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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 33/00 20060101AFI20220127BHJP
   A47K 3/28 20060101ALI20220127BHJP
   A47K 4/00 20060101ALI20220127BHJP
   E03C 1/042 20060101ALI20220127BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220127BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220127BHJP
【FI】
F21V33/00 400
A47K3/28
A47K4/00
E03C1/042 B
F21S2/00 670
F21Y115:10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017164936
(22)【出願日】2017-08-30
(65)【公開番号】P2019046548
(43)【公開日】2019-03-22
【審査請求日】2020-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 朋位
(72)【発明者】
【氏名】池堂 浩史
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-189510(JP,A)
【文献】特開2016-197602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 33/00
A47K 3/28
A47K 4/00
E03C 1/042
F21S 2/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吐水口が外表面に形成されるとともに浴室内の所定位置に配置される吐水部に組み付けられる照明装置であって、
前記吐水部における前記吐水口が形成される外表面に配置される照明窓と、
前記照明窓を介して前記浴室の床面に向けて照明光を照射する光源と、
を有し、
前記浴室の床面において、前記光源から照射される照明光の最大照度に対する照度が50%以下になる照射範囲が、前記吐水部から外側に拡がり落下するように吐出される湯水の吐水範囲外にあることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記照明窓は、複数の前記吐水口に囲まれるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるシャワー装置は、使用者の頭上に配設されるリング状のシャワー本体を備えている。シャワー本体は、光を透過可能な素材によりリング形状に形成された保護カバーと、保護カバーの連通口を貫通してリング状に湯水を噴出させる複数の噴出口と、保護カバーの内部において周方向に多数配設されるLEDと、を備えている。シャワー装置は、噴出口から湯水を噴出させる際に、LEDを点灯させることで、シャワー本体がリング状に光らせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4832680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシャワー装置は、シャワー使用時にLEDを点灯させることで、保護カバーを介して浴室空間に向けて照明光が広がる。これにより、シャワー装置は、浴室空間内の雰囲気に変化を持たせる効果を生じさせる。しかしながら、シャワー本体に設けられたLEDから照射される照明光は、一部が噴出口から噴出される湯水に照射されて湯水を照らすが、湯水の周辺の空間も広く照らす。そのため、シャワー本体周辺の空間が一様に照らされるような単純な照明効果しか得られず、照明光による演出効果を高めることが難しい。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、吐水部から吐出される湯水を用いた効果的な演出を行うことが可能な照明装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明装置は、
複数の吐水口が外表面に形成されるとともに浴室内の所定位置に配置される吐水部に組み付けられる照明装置であって、
前記吐水部における前記吐水口が形成される外表面に配置される照明窓と、
前記照明窓を介して前記浴室の床面に向けて照明光を照射する光源と、
