(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
B65G 47/52 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
B65G47/52 101Z
(21)【出願番号】P 2017186261
(22)【出願日】2017-09-27
【審査請求日】2020-02-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508192142
【氏名又は名称】台湾大福高科技設備股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇
(72)【発明者】
【氏名】辻 知彦
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-282140(JP,A)
【文献】特開2017-013946(JP,A)
【文献】特開2001-253524(JP,A)
【文献】特開2000-085964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133,1/14-1/20,35/00,
47/52,47/56-47/62,47/66
B61B 1/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁体に形成された開口部を通る走行経路に沿って走行する物品搬送車と、
前記物品搬送車を走行経路に沿って案内する案内レールと、
前記壁体の壁面に沿う方向の移動により前記開口部を閉鎖する防火扉と、を備え、
前記防火扉が通過可能な第1隙間が、前記案内レールに設けられている物品搬送設備であって、
前記案内レールが、前記第1隙間より大きい第2隙間を挟んで前記走行経路に沿う方向の両側に分かれて配置された第1レール本体部と第2レール本体部とを備えると共に、第1レール本体部に取り付けられた第1調整部材と、第2レール本体部に取り付けられた第2調整部材とを備え、
前記第1レール本体部は、前記物品搬送車の走行輪が転動する第1本体走行面を備え、
前記第2レール本体部は、前記物品搬送車の走行輪が転動する第2本体走行面を備え、
前記第1調整部材は、前記第1本体走行面に続く走行面を形成する第1調整走行面を備えると共に、当該第1調整走行面の少なくとも一部が前記第2隙間に突出するように配置され、
前記第2調整部材は、前記第2本体走行面に続く走行面を形成する第2調整走行面を備えると共に、当該第2調整走行面の少なくとも一部が前記第2隙間に突出するように配置され、
前記第1調整部材と前記第2調整部材との対向する隙間が前記第1隙間であり、
前記第1隙間の位置を、前記走行経路に沿う方向に変更可能とする調整機構が設けられている物品搬送設備。
【請求項2】
前記第1レール本体部は、前記第1調整部材が取り付けられる第1取付部を備え、
前記第2レール本体部は、前記第2調整部材が取り付けられる第2取付部を備え、
前記調整機構は、前記第1取付部に対する前記第1調整部材の取付位置を変更可能とする第1位置調整部と、前記第2取付部に対する前記第2調整部材の取付位置を変更可能とする第2位置調整部と、を含む請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記第1レール本体部は、前記第1調整部材が取り付けられる第1取付部を備え、
前記第2レール本体部は、前記第2調整部材が取り付けられる第2取付部を備え、
前記調整機構は、前記第2隙間への前記第1調整走行面の突出量が異なる複数種類の前記第1調整部材の内の任意の1つを、前記第1取付部に対して着脱可能に固定する第1固定部と、前記第2隙間への前記第2調整走行面の突出量が異なる複数種類の前記第2調整部材の内の任意の1つを、前記第2取付部に対して着脱可能に固定する第2固定部と、を含む請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記第1調整部材及び前記第2調整部材は、それぞれ一定厚さの板状部材であり、
前記第1取付部は、前記第1レール本体部における前記第1本体走行面が形成される面に形成された第1凹部を備え、
前記第2取付部は、前記第2レール本体部における前記第2本体走行面が形成される面に形成された第2凹部を備え、
前記第1凹部は、前記第2隙間に向かって開口すると共に、前記第1本体走行面からの深さが前記第1調整部材の厚さと同じであり、
前記第2凹部は、前記第2隙間に向かって開口すると共に、前記第2本体走行面からの深さが前記第2調整部材の厚さと同じであり、
前記第1調整部材の一部が前記第2隙間に突出すると共に、前記第1調整走行面が前記第1本体走行面と同一平面上に位置するように、前記第1調整部材が前記第1凹部内に配置され、
前記第2調整部材の一部が前記第2隙間に突出すると共に、前記第2調整走行面が前記第2本体走行面と同一平面上に位置するように、前記第2調整部材が前記第2凹部内に配置されている請求項2又は3に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
壁体に形成された開口部を通る走行経路に沿って走行する物品搬送車と、
前記物品搬送車を走行経路に沿って案内する案内レールと、
前記壁体の壁面に沿う方向の移動により前記開口部を閉鎖する防火扉と、を備え、
前記防火扉
が通過可能な第1隙間が、前記案内レールに
常時設けられている物品搬送設備であって、
前記案内レールが、前記第1隙間より大きい第2隙間を挟んで前記走行経路に沿う方向の両側に分かれて配置された第1レール本体部と第2レール本体部とを備えると共に、第1レール本体部に取り付けられた第1調整部材を備え、
前記第1レール本体部は、前記物品搬送車の走行輪が転動する第1本体走行面を備え、
前記第2レール本体部は、前記物品搬送車の走行輪が転動する第2本体走行面を備え、
前記第1調整部材は、前記第1本体走行面に続く走行面を形成する第1調整走行面を備えると共に、当該第1調整走行面の少なくとも一部が前記第2隙間に突出するように配置され、
