(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-07
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】LED照明装置及びLED照明装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/64 20100101AFI20220127BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20220127BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20220127BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220127BHJP
F21V 29/89 20150101ALI20220127BHJP
F21V 29/83 20150101ALI20220127BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220127BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220127BHJP
【FI】
H01L33/64
F21V29/503
F21V29/70
F21V23/00 160
F21V29/89
F21V29/83
F21S2/00 110
F21Y115:10 300
(21)【出願番号】P 2018519519
(86)(22)【出願日】2017-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2017018968
(87)【国際公開番号】W WO2017204134
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-04-08
(31)【優先権主張番号】P 2016102948
(32)【優先日】2016-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100128071
【氏名又は名称】志村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】飯野 高史
(72)【発明者】
【氏名】今井 貞人
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-067846(JP,A)
【文献】特開2015-185682(JP,A)
【文献】特開2014-187305(JP,A)
【文献】特開2013-118292(JP,A)
【文献】国際公開第2014/065068(WO,A1)
【文献】特開2008-277817(JP,A)
【文献】特開2015-032740(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0234177(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0177994(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2639831(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子と、
前記複数の発光素子が実装される矩形状の実装基板と、
前記発光素子に外部から電流を供給する電極部を有し、前記実装基板上に配設される一対の配線基板と、を備えたLED照明装置であって、
前記実装基板の上面が、前記複数の発光素子が実装される発光領域と、前記発光領域の外側であって、前記実装基板の上面が露出する露出領域及び前記一対の配線基板が配設される一対の配線領域とを備え、
前記実装基板の上面の中央部に形成される前記発光領域と前記露出領域及び前記配線領域との間には
前記発光領域に充填される封止樹脂を囲う仕切枠が設けられ、
前記発光領域に実装された複数の発光素子のうち前記一対の配線基板に隣接して実装されている発光素子が、ワイヤによって前記発光領域の外側で前記配線基板に設けられた
前記電極部に接続されていることを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記仕切枠は、その一部が前記一対の配線基板の内側面に沿うようにして
前記実装基板上に設けられる
請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記電極部は遮光性の樹脂材からなるカバー部材によって被覆されている請求項2に記載のLED照明装置。
【請求項4】
前記配線領域の面積は、前記露出領域の面積より小さい請求項
