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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】住宅の電力制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20220104BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220104BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20220104BHJP
   B60L 50/40 20190101ALI20220104BHJP
   B60L 50/50 20190101ALI20220104BHJP
   B60L 53/00 20190101ALI20220104BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20220104BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20220104BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J7/00 P
H02J7/00 X
H02J3/38 110
B60L50/40
B60L50/50
B60L53/00
B60L55/00
B60L58/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017209203
(22)【出願日】2017-10-30
(65)【公開番号】P2019083613
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2020-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】山根 満
(72)【発明者】
【氏名】小島 昌幸
【審査官】原 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-079069(JP,A)
【文献】特開2012-151948(JP,A)
【文献】特開2012-080748(JP,A)
【文献】特開2014-212637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
H01M 10/42-10/48
H02J 3/00-7/12
7/34-36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を備える住宅において、前記電気機器に対して、車両に搭載された蓄電池からの電力供給を可能とする住宅電力システムに適用される住宅の電力制御装置であって、
前記車両が出先にいる場合において、その出先から前記住宅に戻る前に、前記蓄電池に残存する蓄電量を取得する蓄電量取得手段と、
前記車両が出先から前記住宅に戻る前に、当該住宅に戻る帰宅時刻を予測する帰宅時刻予測手段と
前記蓄電量取得手段により取得された蓄電量と、前記帰宅時刻予測手段により予測された帰宅時刻と、に基づいて、前記車両が出先から戻った後における前記電気機器に対する前記車両の電力負担量を設定する負担量設定手段と、
を備え
前記負担量設定手段は、前記帰宅時刻予測手段により予測された帰宅時刻が遅いほど、前記車両の帰宅後に駆動される前記電気機器に対して前記蓄電池が負担する電力比率が大きくなるようにして、前記電力負担量を設定することを特徴とする住宅の電力制御装置。
【請求項2】
前記車両の出先での位置を取得する位置取得手段と、
前記蓄電量取得手段により取得された蓄電量と、前記位置取得手段により取得された車両位置とに基づいて、前記車両が出先から前記住宅に戻った時の前記蓄電池の蓄電量を帰宅時蓄電量として予測する蓄電量予測手段と、
を備え、
前記負担量設定手段は、前記蓄電量予測手段により予測された前記帰宅時蓄電量に基づいて、前記電力負担量を設定する請求項1に記載の住宅の電力制御装置。
【請求項3】
前記負担量設定手段は、前記住宅での消費電力に関する終日又は所定時間帯の時系列パターンを用い、前記帰宅時刻予測手段により予測された帰宅時刻に基づいて、前記電力負担量を設定する請求項1又は2に記載の住宅の電力制御装置。
【請求項4】
前記帰宅時刻予測手段により予測された帰宅時刻よりも前において、前記蓄電量取得手段により取得された蓄電量に基づいて、前記電気機器への電力供給を制御する帰宅前電力制御を実施する機器制御手段を備える請求項乃至のいずれか1項に記載の住宅の電力制御装置。
【請求項5】
前記機器制御手段は、前記蓄電量取得手段により取得された蓄電量が所定以上である場合に、前記帰宅時刻予測手段により予測された帰宅時刻よりも前に予定されていた所定の前記電気機器への電力供給を前記帰宅時刻の後に変更し、当該電気機器に対して、前記車両の帰宅後に前記蓄電池から電力供給を行わせる請求項に記載の住宅の電力制御装置。
【請求項6】
前記蓄電量取得手段は、前記車両が出先から前記住宅に戻る前において、所定周期で前記蓄電量を取得し、
前記負担量設定手段は、前記蓄電量取得手段により前記蓄電量が取得される都度、前記電力負担量を設定する請求項1乃至のいずれか1項に記載の住宅の電力制御装置。
【請求項7】
前記車両が前記住宅に戻ったことを判定する帰宅判定手段と、
前記車両が前記住宅に戻ったと判定された場合に、車両側から住宅側への電力供給が予定されていれば、車両側と住宅側との電気ケーブルの接続を促す報知処理を実施する報知処理手段と、