を有し、
前記浴室の床面において、前記光源から照射される照明光の最大照度に対する照度が50%以下になる照射範囲が、前記吐水部から吐出される湯水の吐水範囲外にあることを特徴とする。
【0007】
この照明装置は、浴室の床面において、光源から照射される照明光の最大照度に対する照度が50%以下になる照射範囲が、吐水部から吐出される湯水の吐水範囲外にあるように照明光を照射する。これにより、光源から照射される照明光の大部分は、照明窓から浴室の床面に至るまでの吐水範囲内に収まることになる。そのため、光源からの照明光が、照明窓から浴室の床面に至るまで湯水の拡がりに沿うように床面に向けて照射される。したがって、光源からの照明光が湯水に集中して照射されることになり、湯水を介して拡がる光によって浴室空間で効果的な演出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1に係る照明装置が設けられた浴室の様子を示す説明図である。
図2図1のオーバーヘッドシャワー部を概略的に示す斜視図である。
図3図2のオーバーヘッドシャワー部からカバー部を除いた状態を説明する底面図である。
図4】実施例1に係るレンズユニットを概略的に示す斜視図である。
図5図4のレンズユニットを長手方向に沿って切断した断面図である。
図6図4のレンズユニットを短手方向に沿って切断した断面図である。
図7】洗い場床の上面における照明装置の各照射範囲を概略的に説明する説明図である。
図8】洗い場床の上面における照明装置の各照射範囲及びオーバーヘッドシャワー部の吐水範囲を概略的に説明する説明図である。
図9】洗い場床の上面における照明装置から照射される照明光の照度分布と、オーバーヘッドシャワー部の吐水範囲との関係を概略的に説明する説明図である。
図10図1の浴室内で、照明装置から照明光が照射されるとともに、オーバーヘッドシャワー部から湯水が吐出される様子を概略的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0010】
本発明の照明装置は、
前記照明窓は、複数の前記吐水口に囲まれるように配置され得る。
この場合、この照明装置は、吐水口から湯水が吐出されているときに、照明窓が湯水によって覆われることになるため、照明窓を目立たなくさせることができる。そのため、光源から照明光を照射して浴室空間内で演出を行う際に、照明窓が見えることによる美観の低下を防ぐことができる。
【0011】
次に、本発明の照明装置を具体化した実施例1について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<実施例1>
図1は、実施例1に係る照明装置40が設けられた浴室10の様子を示す説明図である。浴室10は、図1に示すように、天井パネル10A、及び洗い場床10B等を備えている。浴室10は、天井パネル10A、洗い場床10B、複数の壁パネル等によって区画された浴室空間Sが形成されている。浴室10は、図示しない窓、浴室出入口等が形成されている。浴室10は、浴槽11、ベンチカウンター12、洗い場13、主照明14、シャワー装置20、及び照明装置40が設けられている。本明細書では、天井パネル10Aと洗い場床10Bとが対向する方向が上下方向であり、浴室空間Sにおいて天井パネル10A側が上方側であり、洗い場床10B側が下方側である。
【0013】
シャワー装置20は、図1に示すように、浴槽11から洗い場13を挟んだ反対側の壁パネルと、この壁面に連なる天井パネル10Aとに跨る。シャワー装置20は、装置本体21、オーバーヘッドシャワー部(請求項の「吐水部」に相当)30、ハンドシャワー部22、及びカラン部23を備えている。装置本体21は、壁パネルに配置されている。オーバーヘッドシャワー部30は、装置本体21の上部に接続され、天井パネル10Aにおける洗い場13の上方部分に配置されている。ハンドシャワー部22は、装置本体21の側面に接続されている。カラン部23は、装置本体21の下端部に設けられている。
【0014】
装置本体21は、図1に示すように、上下方向に細長い柱形状である。装置本体21は、内部に給湯配管やバルブ等が収容されている。装置本体21は、複数の操作部21Aを備えている。操作部21Aは、オーバーヘッドシャワー部30、ハンドシャワー部22、及びカラン部23からの吐水のオン-オフや流量(単位時間当たりに吐出される水量)の調整、及び湯温の調整等を行う際に操作される。
【0015】
