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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-01-12
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/324 20060101AFI20220104BHJP
【FI】
H01L21/324 T
H01L21/324 R
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018039544
(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公開番号】P2019153738
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】辻 起久
【審査官】早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-065272(JP,A)
【文献】国際公開第2016/021496(WO,A1)
【文献】特開2000-138210(JP,A)
【文献】特開2003-017433(JP,A)
【文献】特開平10-153510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/324
H01L 21/26
H01L 21/205
H01L 21/67
C23C 16/44-16/54
G01L 19/00-19/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して熱処理を行う基板処理装置において、
基板を載置し、基板を加熱する熱処理プレートと、
前記熱処理プレートの上方を覆って、熱処理プレートによる熱処理雰囲気を形成する筐体と、
前記筐体内の気体を排気する排気管と、
前記排気管に形成され、前記排気管の内部に連通した排気管開口部と、
前記排気管開口部に設けられ、前記排気管内の排気圧力を検出するためのサンプリングポートと、
前記サンプリングポートを介して排気圧力を測定する圧力センサと、
を備え、
前記サンプリングポートは、
前記排気管開口部にて前記排気管の内部に連通した開口部と、
前記排気管における気体の流通方向と、前記開口部の中心軸の延長線との交点から前記開口部を見た場合、前記開口部が見えないように前記開口部を覆うとともに、前記排気管における気体の流通方向と前記開口部の中心軸との両方に直交する方向、前記排気管の気体の流通方向における前記開口部より下流側の少なくとも一方で前記排気管の内部に前記開口部が連通するように設けられた整流板と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記整流板は、前記排気管における気体の流通方向と、前記開口部の中心軸との両方に直交する方向から見た場合に、前記排気管の上流側から下流側に向かって徐々に前記開口部からの距離が大きくなる傾斜面を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記整流板は、前記排気管における気体の流通方向と、前記開口部の中心軸との両方に直交する方向から見た断面が三角形状を呈し、その頂点が、その内角側を前記開口部に対向して取り付けられていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記開口部が形成されたブロック体と、
前記排気管開口部に前記開口部が臨むようにして、前記ブロック体を前記排気管に着脱自在に取り付ける取り付け具と、
を備え、
前記整流板は、前記ブロック体の前記排気管開口部側に取り付けられていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記ブロック体は、前記開口部の反対面に、前記開口部に連通した測定管取付部を形成されているとともに、
前記ブロック体の前記測定管取付部に一端側が配置され、他端側に前記圧力センサが配置された測定管と、