1に記載のLED照明装置。
【請求項5】
前記電極部は、第1電極部と第2電極部とを有し、
前記第1電極部は、前記配線基板の上面に設けられ、前記配線基板の近傍に実装されている前記発光素子とワイヤを介して接続され、
前記第2電極部は、前記配線基板の上面に設けられ、前記第1電極部を介して前記配線基板の近傍に実装されている発光素子に電流を供給する請求項
1に記載のLED照明装置。
【請求項6】
前記配線基板の外形が、前記電極部の外形に沿って形成されている請求項
1に記載のLED照明装置。
【請求項7】
前記一対の配線基板が前記実装基板上の対角に位置する角部に対向するように配置される請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項8】
前記実装基板に一対の凹部が設けられ、前記一対の配線基板が前記一対の凹部に嵌め込まれることにより、前記実装基板の上面の露出領域と、前記一対の配線基板の上面とが面一となる請求項
1に記載のLED照明装置。
【請求項9】
前記仕切枠が略円形であり、遮光性を有する樹脂材によって形成されている請求項1又は2に記載のLED照明装置。
【請求項10】
請求項
1に記載のLED照明装置を製造する方法であって、
複数の前記配線基板が一体となった集合配線基板を、集合実装基板上に格子状に設置する集合配線基板設置工程と、
前記集合実装基板上であって一対の前記電極部の間に、前記複数の発光素子を実装する配置配線工程と、
前記集合配線基板と前記集合実装基
板を切断して、個々のLED照明装置を得る切断工程と、
を備えるLED照明装置製造方法。
【請求項11】
前記複数の配線基板が4個の配線基板である請求項
10に記載のLED照明装置製造方法。
【請求項12】
前記集合配線基板設置工程が、菱形格子状に前記集合配線基板を前記集合実装基板上に設置する過程を備える請求項
11に記載のLED照明装置製造方法。
【請求項13】
前記集合配線基板設置工程が、矩形格子状に前記集合配線基板を前記集合実装基板上に設置する過程を備える請求項
11に記載のLED照明装置製造方法。
【請求項14】
前記複数の配線基板が2個の配線基板であり、
前記集合配線基板設置工程が、正方格子状に前記集合配線基板を前記集合実装基板上に設置する過程を備える請求項
10に記載のLED照明装置製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の照明器具に搭載されるLED照明装置と、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電球や蛍光灯に代わる照明用の光源として、複数の発光素子(LED)を用いた照明装置が採用されている。発光素子は電球等に比べて消費電力が少ない。しかし、発光素子は、点状光源であるため指向性が狭い。このため、発光素子を用いた照明装置では、照明用としての明るさを得るために、数十個から数百個程度の発光素子を透光性の樹脂で封止している。こうして、発光素子を用いた照明装置は均一な明るさの発光面を形成している。
【0003】
特許文献1,2には、複数の発光素子が実装されてなる発光面を有したLED照明装置が開示されている。これらのLED照明装置は、基板上に複数の発光素子が実装可能な円形状の実装部を備えている。この実装部に実装された複数の発光素子は、透光性の樹脂材によって封止されている。このように、一般的な照明用途に用いられる発光素子として、白色系の発光色が作りやすい青色発光素子やUV素子などが多く採用されている。そして、これらの発光素子は、シリコーン等の樹脂材によって基板上に封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-118292号公報
【文献】特開2008-277817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記LED照明装置にあっては、高輝度タイプになるほど実装する発光素子の搭載数が増え、これに伴って発熱量も高くなる。このため、発光素子が実装される実装基板に熱伝導率の高い金属材料やセラミックス材料等を用いることで、実装基板は所定の放熱性を確保している。このような熱伝導率の高い実装基板を用いる場合であっても、複数の発光素子が実装される発光領域の外側に、マザーボード等との電気的接続を図るための電極部を有する配線基板が必要となっている。
【0006】