オーバーヘッドシャワー部30は、図1に示すように、上下方向に直交する方向(水平方向)に細長い略直方体形状である。オーバーヘッドシャワー部30は、図2,3に示すように、吐水部材31、支持部材32、及びカバー部材33を備えている。オーバーヘッドシャワー部30は、装置本体21の操作部21Aによって吐水操作され、吐水部材31に設けられた後述する複数の吐水口31Bから湯水を吐出する。オーバーヘッドシャワー部30は、後述する照明装置40が設けられている。
【0016】
吐水部材31は、図3に示すように、全体として長手板状である。吐水部材31は、複数の吐水突部31A、吐水口31B、吸気孔31C、及び複数のビス挿通孔31Dが形成されている。複数の吐水突部31Aは、吐水部材31の下面から突出した円柱形状である。吐水突部31Aは、円柱形状の突出方向に沿う方向に貫通する吐水口31Bが形成されている。複数の吐水突部31Aは、吐水部材31の下面において後述する吸気孔31C及びレンズユニット60を囲むように形成されている。吐水部材31の下面における吐水突部31Aが形成される形成領域AR1(図3に示す一点鎖線で囲む領域)は、吐水部材31の長手方向に沿う方向に長い長円状である。形成領域AR1は、吐水部材31の長手方向における両端部(図中、左右の両端部)付近において、両端部に向かって幅寸法(吐水部材31の短手方向の幅)が漸減しつつ、吐水部材31の幅方向中央に寄っている。複数の吐水口31Bは、吐水部材31の長手方向両端部の付近において両端部に向かうに従って徐々に数が減少する。
【0017】
複数の吐水突部31Aは、形成領域AR1における幅方向(短手方向)内側から外側に向かうにつれて、吐水方向の幅方向外側への傾きが大きくなっている。複数の吐水突部31Aから吐出された湯水は、外側に拡がるように落下していく。複数の吐水突部31Aから吐出された湯水は、所定の高さに到達する際に、略円形の吐水範囲の内側に均等に分散される。
【0018】
吸気孔31Cは、吐水部材31の略中央位置において板厚方向に貫通する貫通孔である。吸気孔31Cは、複数の吐水口31Bに囲まれている。
【0019】
複数のビス挿通孔31Dは、吐水部材31の長手方向に延びる2辺に所定間隔おいて並設されている。ビス挿通孔31Dに挿通させたビス(図示略)は、支持部材32に螺合することで、吐水部材31が支持部材32に固定される。
【0020】
支持部材32は、図3に示すように、吐水部材31を上側から支持する。支持部材32は、例えば金属板材を折り曲げ加工して長手状に形成され、天井パネル10Aに密接して固定されている。支持部材32は、例えば複数のビス孔(図示略)が形成されており、このビス孔に挿通するビスによって天井パネル10Aに固定されている。支持部材32は、短手方向両縁部において長手方向に沿って延出し、後述するカバー部材33の取り付け時にカバー部材33を案内するレール部(図示略)が形成されている。
【0021】
カバー部材33は、図2に示すように、上側が開口した長手箱状である。カバー部材33は、内部に吐水部材31を収容して保持している。カバー部材33は、下面側において吐水部材31の吐水突部31Aを挿通させる複数の貫通孔33Aが形成されている。カバー部材33は、支持部材32に形成されたレール部に案内される案内片(図示略)が内部に形成されている。カバー部材33は、支持部材32への取り付け時に、案内片がレール部に案内されることで、スライドしつつ支持部材32に取り付けられる。カバー部材33は、後述するレンズユニット60を貫通させて下側に突出させる一対の貫通孔33B,33Bが形成されている。カバー部材33は、吐水部材31の吸気孔31Cに連通する吸気孔33Cが形成されている。
【0022】
吐水部材31は、図示しない給水空間、及び通水空間が内部に形成されている。給水空間は、吐水部材31の内部において、装置本体21の給湯配管から供給される湯水を通す給水路として機能する。給水空間は、通水空間へ湯水を供給する。給水空間から通水空間へ供給される湯水は、吸気孔31Cから取り入れられた外気が気泡として混合し、気泡が入った湯水が通水空間へ送られる。通水空間に供給された湯水は、吐水口31Bから外部に吐出される。
【0023】
照明装置40は、図1図3に示すように、オーバーヘッドシャワー部30に組み付けられている。照明装置40が備える後述する一対の照明窓62,62がオーバーヘッドシャワー部30の下面から露出している。照明装置40は、一対の照明ユニット50,50を備えている。一対の照明ユニット50,50は、オーバーヘッドシャワー部30の下面における長手方向において中央部分(吸気孔33Cが形成される部分)を挟むように所定間隔おいて配置されている。一対の照明ユニット50,50は、オーバーヘッドシャワー部30の短手方向における中央位置に配置されている。一対の照明ユニット50,50は、それぞれ複数の吐水口31Bに囲まれるように配置されている。このような構成によって、照明装置40は、照明ユニット50,50が吐水突部31Aと干渉しないように、オーバーヘッドシャワー部30の内部に設けることができる。