前記測定管の一端側を前記測定管取付部に着脱自在に取り付ける測定管取付具と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板などの各種基板(以下、単に基板と称する)に対して、熱処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、載置された基板を加熱する熱処理プレートと、熱処理プレートの上部を囲い、熱処理プレートに対して昇降可能に構成され、熱処理プレートによる熱処理雰囲気を形成するカバー部材と、熱処理プレートとカバー部材とを囲った筐体と、カバー部材の天井面と熱処理プレートの上面との間に設けられた天板と、天板の下面と熱処理プレートの上面との間隔を調整する位置調整部材とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような基板処理装置では、筐体内の気体を排出している。具体的には、筐体内から気体を排気する排気管と、排気管内の圧力を検出する圧力センサとを備え、圧力センサによって測定された圧力に基づいて排気制御を行う。圧力センサは、排気管に設けられたサンプリングポートを介して圧力を測定する。具体的には、サンプリングチューブの一端側を、排気管内に連通した開口部に取り付け、その他端側に圧力センサを取り付けている。排気管に形成された開口部は、排気管における気体の流通方向から開口部を見た場合、開口部が露出した状態となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-3843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、最近では、微細加工プロセスのために、塗布炭素膜といわれる下層膜を形成することがある。この下層膜の生成は、高温の熱処理で行われ、その際には下層膜から昇華物を含む気体が発生する。従来の装置のように構成された基板処理装置では、開口部の周囲に昇華物が付着して、開口部を閉塞するように昇華物が次第に堆積していくので、圧力の検出に支障が生じる。したがって、排気管内の排気圧力を正確に測定できないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、昇華物を含む気体であっても、排気管内の排気圧力を正確に測定できる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板に対して熱処理を行う基板処理装置において、基板を載置し、基板を加熱する熱処理プレートと、前記熱処理プレートの上方を覆って、熱処理プレートによる熱処理雰囲気を形成する筐体と、前記筐体内の気体を排気する排気管と、前記排気管に形成され、前記排気管の内部に連通した排気管開口部と、前記排気管開口部に設けられ、前記排気管内の排気圧力を検出するためのサンプリングポートと、前記サンプリングポートを介して排気圧力を測定する圧力センサと、を備え、前記サンプリングポートは、前記排気管開口部にて前記排気管の内部に連通した開口部と、前記排気管における気体の流通方向と、前記開口部の中心軸の延長線との交点から前記開口部を見た場合、前記開口部が見えないように前記開口部を覆うとともに、前記排気管における気体の流通方向と前記開口部の中心軸との両方に直交する方向、前記排気管の気体の流通方向における前記開口部より下流側の少なくとも一方で前記排気管の内部に前記開口部が連通するように設けられた整流板と、を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、サンプリングポートは、熱処理プレートの上部を覆った筐体からの気体を排気する排気管の排気管開口部に設けられ、排気管内の排気圧力が、サンプリングポートを介して取り付けられている圧力センサにより測定される。このサンプリングポートは、排気管における気体の流通方向と、開口部の中心軸の延長線との交点から開口部を見た場合、開口部が見えないように開口部を覆う整流板を備えている。この整流板は、さらに、排気管における気体の流通方向と開口部の中心軸との両方に直交する方向、排気管の気体の流通方向における開口部より下流側の少なくとも一方で排気管の内部に開口部が連通するように設けられているので、排気圧力を圧力センサで測定できる。したがって、気体に含まれている昇華物は、整流板の上流側には付着して堆積するものの、開口部に堆積して開口部を閉塞することを抑制できる。その結果、昇華物を含む気体であっても、排気管内の排気圧力を正確に測定できる。
【0009】
また、本発明において、前記整流板は、前記排気管における気体の流通方向と、前記開口部の中心軸との両方に直交する方向から見た場合に、前記排気管の上流側から下流側に向かって徐々に前記開口部からの距離が大きくなる傾斜面を有することが好ましい(請求項2)。