前記第1調整部材と前記第2レール本体部との対向する隙間が前記第1隙間であり、
前記第1隙間の幅を、前記走行経路に沿う方向に変更可能とする調整機構が設けられている物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁体に形成された開口部を通る走行経路に沿って走行する物品搬送車と、前記物品搬送車を走行経路に沿って案内する案内レールと、前記壁体の壁面に沿う方向の移動により前記開口部を閉鎖する防火扉と、を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる物品搬送設備の従来技術として、例えば下記の特許文献1には、物品搬送車の走行経路を構成する案内レールが建屋の防火区画を貫通する場合において、防火区画の開口部に設置された防火扉と案内レールとの干渉を回避する技術が開示されている。この特許文献1の技術では、左右一対の案内レールに防火扉が通過可能な隙間を形成し、火災の発生時には、当該隙間に防火扉を通過させ、開口部を閉鎖できるようにしている。
【0003】
ここで、物品搬送車が案内レールの隙間部分を走行する際の振動や衝撃の発生を最小限にするためには、防火扉を通過させるための隙間は可能な限り小さくすることが望ましい。しかしながら、案内レールの隙間を小さくすると、地震による揺れや物品搬送車の走行及び加減速による経年変化等が原因で案内レールが移動した場合に、防火扉の位置と案内レールの隙間の位置とがずれ、火災発生時に防火扉が閉まらなくなる可能性がある。そのため、定期的に点検を行い、隙間の位置を調整する必要があるが、隙間の位置を移動させるためには、案内レールの固定を一旦緩めて位置を微調整し、再度固定するなどの作業が必要であり、多くの手間と時間とを要するものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、防火扉を通過させるための案内レールの隙間の位置又は幅を容易に調整できるようにする技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、物品搬送設備の特徴構成は、
壁体に形成された開口部を通る走行経路に沿って走行する物品搬送車と、
前記物品搬送車を走行経路に沿って案内する案内レールと、
前記壁体の壁面に沿う方向の移動により前記開口部を閉鎖する防火扉と、を備え、
前記防火扉が通過可能な第1隙間が、前記案内レールに設けられている物品搬送設備であって、
前記案内レールが、前記第1隙間より大きい第2隙間を挟んで前記走行経路に沿う方向の両側に分かれて配置された第1レール本体部と第2レール本体部とを備えると共に、第1レール本体部に取り付けられた第1調整部材と、第2レール本体部に取り付けられた第2調整部材とを備え、
前記第1レール本体部は、前記物品搬送車の走行輪が転動する第1本体走行面を備え、
前記第2レール本体部は、前記物品搬送車の走行輪が転動する第2本体走行面を備え、
前記第1調整部材は、前記第1本体走行面に続く走行面を形成する第1調整走行面を備えると共に、当該第1調整走行面の少なくとも一部が前記第2隙間に突出するように配置され、
前記第2調整部材は、前記第2本体走行面に続く走行面を形成する第2調整走行面を備えると共に、当該第2調整走行面の少なくとも一部が前記第2隙間に突出するように配置され、
前記第1調整部材と前記第2調整部材との対向する隙間が前記第1隙間であり、
前記第1隙間の位置を、前記走行経路に沿う方向に変更可能とする調整機構が設けられている点にある。
【0007】
この特徴構成によれば、第1レール本体部と第2レール本体部との対向する隙間が、防火扉が通過する第1隙間より大きい第2隙間とされており、第1隙間の位置を、調整機構によって第2隙間の範囲内で走行経路に沿う方向に変更することができる。そして、この調整機構による調整は、第1調整部材と第2調整部材との対向する隙間の位置の調整であるため、第1レール本体部及び第2レール本体部の位置を移動させる必要がない。従って、防火扉を通過させるための案内レールの第1隙間の位置を容易に調整することができる。また、第1調整部材の第1調整走行面と、第2調整部材の第2調整走行面とが第2隙間に突出するように配置されているため、第1隙間の部分における案内レールの走行面の隙間を比較的小さくすることができている。従って、防火扉の移動を妨げることがない構成としつつ、第1隙間の部分を物品搬送車が通過する際における振動や衝撃の発生を少なく抑えることが可能となっている。
【0008】
上記に鑑みた、物品搬送設備の特徴構成は、
壁体に形成された開口部を通る走行経路に沿って走行する物品搬送車と、
前記物品搬送車を走行経路に沿って案内する案内レールと、
前記壁体の壁面に沿う方向の移動により前記開口部を閉鎖する防火扉と、を備え、
前記防火扉が通過可能な第1隙間が、前記案内レールに常時設けられている物品搬送設備であって、
前記案内レールが、前記第1隙間より大きい第2隙間を挟んで前記走行経路に沿う方向の両側に分かれて配置された第1レール本体部と第2レール本体部とを備えると共に、第1レール本体部に取り付けられた第1調整部材を備え、
前記第1レール本体部は、前記物品搬送車の走行輪が転動する第1本体走行面を備え、
前記第2レール本体部は、前記物品搬送車の走行輪が転動する第2本体走行面を備え、
前記第1調整部材は、前記第1本体走行面に続く走行面を形成する第1調整走行面を備えると共に、当該第1調整走行面の少なくとも一部が前記第2隙間に突出するように配置され、
前記第1調整部材と前記第2レール本体部との対向する隙間が前記第1隙間であり、