【0024】
照明ユニット50は、図4図6に示すように、一対の光源51,52、及びレンズユニット60を備えている。一対の光源51,52は、それぞれ異なる色温度の照明光を照射する。光源51は、昼光色の照明光を発するLEDとして構成されている。光源52は、電球色の照明光を発するLEDとして構成されている。光源51,52は、図3に示すように、図示しない電源部に接続された配線53が接続されている。光源51,52は、配線53から供給される電力に基づいて照明光を照射する。
【0025】
レンズユニット60は、光源51,52から照射される照明光を集光して、後述する照明窓62から浴室空間Sに照射するように機能する。レンズユニット60は、図4図6に示すように、一対のレンズ61,61、照明窓62、及び支持部63を備えている。一対のレンズ61,61、照明窓62、及び支持部63は、一体的に形成されている。
【0026】
レンズ61は、集光レンズとして機能する。レンズ61は、図4図6に示すように、外形が釣鐘形状であり、下方に向かうにつれて外周の長さが大きくなっている。レンズ61は、上端部において下方側に凹む凹部61Bが形成されている。凹部61Bは、円形に凹んでいる。照明窓62は、光源51,52からの照明光を外部に照射するように機能する。照明窓62は、長円状の板面を有する板状である。照明窓62は、一対のレンズ61,61の底部(下端部)に連なるように、レンズ61,61と一体的に形成されている。
【0027】
支持部63は、照明窓62の縁部に連なり、一対のレンズ61,61の側面を囲む。支持部63は、側壁部63A、及び上壁部63Bを備えている。側壁部63Aは、照明窓62の縁部に連なり、照明窓62の板面に直交するように上方に延出する。上壁部63Bは、側壁部63Aの上端部に連なり、側壁部63Aの壁面に直交するように水平方向に延出する。上壁部63Bは、上壁部63Bの4つの角部にそれぞれビス孔63Cが形成されている。レンズユニット60は、ビス孔63Cに挿通するビス(図示略)によって吐水部材31に固定されている。
【0028】
一対のレンズ61,61は、図4図6に示すように、それぞれ光源51,52が組み付けられている。一方のレンズ61の凹部61Bは、光源51が嵌め込まれている。他方のレンズ61の凹部61Bは、光源52が嵌め込まれている。一方のレンズ61は、光源51から照射される照明光(昼光色の照明光)を集光し、照明窓62から外部に照射する。他方のレンズ61は、光源52から照射される照明光(電球光色の照明光)を集光し、照明窓62から外部に照射する。光源51,52が組み付けられたレンズユニット60は、図3に示すように、吐水部材31に組み付けられている。照明窓62は、図2に示すように、貫通孔33Bを介してカバー部材33の下面から下方に突出する。
【0029】
各照明ユニット50は、光源51,52がオーバーヘッドシャワー部30の長手方向に沿うように並ぶように、オーバーヘッドシャワー部30に組み付けられている。一対の照明ユニット50,50を構成する4つの光源51,52,51,52は、昼光色、電球色、電球色、昼光色の順に照明光の色が異なるように列状に並んで配置されている。すなわち、オーバーヘッドシャワー部30の長手方向に沿うように、光源51、光源52、光源52、光源51の順に並んでいる。照明ユニット50は、例えば図示しないリモコン等の操作部の操作によって、光源51,52の点灯及び消灯の制御、光源51,52からの照明光の調色の制御、光源51,52からの照明光の調光(光の強度)の制御等が行われる。照明ユニット50は、光源51,52からの照明光の調色の制御によって、昼光色から電球色の間で任意の色温度の照明光を照射することができる。
【0030】
照明ユニット50が備える一対のレンズ61,61は、光源51,52から照射される照明光のそれぞれを集光するとともに一体化されている。そのため、1つのレンズで光源51,52からの各照明光を集光する構成(1つのレンズに複数の光源が組み付けられる構成)と異なり、各光源の干渉を回避しつつ各光源から照射される照明光を適切に集光させるためにレンズが大型化することがない。これにより、照明ユニット50の大型化を抑制して、照明装置40の小型化を図ることができる。
【0031】