【0010】
開口部に対向する配管内には、上流側から下流側に向かって徐々に開口部からの距離が大きくなる傾斜面を有する整流板が配置されているので、排気に含まれる昇華物は主としてその傾斜面に付着して堆積する。また、気体の流通方向と直交する方向や、気体の流通する方向の下流側で開口部が排気管に連通しているので、サンプリングポートを介して圧量センサが正確に排気圧力を測定できる。
【0011】
また、本発明において、前記整流板は、前記排気管における気体の流通方向と、前記開口部の中心軸との両方に直交する方向から見た断面が三角形状を呈し、その頂点が、その内角側を前記開口部に対向して取り付けられていることが好ましい(請求項3)。
【0012】
開口部に対向する排気管内には、整流板が三角屋根のように配置され、その傾斜面が気体の流通方向に面した姿勢とされる。したがって、排気に含まれる昇華物は主としてその上下流に面した傾斜面に付着して堆積する。また、気体の流通方向と開口部の中心軸の両方に直交する方向で開口部が排気管に連通しているので、サンプリングポートを介して圧力センサが正確に排気圧力を測定できる。
【0013】
また、本発明において、前記開口部が形成されたブロック体と、前記排気管開口部に前記開口部が臨むようにして、前記ブロック体を前記排気管に着脱自在に取り付ける取り付け具と、を備え、前記整流板は、前記ブロック体の前記排気管開口部側に取り付けられていることが好ましい(請求項4)。
【0014】
取り付け具を外すと、排気管からブロック体を取り外すことができるので、昇華物が開口部に付着していてもメンテナンスにより容易に除去できる。したがって、定期的なメンテナンスを実施することにより、長期間にわたって排気圧力の精度を維持できる。
【0015】
また、本発明において、前記ブロック体は、前記開口部の反対面に、前記開口部に連通した測定管取付部を形成されているとともに、前記ブロック体の前記測定管取付部に一端側が配置され、他端側に前記圧力センサが配置された測定管と、前記測定管の一端側を前記測定管取付部に着脱自在に取り付ける測定管取付具と、を備えていることが好ましい(請求項5)。
【0016】
測定管取付具を取り外すと、測定管をブロック体から取り外すことができるので、昇華物が測定管の内部に付着していてもメンテナンスにより容易に除去できる。したがって、定期的なメンテナンスを実施することにより、長期間にわたって排気圧力の精度を維持できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る基板処理装置によれば、サンプリングポートは、熱処理プレートの上部を覆った筐体からの気体を排気する排気管の排気管開口部に設けられ、排気管内の排気圧力が、サンプリングポートを介して取り付けられている圧力センサにより測定される。このサンプリングポートは、排気管における気体の流通方向と、開口部の中心軸の延長線との交点から開口部を見た場合、開口部が見えないように開口部を覆う整流板を備えている。この整流板は、さらに、排気管における気体の流通方向と開口部の中心軸との両方に直交する方向、排気管の気体の流通方向における開口部より下流側の少なくとも一方で排気管の内部に開口部が連通するように設けられているので、排気圧力を圧力センサで測定できる。したがって、気体に含まれている昇華物は、整流板の上流側には付着して堆積するものの、開口部に堆積して開口部を閉塞することを抑制できる。その結果、昇華物を含む気体であっても、排気管内の排気圧力を正確に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す概略構成図である。
図2】可動天板の平面図である。
図3】昇降ピンの先端部付近を示す縦断面図である。
図4】圧力検出ユニットを示す縦断面図である。
図5】圧力検出ユニットを排気管内部から見た図である。
図6】圧力検出ユニットを排気管外部から見た図である。
図7】基板を搬入出する状態を示す縦断面図である。
図8】基板を加熱する状態を示す縦断面図である。
図9】整流板の第1の変形例を示す縦断面図である。
図10】整流板の第2の変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
【0020】
図1は、実施例に係る基板処理装置の全体構成を示す概略構成図であり、図2は、可動天板の平面図であり、図3は、昇降ピンの先端部付近を示す縦断面図である。
【0021】
