断部530の開放寸法よりも大きく設定される。本実施形態において、蓄電装置1が蓄電素子2の外部端子20を上側に配置した状態において、分断部530が第二貫通孔521に対して上側に位置するため、外側凸部54は、第二貫通孔521及び分断部530よりも上側に位置している。
【0077】
第一被覆部51は、少なくとも第一延設部411の蓄電素子2と対向する面(領域)を覆う。本実施形態の第一被覆部51は、第一延設部411における蓄電素子2(第一端面21A)との対向面と、第一延設部411における蓄電素子2と反対側の面との両面を覆う。
【0078】
第二被覆部52は、第二延設部412における蓄電素子2(第二端面21B)と対向する面(対向面)412Aに沿って第二延設部412と本体部410との境界位置から該第二延設部412の先端(Y軸方向の先端)まで延びると共に、該先端で折り返して該第二延設部412における蓄電素子2と反対側の面(外面)412Bに沿って延びる。これにより、第二被覆部52は、第二延設部412を包み込み、第二延設部412の両面412A,412Bを覆う。すなわち、第二被覆部52の先端部(Y軸方向の先端部)は、第二延設部412の先端部が差し込まれる袋状である。
【0079】
図2に示す如く、締結部材6は、第一隣接部材31に固定された雌ネジ部材60と、該雌ネジ部材60と螺合する雄ネジ部材61とを含む。本実施形態において、雌ネジ部材60は、第一隣接部材31に埋め込まれた状態で固定されたインサートナットである。すなわち、雌ネジ部材60は、図5に示す如く、第一隣接部材31の第三面310Cの実体のある部分に埋め込み固定されている。雌ネジ部材60は、ネジ孔を有し、該ネジ孔をY軸方向に開放させている。上述の如く、保持部材4(連結部材41)の第一隣接部材31に対する締結位置が、Z軸方向に間隔をあけた複数個所(三か所)に設定されため、雌ネジ部材60は、締結位置に対応してZ軸方向に間隔をあけて配置される。雄ネジ部材61は、一般的なボルトであり、連結部材41の第二貫通孔421及びインシュレータ5の第二貫通孔521に挿通され、第一隣接部材31に固定された雌ネジ部材60と螺合される。
【0080】
図1及び図2に戻り、バスバ7は、金属等の導電性を有する板状の部材である。バスバ7は、異なる蓄電素子2の外部端子20同士を導通させる。バスバ7は、蓄電装置1において複数(複数の蓄電素子2と対応する数)設けられる。本実施形態の複数のバスバ7は、蓄電装置1に含まれる複数の蓄電素子2の全てを直列に接続する(導通させる)。
【0081】
本実施形態の蓄電装置1は、以上の通りであり、図11に示す如く、締結部材6の雄ネジ部材61が、第一隣接部材31に取り付けられた雌ネジ部材60に螺合されることで、第一隣接部材31と保持部材4(連結部材41)とが締結される。具体的には、図12に示す如く、締結部材6の雄ネジ部材61が連結部材41の第二貫通孔421及びインシュレータ5の第二貫通孔521に挿通され、雌ネジ部材60に螺合される。この雄ネジ部材61の雌ネジ部材60に対する締め付けにより、第一隣接部材31と保持部材4(連結部材41)との間にあるインシュレータ5に対して締め付け作用が生じる。これに伴い、インシュレータ5の対向凸部53が第一隣接部材31の凹部315間(雌ネジ部材60の周囲にある実体のある部分)に押し付けられ、弾性変形する。特に、対向凸部53は、突出方向の先端側ほど薄肉にされているため、対向凸部53の先端部は、弾性変形によって、第一隣接部材31の外面(第三面310C)に沿った姿勢になる。これにより、対向凸部53は、第一隣接部材31に対して圧接した状態(液密な状態)になる。本実施形態において、インシュレータ5が分断部530を備えるため、対向凸部53が弾性変形するに伴い、対向凸部53の周方向の両端(分断部530画定する両端)の少なくとも先端側が接近する。すなわち、対向凸部53の第一隣接部材31に対する圧接によって、対向凸部53が径方向に倒れ込んだ状態になり、その結果、対向凸部53の周方向の両端(分断部530画定する両端)の少なくとも先端側が接近する。