次に、浴室10内において、オーバーヘッドシャワー部30から吐水される湯水を、照明装置40からの照明光によって照らす演出について説明する。図7は、洗い場床10Bの上面(浴室10の床面)における照明装置40の照射範囲を概略的に説明する説明図である。図8は、洗い場床10Bの上面における照明装置40の照射範囲及びオーバーヘッドシャワー部30の吐水範囲を概略的に説明する説明図である。図9は、洗い場床10Bの上面における照明装置40から照射される照明光の照度分布と、オーバーヘッドシャワー部30の吐水範囲との関係を概略的に説明する説明図である。なお、図7図8では、浴室10は、ベンチカウンター12が省略して示されている。以下では、ベンチカウンター12を省略した状態で説明をするが、ベンチカウンター12が省略されない状態でも、同様の効果を奏する。
【0032】
一対の照明ユニット50,50からそれぞれ照射される照明光は、重なり合って一体として洗い場床10Bに照射される。照明装置40から照射された照明光は、図9に示すように、洗い場床10Bに向かって拡がっている。照明装置40から照射された照明光は、図7に示すように、洗い場床10Bの上面において円形状になる。照明装置40から照射された照明光は、図9に示すように、挟角配光状態となり、レンズユニット60を備えない構成に比べて、照射範囲が狭くなっている。
【0033】
照明装置40から照射される照明光は、洗い場床10Bの上面における照度が、図9に示すように、正規分布となる。照明装置40からの照明光は、所定の中心位置Cで最大照度(100%)となる。照明装置40からの照明光は、洗い場床10Bの上面において、中心位置Cから外側に向かうにつれて照度が小さくなる。図7図9に示す照射範囲AR2は、洗い場床10Bの上面において、照明装置40からの照明光の最大照度(中心位置Cにおける照度)に対する照度が50%より大きい照射範囲である。照射範囲AR2は、図9に示す一部の照明光L1によって照らされる領域であって、中心位置Cを中心とする円形の照射範囲である。図7図9に示す照射範囲AR3は、洗い場床10Bの上面において、照明装置40からの照明光の最大照度(中心位置Cにおける照度)に対する照度が50%以下であり、かつ5%より大きい照射範囲である。照射範囲AR3は、図9に示す一部の照明光L2によって照らされる領域であって、中心位置Cを中心として照射範囲AR2を囲むリング状の照射範囲である。図7図9に示す照射範囲AR4は、洗い場床10Bの上面において、照明装置40からの照明光の最大照度(中心位置Cにおける照度)に対する照度が5%以下の照射範囲である。照射範囲AR4は、図9に示す一部の照明光L3によって照らされる領域であって、中心位置Cを中心として照射範囲AR3を囲むリング状の照射範囲である。
【0034】
照射範囲AR2は、照度が50%より大きい照射範囲であり、目視で明るさを感じ取ることができる領域(照射内領域)である。照射範囲AR3は、照度が50%以下であり、かつ5%より大きい照射範囲であり、目視で明るさを感じ取ることができる照射内領域である。照射範囲AR4は、照度が5%以下と低く、目視で明るさを感じ取ることができない領域(照射外領域)である。照射範囲AR3と照射範囲AR4との境界は、目視で明暗差が分かる(明るい領域と暗い領域とが区別できる)境界である。照射範囲AR2は、照射範囲AR3と比べて明るさの度合いが明らかに大きい領域である。
【0035】
操作部21Aを吐水操作することで、吐水部材31の吐水口31Bから湯水が吐出される。オーバーヘッドシャワー部30の複数の吐水突部31Aから吐出された湯水は、外側に拡がるように洗い場床10B上に落下する。複数の吐水突部31Aから吐出された湯水は、所定の高さの水平面内において略円形の吐水範囲の内側に均等に分散される。複数の吐水突部31Aから吐出された湯水は、洗い場床10Bの上面において、図8に示すように、略円形の吐水範囲AR5の内側に均等に分散される。
【0036】
照射範囲AR2の中心位置Cは、図8に示すように、洗い場床10Bの上面において、オーバーヘッドシャワー部30の吐水範囲AR5の内側に位置している。具体的には、照射範囲AR2の中心位置Cは、吐水範囲AR5の中心位置になっている。また、洗い場床10Bの上面において、照明装置40からの照明光の最大照度(中心位置Cにおける照度(100%))に対する照度が50%以下になる照射範囲(照射範囲AR3及び照射範囲AR4)が、オーバーヘッドシャワー部30から吐出される湯水の吐水範囲AR5の外側にある。より具体的には、図8図9に示すように、洗い場床10Bの上面において、照明装置40からの照明光の照射によって特に明るさの度合いが大きい照射範囲AR2は、オーバーヘッドシャワー部30の吐水範囲AR5と大部分において重なっている。
【0037】