実施例に係る基板処理装置1は、基板Wに対して熱処理を施すものである。具体的には、微細加工プロセスのために、例えば、塗布炭素膜といわれる下層膜を形成する際の熱処理を行う。この下層膜の生成のためには、300~500℃程度の高温で熱処理が行われる。
【0022】
基板処理装置1は、下部ベースプレート3と、水冷式ベースプレート5と、熱処理プレート7と、可動天板ユニット9と、昇降ピンユニット11と、筐体13と、シャッタユニット15とを備えている。
【0023】
この基板処理装置1は、隣接して配置された搬送アーム17から基板Wを搬入され、熱処理を施した後、処理済みの基板Wを搬送アーム17によって搬出される。
【0024】
下部ベースプレート3は、上面に支柱19を立設され、その上部に水冷式ベースプレート5が配置されている。水冷式ベースプレート5は、熱処理プレート7の熱が下方へ伝達することを抑制する。具体的には、水冷式ベースプレート5は、例えば、内部に冷媒が流通可能な冷媒流路21が全体にわたって形成されている。この冷媒流路21には、例えば、冷媒として冷却水が流通される。この冷却水は、例えば、20℃に温調されている。
【0025】
熱処理プレート7は、平面視で円形状を呈する。その直径は、基板Wの直径よりも若干大きい。熱処理プレート7は、図示しないヒータなどの加熱手段を内蔵しており、例えば、表面温度が400℃になるように加熱される。熱処理プレート7は、その下面と水冷式ベースプレート5の上面との間に設けられた支柱23により、水冷式ベースプレート5から上方へ離間した状態で配置されている。熱処理プレート7は、平面視で正三角形の各頂点に対応する位置に貫通口25が形成されている。
【0026】
熱処理プレート7には、可動天板ユニット9が付設されている。可動天板ユニット9は、昇降ベースプレート27と、昇降機構29と、支柱31と、可動天板33とを備えている。
【0027】
昇降ベースプレート27は、支柱23や、後述する昇降ピン41との干渉を回避する開口を備えている。昇降機構29は、例えば、エアシリンダで構成されている。昇降機構29は、作動軸を有する部分を上方に向けた姿勢で水冷式ベースプレート5に密着して取り付けられている。この昇降機構29は、作動軸の先端部の高さが任意の位置で固定できる。昇降機構29は、その作動軸が昇降ベースプレート27の底面に連結されている。昇降機構29の作動軸を昇降させると、昇降ベースプレート27の高さ位置を可変することができる。昇降ベースプレート27は、その上面に、例えば、4本の支柱31が立設されている。4本の支柱31の上端には、可動天板33が取り付けられている。
【0028】
図2に示すように、可動天板33は、平面視で中央部に開口35が形成されている。開口35は、平面視で基板Wの直径よりも小さく形成されている。この可動天板33は、昇降機構29が作動することにより、昇降ベースプレート27とともに昇降する。可動天板33の昇降位置は、基板Wに熱処理を行う際の下降位置と、基板Wを搬入する際の上昇位置とにわたって移動される。なお、下降位置は、基板Wの上面と可動天板33の下面との距離が約10mmであることが好ましい。これは、発明者等の実験により、基板Wの表面における温度分布の面内均一性を向上するには、この距離が好ましいことがわかったからである。
【0029】
可動天板33は、その対角長が、熱処理プレート7の直径よりも長く形成された矩形状を呈する。4本の支柱31は、各々の上端が可動天板33の下面における四隅に連結されている。可動天板33の四隅は、熱源である平面視円形状の熱処理プレート7から遠い位置にあたる。したがって、熱処理プレート7の輻射熱により可動天板33が加熱されても、支柱31には熱が伝わりにくくできる。したがって、昇降機構29が熱の影響を受けにくく、故障の発生を抑制できる。
【0030】
上述した可動天板33は、セラミックまたは金属とセラミックとの合金からなることが好ましい。これにより高温の熱処理を行っても、熱による変形を防止できる。
【0031】
昇降ピンユニット11は、駆動機構37と、昇降リング39と、3本の昇降ピン41とを備えている。なお、昇降ピン41は、図示の関係上、2本のみを描いている。
【0032】