しかしながら、実装基板に配線基板を設けることによって、発光領域を除いた実装基板の上面が塞がれるため、実装基板が十分な放熱効果を得られないといった問題があった。また、配線基板を設けるためのスペースを発光領域の外側に確保するには、実装基板自体を大型化しなければならず、LED照明装置全体の小型化が図れないといった問題もあった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、複数の発光素子が実装される発光領域と、配線領域とを有する実装基板上に、実装基板の上面が露出する露出領域をさらに設けることで、この露出領域を通して発光素子から発せられる熱を外部に放出させることのできるLED照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のLED照明装置は、複数の発光素子と、実装基板と、電極部と、配線基板を備えている。実装基板は、前記複数の発光素子が実装される。電極部は、前記発光素子に外部から電流を供給する。配線基板は、前記実装基板上に配設される。前記実装基板の上面には、前記複数の発光素子が実装される発光領域と、前記実装基板の上面が露出する露出領域及び前記配線基板が配設される配線領域とを、前記発光領域の外側に備えている。
【0009】
また、本発明のLED照明装置製造方法は、本発明のLED照明装置を製造する方法であって、次の3つの工程を備えている。a)複数の前記配線基板が一体となった集合配線基板を、集合実装基板上に格子状に設置する集合配線基板設置工程。b)集合実装基板上にある一対の前記電極部の間に、前記複数の発光素子を実装する配置配線工程。c)前記集合配線基板と前記集合実装基板の少なくとも一方を切断して、個々のLED照明装置を得る切断工程。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るLED照明装置では、複数の発光素子が実装される発光領域の外側に、実装基板の上面が露出する露出領域と、配線基板が配設される配線領域とを分けて設けた。このため、本発明に係るLED照明装置は、露出領域を通して、発光領域内で発生した熱を外部に効率よく放熱させることができる。また、発光領域の外側に少なくとも一対の配線領域を設け、各配線領域の面積を露出領域の面積より小さく設定することによって、さらに放熱効果を高めることができる。このように、本発明に係るLED照明装置は、実装基板の下面側からマザーボードに向けて放熱させるだけでなく、上面側から直接外気に向けて放熱させることができる。このため、発光領域における発熱量を格段に低減させることが可能となる。
【0011】
本発明に係るLED照明装置製造方法では、配線基板が一体となった集合配線基板を集合実装基板上に格子状に設置し、集合配線基板と集合実装基板の少なくとも一方を切断して、個々のLED照明装置を得る。このため、本発明のLED照明装置を効率よく製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態のLED照明装置の斜視図(a)及び断面図(b)である。
【
図2】第1実施形態の実装基板及び配線基板を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態の発光素子の配置配線工程を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態の仕切枠形成工程を示す斜視図である。
【
図5】第2実施形態のLED照明装置の斜視図(a)及び断面図(b)である。
【
図6】第2実施形態の実装基板及び配線基板を示す斜視図である。
【
図7】第3実施形態のLED照明装置の斜視図である。
【
図8】第3実施形態の実装基板及び配線基板を示す斜視図(a)及び断面図(b)である。
【
図9】第3実施形態の発光素子の配置配線工程を示す斜視図である。
【
図10】第4実施形態のLED照明装置製造方法の集合配線基板設置工程を示す平面図である。
【
図11】第4実施形態のLED照明装置製造方法の切断工程を示す平面図である。
【
図12】第5実施形態のLED照明装置製造方法の集合配線基板設置工程を示す平面図である。
【
図13】第6実施形態のLED照明装置製造方法の配線基板設置工程を示す平面図である。
【
図14】第7実施形態のLED照明装置製造方法の集合配線基板設置工程を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る第1実施形態のLED照明装置を
図1から
図4に基づいて説明する。
図1に示したように、本実施形態のLED照明装置11は、矩形状の実装基板12と、実装基板12の中央部に実装される複数の発光素子15と、実装基板12上で対角に位置する角部12a,12bに、対向して設けられる一対の配線基板13,14とを備えている。実装基板12の上面は、発光領域21と、露出領域22と、配線領域23とを備えている。
【0014】