を備える請求項1乃至のいずれか1項に記載の住宅の電力制御装置。
【請求項8】
前記車両が前記住宅に戻ったと判定され、かつ前記報知処理が実施された場合において、前記住宅の出入口の扉が解錠操作されたタイミングで、車両側と住宅側とが前記電気ケーブルにより接続されているか否かを判定するケーブル接続判定手段と、
前記ケーブル接続判定手段により前記電気ケーブルが接続されていないと判定された場合に、前記報知処理を再び実施する第2報知処理手段と、
を備える請求項に記載の住宅の電力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の電力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅において、住宅側の電力系統に車両のバッテリを接続し、そのバッテリに蓄えられた電気エネルギを用いて住宅の電気機器を駆動させるようにした技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1に記載の電力マネジメントシステムでは、自然エネルギを利用した発電設備と、蓄電池を搭載した電動車両と、住宅用蓄電池とを備え、住宅内の消費電力量の推移と発電設備による発電量の推移とを予測するとともに、その予測結果に基づいて、電動車両の充電量及び放電量の推移を予測する。また、電動車両の充電量及び放電量の推移予測に従って電動車両の電力が推移した場合の電動車両の残電力量、又は電動車両の充電量及び放電量の推移予測に従って住宅用蓄電池の電力が推移した場合の住宅用蓄電池の残電力量に基づいて、電動車両を走行に利用可能な時間帯を決定するようにしている。そして、上記構成により、電動車両を走行に利用可能な時間帯を制限でき、住宅用蓄電池の容量を必要最小限に抑えることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5983237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電気自動車やハイブリッド自動車といった車両(電動車両)の車載バッテリを用いて住宅の電気機器を駆動する場合には、車載バッテリにおける電気エネルギの残存量(例えばSOC:State of charge)に基づいて、車載バッテリの電気エネルギが使用される。この場合、車両が出先から戻った時に、現時点での車載バッテリの電気残存量が算出され、その電気残存量に基づいて、車載バッテリから住宅内の電気機器への電力供給が行われる。より具体的には、住宅側の電力制御装置は、車両が帰宅した後に車両に対してケーブル接続された状態で車両側からSOCを受信し、そのSOCが所定以上であれば、商用電力に代えてバッテリ電力を用いて、電気機器を駆動させる。
【0006】
しかしながら、上記のとおり車両が帰宅した後に、住宅側と車両側とがケーブル接続された状態で車両側から車載バッテリのSOCを受信する構成では、車載バッテリの電気エネルギを有効に利用できず余らせてしまったり、車載バッテリの電気エネルギを期待したほどには利用できず電力不足が生じたりすることが考えられる。近年では、公共の充電インフラが整ってきており、こうした背景事情からすると、車両が、車載バッテリが満充電に近い状態で帰宅することも考えられるが、かかる状況において、本来利用できる車載バッテリの電力が利用できずに残ってしまうことがあると考えられる。上記の不都合は、特許文献1においても何ら解消されるものでなく、技術改善の余地があると考えられる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、車両の蓄電池に残存する電気エネルギを、住宅での電気機器の駆動に有効に用いることができる住宅の電力制御装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成の符号を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0009】
第1の発明は、
電気機器(14)を備える住宅(10)において、前記電気機器に対して、車両(30)に搭載された蓄電池(31)からの電力供給を可能とする住宅電力システムに適用される住宅の電力制御装置(20)であって、
前記車両が出先にいる場合において、その出先から前記住宅に戻る前に、前記蓄電池に残存する蓄電量を取得する蓄電量取得手段と、
前記蓄電量取得手段により取得された蓄電量に基づいて、前記車両が出先から戻った後における前記電気機器に対する前記車両の電力負担量を設定する負担量設定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成の電力制御装置によれば、車両が出先から住宅に戻る前に、蓄電池に残存する蓄電量が取得され、その取得された蓄電量に基づいて、車両が出先から戻った後における電気機器に対する車両の電力負担量が設定される。この場合、言うなれば、車両が帰宅する前に、帰宅時に持ち帰る電気エネルギ量を予測し、その予測した電気エネルギ量に基づいて、車両の帰宅後における電力管理を行うものとなっている。
【0011】
ここで、仮に車両の帰宅後において住宅側で蓄電池の蓄電量を取得する構成であれば、例えば蓄電池に残存する蓄電量が多いにもかかわらず、その利用量が少量に限られてしまい、蓄電池の電気エネルギを有効利用できなくなることが考えられる。この点、上記のとおり車両が出先から住宅に戻る前に、蓄電池に残存する蓄電量が取得され、その取得された蓄電量に基づいて車両が出先から戻った後の車両の電力負担量が設定されることにより、車両が住宅に持ち帰る電気エネルギを事前に把握した上で、電力管理を適正に行うことができる。その結果、車両の蓄電池に残存する電気エネルギを、住宅での電気機器の駆動に有効に用いることができる。