駆動機構37は、例えば、エアシリンダで構成されている。駆動機構37は、その作動軸を有する部分を下方に向け、反対側を水冷式ベースプレート5の下面に密着させた状態で取り付けられている。作動軸の下部には、昇降リング39が連結されている。昇降リング39の上面には、3本の昇降ピン41が立設されている。駆動機構39は、その作動軸の高さ位置を、3本の昇降ピン41が熱処理プレート7の上面から上方に突出した受け渡し位置(図1中の二点鎖線)と、3本の昇降ピン41が熱処理プレート7の上面から下方に没入した処理位置(図1中の実線)との二箇所にわたって調節可能である。3本の昇降ピン41は、熱処理プレート7に形成されている3箇所の貫通口25に挿通されている。
【0033】
昇降ピン41は、図3に示すように構成されていることが好ましい。昇降ピン41は、芯部41aと、外筒41bと、石英ボール41cとを備えている。芯部41aは、胴部41dの上部にあたる先端部41eが、胴部41dよりも小径に形成されている。外筒41bは、先端部以外が石英ボール41cの外径より若干大きな内径に形成されている。外筒41bの先端部は、石英ボール41cの直径よりも小さな内径に形成されている。石英ボール41cは、その直径が先端部41eより若干小さく形成されている。したがって、石英ボール41cを先端部41eの上面に載置した状態で、外筒41bを被せると、石英ボール41cの1/3ほどが外筒41bから突出した状態となる。この状態で、芯部41dと外筒41bとを貫通する貫通口41fに係合ピン41gを圧入することにより、外筒41bを石英ボール41cとともに芯部41aに固定して昇降ピン41が構成される。なお、石英ボール41c以外の部材は金属製である。
【0034】
高温環境に耐えうる材料としては石英が好適であるものの、強度やコストを考慮すると昇降ピン41の全体を石英製とするのは困難である。そこで、上述したように先端部の石英ボール41cだけを石英製とすることでコストを抑制できる。また、石英は、基板Wの材料である単結晶シリコンよりも高度が若干低いので、基板Wの下面を損傷する恐れが低く、その上、球状であるので接触面積を最小限とすることができる。
【0035】
筐体13は、熱処理プレート7の上方を覆って、熱処理プレート7による熱処理雰囲気を形成する。筐体13は、その一方面に搬入出口43が形成されている。搬入出口43は、熱処理プレート7の上面付近の高さ位置から上に開口されている。搬送アーム17は、この搬入出口43を通して基板Wの搬入出を行う。
【0036】
搬入出口43には、シャッタユニット15が付設されている。シャッタユニット15は、駆動機構45と、シャッタ本体47とを備えている。駆動機構45は、その作動軸の部分が上方に向けられた姿勢で、一部が水冷式ベースプレート5に密着されて取り付けられている。作動軸の上部には、シャッタ本体47が連結されている。駆動機構45が作動軸を伸長させると、シャッタ本体47が上昇されて搬入出口43が閉塞され(図1に示す実線)、駆動機構45が作動軸を収縮させると、シャッタ本体47が下降されて搬入出口43が開放される(図1に示す二点鎖線)。
【0037】
筐体13は、その天井面に排気口49が形成されている。排気口49は、排気管51に連通接続されている。筐体13の排気口49と、熱処理プレート7の上面との間隔は、例えば、30mm程度である。排気管51は、排気設備52に連通接続されている。排気設備52は、外部からの指示により排気流量を調整可能に構成されている。排気管51の一部には、圧力検出ユニット53が配置されている。この圧力検出ユニット53は、排気管51内の排気圧力を検出する。圧力検出ユニット53の詳細な構成については、後述する。
【0038】
筐体13は、排気管51の上面に沿ってシーズヒータ55が設けられている。このシーズヒータ55は、筐体13や排気管51を加熱し、昇華物を含む気体が筐体13に触れた際に、気体が冷却されて昇華物が筐体13の内壁に付着することを防止する。
【0039】
制御部61は、図示しないCPUやメモリから構成されている。制御部61は、熱処理プレート7の温度制御、可動天板ユニット9の昇降制御、昇降ピンユニット11の駆動制御、シャッタユニット15の開閉制御、シーズヒータ55の温度制御、圧力検出ユニット53に基づく排気設備52の排気制御などを行う。また、制御部61は、可動天板ユニット9の昇降制御における下降位置を基板Wに応じて種々に操作できる。例えば、基板Wごとの処理条件や手順を規定したレシピに可動天板33の下降位置を規定するようにしておき、図示しない指示部を操作して、基板Wの表面からの可動天板33の距離に相当するパラメータを予めレシピに指示しておく。制御部61は、例えば、基板Wを処理するにあたり、装置オペレータによって指示された基板Wに応じたレシピを参照して、そのパラメータに応じて昇降機構29を操作する。これにより、基板Wごとに可動天板33の下降位置を調整することができる。
