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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20220104BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20220104BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20220104BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20220104BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20220104BHJP
   H01G 17/00 20060101ALI20220104BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20220104BHJP
【FI】
H01M50/262 S
H01M50/291
H01M50/209
H01G11/12
H01G11/78
H01G17/00
H01G2/02 101E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017175054
(22)【出願日】2017-09-12
(65)【公開番号】P2019053826
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】316014102
【氏名又は名称】株式会社ブルーエナジー
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】西村 洋介
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-031900(JP,A)
【文献】特開2015-050067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
H01G11/12
H01G11/78
H01G17/00
H01G 2/02
H01G 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子と隣接する隣接部材と、
前記隣接部材に対して前記蓄電素子と反対側において隣接する終端部材と、を備え、
前記終端部材は、
前記隣接部材に沿って広がる本体と、
前記隣接部材と反対側に前記本体から突出する軸部と、を有し、
前記隣接部材は、前記軸部の軸心方向に突出する凸部を有し、
前記凸部は、前記軸心方向における前記軸部の投影領域と少なくとも一部が重なる位置において前記本体に挿入され
前記本体は、
前記軸部が取り付けられている第一部位と、
前記軸心方向から見て少なくとも前記軸部と重なる領域において、前記第一部位と前記軸心方向に間隔をあけて配置される第二部位と、を有し、
前記第二部位は、前記凸部が挿入される凸部挿入孔又は凸部挿入凹部を有する、蓄電装置。
【請求項2】
頭部と該頭部から延びる前記軸部とを有し且つ前記本体に対して前記隣接部材側から前記軸部を挿通させた状態で前記第一部位に取り付けられているボルト部材を備え、
前記第二部位は、前記頭部が前記第一部位との間に位置するように該第一部位と前記軸心方向に間隔をあけて配置される、請求項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子と隣接する隣接部材及び該隣接部材と隣接する終端部材を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、積層された蓄電セルの積層方向両端部に一対のエンドプレートが配置された蓄電モジュールが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
具体的に、この蓄電モジュールは、積層方向に積層された所定個数の蓄電セルと、所定個数の蓄電セルの積層方向外側に重ね合わされる一対のエンドプレートと、を備える。一対のエンドプレートのそれぞれは、金属板をプレス成形した第一プレートと、第一プレートと一体に重ねわされる平坦な金属板よりなる第二プレートとで構成される。第二プレートでは、二本のボルトが積層方向外側に突出している。
【0004】