【0012】
第2の発明は、前記車両の出先での位置を取得する位置取得手段と、前記蓄電量取得手段により取得された蓄電量と、前記位置取得手段により取得された車両位置とに基づいて、前記車両が出先から前記住宅に戻った時の前記蓄電池の蓄電量を帰宅時蓄電量として予測する蓄電量予測手段と、を備え、前記負担量設定手段は、前記蓄電量予測手段により予測された前記帰宅時蓄電量に基づいて、前記電力負担量を設定することを特徴とする。
【0013】
出先での車両位置及び蓄電量に基づいて、車両が出先から住宅に戻った時の蓄電池の蓄電量を帰宅時蓄電量として予測し、その帰宅時蓄電量に基づいて、車両の電力負担量を設定するようにした。この場合、出先での車両位置と蓄電量とが分かれば、住宅に戻るまでに車両で消費される電気量を勘案して帰宅時蓄電量を予測することができ、その帰宅時蓄電量によれば、車両の帰宅後における電力管理をより一層適正に行うことができる。
【0014】
第3の発明は、前記車両が出先から前記住宅に戻る前に、当該住宅に戻る帰宅時刻を予測する帰宅時刻予測手段を備え、前記負担量設定手段は、前記蓄電量取得手段により取得された蓄電量と、前記帰宅時刻予測手段により予測された帰宅時刻とに基づいて、前記電力負担量を設定することを特徴とする。
【0015】
車両が出先から住宅に戻る前に取得された蓄電池の蓄電量と、車両が出先から住宅に戻る前に予測された帰宅時刻とに基づいて、車両の電力負担量を設定するようにした。この場合、車両の帰宅時刻が事前に分かっていれば、帰宅前に駆動される電気機器と帰宅後に駆動される電気機器とを振り分けつつ、帰宅後に駆動される電気機器に対して蓄電池の電気エネルギを有効に利用することができる。
【0016】
第4の発明は、前記負担量設定手段は、前記住宅での消費電力に関する終日又は所定時間帯の時系列パターンを用い、前記帰宅時刻予測手段により予測された帰宅時刻に基づいて、前記電力負担量を設定することを特徴とする。
【0017】
住宅での消費電力に関する終日又は所定時間帯の時系列パターンを用い、車両の帰宅時刻(予測時刻)に基づいて、車両の電力負担量を設定するようにした。ここで、住宅では、どの時間帯に消費電力が大きくなるか等の時系列パターンを予め求めることができ、その時系列パターンと車両の帰宅時刻とによれば、電力負担量を適正に設定することができる。
【0018】
第5の発明は、前記負担量設定手段は、前記帰宅時刻予測手段により予測された帰宅時刻が遅いほど、前記車両の帰宅後に駆動される前記電気機器に対して前記蓄電池が負担する電力比率が大きくなるようにして、前記電力負担量を設定することを特徴とする。
【0019】
車両の帰宅時刻が遅いほど、車両の帰宅後において車両側から住宅側への電力供給が可能となる時間が短くなることが考えられる。この点、車両が住宅に戻ると予測された帰宅時刻が遅いほど、車両の帰宅後に駆動される電気機器に対して車両の蓄電池が負担する電力比率が大きくなるようにして、車両の電力負担量を設定するようにしたため、車両の帰宅後に車両側から住宅側への電力供給時間が短くても、所望のとおり車両側から住宅側への電力供給を行わせることができる。
【0020】
第6の発明は、前記帰宅時刻予測手段により予測された帰宅時刻よりも前において、前記蓄電量取得手段により取得された蓄電量に基づいて、前記電気機器への電力供給を制御する帰宅前電力制御を実施する機器制御手段を備えることを特徴とする。
【0021】
車両の帰宅時刻(予測時刻)よりも前において、車両が出先から住宅に戻る前に取得された蓄電池の蓄電量に基づいて、電気機器への電力供給を制御する帰宅前電力制御を実施するようにした。この場合、車両が帰宅した後の電力供給を見込んで、その帰宅前において電気機器への電力供給(電気機器の駆動)を制限したり、逆に車両が帰宅した後の電力供給を見込まずその帰宅前において電気機器への電力供給(電気機器の駆動)を制限しないようにしたりすることができる。
【0022】
第7の発明は、前記機器制御手段は、前記蓄電量取得手段により取得された蓄電量が所定以上である場合に、前記帰宅時刻予測手段により予測された帰宅時刻よりも前に予定されていた所定の前記電気機器への電力供給を前記帰宅時刻の後に変更し、当該電気機器に対して、前記車両の帰宅後に前記蓄電池から電力供給を行わせることを特徴とする。
【0023】
車両が出先から住宅に戻る前に取得された蓄電池の蓄電量が所定以上である場合に、車両の帰宅時刻(予測時刻)よりも前に予定されていた所定の電気機器への電力供給を帰宅時刻の後に変更し、当該電気機器に対して、車両の帰宅後に蓄電池から電力供給を行わせるようにした。これにより、住宅において、例えば商用電力の消費を抑えることができる。
【0024】
第8の発明は、前記蓄電量取得手段は、前記車両が出先から前記住宅に戻る前において、所定周期で前記蓄電量を取得し、前記負担量設定手段は、前記蓄電量取得手段により前記蓄電量が取得される都度、前記電力負担量を設定することを特徴とする。
【0025】
車両が出先から住宅に戻る前において、所定周期で蓄電池の蓄電量を取得し、その蓄電量が取得される都度、車両の電力負担量を設定するようにした。この場合、出先において車両走行時の放電により蓄電量が減ったり、又は充電により蓄電量が増えたりしても、その充放電による蓄電量の変化を逐次把握しつつ、車両の電力負担量を適宜更新することができ、ひいては適正な電力管理を実現することができる。
【0026】