【0040】
ここで、図4図6を参照して、圧力検出ユニット53の詳細な構成について説明する。なお、図4は、圧力検出ユニットを示す縦断面図であり、図5は、圧力検出ユニットを排気管内部から見た図であり、図6は、圧力検出ユニットを排気管外部から見た図である。
【0041】
圧力検出ユニット53は、サンプリングポート71と、測定管73と、圧力センサ75とを備えている。
【0042】
サンプリングポート71は、排気管51の内部と、測定管73及び圧力センサ75とを連通接続する。サンプリングポート71は、具体的には次のように構成されている。
【0043】
サンプリングポート71は、排気管51に形成され、排気管51の内部に連通された排気管開口部77に取り付けられている。サンプリングポート71は、ブロック体79と、開口部81と、取り付け具83と、整流板85とを備えている。
【0044】
ブロック体79は、開口部81を形成されている。ブロック体79は、外観が板状を呈し、中央付近に開口部81が形成されている。この開口部81は、ブロック体79の表裏面(図4の左右面)に貫通している。開口部81は、図4における右側の内径が、左側の内径よりも若干大きく形成された測定管取付部87を形成されている。ブロック体79の表面(右側)における中央付近の上下端には、取り付け具83ための凹部89が形成されている。凹部89には、取り付け具83が取り付けられ、ブロック体79が開口部81を排気管開口部77に臨むように、かつブロック体79が排気管開口部77を覆うように排気管51に取り付けられている。取り付け具83は、例えば六角ネジが例示される。
【0045】
ブロック体79は、排気管51における気体の流通方向(図4図6において矢印で示す)おける開口部81の上流側から下流側にわたり、開口部81をまたぐように整流板85が取り付けられている。整流板85は、排気管51における気体の流通方向と、開口部81の中心軸の延長線との交点から開口部81を見た場合に、図5に示すように、開口部81が見えないように開口部81を覆うように配置されている。さらに、整流板85は、排気管51における気体の流通方向と、開口部81の中心軸の両方に直交する方向(図4)で、排気管51の内部に開口部81が連通するように設けられている。
【0046】
より具体的には、排気管51における気体の流通方向と、開口部81の中心軸との両方に直交する方向(図4)から見た断面が三角形状を呈する。そして、その頂点が、その内角側を開口部81に対向して取り付けられている。つまり、整流板85は、排気管51における開口部81を基準とした上流側から下流側へ気体が流下する軸線上における視点からサンプリングポート71側を見た場合に開口部81が見えないようになっている。換言すると、図4に示す、排気管51における気体の流通方向と、開口部81の中心軸の両方に直交する方向から見た場合には、開口部81と連通した連通空間91が形成される。この場合の連通空間91は、その縦断面が三角形状を呈し、図4に示す方向から見た場合、開口部81の中心軸までは、気体の流通方向における上流側から下流側に向かって開口部81から整流板85までの距離が徐々に大きくなる。
【0047】
ブロック体79は、測定管取付部87に測定管73の一端側が差し込まれる。測定管73は、ブロック体79のうち、排気管51の反対側にあたる面に取り付けられたチューブクランプ93によって固定される。チューブクランプ93は、図6に示すように、二股に分かれたクランプ片93a、93bと、その間に形成されたクランプ穴93cとを備えている。クランプ片93a、93bの一方にのみ螺合されたクランプネジ95をねじ込むことにより、クランプ片93a、93bが互いに接近し、クランプ穴93cに差し込まれている測定管73の外周面を挟持して測定管73を固定する。また、クランプネジ95を緩めることにより、クランプ片93a、93bが互いに離れ、クランプ穴93cから測定管73の外周面を開放し、測定管73が取り外せるようになっている。
【0048】
測定管73の他端側には、圧力センサ75が取り付けられている。圧力センサ75は、測定管73と、開口部81と、連通空間91とを介して排気管51内における気体の排気圧力を測定する。圧力センサ75によって測定された排気圧力は、制御部61に与えられる。
【0049】