以上の蓄電モジュールにおいて、第二プレートから突出するボルトに軸心周りの力が加わると、該第二プレートと第一プレートの接合箇所に大きな力(トルク)が加わる。このため、第一プレートと第二プレートとは、重ね合わされて一体に溶接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-99648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本実施形態は、終端部材の軸部に軸心周りの力が加わったときに、終端部材と該終端部材に隣接する隣接部材との係合部位に加わる力が抑えられる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の蓄電装置は、
蓄電素子と隣接する隣接部材と、
前記隣接部材に対して前記蓄電素子と反対側において隣接する終端部材と、を備え、
前記終端部材は、
前記隣接部材に沿って広がる本体と、
前記隣接部材と反対側に前記本体から突出する軸部と、を有し、
前記隣接部材又は前記終端部材は、前記軸部の軸心方向に突出する凸部を有し、
前記凸部は、前記軸心方向における前記軸部の投影領域と少なくとも一部が重なる位置において前記本体又は前記隣接部材に挿入されている。
【0008】
軸部に軸心周りの力が加わった場合、軸心方向と直交する方向の軸部(軸心)からの距離が大きくなるほど、隣接部材と終端部材との係合部位(即ち、隣接部材の凸部(又は終端部材の凸部))に加わる力(トルク等の前記軸部の軸心周りに加わる力に起因する力)が大きくなる。しかし、上記構成によれば、隣接部材の凸部(又は終端部材の凸部)が前記軸心方向における軸部の投影領域と少なくとも一部が重なる位置において終端部材の本体(又は隣接部材)に挿入されているため、前記距離(軸心方向と直交する方向の軸部(軸心)からの距離)が十分に小さくなり、これにより、軸部に対して軸心周りの力が加わったときの凸部に加わる力を抑えることができる。
【0009】
前記蓄電装置は、
前記隣接部材は、前記凸部を有し、
前記本体は、
前記軸部が取り付けられている第一部位と、
前記軸心方向から見て少なくとも前記軸部と重なる領域において、前記第一部位と前記軸心方向に間隔をあけて配置される第二部位と、を有し、
前記第二部位は、前記凸部が挿入される凸部挿入孔又は凸部挿入凹部を有してもよい。
【0010】
かかる構成によれば、本体が少なくとも部分的に(軸心方向から見て軸部と重なる領域が)二重構造となっているため、終端部材の強度が十分に確保される。しかも、凸部が終端部材において軸部が取り付けられた部位と異なる位置にある第二部位に挿入されているため、例えば、軸部の基部(本体側の端部)等に凹部を設けて該凹部に隣接部材の凸部を挿入させる必要がなく、これにより、軸部の形状等による制約を受けずに凸部の形状等が設定できる。即ち、凸部の形状等の設計の自由度が大きい。
【0011】
前記蓄電装置は、
頭部と該頭部から延びる前記軸部とを有し且つ前記本体に対して前記隣接部材側から前記軸部を挿通させた状態で前記第一部位に取り付けられているボルト部材を備え、
前記第二部位は、前記頭部が前記第一部位との間に位置するように該第一部位と前記軸心方向に間隔をあけて配置されてもよい。
【0012】
このように、第一部位と第二部位との間に間隔を設け、この間隔にボルト部の頭部を位置させることで、終端部材に対する隣接部材の配置においてボルト部の頭部が邪魔にならない。
【発明の効果】
【0013】
以上より、本実施形態によれば、終端部材の軸部に軸心周りの力が加わったときに、終端部材と該終端部材に隣接する隣接部材との係合部位に加わる力が抑えられる蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本実施形態に係る蓄電装置の斜視図である。
図2図2は、前記蓄電装置の一部を省略した状態の分解斜視図である。
図3図3は、前記蓄電装置の終端隣接部材の斜視図である。
図4図4は、前記終端隣接部材の斜視図である。
図5図5は、図1のV-V位置における終端部材と前記終端隣接部材との断面図である。
図6図6は、図1のVI-VI位置における終端部材と前記終端隣接部材との断面図である。
図7図7は、一対の終端部材のうちの一方の終端部材の斜視図である。
図8図8は、前記一方の終端部材の斜視図である。
図9図9は、前記一対の終端部材のうちの他方の終端部材の斜視図である。
図10図10は、前記他方の終端部材の斜視図である。