第9の発明は、前記車両が前記住宅に戻ったことを判定する帰宅判定手段と、前記車両が前記住宅に戻ったと判定された場合に、車両側から住宅側への電力供給が予定されていれば、車両側と住宅側との電気ケーブル(18)の接続を促す報知処理を実施する報知処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0027】
車両が住宅に戻ったと判定された場合に、車両側から住宅側への電力供給が予定されていれば、車両側と住宅側との電気ケーブルの接続を促す報知処理を実施するようにした。これにより、車両の帰宅後において、車両側から住宅側への電力供給を適正に行わせることができる。
【0028】
第10の発明は、前記車両が前記住宅に戻ったと判定され、かつ前記報知処理が実施された場合において、前記住宅の出入口の扉(19)が解錠操作されたタイミングで、車両側と住宅側とが前記電気ケーブルにより接続されているか否かを判定するケーブル接続判定手段と、前記ケーブル接続判定手段により前記電気ケーブルが接続されていないと判定された場合に、前記報知処理を再び実施する第2報知処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0029】
車両が住宅に戻ったと判定され、かつ報知処理が実施された場合において、住宅の出入口の扉が解錠操作されたタイミングで、車両側と住宅側とが電気ケーブルにより接続されているか否かを判定し、電気ケーブルが接続されていないと判定された場合に、報知処理を再び実施するようにした。これにより、車両の帰宅後において、車両側から住宅側への電力供給をより一層適正に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】システム全体の概要を示す図。
図2】住宅での電力制御の処理手順を示すフローチャート。
図3】車両帰宅時において車両側から住宅側の電力供給に関する報知を実施する処理手順を示すフローチャート。
図4】住宅での電力制御をより具体的に説明するタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、住宅における電力管理システムを具体化するものであり、そのシステムでは、住宅側と自動車側との間で双方向に電力の授受が可能であり、かつその際の電力管理を可能とするものとなっている。また、本電力管理システムは、車両の状態を管理する車両管理システムとの連携を可能としており、車両管理システムからの車両情報を用いて住宅での電力管理を行うものとしている。図1は、システム全体の構成を示す概略図である。
【0032】
図1において、住宅10には、図示しない電柱等から送電線11を介してAC100V/200Vの商用電力が供給される。送電線11には分電盤12が接続されている。分電盤12は、住宅10内に設けられた複数の電力経路に対して選択的に電力を供給する周知の分電機能に加え、車両充電用の電力を車両30に供給する充電電力供給機能を有している。分電盤12には、電気配線13を介して複数の電気機器14が接続されている。電気機器14には、照明器具や空調装置、テレビ、冷蔵庫、給湯機器、洗濯機、乾燥機等が含まれる。これら各電気機器14は、分電盤12からの電力の供給により適宜運転される。電気配線13には、分電盤12から各電気機器14に供給される電力の量を監視する電力監視装置15が設けられている。電力監視装置15は、例えば周知の電力量計を有するものである。
【0033】
また、分電盤12には、電気配線16を介して充電設備17が接続されている。充電設備17は、車両30の駐車スペース付近に設けられ、車両30に対して電力を供給することで、車両30に搭載されたバッテリ31を充電するものとなっている。駐車スペースは、住宅10と同じ敷地内において住宅10の側方に設けられている。車両30は、PHV(プラグインハイブリッド)自動車や電気自動車等の電動車両であり、走行用モータの電源として大容量二次電池(蓄電池)であるバッテリ31を備えている。
【0034】
充電設備17は、電力の流出入を可能とする電気ケーブル18を有している。電気ケーブル18が車両30のインレット32に接続された状態で、電気ケーブル18を通じて充電設備17から車両30への電力供給が実施される。
【0035】
また、電気ケーブル18が車両30に接続された状態では、住宅10側から車両30側への電力供給に加え、車両30側から住宅10側への電力供給が可能となっている。すなわち、バッテリ31が蓄電されている状態において、そのバッテリ31から住宅10側への電力供給が可能となっている。この場合、車両30側から住宅10側に電力が供給される状況では、充電設備17及び電気配線16を介して電力が分電盤12に供給され、その分電盤12から各電気機器14への電力供給が可能となっている。
【0036】
住宅10の出入口には扉19が設けられており、その扉19を介して住人の住宅10への出入りが可能になっている。
【0037】
住宅10には、住宅10における電力管理を行う住宅制御装置20が設けられている。住宅制御装置20は、CPUや各種メモリを有するマイクロコンピュータを具備する電子制御装置である。住宅制御装置20は、電気ケーブル18を介して住宅10側と車両30側とが接続されている状態で、車両30のバッテリ31からの供給電力により電気機器14を駆動させる電力制御を実施する。この場合、バッテリ31からの電力供給が可能な状況では、商用電力に代えてバッテリ電力を用いて電気機器14が駆動される。
【0038】
住宅制御装置20は、住宅管理センタ41に設けられた住宅管理用の管理サーバ42との間で相互に通信が可能となっている。管理サーバ42は、複数の住宅10との間で情報通信網を構築しており、各住宅10から送信された各種情報を記憶保持するとともに、管理サーバ42側で有する情報を各住宅10に送信することが可能となっている。