【0082】
また、この状態において、インシュレータ5の外側凸部54は、第一隣接部材31の第三面310Cで開放する凹部315に侵入した状態になる。従って、対向凸部53の周方向の両端間(分断部530)を覆った状態になる。
【0083】
これにより、対向凸部53が締結部材6の外周に対して該外周の半周よりも広い範囲で対向するため、結露等によって蓄電素子2等に水滴が付着し、その水滴が第一隣接部材31とインシュレータ5との間に侵入しても、締結部材6の外周と対向する(締結部材6を包囲する)対向凸部53の存在により、インシュレータ5の第二貫通孔521を介して導電性のある締結部材6に水滴が到達することが阻止される。そして、蓄電装置1が蓄電素子2の外部端子20を上側にした姿勢(ケース21の第一端面21Aが第二端面21Bよりも上側にある姿勢)で配置された場合において、水滴が垂れ落ちてきたとしても、その水滴が分断部530に到達する前に外側凸部54に当たるため、インシュレータ5の第二貫通孔521を介して導電性のある締結部材6に水滴が到達することが阻止される。従って、水滴の付着に伴う液絡(短絡)の発生が抑制される。
【0084】
以上の通り、蓄電装置1は、蓄電素子2と、第一方向において蓄電素子2と隣り合う絶縁性の隣接部材3(第一隣接部材31)と、第一方向と直交する第二方向において蓄電素子2及び隣接部材3(第一隣接部材31)の双方と対向する導電性の対向部材(連結部材)41と、蓄電素子2及び隣接部材3(第一隣接部材31)の双方と対向部材(連結部材)41との間に配置される絶縁部材(インシュレータ)5と、第二方向において絶縁部材(インシュレータ)5を貫通し、隣接部材3(第一隣接部材31)と対向部材(連結部材)41とを締結する導電性の締結部材6とを備え、絶縁部材(インシュレータ)5は、隣接部材3(第一隣接部材31)に向けて突出し且つ締結部材6の外周と対向する対向凸部53を備え、対向凸部53は、隣接部材3(第一隣接部材31)に当接する。
【0085】
かかる構成によれば、絶縁部材(インシュレータ)5が蓄電素子2と対向部材(連結部材)41との間に配置されるため、絶縁部材(インシュレータ)5が対向部材(連結部材)41を蓄電素子2から絶縁する。対向凸部53は、隣接部材3(第一隣接部材31)と絶縁部材(インシュレータ)5との間で導電性の締結部材6の外周と対向する(締結部材6までの経路に介在する)ため、水滴が絶縁部材(インシュレータ)5と隣接部材3(第一隣接部材31)との間に侵入しても締結部材6にまで到達できない。すなわち、対向凸部53が、水滴の進行を阻止する。そして、絶縁部材(インシュレータ)5が絶縁性であるため、対向凸部53も絶縁性であり、進行の阻止に伴って対向凸部53に水滴が付着しても、対向凸部53と締結部材6とが導通することがない。従って、水滴の付着に伴う液絡(短絡)の発生が抑制される。
【0086】
対向凸部53は、弾性変形可能であり、絶縁部材(インシュレータ)5は、対向凸部53を締結部材6の外周方向で分断した分断部530を備える。
【0087】
かかる構成によれば、分断部530の存在により、対向凸部53の周方向における連続性が断たれる。これに伴い、対向凸部53が隣接部材3(第一隣接部材31)と当接した状態において、対向凸部53が弾性変形し易くなり、相手方に対する当接性(密接性)が高まる。
【0088】
対向凸部53は、当該対向凸部53の突出方向における先端側ほど薄肉である。
【0089】
かかる構成によれば、対向凸部53が隣接部材3(第一隣接部材31)と当接した状態で該対向凸部53の先端側が変形し易くなる。これにより、隣接部材3(第一隣接部材31)と対向凸部53との当接性(密接性)がより高まる。
【0090】
絶縁部材(インシュレータ)5は、第二方向と直交する方向において対向凸部53よりも外側に位置し、且つ第二方向と直交する方向から見て少なくとも分断部530及び対向凸部53における分断部530の両側の部分と重複する外側凸部54を有する。
【0091】