図11図11は、他実施形態に係る蓄電装置における終端部材と終端隣接部材との断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図1図10を参照しつつ説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0016】
蓄電装置は、図1及び図2に示すように、蓄電素子10と、蓄電素子10と隣接する隣接部材2と、蓄電素子10と隣接部材2とを保持する保持部材4と、を備える。本実施形態の蓄電装置1は、複数の蓄電素子10と、複数の隣接部材2と、を備え、保持部材4は、複数の蓄電素子10と複数の隣接部材2とをひとまとめに保持する。また、蓄電装置1は、蓄電素子10と保持部材4との間に配置されるインシュレータ6と、異なる蓄電素子10同士を導通可能に接続するバスバ8と、を備える。
【0017】
複数の蓄電素子10は、所定の方向(X軸方向)に並ぶ。これら複数の蓄電素子10のそれぞれは、一次電池、二次電池、キャパシタ等である。本実施形態の蓄電素子10は、充放電可能な非水電解質二次電池である。より具体的には、蓄電素子10は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。
【0018】
蓄電素子10は、電極体と、電極体を電解液と共に収容するケース13と、少なくとも一部がケース13の外側に露出する外部端子14と、電極体と外部端子14とを接続する集電体と、を備える。
【0019】
電極体では、正極と負極とがセパレータを介して交互に積層されている。この電極体においてリチウムイオンが正極と負極との間を移動することにより、蓄電素子10が充放電する。
【0020】
ケース13は、開口を有するケース本体131と、ケース本体131の開口を塞ぐ(閉じる)板状の蓋板132と、を有する。本実施形態のケース本体131は、有底角筒状であり、ケース13は、直方体形状(六面形状)である。本実施形態のケース13は、扁平な直方体形状であり、複数の蓄電素子10は、ケース13(ケース本体131)の幅広な面(壁部)を対向させた状態で、X軸方向に並んでいる。
【0021】
以下では、複数の蓄電素子10が並ぶ方向を直交座標系のX軸、ケース本体131の幅狭な一対の面(壁部)が対向する方向を直交座標系のY軸、蓋板132の法線方向を直交座標系のZ軸とする。
【0022】
隣接部材2は、図1及び図2に示すように、X軸方向に並ぶ蓄電素子10の間、又は蓄電素子10と該蓄電素子10に対してX軸方向に並ぶ部材(本実施形態の例では、保持部材4の一部)との間に配置される。この隣接部材2は、複数種の隣接部材を含む。本実施形態の隣接部材2は、X軸方向の途中位置にある蓄電素子10と隣接する中間隣接部材21と、X軸方向において最も端にある蓄電素子10の外側で該蓄電素子10と隣接する終端隣接部材(隣接部材)22と、を含む。中間隣接部材21は、各蓄電素子10間に配置されている。即ち、蓄電装置1は、複数の中間隣接部材21を有する。また、終端隣接部材22は、X軸方向の最も端に配置された蓄電素子10の外側のそれぞれに配置されている。即ち、蓄電装置1は、一対の終端隣接部材22を有する。
【0023】
複数の中間隣接部材21のそれぞれは、絶縁性を有し、X軸方向に隣り合う二つの蓄電素子10間に配置される。この中間隣接部材21によって、X軸方向に隣り合う二つの蓄電素子10の間に所定の間隔(沿面距離等)が確保される。
【0024】
具体的に、中間隣接部材21は、X軸方向に隣り合う二つの蓄電素子10の間に位置する板状の第一本体部211と、第一本体部211に隣接する蓄電素子10の該第一本体部211に対する移動を規制する第一規制部212と、を有する。
【0025】
第一本体部211は、蓄電素子10のケース13の幅広面と対向する部位であり、Y-Z面(Y軸とZ軸とを含む面)方向に広がる。本実施形態の第一本体部211は、隣接する蓄電素子10との間に温度調整用の流体(本実施形態の例では空気)が流通可能な流路を形成する。
【0026】
第一規制部212は、第一本体部211からX軸方向に延び、第一本体部211と隣接する蓄電素子10(詳しくはケース13)とY-Z面方向の外側から当接することによって該蓄電素子10の第一本体部211に対するY-Z面方向への相対移動を規制する。本実施形態の第一規制部212は、第一本体部211からX軸方向の両側に向けてそれぞれ延びている。
【0027】