【0039】
また、車両30は、バッテリ31の状態を管理する車載制御装置33を備えている。車載制御装置33は、車両運転状態においてバッテリ31の蓄電量を示すSOC(残存電気量)を逐次算出する。SOC算出について具体的には、車載制御装置33は、バッテリ31の通電が遮断されている通電遮断状態においてバッテリ31の開放電圧(OCV)に基づいてSOCを算出するとともに、バッテリ31の通電状態(充電時又は放電時)においてバッテリ31の通電電流を所定周期で積算することで、SOCを逐次更新する。なお、バッテリ31の蓄電量を示す指標としてSOC以外を用いることも可能である。また、車両30は、GPS等による位置検出結果と地図情報とにより車両位置を認識する位置認識機能を有している。
【0040】
車載制御装置33は、車両管理センタ43に設けられた車両管理用の管理サーバ44との間で相互に通信が可能となっている。管理サーバ44は、複数の車両30との間で情報通信網を構築しており、各車両30から送信された各種情報を記憶保持するとともに、管理サーバ44側で有する情報を各車両30に送信することが可能となっている。
【0041】
また、住宅管理センタ41及び車両管理センタ43では管理サーバ42,44の連携が可能になっており、住宅管理サーバ42において、車両管理サーバ44からの情報の取得が可能となっている。
【0042】
本実施形態では、車両30が走行状態(使用状態)にある場合に、その車両30の位置情報や蓄電量情報(バッテリSOC)が車両30から車両管理サーバ44に逐次送信される。例えば、車両30の起動スイッチ(IGスイッチ)がオンしている状態で、所定時間ごとに車両30の位置情報や蓄電量情報が車両管理サーバ44に逐次送信される。そして、車両管理サーバ44では、受信した情報を、車両30ごとに記憶部(メモリ)に記憶する。なお、車両位置は、地図上の位置として記憶される。
【0043】
そして、車両30が自宅以外の出先にいる場合において、住宅制御装置20は、車両30が出先から住宅10に戻る前に、住宅管理サーバ42を介して、車両管理サーバ44に記憶されている車両30の位置情報や蓄電量情報を取得し、その車両30の位置情報や蓄電量情報に基づいて、車両30が出先から戻った後における電気機器14に対する車両30の電力負担量を設定する。本実施形態では、住宅制御装置20が蓄電量取得手段、負担量設定手段に相当する。
【0044】
図2は、住宅10での電力制御の処理手順を示すフローチャートであり、本処理は住宅制御装置20により所定周期で繰り返し実施される。
【0045】
図2において、ステップS11では、車両30が外出中であるか否かを判定する。例えば車両30の位置情報に基づいて、車両30が自宅以外に存在していると判定される場合に、ステップS11が肯定される。住宅10の駐車スペースに車両検知センサを設けておき、そのセンサの検知結果により車両30が外出しているか否かを判定するものであってもよい。ステップS11が肯定されればステップS12に進み、否定されればステップS21に進む。
【0046】
ステップS12では、車両30からバッテリSOCや車両位置の情報を取得するタイミングであるか否かを判定する。本実施形態では、所定周期でバッテリSOC等の情報を取得することとしており、車両30の出発時、又は前回の情報取得時から1周期分の時間(例えば1時間)が経過していれば、ステップS12が肯定される。情報取得タイミングであればステップS13に進み、それ以外であれば本処理を一旦終了する。なお、以下のいずれかのタイミングを情報取得タイミングとすることも可能である。
・ユーザが予め定めた取得時刻(例えば午後5時)を情報取得タイミングとする。
・ユーザ操作によりSOCの取得指令が生じるタイミングを情報取得タイミングとする。
・車両30の帰宅時刻が分かっている場合に、その帰宅時間よりも所定時間(例えば1時間)前のタイミングを情報取得タイミングとする。
【0047】
ステップS13では、車両30の現在位置を取得し、ステップS14では、車両30のバッテリSOCを取得する。これらの情報は、住宅管理サーバ42を介して車両管理サーバ44から取得されるものである。
【0048】
ステップS15では、車両30が住宅10に戻る帰宅時刻を予測する。このとき、車両30の帰宅時刻がユーザ操作により予め設定されている場合には、その帰宅時刻が読み出される。また、車両30の現在位置に基づいて、帰宅時刻が修正されてもよい。例えば、車両30での行き先が分かっている場合に、その行き先と車両30の現在位置とが相違していれば、帰宅時刻が修正される。また、帰宅時刻が設定されていない場合において、車両30が現在位置から住宅10まで走行するのに要する所要時間に基づいて、帰宅時刻が予測されてもよい。
【0049】
その後、ステップS16では、車両30が帰宅時した時のバッテリSOCを帰宅時SOC(帰宅時蓄電量)として予測する。このとき、今回取得したバッテリSOCと、車両30が現在位置から住宅10まで走行するのに要する消費SOCとに基づいて、帰宅時SOCが予測される。なお、消費SOCは、車両30の現在位置から住宅10までの距離に基づいて、その走行に要する電力消費量により算出されるとよい。
【0050】
その後、ステップS17では、ステップS15で予測された帰宅時刻よりも前において、バッテリSOCに基づいて、電気機器14への電力供給を制御する帰宅前電力制御を実施する。この帰宅前電力制御では、住宅10での商用電力の消費を抑えるべく、車両30が帰宅した後の電力供給を見込んで、その帰宅前において電気機器14への電力供給(電気機器14の駆動)を制限したり、逆に車両30が帰宅した後の電力供給を見込まずその帰宅前において電気機器14への電力供給(電気機器14の駆動)を制限しないようにしたりする。