発光領域21は、複数の発光素子15が実装された実装基板12の上面の領域である。発光領域21は、実装基板12の上面の中央部に設けられている。発光領域21は、白色系の遮光性を有した樹脂からなる円形状の仕切枠17の内側の領域である。複数の発光素子15は、ワイヤ16を介して相互に電気的に接続されている。仕切枠17の内側には、複数の発光素子15を封止するように、透光性の封止樹脂18が充填されている。封止樹脂18には、発光素子15の発光色に適合するシリコーン樹脂が使用されていてもよい。
【0015】
配線領域23には、一対の配線基板13,14が配置されている。これら一対の配線基板13,14は、実装基板12上で対角に位置する角部12a,12bに、対向して設けられ、仕切枠17の外側の一部を円弧状に囲っている。露出領域22は、実装基板12の上面に位置し、発光領域21の外側で露出している領域である。すなわち、露出領域22は、実装基板12の上面のうち、発光領域21及び一対の配線領域23を除いた範囲となっている。本実施形態では、露出領域22を広く確保し、ここでの放熱性を極力高めるため、一対の配線領域23を露出領域22より狭くするように設定されている。すなわち、配線領域23,23の合計面積は、露出領域22の面積より小さい。
【0016】
図2から
図4は、LED照明装置11を個別に製造する工程の一部を示したものである。実装基板12には、用途に合わせて熱伝導性の高い金属材料あるいはセラミックス材料が使用される。金属材料には、アルミニウムや銅等が適している。また、セラミックス材料に比較的熱伝導率の高いものを使用することで、実装基板12は放熱効果と高い絶縁耐性を得ることができる。このような材料としては、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等がある。金属材料及びセラミックス材料として示したものは例示であり、これらに限定されるものではない。なお、本実施形態の実装基板12は、数十mm四方の矩形状の板状に形成されているが、照明用途や発光量等に合わせて様々なサイズ、様々な形状のものが用いられる。
【0017】
一対の配線基板13,14は、それぞれ絶縁性の樹脂材によって、一部に円弧状の切欠き部25を有する四角形状に形成されている。また、切欠き部25の上面から配線基板13,14の中央部に掛けて、電極部26がそれぞれ形成されている。一対の配線基板13,14は、一方がアノード側、他方がカソード側となる。配線基板13,14は、実装基板12上で対角に位置する角部12a,12bに、円弧状の切欠き部25同士が対向するように位置決めされた後、接着剤等を介して実装基板12上に固定される。
【0018】
それぞれの電極部26は、円弧状の切欠き部25の上面に沿って延びる湾曲状の第1電極部26aと、第1電極部26aから、配線基板13,14の中央部に向けて延びるように設けられた第2電極部26bと、を備えている。第1電極部26aは、発光領域21の配線基板の近傍に実装されている発光素子15と、ワイヤ16を介して接続されている。第2電極部26bは、マザーボード等から供給される電源ラインの一端が接続される。
【0019】
図3に示したように、発光素子15は、実装基板12の上面の中央部に複数配置される。図に示した発光素子15の数は十数個となっているが、実際には数十個程度の発光素子15が所定の間隔に配置される。各発光素子15は、一般照明用として白色系の発光色を出すために、窒化ガリウム系化合物半導体からなる同一種類且つ同一サイズの青色発光素子である。この青色発光素子は、サファイアガラスからなるサブストレートと、このサブストレートの上にn型半導体とp型半導体を拡散成長させた拡散層とからなっている。n型半導体の上面にはn型電極が、p型半導体の上面にはp型電極がそれぞれ設けられている。n型電極は隣接する発光素子15のp型電極とワイヤ16を介して電気的に接続されている。p型電極は隣接する発光素子15のn型電極とワイヤ16を介して電気的に接続されている。
【0020】
本実施形態では、複数の発光素子15が、実装基板12の上面に2つの発光グループに分かれて配置配線されている。各発光グループの発光素子15は、配線基板13の第1電極部26aと配線基板14の第1電極部26aとの間に直列接続されている。そして、配線基板13,14のそれぞれの第2電極部26bを介して、各発光グループの発光素子15に所定の電流が印加される。
【0021】
仕切枠17は、その一部が一対の配線基板13,14を跨ぐようにして実装基板12上に形成されている。仕切枠17は、発光領域21に配置配線されている発光素子15及びワイヤ16による接続部分を含めた高さよりも高くなるように、盛り上げられている。仕切枠17は、一例では白色系の樹脂材によって形成される。仕切枠17の内側には、複数の発光素子15を封止する封止樹脂18が充填される。封止樹脂18は、透明な樹脂基材に蛍光剤を含有させたものであり、透光性を有する。例えば、エポキシ樹脂あるいはシリコーン樹脂に、蛍光粒子の原料となるイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、または色素粒子の原料となる染料等からなる蛍光剤を適量混入することによって、封止樹脂18を形成することができる。