一対の終端隣接部材22のそれぞれは、絶縁性を有し、X軸方向に隣り合う蓄電素子10と保持部材4(終端部材41)との間に配置される。この終端隣接部材22によって、蓄電素子10と保持部材4(終端部材41)との間に所定の間隔(沿面距離等)が確保される。本実施形態の一対の終端隣接部材22のそれぞれは、同じ形状である。
【0028】
具体的に、終端隣接部材22は、図3及び図4にも示すように、蓄電素子10及び保持部材4との間において蓄電素子10と隣接する第二本体部221と、第二本体部221に対する蓄電素子10の移動を規制する第二規制部222と、を有する。
【0029】
第二本体部221は、X軸方向の端部に配置された蓄電素子10のケース13における幅広面と対向する部位であり、Y-Z面方向に広がる板状の部位である。この第二本体部221の輪郭は、蓄電素子10のケース13の輪郭と対応する。即ち、第二本体部221は、X軸方向から見て、Y軸方向に長尺な矩形状である。
【0030】
この第二本体部221は、終端部材41側を向いた面(外面)221Aに、該外面221AからX軸方向に突出する少なくとも一つの凸部223を有する。この凸部223は、図5及び図6にも示すように、有底筒状であり、略円柱面状の基部2231と、基部2231から凸部223の先端に向けて径が漸減するテーパー部2232と、によって構成される周面2230を有する。本実施形態の第二本体部221は、四つの凸部223を有し、これら四つの凸部223のそれぞれは、同じ形状である。
【0031】
これら四つの凸部223は、外面221AのY軸方向の中央位置においてZ軸方向に延びる仮想線αを対象軸として線対称に配置されている。また、四つの凸部223は、仮想線αに対して同じ角度で交差し且つ該仮想線α上において交差する二つの仮想直線の各仮想直線(仮想傾斜線D1、D2:図3参照)上に二つずつ配置されている。
【0032】
また、第二本体部221は、蓄電素子10側を向いた面(内面)221Bに、Y軸方向に延びる複数の突条224を有する。これら複数の突条224は、Z軸方向に間隔をあけて並ぶ。第二本体部221は、各突条224の突出方向(X軸方向)の先端を該第二本体部221(終端隣接部材22)と隣り合う蓄電素子10に当接させた状態で配置される。これにより、第二本体部221と隣接する蓄電素子10との間に温度調整用の流体(本実施形態の例では空気)が流通可能な流路が形成される。
【0033】
第二規制部222は、第二本体部221からX軸方向に延び、第二本体部221と隣接する蓄電素子10(詳しくはケース13)とY-Z面方向の外側から当接することによって該蓄電素子10の第二本体部221に対するY-Z面方向への相対移動を規制する。本実施形態の第二規制部222は、第二本体部221からX軸方向の一方側(蓄電素子10の配置されている側)に向けて延びている。
【0034】
保持部材4は、図1及び図2に示すように、複数の蓄電素子10と複数の隣接部材2との周囲を囲むことで、これら複数の蓄電素子10及び複数の隣接部材2をひとまとめに保持する。この保持部材4は、金属等の導電性を有する部材によって構成される。具体的に、保持部材4は、X軸方向において複数の蓄電素子10の両側に配置される一対の終端部材41と、一対の終端部材41を連結する連結部材45と、を有する。
【0035】
一対の終端部材41のそれぞれは、X軸方向の端に配置された蓄電素子10との間に終端隣接部材22を挟み込むように配置される。図7図10にも示すように、一対の終端部材41のうちの一方の終端部材41Aの形状と、他方の終端部材41Bの形状とは、対称(鏡像関係)である。
【0036】
終端部材41は、終端隣接部材22に沿って広がる本体42と、本体42に取り付けられるボルト部材43と、を有する。本実施形態の終端部材41は、二つのボルト部材43を有する。
【0037】
二つのボルト部材43のそれぞれは、頭部431と、頭部431から延びる軸部432と、を有する。頭部431は、Y-Z面方向において軸部432より大きい。即ち、頭部431は、軸部432の径より大きい。本実施形態の頭部431は、円盤状である。軸部432は、X軸方向に延びる雄ねじである。このボルト部材43は、蓄電装置1が搭載又は設置等される際に、蓄電装置1を設置対象物に固定するのに用いられる。例えば、本実施形態の蓄電装置1が自動車に搭載される場合、ボルト部材43は、蓄電装置1を該自動車の設置位置に固定するのに用いられる。
【0038】