【0051】
帰宅前電力制御として、ステップS14で取得したバッテリSOCが所定以上である場合に、車両30の帰宅時刻よりも前に予定されていた所定の電気機器14の駆動を帰宅時刻の後に変更し、その電気機器14に対して、車両30の帰宅後にバッテリ31から電力供給を行わせるようにしてもよい。例えば、洗濯機や乾燥機を駆動させる場合に、その駆動を帰宅時刻の後に変更し、それら洗濯機や乾燥機をバッテリ31からの給電により駆動させる。
【0052】
なお、ステップS16にて算出された帰宅時SOC(帰宅時の予測SOC)に基づいて、帰宅前電力制御を実施する構成であってもよい。すなわち、帰宅時SOCが所定以上である場合に、車両30の帰宅時刻よりも前に予定されていた所定の電気機器14の駆動を帰宅時刻の後に変更する構成であってもよい。
【0053】
その後、ステップS18では、車両30の帰宅後におけるバッテリ31による電力負担量を設定する。電力負担量は、住宅10で消費される消費電力のうち、車両30のバッテリ電力が負担する電力量を示すものであり、その電力負担量の範囲内でバッテリ電力が消費される。電力負担量は、以下に示す処理により設定されるとよい。
【0054】
(1)ステップS16で予測した帰宅時SOCに基づいて、電力負担量を設定する。この場合、帰宅時SOCが所定の基準値以上であることを条件に、バッテリ電力の使用を許可し、その許可時において、帰宅時SOCが大きいほど電力負担量を大きくする。
【0055】
(2)ステップS14で取得したバッテリSOCと、ステップS15で予測した車両30の帰宅時刻とに基づいて、電力負担量を設定する。この場合、バッテリSOCが所定の基準値以上であることを条件に、バッテリ電力の使用を許可し、その許可時において、車両30の帰宅時刻を考慮しつつバッテリ31の電力負担量を設定する。具体的には、住宅10における複数の電気機器14のうち車両30の帰宅後に駆動される電気機器14を、車両30の帰宅時刻に基づいて把握するとともに、その車両帰宅後に駆動される電気機器14についてバッテリ31からの電力供給により駆動させることし、その上でバッテリ31の電力負担量を設定する。このとき、バッテリSOCが大きいほど電力負担量を大きくする。なお、バッテリSOCに代えて、帰宅時SOCを用いることも可能である。
【0056】
(3)住宅10での消費電力に関する終日(24時間)の時系列パターンを用い、車両30の帰宅時刻に基づいて、電力負担量を設定する。この場合、住宅10での消費電力について終日の時系列パターンを予め求めておき、その時系列パターンと車両30の帰宅時刻とを照合することで、車両30の電力負担量を設定する。ここでも、上記同様、バッテリSOC(又は帰宅時SOC)が所定の基準値以上であることを条件に、バッテリ電力の使用を許可するとよい。
【0057】
車両30の帰宅時刻が遅いほど、車両30の帰宅後に駆動される電気機器14に対してバッテリ31が負担する電力比率が大きくなるようにして、車両30の電力負担量を設定するとよい。つまり、車両30の帰宅時刻が遅いほど、車両帰宅後において車両30側から住宅10側への電力供給が可能となる時間が短くなることが考えられ、この点を考慮し、車両30の電力負担量を設定する。
【0058】
なお、消費電力の時系列パターンは、過去の電力消費履歴に基づいて定められるとよい。この場合、例えば所定の過去期間での電力消費の実績(電力消費履歴)に基づいて、住宅10ごとに時系列パターンが定められるとよい。又は、ユーザが設定した電気機器14の駆動予定時刻に基づいて、消費電力の時系列パターンが定められていてもよい。
【0059】
複数の電気機器14のうちどの電気機器14への電力供給をバッテリ31に負担させるかを、電力負担量として設定することも可能である。この場合、電気機器14ごとの消費電流や給電対象とする電気機器14の数に応じて、電力負担量を設定するとよい。
【0060】
また、車両30が外出中でないと判定された場合、すなわち車両30が住宅駐車スペースに駐車されている場合には、ステップS11からステップS21に進み、ステップS21で、車両30からの電力供給を実施するか否かを判定する。このとき、車両30の帰宅前においてバッテリ31の電力負担量が設定されており、その住宅10側と車両30側とが電気ケーブル18により接続されている状況であれば、ステップS21を肯定してステップS22に進む。
【0061】
ステップS22では、バッテリ31の電力負担量に基づいて、バッテリ31からの供給電力により電気機器14を駆動させる。このとき、バッテリ31からの電力供給先の電気機器14が特定されている場合には、その電気機器14に対する電力供給が行われる。
【0062】
図3は、車両30の帰宅時において車両30側から住宅10側の電力供給に関する報知を実施する処理手順を示すフローチャートであり、本処理は住宅制御装置20により所定周期で繰り返し実施される。
【0063】
ステップS31では、車両30が帰宅したか否かを判定する。車両30側から住宅10側への情報送信が可能な構成であれば、車両30が駐車操作されたことを示す駐車情報(例えば車両シフト位置がパーキング位置に操作された情報)を車両30側から取得し、その駐車情報により、車両30が帰宅したことを判定する構成であってもよい。このとき、車両30が帰宅し、かつその帰宅から所定時間内であるか否かを判定する構成であってもよい。なお、所定時間は、数分程度の時間であればよく、例えば5分である。また、ステップS32では、車両30の帰宅後において車両30側から住宅10側への電力供給が予定されているか否か、すなわち車両30側での電力負担ありとして電力負担量が設定されているか否かを判定する。