前記第1隙間の幅を、前記走行経路に沿う方向に変更可能とする調整機構が設けられている点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、第1レール本体部と第2レール本体部との対向する隙間が、防火扉が通過する第1隙間より大きい第2隙間とされており、第1隙間の幅を、調整機構によって第2隙間の範囲内で走行経路に沿う方向に変更することができる。そして、この調整機構による調整は、第1調整部材と第2レール本体部との対向する隙間の幅の調整であるため、第1レール本体部の位置を移動させる必要がない。従って、防火扉を通過させるための案内レールの第1隙間の幅を容易に調整することができる。また、第1調整部材の第1調整走行面が第2隙間に突出するように配置されているため、第1隙間の部分における案内レールの走行面の隙間を比較的小さくすることができている。従って、防火扉の移動を妨げることがない構成としつつ、第1隙間の部分を物品搬送車が通過する際における振動や衝撃の発生を少なく抑えることが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る物品搬送設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
1.第一の実施形態
図1~
図3に示すように、壁体2に形成された開口部3を通る走行経路Lに沿って走行する物品搬送車1と、物品搬送車1を走行経路Lに沿って案内する案内レール4と、壁体2の壁面に沿う方向の移動により開口部3を閉鎖する防火扉7と、が備えられている。
【0012】
物品搬送車1は、天井から吊り下げ支持された案内レール4上をその案内レール4に沿って走行する走行部11、案内レール4の下方に位置して走行部11に吊り下げ支持された車体本体部12、及び、走行部11と車体本体部12とを連結する連結部14を備えている。車体本体部12には、搬送対象の物品を吊り下げ状態で支持する支持部13が備えられている。尚、本実施形態では、半導体基板を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)を搬送対象の物品としている。
【0013】
走行部11は、車体前後方向に並ぶ前方走行部11Fと後方走行部11Rとを有している。
そして、車体本体部12は、前後一対の連結部14の夫々に縦軸心周りに回転自在に連結されており、前方走行部11F及び後方走行部11Rの夫々は、連結されている連結部14と一体的に縦軸心周りに回動するように構成されている。前後一対の連結部14は、左右一対の案内レール4の間に位置している。
【0014】
図4に示すように、前方走行部11Fには、電動式の駆動モータ15にて回転駆動される左右一対の走行輪16が、左右一対の案内レール4の夫々の上面にて形成される走行面を転動して走行する状態で装備されている。また、前方走行部11Fには、車体上下方向に沿う軸心周り(上下軸心周り)で自由回転する左右一対の案内輪17が、左右一対の案内レール4における内側面に接当する状態で装備されている。尚、左右一対の案内輪17については、車体前後方向に並ぶ状態で前方走行部11Fに2組装備されている。
尚、後方走行部11Rには、前方走行部11Fと同様に、1組の左右一対の走行輪16と2組の左右一対の案内輪17とが装備されている。
このように、物品搬送車1には、左右一対の走行輪16が備えられており、左右一対の案内レール4の夫々が、物品搬送車1の走行輪16が転動する走行面を備えている。
【0015】
車体本体部12の上面には、左右一対の案内レール4の夫々に沿って設置された給電線18から非接触で駆動用電力が供給される受電部19が備えられている。この受電部19は、車体前後方向で前後一対の連結部14の間に位置するように備えられており、左右一対の案内レール4の間に位置している。
【0016】
物品搬送車1は、前方走行部11F及び後方走行部11Rの案内輪17が左右一対の案内レール4にて案内されることによって、車体横幅方向での位置が規制されながら、前方走行部11F及び後方走行部11Rの走行輪16が回転駆動されることによって、案内レール4に沿って走行するように構成されている。
【0017】
図4に示すように、左右一対の案内レール4は、経路長手方向視で逆U字状に形成されたレール連結部材5にて連結されるとともに、レール支持部材6を介して天井部に吊り下げ支持されている。
【0018】
このように構成されている物品搬送設備は、
図1及び
図2に示すように、第1エリアA1と第2エリアA2とに亘って設置されている。第1エリアA1及び第2エリアA2は、いずれもクリーンルームに設定されている。
第1エリアA1と第2エリアA2との境界部には、第1エリアA1と第2エリアA2とを仕切ると共に物品搬送車1の走行経路Lに対応する開口部3が形成された壁体2と、この開口部3を開閉する防火扉7と、開口部3の周縁に設けられている枠体7aとが備えられている。防火扉7は、枠体7aによって案内されつつ、壁体2の壁面に沿って移動することで、開口部3を閉鎖する閉じ位置(
図2の破線部分)と開口部3を開放する開き位置(
図2の実線部分)とに移動自在に構成されている。なお、本実施形態では、防火扉7は、壁体2の壁面に沿って上下方向に移動するように構成されている。但しこれに限らず、防火扉7は、壁体2の壁面に沿って左右方向(水平方向)に移動するように構成されていても良い。このように、物品搬送設備には、壁体2の壁面に沿う移動により開口部3を閉鎖する防火扉7が備えられている。
【0019】
以下、本実施形態において、左右一対のそれぞれの案内レール4は左右対称の構成を備えるものであるため、一方の案内レール4についてのみ説明し、他方の案内レール4についての説明を省略する。
【0020】
図1に示すように、案内レール4は、切断部分G2を挟んで走行経路Lに沿う方向の両側に分かれて配置された第1レール本体部41と第2レール本体部42とを備えると共に、第1レール本体部41に取り付けられた第1調整部材8と、第2レール本体部42に取り付けられた第2調整部材9とを備える。
【0021】
図5及び
図6に示すように、第1レール本体部41は、物品搬送車1の走行輪16が転動する第1本体走行面41aと、切断部分G2に面する第1端面41bとを備える。また、第2レール本体部42は、物品搬送車1の走行輪16が転動する第2本体走行面42aと、切断部分G2に面する第2端面42bとを備える。