図3に示すように、照明装置40のレンズユニット60の形状(具体的には、照明窓62における板面の長円状の形状)は、吐水口31Bの配置領域(吐水突部31Aが形成される長円状の形成領域AR1)と類似形状である。そのため、照明装置40の照射範囲AR2は、オーバーヘッドシャワー部30の吐水範囲AR5に対して重なり易い。
【0038】
図10は、図1の浴室10内で、照明装置40から照明光が照射されるとともに、オーバーヘッドシャワー部30から湯水が吐出される様子を概略的に説明する説明図である。浴室10は、照明装置40から照明光を照射した状態で、オーバーヘッドシャワー部30から湯水を吐出することで、図10に示す照明状態となる。上述したように、洗い場床10Bの上面において、図8図9に示すように、特に明るさの度合いが大きい領域(照射範囲AR2)は、オーバーヘッドシャワー部30の吐水範囲AR5と大部分において重なっている。これにより、照明装置40から照射される照明光の特に明るい部分(図9に示す照明光L1)は、照明窓62,62から浴室10の洗い場床10Bの上面に至るまで落下する湯水と重なる。すなわち、照明光L1が、照明窓62,62から洗い場床10Bの上面に至るまで湯水の拡がりに沿うように洗い場床10Bの上面に向けて照射される。したがって、照明装置40からの照明光が湯水に集中して効率的に照射され、湯水を介して拡がる光(図10に示す光L4)によって浴室空間Sで効果的な演出を行うことができる。
【0039】
照明装置40からの照明光L1は、図10に示すように、洗い場床10Bの上面及びベンチカウンター12の上面に溜まった湯水を照らし出す。これにより、照明装置40は、洗い場床10Bの上面及びベンチカウンター12の上面で光溜まりのライティング(図10に示す光L5参照)のような演出を行うことができる。
【0040】
照明装置40から照射される照明光は、4つの光源51,52,51,52から照射される照明光が合わさり、所定の色温度となる。照明装置40が備える4つの光源51,52,51,52は、昼光色、電球色、電球色、昼光色の順に照明光の色が異なるように列状に並んで配置されている。電球色の照明光が4つの光源51,52,51,52の配列方向における中央側(オーバーヘッドシャワー部30の長手方向における中央側)から照射される。そのため、比較的落ち着いた色である電球色の照明光を照明光全体の中央側に集中させることができる。一方で、昼光色の照明光が4つの光源51,52,51,52の配列方向における外側から照射されるため、比較的明るい色である昼光色の照明光を外側に拡がるように広い範囲に照射させることができる。したがって、落ち着いた色の光が内側にこもったような光を作り出すことができ、心地良い照明環境を作り出すことができる。
【0041】
照明装置40は、例えば各照明ユニット50から昼光色の照明光を照射する場合、オーバーヘッドシャワー部30の吐水口31Bから吐出される湯水に昼光色の照明光を集中的に照射する。これにより、明るい色である昼光色の照明光は、天井パネル10Aに近い浴室10内の高い位置(頭上)で湯水を介して拡がる。そのため、照明装置40は、シャワーを浴びる人に対する覚醒効果を生じさせることができる。
【0042】
照明装置40は、例えば各照明ユニット50から電球色の照明光を照射する場合、オーバーヘッドシャワー部30の吐水口31Bから吐出される湯水に電球色の照明光を集中的に照射する。これにより、落ち着いた色である電球色の照明光が、天井パネル10Aに近い浴室10内の高い位置(頭上)で湯水を介して拡がる。また、照明装置40は、洗い場床10Bの上面及びベンチカウンター12の上面で電球色の光溜まりのライティング(図10に示す光L5参照)のような演出を行うことができる。以上により、照明装置40は、浴室10内に幻想的でリラックスできる心地良い照明環境を作り出すことができる。
【0043】
照明窓62,62は、複数の吐水口31Bに囲まれるように配置されている。吐水口31Bから湯水が吐出されているときに、照明窓62,62が湯水によって覆われることになるため、照明窓62,62を目立たなくなる。そのため、照明装置40から照明光を照射して浴室空間S内で演出を行う際に、照明窓62,62が見えることによる美観の低下を防ぐことができる。
【0044】
一対の照明ユニット50,50は、それぞれ複数の吐水口31Bに囲まれるようにオーバーヘッドシャワー部30に組み付けられている。これにより、照明ユニット50は、複数の吐水口31Bによって必ずリング状に囲むことができ、オーバーヘッドシャワー部30の吐水範囲AR5を円形に設定し易くなる。そのため、オーバーヘッドシャワー部30は、シャワーの浴び心地を良好に維持した上で、吐出する湯水用いて照明の演出を行うことができる。
【0045】
以下、本構成の効果を例示する。