【0064】
そして、ステップS31,S32が共に肯定されれば、後続のステップS33に進み、ステップS31,S32のいずれかが否定されれば、そのまま本処理を一旦終了する。
【0065】
ステップS33では、車両30の帰宅後においてケーブル接続を促す第1報知処理が実施される前であるか否かを判定する。帰宅当初であれば、ステップS33が肯定され、ステップS34に進む。ステップS34では、車両30側と住宅10側との電気ケーブル18の接続を促す第1報知処理を実施する。第1報知処理は、車両30の駐車スペースにおいて、音声又は表示により行われる。住宅10側から車両30側への情報送信が可能な構成であれば、車両30において第1報知処理を行わせる構成であってもよい。
【0066】
第1報知処理の実施後には、ステップS33が否定され、ステップS35に進む。ステップS35では、住宅10の出入口の扉19が解錠操作されたか否かを判定する。また、ステップS36では、電気ケーブル18が未接続の状態になっているか否かを判定する。このとき、住宅制御装置20は、扉19に設けられた電気錠装置から解錠信号を入力し、その解錠信号に基づいて、解錠操作されたことを判定する。また、充電設備17からケーブル接続信号を入力し、そのケーブル接続信号に基づいて、電気ケーブル18が未接続であることを判定する。
【0067】
そして、ステップS35,S36が共に肯定されれば、後続のステップS37に進み、ステップS35,S36のいずれかが否定されれば、そのまま本処理を一旦終了する。
【0068】
ステップS37では、車両30側と住宅10側との電気ケーブル18の接続を促す第2報知処理を実施する。第2報知処理は、住宅10の扉19又はその付近において、音声又は表示により行われる。例えば、電気錠装置に付与されている報知機能、又はインターホンの表示機能を用いて、第2報知処理が行われるとよい。
【0069】
図4は、住宅10での電力制御をより具体的に説明するタイムチャートである。なお、図4では、タイミングt1以前及びタイミングt4以後において車両30が住宅10の駐車スペースに駐車されており、タイミングt1~t4の期間で車両30が外出しているものとしている。
【0070】
図4において、タイミングt1では、車両30が住宅10から離れ、外出状態となる。その外出状態では、車両30において位置検出とSOC算出とが逐次行われ、車両位置及びバッテリSOCの情報が車両管理サーバ44に逐次記憶される。
【0071】
そして、住宅制御装置20では、タイミングt2,t3等のタイミングでバッテリSOCや車両位置等の情報が取得され、それらバッテリSOCや車両位置等に基づいて車両30側における帰宅後の電力負担量が算出される。このとき、バッテリSOCが取得される都度、帰宅後の電力負担量が設定(更新)される。ここで、車両30の帰宅前(タイミングt4以前)においては、バッテリSOCが所定以上であることを条件に、車両30の帰宅前における電気機器14への電力供給制御(帰宅前電力制御)が実施される。このとき、例えば、車両30の帰宅時刻よりも前に予定されていた所定の電気機器14の駆動が、帰宅時刻の後に変更される。
【0072】
その後、タイミングt4で車両30が帰宅すると、その帰宅前に算出しておいたバッテリ31の電力負担量に基づいて、バッテリ31からの供給電力による電気機器14の駆動制御が行われる。
【0073】
ここで、車両30の帰宅直後においては、車両30側から住宅10側への電力供給が予定されていることを条件に、車両30の駐車スペースにおいて第1報知処理が実施される(タイミングt5)。そして、ユーザにより電気ケーブル18の接続が行われる(タイミングt6)。その後、ケーブル接続状態で、車両30側から住宅10への電力供給が適宜行われる。なお、図示は省略するが、第1報知処理の実施後には、住宅10の扉19が解錠操作されたタイミングで電気ケーブル18が未接続の状態になっていることに基づいて、住宅10の扉19又はその付近において第2報知処理が実施される。
【0074】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0075】
仮に車両30の帰宅後において住宅10側でバッテリSOCを取得する構成であれば、例えばバッテリ31に残存する蓄電量が多いにもかかわらず、その利用量が少量に限られてしまい、バッテリ31の電気エネルギを有効利用できなくなることが考えられる。この点、上記のとおり車両30が出先から住宅に戻る前に、バッテリSOCが取得され、その取得されたバッテリSOCに基づいて車両30が出先から戻った後の車両30の電力負担量が設定されることにより、車両30が住宅10に持ち帰る電気エネルギを事前に把握した上で、電力管理を適正に行うことができる。つまり、車両30が帰宅する前に、帰宅時に持ち帰る電気エネルギ量を予測し、その電気エネルギ量に基づいて、車両30の帰宅後における電力管理を行うことができる。その結果、車両30のバッテリ31に残存する電気エネルギを、住宅10での電気機器14の駆動に有効に用いることができる。この場合、住宅10での商用電力の消費を極力抑えることが可能になる。
【0076】
出先での車両位置及びバッテリSOCに基づいて、車両30が出先から住宅10に戻った時のバッテリSOCを帰宅時SOCとして予測し、その帰宅時SOCに基づいて、車両30の電力負担量を設定するようにした。この場合、出先での車両位置とバッテリSOCとが分かれば、住宅10に戻るまでに車両30で消費される電気量を勘案して帰宅時SOCを予測することができ、その帰宅時SOCによれば、車両30の帰宅後における電力管理をより一層適正に行うことができる。