【0022】
第1調整部材8は、第1本体走行面41aに続く走行面を形成する第1調整走行面8aと、隙間部分G1に面する第1調整端面8bとを備える。そして、第1調整部材8は、第1調整走行面8aの少なくとも一部が所定の突出量Pにて切断部分G2に突出するように配置される。また、第2調整部材9は、第2本体走行面42aに続く走行面を形成する第2調整走行面9aと、隙間部分G1に面する第2調整端面9bとを備える。そして、第2調整部材9は、第2調整走行面9aの少なくとも一部が所定の突出量Pにて切断部分G2に突出するように配置される。
【0023】
第1調整部材8の第1調整端面8bと第2調整部材9の第2調整端面9bとが対向する隙間部分G1が「第1隙間」に相当し、第1レール本体部41の第1端面41bと第2レール本体部42の第2端面42bとが対向する切断部分G2が「第2隙間」に相当する。走行経路Lに沿う方向における切断部分G2の幅は、走行経路Lに沿う方向における隙間部分G1の幅よりも大きい。隙間部分G1は、板状の防火扉7が通過可能に構成されている。より詳しくは、隙間部分G1の幅は、防火扉7の走行経路Lに沿う方向の厚さに、予め定めた余裕代を加えた長さに設定されている。
【0024】
本実施形態では、第1調整部材8及び第2調整部材9はいずれも、それぞれ一定厚さを有する長方形の板状部材である。
【0025】
第1レール本体部41は、第1調整部材8が取り付けられる第1取付部43を備える。第1取付部43は、第1レール本体部41における第1本体走行面41aが形成される面に形成された、平面視で長方形状の第1凹部43aを備えている。なお、第1レール本体部41における第1本体走行面41aが形成される面は、本例では第1レール本体部41の上面である。そして、この第1凹部43aは、当該面から第1レール本体部41の厚さ方向(ここでは下方向)に窪む凹状に形成されている。よって、第1凹部43aは、当該第1本体走行面41aが形成される面に開口する。更に、第1凹部43aは、少なくとも切断部分G2に向かって開口する構成とされている。また、本実施形態のように、第1レール本体部41の幅方向一方側の側面にも開口する構成としても良い。
【0026】
第1凹部43aの深さは、第1調整部材8の厚さと同じである。そのため、第1調整部材8の厚さ方向が、第1凹部43aの深さ方向に一致するように第1調整部材8を第1凹部43a内に配置することで、第1調整走行面8aが第1本体走行面41aと同一平面上に位置するようになる。また、本実施形態では、第1調整部材8の第1本体走行面41aに続く面(ここでは第1調整部材8の上面)の全体が第1調整走行面8aとなっている。そこで、第1調整部材8の一部が切断部分G2に突出するように配置されることで、第1調整走行面8aの一部が切断部分G2に突出するように配置される。
【0027】
第2レール本体部42は、第2調整部材9が取り付けられる第2取付部44を備える。第2取付部44は、第2レール本体部42における第2本体走行面42aが形成される面に形成された、平面視で長方形状の第2凹部44aを備えている。なお、第2レール本体部42における第2本体走行面42aが形成される面は、本例では第2レール本体部42の上面である。そして、この第2凹部44aは、当該面から第2レール本体部42の厚さ方向(ここでは下方向)に窪む凹状に形成されている。よって、第2凹部44aは、当該第2本体走行面42aが形成される面に開口する。更に、第2凹部44aは、少なくとも切断部分G2に向かって開口する構成とされている。また、本実施形態のように、第2レール本体部42の幅方向一方側の側面にも開口する構成としても良い。
【0028】
第2凹部44aの深さは、第2調整部材9の厚さと同じである。そのため、第2調整部材9の厚さ方向が、第2凹部44aの深さ方向に一致するように第2調整部材9を第2凹部44a内に配置することで、第2調整走行面9aが第2本体走行面42aと同一平面上に位置するようになる。また、本実施形態では、第2調整部材9の第2本体走行面42aに続く面(ここでは第2調整部材9の上面)の全体が第2調整走行面9aとなっている。そこで、第2調整部材9の一部が切断部分G2に突出するように配置されることで、第2調整走行面9aの一部が切断部分G2に突出するように配置される。
【0029】
そして、この物品搬送設備には、隙間部分G1の位置を、走行経路Lに沿う方向に変更可能とする調整機構MAが設けられている。本実施形態における調整機構MAは、第1取付部43に対する第1調整部材8の取付位置を変更可能とする第1位置調整部81と、第2取付部44に対する第2調整部材9の取付位置を変更可能とする第2位置調整部91と、を含む。
【0030】
第1位置調整部81は、第1調整部材8に設けられた長穴81aと、長穴81aに挿通するボルト等の締結部材81bとを備える。本実施形態では、複数(ここでは3つ)の長穴81aが、第1調整部材8の幅方向の片端側に寄る位置で、且つ第1調整部材8の長手方向に沿う方向に並んで形成されている。尚、長穴81aの数についてはこれに限定されるものではない。各長穴81aは、第1調整部材8の厚み方向に貫通しており、第1調整部材8の長手方向に沿う方向に長い。尚、第1調整部材8における第1本体走行面41aに続く面(ここでは第1調整部材8の上面)の、長穴81aが設けられていない部分が、第1調整走行面8aとなる。
【0031】
第2位置調整部91は、第2調整部材9に設けられた長穴91aと、長穴91aに挿通するボルト等の締結部材91bとを備える。本実施形態では、複数(ここでは3つ)の長穴91aが、第2調整部材9の幅方向の片端側に寄る位置で、且つ第2調整部材9の長手方向に沿う方向に並んで形成されている。尚、長穴91aの数についてはこれに限定されるものではない。各長穴91aは、第2調整部材9の厚み方向に貫通しており、第2調整部材9の長手方向に沿う方向に長い。尚、第2調整部材9における第2本体走行面42aに続く面(ここでは第2調整部材9の上面)の、長穴91aが設けられていない部分が、第2調整走行面9aとなる。