本実施形態の本体42では、二つの板状の部材(平板状の部材と凹凸形状の部材と)が重ねられている。具体的に、本体42は、Y-Z面方向に広がり且つボルト部材43の軸部432が挿通される第一部材(第一部位)421と、X軸方向から見て少なくともボルト部材43の頭部431と重なる領域において該頭部431が第一部材421との間に位置するように該第一部材421とX軸方向に間隔をあけて配置される第二部材(第二部位)422と、を有する。
【0039】
第一部材421は、Y-Z面方向に広がる平板状である。本実施形態の第一部材421は、Z軸方向の一方(図7及び図9における上側)の端部が折り曲げられている。第一部材421の輪郭は、蓄電素子10のケース13の輪郭と対応する。即ち、第一部材421は、X軸方向から見て、Y軸方向に長尺な矩形状である。この第一部材421は、ボルト部材43の軸部432が挿通される軸部挿通孔421Aを有する(図5及び図6参照)。この軸部挿通孔421Aは、ボルト部材43の軸部432の通過を許容するが、頭部431の通過を許容しない。即ち、軸部挿通孔421Aは、軸部432の径より大きく且つ頭部431のY-Z面方向の大きさより小さい。本実施形態の第一部材421は、二つの軸部挿通孔421Aを有する。これら二つの軸部挿通孔421Aは、Y軸方向に異なった位置で且つZ軸方向に異なった位置(図7及び図9に示す例では、終端隣接部材22の仮想傾斜線D1又はD2と対応する線上)に配置されている。
【0040】
これら二つの軸部挿通孔421Aは、終端隣接部材22の凸部223と対応する位置に配置されている。例えば、一方の終端部材41Aの二つの軸部挿通孔421Aは、第二本体部221の一方の仮想傾斜線D1(図3参照)上に配置される二つの凸部223と対応する位置に配置され、他方の終端部材41Bの二つの軸部挿通孔421Aは、第二本体部221の他方の仮想傾斜線D2(図3参照)上に配置される二つの凸部223と対応する位置に配置される。即ち、一方の終端部材41Aと他方の終端部材41Bとでは、図7図10に示すように、第一部材421の二つの軸部挿通孔421Aの配置が対称(鏡像関係)である。
【0041】
ここで、終端隣接部材22の凸部223と対応する位置とは、軸部挿通孔421Aにボルト部材43の軸部432が挿通された状態で、該軸部432のX軸方向への投影領域P1に凸部223の少なくとも一部が重なるような位置である(図5及び図6参照)。
【0042】
第二部材422の輪郭は、第一部材421の輪郭と対応する。即ち、第二部材422は、X軸方向から見て、Y軸方向に長尺な矩形状である。この第二部材422は、第一部材421に対して内側(蓄電素子10側)に膨らむ膨出部4221を有する。また、第二部材422は、第一部材421に沿った平坦部4222も有する。
【0043】
膨出部4221は、Y軸方向に延びている。本実施形態の膨出部4221は、Z軸方向における第一部材421の二つの軸部挿通孔421Aのそれぞれと対応するにおいて、Y軸方向に延びている。即ち、第二部材422は、Z軸方向に間隔をあけて配置される二つの膨出部4221を有する。尚、本実施形態の第二部材422では、膨出部4221以外の部位が平坦部4222である。
【0044】
二つの膨出部4221のそれぞれは、終端隣接部材22の凸部223が挿入される凸部挿入孔4221Aを有する。即ち、凸部挿入孔4221Aは、終端隣接部材22の凸部223と対応する位置(X軸方向から見て重なる位置)に設けられている。また、凸部挿入孔4221Aは、第一部材421の軸部挿通孔421Aと対応する位置に設けられている。本実施形態の凸部挿入孔4221Aでは、その中心が、軸部挿通孔421Aの中心に対してZ軸方向にずれている(図5及び図6に示す例では、下方にずれている。)。このずれ量(ずれ幅)は、軸部挿通孔421Aに挿通されたボルト部材43の軸部432のX軸方向への投影領域P1に、凸部挿入孔4221Aに挿入された凸部223の少なくとも一部が重なる範囲内である。
【0045】
また、二つの膨出部4221のそれぞれは、終端隣接部材22における凸部挿入孔4221Aに挿入されている凸部223とY軸方向に隣り合う凸部223を避けた位置に配置されている(即ち、前記隣り合う凸部223を避けた形状である)。これにより、一方の終端部材41Aにおいて、第二本体部221の一方の仮想傾斜線D1上に配置される二つの凸部223のそれぞれは、対応する膨出部4221の凸部挿入孔4221Aに挿入され、第二本体部221の他方の仮想傾斜線D2上に配置される二つの凸部223のそれぞれは、平坦部4222と対向している。また、他方の終端部材41Bにおいて、第二本体部221の他方の仮想傾斜線D2上に配置される二つの凸部223のそれぞれは、対応する膨出部4221の凸部挿入孔4221Aに挿入され、第二本体部221の一方の仮想傾斜線D1上に配置される二つの凸部223のそれぞれは、平坦部4222と対向している。