なお、上述したチューブクランプが本発明における「測定管取付具」に相当する。
【0050】
次に、図7及び図8を参照して、上述した構成の基板処理装置による基板Wの処理について説明する。なお、図7は、基板を搬入出する状態を示す縦断面図であり、図8は、基板を加熱する状態を示す縦断面図である。
【0051】
まず、図7に示すように、制御部61は、可動天板ユニット9を操作して、可動天板33を上昇位置に移動させる。さらに、制御部61は、昇降ピンユニット11を操作して、3本の昇降ピン41を受け渡し位置に上昇させる。これらの操作とともに、制御部61は、シャッタユニット15を操作して、搬入出口43を開放させる。
【0052】
そして、制御部61は、搬送アーム17を、受け渡し位置より高く、かつ、上昇位置の可動天板の下面より低い位置にした状態で、搬入出口43から進入させ、熱処理プレート7の上方で搬送アーム17を下降させる。これにより、基板Wが受け渡し位置にある昇降ピン41に渡される。そして、搬送アーム17を搬入出口43から退出させるとともに、シャッタユニット15を操作して、搬入出口43を閉塞させる。
【0053】
次いで、図8に示すように、制御部61は、昇降ピンユニット11を操作して、3本の昇降ピン41を処理位置に下降させる。これにより基板Wに対して400℃による加熱処理が行われる。制御部61は、レシピを参照し、規定された加熱時間にわたって加熱処理を行わせる。
【0054】
制御部61は、所定の加熱時間が経過すると、可動天板ユニット9及び昇降ピンユニット11を操作して、可動天板33を上昇位置に上昇させるとともに、昇降ピン41を受け渡し位置に上昇させる。次いで、制御部61は、シャッタユニット15を操作して、搬入出口43を開放させる。さらに、制御部61は、搬送アーム17を、受け渡し位置より下方、かつ、熱処理プレート7の上面より上方の高さから搬入出口43に進入させる。そして、搬送アーム17を受け渡し位置より高く、かつ、可動天板33の下面より低い位置に上昇させることで、処理済みの基板Wを搬送アーム17が昇降ピン41から受け取る。次いで、搬送アーム17を搬入出43から退出させることにより、処理済みの基板Wを搬出させる。なお、制御部61は、上述した処理の間中、圧力検出ユニット53で検出された排気管51内の排気圧力に基づき排気設備52を操作し、処理状況に応じて排気管51内の排気流量を所定の値となるように制御する。
【0055】
上記一連の動作により一枚の基板Wに対する熱処理が完了するが、新たな基板Wを処理する際には、制御部61は、例えば、装置オペレータによって指示されたレシピを参照し、可動天板ユニット9による可動天板33の上昇位置をレシピに指示されたものとすることができる。
【0056】
本実施例によると、サンプリングポート71は、排気管51の排気管開口部77に設けられ、排気管51内の排気圧力が、サンプリングポート71を介して取り付けられている圧力センサ75により測定される。このサンプリングポート71は、排気管51における気体の流通方向と、開口部81の中心軸の延長線との交点から開口部を見た場合、開口部が見えないように開口部を覆う整流板85を備えている。この整流板85は、さらに、排気管51における気体の流通方向と開口部81の中心軸との両方に直交する方向で排気管51の内部に開口部81が連通するように設けられているので、排気圧力を圧力センサ75で測定できる。したがって、気体に含まれている昇華物は、整流板85の上流側には付着して堆積するものの、開口部81に堆積して開口部81を閉塞することを抑制できる。その結果、昇華物を含む気体であっても、排気管51内の排気圧力を正確に測定できる。
【0057】
さらに、本実施例による整流板85により、次の効果が得られる。
【0058】
すなわち、開口部81に対向する排気管51内には、整流板85が三角屋根のように配置され、その傾斜面が気体の流通方向に面した姿勢とされる。したがって、排気に含まれる昇華物は主としてその上流及び下流に面した傾斜面に付着して堆積する。また、気体の流通方向と開口部81の中心軸の両方に直交する方向で開口部81が排気管51に連通しているので、サンプリングポート71を介して圧力センサ75が正確に排気圧力を測定できる。
【0059】