【0032】
第1凹部43aの底面には、締結部材81bが螺入可能な雌ねじ部Fが形成されている。当該雌ねじ部Fは、第1凹部43aに配置された第1調整部材8の長穴81aの位置に対応する位置に設けられている。すなわち、第1凹部43aの雌ねじ部Fは、第1調整部材8の長穴81aと同数設けられている。また、第2凹部44aの底面にも、締結部材91bが螺入可能な雌ねじ部Fが形成されている。当該雌ねじ部Fは、第2凹部44aに配置された第2調整部材9の長穴91aの位置に対応する位置に設けられている。すなわち、第2凹部44aの雌ねじ部Fは、第2調整部材9の長穴91aと同数設けられている。
【0033】
以上のとおり、第1調整部材8は、複数の長穴81aのそれぞれに締結部材81bが挿入され、締結部材81bの先端部分が第1凹部43aの雌ねじ部Fに螺入されることによって、第1凹部43aに締結固定されている。また、第2調整部材9は、複数の長穴91aのそれぞれに締結部材91bが挿入され、締結部材91bの先端部分が第2凹部44aの雌ねじ部Fに螺入されることによって、第2凹部44aに締結固定されている。
【0034】
調整機構MAの機能として隙間部分G1の位置を変更する場合は、先ず、第1位置調整部81の締結部材81bの締結を緩めた後、第1調整部材8を、走行経路Lに沿う方向にスライド移動させることによって切断部分G2に対する突出量Pを変更する。その後、再び締結部材81bの締結によって、第1調整部材8を固定する。次いで、第2位置調整部91の締結部材91bの締結を緩めた後、第2調整部材9を、先の第1調整部材8の移動方向及び移動距離と同じ方向に同じ距離だけスライド移動させることによって切断部分G2に対する突出量Pを変更する。その後、再び締結部材91bの締結によって、第2調整部材9を固定する。
【0035】
従って、本実施形態によれば、調整機構MAにより第1調整部材8の切断部分G2に対する突出量Pと、第2調整部材9の切断部分G2に対する突出量Pとをそれぞれ変更することによって、第1調整部材8と第2調整部材9との対向する隙間部分G1の位置を自在に調整することができる。そのため、第1レール本体部41及び第2レール本体部42の位置を移動させる必要がなく、防火扉7を通過させるための案内レール4の隙間部分G1の位置を容易に調整することができる。
【0036】
尚、本実施形態では、第1調整部材8における第1調整端面8bとは反対側の端面である後端面8cとそれに対向する第1凹部43aの壁面との間、及び第2調整部材9における第2調整端面9bとは反対側の端面である後端面9cとそれに対向する第2凹部44aの壁面との間のそれぞれに、位置調整用の隙間Sが設けられている。しかし、走行経路Lに沿う方向におけるこの隙間Sの長さは、隙間部分G1の位置の調整に必要な最小限の長さに設定されると好適である。これにより、この隙間Sの部分を物品搬送車1が通過する際における振動や衝撃の発生を少なく抑えることが可能となる。そして、このような隙間Sを有する構成であっても、第1調整走行面8aは第1本体走行面41aに続く走行面を形成し、第2調整走行面9aは第2本体走行面42aに続く走行面を形成するものとする。つまり、第1調整部材8における、第1本体走行面41aに続く走行面を形成する第1調整走行面8aとは、第1本体走行面41aと第1調整走行面8aとの間に隙間Sがない場合だけでなく、物品搬送車1が走行可能な隙間Sを第1本体走行面41aと第1調整走行面8aとの間に設けてある場合をも含むものとして定義される。同様に、第2調整部材9における、第2本体走行面42aに続く走行面を形成する第2調整走行面9aとは、第2本体走行面42aと第2調整走行面9aとの間に隙間Sがない場合だけでなく、物品搬送車1が走行可能な隙間Sを第2本体走行面42aと第2調整走行面9aとの間に設けてある場合をも含むものとして定義される。
【0037】
2.第二の実施形態
次に、物品搬送設備の第二の実施形態について、
図7を用いて説明する。本実施形態では、調整機構MAの構成が上記第一の実施形態とは異なるものであり、その相違点を中心として以下説明する。なお、特に説明しない点については、上記第一の実施形態と同様とする。
【0038】
図7に示されるように、本実施形態においても、第1調整部材8及び第2調整部材9の双方が、それぞれ一定厚さを有する長方形の板状部材である点については、上述の実施形態と同様であるが、第1調整部材8及び第2調整部材9として、長手方向の長さが異なる複数種類の板状部材を用いる点において異なる。即ち、複数種類の第1調整部材8は、切断部分G2への第1調整走行面8aの突出量P(P1<P2<P3<P4)がそれぞれ異なるものである。また、複数種類の第2調整部材9は、切断部分G2への第2調整走行面9aの突出量Pがそれぞれ異なるものである。尚、本実施形態における複数種類の第2調整部材9の構成は、第1調整部材8に関する構成と同様の構成であるため、図示を省略する。
【0039】
本実施形態における調整機構MAは、上記ような切断部分G2への第1調整走行面8aの突出量Pが異なる複数種類の第1調整部材8と、切断部分G2への第2調整走行面9aの突出量Pが異なる複数種類の第2調整部材9と、複数種類の第1調整部材8の内の任意の1つを、第1凹部43aに対して着脱可能に固定する第1固定部100と、複数種類の第2調整部材9の内の任意の1つを、第2凹部44aに対して着脱可能に固定する第2固定部と、を含む。
【0040】
第1固定部は、第1調整部材8に設けられた貫通穴100aと、貫通穴100aに挿通するボルト等の締結部材100bとを備える。第2固定部は、第2調整部材9に設けられた貫通穴101aと、貫通穴101aに挿通するボルト等の締結部材101bとを備える。本実施形態では、第1調整部材8の貫通穴100aと第2調整部材9の貫通穴101aとは、いずれも長穴ではない通常の丸穴とされている。
【0041】