【0046】
以上のように構成される一対の終端部材41のそれぞれは、第二部材422の二つの膨出部4221のそれぞれを終端隣接部材22(第二本体部221)の外面221Aに当接させた状態で配置されている(図5及び図6参照)。
【0047】
図1及び図2に示すように、一対の連結部材45は、Y軸方向において複数の蓄電素子10の両側に配置される。これら一対の連結部材45のそれぞれは、X軸方向に延び且つZ軸方向に間隔をあけて配置される一対の梁部450と、一対の梁部450の端部同士を連結する一対の端部連結部451と、X軸方向における途中位置において一対の梁部450同士を連結する中間連結部452と、を有する。本実施形態の連結部材45は、複数の中間連結部452を有する。
【0048】
インシュレータ6は、絶縁性を有する。このインシュレータ6は、連結部材45と、複数の蓄電素子10との間に配置される。具体的に、インシュレータ6は、連結部材45における少なくとも複数の蓄電素子10と対向する領域を覆う。これにより、インシュレータ6は、連結部材45と、複数の蓄電素子10との間を絶縁する。
【0049】
バスバ8は、金属等の導電性を有する板状の部材である。バスバ8は、蓄電素子10の外部端子14同士を導通させる。バスバ8は、蓄電装置1において複数(複数の蓄電素子10と対応する数)設けられる。本実施形態の複数のバスバ8は、蓄電装置1に含まれる複数の蓄電素子10の全てを直列に接続する(導通させる)。
【0050】
ボルト部材43の軸部432に軸心周りの力が加わった場合、軸心方向と直交する方向の軸部432(詳しくは、軸部432の軸心)からの距離が大きくなるほど、終端隣接部材22における終端部材41との係合部位(本実施形態の例では、凸部223)に加わる力(トルク等の前記軸部432の軸心周りに加わる力に起因する力)が大きくなる。しかし、本実施形態の蓄電装置1によれば、終端隣接部材22の凸部223がX軸方向における軸部432の投影領域と少なくとも一部が重なる位置において終端部材41の本体42に挿入されているため、前記距離(X軸方向と直交する方向の軸部432(軸心)からの距離)が十分に小さくなる。これにより、ボルト部材43の軸部432に対して軸心周りの力が加わったときの終端部材41から凸部223(終端隣接部材22における終端部材41と係合している部位)に加わる力を抑えることができる。
【0051】
また、本実施形態の蓄電装置1では、終端部材41が、ボルト部材43が挿通される軸部挿通孔421Aを有する第一部材421と、X軸方向(軸心方向)から見て少なくとも頭部431と重なる領域において該頭部431が第一部材421との間に位置するように該第一部材421とX軸方向に間隔をあけて配置される第二部材422と、を有する。
【0052】
このように、終端部材41が、少なくとも部分的に(X軸方向から見てボルト部材43の頭部431と重なる領域が)二重構造となっているため、終端部材41の強度が十分に確保される。しかも、凸部223が終端部材41においてボルト部材43(頭部431)と異なる位置にある第二部材422に挿入されているため(即ち、図11に示すように、終端部材41にボルト部材43を介して凸部223を挿入する必要がないため)、ボルト部材43の形状等による制約を受けずに凸部223の形状等が設定できる。即ち、凸部223の形状等の設計の自由度が大きい。
【0053】
また、本実施形態の蓄電装置1では、第一部材421と第二部材422との間に間隔を設け、この間隔にボルト部材43の頭部431を位置させることで、終端部材41に対する終端隣接部材22の配置においてボルト部材43の頭部431が邪魔にならない。
【0054】
尚、本発明の蓄電装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0055】
上記実施形態の終端部材41において、終端隣接部材22の凸部223が挿入される部位は、第二部材422に設けられた孔(凸部挿入孔4221A)であるが、この構成に限定されない。終端部材41における凸部223が挿入される部位は、凹部(凸部挿入凹部)であってもよい。即ち、凸部223が挿入されることで、終端部材41に対する終端隣接部材22の位置決めができる構成であればよい。尚、図11に示す例では、ボルト部材43の頭部431に凸部挿入凹部431Aが設けられ、この凸部挿入凹部431Aに終端隣接部材22の凸部223が挿入されているが、第二部材422や他の部材(第一部材421及び第二部材422以外の部材)に、凸部挿入凹部431A等が設けられてもよい。