【0022】
上記構成からなるLED照明装置11では、一対の配線基板13,14が実装基板12上で対角に位置する角部12a,12bに設けられる。このため、仕切枠17で囲まれた発光領域21と、一対の配線領域23とを除いた実装基板12の上面の露出領域22を広く確保することができる。これによって、発光領域21における発光に伴って生じる熱を、実装基板12の下面側からだけではなく、上面側からも外気に向けて有効に放出させることができる。このため、LED照明装置11全体の放熱効率を高めることができる。
【0023】
本実施形態では、一対の配線基板13,14を実装基板12上で対角に位置する角部12a,12bに設けている。しかし、一対の配線基板13,14は、発光領域21の外側の対向する部分に設ければよく、対角線上や角部への配置には限定されない。このため、LED照明装置11が実装されるマザーボード(図示せず)側に設けられる電極部の位置に応じて、配線基板13,14の位置を任意の箇所に設定することができる。また、配線基板13,14は、第1電極部26a及び第2電極部26bを形成できるだけの広さがあれば足りる。したがって、配線基板13,14の面積を可能な限り最小化することによって、その分、露出領域22の面積を大きく確保することができる。このように配線基板13,14の面積を最小化すれば、LED照明装置11の放熱作用を高めることができる。
【0024】
配線基板13,14の面積を最小化するには、仕切枠17の一部に沿う第1電極部26aの輪郭部分と、第1電極部26aより仕切枠17の外側方向に設けられた四角形状の第2電極部26bの輪郭部分と、第1電極部26aと第2電極部26bとの接続電極部の輪郭部分以外の部分をカットするように配線基板13,14を形成すればよい。すなわち、配線基板の13,14の外形は、電極部26の外形に沿って形成してもよい。これによって、対角位置にある角部12a,12bの上面にも実装基板12が露出する部分が現れる。この露出部分が外気と接することで、実装基板12全体としての放熱効果を高めることができる。特に、第2電極部26bは、電源ラインを介して電流が印加されることで発熱量が多くなるが、第2電極部26bの周囲の実装基板12の露出部分から熱を外部に放出させることができる。
【0025】
図5及び
図6は第2実施形態のLED照明装置31を示したものである。なお、第1実施形態のLED照明装置11と共通する部材については、同一符号を用いることで詳細な説明を省略する。本実施形態のLED照明装置31では、
図6に示したように、円弧状の切欠き部25を有する一対の配線基板13,14が、実装基板12上で対角に位置する角部に対向するように配置されている。そして、配線基板13,14の各切欠き部25の内側面に沿うようにして、仕切枠17が形成されている。
【0026】
本実施形態によれば、仕切枠17は、配線基板13,14を跨がずに直接実装基板12上に形成される。このため、第1実施形態のように、仕切枠17に段差が生じることがない。その結果、複数の発光素子15は、封止樹脂18によって確実に封止される。なお、本実施形態では、発光領域21内の発光素子15から各配線基板13,14の第1電極部26aに接続されるワイヤ16の一部及び接続部分が外部に露出する。このため、
図5に示したように、仕切枠17と同様の遮光性の樹脂材からなるカバー部材32によって、第1電極部26a上を被覆するのが好ましい。
【0027】
図7から
図9は第3実施形態のLED照明装置41を示したものである。なお、第1実施形態のLED照明装置11と共通する部材については同一符号を用いることで詳細な説明を省略する。本実施形態のLED照明装置41では、
図8に示すように、一対の配線基板13,14の上面が実装基板42の上面と面一になるように、一対の配線基板13,14を埋め込むための凹所43が実装基板42上に2箇所設けられている。それぞれの凹所43は、一対の配線基板13,14とほぼ同じ形状及び厚みに形成されている。このため、一対の配線基板13,14をそれぞれ、実装基板42上で対角に位置する角部に設けられた凹所43に接着剤等を介して嵌め込むことで、配線基板13,14の上面と、露出領域(実装基板42の上面)との境界を、段差のない平坦面にすることができる。
【0028】
図9に示したように、一対の配線基板13,14が嵌め込まれた実装基板42の上面の中央部に複数の発光素子15が実装され、一対の配線基板13,14のそれぞれの第1電極部26a間でワイヤ16を介して複数の発光素子15が直列接続される。その後、