第1調整部材8は、貫通穴100aに締結部材100bが挿入され、締結部材100bの先端部分が第1凹部43aの雌ねじ部Fに螺入されることによって、第1凹部43aに締結固定されている。また、第2調整部材9についても同様に、貫通穴101aに締結部材101bが挿入され、締結部材101bの先端部分が第2凹部44aの雌ねじ部Fに螺入されることによって、第2凹部44aに締結固定されている。
【0042】
隙間部分G1の位置を変更する際は、先ず、第1固定部の締結部材100bを取り外した後、当初の第1調整部材8を、例えば、第1調整走行面8aの長さがより長くて突出量Pもより大きい別の第1調整部材8に交換して第1凹部43aに固定する。次いで、第2固定部の締結部材101bを取り外した後、当初の第2調整部材9を、例えば、第2調整走行面9aの長さがより短く突出量Pもより小さい別の第2調整部材9に交換して第2凹部44aに固定する。このとき、(別の第1調整部材8の突出量P-当初の第1調整部材8の突出量P)=(当初の第2調整部材9の突出量P-別の第2調整部材9の突出量P)という関係が成り立つように、第1調整部材8と第2調整部材9を選択する。なお、隙間部分G1位置の調整方向を逆にする場合には、第1調整部材8を突出量Pが小さいものに交換し、第2調整部材9を突出量Pが大きいものに交換する。
【0043】
3.第三の実施形態
また、第1調整部材8及び第2調整部材9は、第1レール本体部41における第1本体走行面41aや第2レール本体部42における第2本体走行面42a等の走行面が形成される面に取り付けられるものに限らず、第1レール本体部41又は第2レール本体部42の別の部分に取り付けられるように構成されても良い。例えば
図8に示されるように、第1レール本体部41の第1端面41bに第1調整部材8が取り付けられ、第2レール本体部42の第2端面42bに第2調整部材9が取り付けられる構成としても良い。この場合、第1調整部材8及び第2調整部材9として、上述の板状部材に限らず、縦断面形状がL字状の部材を使用しても良い。ここでの第1調整部材8は、互いに直角に交わる基部分8dと突出部分8eとを備え、突出部分8eの長さの違いが突出量Pの違い(P1´<P2´<P3´<P4´)となる。第1調整部材8における突出部分8eの上面が第1調整走行面8aとなり、当該突出部分8eの走行経路Lに沿う方向の端面が第1調整端面8bとなる。また、第2調整部材9は、互いに直角に交わる基部分9dと突出部分9eとを備え、突出部分9eの長さの違いが突出量Pの違い(P1´<P2´<P3´)となる。第2調整部材9における突出部分9eの上面が第2調整走行面9aとなり、当該突出部分8eの走行経路Lに沿う方向の端面が第2調整端面9bとなる。さらに本実施形態では、第1調整部材8が取り付けられる第1取付部43は、第1レール本体部41の第1端面41bで構成されており、第2調整部材9が取り付けられる第2取付部44は、第2レール本体部42の第2端面42bで構成されている。
【0044】
本実施形態における調整機構MAは、上記のような切断部分G2への第1調整走行面8aの突出量Pが異なる複数種類の第1調整部材8と、切断部分G2への第2調整走行面9aの突出量Pが異なる複数種類の第2調整部材9と、複数種類の第1調整部材8の内の任意の1つを、第1端面41bに対して着脱可能に固定する第1固定部と、複数種類の第2調整部材9の内の任意の1つを、第2端面42bに対して着脱可能に固定する第2固定部と、を含む。
【0045】
第1固定部は、第1調整部材8の基部分8dに設けられた貫通穴100aと、貫通穴100aに挿通するボルト等の締結部材100bとを備える。第2固定部は、第2調整部材9の基部分9dに設けられた貫通穴101aと、貫通穴101aに挿通するボルト等の締結部材101bとを備える。本実施形態では、第1調整部材8の貫通穴100aと第2調整部材9の貫通穴101aとは、いずれも長穴ではない通常の丸穴とされている。
【0046】
第1調整部材8は、貫通穴100aに締結部材100bが挿入され、締結部材100bの先端部分が第1端面41bの雌ねじ部Fに螺入されることによって、第1端面41bに締結固定されている。また、第2調整部材9についても同様に、貫通穴101aに締結部材101bが挿入され、締結部材101bの先端部分が第2端面42bの雌ねじ部Fに螺入されることによって、第2端面42bに締結固定されている。
【0047】
隙間部分G1の位置を変更する際は、上記第二の実施形態と同様に、第1調整部材8及び第2調整部材9を長さの異なるものに交換することにより行う。このとき、第1調整部材8の突出量Pの増加量(減少量)と第2調整部材9の突出量Pの減少量(増加量)とが同じとなるように、第1調整部材8と第2調整部材9を選択する。
【0048】
上記第二の実施形態及び第三の実施形態によれば、第1レール本体部41に対して第1調整部材8を付け替えて第1調整走行面8aの突出量Pを調整すると共に、第2レール本体部42に対して第2調整部材9を付け替えて第2調整走行面9aの突出量Pを調整することによって、隙間部分G1の位置を自在に調整することができる。従って、防火扉7を通過させるための案内レール4の隙間部分G1の位置の調整を、容易かつ適切に行うことが可能となる。また特に、上記の実施形態によれば、第1本体走行面41aと第1調整走行面8aとの間、及びに第2本体走行面42aと第2調整走行面9aとの間のいずれにも隙間を設ける必要がないため、物品搬送車1のより安定した走行が実現される。
【0049】
4.第四の実施形態
また、上記第一~三実施形態において、第1調整部材8及び第2調整部材9のうち、いずれか一方のみを設ける構成としても良い。一例として、本実施形態では、
図9に示されるように、第1レール本体部41の側の構成は、上記第一実施形態と同様に第1調整部材8を備えるものであるが、第2レール本体部42の側には第2調整部材9が設けられていない。
【0050】
第1調整部材8は、上記第一実施形態と同様に、第1本体走行面41aに続く走行面を形成する第1調整走行面8aと、隙間部分G1に面する第1調整端面8bとを備える。そして、第1調整部材8は、第1調整走行面8aの少なくとも一部が所定の突出量Pにて切断部分G2に突出するように配置される。