【0077】
車両30が出先から住宅10に戻る前に取得されたバッテリSOCと、車両30が出先から住宅10に戻る前に予測された帰宅時刻とに基づいて、車両30の電力負担量を設定するようにした。この場合、車両30の帰宅時刻が事前に分かっていれば、帰宅前に駆動される電気機器14と帰宅後に駆動される電気機器14とを振り分けつつ、帰宅後に駆動される電気機器14に対してバッテリ31の電気エネルギを有効に利用することができる。
【0078】
住宅10での消費電力に関する終日の時系列パターンを用い、車両30の帰宅時刻(予測時刻)に基づいて、車両30の電力負担量を設定するようにした。ここで、住宅10では、どの時間帯に消費電力が大きくなるか等の時系列パターンを予め求めることができ、その時系列パターンと車両30の帰宅時刻とによれば、電力負担量を適正に設定することができる。
【0079】
車両30の帰宅時刻が遅いほど、車両30の帰宅後において車両30側から住宅10側への電力供給が可能となる時間が短くなることが考えられる。この点、車両30の帰宅時刻が遅いほど、車両30の帰宅後に駆動される電気機器14に対してバッテリ31が負担する電力比率が大きくなるようにして、車両30の電力負担量を設定するようにしたため、車両30の帰宅後に車両30側から住宅10側への電力供給時間が短くても、所望のとおり車両30側から住宅10側への電力供給を行わせることができる。
【0080】
車両30の帰宅時刻(予測時刻)よりも前において、車両30が出先から住宅10に戻る前に取得されたバッテリSOCに基づいて、電気機器14への電力供給を制御する帰宅前電力制御を実施するようにした。この場合、車両30が帰宅した後の電力供給を見込んで、その帰宅前において電気機器14への電力供給(電気機器14の駆動)を制限したり、逆に車両30が帰宅した後の電力供給を見込まずその帰宅前において電気機器14への電力供給(電気機器14の駆動)を制限しないようにしたりすることができる。
【0081】
車両30が出先から住宅に戻る前に取得されたバッテリSOCが所定以上である場合に、車両30の帰宅時刻(予測時刻)よりも前に予定されていた所定の電気機器14への電力供給を帰宅時刻の後に変更し、当該電気機器14に対して、車両30の帰宅後にバッテリ31から電力供給を行わせるようにした。これにより、住宅10において、例えば商用電力の消費を抑えることができる。
【0082】
車両30が出先から住宅10に戻る前において、所定周期でバッテリSOCを取得し、そのバッテリSOCが取得される都度、車両30の電力負担量を設定するようにした。この場合、出先において車両走行時の放電によりバッテリSOCが減ったり、又は充電によりバッテリSOCが増えたりしても、その充放電によるSOC変化を逐次把握しつつ、車両30の電力負担量を適宜更新することができ、ひいては適正な電力管理を実現することができる。
【0083】
車両30が住宅に戻ったと判定された場合に、車両30側から住宅10側への電力供給が予定されていれば、車両30側と住宅10側との電気ケーブル18の接続を促す第1報知処理を実施するようにした。これにより、車両30の帰宅後において、車両30側から住宅10側への電力供給を適正に行わせることができる。
【0084】
車両30が住宅10に戻ったと判定され、かつ第1報知処理が実施された場合において、住宅10の出入口の扉19が解錠操作されたタイミングで、車両30側と住宅10側とが電気ケーブル18により接続されていなければ、第2報知処理を実施するようにした。これにより、車両30の帰宅後において、車両30側から住宅10側への電力供給をより一層適正に行わせることができる。
【0085】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0086】
・上記実施形態では、住宅10側の情報を住宅管理センタ41の住宅管理サーバ42により管理する一方、車両30側の情報を車両管理センタ43の車両管理サーバ44により管理し、それら管理サーバ42,44を通じて、車両30側の情報(バッテリSOCや車両位置等)を住宅10側に送信する構成としたが、これを変更してもよい。例えば、住宅制御装置20と車載制御装置33とで直接通信を行う構成であってもよい。この場合、住宅制御装置20は、車載制御装置33からバッテリSOCや車両位置の情報を適宜取得する。
【0087】
・住宅10での消費電力に関する終日の時系列パターンを用い、車両30の帰宅時刻(予測時刻)に基づいて車両30の電力負担量を設定する場合において、その時系列パターンは、1週間のうちの曜日を考慮したものであるとよい。つまり、休日とそれ以外とで電力消費のパターンが相違することを考慮するとよい。
【0088】
・住宅10での消費電力に関する時系列パターンは、終日(24時間)のものでなくてもよく、所定時間帯の時系列パターンを示すものであってもよい。例えば、車両30が外出していないと想定される時間帯(例えば午後7時~午前7時の時間帯)の消費電力の時系列パターンを用いて車両30の電力負担量を設定する構成であってもよい。
【0089】
・出先にいる車両30からバッテリSOCを取得する場合において、その車両位置が住宅10から所定距離以上(例えば100km以上)に離れていれば、そのバッテリSOCに基づく車両30の電力負担量の設定を行わないようにしてもよい。この場合、車両30が住宅10から遠く離れている場合には、車両30が住宅10に戻った時のバッテリSOCを予測しづらくなる。その点を考慮したものである。
【符号の説明】
【0090】
10…住宅、14…電気機器、18…電気ケーブル、19…扉、20…住宅制御装置、30…車両、31…バッテリ(蓄電池)。
図1
図2
図3
図4