実施例1の照明装置40は、洗い場床10Bの上面において、光源51,52,51,52から照射される照明光の最大照度に対する照度が50%以下になる照射範囲(照射範囲AR3及び照射範囲AR4)が、オーバーヘッドシャワー部30から吐出される湯水の吐水範囲AR5の外側にあるように照明光を照射する。これにより、光源51,52,51,52から照射される照明光の大部分を、照明窓62,62から洗い場床10Bの上面に至るまでの吐水範囲内に収まるようにすることができる。そのため、光源51,52,51,52からの照明光が、照明窓62,62から洗い場床10Bの上面に至るまで湯水の拡がりに沿うように洗い場床10Bに向けて照射される。したがって、光源51,52,51,52からの照明光が湯水に集中して照射されることになり、湯水を介して拡がる光によって浴室空間Sで効果的な演出を行うことができる。
【0046】
照明装置40は、照明窓62,62が、複数の吐水口31Bに囲まれるように配置されている。これにより、照明装置40は、吐水口31Bから湯水が吐出されているときに、照明窓62,62が湯水によって覆われることになるため、照明窓62,62を目立たなくさせることができる。そのため、光源51,52,51,52から照明光を照射して浴室空間S内で演出を行う際に、照明窓62,62が見えることによる美観の低下を防ぐことができる。
【0047】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1では、照明装置40から照射された照明光が、洗い場床10Bの上面において円形状であったが、円形状以外の形状であってもよい。
(2)実施例1では、オーバーヘッドシャワー部30の複数の吐水突部31Aから吐出された湯水が、洗い場床10Bの上面において円形の吐水範囲の内側に分散されるが、円形以外の吐水範囲の内側に分散されてもよい。
(3)実施例1では、長円形状の照明窓62を有する一対の照明ユニット50,50が、それぞれ複数の吐水口31Bに囲まれるように配置されていた。しかしながら、照明ユニット50の形状や、照明ユニット50及び吐水口31Bの配置関係は、その他の構成であってもよい。例えば、照明ユニット50(具体的には照明窓62)は、リング状であり、照明窓62の内側(周囲)及び外側に複数の吐水口31Bが配置されてもよい。
(4)実施例1では、オーバーヘッドシャワー部30が、水平方向に細長い略直方体形状であったが、その他の形状であってもよい。例えば、オーバーヘッドシャワー部30は、下方から見て円形状であってもよい。また、実施例1では、照明ユニット50(具体的には照明窓62)が、下方から見て長円状であったが、その他の形状であってもよい。例えば、照明ユニット50(具体的には照明窓62)は、下方から見て円形状であってもよい。
(5)実施例1では、照明装置40から照射される照明光の照度が、洗い場床10Bの上面において正規分布となる例(図9)を示したが、照度が正規分布でなくてもよい。例えば、照明装置40は、一対の照明ユニット50,50からそれぞれ照射される照明光が合わさって、ピークが2つの照度分布が生じる構成であってもよい。
(6)実施例1では、照明装置40が備える照明ユニット50の数が2つであったが、2つ以外であってもよい。また、照明ユニット50が備えるレンズ61の数が2つであったが、2つ以外であってもよい。また、照明ユニット50が備える光源51,52の数が2つであったが、2つ以外であってもよい。
(7)実施例1では、照明装置40が備える4つの光源51,52,51,52からそれぞれ照射される照明光が、昼光色、電球色、電球色、昼光色であったが、照明光の色がそれ以外の組み合わせであってもよい。例えば、4つの光源51,52,51,52からそれぞれ照射される照明光が、全て昼光色、又は全て電球色であってもよい。また、照明ユニット50が3つの光源を備える構成である場合に、3つの光源がそれぞれ赤色、青色、及び緑色の照明光を照射する構成であってもよい。
(8)実施例1では、レンズ61が照明窓62と一体的であったが、レンズ61が照明窓62に対して着脱可能であってもよい。
(9)実施例1では、光溜まりのライティング(図10に示す光L5参照)が、洗い場床10Bの上面及びベンチカウンター12の上面に生じる例を示したが、洗い場床10Bの上面のみに生じる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…浴室
10B…洗い場床
30…オーバーヘッドシャワー部(吐水部)
31B…吐水口
40…照明装置
51,52…光源
62…照明窓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10