【0051】
本実施形態では、第1調整部材8の第1調整端面8bと第2レール本体部42の第2端面42bとが対向する隙間部分G1が「第1隙間」に相当し、第1レール本体部41の第1端面41bと第2レール本体部42の第2端面42bとが対向する切断部分G2が「第2隙間」に相当する。走行経路Lに沿う方向における切断部分G2の幅は、走行経路Lに沿う方向における隙間部分G1の幅よりも大きい。隙間部分G1は、板状の防火扉7が通過可能に構成されている。より詳しくは、隙間部分G1の幅は、防火扉7の走行経路Lに沿う方向の厚さに、予め定めた余裕代を加えた長さに設定されている。
【0052】
調整機構MAの機能として隙間部分G1の幅を変更する場合は、第1位置調整部81の締結部材81bの締結を緩めた後、第1調整部材8を、走行経路Lに沿う方向にスライド移動させることによって切断部分G2に対する突出量Pを変更する。その後、再び締結部材81bの締結によって、第1調整部材8を固定する。
【0053】
従って、本実施形態によれば、調整機構MAにより第1調整部材8の切断部分G2に対する突出量Pを変更することによって、第1調整部材8と第2レール本体部42の第2端面42bとの対向する隙間部分G1の幅を自在に調整することができる。そのため、第1レール本体部41及び第2レール本体部42の位置を移動させる必要がなく、防火扉7を通過させるための案内レール4の隙間部分G1の幅を容易に調整することができる。本実施形態における隙間部分G1の幅の調整は、壁体2の壁面に沿う防火扉7の移動を許容し、且つ物品搬送車1の安定走行が確保され得る範囲内での調整となる。
【0054】
尚、上述の構成では、第1調整部材8を設ける構成としたが、これに限定されるものではなく、第2レール本体部42の側の構成は上記第一実施形態と同様に第2調整部材9を備えるものであるが、第1レール本体部41の側には第1調整部材8が設けられていない構成としても良い。また、本実施形態に係る第1調整部材8又は第2調整部材9の構成を、上記第二の実施形態又は上記第三の実施形態における第1調整部材8又は第2調整部材9と同様の構成とすることもできる。
【0055】
なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0056】
5.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について説明する。
【0057】
物品搬送設備は、壁体に形成された開口部を通る走行経路に沿って走行する物品搬送車と、
前記物品搬送車を走行経路に沿って案内する案内レールと、
前記壁体の壁面に沿う方向の移動により前記開口部を閉鎖する防火扉と、を備え、
前記防火扉が通過可能な第1隙間が、前記案内レールに設けられている物品搬送設備であって、
前記案内レールが、前記第1隙間より大きい第2隙間を挟んで前記走行経路に沿う方向の両側に分かれて配置された第1レール本体部と第2レール本体部とを備えると共に、第1レール本体部に取り付けられた第1調整部材と、第2レール本体部に取り付けられた第2調整部材とを備え、
前記第1レール本体部は、前記物品搬送車の走行輪が転動する第1本体走行面を備え、
前記第2レール本体部は、前記物品搬送車の走行輪が転動する第2本体走行面を備え、
前記第1調整部材は、前記第1本体走行面に続く走行面を形成する第1調整走行面を備えると共に、当該第1調整走行面の少なくとも一部が前記第2隙間に突出するように配置され、
前記第2調整部材は、前記第2本体走行面に続く走行面を形成する第2調整走行面を備えると共に、当該第2調整走行面の少なくとも一部が前記第2隙間に突出するように配置され、
前記第1調整部材と前記第2調整部材との対向する隙間が前記第1隙間であり、
前記第1隙間の位置を、前記走行経路に沿う方向に変更可能とする調整機構が設けられている。
【0058】
このような構成によれば、第1レール本体部と第2レール本体部との対向する隙間が、防火扉が通過する第1隙間より大きい第2隙間とされており、第1隙間の位置を、調整機構によって第2隙間の範囲内で走行経路に沿う方向に変更することができる。そして、この調整機構による調整は、第1調整部材と第2調整部材との対向する隙間の位置の調整であるため、第1レール本体部及び第2レール本体部の位置を移動させる必要がない。従って、防火扉を通過させるための案内レールの第1隙間の位置を容易に調整することができる。また、第1調整部材の第1調整走行面と、第2調整部材の第2調整走行面とが第2隙間に突出するように配置されているため、第1隙間の部分における案内レールの走行面の隙間を比較的小さくすることができている。従って、防火扉の移動を妨げることがない構成としつつ、第1隙間の部分を物品搬送車が通過する際における振動や衝撃の発生を少なく抑えることが可能となっている。
【0059】
ここで、前記第1レール本体部は、前記第1調整部材が取り付けられる第1取付部を備え、
前記第2レール本体部は、前記第2調整部材が取り付けられる第2取付部を備え、
前記調整機構は、前記第1取付部に対する前記第1調整部材の取付位置を変更可能とする第1位置調整部と、前記第2取付部に対する前記第2調整部材の取付位置を変更可能とする第2位置調整部と、を含むと好適である。
【0060】
この構成によれば、第1レール本体部に対する第1調整部材の取付位置と、第2レール本体部に対する第2調整部材の取付位置とを変更することによって、第1隙間の位置を自在に調整することができる。従って、防火扉を通過させるための案内レールの第1隙間の位置の調整を、容易かつ適切に行うことが可能となる。
【0061】
また、前記第1レール本体部は、前記第1調整部材が取り付けられる第1取付部を備え、
前記第2レール本体部は、前記第2調整部材が取り付けられる第2取付部を備え、
前記調整機構は、前記第2隙間への前記第1調整走行面の突出量が異なる複数種類の前記第1調整部材の内の任意の1つを、前記第1取付部に対して着脱可能に固定する第1固定部と、前記第2隙間への前記第2調整走行面の突出量が異なる複数種類の前記第2調整部材の内の任意の1つを、前記第2取付部に対して着脱可能に固定する第2固定部と、を含むと好適である。