かかる構成によれば、水滴が分断部530に向かって進んだとしても、外側凸部54が水滴の進行を阻止する。従って、対向凸部53の変形の容易性を高めるために分断部530が設けられても、水滴が対向凸部53を超えて締結部材6にまで到達することが阻止される。
【0092】
隣接部材3(第一隣接部材31)は、外側凸部54が入り込む凹部315を有する。
【0093】
かかる構成によれば、外側凸部54が完全に分断部530を覆った状態になる。従って、対向凸部53の包囲する領域への水滴の進入がより確実に防止される。
【0094】
尚、本発明の蓄電装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0095】
上記実施形態において、対向凸部53の変形容易性を考慮し、対向凸部53が有端環状に形成されることで対向凸部53の周方向の両端が分断部530を画定したが、これに限定されない。例えば、対向凸部53の突出方向の先端部の一部に切欠きを設け、この切欠きで対向凸部53を部分的に分断した分断部530を形成してもよい。すなわち、分断部530は、対向凸部53の先端の連続性を断つことができれば、種々態様で形成されればよい。従って、分断部530は、線状の切り込みであってもよい。
【0096】
上記実施形態において、対向凸部53の変形容易性を考慮し、インシュレータ5が分断部530を備えたが、これに限定されない。例えば、対向凸部53は、締結部材6の外周の全周に亘って対向するように無端環状にされてもよい。すなわち、対向凸部53は、相手方に当接する先端が周方向において連続するように形成されてもよい。
【0097】
上記実施形態において、第一隣接部材31と対向部材である保持部材4(連結部材41)との締結位置が複数設定され、そのうちの水滴の影響の受け易い締結位置に対して対向凸部53が設けられたが、これに限定されない。例えば、上記実施形態のように、第一隣接部材31と連結部材41との締結位置が複数設定された場合、その締結位置のそれぞれに対して対向凸部53が設けられてもよい。
【0098】
上記実施形態において、蓄電素子2の外部端子20が上側になる姿勢で蓄電装置1が配置されたときに、分断部530が第二貫通孔521の上側に位置するようにしたが、これに限定されない。分断部530は何れの位置に設けられてもよい。蓄電装置1の設置の態様が明らかである場合、蓄電装置1がその設置の態様とされたときに、分断部530が第二貫通孔521の上側に位置するようにし、さらに分断部530の上側に外側凸部54が位置するようにしてもよい。また、蓄電装置1の設置の態様が明らかである場合、その設置の態様で第二貫通孔521の下側に分断部530が位置するようにしてもよい。この場合、上方から垂れ落ちる水滴が分断部530に侵入する可能性が低いため、外側凸部54を設ける必要はない。
【0099】
上記実施形態において、インシュレータ5が対向凸部53を備えたが、これに限定されない。例えば、第一隣接部材31が、インシュレータ5に向けて突出する対向凸部53を備えてもよい。また、インシュレータ5が第一隣接部材31に向けて突出する対向凸部53を備えるとともに、第一隣接部材31がインシュレータ5に向けて突出する対向凸部53を備えてもよい。この場合、インシュレータ5の対向凸部53と第一隣接部材31の対向凸部53とが合致するようにしてもよい。また、インシュレータ5の対向凸部53又は第一隣接部材31の対向凸部53の何れか一方が、インシュレータ5の対向凸部53又は第一隣接部材31の対向凸部53の何れか他方の外側(Y軸方向に対して直交する方向における外側)に位置し、それぞれの対向凸部53が相手方に当接又は圧接してもよい。
【0100】
上記実施形態において、インシュレータ5が対向凸部53とともに外側凸部54を備えたが、これに限定されない。例えば、外側凸部54を設ける場合、インシュレータ5が対向凸部53を備え、第一隣接部材が外側凸部54を備えてもよい。また、第一隣接部材31が対向凸部53を備え、インシュレータ5が外側凸部54を備えてもよい。