図7に示したように、各配線基板13,14の第1電極部26aを内包するようにして仕切枠17が形成され、この仕切枠17の内側に透光性の封止樹脂18が充填される。本実施形態では、実装基板42の上面と一対の配線基板13,14の上面との間に段差が生じないので、仕切枠17の形成が容易になる。また、仕切枠17を実装基板42に隙間なく密接させることができる。これによって、発光領域21から露出領域22及び配線領域23への発光漏れを有効に防止することができる。
【0029】
図10及び
図11は、第4実施形態のLED照明装置製造方法の工程の一部を示したものである。本実施形態のLED照明装置製造方法では、集合実装基板51を用いて本発明のLED照明装置を製造する。集合実装基板51は、実装基板12が集合した一体物である。なお、本実施形態のLED照明装置製造方法は、第1実施形態のLED照明装置11の製造を例として説明する。本実施形態のLED照明装置製造方法は、集合配線基板設置工程と、配置配線工程と、切断工程とを備えている。
【0030】
集合配線基板設置工程では、複数の配線基板が一体となった集合配線基板52を、集合実装基板51上に格子状に設置する。本実施形態では、集合配線基板52は、4個の配線基板13又は4個の配線基板14からなる。
図10に示したように、本実施形態の集合配線基板設置工程は、集合配線基板52を菱形格子状に集合実装基板51上に設置する過程、つまり、隣接する4個の集合配線基板52が菱形の頂点となるように集合配線基板52を集合実装基板51上に設置する過程を備えている。
【0031】
より具体的な集合配線基板52の設置は以下のとおりである。4個の配線基板13からなる第1集合配線基板52aは、集合実装基板51の縦方向及び横方向に均等な間隔で配置されている。また、4個の配線基板14からなる第2集合配線基板52bは、第1集合配線基板52aから縦方向及び横方向に第1集合配線基板52aの配置間隔の1/2ずつずれて配置されている。集合配線基板52を集合実装基板51上にこのように設置することで、実装基板12上で対角に位置する角部に配線基板13,14を備えるLED照明装置11が得られる。
【0032】
なお、第1集合配線基板52aの配置間隔とは、隣り合う第1集合配線基板52aの中心間距離である。他の集合配線基板の配置間隔についても同様である。また、縦方向とは、最終的に得られるLED照明装置11の実装基板12の一側面に沿った方向である。横方向とは、縦方向と直交する方向である。本実施形態では、
図10及び
図11に示す集合実装基板51の上下方向を縦方向として説明する。後述する第5実施形態から第7実施形態でも同様である。
【0033】
配置配線工程では、
図11に示したように、最終的に得られるLED照明装置11の実装基板12上で対角に位置する角部に設置される、配線基板13上の電極部
26と、配線基板14上の電極部26との間に、複数の発光素子15を実装する。その後、第1実施形態で述べたように、仕切枠17を形成し、仕切枠17の内側に封止樹脂18を充填する。切断工程では、集合配線基板52と集合実装基板51の少なくとも一方を切断して、個々のLED照明装置11を得る。より具体的には、
図11に示したように、集合配線基板52を中心で4分割するように、集合実装基板51の縦方向及び横方向に沿って、集合配線基板52と集合実装基板51を切断する。このように、本実施形態では、集合実装基板51と、複数の配線基板からなる集合配線基板52を用いるので、LED照明装置11を効率よく量産できる。
【0034】
図12は、第5実施形態のLED照明装置製造方法の工程の一部を示したものである。なお、本実施形態の説明では、第4実施形態の説明と重複する部分を適宜省略する。後述する第5実施形態から第7実施形態の説明でも同様である。
図12に示したように、本実施形態のLED照明装置製造方法における集合配線基板設置工程は、集合配線基板52を矩形格子状に設置する過程、つまり、集合配線基板52の縦方向の配置間隔と横方向の配置間隔が異なるように、縦方向と横方向にそれぞれ均等な間隔で集合配線基板52を集合実装基板51上に配置する過程を備えている。
【0035】
より具体的な集合配線基板52の設置は以下のとおりである。4個の配線基板13からなる第1集合配線基板52aは、集合実装基板51の縦方向及び横方向に均等な間隔で配置されている。また、4個の配線基板14からなる第2集合配線基板52bは、第1集合配線基板52aから横方向に第1集合配線基板52aの配置間隔の1/2ずつずれて配置されている。集合配線基板52を集合実装基板51上にこのように設置することで、他の実施形態とは異なり、実装基板12上で隣り合う角部に配線基板13,14を備えるLED照明装置が得られる。なお、配線基板13,14は同じ部材であるから、集合配線基板52は、2個の配線基板13及び2個の配線基板14から構成されていてもよい。