【0062】
この構成によれば、第1レール本体部に対して第1調整部材を付け替えて第1調整走行面の突出量を調整すると共に、第2レール本体部に対して第2調整部材を付け替えて第2調整走行面の突出量を調整することによって、第1隙間の位置を自在に調整することができる。従って、防火扉を通過させるための案内レールの第1隙間の位置の調整を、容易かつ適切に行うことが可能となる。
【0063】
また、前記第1調整部材及び前記第2調整部材は、それぞれ一定厚さの板状部材であり、
前記第1取付部は、前記第1レール本体部における前記第1本体走行面が形成される面に形成された第1凹部を備え、
前記第2取付部は、前記第2レール本体部における前記第2本体走行面が形成される面に形成された第2凹部を備え、
前記第1凹部は、前記第2隙間に向かって開口すると共に、前記第1本体走行面からの深さが前記第1調整部材の厚さと同じであり、
前記第2凹部は、前記第2隙間に向かって開口すると共に、前記第2本体走行面からの深さが前記第2調整部材の厚さと同じであり、
前記第1調整部材の一部が前記第2隙間に突出すると共に、前記第1調整走行面が前記第1本体走行面と同一平面上に位置するように、前記第1調整部材が前記第1凹部内に配置され、
前記第2調整部材の一部が前記第2隙間に突出すると共に、前記第2調整走行面が前記第2本体走行面と同一平面上に位置するように、前記第2調整部材が前記第2凹部内に配置されていると好適である。
【0064】
この構成によれば、第1調整部材の第1調整走行面が第1本体走行面と同一平面上に位置し、第2調整部材の第2調整走行面が第2本体走行面と同一平面上に位置するため、物品搬送車が第1調整部材及び第2調整部材の走行面を走行した場合における振動や衝撃の発生を少なく抑えることが可能となっている。また、第1調整部材及び第2調整部材が一定厚さの板状部材であり、第2隙間に向かって開口する凹部に配置されるため、第1調整部材及び第2調整部材を安定的にレール本体部に取り付けることができると共に、第1隙間の位置の調整を行い易い構成となっている。
【0065】
物品搬送設備は、壁体に形成された開口部を通る走行経路に沿って走行する物品搬送車と、
前記物品搬送車を走行経路に沿って案内する案内レールと、
前記壁体の壁面に沿う方向の移動により前記開口部を閉鎖する防火扉と、を備え、
前記防火扉が通過可能な第1隙間が、前記案内レールに設けられている物品搬送設備であって、
前記案内レールが、前記第1隙間より大きい第2隙間を挟んで前記走行経路に沿う方向の両側に分かれて配置された第1レール本体部と第2レール本体部とを備えると共に、第1レール本体部に取り付けられた第1調整部材を備え、
前記第1レール本体部は、前記物品搬送車の走行輪が転動する第1本体走行面を備え、
前記第2レール本体部は、前記物品搬送車の走行輪が転動する第2本体走行面を備え、
前記第1調整部材は、前記第1本体走行面に続く走行面を形成する第1調整走行面を備えると共に、当該第1調整走行面の少なくとも一部が前記第2隙間に突出するように配置され、
前記第1調整部材と前記第2レール本体部との対向する隙間が前記第1隙間であり、
前記第1隙間の幅を、前記走行経路に沿う方向に変更可能とする調整機構が設けられている点にある。
【0066】
この特徴構成によれば、第1レール本体部と第2レール本体部との対向する隙間が、防火扉が通過する第1隙間より大きい第2隙間とされており、第1隙間の幅を、調整機構によって第2隙間の範囲内で走行経路に沿う方向に変更することができる。そして、この調整機構による調整は、第1調整部材と第2レール本体部との対向する隙間の幅の調整であるため、第1レール本体部の位置を移動させる必要がない。従って、防火扉を通過させるための案内レールの第1隙間の幅を容易に調整することができる。また、第1調整部材の第1調整走行面が第2隙間に突出するように配置されているため、第1隙間の部分における案内レールの走行面の隙間を比較的小さくすることができている。従って、防火扉の移動を妨げることがない構成としつつ、第1隙間の部分を物品搬送車が通過する際における振動や衝撃の発生を少なく抑えることが可能となっている。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本開示に係る技術は、壁体に形成された開口部を通る走行経路に沿って走行する物品搬送車と、物品搬送車を走行経路に沿って案内する案内レールと、壁体の壁面に沿う方向の移動により開口部を閉鎖する防火扉とを備えた物品搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1:物品搬送車
11:走行部
11F:前方走行部
11R:後方走行部
12:車体本体部
13:支持部
14:連結部
15:駆動モータ
16:走行輪
17:案内輪
18:給電線
19:受電部
2:壁体
3:開口部
4:案内レール
41:第1レール本体部
41a:第1本体走行面
41b:第1端面
42:第2レール本体部
42a:第2本体走行面
42b:第2端面
43:第1取付部
43a:第1凹部
44:第2取付部
44a:第2凹部
5:レール連結部材
6:レール支持部材
7:防火扉
7a:枠体
8:第1調整部材
8a:第1調整走行面
8b:第1調整端面
8c:後端面
8d:基部分
8e:突出部分
81:第1位置調整部
81a:長穴
81b:締結部材
9:第2調整部材
9a:第2調整走行面
9b:第2調整端面
9c:後端面
9d:基部分
9e:突出部分
91:第2位置調整部
91a:長穴
91b:締結部材
100a:貫通穴(第1固定部)
100b:締結部材(第1固定部)
101a:貫通穴(第2固定部)
101b:締結部材(第2固定部)
A1:第1エリア
A2:第2エリア
F:雌ねじ部
G1:隙間部分(第1隙間)
G2:切断部分(第2隙間)
L:走行経路
MA:調整機構
P:突出量
S:位置調整用の隙間