また、取り付け具83を外すと、排気管51からブロック体79を整流板85ごと取り外すことができるので、整流板85や開口部81に昇華物が付着していてもメンテナンスにより容易に除去できる。したがって、定期的なメンテナンスを実施することにより、長期間にわたって排気圧力の精度を維持できる。さらに、チューブクランプ93を緩めると、測定管73をブロック体79から取り外すことができるので、昇華物が測定管73の内部に付着していてもメンテナンスにより容易に除去できる。したがって、定期的なメンテナンスを実施することにより、長期間にわたって排気圧力の精度を維持できる。
【0060】
<第1の変形例>
【0061】
ここで、図9を参照して、上述した整流板85の他の実施例について説明する。なお、図9は、整流板の第1の変形例を示す縦断面図である。
【0062】
この整流板85Aは、排気管51における気体の流通方向と、開口部81の中心軸の延長線との交点から開口部81を見た場合、開口部81が見えないように開口部81を覆う。さらに、この整流板85Aは、排気管51における気体の流通方向と開口部81の中心軸との両方に直交する方向だけでなく、排気管51の気体の流通方向における開口部81より下流側でも排気管51の内部に開口部81が連通するように設けられている。換言すると、整流板85Aは、排気管51の壁面から徐々に排気管51の中心側に向かって傾斜面が離れるように形成されている。その下流側の端部は、開口部81の下流側の周縁部よりも下流側に延出されている。このような整流板85Aは、上述した整流板85よりも簡易な構成とすることができつつも、上述した実施例と同様に、昇華物が開口部81に堆積して開口部81を閉塞することを抑制できる。
【0063】
<第2の変形例>
【0064】
ここで、図10を参照して、上述した整流板85,85Aの他の実施例について説明する。なお、図10は、整流板の第2の変形例を示す縦断面図である。
【0065】
この整流板85Bは、排気管51の気体の流通方向における開口部81より下流側だけが排気管51の内部に開口部81が連通するように設けられている。この整流板85Bは、排気の下流側だけに開口したフード状に形成されている。このような整流板85Bは、上述した実施例と同様に、開口部81に昇華物が堆積して開口部81を閉塞することを抑制できる。その上、傾斜面が側面の板状部材で支えられているので、機械的強度を高くできる。
【0066】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0067】
(1)上述した実施例では、可動天板33を備えているが、本発明はこの構成を備える必要はない。つまり、熱処理雰囲気を形成する筐体13内の気体を排気するための排気管51を備え、その排気圧力を検出する基板処理装置であれば本発明を適用できる。
【0068】
(2)上述した実施例では、取り付け具83によりブロック体79を排気管51に着脱自在な構成としたが本発明はこのような構成に限定されない。例えば、ブロック体79と排気管51をパチン錠(ドローラッチ)で着脱自在に構成してもよい。また、サンプリングポート71を排気管51の一部に固定的に取り付ける構成とし、排気管51の一部を排気管51に着脱自在とする構成としてもよい。
【0069】
(3)上述した実施例では、ブロック体79に対して測定管73をチューブクランプ93により着脱自在の構成とした。しかしながら、本発明はチューブクランプ93を必須とするものではない。例えば、ブロック体79に測定管73を取り外しできないように取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1,1A … 基板処理装置
W … 基板
3 … 下部ベースプレート
5 … 水冷式ベースプレート
7 … 熱処理プレート
9 … 可動天板ユニット
11 … 昇降ピンユニット
13 … 筐体
15 … シャッタユニット
29 … 昇降機構
33 … 可動天板
35 … 開口
37 … 駆動機構
41 … 昇降ピン
43 … 搬入出口
47 … シャッタ本体
51 … 排気管
53 … 圧力検出ユニット
61 … 制御部
71 … サンプリングポート
73 … 測定管
75 … 圧力センサ
77 … 排気管開口部
79 … ブロック体
81 … 開口部
83 … 取り付け具
85,85A,85B … 整流板
87 … 測定管取付部
93 … チューブクランプ
図1
図2
図3
図4
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図8
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図10