【0101】
上記実施形態において、対向凸部53が弾性変形可能に構成されたが、これに限定されない。例えば、少なくとも対向凸部53の突出方向の先端部が相手方に対する密接性(当接性)を有していれば、対向凸部53そのものが弾性変形不能であってもよい。
【0102】
上記実施形態において、対向凸部53が突出方向の先端側ほど薄肉に形成されたが、これに限定されない。対向凸部53は、突出方向の全長に亘って同一の厚さにされてもよい。但し、相手方との密接性を確保できることが前提である。
【0103】
上記実施形態において、締結部材6が第一隣接部材31と一体的な雌ネジ部材60と、この雌ネジ部材60を螺合する雄ネジ部材61を含んだが、これに限定されない。例えば、締結部材6は、第一隣接部材31と一体的な雄ネジ部材61(所謂インサートボルト)であって、インシュレータ(絶縁部材)5及び保持部材(対向部材)4の貫通孔(第二貫通孔421,第二貫通孔521)に挿通される雄ネジ部材61と、雄ネジ部材61に螺合される雌ネジ部材(ナット)60とを含んでもよい。
【0104】
上記実施形態において、締結部材6がY軸方向で保持部材(対向部材)4及びインシュレータ(絶縁部材)5を貫通し、保持部材(対向部材)4とインシュレータ(絶縁部材)5を締結したが、これに限定されない。例えば、締結部材6がZ軸方向で保持部材(対向部材)4及びインシュレータ(絶縁部材)5を貫通し、保持部材(対向部材)4とインシュレータ(絶縁部材)5を締結してもよい。すなわち、上記実施形態において、第二方向をY軸方向とし、第三方向をZ軸方向としたが、例えば、第二方向をZ軸方向とし、第三方向をY軸方向としてもよい。この場合においても、蓄電装置1の設置される姿勢を考慮し、結露等による水滴が付着する虞のある締結部材6を基準に対向凸部53が設けられればよい。また、分断部530が設けられる場合には、その分断部530を基準に外側凸部54が設けられればよい。
【0105】
また、上記実施形態においては、蓄電素子2が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子2の種類や大きさ(容量)は任意である。また、上記実施形態において、蓄電素子2の一例として、リチウムイオン二次電池について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタの蓄電素子2にも適用可能である。
【符号の説明】
【0106】
1…蓄電装置、2…蓄電素子、3…隣接部材、4…保持部材、5…インシュレータ(絶縁部材)、6…締結部材、7…バスバ、20…外部端子、21…ケース、21A…第一端面、21B…第二端面、21C…第三端面、21D…第四端面、22…電極体、23…集電体、24…ケース内絶縁体、31…第一隣接部材、32…第二隣接部材、33…第三隣接部材、40…終端部材、41…連結部材(対向部材)、50…本体被覆部、51…第一被覆部、52…第二被覆部、53…対向凸部、54…外側凸部、60…雌ネジ部材、61…雄ネジ部材、210…ケース本体、211…蓋板、310…第一本体部、310A…第一面、310B…第二面、310C…第三面、311…第一規制部、312…位置決め部、313…溝、314…孔、315…凹部、320…第二本体部、321…第二規制部、322…溝部、330…第三本体部、331…第三規制部、332…溝部、400…本体、401…圧接部、410…本体部、410a…梁部、410b…第一接続部、410c…第二接続部、410d…第三接続部、411…第一延設部、412…第二延設部、412A,412B…面、413…終端延設部、420…第一貫通孔(貫通孔)、421…第二貫通孔(貫通孔)、500…梁部被覆部、501…第一接続被覆部、502…第二接続被覆部、503…第三接続被覆部、520…第一貫通孔(貫通孔)、521…第二貫通孔(貫通孔)、530…分断部、B…ビス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12