【0056】
また、上記実施形態の蓄電装置1では、凸部223が終端隣接部材22に設けられ、凸部挿入孔4221Aが終端部材41に設けられているが、この構成に限定されない。例えば、凸部(終端部材41と終端隣接部材22との係合部位)が終端部材41に設けられ、前記凸部が挿入される凸部挿入孔又は凸部挿入凹部が終端隣接部材22に設けられてもよい。
【0057】
また、上記実施形態の終端部材41では、第二部材422が膨出部4221と平坦部4222とを有しているが、この構成に限定されない。第二部材422は、膨出部4221のみを有していてもよい。かかる構成によっても、終端部材41の強度を十分に確保することができる。
【0058】
また、上記実施形態の終端部材41では、第一部材421と第二部材422とにおいて、X軸方向に間隔があいている部位は、部分的(膨出部4221が設けられた部位のみ)であるが、この構成に限定されない。第一部材421と第二部材422とは、Y-Z面方向における略全体(略全域)がX軸方向に間隔をあけた構成でもよい。
【0059】
また、上記実施形態の終端部材41は、第一部材421と第二部材422とがX軸方向に重ねられた二重構造であるが、この構成に限定されない。終端部材41は、一つの部材によって構成されてもよい。この場合、例えば図11に示すように、ボルト部材43の頭部431及び軸部432に凸部挿入凹部431Aが設けられ、この凸部挿入凹部431Aに終端隣接部材22の凸部223が挿入される構成でもよい。かかる構成によっても、終端隣接部材22の凸部223は、X軸方向における軸部432の投影領域P1と少なくとも一部が重なる位置において終端部材41(本体42)に挿入される。
【0060】
上記実施形態の終端部材41に配置されるボルト部材43は二つであるが、一つ又は三つ以上でもよい。この場合、全てのボルト部材43の軸部432とX軸方向から見て重なる位置のそれぞれに凸部223が挿入される部位が形成される必要は無く、前記凸部223が挿入される部位は、少なくとも一つ形成されていればよい。
【0061】
また、上記実施形態の終端部材41では、第一部材421にボルト部材43が挿通されることで、終端部材41の本体42から軸部432が突出する構成であるが、この構成に限定されない。例えば、X軸方向に延びる軸部(ボルト部材43の軸部432に相当する部材)が溶接等によって第一部材421に接続されることで、終端部材41の本体42から軸部が突出する構成であってもよい。
【0062】
また、上記実施形態においては、蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子の種類や大きさ(容量)は任意である。また、上記実施形態において、蓄電素子の一例として、リチウムイオン二次電池について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタの蓄電素子にも適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…蓄電装置、2…隣接部材、21…中間隣接部材、211…第一本体部、212…第一規制部、22…終端隣接部材、221…第二本体部、221A…第二本体部の外面、221B…第二本体部の内面、222…第二規制部、223…凸部、2230…周面、2231…基部、2232…テーパー部、224…突条、4…保持部材、41…終端部材、41A…一方の終端部材、41B…他方の終端部材、42…本体、421…第一部材(第一部位)、421A…軸部挿通孔、422…第二部材(第二部位)、4221…膨出部、4221A…凸部挿入孔、4222…平坦部、43…ボルト部材、431…頭部、431A…凸部挿入凹部、432…軸部、45…連結部材、450…梁部、451…端部連結部、452…中間連結部、6…インシュレータ、8…バスバ、10…蓄電素子、13…ケース、131…ケース本体、132…蓋板、14…外部端子、D1、D2…仮想傾斜線、P1…軸部の投影領域、α…仮想線
図1
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