【0036】
配置配線工程では、最終的に得られるLED照明装置の実装基板12上の隣り合う角部に設置される、配線基板13上の電極部26と配線基板14上の電極部26との間に、複数の発光素子を実装する。その後、仕切枠を形成し、仕切枠の内側に封止樹脂を充填する。そして、切断工程では、
図12の点線で示したように、集合配線基板52を中心で4分割するように、集合配線基板52の縦方向及び横方向に沿って、集合配線基板52と集合実装基板51を切断する。こうして、個々のLED照明装置が得られる。なお、配置配線工程以降の図示を省略した。
【0037】
図13は、第6実施形態のLED照明装置製造方法の工程の一部を示したものである。本実施形態のLED照明装置製造方法は、配線基板設置工程と、配置配線工程と、切断工程とを備えている。
図13に示したように、配線基板設置工程では、集合実装基板51上において、最終的に得られるLED照明装置の実装基板12上で対角に位置する角部に、配線基板13,14を設置する。
【0038】
配置配線工程では、最終的に得られるLED照明装置の実装基板12上の対角部に位置する、配線基板13上の電極部26と配線基板14上の電極部26との間に、複数の発光素子を実装する。その後、仕切枠を形成し、仕切枠の内側に封止樹脂を充填する。そして、切断工程では、
図13で示したように、隣り合う実装基板12のそれぞれの配線基板13,14の間にある点線のように、集合配線基板52の縦方向及び横方向に沿って、集合実装基板51を切断する。こうして、個々のLED照明装置が得られる。なお、配置配線工程以降の図示を省略した。
【0039】
図14は、第7実施形態のLED照明装置製造方法の工程の一部を示したものである。第7実施形態の製造方法で得られるLED照明装置は、実装基板12の四辺のうち、対辺となる二辺の中央部に配線基板13,14を備えている。本実施形態のLED照明装置製造方法は、集合配線基板設置工程と、配置配線工程と、切断工程とを備えている。なお、本実施形態では、一対の配線基板13又は一対の配線基板14からなる集合配線基板62を用いる。
【0040】
図14に示したように、本実施形態のLED照明装置製造方法において、集合配線基板設置工程は、集合配線基板62を正方格子状に設置する過程、つまり、集合配線基板62の縦方向の配置間隔と横方向の配置間隔が同じになるように、集合配線基板62を集合実装基板51上に配置する過程を備えている。集合配線基板62を集合実装基板51上にこのように設置することで、実装基板12の四辺のうち、対辺となる二辺に配線基板13,14を備えるLED照明装置が得られる。なお、配線基板13,14は同じ部材であるから、集合配線基板62は、配線基板13と配線基板14の2個の配線基板から構成されていてもよい。
【0041】
配置配線工程では、最終的に得られるLED照明装置の実装基板12上で対辺となる二辺で対向して配置される配線基板13上の電極部26と配線基板14上の電極部26との間に、複数の発光素子を実装する。その後、仕切枠を形成し、仕切枠の内側に封止樹脂を充填する。そして、切断工程では、
図14の点線に示したように、集合配線基板62の中心で、集合配線基板62と集合実装基板51を縦方向に切断し、縦方向に並んだ2つの集合配線基板62の中心で、集合実装基板51を横方向に切断する。こうして、個々のLED照明装置が得られる。なお、配置配線工程以降の図示を省略した。
【0042】
以上説明したように、本発明のLED照明装置では、発光領域の周囲に設けられる配線領域の占有面積を最小化することによって、発光領域周囲の実装基板上面を直接外部に広く露出させることが可能となった。これによって、実装基板の上面側に露出する部分からも放熱効果を得ることができる。このため、LED照明装置の発光効率をより高めることができると共に、LED照明装置の小型化を図れるようになった。また、本発明のLED照明装置製造方法では、複数の配線基板の一体物である集合配線基板と、実装基板の集合一体物である集合実装基とを用いることによって、本発明のLED照明装置を効率よく量産できる。
【符号の説明】
【0043】
11 LED照明装置
12 実装基板
12a,12b 角部
13,14 配線基板
15 発光素子
16 ワイヤ
17 仕切枠
18 封止樹脂
21 発光領域
22 露出領域
23 配線領域
25 切欠き部
26 電極部
26a 第1電極部
26b 第2電極部
31 LED照明装置
32 カバー部材
41 LED照明装置
42 実装基板
43 凹所
51 集合実装基板
52 集合配線基板
52a 第1集合配線基板
52b 第2集合配線基板
62 集合配線基板